説明

鍵盤楽器の鍵ガイド装置

【課題】鍵ガイド装置において、鍵における樹脂成型条件の変化、成型の後収縮による影響等を受けず、設計精度を維持してスティックやメカ雑の発生を防止するとともに、鍵の鍵並び方向の位置精度を維持しする。
【解決手段】鍵1の前面内壁部12に突条からなる鍵側ガイド部材13を形成する。水平断面コ字状のフレーム側ガイド部材25を鍵フレームから立設する。フレーム側ガイド部材25を、平行な2つの突条25a,25aと支持部25bとで構成する。突条25a,25aの間のガイド溝251により鍵側ガイド部材13をガイドする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵が鍵フレームに揺動自在に取り付けられ、鍵の内壁面に設けられた鍵側ガイド部材と、鍵フレームに一体に設けられたフレーム側ガイド部材とにより、鍵の揺動軌跡をガイドする鍵盤楽器の鍵ガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の鍵ガイド装置として、例えば特開平9−244656号公報(特許文献1)、特許第3044810号公報(特許文献2)等に開示されたものがある。特許文献1のものは、フレーム(10)の前板(14)の上部に鍵ガイド(55)を配設し、この鍵ガイド(55)を白鍵(20)の先端部分の内側に配置し、この白鍵の鍵並び方向に対向する両側面(側板)と鍵ガイド(55)とにより白鍵(20)のガイドを行うようにしている。
【0003】
特許文献2のものは、鍵盤フレーム(3) の前部に鍵ガイド(5) を立設し、鍵(1) の前端部の下限ストッパ(1b)内に被ガイド部(4) を設け、被ガイド部(4) の鍵並び方向に対向する両面と鍵ガイド(5) とにより鍵(1) のガイドを行うようにしている。また、この特許文献2には、鍵ガイド(5) と被ガイド部(4) との間に若干のグリースを介在させることが記載されている。
【特許文献1】特開平9−244656号公報
【特許文献2】特許第3044810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2の鍵ガイド装置のように、従来の構造は、鍵の鍵並び方向(鍵盤の幅方向)において、鍵ガイドが鍵の例えば側面に当接してガイドするような構造になっているので、寸法安定性の問題、鍵の位置についての問題、鍵外観についての問題など、各種の問題がある。
【0005】
寸法安定性の問題は例えば以下のとおりである。成形品にて形成される鍵の形状は、鍵の下面が開放された箱形状となるのが一般的である。このため、樹脂成型条件の変化、ばらつきや樹脂成型の後収縮(変形)が原因となり、鍵側面の高さが高いほど、また鍵前面や後面から鍵中央側に離れるほど、両側面間の寸法が不安定となる。その結果、意図した設計寸法通りの物ができずに、鍵と鍵ガイドとの意図しない接触の為に、鍵上下方向の可動が滑らかでなくなったり、接触による雑音の発生が生じる等、鍵ガイド機機能上の問題が発生していた。
【0006】
鍵の位置についての問題は例えば以下のとおりである。鍵の揺動支点に対し先端部との中間に位置する鍵ガイドにより、この鍵の中間の位置にて、鍵左右方向の位置決めが行われることになる。このため、鍵ガイド部(鍵ガイド)の位置が、先端側から揺動支点方向に近づくほど、鍵先端部の鍵並び方向の位置精度が出にくくなり、隣接する各鍵間での隙間のばらつきが大きくなる。
【0007】
鍵外観についての問題は例えば以下のとおりである。図9に示したように、鍵のAの位置あるいはBの位置に鍵ガイド部がある場合、その近傍に鍵両側面をつなぐリブを設け、両側面の変形(内反り)を防ぐという手段も従来実施されている。しかし、そのためにリブを設けた部分の鍵上面側(外観部)にヒケを生じやすくなる。また、鍵両側面の間隔(鍵の幅)が広くなるほど、また設置したリブの高さが高くなるほどヒケは出やすい傾向となる。このため、図9の鍵ガイド部の位置Aが鍵先端部(前面)に近いほど前記鍵の位置の問題に対しては有利になるが、変形防止のリブの上面(外観部)は鍵ガイド部の位置が位置Bにある場合よりよも逆にヒケやすくなり外観的には不利になる。さらに、リブの根元を薄肉にしてヒケ解消対策をとるとすると、成型用の金型にスライド機構(鍵奥行き方向にスライドするコア)が必要になるが、スライドさせる為の鍵奥行き方向へのスペースが必要となる。
【0008】
本発明の第1の課題は、鍵ガイド装置において、鍵における樹脂成型条件の変化、ばらつきや樹脂成型の後収縮による影響を受けず、設計精度を維持して、鍵上下方向の可動が滑らかでなくなったり接触による雑音の発生が生じるのを防止することにある。本発明の第2の課題は、鍵の鍵並び方向の位置精度を維持して隣接する各鍵間での隙間のばらつきを小さくし、外観性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の鍵盤楽器の鍵ガイド装置は、鍵が鍵フレームに揺動自在に取り付けられ、鍵の内壁面に設けられた鍵側ガイド部材と、鍵フレームに一体に設けられたフレーム側ガイド部材とにより、鍵の揺動軌跡をガイドする鍵盤楽器の鍵ガイド装置において、鍵側ガイド部材を、鍵の前面内壁部より突出する少なくとも1つの凸状部材(例えば突条)として設け、フレーム側ガイド部材を、鍵側ガイド部材の鍵幅方向左右への可動を規制するように設置した。
【0010】
請求項2の鍵盤楽器の鍵ガイド装置は、請求項1と同様な構成にするとともに、さらに、鍵の上下方向可動時に鍵側ガイド部材とフレーム側ガイド部材とが摺接する摺接部を有し、該摺接部での鍵側ガイド部材の鍵幅方向の寸法を、フレーム側ガイド部材の鍵幅方向幅の寸法より大きくした。
【0011】
請求項3の鍵盤楽器の鍵ガイド装置は、請求項1と同様な構成にするとともに、さらに、鍵の上下方向可動時に鍵側ガイド部材とフレーム側ガイド部材とが摺接する摺接部を有し、該摺接部での鍵側ガイド部材の鍵幅方向の寸法を、フレーム側ガイド部材の鍵幅方向幅の寸法より小さくした。
【0012】
請求項4の鍵盤楽器の鍵ガイド装置は、請求項3に記載の鍵盤楽器の鍵ガイド装置であって、前記フレーム側ガイド部材を、前記摺接部上下方向の少なくとも摺接範囲において、前記鍵側ガイド部材を挟んで左右別体に構成した。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の鍵盤楽器の鍵ガイド装置によれば、鍵における樹脂成型条件の変化、ばらつきや樹脂成型の後収縮による影響を受けず、設計精度を維持してスティックやメカ雑の発生を防止できる。また、鍵の並び方向の位置精度を維持することができる。したがって、隣接する各鍵間での隙間のばらつきを小さくでき、外観性を向上できる。
【0014】
請求項2の鍵盤楽器の鍵ガイド装置によれば、請求項1と同様な効果に加えて、フレーム側ガイド部材が一つの突条でよいので、鍵フレームの成型が容易になる。
【0015】
請求項3の鍵盤楽器の鍵ガイド装置によれば、請求項1と同様な効果に加えて、鍵側ガイド部材が一つの突条でよいので、鍵の成型が容易になる。また、フレーム側ガイド部材の2つの突条は、鍵側ガイド部材の突条が填るように、この2つの突条の少なくとも鍵フレーム先端側が左右に開口(離間)している。したがって、鍵側ガイド部材とフレーム側ガイド部材との間に潤滑剤(グリース等)を介在させる場合、フレーム側ガイド部材の摺接部に潤滑剤を塗布する際に、このフレーム側ガイド部材の左右開口部分から1鍵につき1回の塗布で済むので、人的な作業もしやすい。さらに、潤滑剤塗布行程の自動化を考慮した場合、作業も単純で工程も少なく適している。
【0016】
請求項4の鍵盤楽器の鍵ガイド装置によれば、請求項3の効果が得られるとともに、潤滑剤塗布行程の自動化を考慮した場合、さらに、作業も単純で工程も少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は実施の形態の鍵ガイド装置を適用した鍵盤装置における鍵の裏面図(図1(A) )及び斜視図(図1(B) )であり、白鍵の下側から見た図である。図2は同鍵盤装置における鍵フレームの要部斜視図及び一部拡大図であり、上側から見た図である。図3は同鍵盤装置の要部を示す側断面図であり、図3(A) は離鍵状態、図3(B) は押鍵状態を示している。なお、図3において図面の左側が演奏者側、図3の図面に直角な方向が鍵並び方向である。以下、この鍵盤装置において、「上下左右」を指す場合、演奏時の演奏者側(鍵盤側)から見た正立状態の「上下左右」とする。また、「前後方向(あるいは手前と奥)」を指す場合、演奏者側を「前、手前」、背面側を「後、奥」とする。
【0018】
この鍵盤装置は電子鍵盤楽器のものであり、鍵1及び鍵フレーム2は合成樹脂で型成型したものである。鍵1の後端には鍵基端部11が形成され、鍵フレーム2の後端上部には鍵支持部21,21,…が形成されている。そして、鍵支持部21に鍵基端部11を取り付けることにより、鍵フレーム2上に鍵1が鍵並び方向に多数配置されている。そして、鍵フレーム2は図示しない楽器本体ケースの下ケースに取り付けられる。なお、回路基板、ハンマー機構(質量体)、ハンマー機構を稼動可能に揺動するための鍵機能ブロック、ストッパ等は図示を省略してり、鍵支点部は図示を簡略化してある。
【0019】
鍵1は、演奏者側の前壁1a、隣接する鍵と隣接する側板1b,1b、押鍵時の操作面となる上面板1cを有し、鍵1の下面が開放された箱形状に形成されている。前壁1aの内面は前面内壁部12とされ、この前面内壁部12には、該前面内壁部12の鍵並び方向中央の位置に、鍵1の後端側に突出する突条となる鍵側ガイド部材13が形成されている。この鍵側ガイド部材13は上下方向に延設されるリブ状の形状であり、前壁1aの下面側端部から上面板1cまで形成されている。
【0020】
鍵フレーム2の鍵支持部21より前側には上面部22が形成され、この上面部22上もしくはフレームの前部の裏面等には、鍵1の下に配置される鍵スイッチ等を搭載した回路基板が配設される。さらに、鍵フレーム2の上面部22から前方には、複数のリム23で支持され鍵並び方向に延びる前フレーム24が形成されている。そして、前フレーム24の上には各白鍵1に対応する位置にフレーム側ガイド部材25が立設されている。図2の拡大図に示したように、このフレーム側ガイド部材25は、水平断面形状がコ字状の形状であり、平行な2つの突条25a,25aと、この突条25a,25aをフレームの奥側で連結する支持部25bとで構成されている。そして、突条25a,25aの間にはガイド溝251が形成されている。
【0021】
図4は鍵1を鍵フレーム2に取り付けた組立状態での鍵1の先端部分とフレーム側ガイド部材25の拡大平断面図であり、図3におけるA−A矢視断面を示している。この組立状態では、フレーム側ガイド部材25のガイド溝251内に鍵1の鍵側ガイド部材13が配置される。鍵側ガイド部材13の両側の側面13a,13aと、ガイド溝溝251の内側面251a,251aとの間には僅かに隙間(クリアランス)が設けられている。
【0022】
すなわち、図5(A) に誇張して図示したように、鍵側ガイド部材13の側面13a,13aの寸法D1は、フレーム側ガイド部材25の内側面251a,251aの寸法D2より小さくなっている。そして、1つの突条である鍵側ガイド部材13とフレーム側ガイド部材25の突条25a,25aとが対向する対向面、すなわち、鍵側ガイド部材13の側面13a,13aと、フレーム側ガイド部材25の内側面251a,251aは、それぞが摺接部となる。なお、図示は省略するがこの摺接部(側面13aと内側面251aとの間)には潤滑剤が塗布される。
【0023】
以上の構成により、図3(A) に示す離鍵状態から鍵1を押鍵すると図3(B) のように鍵1は下方に揺動するが、このとき、鍵側ガイド部材13がフレーム側ガイド部材25のガイド溝251内をその内側面251a,251aに案内されて移動する。したがって、鍵1の鍵並び方向における振れが防止される。この鍵側ガイド部材13とフレーム側ガイド部材25は鍵ガイド部を構成しており、この鍵ガイド部が鍵1の先端側すなわち鍵基端部11から最も遠い位置にある。したがって、鍵1の鍵並び方向の位置精度も高くなる。なお、上記の鍵側ガイド部材13は前壁1aの下面側端部から上面板1cにまで形成されているが、この鍵側ガイド部材は前面内壁部12の途中まで形成したものでもよい。
【0024】
図6、図7及び図8は実施の形態の鍵ガイド部の変形例である。なお、各変形例において図1〜図4の実施例と同様な要素には図1〜図4と同符号を付記し、対応する要素には同符号に「′,″」を付記て詳細な説明は省略する。
【0025】
図6の第1変形例では、鍵側ガイド部材13は前記実施例と同様な構造であり、フレーム側ガイド部材25′は前記実施例のフレーム側ガイド部材25に対して補強リブを形成したものである。図6(A) は突条25a,25aの前面側に、鍵1の前面内壁部12に対向するように補強リブ25c,25cを形成したものである。図6(B) は突条25a,25aの前面側の補強リブ25c,25cに加えて、さらに支持部25bを鍵並び方向に延長して外側に補強リブ25c′,25c′を形成したものである。図6(C) は支持部25b側だけに補強リブ25c′,25c′を形成したものである。図6(D) は支持部25bを鍵1の長手方向に延長して補強リブ25dを形成したものである。
【0026】
前記実施例のフレーム側ガイド部材25も突条25a,25aを対向させるとともにこれらの突条25a,25aの片側を支持部25bで連結した、水平断面コ字状となっているので十分に堅牢である。これに加えて、上記第1変形例のフレーム側ガイド部材25′は補強リブ25c,25c′,25dによりさらに堅牢になる。
【0027】
図7の第2変形例では、鍵側ガイド部材13は前記実施例と同様な構造であり、フレーム側ガイド部材25′は前記実施例のフレーム側ガイド部材25から支持部25bを無くした構造が特徴である。すなわち、この第2変形例ではフレーム側ガイド部材25′において2つの突条25a,25aが、鍵1の長手方向に貫通するように開口(左右に離間)している。これにより、ガイド溝251′の内側面251a,251aに潤滑剤を塗布する場合、例えばこの開口するガイド溝251′内に、潤滑剤を付けた治具を鍵1の長手方向に貫通して挿通することができる。したがって、人的な作業はもとより、潤滑剤塗布行程の自動化を考慮した場合でも、作業も単純で工程も少なく適している。
【0028】
なお、図7(B) 〜図7(F) は第2変形例と同様な補強リブを形成したものであり、図7(B) は突条25a,25aの前面側の補強リブ25c,25cと後面側に補強リブ25c′,25c′を形成したものである。図7(C) は突条25a,25aの前面側だけに補強リブ25c,25cを形成したものである。図7(D) は突条25a,25aの後面側だけに補強リブ25c′,25c′を形成したものである。図7(E) は突条25a,25aの外面に補強リブ25e,25eを形成したものである。図7(F) は突条25a,25aの前面側だけに補強リブ25c,25cを形成するとともに、この突条25aと補強リブ25cとの結合部分を肉厚部252としたものである。なお、この例では肉厚部252,252が鍵側ガイド部材13に当接するので、突条25a,25aは主に補強の機能をする。
【0029】
図8の第3変形例は、鍵側ガイド部材として、鍵1の前面内壁部12において該前面内壁部12の鍵並び方向に、平行な2つの突条13′,13′を形成したものである。また、フレーム側ガイド部材25″を一つの突条で構成するとともに、このフレーム側ガイド部材25″に補強リブを形成したものである。なお、このフレーム側ガイド部材25″も前記前フレーム24の上に白鍵1に対応して立設されていることは前記実施例と同様である。そして、2つの突条13′,13′でフレーム側ガイド部材25″挟むように配置される。
【0030】
前記第1変形例及び第2変形例は、前記図5(A) で説明したに示した側面13a,13aの寸法D1と内側面251a,251aの寸法D2の関係が前記実施例と同様なものである。これに対して、図8の第3変形例では、図5(B) に示したように、突条13′,13′の内側面13a′,13a′の寸法D1は、フレーム側ガイド部材25″の側面251a″,251a″の寸法D2より大きくなっている。そして、2つの突条13′,13′とフレーム側ガイド部材25″とが対向する対向面、すなわち、突条13′,13′の内側面13a′,13a′と、フレーム側ガイド部材25″の内側面251a″,251a″はそれぞ摺接部となる。なお、この摺接部にも潤滑剤が塗布される。
【0031】
なお、図8(A) はフレーム側ガイド部材25″の後面側に補強リブ25c″,25c″を形成したものである。図8(B) はフレーム側ガイド部材25″の外面に補強リブ25e″,25e″を形成したものである。また、図8(C) はフレーム側ガイド部材25″の後面側に補強リブ25c″,25c″を形成するとともに、鍵側ガイド部材としての突条13′,13′に補強リブ13b′,13b′を形成したものである。
【0032】
あた、鍵上面側(外観部)の外観を損ねずに鍵ガイド部を構成することができ、さらに、鍵ガイド部後方(鍵奥側)のスペースが広がり、例えば自動ピアノ等のように、鍵を自動演奏させる駆動部など、他機能のための部材設置の自由度が向上する。また、仮に金型にスライド機構を設ける場合にも、鍵ガイド部後方のスペースが広がり設計の自由度が増す。
【0033】
以上の実施の形態は白鍵について説明したが、黒鍵においても同様の構成とすることができる。この場合、黒鍵に対応するフレーム側ガイド部材は、例えば図3において鍵フレーム2の上面部22と前フレーム24との間で、鍵並び方向の黒鍵に対応する位置に形成すればよい。なお、黒鍵は白鍵よりも幅が狭く、また鍵支持部21からの長さも白鍵より短いので、樹脂成型の後収縮(変形)や両側面の変形(内反り)等が少ない。したがって、この黒鍵については本発明を適用しなくてもよい。
【0034】
以上の実施の形態では鍵側ガイド部材、フレーム側ガイド部材が樹脂により形成されているが、鍵側ガイド部材は、樹脂のみで構成しても良いし、樹脂に弾性部材(エラストマー等)をアウトサートして形成しても良い。また、フレーム側ガイド部材は、樹脂のみ及び金属のみで構成しても良いし、樹脂及び金属に弾性部材(エラストマー等)を被せて(アウトサート等)形成しても良い。さらに鍵側ガイド部材とフレーム側ガイド部材の材質は上記の組み合わせでもよい。
【0035】
また、実施の形態では、鍵側ガイド部材は鍵の前面内壁部の鍵並び方向中央の位置に形成されているが、この前面内壁部のの幅方向(鍵並び方向)のどの位置に形成されても良い。すなわち中央部である必要は無い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態の鍵ガイド装置を適用した鍵盤装置における鍵の裏面図及び斜視図である。
【図2】同鍵盤装置における鍵フレームの要部斜視図及び一部拡大図である。
【図3】同鍵盤装置の要部を示す側断面図である。
【図4】実施の形態における鍵と鍵フレームとの組立状態での鍵ガイド部の拡大平断面図である。
【図5】実施の形態における鍵側ガイド部材とフレーム側ガイド部材の寸法を説明する図である。
【図6】実施の形態の鍵ガイド部の第1変形例を示す図である。
【図7】実施の形態の鍵ガイド部の第2変形例を示す図である。
【図8】実施の形態の鍵ガイド部の第3変形例を示す図である。
【図9】従来の鍵における鍵ガイド部の位置の例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1…鍵、12…前面内壁部、13…鍵側ガイド部材(凸状部材)、13a…側面(摺接部)、2…鍵フレーム、25…フレーム側ガイド部材、25a…突条(凸状部材)、251a…内側面(摺接部)、25′…フレーム側ガイド部材、13′…突条(鍵側ガイド部材)、25″…フレーム側ガイド部材、13a′…内側面(摺接部)、251a″…側面(摺接部)、D1,D2…寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵フレームと、
該鍵フレームに揺動自在に取り付けけられた鍵と、
該鍵の内壁面に設けられた鍵側ガイド部材と、
該鍵フレームに一体に複数設けられたフレーム側ガイド部材とを備えた鍵盤楽器の鍵ガイド装置において、
前記鍵側ガイド部材が、前記鍵の前面内壁部より突出する少なくとも1つの凸状部材として設けられ、
前記フレーム側ガイド部材が前記鍵側ガイド部材の鍵幅方向左右への可動を規制するように設置されたことを特徴とする鍵盤楽器の鍵ガイド装置。
【請求項2】
鍵フレームと、
該鍵フレームに揺動自在に取り付けられた鍵と、
該鍵の内壁面に設けられた鍵側ガイド部材と、
該鍵フレームに一体に複数設けられたフレーム側ガイド部材とを備えた鍵盤楽器の鍵ガイド装置において、
前記鍵側ガイド部材が、前記鍵の前面内壁部より突出する少なくとも1つの凸状部材として設けられ、
前記フレーム側ガイド部材が前記鍵側ガイド部材の鍵幅方向左右への可動を規制するように設置され、
前記鍵の上下方向可動時に前記鍵側ガイド部材と前記フレーム側ガイド部材とが摺接する摺接部を有し、該摺接部での該鍵側ガイド部材の鍵幅方向の寸法が、該フレーム側ガイド部材の鍵幅方向幅の寸法より大きいことを特徴とする鍵盤楽器の鍵ガイド装置。
【請求項3】
鍵フレームと、
該鍵フレームに揺動自在に取り付けられた鍵と、
該鍵の内壁面に設けられた鍵側ガイド部材と、
該鍵フレームに一体に複数設けられたフレーム側ガイド部材とを備えた鍵盤楽器の鍵ガイド装置において、
前記鍵側ガイド部材が、前記鍵の前面内壁部より突出する少なくとも1つの凸状部材として設けられ、
前記フレーム側ガイド部材が前記鍵側ガイド部材の鍵幅方向左右への可動を規制するように設置され、
前記鍵の上下方向可動時に前記鍵側ガイド部材と前記フレーム側ガイド部材とが摺接する摺接部を有し、該摺接部での該鍵側ガイド部材の鍵幅方向の寸法が、該フレーム側ガイド部材の鍵幅方向幅の寸法より小さいことを特徴とする鍵盤楽器の鍵ガイド装置。
【請求項4】
前記フレーム側ガイド部材が、
前記摺接部上下方向の少なくとも摺接範囲において、前記鍵側ガイド部材を挟んで左右別体に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の鍵盤楽器の鍵ガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−264057(P2007−264057A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85568(P2006−85568)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】