説明

鍵盤装置

【課題】鍵が鍵盤シャーシから脱落しにくく、横方向の傾きやぐらつきを抑えて優れた安定性を実現することのできる鍵盤装置を提供する。
【解決手段】複数の鍵3が鍵盤シャーシ1に対して押鍵方向に回動自在に取り付けられている鍵盤装置100であって、鍵盤シャーシ1の鍵押さえ部材20は、凸部としての摺接部26を備え、鍵3のシャーシ取付け部36は、凹部としての開口部を備えており、摺接部26と開口部とが係合された状態において鍵3の鍵盤シャーシ1からの脱落を防止し鍵3の横方向の傾きを抑制するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵盤装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子ピアノ等の電子楽器の鍵盤装置は、鍵盤シャーシと複数の鍵(白鍵と黒鍵)とを備えており、例えば、鍵盤シャーシの後部に鍵を取り付ける取付け部を設けて、これに鍵の後端部を嵌め込むことにより鍵を上下方向に回動可能に取り付けるのが一般的である。
【0003】
しかし、このように鍵を嵌め込むことにより取り付ける場合には、外部から強い衝撃が加わった際等に鍵が鍵盤シャーシから浮き上がったり脱落したりするおそれがある。
また、鍵の先端側には鍵を上下方向にのみ可動するようガイドする鍵ガイド部が設置されているが、硬い材質のものを用いると異音が発生するため、鍵ガイド部は硬度の低い材料で形成されている。このため、例えば鍵が横方向や斜め方向から押された場合に、鍵が横方向に傾いたりぐらついたりしてしまうことがあった。
【0004】
そこで、従来、鍵を鍵盤シャーシに揺動自在に枢支した後、鍵の後端部の浮上りを阻止する押圧板を配置して、鍵の浮き上がりや脱落を防止するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−165460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、単に鍵の後端部を押圧板により上方から押さえる場合、強く押圧すると鍵の滑らかな動きが阻害されてしまう。他方で、軽く押さえるのみでは、強い衝撃が加わったときに鍵が浮き上がったり脱落したりするのを防止したり、鍵の横方向の傾きやぐらつきを防止するには不十分である。
【0007】
そこで、本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、鍵が鍵盤シャーシから脱落しにくく、横方向の傾きやぐらつきを抑えて優れた安定性を実現することのできる鍵盤装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の鍵盤装置は、
鍵盤シャーシと、
この鍵盤シャーシに対して押鍵方向に回動自在に取り付けられている複数の鍵と、を備える鍵盤装置であって、
前記鍵盤シャーシは、前記鍵を取り付ける鍵取付け部を有し、
前記鍵は、一端側に前記取付け部に取り付けられる被取付け部を備え、
前記鍵取付け部は、互いに係合可能な凹部又は凸部のうちのいずれか一方を備え、
前記被取付け部は、前記凹部又は前記凸部のうちの他方を備え、
前記凹部又は前記凸部の一方と前記凹部又は前記凸部の他方とが係合された状態において前記鍵の前記鍵盤シャーシからの脱落を防止し前記鍵の横方向の傾きを抑制するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤装置において、
前記凹部は前記被取付け部に設けられ、前記凸部は前記鍵取付け部に設けられており、
前記被取付け部は、少なくとも上部が前記鍵の回動中心を中心とした円弧状に形成され、この円弧状に形成された上部に前記凹部としての開口部を有し、
前記鍵取付け部は、前記鍵の幅方向の中心に向かって傾斜する一対の稜線部により山形に形成されその頂点が前記開口部から前記被取付け部内に挿入されて押鍵時に前記開口部の端縁に沿って摺動する前記凸部としての摺接部を有する鍵押さえ部材を備えていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤装置において、
前記凹部は前記被取付け部に設けられ、前記凸部は前記鍵取付け部に設けられており、
前記被取付け部は、少なくとも上部が前記鍵の回動中心を中心とした円弧状に形成され、この円弧状に形成された上部に前記凹部としての開口部を有し、
前記鍵取付け部は、前記開口部から前記被取付け部内に挿入される前記凸部としての挿入片と、この挿入片の両側に設けられ前記鍵の幅方向の中心に向かって傾斜する一対の稜線部により構成されて前記開口部の端縁に当接し押鍵時に前記開口部の端縁に沿って摺動する摺接部と、を有する鍵押さえ部材を備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤装置において、
前記凸部は前記被取付け部に設けられ、前記凹部は前記鍵取付け部に設けられており、
前記被取付け部は、前記凸部として、前記鍵の回動に伴って撓む可撓性を有する突出部を備え、
前記鍵取付け部は、前記突出部と嵌り合う前記凹部としての係合穴を有する鍵押さえ部材を備えていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の鍵盤装置において、
前記突出部は、前記鍵の幅方向と直交する方向の厚みが薄い薄板状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鍵取付け部に設けられている凹部又は凸部と被取付け部に設けられている凹部又は凸部とが係合するように構成されているため、外部から強い衝撃が加わった場合にも、鍵盤シャーシからの鍵の脱落を防止することができ、また、横方向等から鍵が押鍵された場合等でも、鍵の横方向の傾きやぐらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の鍵盤装置の非押鍵状態における側断面図である。
【図2】第1の実施形態の鍵盤装置の押鍵状態における側断面図である。
【図3】第1の実施形態の鍵押さえ部材の斜視図である。
【図4】第1の実施形態の鍵押さえ部材の正面図である。
【図5】第1の実施形態の鍵押さえ部材の側面図である。
【図6】第1の実施形態の鍵のシャーシ取付け部の斜視図である。
【図7】鍵のシャーシ取付け部を鍵支持部に嵌め込む様子を説明する側断面図である。
【図8】鍵のシャーシ取付け部を鍵支持部に嵌め込み鍵押さえ部材で押える様子を装置の後部側から見た説明図である。
【図9】図1のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】第2の実施形態の鍵押さえ部材の斜視図である。
【図11】第2の実施形態の鍵押さえ部材の正面図である。
【図12】第2の実施形態の鍵押さえ部材の側面図である。
【図13】第2の実施形態における鍵の鍵盤シャーシへの取付け状態を示す断面図である。
【図14】第3の実施形態の鍵盤装置の非押鍵状態における側断面図である。
【図15】第3の実施形態の鍵盤装置の押鍵状態における側断面図である。
【図16】第3の実施形態の鍵のシャーシ取付け部の斜視図である。
【図17】(a)は、第3の実施形態の鍵押さえ部材の上面図であり、(b)は、第3の実施形態の鍵押さえ部材の正面図である。
【図18】図14のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。
【図19】第4の実施形態の鍵盤装置の非押鍵状態における側断面図である。
【図20】第4の実施形態の鍵盤装置の押鍵状態における側断面図である。
【図21】第4の実施形態の鍵のシャーシ取付け部の斜視図である。
【図22】(a)は、第4の実施形態の鍵押さえ部材の側面図であり、(b)は、第4の実施形態の鍵押さえ部材の上面図であり、(c)は、第4の実施形態の鍵押さえ部材の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
先ず、図1から図9を参照しつつ、本発明に係る鍵盤装置の第1の実施形態について説明する。なお、本発明の範囲は図示例に限定されない。
【0016】
図1及び図2は、本実施形態における鍵盤装置の側断面図である。図1は、鍵が押鍵されていない状態を示しており、図2は、鍵が押鍵された状態を示している。
図1及び図2に示すように、鍵盤装置100は、鍵盤シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上に押鍵方向である上下方向(図1において上下方向)に回動可能に取り付けられている複数の鍵3と、この複数の鍵3にそれぞれ対応して設けられ鍵3の各押鍵動作に応じてそれぞれ電気信号を出力する複数のスイッチ部(図示せず)と、この複数の鍵3の下側にそれぞれ対応して設けられ、鍵3の押鍵動作に伴って回動変位し当該鍵3に対してアクション荷重を付与する複数のハンマー部材4とを備えている。鍵盤シャーシ1及び鍵盤シャーシ1に取り付けられている各種部材は、図示しない本体ケースに収納されている。
本実施形態において、鍵盤装置100は、鍵3として、複数の白鍵と複数の黒鍵とを備えているが、図1等においては、図示の便宜上、白鍵1つのみを表している。なお、鍵3の構成、鍵3を鍵盤シャーシ1に取り付ける構成は、いずれの鍵3についても共通である。
【0017】
鍵盤シャーシ1は、例えばABS樹脂等の合成樹脂により一体的に形成されており、この鍵盤シャーシ1の前端部(図1及び図2では右端部)には、鍵3の前端部内側に下方から摺接し鍵3の前端部をガイドする鍵ガイド部11(図1及び図2では、白鍵をガイドする白鍵ガイド部のみを図示している。)が、鍵盤シャーシ1の底部(すなわち図1及び図2において下側)から上方に突出するように形成されている。
この鍵ガイド部11の後部側(図1及び図2では左側)には、図1及び図2に示すように、鍵3が押鍵されてその前端部が下方に下がったときに鍵3のハンマー取付け部35を受ける凹部である取付け部受け凹部12が設けられている。
【0018】
この取付け部受け凹部12の後部側には、ハンマー部材4を回動自在に支持するハンマー支持部13が設けられている。ハンマー支持部13には、ハンマー部材4を上下方向に支持するハンマー支持軸14が設けられている。
【0019】
さらに、このハンマー支持部13の後部側には、立上り部10が、上方に突出するように形成されており、この立上り部10には、ハンマー部材4を挿通させる開口部10aが形成されている。
【0020】
また、鍵3の中間部に対応する鍵盤シャーシ1上には、図示しないスイッチ基板が配置されており、このスイッチ基板上であって、各鍵3のスイッチ押圧部に対応する位置には、それぞれスイッチ部としてのゴムスイッチ(図示せず)が設けられている。
【0021】
このゴムスイッチは、例えばスイッチ基板上に配設されたゴムシートを備え、このゴムシート上であって、各鍵3のスイッチ押圧部34(後述)にそれぞれ対応する位置にドーム状の膨出部を形成したものである。
ゴムスイッチ及びこれを押圧する機構は特に限定されないが、例えば、鍵3が押下されたときに、鍵3に設けられているスイッチ押圧部34がゴムスイッチの膨出部を押圧する。これにより膨出部が弾性変形して、その内部に設けられている可動接点がスイッチ基板上の固定接点と接触し、ON信号を出力するように構成されている。
【0022】
さらに、ハンマー支持部13及びゴムスイッチよりも後部側(図1及び図2において左側)には、複数の鍵3(白鍵、黒鍵)を支持する鍵支持部15が上方に突出して設けられている。
この鍵支持部15は、一対の鍵支持板15aを備えており、この鍵支持板15aの内側面には、鍵3の後端部を回動可能に支持するための鍵支持凸部16が互いに内側に向かって対向するように突設されている。
なお、鍵3を支持するための構成はここに示すものに限定されず、例えば、鍵支持部15に、鍵3の後端部を回動可能に支持するための鍵支持軸を設けて、この軸に鍵3を支持させるようにしてもよい。
【0023】
また、鍵支持部15の後部側には、後述する鍵押さえ部材20をねじ止め固定するための固定部17が設けられている。
本実施形態においては、鍵支持部15と鍵押さえ部材20とにより、鍵盤シャーシ1に鍵3を取り付ける鍵取付け部が構成されている。
【0024】
図3は、この固定部17に固定される鍵押さえ部材20の斜視図であり、図4は、鍵押さえ部材20の正面図(すなわち、鍵盤装置100の前側(図1及び図2では右側)から見た図)であり、図5は、鍵押さえ部材20の側面図である。
図3から図5に示すように、鍵押さえ部材20は、鍵盤装置100の幅方向(すなわち、横方向)に延在する長尺の部材であり、固定部17のねじ孔(図示せず)に対応する位置にねじ孔24が形成された平板状のシャーシ固定部21と、このシャーシ固定部21の長手方向の一辺からほぼ垂直に立ち上がる立上り部22と、この立上り部22の上端からシャーシ固定部21とは反対側にほぼ水平に延出する庇部23と、この庇部23の長手方向の端部からほぼ鉛直に垂下するリブ25とを有している。
【0025】
このリブ25には、鍵押さえ部材20を固定部17に固定した際に各鍵3に対応する位置に、鍵3の幅方向の中心に向かって傾斜する一対の稜線部により山形に形成された摺接部26が設けられている。
摺接部26は、その頂点が後述する鍵3のシャーシ取付け部36の開口部36a(図6参照)から被取付け部であるシャーシ取付け部36の内部に挿入されて押鍵時にシャーシ取付け部36の開口部36aの端縁に沿って摺動する凸部である。
【0026】
また、鍵盤シャーシ1の後端部上側の裏面側には、ハンマー部材4が図1において時計回りに付勢された際に、ハンマー部材4の先端部の上面に当接してハンマー部材4の先端部である当接部44の上限位置を規制する上限ストッパ18が設けられている。また、鍵盤シャーシ1の後端部下側の表面側(図1及び図2において上側)には、ハンマー部材4が図1において反時計回りに回動した際に、ハンマー部材4の当接部44の下面に当接してハンマー部材4の当接部44の下限位置を規制する下限ストッパ19が設けられている。
上限ストッパ18、下限ストッパ19は、それぞれ、フェルト等により形成されており、ハンマー部材4の当接部44が上限ストッパ18、下限ストッパ19に当接した際に、その衝撃を吸収可能となっている。
【0027】
本実施形態において、鍵3は、樹脂等により形成されており、細長いほぼ角筒形状をなしている。
鍵3は内部が中空となっており、下側に開放された断面矩形状に形成されている。鍵3の内部における前部側(図1では右端部側)には、鍵ガイド部11が下側から挿入されるようになっており、この鍵ガイド部11によって鍵3の前側端部がガイドされ、押鍵時に横揺れしないように構成されている。
【0028】
鍵3は、前端側(図1では右端側)が演奏者により押鍵される押下部31とされ、後端側が鍵盤シャーシ1の鍵支持部15に取り付けられる被取付け部としてのシャーシ取付け部36となっている。
【0029】
図6は、シャーシ取付け部36の斜視図である。
図6に示すように、本実施形態において、シャーシ取付け部36は、鍵支持部15の鍵支持凸部16に対応する位置に、鍵支持凸部16と嵌合する孔部37が形成されている。鍵3は、この孔部37に鍵支持凸部16を嵌め合わせることにより、鍵支持凸部16を回動中心として上下方向(すなわち、押鍵方向)に回動するようになっている。
【0030】
シャーシ取付け部36は、少なくともその上部の外形が、回動中心である鍵支持凸部16(又は鍵支持凸部16と嵌り合う孔部37)を中心とした円弧状に形成されており、この円弧状に形成された上部に開口部36aを有している。この開口部36aは、凸部としての摺接部26が挿入される凹部である。
本実施形態において、開口部36a(凹部)と摺接部26(凸部)とは、互いに係合可能に構成されており、開口部36a(凹部)と摺接部26(凸部)とが係合された状態において鍵3の鍵盤シャーシ1からの脱落を防止し鍵3の横方向の傾きやぐらつきを抑制するように構成されている。
【0031】
なお、本実施形態では、シャーシ取付け部36の内部は、上下に貫通しているが、シャーシ取付け部36は、少なくとも上部が開口していればよく、上下に貫通しているものに限定されない。
また、円弧状に形成されている部分の範囲、開口部36aの範囲は、鍵3が押鍵された際に摺接部26が鍵3の回動を阻害することなく開口部36aの端縁に沿って摺動することができる構成となっていればよく、図示例に限定されない。
【0032】
また、この鍵3の中間部であって鍵盤シャーシ1上に設けられたスイッチ基板のゴムスイッチに対応する位置には、ゴムスイッチを押圧するスイッチ押圧部34が設けられている。スイッチ押圧部34は、鍵3が押鍵動作されたときに、ゴムスイッチを押圧し、ゴムスイッチからON信号を出力させるように構成されている。
【0033】
また、ハンマー部材4は、図1に示すように、ハンマー本体41と、ハンマーホルダ42とを有している。
ハンマー本体41は金属で形成されており、その一端側は、ハンマーホルダ42に取り付けられるようになっている。また、ハンマー本体41の他端側は、鍵盤シャーシ1に設けられている上限ストッパ18及び下限ストッパ19に当接する当接部44となっており、この当接部44の近傍には、錘45が設けられている。
【0034】
ハンマーホルダ42は、樹脂等により形成されており、一端側にハンマー本体41が取り付けられるようになっている。また、他端側は、鍵3のハンマー取付け部35に取り付けられる鍵取付け部43となっている。
【0035】
ハンマー部材4は、ハンマーホルダ42にハンマー本体41を取り付けた状態で、鍵盤シャーシ1の立上り部10に設けられた開口部10aを挿通させることにより鍵盤シャーシ1の裏面側に配置されるようになっている。
ハンマーホルダ42にはハンマー取付孔部(図示せず)が設けられている。そして、このハンマー取付孔部が鍵盤シャーシ1上に設けられたハンマー支持部13のハンマー支持軸14に回動可能に取り付けられ、これによりハンマー部材4はハンマー支持軸14を中心に上下方向に回動するように構成されている。
【0036】
ハンマー部材4は、ハンマー本体41の後端部(図1では左端部)近傍に設けられた錘45の重量によって、ハンマー本体41が図1において反時計回りに付勢されて、ハンマー本体41の後端部の当接部44が鍵盤シャーシ1の後端底部に設けられた下限ストッパ19に当接することにより、ハンマー本体41が下限位置に規制されるように構成されている。また、このハンマー部材4は、ハンマー本体41が錘45の重量に抗して図1における時計回りに回動したときに、ハンマー本体41の後端部の当接部44が鍵盤シャーシ1の後端部裏面側に配置された上限ストッパ18に当接することにより、ハンマー本体41が上限位置に規制されるように構成されている。
【0037】
次に、図7から図9等を参照しつつ、本実施形態における鍵盤装置100の作用について説明する。図7は、鍵3のシャーシ取付け部36を鍵支持部15に嵌め込む様子を説明する側断面図であり、図8は、鍵3のシャーシ取付け部36を鍵支持部15に嵌め込み鍵押さえ部材20によって押える様子を鍵盤装置100の後部側(図1及び図2において左側)から見た説明図であり、図9は、図1のIX−IX線に沿う断面図であって、鍵盤シャーシ1に鍵3が取り付けられた状態を鍵盤装置100の前側(図1及び図2において右側)から見た図である。
【0038】
鍵盤シャーシ1に鍵3を取り付けるときには、図7に示すように、鍵3の被取付け部であるシャーシ取付け部36を鍵盤シャーシ1の鍵支持部15の上方から嵌め込む。具体的には、図8に示すように、1対の鍵支持板15aを横方向(鍵3の幅方向)に押し拡げて上方からシャーシ取付け部36を挿入し、シャーシ取付け部36の孔部37に鍵支持凸部16を嵌合させる。
【0039】
次に、リブ25が設けられている側が鍵盤装置100の前側(図1及び図2において右側)に位置するような向きで、鍵押さえ部材20をねじ17aにより固定部17(図1及び図2参照)に固定する。
このとき、図9に示すように、鍵押さえ部材20の、山形に形成された摺接部26の頂点がシャーシ取付け部36の開口部36aからシャーシ取付け部36の内部に挿入され、摺接部26の稜線部が開口部36aの端縁に突き当てられる。これにより、シャーシ取付け部36は、左右に偏りのない均等な力で上方から押圧され、鍵3の浮き上がりや脱落が防止されるとともに、鍵3の横方向の傾き、ぐらつきが抑えられる。
【0040】
そして、押鍵時(図2参照)には、摺接部26が、回動中心を中心として円弧状に形成されたシャーシ取付け部36の開口部36aの端縁に沿って摺動する。このため、鍵3が押鍵されていない状態(図1参照)から押鍵された状態(図2参照)に移行するときも、摺接部26がシャーシ取付け部36を左右に偏りのない均等な力で上方から押圧しながら開口部36aの端縁に沿って円滑に摺動する。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、凸部である鍵押さえ部材20の摺接部26の先端が凹部であるシャーシ取付け部36の開口部36aの内部に挿入されるので、外部から強い衝撃が加わった場合にも、鍵3が鍵盤シャーシ1から脱落したり浮き上がったりするのを防止することができる。
また、押鍵時(図2参照)には、摺接部26が回動中心を中心として円弧状に形成されたシャーシ取付け部36の開口部36aの端縁に沿って摺動する。このため鍵3に過剰な荷重をかけることがなく、演奏性を害さずに、鍵3を安定させることができる。
また、摺接部26の山形(楔形)の稜線部が開口部36aの端縁に突き当てられることにより、開口部36aの左右の端縁をほぼ均等な力で押圧することができる。このため、摺接部26の位置、寸法に多少のばらつきが生じていても、鍵の幅方向の中心に向かって安定した力で押さえることができ、横方向や斜め方向から鍵3が押下されたときでも鍵3の傾きやぐらつきを防止することができる。
さらに、鍵押さえ部材20により鍵3の根元に適度な押圧力を加えることができるため、アコースティックピアノに近似した自然な鍵タッチ感を得ることができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
次に、図10から図13を参照しつつ、本発明に係る鍵盤装置の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、鍵押さえ部材の構成が第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0043】
本実施形態において、鍵盤シャーシは、第1の実施形態とほぼ同様の鍵支持部15(図13参照)と、図10から図12に示す鍵押さえ部材50を備えており、鍵支持部15と鍵押さえ部材50とにより鍵取付け部が構成されている。
【0044】
図10は、鍵押さえ部材50の斜視図であり、図11は、鍵押さえ部材50の正面図(すなわち、鍵盤装置の前側から見た図)であり、図12は、鍵押さえ部材50の側面図である。
本実施形態の鍵押さえ部材50は、鍵盤装置の幅方向(すなわち、横方向)に延在する長尺の部材であり、図10から図12に示すように、鍵盤シャーシの固定部のねじ孔(図示せず)に対応する位置にねじ孔54が形成された平板状のシャーシ固定部51と、このシャーシ固定部51の長手方向の一辺からほぼ垂直に立ち上がる立上り部52と、この立上り部52の上端からシャーシ固定部51とは反対側にほぼ水平に延出する庇部53と、この庇部53の長手方向の端部からほぼ鉛直に垂下するリブ55とを有している。
【0045】
このリブ55には、鍵押さえ部材50を固定部に固定した際に各鍵に対応する位置に、鍵のシャーシ取付け部36の開口部36aからシャーシ取付け部36の内部に挿入されて押鍵時にシャーシ取付け部36の開口部36aの端縁に沿って摺動する凸部である挿入片57が設けられている。挿入片57は、開口部36aの幅寸法よりも小さく、シャーシ取付け部36の内部の壁面に干渉しない程度の幅寸法に形成されている。
また、この挿入片57の両側には、鍵の幅方向の中心に向かって傾斜する一対の稜線部により構成され開口部36aの端縁に当接し押鍵時に開口部36aの端縁に沿って摺動する摺接部56が設けられている。
【0046】
なお、その他の構成は、第1の実施形態で示したものと同様であるため、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
次に、本実施形態における鍵盤装置の作用について説明する。
鍵盤装置に鍵を取り付けるときには、鍵の被取付け部であるシャーシ取付け部36を鍵盤シャーシの鍵支持部15の上方から嵌め込む。
次に、リブ55が設けられている側が鍵盤装置の前側に位置するような向きで、鍵押さえ部材50を鍵盤シャーシの固定部にねじ固定する。
このとき、図13に示すように、鍵押さえ部材50の挿入片57がシャーシ取付け部36の開口部36aからシャーシ取付け部36の内部に挿入されるとともに、この挿入片57の両側に形成されている摺接部56の稜線部が開口部36aの端縁に突き当てられる。これにより、シャーシ取付け部36は、左右に偏りのない均等な力で上方から押圧され、鍵の浮き上がりや脱落が防止されるとともに、鍵の横方向の傾き、ぐらつきが抑えられる。
【0048】
そして、押鍵時には、開口部36aに挿入片57が挿入されたままの状態で、摺接部56が回動中心を中心として円弧状に形成されたシャーシ取付け部36の開口部36aの端縁に沿って摺動する。このため、鍵が押鍵されていない状態から押鍵された状態に移行するときも、摺接部56がシャーシ取付け部36を左右に偏りのない均等な力で上方から押圧しながら開口部36aの端縁に沿って円滑に摺動する。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、凸部である鍵押さえ部材50の挿入片57が凹部であるシャーシ取付け部36の開口部36aの内部に挿入されるので、外部から強い衝撃が加わった場合にも、鍵が鍵盤シャーシ1から脱落したり浮き上がったりするのを防止することができる。
また、押鍵時には、摺接部56が回動中心を中心として円弧状に形成されたシャーシ取付け部36の開口部36aの端縁に沿って摺動する。このため鍵に過剰な荷重をかけることがなく、演奏性を害さずに、鍵3を安定させることができる。
また、摺接部56の稜線部が開口部36aの端縁に突き当てられることにより、開口部36aの左右の端縁をほぼ均等な力で押圧することができる。このため、摺接部56や挿入片57の位置、寸法に多少のばらつきが生じていても、鍵の幅方向の中心に向かって安定した力で押さえることができ、横方向や斜め方向から鍵3が押下されたときでも鍵3の傾きやぐらつきを防止することができる。
さらに、鍵押さえ部材50により鍵3の根元に適度な押圧力を加えることができるため、アコースティックピアノに近似した自然な鍵タッチ感を得ることができる。
【0050】
[第3の実施の形態]
次に、図14から図18を参照しつつ、本発明に係る鍵盤装置の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、鍵のシャーシ取付け部及び鍵押さえ部材の構成が第1の実施形態及び第2の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点について説明する。
【0051】
図14及び図15は、本実施形態における鍵盤装置の側断面図である。図14は、鍵が押鍵されていない状態を示しており、図15は、鍵が押鍵された状態を示している。
本実施形態において、図14及び図15に示すように、鍵6は、その後端側(図14及び図15では左端側)が鍵盤シャーシ1の鍵支持部15に取り付けられる被取付け部としてのシャーシ取付け部66となっている。
【0052】
図16は、シャーシ取付け部66の斜視図である。
図16に示すように、本実施形態において、シャーシ取付け部66は、鍵支持部15の鍵支持凸部16(図18参照)に対応する位置に、鍵支持凸部16に嵌合する孔部67が形成されている。鍵6は、この孔部67に鍵支持凸部16を嵌め合わせることにより、鍵支持凸部16を回動中心として上下方向(すなわち、押鍵方向)に回動するようになっている。
なお、シャーシ取付け部66は、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なり、上面に開口部を有しない構成となっているが、シャーシ取付け部66の内部は、中空、中実のいずれでも構わない。
【0053】
本実施形態のシャーシ取付け部66の上面には、突出部68がほぼ垂直に立設されている。本実施形態において、突出部68は、被取付け部であるシャーシ取付け部66に設けられる凸部である。
突出部68は、鍵6の幅方向と直交する方向の厚みが薄い薄板状の部材であり、シャーシ取付け部66と一体的に形成されている。本実施形態では、突出部68は、シャーシ取付け部66の幅方向の寸法と同じかそれよりも小さい幅寸法となっている。
なお、突出部68は、鍵6の回動に伴って撓む可撓性を有するものであればよく、その形状や、大きさ、厚み等は図示例に限定されない。
【0054】
また、鍵盤シャーシは、第1の実施形態及び第2の実施形態とほぼ同様の鍵支持部15と、図17(a)及び図17(b)に示す鍵押さえ部材70を備えており、鍵支持部15と鍵押さえ部材70とにより鍵盤シャーシ1に鍵6を取り付ける鍵取付け部が構成されている。
【0055】
図17(a)は、鍵押さえ部材70の上面図であり、図17(b)は、鍵押さえ部材70の正面図(すなわち、鍵盤装置の前側(図14及び図15では右側)から見た図)である。
本実施形態において鍵押さえ部材70は、鍵盤装置の幅方向(すなわち、横方向)に延在する長尺の部材であり、図14、図17(a)及び図17(b)に示すように、固定部17のねじ孔(図示せず)に対応する位置にねじ孔74が形成された平板状のシャーシ固定部71と、このシャーシ固定部71の長手方向の一辺からほぼ垂直に立ち上がる立上り部72と、この立上り部72の上端からシャーシ固定部71とは反対側にほぼ水平に延出する庇部73とを有している。
【0056】
庇部73には、各鍵6の突出部68に対応する位置にそれぞれほぼ垂直方向に貫通する係合孔75が形成されている。各係合孔75は、凸部である突出部68と嵌り合う凹部としての係合穴であり、鍵押さえ部材70を鍵盤シャーシ1に設置したときに、各鍵6の突出部68とほぼ隙間なく係合するように突出部68の幅、厚みに合わせた寸法となっている。
【0057】
図18は、図14におけるXVIII−XVIII線に沿う断面図である。
図18に示すように、各鍵6のシャーシ取付け部66の上面に立設されている突出部68は、鍵押さえ部材70にそれぞれ対応して設けられている係合孔75に挿通され、ほぼ隙間なく嵌り合うようになっている。
【0058】
なお、その他の構成は、第1の実施形態及び第2の実施形態で示したものと同様であるため、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
次に、本実施形態における鍵盤装置の作用について説明する。
鍵盤装置に鍵6を取り付けるときには、鍵6の被取付け部であるシャーシ取付け部66を鍵盤シャーシの鍵支持部15の上方から嵌め込む。
次に、庇部73が設けられている側が鍵盤装置の前側(図14及び図15において右側)に位置するような向きで、鍵押さえ部材70を鍵盤シャーシ1の固定部17にねじ固定する。
このとき、図18に示すように、各鍵6の突出部68が、鍵押さえ部材70の係合孔75に挿入され、互いにほぼ隙間なく嵌り合うようになっている。これにより、シャーシ取付け部66は、鍵押さえ部材70によって確実に上方から押圧され、鍵6の浮き上がりや脱落が防止されるとともに、鍵6の横方向の傾き、ぐらつきが抑えられる。
そして、押鍵時には、突出部68が鍵盤装置の前後方向(図14及び図15において左右方向)に撓むことにより、係合孔75に突出部68が挿入されたままの状態でも、円滑に鍵6を上下方向(すなわち、押鍵方向)に回動させることができる。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、凸部であるシャーシ取付け部66の突出部68が凹部である鍵押さえ部材70の係合孔75に挿入され、ほぼ隙間なく嵌り合うので、外部から強い衝撃が加わった場合にも、鍵6が鍵盤シャーシ1から脱落したり浮き上がったりするのを防止することができる。
また、押鍵時には、突出部68が鍵盤装置の前後方向(図14及び図15において左右方向)に自在に撓むことにより、係合孔75に突出部68が挿入されたままの状態でも、円滑に鍵6を上下方向に回動させることができる。このため鍵6に過剰な荷重をかけることがなく、演奏性を害さずに、鍵6を安定させることができる。
また、係合孔75に突出部68が隙間なく嵌り合っていることにより、横方向や斜め方向から鍵6が押下されたときでも鍵6の傾きやぐらつきを防止することができる。
また、各鍵6の突出部68が、鍵盤装置の幅方向(すなわち、横方向)に延在し複数の鍵6に対応して複数の係合孔75が形成されている鍵押さえ部材70の係合孔75に挿入されているため、鍵6の横方向の捩れや傾き、ぐらつき等をより確実に抑制することができる。
特に本実施形態では、突出部68が、鍵6の幅方向と直交する方向の厚みが薄い薄板状に形成されているため、横方向の捩れや傾き、ぐらつき等を一層確実に抑制することができる。
さらに、鍵押さえ部材70により鍵6の根元に適度な押圧力を加えることができるため、アコースティックピアノに近似した自然な鍵タッチ感を得ることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、凸部である突出部68がシャーシ取付け部66の上面にほぼ垂直に立設されている例について説明したが、突出部68の設けられる位置はこれに限定されない。
例えば、図19から図21に示すように、鍵8のシャーシ取付け部86の後端面(図19及び図20において左側端面)に、ほぼ水平方向に突出する突出部88を設けてもよい。この場合にも、突出部88を、鍵8の幅方向と直交する方向の厚みが薄い薄板状に形成し、押鍵時に上下方向(すなわち、押鍵方向)に自在に撓むことが可能な程度に可撓性を有する構成とする。なお、この場合も、突出部88の形状、幅寸法、厚み等は、撓むことができる程度であれば特に限定されない。
【0062】
凸部としての突出部88をこのようにシャーシ取付け部86の後端面に設けた場合には、鍵8を押さえる鍵押さえ部材90は、例えば以下のような構成とする。
図22(a)は、図19及び図20に示す鍵押さえ部材90の側断面図であり、図17(b)は、鍵押さえ部材90の上面図であり、図17(c)は、鍵押さえ部材90の正面図である。
図22(a)から図22(c)に示すように、鍵押さえ部材90は、断面がほぼL字型の部材であり、鍵盤シャーシ1にねじ止めするためのねじ孔94が形成された平板状のシャーシ固定部91と、このシャーシ固定部91の長手方向の一辺からほぼ垂直に立ち上がる立上り部92とを有しており、ねじ93により鍵盤シャーシ1に固定される。
立上り部92には、各鍵8の突出部88に対応する位置にそれぞれほぼ水平方向に貫通する凹部としての係合孔95が形成されている。各係合孔95は、鍵押さえ部材90を鍵盤シャーシ1に設置したときに、各鍵8の突出部88とほぼ隙間なく係合するように突出部88の幅、厚みに合わせた寸法とする。
突出部88及び鍵押さえ部材90をこのような構成とした場合でも、各鍵8の突出部88が、鍵押さえ部材90の係合孔95に挿入されて、互いに嵌り合うため、シャーシ取付け部86は、鍵押さえ部材90によって確実に上方から押圧され、鍵8の横方向の傾き、ぐらつきが抑えられる。
そして、押鍵時には、図20に示すように、突出部88が鍵盤装置の上下方向(押鍵方向)に撓むことにより、係合孔95に突出部88が挿入されたままの状態でも、円滑に鍵8を上下方向に回動させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、凹部として、ほぼ水平方向に貫通する係合孔75(係合孔95)を備える場合を例として説明したが、凹部は凸部である突出部68(突出部88)と嵌り合うものであればよく、貫通孔に限定されない。
【0064】
また、本実施形態では、突出部68(突出部88)が、鍵の幅方向と直交する方向の厚みが薄い薄板状の部材である場合を例として説明したが、突出部68(突出部88)の形状はこれに限定されない。例えば突出部を、可撓性を有する細い棒状の部材としてもよい。
【0065】
なお、上記各実施形態においては、鍵押さえ部材が、鍵盤装置の幅方向(すなわち、横方向)に延在する長尺の部材である場合を例としたが、鍵盤装置の全幅に亘って設けられ全ての鍵に対応する鍵押さえ部材を1つ設けてもよいし、それよりも短い寸法の鍵押さえ部材を複数設けてもよい。例えば、各鍵に対応して1つずつ当該鍵に対応する鍵押さえ部材が設けられていてもよいし、数個の鍵ごとにこれに対応する鍵押さえ部材が設けられていてもよい。
【0066】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、リブ、摺接部、及び挿入片が、庇部の長手方向の端部からほぼ鉛直に垂下している場合を例として説明したが、リブ、摺接部、及び挿入片の構成はこれに限定されない。例えば、摺接部は、斜め後方から鍵に突き当てられるものでもよく、挿入片は、斜め後方から鍵の内部に挿入されるものでもよい。
また、摺接部、及び挿入片の形状はここに例示したものに限定されない。
【0067】
また、上記各実施形態では、鍵押さえ部材が1つの部品で構成されている例を示しているが、鍵押さえ部材の構成はこれに限定されない。
例えば、第1の実施形態や第2の実施形態における鍵押さえ部材のうち、シャーシ固定部、立上り部、庇部を金属等の材料により1つの部品として形成し、リブ、摺接部や、挿入片を樹脂等の材料により形成して、両者を接着剤やねじ等を用いて固定することにより一体化させてもよい。また、リブと摺接部、摺接部と挿入片の構成等は、図示例に限定されず、適宜変更可能である。
【0068】
その他、本発明が上記各実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
1 鍵盤シャーシ
3 鍵
4 ハンマー部材
11 鍵ガイド部
15 鍵支持部
20 鍵押さえ部材
26 摺接部
36 シャーシ取付け部
36a 開口部
100 鍵盤装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤シャーシと、
この鍵盤シャーシに対して押鍵方向に回動自在に取り付けられている複数の鍵と、を備える鍵盤装置であって、
前記鍵盤シャーシは、前記鍵を取り付ける鍵取付け部を有し、
前記鍵は、一端側に前記取付け部に取り付けられる被取付け部を備え、
前記鍵取付け部は、互いに係合可能な凹部又は凸部のうちのいずれか一方を備え、
前記被取付け部は、前記凹部又は前記凸部のうちの他方を備え、
前記凹部又は前記凸部の一方と前記凹部又は前記凸部の他方とが係合された状態において前記鍵の前記鍵盤シャーシからの脱落を防止し前記鍵の横方向の傾きを抑制するように構成されていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
前記凹部は前記被取付け部に設けられ、前記凸部は前記鍵取付け部に設けられており、
前記被取付け部は、少なくとも上部が前記鍵の回動中心を中心とした円弧状に形成され、この円弧状に形成された上部に前記凹部としての開口部を有し、
前記鍵取付け部は、前記鍵の幅方向の中心に向かって傾斜する一対の稜線部により山形に形成されその頂点が前記開口部から前記被取付け部内に挿入されて押鍵時に前記開口部の端縁に沿って摺動する前記凸部としての摺接部を有する鍵押さえ部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置。
【請求項3】
前記凹部は前記被取付け部に設けられ、前記凸部は前記鍵取付け部に設けられており、
前記被取付け部は、少なくとも上部が前記鍵の回動中心を中心とした円弧状に形成され、この円弧状に形成された上部に前記凹部としての開口部を有し、
前記鍵取付け部は、前記開口部から前記被取付け部内に挿入される前記凸部としての挿入片と、この挿入片の両側に設けられ前記鍵の幅方向の中心に向かって傾斜する一対の稜線部により構成されて前記開口部の端縁に当接し押鍵時に前記開口部の端縁に沿って摺動する摺接部と、を有する鍵押さえ部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置。
【請求項4】
前記凸部は前記被取付け部に設けられ、前記凹部は前記鍵取付け部に設けられており、
前記被取付け部は、前記凸部として、前記鍵の回動に伴って撓む可撓性を有する突出部を備え、
前記鍵取付け部は、前記突出部と嵌り合う前記凹部としての係合穴を有する鍵押さえ部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記鍵の幅方向と直交する方向の厚みが薄い薄板状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の鍵盤装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−13830(P2012−13830A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148828(P2010−148828)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】