説明

錠剤等の包装装置におけるシートの打抜き装置及びこれを備えた錠剤等の包装装置

【課題】ポケットに錠剤等が充填され、打抜き装置で打抜かれ個々のシートを、搬送ライン上にそのままの姿勢で整然と落下させることのできるシートの打抜き装置及びこれを備えた錠剤等の包装装置を提供する。
【解決手段】ポケットに錠剤等が充填された連続するシート14を個々のシート14aに打抜く装置において、連続したシート14を打抜くパンチ41から圧縮空気を噴射させて、打抜いた個々のシート14aを搬送ライン上19に落下させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管に巻かれたフィルムを繰出して複数のポケットを設け、このポケットに錠剤等を充填し、アルミフィルムを貼着して封止する錠剤等の包装装置におけるシートの打抜き装置及びこれを備えた錠剤等の包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の錠剤等の包装装置に、紙管から繰出されたフィルムを加熱ロールで加熱し、成形ドラムにより真空吸引して所定の間隔で多数のポケットを形成し、このフィルムのポケットにホッパーに装入された錠剤等を充填し、ついで、シールドラムとシールロールとの間で、ストックロールから繰出されたアルミフィルムをフィルムの錠剤等が露出した側に貼着して封止して送り出し、以下の工程で打抜き装置により所定の寸法に打抜かれ、錠剤等が充填された個々のシートとして、搬送ライン上に送り出すようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特公平7−94247号公報(第2頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の錠剤等の包装装置においては、打抜き装置で打抜かれたシートは、自重により搬送ライン上に落下するようになっているが、ポケット錠剤等が充填された個々のシートは、軽量のため搬送ライン上に落下したときの姿勢が一定ではなく、このため後の工程(例えば、検査工程、積ね工程、結束固定など)において、所定の姿勢に直さなければならず、その処理がきわめて面倒であった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、ポケットに錠剤等が充填され、打抜き装置で打抜かれ個々のシートを、搬送ライン上にそのままの姿勢で整然と落下させることのできるシートの打抜き装置及びこれを備えた錠剤等の包装装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポケットに錠剤等が充填された連続するシートを個々のシートに打抜く装置であって、前記連続したシートを打抜くパンチから圧縮空気を噴射させて、打抜いた個々のシートを搬送ライン上に落下させるようにしたものである。
【0007】
また、本発明は、ポケットに錠剤等が充填された連続するシートを個々のシートに打抜く装置であって、モータの出力軸に設けられた偏心軸と、該偏心軸に連結されて上下に移動するパンチホルダと、該パンチホルダに該パンチホルダとすき間を隔てて上下に移動可能に設けられたシート押えと、該シート押えに設けた穴に上下に移動可能に嵌入されて前記パンチホルダに固定されたパンチと、該パンチに対応して開口部が設けられ前記シート押えの下方に配置されて前記連続するシートをガイドするパンチ台とを有し、前記パンチに、前記パンチホルダに設けられ空気圧源に接続された空気穴と連通するノズル穴を設けたものである。
【0008】
また、本発明に係る錠剤等の包装装置は、上記のシートの打抜き装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポケットに錠剤等が充填されて打抜かれたシートを、パンチに設けたノズル穴から噴出した圧縮空気により、そのままの姿勢で搬送ライン上に落下させることができるので、搬送ライン上に落下したシートの姿勢を直す必要がなく、このため生産性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の一実施の形態に係る錠剤等の包装装置の概要を示す説明図である。なお、以下の実施の形態においては、熱可塑性樹脂からなるフィルムに設けたポケットに、錠剤やカプセルなどを収容し、錠剤等の露出側にアルミフィルムを貼着し、ミシン目を入れたのち所定の大きさに打抜いて結束するPTP自動包装装置に本発明を実施した場合について説明する。
【0011】
図において、2は紙管1に巻かれた熱可塑性樹脂からなる長尺のフィルム、3は外周に多数の凹部が設けられ、真空吸引等によりフィルム2に錠剤等を収容するためのポケット(凹部)を形成する成型ドラム、4はこの成型ドラム3の外周に摺接し、フィルム2を加熱する加熱ロール、5はアイドラである。6はアルミ箔からなるフィルム7(以下、アルミフィルムという)が巻かれたストックロール、8はアイドラである。
【0012】
9はシールドラム、10はシールロールで、両者の間でポケットに錠剤等が収容されたフィルム2の錠剤等の露出側にアルミフィルム7を貼着する。
11はアイドラ5と8との間に設けられたガイドプレート、12はガイドプレート11の上方に設けられて錠剤等が装入されるホッパーで、その下部には図面の垂直方向に複数の室が形成された錠剤等の充填シュート13が設けられている。
18はポケットに錠剤等が充填され、アルミフィルム7が貼着されたPTPシート14にミシン目を入れるスリッタ、20はPTPシート14を所定の寸法に打抜く打抜き装置、19は切断された個々のPTPシート14aを搬送する搬送ラインである。
【0013】
ポケット15(図2参照)に錠剤等が充填され、シールドラム9とシールロール10とによってアルミフィルム7が貼着されて連続した図2に示すようなPTPシート14は、スリッタ18によりミシン目16が入れられ、ついで打抜き装置20により所定の形状(図2に打抜き線17で示す)に打抜かれて個々のPTPシート14aとなり、搬送ライン19上に落下して次の工程に搬送される。
【0014】
次に、本発明に係る上記のシートの打抜き装置20について説明する。図3は一実施の形態に係るシートの打抜き装置の縦断面図、図4は図3の左側面図、図5は一部を省略した図1の分解斜視図である。
図において、21はパンチ台で、中央部の長手方向には打抜かれたPTPシート14aが搬送ライン上に落下する開口部22が設けられており、長手方向の両端部近傍には小径部と大径部からなる貫通穴23a,23bが設けられている。
【0015】
25a,25b(図5には25aのみ示してある)は下端部に設けたねじがパンチ台21の貫通穴23a,23bに挿入され、ナットで固定されてパンチ台21上に立設された固定軸である。
26はほぼ凹字状のパンチホルダで、中央部には凹部27が設けられており、長手方向の両端部側には大径の貫通穴28a,28bが設けられ、凹部27と貫通穴28a,28bとの間には、各一対の小径の貫通穴29a,29bと29c,29dが設けられている。また、このパンチホルダ26の凹部27の下方には、一端が下面に開口し、他端が凹部27内に開口した空気穴30が設けられており、凹部27側の開口部は、接続具31を介して図示しない圧縮空気圧源に接続されている。なお、図3には空気穴30から分岐して、3個の開口部を設けた場合を示してあるが、開口部は1個でもよく、4個以上であってもよい。
このパンチホルダ26は、大径の貫通穴28a,28bがスライドブッシュ32を介して、固定軸25a,25bに上下に摺動可能に装着されている。
【0016】
35はパンチホルダ26の下面側に配設されたシート押えで、長手方向の中央部には、後述のパンチ41が嵌入される長穴36が設けられており、四隅には小径部と大径部からなる貫通穴37が設けられている。
38はシート押えガイドピンで、スライドブッシュ39、ばね40を介して、パンチホルダ26の小径の貫通穴29a〜29dにそれぞれ摺動可能に挿通され、下端部に設けたねじがシート押え35の貫通穴37に挿入されてナットにより固定され、シート押え35をパンチホルダ26の下面との間にすき間gを隔てて保持する。
【0017】
41はパンチで、下面にはPTPシート14の打抜き形状に対応した形状の凹部42が設けられており、また、パンチホルダ26に設けた空気穴30に連通するノズル穴43a,43b,43c(以下、単に43と記す)が設けられている。このパンチ41は、シート押え35の長穴36に上下に摺動可能に嵌入され、貫通穴44に挿通したねじによりパンチホルダ26の下面に固定されており、ノズル穴43がそれぞれパンチホルダ26の空気穴30と連通する。
【0018】
45は打抜き固定ホルダで、中央部には長手方向と直交して長穴46が設けられており、両端部に設けた貫通穴47を固定軸25a,25bの上端部に設けたねじに嵌合し、ナットにより固定されている。
50は上面に一対の支持腕51を有するパンチ継手で、パンチホルダ26の凹部27内に貫通穴52に挿通したねじにより固定されている。
55はアームで、一端が打抜きホルダ45の長穴46内に挿入されて、その下端部がパンチ継手50の支持腕51の間に挿入され、軸受を介してクランクピン53により回動可能に連結されている。
【0019】
60はモータ、61はモータ60の出力軸で、フレーム70に設けたブラケット71に軸受72a,72bを介して回転自在に支持されており、その先端部に設けた円板62の偏心した位置に軸63(以下、偏心軸という)が設けられ、この偏心軸63は軸受64を介してアーム55の上部に回転自在に連結されている。
【0020】
次に、上記のように構成したシートの打抜き装置20の作用について説明する。
モータ60が回転すると、その出力軸61に設けた円板62が回転し、これに設けた偏心軸63は円板62の外周縁に沿って回転する。そして、偏心軸63が上死点に向っているとき(上昇行程)は、これに連結されたアーム55、パンチ継手50、パンチホルダ26、パンチ41及びシート押え35も上昇し、偏心軸63が上死点に達すると、図3に示すように、パンチホルダ26は最上位に位置し、パンチ台21とシート押え35との間にはすき間Gが形成される。
【0021】
また、偏心軸63が上死点から下死点に向かうと(下降行程)、アーム55、パンチ継手50、パンチホルダ26が下降し、先ず、シート押え35がパンチ台21に当接し、ついで、偏心軸63が下死点に達すると、シート押え35の長穴36に嵌入されたパンチ41の下部がパンチ台21の開口部22内に侵入する。
そして、パンチ41がパンチ台21の開口部26に侵入したとき、あるいはそれより若干前から、圧縮空気圧源から送られた圧縮空気が、空気穴30を経て各ノズル穴43から噴出する。
【0022】
いま、ポケット15に錠剤等が充填され、アルミフィルム7が貼着されて連続したPTPシート14が、矢印a方向(図3では紙面に垂直方向)からパンチ台21上に送り込まれると、パンチ41の直下で停止する。一方、モータ60はPTPシート14の送りと同期して駆動されて偏心軸63が下降行程に移り、パンチホルダ26を下降させる。
【0023】
そして、先ず、シート押え35によりPTPシート14の周囲を押え、ついで、パンチ41が下降してPTPシート14を所定の形状(図2の切抜き線17参照)に打抜く。このとき、PTPシート14のポケット15は、パンチ41の凹部42内に位置するので損傷することはない。PTPシート14の打抜きと同期してパンチ41に設けたノズル穴43から圧縮空気が噴射され、打抜かれたPTPシート14aをそのままの姿勢で、パンチ台21の開口部22から矢印b方向に移動する搬送ライン19上に強制的に落下させる。
【0024】
PTPシート14の打抜きが終わると偏心軸63は上昇行程に移り、パンチホルダ26、パンチ41、シート押え35が上昇し、パンチ台21とシート押え35との間にすき間Gが形成され、パンチ41の直下に再びPTPシート14が送り込まれて打抜かれる。以後、この動作が繰り返される。
【0025】
このように、本発明に係るシートの打抜き装置は、パンチ41で打抜かれた個々のPTPシート14aを、パンチ41に設けたノズル穴43から噴射した圧縮空気により、打抜かれた姿勢のままで強制的に搬送ライン19上に落下させるようにしたものである。なお、打抜かれたPTPシート14aが姿勢を変えることなく落下させるためには、ノズル穴43からの圧縮空気をPTPシート14aの面上にバランスよく吹付けることが必要で、このためには、パンチ41の中心部に1個又はさらに前後若しくは左右の対称位置に複数個設けることが望ましい。
【0026】
次に、上記のようなシートの打抜き装置20を備えた錠剤等の包装装置の作用について、図1により説明する。
紙管1から繰り出されたフィルム2は、加熱ロール4に送り込まれて加熱され、成型ドラム3により所定の位置に複数のポケットが形成される。
【0027】
ポケットが設けられたフィルム2は、アイドラ5を経てガイドプレート11上に搬送され、ホッパー12の出口13からフィルム2の各ポケットに錠剤等が落下し、充填される。なお、ホッパー12とフィルム2との間には、所定数の錠剤等を整列させて順次ポケットに充填する機構が設けられているが、説明を省略する。
【0028】
一方、ストックロール6から繰出されたアルミフィルム7は、アイドラ8の位置で、ガイドプレート11上を搬送されたフィルム2のポケットの錠剤等が露出する面と重ね合わされ、シールドラム9とシールロール10との間で熱接着されて連続したPTPシート14となる。
この連続したPTPシート14は、スリッタ18によりミシン目が入れられ、ついで打抜き装置20により前述のように個々のPTPシート14aに打抜かれて搬送ライン19上にそのままの姿勢で落下し、搬送される。そして、検査工程で検査されて不良品は自動的に排出され、良品は所定数積重ねられて結束され、必要に応じて箱に入れられて出荷される。なお、PTPシート14が打抜き装置20で打抜かれた後の工程は上記の限定するものではなく、他の工程であってもよい。
【0029】
上記のように構成した本発明によれば、打抜き装置20で打抜かれたPTPシート14aは、パンチ41に設けたノズル穴43から吹出した圧縮空気により、そのままの姿勢で移動する搬送ライン19上に整然と落下するので、以後の工程において従来のように姿勢を直す必要がなく、このため、生産性を向上することができる。
【0030】
上記の説明では、図示の錠剤等の包装装置に本発明を実施した場合を示したが、他の構造の錠剤等の包装装置にも本発明を実施することができる。
また、上記の説明では、一列のPTPシートの包装装置に本発明を実施した場合を示したが、シートの幅方向に複数列設けたPTPシートにも本発明に係る打抜き装置を実施することができる。このような場合は、例えば、パンチ台、パンチホルダ、シート押え、パンチ等を図3の紙面の垂直方向(幅方向)に長く形成し、あるいは、PTPシートの列に対応してそれぞれシート押え、パンチ等を設けるなど、適宜変更すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係る錠剤等の包装装置の説明図である。
【図2】連続したPTPシートの説明図である。
【図3】図1のシートの打抜き装置の縦断面図である。
【図4】図3の左側面図である。
【図5】一部を省略した図1の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 紙管、2 フィルム、3 成型ドラム、4 加熱ロール、6 ストックロール、7 アルミフィルム、9 シールドラム、10 シールロール、12 ホッパー、14 PTPシート、14a 打抜かれたPTPシート、19 搬送ライン、20 打抜き装置、21 パンチ台、22 開口部、25a,25b 固定軸、26 パンチホルダ、30 空気穴、35 シート押え、38 シート押えガイドピン、41 パンチ、43a〜43c ノズル穴、45 打抜き固定ホルダ、50 パンチ継手、55 アーム、60 モータ、61 出力軸、63 偏心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケットに錠剤等が充填された連続するシートを個々のシートに打抜く装置であって、
前記連続したシートを打抜くパンチから圧縮空気を噴射させて、打抜いた個々のシートを搬送ライン上に落下させるようにしたことを特徴とする錠剤等の包装装置におけるシートの打抜き装置。
【請求項2】
ポケットに錠剤等が充填された連続するシートを個々のシートに打抜く装置であって、
モータの出力軸に設けられた偏心軸と、該偏心軸に連結されて上下に移動するパンチホルダと、該パンチホルダに該パンチホルダとすき間を隔てて上下に移動可能に設けられたシート押えと、該シート押えに設けた穴に上下に移動可能に嵌入されて前記パンチホルダに固定されたパンチと、該パンチに対応して開口部が設けられ前記シート押えの下方に配置されて前記連続するシートをガイドするパンチ台を有し、
前記パンチに、前記パンチホルダに設けられ空気圧源に接続された空気穴と連通するノズル穴を設けたことを特徴とする錠剤等の包装装置におけるシートの打抜き装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2のシートの打抜き装置を備えたことを特徴とする錠剤等の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−276812(P2007−276812A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103763(P2006−103763)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000141370)株式会社岩黒製作所 (8)
【Fターム(参考)】