説明

録画再生システム

【課題】簡単なリモコン操作で一時録画およびさかのぼり再生を行うことができる録画再生システムを提供する。
【解決手段】録画装置10とTV30とは、HDMIケーブル50を介して接続され、TV30のマイコン40は、リモコン41から受光部39を介して入力される指示信号に基づき、CECコマンドを用いて録画装置10に一時録画やさかのぼり再生の動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送される番組を録画再生する録画再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスクなどのランダムアクセス可能な記録媒体を用いた録画装置には、現在放送中の番組を所定時間一時録画しながら、この録画した番組を再生することにより、その番組の視聴(再生)時点を所定時間内で設定される任意の時間分さかのぼり、実際の放送時点とは、この任意の時間分だけ時間差をもって再生する所謂さかのぼり再生機能を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。なお、「さかのぼり再生」は、便宜上使用する名称であり、「時間差再生」等、別の名称で呼ばれることもある。この機能により、ユーザは、番組の視聴中に所用により見逃したシーンをさかのぼり再生することで視聴することができる。
【0003】
図3は、テレビジョン受信装置と上記のようなさかのぼり再生機能を有する録画装置とを接続した録画再生システムを示す概略図である。図3に示す録画再生システムにおいて、ユーザが視聴中の番組を一時録画するためには、以下のような操作が必要であった。なお、図3における録画装置200は、テレビジョン受信装置(以下、TVと略す)100と同様の番組受信機能を有するものとする。
【0004】
まず、ユーザは、TV100を操作するためのリモコン101を操作してTV100の電源をオンするとともに、録画装置200を操作するためのリモコン201を操作して録画装置200の電源をオンする。
【0005】
次いで、ユーザは、リモコン101を操作して、TV100を、録画装置200のモニタとなるように、入力を切り換える。
【0006】
次いで、ユーザは、リモコン201を操作して、録画装置200で受信する放送波のチャンネルを、視聴したい番組のチャンネルに合わせ、一時録画を開始する。これにより、ユーザは、録画装置200が受信した放送中の番組をTV100で視聴しつつ、録画装置200にその放送中の番組を一時録画させることができる。
【0007】
そして、視聴中の番組をさかのぼり再生する際には、ユーザは、リモコン201を操作してさかのぼり再生を開始させ、終了したいときは、リモコン201を操作して、さかのぼり再生を停止する。
【特許文献1】特開2004−48718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来の録画再生システムで一時録画およびさかのぼり再生を行うには、TV100のリモコン101と、録画装置200のリモコン201とを用いた煩雑な操作が必要であった。
【0009】
ところで、ハードディスク内蔵のTVには、自動的に視聴中の番組を一時録画してさかのぼり再生を可能とする機能を有するものもある。このようなTVでは、TV用のリモコン操作のみで一時録画およびさかのぼり再生を実行することができる。
【0010】
しかし、すでにTVを所有していて買い替えの必要のないユーザや、ハードディスク内蔵のTVは故障し易そうだという不安を感じるユーザが、一時録画およびさかのぼり再生を実現するには、TVに録画装置を接続し、上述の煩雑な操作を行う必要があった。
【0011】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、TVと録画装置とが別の装置であっても、1つのリモコンを用いた簡単なリモコン操作で一時録画およびさかのぼり再生を行うことができる録画再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の録画再生システムは、テレビジョン受信装置と、このテレビジョン受信装置と接続された録画装置とを備える録画再生システムであって、前記テレビジョン受信装置は、本録画再生システムを操作するための指示信号を受け付ける指示信号入力手段と、放送される番組を受信して、この番組に含まれる映像信号を、第1の映像信号として抽出する第1の受信手段と、前記録画装置から送信される第2の映像信号を受信する第2の受信手段と、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とのいずれか一方を出力する出力手段と、前記指示信号入力手段が、電源をオンするための前記指示信号を受け付けた場合、本装置を、前記指示信号のみを受け付けるスタンバイ状態から、テレビジョン受信装置としての動作を実行する電源オン状態に切り換えるとともに、前記録画装置に、前記第1の受信手段で受信中の番組と同じ番組を受信させ、この番組に含まれる映像信号を前記第2の映像信号として抽出させて、この抽出した第2の映像信号を一時録画させるための一時録画要求信号を生成し、この生成した一時録画要求信号を、前記録画装置に送信するとともに、前記出力手段の出力を前記第1の映像信号とする一時録画要求手段と、前記指示信号入力手段が、早戻し再生実行のための前記指示信号を受け付けた場合、前記録画装置に一時録画されている前記第2の映像信号を早戻し再生させ、この早戻し再生によって得られる前記第2の映像信号を本装置の送信させるための早戻し再生要求信号を生成し、この生成した早戻し再生要求信号を、前記録画装置に送信するとともに、前記出力手段の出力を、前記第2の受信手段で受信する前記第2の映像信号とする早戻し再生要求手段と、前記指示信号入力手段が、通常再生実行のための前記指示信号を受け付けた場合、前記録画装置に一時録画されている前記第2の映像信号を通常再生させ、この通常再生によって得られる前記第2の映像信号を本装置に送信させるための通常再生要求信号を、前記録画装置に送信するとともに、前記出力手段の出力を、前記第2の受信手段で受信する前記第2の映像信号とする通常再生要求手段とを備える装置であり、前記録画装置は、放送される番組を受信して、この番組に含まれる映像信号を、前記第2の映像信号として抽出する第3の受信手段と、前記第2の映像信号の記録および再生を実行する手段であり、前記第2の映像信号の記録を実行しながら、既に記録済みの前記第2の映像信号を再生することが可能な記録再生手段と、前記記録再生手段で再生された前記第2の映像信号を、前記テレビジョン受信装置に送信する送信手段と、前記一時録画要求信号を、前記テレビジョン受信装置から受信した場合、前記第3の受信手段を用いて、前記テレビジョン受信装置の前記第1の受信手段で受信中の番組と同じ番組を受信させ、この番組に含まれる映像信号を抽出させ、この抽出させた映像信号を前記第2の映像信号として、前記記録再生手段を用いて一時録画させる一時録画制御手段と、前記一時録画中に、前記早戻し再生要求信号を、前記テレビジョン受信装置から受信した場合、前記記録再生手段を用いて、現在実行中の一時録画を継続させながら、既に一時録画された前記第2の映像信号を早戻し再生させ、この早戻し再生によって得られる前記第2の映像信号を、前記送信手段を用いて、前記テレビジョン受信装置へ送信する早戻し再生制御手段と、前記早戻し再生中に、前記通常再生要求信号を、前記テレビジョン受信装置から受信した場合、前記記録再生手段を用いて、現在実行中の早戻し再生を停止させるとともに、この早戻し再生を停止した時点以降に記録されている第2の映像信号を通常再生させ、この通常再生によって得られる第2の映像信号を、前記送信手段を用いて、前記テレビジョン受信装置へ送信する通常再生制御手段とを備える装置であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の録画再生システムに係る前記テレビジョン受信装置はさらに、前記指示信号入力手段が、前記早戻し再生実行のための指示信号または前記通常再生実行のための指示信号を受け付けた後に、録画実行のための前記指示信号を受け付けた場合、前記録画装置が、早戻し再生または通常再生している前記第2の映像信号を、前記録画実行のための指示信号を受け付けた時点以降から録画保存させるためのさかのぼり録画要求信号を生成し、この生成したさかのぼり録画要求信号を、前記録画装置に送信するさかのぼり録画要求手段を備える装置であり、前記録画装置はさらに、さかのぼり録画要求信号を、前記テレビジョン受信装置から受信した場合、前記記録再生手段を用いて、現在早戻し再生または通常再生している前記第2の映像信号を、前記さかのぼり録画要求信号を受け付けた時点以降から録画保存させるさかのぼり録画制御手段を備える装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の録画再生システムによれば、TVと録画装置とが別の装置であっても、1つのリモコンを用いた簡単なリモコン操作で一時録画およびさかのぼり再生を行うことができる。
【0015】
さらに、放送中の番組を一時録画しているときに、この一時録画した番組の所望の位置以降を一時録画から通常の録画に切り換えて保存することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の録画再生システムを実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る録画再生システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る録画再生システムは、録画装置10とTV30とを備えて構成されている。録画装置10とTV30とは、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に準拠しており、HDMIケーブル50を介して接続されている。
【0018】
図1に示すように、録画装置10は、チューナ11と、A/D変換部12と、エンコーダ13と、バッファ14と、データ制御部15と、記録媒体16と、デコーダ17と、HDMI送信部18と、コネクタ部19と、受光部20と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)21とを備える。
【0019】
チューナ11は、図示しないアンテナを介して放送波から所望の番組を含むチャンネルの放送信号を受信し、この放送信号から抽出される映像信号および音声信号を出力する。
【0020】
A/D変換部12は、チューナ11がアナログ放送用であった場合、チューナ11から出力される映像信号と音声信号とをデジタル信号に変換する。なお、チューナ11がデジタル放送用である場合には、A/D変換部12は必要ない。
【0021】
エンコーダ13は、A/D変換部12またはデジタル放送用のチューナ11から出力されるデジタルの映像信号と音声信号とを圧縮してデジタルストリームに変換する。
【0022】
バッファ14は、エンコーダ13から出力されるデジタルストリームを一時的に蓄積した後、データ制御部15に出力する。
【0023】
データ制御部15は、バッファ14から出力されるデジタルストリームを記録媒体16に記録する処理を行う。また、データ制御部15は、再生時には、記録媒体16から所望の番組に対応するデジタルストリームを読み出し、これをデコーダ17に出力する。
【0024】
記録媒体16は、ハードディスク等からなり、データ制御部15から供給されるデジタルストリームを記録する。
【0025】
デコーダ17は、データ制御部15から供給されるデジタルストリームを伸張し、非圧縮のデジタル映像信号およびデジタル音声信号をHDMI送信部18に出力する。
【0026】
HDMI送信部18は、デコーダ17から出力されるデジタル映像信号およびデジタル音声信号を、HDMI規格の信号に変換して出力する。HDMI送信部18は、HDMIケーブル50の映像音声ライン51を介して、TV30のHDMI受信部32と接続されている。
【0027】
コネクタ部19は、録画装置10とHDMIケーブル50とを物理的に接合するためのものである。
【0028】
受光部20は、録画装置10を操作するためのリモコン22より出力される例えば赤外線を受光し、この赤外線による伝達信号を操作信号に適宜変換してマイコン21へ出力する。
【0029】
マイコン21は、録画装置10に設けられた各部を統括的に制御する。また、マイコン21は、HDMIケーブル50のCEC(Consumer Electronics Control)ライン52を介して、TV30のマイコン40と接続され、このマイコン40とHDMIのオプション規格であるCECに準拠したコマンドの送受信を行う。
【0030】
TV30は、チューナ31と、HDMI受信部32と、切り換え部33と、映像処理部34と、音声処理部35と、映像表示部36と、スピーカ37と、コネクタ部38と、受光部39と、マイコン40とを備える。
【0031】
チューナ31は、図示しないアンテナを介して放送波から所望の番組を含むチャンネルの放送信号を受信し、この放送信号から得られる映像信号および音声信号を出力する。
【0032】
HDMI受信部32は、HDMIケーブル50の映像音声ライン51を介して、録画装置10のHDMI送信部18と接続され、HDMI送信部18から送信されたHDMI規格の映像信号および音声信号を受信し、受信したHDMI規格の映像信号および音声信号から、HDMI規格の信号に変換前のデジタル映像信号およびデジタル音声信号を生成する。
【0033】
切り換え部33は、チューナ31からの入力とHDMI受信部32からの入力とを切り換え、チューナ31およびHDMI受信部32のいずれか一方からのデジタル映像信号およびデジタル音声信号を出力する。なお、このチューナ31は、デジタル放送用のものを想定している。アナログ放送用の場合は、A/D変換部が必要となる。
【0034】
映像処理部34は、切り換え部33から出力されるデジタル映像信号に必要な処理を施し、アナログ信号に変換して映像表示部36に出力する。音声処理部35は、切り換え部33から出力されるデジタル音声信号に必要な処理を施し、アナログ信号に変換してスピーカ37に出力する。
【0035】
映像表示部36は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等からなり、映像処理部34から供給される映像信号を映像に変換して表示する。スピーカ37は、音声処理部35から供給される音声信号を音声に変換して出力する。コネクタ部38は、TV30とHDMIケーブル50とを物理的に接合するためのものである。
【0036】
受光部39は、TV30を操作するためのリモコン41より出力される例えば赤外線を受光し、この赤外線による伝達信号を操作信号に適宜変換してマイコン40へ出力する。
【0037】
マイコン40は、TV30に設けられた各部を統括的に制御する。また、マイコン40は、HDMIケーブル50のCECライン52を介して、録画装置10のマイコン21と接続され、マイコン21とCECコマンドの送受信を行う。
【0038】
HDMIケーブル50は、映像音声ライン51と、CECライン52とに分割されている。映像音声ライン51は、録画装置10のHDMI送信部18と、TV30のHDMI受信部32とを接続し、映像信号および音声信号を伝送する。CECライン52は、録画装置10のマイコン21と、TV30のマイコン40とを接続し、CECコマンドを伝送する。
【0039】
CECコマンドには、電源オン、オフや入力切り換え、再生開始、再生停止、早送り再生、早戻し再生などを制御する汎用コマンドと、ベンダーが独自に定義できるオプションのベンダーユニークコマンドとがある。本実施の形態では、ベンダーユニークコマンドとして、図2に示すように、一時録画の開始を要求するコマンドと、一時録画の停止を要求するコマンドと、受信チャンネルの変更を要求するコマンドと、一時録画した番組の保存を要求するコマンドと、さかのぼり録画の開始を要求するコマンドと、さかのぼり録画の停止を要求するコマンドとを定義している。TV30のマイコン40は、これらのCECコマンドを用いて録画装置10に各種の動作を行わせることができる。
【0040】
次に、本実施の形態に係る録画再生システムの動作について説明する。
【0041】
まず、TV30で受信中の番組と同じ番組を録画装置10で一時録画する際の動作について説明する。
【0042】
ユーザ操作によりリモコン41から受光部39を介してTV30の電源をオンにする指示信号が入力されると、マイコン40は、TV30の電源をオンにするとともに、所望のチャンネルの放送信号をチューナ31に受信させる。そして、マイコン40は、チューナ31で受信しているチャンネルの放送信号から得られるデジタル映像信号、デジタル音声信号を切り換え部33を介して、それぞれ映像処理部34、音声処理部35に供給させる。
【0043】
そして、映像処理部34は、供給された映像信号に必要な処理を施した後、アナログ信号に変換して、映像表示部36に供給して映像を表示させる。音声処理部35は、供給された音声信号に必要な処理を施した後、アナログ信号に変換して、スピーカ37に供給して音声を出力させる。
【0044】
また、TV30のマイコン40は、電源をオンにする指示信号が入力されると、ベンダーユニークコマンドである一時録画の開始を要求するコマンドを、HDMIケーブル50のCECライン52を介して録画装置10のマイコン21に送信する。ここで、一時録画の開始を要求するコマンドには、TV30のチューナ31で現在受信中のチャンネルを示す情報が含まれている。
【0045】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から一時録画の開始を要求するコマンドを受信すると、録画装置10の電源がオフの状態であれば電源をオンとした後、TV30のチューナ31で現在受信中のチャンネルと同じチャンネルをチューナ11に受信させる。なお、録画装置10の電源がオフの状態とは、主要部の電源はオフとなっているが、リモコン等からの操作入力は受け付ける、所謂スタンバイの状態である。
【0046】
A/D変換部12は、チューナ11から出力される映像信号と音声信号とをデジタル信号に変換してエンコーダ13に出力する。エンコーダ13は、A/D変換部12から出力されるデジタルの映像信号と音声信号とを圧縮してデジタルストリームに変換しバッファ14に出力する。バッファ14は、エンコーダ13から出力されるデジタルストリームを一時的に蓄積した後、データ制御部15に出力する。そして、データ制御部15は、バッファ14から出力されるデジタルストリームを記録媒体16に記録する。
【0047】
ここで、ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、受信中のチャンネルとは別のチャンネルに変更する指示信号が入力されると、TV30のマイコン40は、指示されたチャンネルをチューナ31に受信させるとともに、ベンダーユニークコマンドである受信チャンネルの変更を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。
【0048】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から受信チャンネルの変更を要求するコマンドを受信すると、このコマンドにより指示されたチャンネルの放送信号をチューナ31に受信させる。これにより変更後のチャンネルに含まれる番組が一時録画される。
【0049】
上記のような手順により、番組をTV30で表示しながら録画装置10で一時録画している状態となる。
【0050】
ここで、もう一度見たいシーンや見逃したシーンが生じた場合、ユーザは、視聴している番組のさかのぼり再生を行うことにより、目的のシーンを視聴することができる。
【0051】
さかのぼり再生を行う際のユーザの操作について説明する。まず、ユーザは、目的のシーンを選択するために、リモコン41の早戻し再生ボタン(図示せず)を押下して、一時録画した番組の早戻し再生の状態にする。そして、目的のシーンに差し掛かったら、ユーザは、リモコン41の再生ボタン(図示せず)を押下し、その時点からの通常の再生を行う。これにより、ユーザは、さかのぼり再生を実現し、目的のシーンを視聴することができる。なお、以降の説明で、単に「再生」とのみ記述がある場合は、「通常の再生」を示すこととする。
【0052】
このようなユーザの操作に応じてさかのぼり再生を実現する際の録画再生システムの動作について説明する。
【0053】
上述の手順により番組をTV30で表示しながら録画装置10で一時録画している状態で、ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、一時録画中の番組の早戻し再生を行う指示信号が入力されると、TV30のマイコン40は、汎用コマンドである早戻し再生を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。なお、TV30のマイコン40には、早戻し再生、早送り再生、通常の再生、録画、停止等を指示するための操作ボタン(いずれも図示せず)が設けられているものとする。
【0054】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から早戻し再生を要求するコマンドを受信すると、一時録画した番組を、記録した方向とは逆方向に早戻し再生し、この早戻し再生によって記録媒体16から読み出したデジタルストリームをデコーダ17に供給するようにデータ制御部15を制御する。
【0055】
デコーダ17は、データ制御部15から供給されるデジタルストリームを伸張し、非圧縮のデジタル映像信号およびデジタル音声信号をHDMI送信部18に出力する。そして、HDMI送信部18は、デコーダ17から出力されるデジタル映像信号およびデジタル音声信号を、HDMI規格の信号に変換し、HDMIケーブル50の映像音声ライン51を介して、TV30のHDMI受信部32に送信する。
【0056】
TV30のHDMI受信部32は、録画装置10のHDMI送信部18から送信されたHDMI規格の映像信号および音声信号を受信すると、この受信したHDMI規格の映像信号および音声信号から、HDMI規格の信号に変換前のデジタル映像信号およびデジタル音声信号を生成する。
【0057】
そして、マイコン40は、チューナ31からHDMI受信部32に入力を切り換えるように切り換え部33を制御し、HDMI受信部32からのデジタル映像信号、デジタル音声信号を、それぞれ映像処理部34、音声処理部35に供給させる。
【0058】
その後、映像処理部34は、供給された映像信号に必要な処理を施した後、アナログ信号に変換して、映像表示部36に供給して映像を表示させる。音声処理部35は、供給された音声信号に必要な処理を施した後、アナログ信号に変換して、スピーカ37に供給して音声を出力させる。このようにして、一時録画した番組を早戻し再生の状態とする。
【0059】
この一時録画番組の早戻し再生中に、ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、早戻し再生中の一時録画番組の通常の(順方向の)再生を行う指示信号が入力されると、TV30のマイコン40は、汎用コマンドである再生を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。
【0060】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から再生を要求するコマンドを受信すると、記録媒体16に一時録画した番組を、再生要求が入力された時点における再生位置から再生し、この再生によって読み出したデジタルストリームをデコーダ17に供給するようにデータ制御部15を制御する。
【0061】
デコーダ17は、データ制御部15から供給されるデジタルストリームを伸張して非圧縮のデジタル映像信号およびデジタル音声信号をHDMI送信部18に出力し、HDMI送信部18は、デコーダ17から出力されるデジタル映像信号およびデジタル音声信号をHDMI規格の信号に変換して、TV30のHDMI受信部32に送信する。そして、TV30において上記と同様にして映像および音声を出力する。
【0062】
以上の手順により、一時録画番組のさかのぼり再生(時間差再生)を実現する。なお、さかのぼり再生中も番組の一時録画は継続している。
【0063】
次に、上記のようにして実現したさかのぼり再生を停止する際の動作について説明する。
【0064】
この一時録画番組のさかのぼり再生中に、ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、再生を停止する指示信号が入力されると、TV30のマイコン40は、汎用コマンドである再生停止を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。
【0065】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から再生停止を要求するコマンドを受信すると、データ制御部15に指示を出し、記録媒体16からのデータストリームの読み出しを停止させて、さかのぼり再生を停止させる。
【0066】
また、TV30のマイコン40は、再生を停止する指示信号が入力されると、HDMI受信部32からチューナ31に入力を切り換えるように切り換え部33を制御し、チューナ31からのデジタル映像信号、デジタル音声信号を、それぞれ映像処理部34、音声処理部35に供給させる。これにより、TV30では、現在放送中の番組の映像および音声が出力され、番組をTV30で表示しながら録画装置10で一時録画している状態に戻る。
【0067】
次に、本録画再生システムの電源をオフする際の動作について説明する。
【0068】
ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、TV30の電源をオフにする指示信号が入力されると、TV30のマイコン40は、ベンダーユニークコマンドである一時録画の停止を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。
【0069】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から一時録画の停止を要求するコマンドを受信すると、一時録画を終了するとともに一時録画番組に対応するデジタルストリームを記録媒体16から消去するようにデータ制御部15を制御し、録画装置10の電源をオフとする。
【0070】
なお、この電源オフの直前までに一時録画していた番組を、恒久的に保存することも可能である。以下にその際の動作について説明する。
【0071】
上記した電源オフの動作の前に、ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、一時録画した番組の保存を指示する信号が入力された場合、TV30のマイコン40は、ベンダーユニークコマンドである一時録画した番組の保存を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から一時録画した番組の保存を要求するコマンドを受信した場合、一時録画番組に対応するデジタルストリームを電源オフの際にも消去せず、記録媒体16に保存するようにデータ制御部15を制御する。
【0072】
次に、さかのぼり録画を行う際の動作について説明する。ここで、さかのぼり録画は、現在放送中の番組を一時録画しているときに、この一時録画した番組の所望の位置以降を一時録画から通常の録画に切り換えて保存する機能である。
【0073】
さかのぼり録画を行う際のユーザの操作について説明する。まず、ユーザは、リモコン41の早戻し再生ボタンを押下して、一時録画した番組の早戻し再生の状態にする。次いで、録画保存したいシーンの開始位置で、リモコン41の再生一時停止ボタン(図示せず)を押下して早戻し再生を停止する。そして、リモコン41の録画ボタン(図示せず)を押下することで、一時停止した時点における再生位置以降の番組を録画保存することができる。
【0074】
このようなユーザの操作に応じてさかのぼり録画を実現する際の録画再生システムの動作について説明する。
【0075】
まず、上述した一時録画およびさかのぼり再生する際と同様の動作により、TV30の電源をオンにして録画装置10で一時録画を開始し、一時録画番組を早戻し再生する。
【0076】
一時録画番組の早戻し再生中に、ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、早戻し再生中の一時録画番組の再生一時停止を指示する信号が入力されると、TV30のマイコン40は、汎用コマンドである一時停止を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。
【0077】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から一時停止を要求するコマンドを受信すると、データ制御部15に記録媒体16からのデータストリームの読み出しを停止させて、早戻し再生を一時停止させる。
【0078】
次いで、ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、録画の開始を指示する信号が入力されると、TV30のマイコン40は、ベンダーユニークコマンドであるさかのぼり録画の開始を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。
【0079】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40からさかのぼり録画の開始を要求するコマンドを受信すると、記録媒体16に記録された一時録画番組のデジタルストリームのうち、一時停止した時点における再生位置以降のデジタルストリームを保存するとともに、録画装置10で受信中の番組を、現在放送中の時点から記録媒体16に録画保存するようにデータ制御部15を制御する。
【0080】
また、TV30のマイコン40は、録画の開始を指示する信号が入力されると、汎用コマンドである早戻し再生停止を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から早戻し再生停止を要求するコマンドを受信すると、データ制御部15を制御して早戻し再生を停止させる。
【0081】
また、TV30のマイコン40は、録画の開始を指示する信号が入力されると、映像信号、音声信号の入力をHDMI受信部32からチューナ31に入力を切り換えるように切り換え部33を制御し、チューナ31からのデジタル映像信号、デジタル音声信号を、それぞれ映像処理部34、音声処理部35に供給させる。これにより、TV30では、現在放送中の番組の映像および音声が出力される。
【0082】
なお、以上の説明では、さかのぼり録画を実行する際に、早戻し再生や通常の再生を停止してからさかのぼり録画を実行する例を示したが、早戻し再生や通常の再生を実行中にさかのぼり録画を実行してもよい。この場合は、さかのぼり録画を実行した時点における再生位置以降のデジタルストリームを保存することになる。
【0083】
次に、さかのぼり録画を停止する際の動作について説明する。
【0084】
ユーザがTV30のリモコン41を操作することにより、録画の停止を指示する信号が入力されると、TV30のマイコン40は、ベンダーユニークコマンドであるさかのぼり録画の停止を要求するコマンドを録画装置10のマイコン21に送信する。
【0085】
録画装置10のマイコン21は、TV30のマイコン40から録画の停止を要求するコマンドを受信すると、データ制御部15を制御して受信中の番組の録画保存を停止させ、一時録画を開始させる。これにより、番組をTV30で表示しながら録画装置10で一時録画している状態に戻る。
【0086】
上記説明のように本実施の形態によれば、HDMI規格に準拠した録画装置10とTV30とをHDMIケーブル50を介して接続し、CECコマンドを用いてTV30から録画装置10を制御するので、録画装置10を意識することなく、TV30用の1つのリモコン41を用いた簡単な操作で、一時録画、さかのぼり再生、およびさかのぼり録画を行うことができる。
【0087】
なお、上記実施の形態とは逆に、録画装置10のリモコン22を操作し、CECコマンドを用いて録画装置10からTV30を制御するような構成も実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態に係る録画再生システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態で定義するベンダーユニークコマンドを示す表図である。
【図3】従来の録画再生システムを示す概略図である。
【符号の説明】
【0089】
10 録画装置
11 チューナ
12 A/D変換部
13 エンコーダ
14 バッファ
15 データ制御部
16 記録媒体
17 デコーダ
18 HDMI送信部
19 コネクタ部
20 受光部
21 マイクロコンピュータ(マイコン)
30 テレビジョン受信装置(TV)
31 チューナ
32 HDMI受信部
33 切り換え部
34 映像処理部
35 音声処理部
36 映像表示部
37 スピーカ
38 コネクタ
39 受光部
40 マイクロコンピュータ(マイコン)
50 HDMIケーブル
51 映像音声ライン
52 CECライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン受信装置と、このテレビジョン受信装置と接続された録画装置とを備える録画再生システムであって、
前記テレビジョン受信装置は、
本録画再生システムを操作するための指示信号を受け付ける指示信号入力手段と、
放送される番組を受信して、この番組に含まれる映像信号を、第1の映像信号として抽出する第1の受信手段と、
前記録画装置から送信される第2の映像信号を受信する第2の受信手段と、
前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とのいずれか一方を出力する出力手段と、
前記指示信号入力手段が、電源をオンするための前記指示信号を受け付けた場合、
本装置を、前記指示信号のみを受け付けるスタンバイ状態から、テレビジョン受信装置としての動作を実行する電源オン状態に切り換えるとともに、
前記録画装置に、前記第1の受信手段で受信中の番組と同じ番組を受信させ、この番組に含まれる映像信号を前記第2の映像信号として抽出させて、この抽出した第2の映像信号を一時録画させるための一時録画要求信号を生成し、この生成した一時録画要求信号を、前記録画装置に送信するとともに、
前記出力手段の出力を前記第1の映像信号とする一時録画要求手段と、
前記指示信号入力手段が、早戻し再生実行のための前記指示信号を受け付けた場合、
前記録画装置に一時録画されている前記第2の映像信号を早戻し再生させ、この早戻し再生によって得られる前記第2の映像信号を本装置の送信させるための早戻し再生要求信号を生成し、この生成した早戻し再生要求信号を、前記録画装置に送信するとともに、
前記出力手段の出力を、前記第2の受信手段で受信する前記第2の映像信号とする早戻し再生要求手段と、
前記指示信号入力手段が、通常再生実行のための前記指示信号を受け付けた場合、
前記録画装置に一時録画されている前記第2の映像信号を通常再生させ、この通常再生によって得られる前記第2の映像信号を本装置に送信させるための通常再生要求信号を、前記録画装置に送信するとともに、
前記出力手段の出力を、前記第2の受信手段で受信する前記第2の映像信号とする通常再生要求手段と、
を備える装置であり、
前記録画装置は、
放送される番組を受信して、この番組に含まれる映像信号を、前記第2の映像信号として抽出する第3の受信手段と、
前記第2の映像信号の記録および再生を実行する手段であり、前記第2の映像信号の記録を実行しながら、既に記録済みの前記第2の映像信号を再生することが可能な記録再生手段と、
前記記録再生手段で再生された前記第2の映像信号を、前記テレビジョン受信装置に送信する送信手段と、
前記一時録画要求信号を、前記テレビジョン受信装置から受信した場合、
前記第3の受信手段を用いて、前記テレビジョン受信装置の前記第1の受信手段で受信中の番組と同じ番組を受信させ、この番組に含まれる映像信号を抽出させ、この抽出させた映像信号を前記第2の映像信号として、前記記録再生手段を用いて一時録画させる一時録画制御手段と、
前記一時録画中に、前記早戻し再生要求信号を、前記テレビジョン受信装置から受信した場合、
前記記録再生手段を用いて、現在実行中の一時録画を継続させながら、既に一時録画された前記第2の映像信号を早戻し再生させ、この早戻し再生によって得られる前記第2の映像信号を、前記送信手段を用いて、前記テレビジョン受信装置へ送信する早戻し再生制御手段と、
前記早戻し再生中に、前記通常再生要求信号を、前記テレビジョン受信装置から受信した場合、
前記記録再生手段を用いて、現在実行中の早戻し再生を停止させるとともに、この早戻し再生を停止した時点以降に記録されている第2の映像信号を通常再生させ、この通常再生によって得られる第2の映像信号を、前記送信手段を用いて、前記テレビジョン受信装置へ送信する通常再生制御手段と、
を備える装置である、
ことを特徴とする録画再生システム。
【請求項2】
前記テレビジョン受信装置はさらに、
前記指示信号入力手段が、前記早戻し再生実行のための指示信号または前記通常再生実行のための指示信号を受け付けた後に、録画実行のための前記指示信号を受け付けた場合、
前記録画装置が、早戻し再生または通常再生している前記第2の映像信号を、前記録画実行のための指示信号を受け付けた時点以降から録画保存させるためのさかのぼり録画要求信号を生成し、この生成したさかのぼり録画要求信号を、前記録画装置に送信するさかのぼり録画要求手段を備える装置であり、
前記録画装置はさらに、
さかのぼり録画要求信号を、前記テレビジョン受信装置から受信した場合、前記記録再生手段を用いて、現在早戻し再生または通常再生している前記第2の映像信号を、前記さかのぼり録画要求信号を受け付けた時点以降から録画保存させるさかのぼり録画制御手段を備える装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の録画再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−188921(P2009−188921A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29313(P2008−29313)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】