説明

鍵に用いられる情報表示装置

【課題】鍵管理人以外の者が鍵の識別情報を表示部に表示させるための暗号を入力する入力部の存在を容易に認識することができないようにする。
【解決手段】鍵1に用いられる情報表示装置5は、1つの押しボタン8と、表示部7と、鍵1の種類を識別する識別情報9を記憶する記憶部12と、押しボタン8が所定の操作パターンで押されたか否かを判断する操作判断部S103と、表示部7の表示動作を制御する表示制御部S104と、を備える。表示制御部S104は、操作判断部S103が所定の操作パターンで押されたと判断した場合、記憶部12から識別情報9を読み出し、表示部7に識別情報9を表示し、操作判断部S103が所定の操作パターンで押されなかったと判断した場合、表示部7に識別情報9を表示しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋または収納庫などの所定の場所を開閉するために使用する鍵、または、その鍵に連結された付属物に備えられた表示部に、鍵を識別する識別情報を表示させる情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、RFIDタグを用いたタグ探索システムが開示されている。具体的には、書棚に陳列された書籍にRFIDタグが取り付けられている。ユーザが、ハンディリーダライタを使用して、所望の書籍識別情報を入力すると、ハンディリーダライタから、設置リーダライタを介して、書籍に取り付けられたRFIDに向かって識別ID指定信号が送信される。この送信された識別ID指定信号に従って、ユーザが所望する書籍に貼り付けられたRFIDタグに設けられる有機EL発光素子にユーザが入力した書籍識別情報が表示される。これにより、ユーザの所望の書籍がどこにあるかをユーザに知らせることができる。また、有機EL発光素子に書籍識別情報が表示されるため、複数の書籍を区別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−301375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記タグ探索システムは、書棚に陳列された書籍の探索のために使用されているが、鍵ボックスに掛けられた鍵の探索のために使用される場合、以下に説明するセキュリティ上の問題がある。
【0005】
鍵管理人が鍵ボックスから鍵を取り出してから、鍵により開閉される部屋に出かけた後に鍵ボックスに鍵を戻すまでの間に、例えば鍵管理人が鍵を紛失し、鍵管理人以外の者が鍵を拾ったり、鍵管理人以外の者が部屋番号等の鍵識別情報を見たりする場合が考えられる。
【0006】
その際、鍵またはキーホルダーの表示部に鍵識別情報として部屋番号が表示されていると、鍵を取得した鍵管理人以外の者は、その鍵がどの部屋の鍵であるかが分かる。そして、鍵管理人以外の者は、鍵の合う部屋に辿り着き、部屋の鍵を開錠してしまう。その結果、機密性を保持するといった鍵の役目を果すことが出来ない。
【0007】
上記問題点を踏まえ、鍵管理人のみが鍵識別情報を知ることができる方法を考える。例えば、鍵にテンキーが備えられ、テンキーによりユーザが入力した番号と暗証番号とが一致したとき、鍵識別情報を表示する装置が考えられる。しかしながら、鍵にテンキーが備えられている場合には、鍵管理人以外の者は、テンキーの存在により特定の数字の組み合わせを入力することで秘密情報が表示されることに気付いてしまう可能性が高い。その結果、鍵管理人以外の者が容易に鍵識別情報を知る危険性があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、鍵管理人以外の者が鍵の識別情報を表示部に表示させるための暗号を入力する入力部の存在を容易に認識することができない構成を有する鍵に用いられる情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の情報表示装置は、特定の場所を開閉するための鍵、または、その鍵に連結された付属物に備えられる情報表示装置であって、前記鍵、または、前記付属物の表面に設けられる1つの操作部と、前記鍵、または、前記付属物の表面に設けられる表示部と、前記鍵を識別する識別情報と、複数の種類の操作からなる所定の操作パターンと、を記憶する記憶部と、前記操作部が所定判断期間の間に前記所定の操作パターンで操作されたか否かを判断する操作判断部と、前記表示部の表示動作を制御する表示制御部と、を備え、前記操作部が前記所定判断期間内に前記所定の操作パターンで操作されたと前記操作判断部が判断した場合、前記表示制御部は、前記記憶部から前記識別情報を読み出し、前記表示部に前記識別情報を表示し、前記操作部が前記所定判断期間内に所定の操作パターンで操作されなかったと前記操作判断部が判断した場合、前記表示制御部は、前記表示部に前記識別情報を表示しないことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の情報表示装置によれば、前記表示部は、発光可能な表示領域を有し、前記表示制御部は、前記表示部に前記識別情報が表示されている表示期間以外の期間で、前記操作部が操作されている間、前記表示部の表示領域を発光させることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の情報表示装置によれば、前記所定の操作パターンのうち少なくとも一部の操作は、前記操作部が第1の期間操作されている長期間操作、または前記操作部が前記第1の期間より短い第2の期間操作されている短期間操作を有する期間操作であり、前記操作判断部は、前記操作部が前記期間操作で操作されたか否かを判断する期間操作判断部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の情報表示装置によれば、前記期間操作は、前記長期間操作または前記短期間操作を、不操作期間を挟んで複数回行う連続操作であり、前記期間操作判断部は、前記操作部が前記連続操作で操作されたか否かを判断する連続操作判断部を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の情報表示装置によれば、所定の方向の加速度、または所定の軸線回りの角速度を検出する検出部を備え、前記所定判断期間の間の前記所定の操作パターンのうち、前記期間操作とは異なる他の操作は、前記検出部により検出された前記加速度、または前記角速度を基にした、前記鍵、または、前記付属物の運動操作であり、前記操作判断部は、前記鍵、または、前記付属物が前記運動操作で運動されたか否かを判断する運動判断部を有することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の情報表示装置によれば、前記運動操作の少なくとも一部の操作は、前記長期間操作、または前記短期間操作を行いながら運動操作を行う運動期間操作であり、前記運動判断部は、前記運動期間操作が操作されたか否かを判断する運動期間操作判断部を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の情報表示装置によれば、操作部は1つである。ゆえに、鍵または付属物にテンキーが備えられる場合と異なり、鍵管理人以外の者は本発明の鍵または付属物を見た際に、識別情報を表示部に表示させるための暗号入力する入力部の存在を認識しにくい。又、テンキーにより識別情報を表示させるための操作を行う場合と比較して、操作部の数が1つあればよく、鍵などの比較的小さな物に容易に配置することができる。
【0016】
請求項2に記載の情報表示装置によれば、表示制御部は、表示部に識別情報が表示されている期間以外の期間で、操作部が操作されている間、表示部の表示領域を発光させる。このため、鍵管理人以外の者が操作部を操作した際に、鍵管理人以外の者は、操作部が表示部を発光させるための操作部であると認識し、操作部が暗号入力部を兼用していることに気付きにくくなる。
【0017】
請求項3に記載の情報表示装置によれば、所定の操作パターンは、長期間操作、または短期間操作を有する期間操作である。これにより、鍵管理人は1つの操作の操作期間の違いのみで、容易に識別情報を表示させるための操作パターンを入力することができる。又、鍵管理人は、暗所を照らす等の振りをしながら、所定の操作パターンを入力することができる。
【0018】
請求項4に記載の情報表示装置によれば、期間操作は、長期間操作または短期間操作を、不操作期間を挟んで複数回行う連続操作である。連続操作は、長期間操作または短期間操作を複数回行うため、長期間操作、及び短期間操作と比較して、操作が一層複雑になる。その結果、管理人以外の者が、識別情報表示のための操作パターンを操作することがさらに困難となる。
【0019】
請求項5に記載の情報表示装置によれば、所定の操作パターンのうち、期間操作とは異なる他の操作として、運動操作がある。表示部に識別情報を表示させるための操作パターンとして、期間操作の他に運動操作を加えることで、操作が一層複雑になる。その結果、管理人以外の者が、識別情報表示のための操作パターンを操作することがさらに困難となる。
【0020】
請求項6に記載の情報表示装置によれば、運動操作は、長期間操作、または短期間操作を行いながら運動操作を行う運動期間操作である。運動操作を長期間操作、または短期間操作を行いながら行うことで、表示部に識別情報を表示させるための操作が一層複雑になる。その結果、管理人以外の者が、識別情報表示のための操作パターンを操作することがさらに困難となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報表示装置が適用された鍵1及びキーホルダー4を示す外観図。
【図2】キーホルダー4のプレート5に備えられた電気的構成を示すブロック図。
【図3】CPU11が実行する識別情報表示プログラム12aの処理を示すフローチャート。
【図4】CPU11が実行する、期間操作、及び回転操作の読み込み処理102を示すフローチャート。
【図5】プレート5の内部の軸線を中心に半回転する様子を示す説明図。
【図6】押下信号PS、角度信号GS、及びパターン読込信号PHのタイミングチャート。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る情報表示装置が適用された鍵1Bを示す外観図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る情報表示装置が適用された鍵1C、及びキーホルダー4Cを示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報表示装置が適用された鍵1及びキーホルダー4を示す外観図である。
【0023】
図1に示すように、鍵1は、ブレード2と、持ち手3と、を備える。
【0024】
ブレード2は、所定の錠前を開錠可能な所定の溝を有する。
【0025】
持ち手3は、ユーザの親指と人指し指とで挟むことが可能な広さの面を有する。持ち手3は、例えば長方形の平板形状を有する。持ち手3は、少なくとも後述するリング6の線径より大きな孔を備える。
【0026】
キーホルダー4は、プレート5と、リング6と、を備える。
【0027】
プレート5は、例えば長方形の平板形状を有する。プレート5は、図2にて示す電気的構成を備える。プレート5は、表示部7と、1つの押しボタン8と、を備える。プレート5は、少なくともリング6の線径より大きな孔を備える。
【0028】
リング6は、プレート5の孔と、持ち手3の孔と、に挿入され、プレート5と持ち手3とを連結する。リング6の直径は、ユーザの指が挿入可能な程度の大きさである。
【0029】
表示部7は、プレート5の表面に設けられる。表示部7は、鍵1の種類を識別するための識別情報9を表示可能に形成される。本実施形態では、識別情報9は、例えば部屋番号「101」等の数字または文字である。表示部7は、例えば有機EL発光素子である。
【0030】
押しボタン8は、プレート5の表面に設けられる。押しボタン8は、ユーザの指先で押圧操作可能に設けられる。鍵管理人等のユーザによって押しボタン8が押されている間、表示部7の表示領域は全面発光する。全面発光している表示部7の発光量は、暗所にて例えば部屋の鍵穴を照らすことが可能な程度の光量である。
【0031】
〔プレート5内の電気的構成〕
図2は、プレート5に備えられた電気的構成を示すブロック図である。図2に示すように、プレート5は、表示部7と、押しボタン8と、に加え、電源10と、CPU11と、ROM12と、RAM13と、システムバス14と、角速度検出部15と、表示制御回路16と、RTC17と、を備える。システムバス14は、表示部7と、押しボタン8と、CPU11と、ROM12と、RAM13と、角速度検出部15と、表示制御回路16と、RTC17と、に各々接続される。
【0032】
電源10は、プレート5内の電気的構成に適切な電力を供給する。電源10は、例えばボタン電池等の再充電不可能な一次電池である。
【0033】
押しボタン8は、押しボタン8が押されたことを示す押下信号PSを、システムバス14を介して、RAM13に送信する。さらに、押しボタン8は、押しボタン8が押されたことを示す押下信号PSを表示制御回路16に送信する。
【0034】
表示制御回路16は、受信した信号を基に、表示部7の表示を制御する。具体的には、表示制御回路16は、識別情報9を表示部7に表示させる識別情報表示信号ISを受信すると、表示部7に識別情報表示信号ISを送信する。表示制御回路16は、押下信号PSを受信すると、表示部7の表示領域を全発光させる全発光信号BSを送信する。
【0035】
角速度検出部15は、キーホルダー4の内部の軸を中心とした角速度を検出する装置である。角速度検出部15は、検出した角速度を基に、内部の積分器等を用いて角度信号GSを算出する。角速度検出部15は、角度信号GSを、システムバス14を介して、RAM13に送信する。角速度検出部15は、例えば1軸のジャイロセンサである。
【0036】
ROM12は、後述するフローチャートに従った処理を実現するための識別情報表示プログラム12aを記憶する。識別情報表示プログラム12aは、CPU11により実行される。ROM12は、後述する識別情報表示信号ISと、正しい操作パターン12bと、パターン読込期間PH1と、識別情報表示期間IHと、読込開始操作SPと、を記憶する。
【0037】
正しい操作パターン12bは、表示部7に識別情報9を表示させるために行う暗号としての操作パターンである。正しい操作パターン12bは、複数の種類の操作からなる。正しい操作パターン12bは、例えば第1操作12b1と、第2操作12b2と、第3操作12b3と、を有する。正しい操作パターン12bの複数の操作は、例えば押しボタン8の期間操作、キーホルダー4の回転操作等である。
【0038】
パターン読込期間PH1は、表示部7に識別情報9を表示させるために行う操作パターンを読み込み可能な期間である。識別情報表示期間IHは、識別情報9が表示部7に表示される期間である。読込開始操作SPは、パターン読込期間PH1を開始させるためのトリガーとしての操作である。読込開始操作SPは、例えば長押し操作である。
【0039】
RAM13は、CPU11がROM12に記憶される識別情報表示プログラム12aを実行する際に参照する各種変数などを記憶しておく一時記憶領域として機能する。RAM13は、角度信号GS、押下信号PS、及び後述する正操作フラグRFを記憶する。
【0040】
RTC(Real Time Clock)17は、現在の時刻を計時可能な計時手段である。RTC17は、RAM13に記憶された押下信号PSの押下時間、パターン読込期間PH1、識別情報表示期間IH、等の期間を計時する。
【0041】
表示部7は、識別情報表示プログラム12aに従って、CPU11からシステムバス14、及び表示制御回路16を介して送信される識別情報表示信号ISを受信する。識別情報表示信号ISを受信した表示部7は、識別情報9を表示する。また、表示部7は、表示制御回路16から、全発光信号BSを受信する。全発光信号BSを受信した表示部7は、表示部7の表示領域全面を発光させる。このため、表示部7の発光により、鍵管理人以外の者は、表示部7が周囲を照らすために発光するものであり、押しボタン8は表示部7を発光させる操作部であると認識する。この結果、鍵管理人以外の者は、押しボタン8が識別情報9を表示するための暗号入力部を兼ねていることに気付くことはない。
【0042】
〔識別情報表示制御処理〕
図3は、CPU11が実行する識別情報表示プログラム12aの処理を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートにおける各ステップは、CPU11の処理を示す。ステップは、記号Sにより省略して示される。図3に従って、識別情報表示プログラム12aのメインフローを説明する。
【0043】
ステップ100では、識別情報表示プログラム12aを開始する。例えば、電源10の一例であるボタン電池をプレート5に装着した際、識別情報表示プログラム12aが開始され、初期状態となる。初期状態の設定後、ステップ101へ進む。
【0044】
ステップ101では、読込開始操作SPがされたか否かを判断する。読込開始操作SPがされたと判断した場合、ステップ102へ進む。読込開始操作SPがされなかったと判断した場合、ステップ101を繰り返す。読込開始操作SPは、例えば押しボタン8の長押し操作である。これにより、鍵管理人は、操作パターンがいつから判断されるのかを正確に認識することができる。また、鍵管理人が所望するタイミングにて、操作パターンの入力を開始することができる。その結果、鍵管理人は、操作パターンの入力を正確に行いやすくなる。
【0045】
図6は、押下信号PS、角度信号GS、及びパターン読込信号PHのタイミングチャートである。図6(A)は、RAM13に送信される押下信号PSを表すタイミングチャートである。図6(B)は、RAM13に送信される角度信号GSを表すタイミングチャートである。図6(C)は、パターン読込信号PHを表すタイミングチャートである。図6(A)の押下信号PSは、横軸に時間、縦軸に押しボタン8が押下された状態ONと、押しボタン8が押下されていない状態OFFと、を表す。図6(B)の角度信号GSは、横軸に時間、縦軸に回転角度(rad)を表す。回転角度は、回転操作の判断を開始したときを0radとした場合の回転角度である。図6(C)のパターン読込信号PHは、横軸に時間、縦軸にパターン読込期間PHが有効である場合ON(PH1)と、パターン読込期間PHが無効である場合OFFと、を表す。図6に示すTS101、TS202、TS204、及びTS206は、図3及び図4に示すS101、S202、S204、S206のステップの処理期間をそれぞれ表す。
【0046】
図6(A)の期間TS101に発生する信号は、ステップ101にて押しボタン8が長押し操作された際の押下信号PSを表す。図6(A)に示すように、押しボタン8が押されている間、押下信号PSがONされ、RAM13に送信される。また、押しボタン8が押されている間、押下信号PSが表示制御回路16に送信される。そして、押下信号PSを受信した表示制御回路16は、全発光信号BSを表示部7に送信し、表示部7の表示領域全面が発光する。
【0047】
具体的には、押しボタン8が押されると、押しボタン8の押圧期間の計時開始をRTC17に指示する。そして、押しボタン8が押された状態から押されていない状態へ移行すると、押しボタン8の押圧期間計時終了をRTC17に指示する。RTC37を用いて押圧期間を計時し、長押し操作されたか否かを判断する。図6(A)に示すように、長押し操作は、第1の期間T1、押しボタン8が押された状態である。第1の期間T1は、例えば1.0秒以上の期間である。ゆえに、この場合、RTC17を用いて計時された押圧期間が、1.0秒以上であれば、長押し操作されたと判断される。以下同様に、後述する短押し操作、または連続押し操作等の期間操作が操作されたか否か、は、RTC17を用いて計時された押圧期間を基に、判断される。
【0048】
ステップ102では、ユーザが行う操作が、操作パターンとしてRAM13に書き込まれる。操作パターンは、期間操作と、回転操作と、を有する。図6(A)の期間TS102に発生する押下信号は、ステップ102にて行われた期間操作の一部を表す。同様に、図6(B)の期間TS102に発生する角度信号は、ステップ102にて行われた回転操作の一部を表す。
【0049】
期間操作は、長押し操作と、押しボタン8を押していない不操作と、押しボタン8が長押しより短い期間押されている短押し操作、及び押しボタン8の短押しが連続で押される連続押し操作、等の異なる種類の押し操作の組み合わせである。押下信号PSは、押しボタン8から出力される。不操作は、押しボタン8が所定の不操作期間Toff押されていない状態である。不操作期間Toffは、押しボタン8の押下と次の押しボタン8の押下との間の押しボタン8が押されていない期間であって、CPU11が不操作を認識可能な程度の長さを有す期間である。不操作期間Toffは、例えば0.1秒以上の期間である。短押し操作は、押しボタン8が第1の期間T1より短い第2の期間T2押されている状態である。第2の期間T2は、例えば0.5秒以下の期間である。
【0050】
図5は、キーホルダー4がプレート5の内部に定められた軸線を中心に半回転した様子を示す図である。さらに詳しくは、図5は、上からGS=0rad、GS=π/6rad、GS=π/2rad、GS=πradの場合のプレート5の様子である。回転操作は、例えば表示部7を有するプレート5の表面に向かって表示部7の表面に垂直な方向を軸線として正方向とし、プレート5の内部の軸線を中心に何回転されたかを示す回転(自転)操作である。例えば、角度信号GSが2πradであれば、プレート5が表示部7を有するプレート5の表面に垂直な方向を軸線として一回転されたことを示す。
【0051】
ステップ103では、後述する正操作フラグRFがRAM13に記憶されているか否かを判断する。正操作フラグRFがRAM13に記憶されていると判断した場合、ユーザによって正しい操作パターンが操作されたと判断され、ステップ104へ進む。正操作フラグRFがRAM13に記憶されていないと判断した場合、ユーザによって正しい操作パターンが操作されなかったと判断され、ステップ101へ進む。
【0052】
ステップ104では、識別情報表示期間IHだけ、表示部7に識別情報9を表示するために、ROM12に記憶された識別情報表示信号ISを表示部7に送信する。識別情報表示期間IHは、ROM12に記憶される。識別情報表示期間IHは、RTC17を用いて計時される。表示部7は識別情報表示信号ISを受信すると、表示部7に識別情報9を表示する。識別情報表示期間IHは、鍵管理人が正しい操作パターンを行った後に、表示部7に表示された識別情報9を見てから、部屋番号等の識別情報9を十分認識できる程度の期間である。識別情報表示期間IHは、例えば10秒である。この識別情報9の表示により、鍵管理人は、鍵1を使用できる部屋などの特定の場所を認識することができる。さらに、識別情報表示期間IH経過後、識別情報表示信号ISを表示部7に送信しない。識別情報表示信号ISを送信しないため、表示部7は、識別情報9を表示しない。鍵管理人以外の者は、識別情報表示期間IHしか表示部7の識別情報9を確認する機会がないため、鍵管理人以外の者に識別情報9を知られる可能性が一層少なくなる。
【0053】
図4は、押下信号PS、及び角度信号GSの読み込みステップ102の詳細を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートにおける各ステップは、CPU11の処理を示す。
【0054】
〔操作パターン読込処理〕
図4を用いて、押下信号PS、及び角度信号GSの読み込みステップ102を詳細に説明する。ステップ200では、読み込み処理であるステップ102を開始する。具体的には、ユーザが行う期間操作、及び回転操作を読み込むためのパターン読込期間PH1の計時開始をRTC17に指示する。パターン読込期間PH1は、鍵管理人等のユーザが押しボタン8の期間操作及びプレート5の回転を通して回転操作をCPU11に読み込ませることが可能な期間である。パターン読込期間PH1は、例えば20秒である。図6(C)の時点TS200に発生する信号は、ステップ200にてパターン読込期間PH1の計時を開始したパターン読込信号PHを表す。
【0055】
ステップ201では、パターン読込期間PHがON状態か否かを判断する。パターン読込信号PHがON状態であると判断した場合、ステップ202へ進む。パターン読込信号PHがON状態でないと判断した場合、ステップ208へ進む。
【0056】
ステップ202では、第1操作12b1がされたか否かを判断する。第1操作12b1がされたと判断した場合、ステップ203へ進む。第1操作12b1がされなかったと判断した場合、ステップ201へ戻る。第1操作12b1は、例えば長押し操作である。図6(A)の期間TS202に発生する信号は、ステップ202にて押しボタン8が長押しされた際の押下信号PSを表す。図6(A)に示すように、押しボタン8が押されている間、押下信号PSがONされ、RTC17を用いて押下時間が計測される。また、押しボタン8が押されている間、押下信号PSが表示制御回路16に送信される。そして、押下信号PSを受信した表示制御回路16は、全発光信号BSを表示部7に送信し、表示部7の表示領域全面が発光する。図6(A)の期間TS202に発生する信号は、第1の期間T1以上の押下信号PSを含むため、ステップ203へ進む。
【0057】
ステップ203では、パターン読込期間PHがON状態か否かを判断する。パターン読込信号PHがON状態であると判断した場合、ステップ204へ進む。パターン読込信号PHがON状態でないと判断した場合、ステップ208へ進む。
【0058】
ステップ204では、第2操作12b2がされたか否かを判断する。第2操作12b2がされたと判断した場合、ステップ205へ進む。第2操作12b2がされなかったと判断した場合、ステップ203へ戻る。第2操作12b2は、例えば連続3回押しである。
【0059】
連続3回押しは、例えば1回の押下時間が第2の期間T2である短押しが所定の不操作期間Toff2を挟んで3回行われる押し操作である。連続押しにおいて、ボタンの押下と次のボタンの押下の間の所定の不操作期間Toff2は、例えば1.0秒以下である。図6(A)の期間TS204に発生する信号は、ステップ204にて押しボタン8が連続3回押しされた際の押下信号PSを表す。図6(A)に示すように、押しボタン8が押されている間、押下信号PSがONされ、RTC17を用いて押下時間が計測される。同様に、押しボタン8の不操作期間が、RTC17を用いて測定される。また、押しボタン8が押されている間、押下信号PSが表示制御回路16に送信される。そして、押下信号PSを受信した表示制御回路16は、全発光信号BSを表示部7に送信し、表示部7の表示領域全面が発光する。図6(A)の期間TS204に発生する信号は、第2の期間操作T2が3回あり、第2の期間操作T2の間に不操作期間Toff2を2回挟んでいるため、連続3回押しがなされたと判断され、ステップ205へ進む。
【0060】
ステップ205では、パターン読込期間PHがON状態か否かを判断する。パターン読込信号PHがON状態であると判断した場合、ステップ206へ進む。パターン読込信号PHがON状態でないと判断した場合、ステップ208へ進む。
【0061】
ステップ206では、第3操作12b3がされたか否かを判断する。第3操作12b3がされたと判断した場合、ステップ207へ進む。第3操作12b3がされなかったと判断した場合、ステップ205へ戻る。第3操作12b3は、例えば押しボタン8が長押し操作されながら、キーホルダー4が表示部7の表面に垂直な方向を軸線として半回転以上の回転されたときの操作である。角度信号GSは、時計回りを正方向とし、押しボタン8が長押し操作された直後を0radとする。図6(A)及び(B)の期間TS206に発生する信号は、ステップ206にて押しボタン8が長押しされながら、キーホルダー4のプレート5表面に垂直な方向を軸線として半回転以上、回転されたときの押下信号PS、及び角度信号GSを表す。図6(A)に示すように、押しボタン8が押されている間、押下信号PSがONされ、RTC17を用いて押下時間が計測される。また、押しボタン8が押されている間、押下信号PSが表示制御回路16に送信される。そして、押下信号PSを受信した表示制御回路16は、全発光信号BSを表示部7に送信し、表示部7の表示領域全面が発光する。図6(A)の期間TS206に発生する信号は、第1の期間T1以上の押下信号PSを含む。また、図6(B)の期間TS206に発生する信号は、π(rad)以上であるため、半回転以上の操作がされたと判断され、ステップ206へ進む。
【0062】
ステップ207では、RAM13に、正しい操作パターンであるという正操作フラグRFが記憶される。
【0063】
ステップ208では、読み込み処理102を終了する。具体的には、パターン読込期間PH1の計時終了をRTC17に指示する。図6(C)の時点TS208に発生する信号は、ステップ208にてパターン読込期間PH1の計時を終了したときのパターン読込信号PHを表す。
【0064】
〔第1の実施形態の効果〕
キーホルダー4のプレート5は、表示部7を備える。これにより、鍵1の持ち手3に表示部7が備えられている場合と比較して、鍵管理人は、持ち手3を指で挟みながら、表示部7を視認しやすくなる。また、一般的に鍵の持ち手よりキーホルダーの方が大きい。ゆえに、キーホルダーのプレート5に表示部7を設けることで、表示部7の表示領域を広げることができる。
【0065】
キーホルダー4のプレート5は、表示部7、電源10及びCPU11等の電気的構成を備える。これにより、鍵1に電気的構成が備えられた場合と比較して、鍵に電気的構成の物理的スペースが取られず、鍵の小型化を図ることができる。また、部屋の施錠機構を交換した場合、鍵のみ交換すればよく、キーホルダー4の交換までは不要となり、鍵の保守及び交換が容易になる。
【0066】
リング6の直径は、指が挿入可能な程度の大きさである。これにより、鍵管理人は、リング6に指を挿入し、指の延びる方向を軸線として回転させることで、回転操作を比較的容易に入力することができる。
【0067】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態について図7を参照して説明する。第1の実施形態においては、キーホルダー4のプレート5にCPU11等の電気的構成が備えられた。しかしながら、第2の実施形態においては、CPU11等の電気的構成が鍵1Bに備えられる。第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成部分には同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0068】
鍵1Bは、ブレード2と、持ち手3Bと、を備える。持ち手3Bは、表示部7Bと、押しボタン8Bと、を備える。表示部7B、及び押しボタン8Bは、第1の実施形態の表示部7、及び押しボタン8と同じ構成である。持ち手3Bは、電源10と、CPU11と、ROM12と、RAM13と、システムバス14と、角速度検出部15と、表示制御回路16と、RTC17と、を内部に備える。
【0069】
このように、キーホルダー4を設けず、CPU11等の電気的構成を持ち手3Bに備えてもよい。電気的構成が鍵1Bに備えられていることにより、鍵管理人は、鍵1と識別情報9とを管理しやすくなる。キーホルダー4に電気的構成が備えられている場合は、キーホルダー4のプレート5またはリング6の劣化等により、キーホルダー4と鍵1とが分離される恐れがある。換言すると、キーホルダー4内の識別情報表示信号ISと、鍵1と、が物理的に分離され、鍵管理人が識別情報9と鍵1との対応関係が分からなくなる恐れがある。しかしながら、第2の実施形態では、鍵1Bに識別情報表示信号ISを記憶するROM12等の電気的構成が備えられているため、識別情報表示信号ISと、鍵1Bと、が分離しにくい。その結果、鍵1と、識別情報9と、の対応関係が崩れる恐れがなくなる。
【0070】
〔第3の実施形態〕
本発明の第1、及び第2の実施形態においては、キーホルダー4、及び鍵1のどちらか一方にCPU11等の電気的構成が備えられた。しかしながら、図8に示す第3の実施形態においては、CPU11等の電気的構成が鍵1C及びキーホルダー4Cにそれぞれ分散されて備えられる。鍵1Cは、ブレード2と、持ち手3Cと、を備える。持ち手3Cは、電源10と、CPU11と、ROM12と、RAM13と、システムバス14と、角速度検出部15と、表示制御回路16と、RTC17と、を内部に備える。
【0071】
キーホルダー4Cは、プレート5Cと、ケーブル6Cと、を備える。プレート5Cは、表示部7と、押しボタン8と、を備える。ケーブル6Cは、鍵の持ち手3C内のシステムバス14と、キーホルダー4Cのプレート5C内の表示部7、及び押しボタン8と、に接続される。CPU11は、鍵1Cの持ち手3C内のシステムバス14からプレート5C内の表示部7に、ケーブル6Cを通して、識別情報表示信号ISを送信する。押しボタン8は、ケーブル6Cを通して、押下信号PSをシステムバス14に送信する。
【0072】
上記のように、電気的構成をキーホルダー4Cと、鍵1Cと、に分散させることにより、キーホルダー4Cと、鍵1Cと、の両方の小型を図ることができる。鍵1Cとキーホルダー4Cとの間がケーブル6Cにより接続されることで、ケーブル6Cにより識別情報表示信号IS、押下信号PS等の情報の送受信を行い、かつキーホルダー4Cと、鍵1Cと、を物理的に連結することができる。また、第2の実施形態と同様に、ROM12が持ち手3C内に備えられるため、鍵1Cと識別情報表示信号ISとが、物理的に分離されることがなく、識別情報9と鍵1との対応関係が崩れる恐れがなくなる。
【0073】
〔変形例〕
本発明は、以上述べた実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形・変更が可能である。以下にその一例を述べる。なお、変形例において、本実施形態と同じ構成についての説明は省略し、本実施形態と相違する部分の構成についてのみ説明を行う。同じ構成部分については同一の符号を付す。
【0074】
操作パターンに関する変形例について説明する。本実施形態では、読込開始操作SPがなされた後に、パターン読込期間PH1の計時を開始したが、パターン読込期間PH1の計時を開始するトリガーは、短押し等の他の期間操作、3回転等の回転操作であってもよい。また、ステップ101はなくても構わない。この場合、ステップ100で、初期状態が設定された後に、一定期間ごとにステップ102〜104の実行が繰り返される構成でもよい。
【0075】
本実施形態では、期間操作は、長押し、短押し、連続押し、及び不操作の組み合わせであったが、1つの押しボタン8の押圧時間と非押圧時間との組み合わせであればよい。
【0076】
本実施形態では、第1の期間T1は第2の期間T2よりも長い期間であったが、第1の期間T1は第2の期間T2より短い期間であってもよい。第1の期間が第2の期間と異なる期間であればよい。
【0077】
本実施形態では、表示制御回路16の電気的回路の機能は、プログラムを実行するCPU11によって、実現されてもよい。
【0078】
本実施形態では、正しい操作パターン12bは第1操作12b1、第2操作12b2、及び第3操作12b3の3つの操作があったが、2つもしくは、4つ以上の操作の組み合わせであってもよい。
【0079】
本実施形態では、期間操作としての長押し操作、及び連続押し操作に加え、回転操作としての長押ししながらの半回転操作を、正しい操作パターンとしたが、回転操作は正しい操作パターンの1つに入れなくても構わない。即ち、回転操作を正しい操作パターンとせず、期間操作のみを正しい操作パターンとしてもよい。
【0080】
第1及び第3実施形態では、回転操作は、押しボタン8を長押ししながらプレート5、5Cを半回転させる操作であり、また、第2の実施形態では、押しボタン8Bを長押ししながら持ち手3Bを半回転させる操作であったが、回転操作は、押しボタン8を押さずにプレート5を回転させるものであってもよい。
【0081】
本実施形態では、1軸のジャイロセンサを用いたが、2軸、または3軸のジャイロセンサであってもよい。これにより、鍵またはプレートの内部を軸線中心とした回転をあらゆる向きで検出することができる。
【0082】
本実施形態では、角速度検出部15はジャイロセンサであったが、加速度検出部としての加速度センサであってもよい。加速度センサは、キーホルダー及び鍵の所定方向の加速度を検出することができる。加速度センサは、前記加速度を基に、加速度信号ASをRAM13に送信する。加速度信号ASを基に、所定の往復運動操作がなされたか否かを判断する。これにより、鍵及びキーホルダーの往復運動を検出することができる。本実施形態では、正しい操作パターンである複数の操作のうち1つは、回転操作であったが、正しい操作パターンは、往復運動操作であってもよい。これにより、ユーザはキーホルダーの1回転以上の回転操作を行う場合と比較して、鍵及びキーホルダーを持ちかえることなく、片手で操作を行うことができる。
【0083】
本実施形態では正しい操作パターンのうち1つは、プレートの内部を軸線中心として回転する回転(自転)操作であったが、正しい操作パターンは、鍵及びキーホルダーの外部の軸線を中心にキーホルダーまたは鍵がその軸線の周囲を回転する回転(公転)操作であってもよい。公転操作が加速度センサを用いて取得される方法は、例えば特開2007−296219号公報に記載されて公知である。
【0084】
本実施形態では、パターン読込期間PH1内にユーザが正しい操作パターンを操作しなかった場合(ステップ103がNOである場合)、表示部7は何も表示しないが、表示部7を所定期間、発光させてもよい。これにより、鍵管理人は、識別情報9を表示部7に表示させる目的で操作パターンを入力した場合に、パターン読込期間PH1内の正しい操作パターンが操作されなかったことを、表示部7の所定期間の発光をもって知ることができる。また、パターン読込期間PH1内に正しい操作パターンが操作されなかった場合、表示部7に偽の識別情報を、所定期間、表示してもよい。例えば正しい識別情報を「101」とした場合、偽の識別情報は、「102」等の正しい識別情報とは異なる識別情報である。これにより、押しボタン8が暗号入力手段であることに気づいた鍵管理人以外の者が、適当に操作パターンを操作した場合、表示部7に偽の識別情報が表示される。その結果、鍵管理人以外の者は、偽の識別情報が正しい識別情報であると誤認する。なお、鍵管理人が正しい操作パターンを操作できなかった場合を鑑みて、偽の識別情報は、正しい識別情報とは異なる表示形式としてもよい。表示形式とは、発光色、識別情報の表示面積等である。例えば正しい識別情報の発光色が緑色の表示である場合、偽の識別情報は赤色の表示である。正しい表示形式を認知した鍵管理人が操作パターンを操作した場合、識別情報の発光色を見ることで、正しい操作パターンが操作できたか否かを認識することができる。
【0085】
鍵、及びキーホルダーの物理的構成に関する変形例について説明する。本実施形態では、表示制御回路16が押下信号PSを受信すると、表示部7に全発光信号BSを送信したが、全発光信号BSは、表示部7の表示領域の一部を発光させる発光信号であってもよい。
【0086】
本実施形態では、有接点式の押圧操作可能な押しボタン8であったが、有接点式のスイッチ、静電容量素子を用いた無接点式のスイッチであってもよい。
【0087】
本実施形態では、表示部7は有機EL発光素子であるが、LEDアレー、LCDなどの電源遮断時に表示しない揮発性表示手段、または電子ペーパーなどの電源遮断時にも表示状態を保持する不揮発性表示手段であっても良い。不揮発性表示手段を使用する場合には、識別情報9を消去した後の表示状態が保持される。
【0088】
本実施形態では、電源10はボタン電池であったが、シート電池などの他の形状の一次電池、太陽電池、充電池などの二次電池、または無線給電であっても良い。電源10は、鍵及びキーホルダーが自由に移動可能なよう、鍵及びキーホルダーの外部から電力を供給する線に接続されていなければよい。
【0089】
本実施形態では、識別情報9は部屋番号等の数字であったが、コード番号、記号、発光色、点滅パターン等の鍵管理人のみが鍵の種類を識別できる情報であっても良い。
【0090】
本実施形態では、持ち手3は、長方形の平板形状であったが、平板の両面にユーザの親指と人指し指とで挟むことが可能な広さの面を両面にそれぞれ設けられていれば何でもよい。本実施形態では、プレート5は、長方形の平板形状を有したが、表示部7と押しボタン8とを設けることが可能な面積を有するならば何でも良い。
【0091】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0092】
〔構成の対応関係〕
本実施形態における鍵1、1B、1Cは、本発明における鍵の一例である。本実施形態におけるキーホルダー4、4Cは、本発明における付属物の一例である。本実施形態におけるプレート5、または持ち手3Bは、本発明における情報表示装置の一例である。本実施形態におけるプレート5C、及び持ち手3Cは、本発明における情報表示装置の一例である。本実施形態における押しボタン8、8Bは、本発明における操作部の一例である。本実施形態における表示部7、7Bは、本発明における表示部の一例である。本実施形態における識別情報9は、本発明における識別情報の一例である。本実施形態において正しい操作パターン12bは、本発明における所定の操作パターンの一例である。本実施形態において第1操作12b1、第2操作12b2、及び第3操作12b3は、本発明における複数の種類の操作の一例である。本実施形態におけるROM12は、本発明における記憶部の一例である。本実施形態におけるパターン読込期間PH1は、本発明における所定判断期間の一例である。本実施形態におけるCPU11とステップ103とは、本発明における操作判断部の一例である。本実施形態におけるCPU11と、表示制御回路16と、ステップ104とは、本発明における表示制御部の一例である。
【0093】
本実施形態における識別情報表示期間IHは、本発明における識別情報が表示されている表示期間の一例である。
【0094】
本実施形態における第1の期間T1、及び第2の期間T2は、順に本発明における第1の期間、及び第2の期間の一例である。本実施形態において長押し操作は、長期間操作の一例である。本実施形態において短押し操作は、短期間操作の一例である。本実施形態におけるCPU11、ステップ202、ステップ204、またはステップ206は、本発明における期間操作判断部の一例である。本実施形態において長押し操作は、複数の種類の操作の一例である。本実施形態における長押し操作、短押し操作、連続3回押しは、本発明における期間操作の一例である。
【0095】
本実施形態におけるCPU11と、ステップ204と、は、本発明における連続操作判断部の一例である。本実施形態において連続3回押しは、連続操作の一例である。本実施形態において連続3回押しは、複数の種類の操作の一例である。本実施形態における不操作期間Toff2は、本発明における不操作期間の一例である。
【0096】
本実施形態におけるプレート5の内部の軸線は、本発明における所定の軸線の一例である。本実施形態における角速度検出部15は、本発明における検出部の一例である。本実施形態における加速度信号ASは、本発明における加速度の一例である。本実施形態における回転操作は、本発明における運動操作の一例である。本実施形態における往復運動操作は、本発明における運動操作の一例である。本実施形態における公転操作は、本発明における運動操作の一例である。本実施形態におけるCPU11と、ステップ206と、は、本発明における運動判断部の一例であり、また運動期間判断部の一例である。本実施形態における加速度信号ASは、本発明における加速度の一例である。
【0097】
本実施形態において長押ししながら半回転操作は、本発明における運動操作の一例である。本実施形態において長押ししながら半回転操作は、本発明における長期間操作の一例である。本実施形態において長押ししながら半回転操作は、本発明における運動期間操作の一例である。本実施形態において長押ししながら半回転操作は、本発明における複数の種類の操作の一例である。
【符号の説明】
【0098】
1、1B、1C 鍵
2 ブレード
3、3B、3C 持ち手
4、4C キーホルダー
5、5C プレート
6 リング
6C ケーブル
7、7B 表示部
8、8B ボタン
9 識別情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の場所を開閉するための鍵、または、その鍵に連結された付属物に備えられる情報表示装置であって、
前記鍵、または、前記付属物の表面に設けられる1つの操作部と、
前記鍵、または、前記付属物の表面に設けられる表示部と、
前記鍵を識別する識別情報と、複数の種類の操作からなる所定の操作パターンと、を記憶する記憶部と、
前記操作部が所定判断期間の間に前記所定の操作パターンで操作されたか否かを判断する操作判断部と、
前記表示部の表示動作を制御する表示制御部と、を備え、
前記操作部が前記所定判断期間内に前記所定の操作パターンで操作されたと前記操作判断部が判断した場合、前記表示制御部は、前記記憶部から前記識別情報を読み出し、前記表示部に前記識別情報を表示し、
前記操作部が前記所定判断期間内に所定の操作パターンで操作されなかったと前記操作判断部が判断した場合、前記表示制御部は、前記表示部に前記識別情報を表示しないことを特徴とする鍵に用いられる情報表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、発光可能な表示領域を有し、
前記表示制御部は、前記表示部に前記識別情報が表示されている表示期間以外の期間で、前記操作部が操作されている間、前記表示部の表示領域を発光させることを特徴とする請求項1に記載の鍵に用いられる情報表示装置。
【請求項3】
前記所定の操作パターンのうち少なくとも一部の操作は、
前記操作部が第1の期間操作されている長期間操作、または前記操作部が前記第1の期間より短い第2の期間操作されている短期間操作を有する期間操作であり、
前記操作判断部は、
前記操作部が前記期間操作で操作されたか否かを判断する期間操作判断部を有することを特徴とする請求項2に記載の鍵に用いられる情報表示装置。
【請求項4】
前記期間操作は、
前記長期間操作または前記短期間操作を、不操作期間を挟んで複数回行う連続操作であり、
前記期間操作判断部は、
前記操作部が前記連続操作で操作されたか否かを判断する連続操作判断部を含むことを特徴とする請求項3に記載の鍵に用いられる情報表示装置。
【請求項5】
所定の方向の加速度、または所定の軸線回りの角速度を検出する検出部を備え、
前記所定判断期間の間の前記所定の操作パターンのうち、前記期間操作とは異なる他の操作は、前記検出部により検出された前記加速度、または前記角速度を基にした、前記鍵、または、前記付属物の運動操作であり、
前記操作判断部は、
前記鍵、または、前記付属物が前記運動操作で運動されたか否かを判断する運動判断部を有することを特徴とする請求項3または4に記載の鍵に用いられる情報表示装置。
【請求項6】
前記運動操作の少なくとも一部の操作は、前記長期間操作、または前記短期間操作を行いながら運動操作を行う運動期間操作であり、
前記運動判断部は、
前記運動期間操作が操作されたか否かを判断する運動期間操作判断部を含むことを特徴とする請求項5に記載の鍵に用いられる情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−233302(P2012−233302A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100573(P2011−100573)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】