説明

録音装置、方法及びプログラム

【課題】再生時に所望の録音箇所を探し易い録音方式とした録音装置10を提供する。
【解決手段】録音開始に伴い、新規録音ファイルをオープンして、それにマイクロホン11a又は11bからのオーディオ信号のオーディオデータを格納する(S42,S44,S45)。オーディオ信号を出力している方のマイクロホンが入れ替わったか否かを監視し(S50)、入れ替わりがあれば、それまでオーディオデータを格納していた録音ファイルをクローズして、新規の録音ファイルをオープンし(S52→S53)、新規の録音ファイルへマイクロホン11a又は11bからのオーディオ信号のオーディオデータを格納する(S54〜S56)。結果、各発言者の各発言ごとに、録音ファイルが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマイクロホンを装備して録音ファイルを作成する録音装置、方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、録音後の再生に利便を発揮するように、録音時にインデックスを適切な録音位置に付与する音声記録再生装置を開示する(特許文献1の図2)。該音声記録再生装置では、各時点の発言者がどの方向にいるかをマイクロホンアレーの出力から検知し(特許文献1の図3のS4)、検知方向が閾値以上、変化した場合には、発言者が交代したと判断して、作成中の録音ファイルにおいてこの時の録音位置にインデックスを付けている(特許文献1の段落0031及び図3のS5Yes→S6)。
【特許文献1】特開2001−56700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の音声記録再生装置は、マイクロホンアレーの出力から発言者の方向を検知するために、複雑な処理が必要となり、処理装置の負荷が増大する。また、複数の発言者が接近して存在する場合には、マイクロホンアレーに対する方向差が少なかったり、あるいはほぼ同一になったりして、発言者の交代が検出困難になる。
【0004】
本発明の目的は、処理負荷を増大させることなく、複数のマイクロホンを用いて録音するファイルを適切な位置で区切ることができる録音装置、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、複数のマイクロホンが複数の発言者に割り当てられ、それらマイクロホンから供給されるオーディオ信号の有無に基づき録音ファイルに対する区切り処理を実施する。区切り処理には、例えば録音ファイルを新規なものへ変更したり、再生位置探索用インデックスを付与したりする処理が含まれる。
【0006】
本発明の録音装置は次のものを備えている。
複数のマイクロホン、
前記複数のマイクロホンの各々から供給されるオーディオ信号の有無を検出するマイクロホン検出手段、及び
前記マイクロホン検出手段による検出に基づいて、オーディオ信号の供給を行うマイクロホンの変更を判別することにより、前記オーディオ信号のオーディオデータを格納する録音ファイルの区切り処理を行う区切り処理手段。
【0007】
本発明の録音方法は次のステップを備えている。
複数のマイクロホンの各々から供給されるオーディオ信号の有無を検出するマイクロホン検出ステップ、及び
前記マイクロホン検出ステップにおける検出に基づいて、オーディオ信号の供給を行うマイクロホンの変更を判別することにより前記オーディオ信号のオーディオデータを格納する録音ファイルの区切り処理を行う区切り処理ステップ。
【0008】
本発明のプログラムは、本発明の前述の録音装置の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のマイクロホンを用いて録音するファイルを適切な位置で区切ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は録音装置10の構成図である。録音装置10は、2つのマイクロホン11a,11bと、録音装置本体12と、左右のスピーカ13a,13bとを備える。マイクロホン11a,11bは、録音装置本体12のそれぞれ別のマイクロホン端子へ接続されており、例えば講演時にはそれぞれ司会者と講演者に割り当てられて、使用される。マイクロホン11a,11bは、(a)スイッチ付きであって、使用者が使用時及び不使用時に手動でオン及びオフへ切り替えるものであってもよいし、(b)スイッチ無しで、それらの出力オーディオ信号を録音装置本体12へ常時、録音装置本体12へ供給するものであってもよい。
【0011】
図2は録音装置10のブロック回路図である。USBコネクタ20は、USBケーブルのミニB端子が着脱自在に装着されるようになっている。カードスロット21はSDカードを挿抜自在に装填される。内蔵メモリ22は、NAND型フラッシュメモリ又はハードディスク装置から成る。
【0012】
システムLSI25はCPU26及びエンコーダ・デコーダ27を備える。CPU26は、USBコネクタ20、カードスロット21及び内蔵メモリ22へ制御信号を送り、システムLSI25と他機(例:パソコン)、SDカード及び内蔵メモリ22との間でのデータ送受を制御する。エンコーダ・デコーダ27は、カードスロット21のSDカードや内蔵メモリ22から受取ったオーディオデータを該オーディオデータの格納用のオーディオファイルのフォーマットに基づきデコードしたり、カードスロット21のSDカードや内蔵メモリ22へ送るオーディオデータについてオーディオファイル用の所定のフォーマットに基づきエンコードしたりする。
【0013】
マイクロホンアンプ30及びアナログ/デジタル変換器31は、各マイクロホン11a,11bごとに用意されており、各マイクロホン11a,11bが生成したオーディオ信号は、対応のマイクロホンアンプ30において増幅されてから、対応のアナログ/デジタル変換器31においてデジタル信号へ変換され、さらにエンコーダ・デコーダ27へ供給される。
【0014】
デジタル/アナログ変換器37及びスピーカアンプ38は、チャンネルごとに設けられる。エンコーダ・デコーダ27は、オーディオファイルの音の再生時には、オーディオファイルのデータをデコードしたデジタルオーディオ信号をデジタル/アナログ変換器37へ供給する。デジタル/アナログ変換器37は、該デジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号へ変換し、該アナログオーディオ信号は、スピーカアンプ38において増幅されてから、スピーカ13a,13bへ送られ、スピーカ13a,13bにおいて音に変換されて、出力される。
【0015】
録音装置10は、ヘッドホン端子(図示せず)も装備しており、スピーカアンプ38はヘッドホン端子へも接続されている。ユーザは、再生音をスピーカ13a,13bの代わりにヘッドホンから聴くこともできる。また、スピーカ出力を有さないポータブルタイプの録音装置であってもよい。
【0016】
図3は録音方法40のフローチャートである。録音方法40を具体的に説明するために、マイクロホン11a,11bはそれぞれ司会者及び講演者に割り当てられた講演を想定する。
【0017】
S41では、オーディオ信号がマイクロホン11a,11bから録音装置本体12に到来しているか否かを判定し、判定が正になりしだい、S42へ進む。S42では、新規録音ファイルをオープンする。S42で新規オープンする録音ファイルは、該講演において最初の録音ファイルであり、該最初の録音ファイルのオープンに伴い、該講演の録音が開始される。なお、自動的な録音開始に代えて、操作者が手動で録音装置10の録音スイッチを押す録音開始としてもよい。
【0018】
S43では、マイクロホン11a,11bの内、どちらからオーディオ信号が入力されているのかを調べる。そして、オーディオ信号がマイクロホン11aからの入力であれば、S44へ進み、オーディオ信号がマイクロホン11bからの入力であれば、S45へ進む。S44では、マイクロホン11aを録音ソースにセットし、また、S45では、マイクロホン11bを録音ソースにセットする。録音ソースのセットとは、具体的には、録音ソースとしたマイクロホンへのケーブルが接続されているマイクロホン端子のオーディオ信号のみを録音処理部へ導いて、該オーディオ信号のオーディオデータを生成して、それを格納した録音ファイルを作成することである。S44又はS45の後、S50へ進む。
【0019】
S50では、オーディオ信号入力側のマイクロホンが変化したか否か、すなわち、司会者及び講演者間で発言者が交替したか否かを判定する。そして、判定が正であれば、S51へ進み、否であれば、S59へ進む。S51より先にS59について説明すると、S59では、録音終了したか否かを判定する。録音終了は、録音編集者が録音装置本体12の録音停止ボタンを操作することにより行われる。S59の判定が否であれば、S50へ戻って、オーディオ信号入力側のマイクロホンの変化を再び監視し、正であれば、S60で録音ファイルをクローズして、録音方法40を終了する。
【0020】
S51では、S50でマイクロホンが交替したと判断した時に交替後のマイクロホン以外のいずれかのマイクロホンからの入力がなお継続しているか否かを判定する。この例では、マイクロホンは司会者用及び講演者用の2本しかないので、例えば、S50で講演者用マイクロホンから司会者用マイクロホンへ交替したと判断した時点に講演者用マイクロホンからの入力がなお続いているか否かがS51で判定される。この具体例については、後述の図5(b)においてさらに説明する。
【0021】
S52では、録音ファイルをクローズする。S53では、新規録音ファイルをオープンする。S54〜S56は、前述のS43〜S45と同一の処理である。S55又はS56の後、S50へ戻って、オーディオ信号入力側のマイクロホンの変化を再び監視する。
【0022】
こうして、録音方法40では、発言者が司会者及び講演者間で交替するごとに、今までオーディオデータを格納していた録音ファイルがクローズされて、新規の録音ファイルへのオーディオデータの格納が開始される。これにより、発言の交替回数+1の個数の録音ファイルが作成され、かつ各録音ファイルは司会者だけ又は講演者だけの1まとまりの発言に限定したものになり、ユーザは、後で、録音を再生する際には所望の発言を含む録音ファイルを能率的に探し出して、該発言を再生することができる。
【0023】
図5はマイクロホン11a,11bが出力するオーディオ信号に対する録音装置10における新規録音ファイルのオープンタイミング(=旧録音ファイルのクローズタイミング)を示している。図5において各"↓"の時刻が新規録音ファイルのオープンタイミングである。図5において斜線ブロックの時間領域は、マイクロホンから所定レベル以上のオーディオ信号が出力されている期間であることを意味する。
【0024】
図5(a)は、マイクロホン11a,11bが同時にオーディオ信号を出力することがない例であり、録音がされている状態において、マイクロホン11aからのオーディオ信号の出力が終了し、マイクロホン11bからの出力が開始されたため、そのタイミングで録音ファイルの区切り処理を行う。その後マイクロホン11bからのオーディオ信号により録音が開始された後、マイクロホン11bからのオーディオ信号の出力が終了し、マイクロホン11aからの出力が開始されたため、録音ファイルの区切り処理を行う。
【0025】
図5(b)はマイクロホン11a,11bの一方(例:マイクロホン11b)からのオーディオ信号の出力期間が他方(例:マイクロホン11a)からのオーディオ信号の出力期間と重複している例であり、録音がされている状態において、時刻t1でマイクロホン11bからの出力が開始されたが、そのタイミングにおいてマイクロホン11aからの出力が継続しているため、録音ファイルの区切り処理は行わない。その後、両マイクロホン11a,11bからの出力無の期間が生じてから、時刻t2でマイクロホン11bからのオーディオ信号の出力が開始されたため、そのタイミングをマイクロホンの変更タイミングとし、録音ファイルの区切り処理を行う。マイクロホン11bからのオーディオ信号の出力により録音がされている状態において、時刻t3でマイクロホン11aからの出力が開始されたが、そのタイミングにおいてマイクロホン11bからの出力が継続しているため、録音ファイルの区切り処理は行わない。さらに同録音中にマイクロホン11bの出力の終了(時刻t4)、再開(時刻t5)などにおいてもいずれかのマイクロホンからの出力が継続しているため、録音ファイルの区切り処理は行わない。
【0026】
図4は別の録音方法64のフローチャートである。録音方法64において、図3の録音方法40のステップと同一のステップについては、同符号を指示して、説明は省略する。録音方法64では、録音方法40のS54〜S56が廃止され、かつ、録音方法40のS51とS52との間にS65が挿入される。
【0027】
S65では、S50でオーディオ信号入力側のマイクロホンが変化したと判定したことに対して、変化後のオーディオ信号入力側のマイクロホンか基準のマイクロホンであるか否かを判定し、判定が正であるならば、S52へ進んで、S52,S53においてオーディオデータ格納中の録音ファイルを新規のものと変更し、判定が否であるならば、S50へ戻って、オーディオ信号入力側のマイクロホンの変化を再び監視する。発言が、司会者→講演者→司会者→講演者→司会者→講演者→・・・と交互に変化する場合に、基準のマイクロホンをマイクロホン11aとすると、講演者の発言が終了して、発言が司会者の番になるごとに、オーディオデータ格納中の録音ファイルが新規なものへ変更される。基準のマイクロホンをマイクロホン11bとしたときは、発言が講演者の番になるごとに、オーディオデータ格納中の録音ファイルが新規なものへ変更される。
【0028】
講演は、司会者が講演者に問い掛けていて、講演者はその問い掛けに回答する形式で進行することがあり、このような進行に対して、司会者の発言と講演者の発言とは、対を形成して、内容的に1つのまとまりとなっていることが多い。録音方法64は、全体の講演に含まれる小題目ごとの司会者及び講演者の発言に対して1つの録音ファイルを作成することになるので、図3の録音方法40では、細切れ気味だった録音ファイルに対し、図4の録音方法64では、録音ファイルの細切れを抑制して、録音ファイルを適切なまとまりの話に対応させることができる。
【0029】
図5(c)、図5(d)はマイクロホン11aを基準マイクロホンとして設定した際の録音装置10における新規録音ファイルのオープンタイミング(=旧録音ファイルのクローズタイミング)を示している。図5(c)、図5(d)では、録音がされている状態において、基準マイクロホン以外(マイクロホン11b)から基準マイクロホン(マイクロホン11a)への変更があった場合且ついずれかのマイクロホンからの出力が継続されていない場合において、録音ファイルの区切り処理が行われる。
【0030】
前述の録音方法40(図3),64(図4)では、S44,S45,S55,S56で説明したように、各時点では、マイクロホン11a又は11bからのオーディオ信号のみからオーディオデータを生成して、それを録音ファイルに格納するようになっている。しかしながら、S44,S45,S55,S56は省略して、常時、マイクロホン11a,11bの両方からのオーディオ信号を混合したオーディオデータを生成して、それを録音ファイルに格納するようにしてもよい。この場合、録音ソースのマイクロホン切替を省略して、処理を簡略化できるとともに、図5(b)、(d)の場合のように、司会者及び講演者が同時に発言したときには、両者の発言を録音することができる。
【0031】
図6は録音装置70の機能ブロック図である。前述の録音装置10(図1)は録音装置70の一例である。録音装置70は携帯型であってもよいとする。録音装置70は、複数のマイクロホン71、マイクロホン検出手段72、及び区切り処理手段74を備えている。マイクロホン71はワイヤ型及びワイヤレス型のいずれであつてもよいとする。
【0032】
複数のマイクロホン71は、複数の発言者に割り当てられている。マイクロホン検出手段72は、各マイクロホン71から供給されるオーディオ信号の有無に基づき発言がどのマイクロホンにおいて行われているかを検出する。区切り処理手段74は、マイクロホン71からのオーディオ信号のオーディオデータを格納する録音ファイルに係る区切り処理を、マイクロホン検出手段72が検出したマイクロホン(以下、適宜「検出マイクロホン」という)の変更に基づき行う。
【0033】
1つのマイクロホン71に割当てられている発言者は、単一に限定されず、複数を可とする。この場合、該1つのマイクロホン71はそれら複数の発言者に共用されることになる。前述の録音装置10では、マイクロホン11a,11bの総数が2であったが、録音装置70では、マイクロホン71の総数は3以上であってもよいとする。マイクロホン検出手段72は、例えば、各録音時点でオーディオ信号を出力しているマイクロホン71の数は1以下であるとして、原則的にはオーディオ信号を出力しているマイクロホン71を検出マイクロホンとする。しかしながら、複数のマイクロホン71が同時にオーディオ信号を出力していたり、どのマイクロホン71もオーディオ信号を出力していない時も存在し、このような時は、例えば後述する仕方で検出マイクロホンを決める。
【0034】
録音ファイルは、例えばWMA、WAV又はMP3の規格のものである。録音ファイルに格納するオーディオデータの基になっているオーディオ信号は、録音方法40(図3),64(図4)のS44,S45,S54,S55のように、検出マイクロホンだけからのみのとしてもよいし、全マイクロホン71からのオーディオ信号を混合したものとしてもよい。
【0035】
録音装置70では、各時点の発言者がどの方向に存在するかの方向ではなく、各マイクロホン71から供給されるオーディオ信号の有無に基づき現在発言中の発言者のマイクロホンを検出マイクロホンとして特定して、オーディオデータを格納する録音ファイルに係る区切り処理を検出マイクロホンの変更に基づき行うので、発言の区切りの検知のための処理負荷が軽減するとともに、検知の精度を上げて、オーディオデータ格納中の録音ファイルに係る区切りを適切化することができる。
【0036】
区切り処理手段74が実施する区切り処理とは、例えば(a1)オーディオデータ格納中の録音ファイルを新規なものへ変更するもの、又は(a2)オーディオデータ格納中の録音ファイルのその時の録音位置に、再生時の移動先再生位置指定用のインデックスを設定するものである。録音方法40(図3)及び64(図4)は(a1)の具体例である。(a1)の場合には、1つの録音期間に対して複数の録音ファイルが作成される。(a2)の場合には、1つの録音期間に対して作成される録音ファイルは1つである。インデックスは、録音装置70のメーカーによっては、別名の「しおり」とか「ブックマーク」とかで呼ぶこともある。いずれにせよ、インデックスの付与により、ユーザは再生時では1つの録音ファイル内の該移動先再生位置へ途中の再生位置の再生を経ずに直接に移動することができる。
【0037】
なお、区切りごとにその種類を判別し、第1の種類の区切りでは(a1)を実施し、第2の種類の区切りでは(a2)を実施するようにしてもよい。例えば、録音装置10についての前述の説明のように、司会者と講演者とが一人ずついて、検出マイクロホンが講演者のマイクロホン71から司会者のマイクロホン71に切替わるごとに、オーディオデータ格納中の録音ファイルを新規の録音ファイルへ変更し、検出マイクロホンが司会者のマイクロホン71から講演者のマイクロホン71に切替わるごとに、オーディオデータ格納中の録音ファイルを維持しつつ、録音位置にインデックスを付けるようにしてもよい。
【0038】
区切り処理手段74は、その区切り処理を、例えば(b1)区切り処理手段74が検出マイクロホンの変更を判別するごとに、又は(b2)区切り処理手段74が、検出マイクロホンが所定のマイクロホンに戻ったことを判別するごとに行う。録音方法40(図3)は(b1)の具体例であり、録音方法64(図4)は(b2)の具体例である。
【0039】
例えば、パネルディスカッション等において、司会者が1名に対して、複数のパネラーが存在する場合、司会者の所定の項目について複数のパネラーが発言し、それが一段落すると、司会者が発言するというように、司会者の発言→複数のパネラーの発言→司会者の発言→複数のパネラーの発言→・・・の繰返しサイクルで討論が進行する場合がある。(b2)では、これに対処して、1項目ごとに、1つの録音ファイルを作成したり、あるいは1つのインデックスを設定したりすることになる。
【0040】
典型的には、区切り処理手段74は、少なくとも1つのマイクロホン71からのオーディオ信号の出力が継続している期間及び/又はどのマイクロホン71もオーディオ信号を出力していない期間は検出マイクロホンは変更されていないと判別する。この具体例は、録音装置10における図5(a)〜(d)の事例である。
【0041】
図7は録音方法85のフローチャートである。録音方法85は録音装置70に適用される。録音方法85の具体例は録音方法40,64である。
【0042】
S86では、複数の発言者に割り当てられている複数のマイクロホン71から供給されるオーディオ信号の有無に基づき発言がどのマイクロホンにおいて行われているかを検出マイクロホンとして検出する。S87では、S86において検出した検出マイクロホンの変更の有無を判定する。変更有りであれば、S88へ進み、変更無しであれば、録音方法85を終了する。S88では、マイクロホン71からのオーディオ信号のオーディオデータを格納する録音ファイルに係る区切り処理を行う。
【0043】
S86の処理は、録音装置70(図6)のマイクロホン検出手段72の機能に対応し、S87、S88の処理は区切り処理手段74の機能にそれぞれ対応している。したがって、マイクロホン検出手段72、区切り処理手段74の機能について述べた具体的態様はS86〜S88の処理についての具体的態様としても適用可能である。
【0044】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータを録音装置70の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、録音方法85の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0045】
本明細書は様々な範囲及びレベルの発明を開示している。それら発明は、本明細書で説明した様々な技術的範囲及び具体的レベルの各装置及び各方法だけでなく、当業者の自明の範囲内で、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を自明の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】録音装置の構成図である。
【図2】録音装置のブロック回路図である。
【図3】録音方法のフローチャートである。
【図4】別の録音方法のフローチャートである。
【図5】マイクロホンが出力するオーディオ信号に対する録音装置における新規録音ファイルのオープンタイミングを示す図である。
【図6】本発明の録音装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の録音方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
70:録音装置、71:マイクロホン、72:マイクロホン検出手段、74:区切り処理手段、75:録音ファイル、85:録音方法。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロホン、
前記複数のマイクロホンの各々から供給されるオーディオ信号の有無を検出するマイクロホン検出手段、及び
前記マイクロホン検出手段による検出に基づいて、オーディオ信号の供給を行うマイクロホンの変更を判別することにより、前記オーディオ信号のオーディオデータを格納する録音ファイルの区切り処理を行う区切り処理手段、
を備えることを特徴とする録音装置。
【請求項2】
前記区切り処理手段は、少なくとも1つのマイクロホンからのオーディオ信号の出力が継続している期間及び/又はどのマイクロホンもオーディオ信号を出力していない期間は区切り処理を行わないことを特徴とする請求項1記載の録音装置。
【請求項3】
前記区切り処理手段は、前記複数のマイクロホンのうち所定のマイクロホンを基準マイクロホンとして設定し、前記複数のマイクロホンのうち基準マイクロホン以外のマイクロホンから前記基準マイクロホンへのマイクロホンの変更を判別するごとに区切り処理を行うことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の録音装置。
【請求項4】
前記区切り処理手段が実施する区切り処理とは、オーディオデータ格納中の録音ファイルを新規なものへ変更するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の録音装置。
【請求項5】
前記区切り処理手段が実施する区切り処理とは、オーディオデータ格納中の録音ファイルのその時の録音位置に、再生時の移動先再生位置指定用のインデックスを設定するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の録音装置。
【請求項6】
複数のマイクロホンの各々から供給されるオーディオ信号の有無を検出するマイクロホン検出ステップ、及び
前記マイクロホン検出ステップにおける検出に基づいて、オーディオ信号の供給を行うマイクロホンの変更を判別することにより前記オーディオ信号のオーディオデータを格納する録音ファイルの区切り処理を行う区切り処理ステップ、
を備えることを特徴とする録音方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の録音装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−9649(P2010−9649A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165308(P2008−165308)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】