説明

鍵盤装置

【課題】 ハンマー部材を用いずに、押鍵操作時にアコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができる鍵盤装置を提供する。
【解決手段】 鍵盤シャーシ2上に設けられて複数の鍵6をそれぞれ上下方向にガイドする複数の鍵ガイド部11と、この複数の鍵ガイド部11にそれぞれ設けられ、複数の鍵6を押鍵操作した際に、その押鍵操作された鍵6に対して摩擦抵抗による負荷をそれぞれ付与する複数の負荷付与部材20と、複数の鍵6にそれぞれ設けられ、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、その鍵6に対する負荷付与部材20による負荷の付与をそれぞれ解除する複数の負荷付与解除部29とを備えている。従って、ハンマー部材を用いなくても、押鍵操作時に鍵6に負荷を付与して鍵タッチを確実に重くすることができると共に、負荷付与解除部29によって鍵荷重を急激に軽くして鍵荷重が抜ける鍵タッチ感を得ることができ、これにより演奏性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノや電子オルガンなどの鍵盤楽器に用いられる鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ピアノなどの鍵盤装置においては、特許文献1に記載されているように、鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に配置された鍵の横振れを防ぐために、鍵盤シャーシに鍵ガイド部を設けると共に、鍵に負荷を付与して鍵荷重を重くするために、鍵ガイド部に、鍵の内部に挿入して鍵の前後方向に弾性変形する弾性部と、この弾性部の両側に設けられた摺動部と、弾性部の先端部に設けられた摩擦部とを設けた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−145819号公報
【0004】
このような従来の鍵盤装置は、鍵が押鍵操作された際に、鍵ガイド部の摺動部が鍵の内部における両側面に接触して摺動することにより、鍵の横振れを防ぐと共に、弾性部の摩擦部が鍵の内部における前後方向に位置する内面に弾性部の弾力によって弾接して摺動することにより、鍵に摩擦抵抗による負荷を付与するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の鍵盤装置では、鍵ガイド部の弾性部が鍵に常に一定の弾性力で弾接しているので、鍵を押鍵操作した際に、その押鍵操作開始時においても、また押鍵操作終了時においても、一定の負荷を鍵に付与するため、アコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができないという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するため、従来の鍵盤装置では、鍵に負荷を付与する鍵ガイド部を鍵盤シャーシに設けるほかに、この鍵盤シャーシに、鍵の押鍵操作に応じてそれぞれ鍵にアクション荷重を付与するハンマー部材を上下方向に回転可能に取り付けた構成のものも開発されている。
【0007】
しかしながら、このようなハンマー部材を備えた鍵盤装置では、複数の鍵に対応させて複数のハンマー部材を鍵盤シャーシに設けなければならないため、部品点数が多くなり、組立作業が煩雑で、製作コストが高くなるばかりか、ハンマー部材の重量によって装置全体の重量が極めて重くなり、持ち運びが不便であるなどの問題が生じる。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、ハンマー部材を用いずに、押鍵操作時にアコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができる鍵盤装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、複数の鍵が鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に取り付けられた状態で並列に配列された鍵盤装置において、前記鍵盤シャーシ上に設けられ、前記複数の鍵をそれぞれ上下方向にガイドする複数の鍵ガイド部と、この複数の鍵ガイド部にそれぞれ設けられ、前記複数の鍵を押鍵操作した際に、その押鍵操作された前記鍵に対して摩擦抵抗による負荷をそれぞれ付与する複数の負荷付与部材と、前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、押鍵操作された前記複数の鍵の押し下げ動作が終了する際に、その鍵に対する前記負荷付与部材による負荷の付与をそれぞれ解除する複数の負荷付与解除部と、を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、鍵を押鍵操作した際に、その押鍵操作された鍵に対して負荷付与部材が摩擦抵抗による負荷を付与して鍵荷重を重くすることができると共に、鍵の押鍵操作が終了する際には、負荷付与解除部によって鍵荷重を急激に軽くして鍵荷重が抜ける鍵タッチ感を得ることができる。このため、ハンマー部材を用いずに、アコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができると共に、鍵を速やかに初期位置に復帰させることができ、これにより演奏性を向上させることができるほか、装置全体の重量を大幅に軽くすることができ、これにより持ち運びに便利なものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1を示した断面図である。
【図2】図1に示された鍵盤楽器のA−A矢視における鍵ガイド部の要部を示した拡大断面図である。
【図3】図2に示された鍵ガイド部において、鍵が押鍵操作されて負荷付与部材の摩擦変形部が弾性変形して鍵に負荷を付与する状態を示した要部の拡大断面図である。
【図4】図3に示された鍵ガイド部において、鍵が更に押し下げられて負荷付与解除部によって鍵に付与された負荷が解除された状態を示した要部の拡大断面図である。
【図5】図1に示された鍵盤楽器における鍵ストロークと鍵荷重との特性を示した図である。
【図6】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2において、鍵ガイド部の要部を示した拡大断面図である。
【図7】図6に示された鍵ガイド部において、鍵が押鍵操作されて負荷付与部材の摩擦変形部が弾性変形して鍵に負荷を付与する状態を示した要部の拡大断面図である。
【図8】図7に示された鍵ガイド部において、鍵が更に押し下げられて負荷付与解除部によって鍵に付与された負荷が解除された状態を示した要部の拡大断面図である。
【図9】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態3において、鍵ガイド部の要部を示した拡大断面図である。
【図10】図9に示された鍵ガイド部において、鍵が押鍵操作されて負荷付与部材の摩擦変形部が弾性変形して鍵に負荷を付与する状態を示した要部の拡大断面図である。
【図11】図10に示された鍵ガイド部において、鍵が更に押し下げられて負荷付与解除部によって鍵に付与された負荷が解除された状態を示した要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、図1〜図5を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1に示すように、楽器ケース1を備えている。この楽器ケース1は、下部ケースを兼ねる鍵盤シャーシ2と、この鍵盤シャーシ2の後側上部(図1では右側上部)に設けられた上部ケース3とで構成されている。
【0013】
この楽器ケース1の内部には、図1に示すように、鍵盤部4が上方に露呈した状態で配置されている。また、この鍵盤部4の後方(図1では右側)に位置する楽器ケース1の内部には、回路基板5やスピーカ(図示せず)などの楽器に必要な各種の電子部品が設けられている。鍵盤部4は、合成樹脂からなる複数の鍵6を備えている。この複数の鍵6は、図1に示すように、白鍵7と黒鍵8とを有し、鍵盤シャーシ2上に上下方向に回転可能に取り付けられた状態で並列に配列されている。
【0014】
この場合、複数の鍵6のうち、複数の白鍵7は、図1に示すように、その各後端部(図1では右端部)に上下方向に撓み変形する薄肉の屈曲部7aがそれぞれ形成され、この薄肉の屈曲部7aが鍵6の配列方向(図1では紙面の表裏面方向)に連続する共通支持部7bにそれぞれ連結されていることにより、この共通支持部7bに連結された各屈曲部7aによってそれぞれ上下方向に変位可能な状態で、鍵6の配列方向に沿って並列に配列されている。
【0015】
また、複数の黒鍵8は、図1に示すように、その各後端部(図1では右端部)に上下方向に撓み変形する薄肉の屈曲部8aがそれぞれ形成され、この薄肉の屈曲部8aが鍵6の配列方向(図1では紙面の表裏面方向)に連続する共通支持部8bにそれぞれ連結されていることにより、この共通支持部8bに連結された各屈曲部8aによってそれぞれ上下方向に変位可能な状態で、鍵6の配列方向に沿って並列に配列されている。
【0016】
これにより、複数の鍵6は、図1に示すように、複数の白鍵7の各間に複数の黒鍵8をそれぞれ配置して、白鍵7の共通支持部7bと黒鍵8の共通支持部8bとを重ね合わせ、この状態で各共通支持部7b、8bを鍵盤シャーシ2上に複数のビス9によって取り付けることにより、各白鍵7がそれぞれ屈曲部7aを中心に上下方向に回転すると共に、各黒鍵8がそれぞれ屈曲部8aを中心に上下方向に回転するように構成されている。
【0017】
一方、鍵盤シャーシ2は、図1に示すように、楽器ケース1の下部ケースを兼ねるものであり、合成樹脂によって形成されている。この鍵盤シャーシ2の前端部(図1では左端部)には、鍵6の前端面に対応する前カバー部10が底部から上方に突出して形成されている。この前カバー部10の後部側(図1では右側)に位置する鍵盤シャーシ2の箇所には、白鍵7を上下方向にガイドするための後述する鍵ガイド部11が上方に突出して形成されている。
【0018】
また、この鍵盤シャーシ2における白鍵用の鍵ガイド部11の後部側(図1では右側)に位置する箇所には、各鍵6の上下位置を規制する鍵位置規制部12が形成されている。この鍵位置規制部12は、鍵ガイド部11の後側下部(図1では右下部)から斜め上方に向けて延び、この斜め上方に延びた上端部から後方(図1では右側)に向けて水平に延び、この延びた後端部(図1では右端部)から垂下され、この垂下された下端部から更に後方(図1では右側)に向けて水平に延びた構成であることにより、全体がほぼ山形の形状に形成されている。
【0019】
この場合、鍵位置規制部12における垂下された部分には、図1に示すように、開口部12aが形成されている。また、この開口部12aの上部における前側(図1では左側)に位置する水平な部分の下面には、上限ストッパ部12bが設けられている。さらに、開口部12aの下部における後側(図1では右側)に位置する水平な部分の上面には、下限ストッパ部12cが設けられている。
【0020】
これにより、鍵位置規制部12は、図1に示すように、白鍵7および黒鍵8の各鍵6にその下側に突出して形成された鍵突起部13の下部から前側(図1では左側)に向けて突出したフック部13aが、開口部12a内に上下方向に移動可能に挿入され、この状態で鍵6が押鍵操作されると、鍵突起部13のフック部13aが開口部12a内を下側に移動して下限ストッパ部12cに上方から当接することにより、鍵6を下限位置に規制するように構成されている。
【0021】
また、この鍵位置規制部12は、図1に示すように、押鍵操作された鍵6が初期位置(図1に示す状態)に戻る際に、鍵突起部13のフック部13aが開口部12a内を上側に移動して上限ストッパ部12bに下側から当接することにより、鍵6を初期位置である上限位置に規制するように構成されている。
【0022】
この鍵位置規制部12の後部(図1では右側)に位置する鍵盤シャーシ2の箇所には、図1に示すように、白鍵7の場合と同様、黒鍵8を上下方向にガイドする後述する鍵ガイド部11が上方に突出して形成されている。この黒鍵用の鍵ガイド部11の後部側に位置する鍵盤シャーシ2の箇所には、スイッチ基板14を搭載するための基板搭載部15が形成されている。この場合、スイッチ基板14は、複数の鍵6の配列方向に沿って連続する帯板状に形成されている。
【0023】
このスイッチ基板14上には、図1に示すように、複数のスイッチ部16が各鍵6にそれぞれ対応して設けられている。この複数のスイッチ部16は、スイッチ基板14上に配置されて鍵6の配列方向に沿って連続するゴムシート16aを備えている。このゴムシート16aには、ドーム状の膨出部16bが各鍵6にそれぞれ対応して設けられている。このドーム状の膨出部16b内には、可動接点(図示せず)がスイッチ基板14上にそれぞれ設けられた各固定接点(図示せず)に接離可能な状態で対応して設けられている。
【0024】
これにより、スイッチ部16は、鍵6にそれぞれ形成されたスイッチ押圧部17によってドーム状の膨出部16bが上方から押圧されると、この押圧された膨出部16bが弾性変形して、その内部に設けられた可動接点がスイッチ基板14上の固定接点に接触することにより、押鍵操作された鍵6に対応するスイッチ信号を出力するように構成されている。
【0025】
さらに、このスイッチ部16が搭載された基板搭載部15の後部側に位置する鍵盤シャーシ2の箇所には、図1に示すように、鍵支持部18が底部から上方に向けて突出して形成されている。この鍵支持部18は、図1に示すように、複数の鍵6における複数の白鍵7の各間に複数の黒鍵8が配置されて、白鍵7の共通支持部7bと黒鍵8の共通支持部8bとが重ね合わされ、この状態で各共通支持部7b、8bが複数のビス9によって取り付けられるように構成されている。
【0026】
また、上部ケース3は、図1に示すように、鍵盤部4の後部(図1では右側部)、つまり各鍵6の屈曲部7a、8aおよび共通支持部7b、8bを覆って鍵盤シャーシ2の後側上部に取り付けられている。すなわち、この上部ケース3は、その内面に取付ボス3aが設けられ、この取付ボス3aが鍵盤シャーシ2の後部に位置する底部に起立して設けられた支持ボス2aにビス(図示せず)によって取り付けられることにより、鍵盤シャーシ2の後側上部に取り付けられている。この上部ケース3の内面には、回路基板5が取り付けられている。
【0027】
ところで、複数の鍵6をそれぞれ上下方向にガイドする複数の鍵ガイド部11は、図1および図2に示すように、それぞれ全体がほぼ平板状をなし、鍵盤シャーシ2上に起立した状態で一体に形成されている。すなわち、この鍵ガイド部11は、図2に示すように、鍵6の配列方向(図2では左右方向)における長さ(幅L)が、これと同じ方向における鍵6の内部間の長さよりも少し短く形成されている。
【0028】
この鍵ガイド部11には、図2〜図4に示すように、鍵6を押鍵操作した際に、その押鍵操作された鍵6に対して摩擦抵抗による負荷を付与する負荷付与部材20がそれぞれ設けられている。この負荷付与部材20は、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなり、鍵ガイド部11に設けられたベース部21と、このベース部21に設けられた柱状の支持部22と、この支持部22に設けられた一対の摩擦変形部23とを備えている。
【0029】
ベース部21は、図2に示すように、鍵ガイド部11の上部に起立した状態で一体に形成されている。柱状の支持部22は、ベース部21の中心部上に起立して鍵6の内部に挿入する状態で一体に形成されている。一対の摩擦変形部23は、図2〜図4に示すように、鍵6が押鍵操作された際にこの押鍵操作された鍵6との間に生じる摩擦抵抗に応じて弾性変形し、この弾性変形に伴う摩擦抵抗による負荷を鍵6に対して付与するように構成されている。
【0030】
すなわち、この摩擦変形部23は、図2に示すように、支持部22の上下部に第1、第2の各屈曲部24a、25aを介して斜め上方に向けて延びた状態で設けられた第1、第2の各アーム部24、25と、この第1、第2の各アーム部24、25の各先端部にそれぞれ第3の屈曲部26aを介して上下に張り渡された摩擦アーム部26とを備えている。
【0031】
第1のアーム部24は、図2に示すように、支持部22の上端部から鍵6の内側面6aに向けて斜め上方に延びた状態で、第1の屈曲部24aを介して支持部22に一体に形成されている。第2のアーム部25は、支持部22の下端部から鍵6の内側面6aに向けて斜め上方に延びた状態で、第2の屈曲部25aを介して支持部22に一体に形成されている。
【0032】
この場合、第2のアーム部25は、図2に示すように、第1のアーム部24と同じ長さで、且つ第1のアーム部24と平行に形成されている。また、第1、第2の各屈曲部24a、25aは、肉厚の薄い薄肉部に形成された樹脂ヒンジ部であり、図2〜図4に示すように、それぞれ屈曲変形することにより、第1、第2の各アーム部24、25を上下方向に回転変位させるように構成されている。
【0033】
また、摩擦アーム部26は、図2に示すように、その上部が第3の屈曲部26aを介して第1のアーム部24の先端部に一体に形成されていると共に、下部が第3の屈曲部26aを介して第2のアーム部25の先端部に一体に形成されていることにより、鍵6の内側面6aと平行な状態で上下方向に張り渡されている。
【0034】
この摩擦アーム部26は、図2〜図4に示すように、鍵6が押鍵操作された際に鍵6の内側面6aに接離可能に接触することにより、押鍵操作された鍵6の内側面6aとの間に摩擦抵抗が発生するように構成されている。また、この第3の各屈曲部26aも、肉厚の薄い薄肉部に形成された樹脂ヒンジ部であり、図2〜図4に示すように、それぞれ屈曲変形することにより、摩擦アーム部26を鍵6の内側面6aに沿って上下方向に変位させるように構成されている。
【0035】
これにより、摩擦変形部23は、図2に示すように、全体が平行四辺形をなすリンク形状に形成されていると共に、支持部22を中心にその左右両側に線対称な状態で形成されている。このため、この摩擦変形部23は、図2〜図4に示すように、鍵6が押鍵操作された際に、摩擦アーム部26が鍵6の内側面6aに接離可能な状態で接触しながら摺動することにより、押鍵操作された鍵6の内側面6aとの間に摩擦抵抗を発生させるように構成されている。
【0036】
また、この摩擦変形部23は、図2〜図4に示すように、鍵6が押鍵操作されて鍵6の内側面6aとの間に摩擦抵抗が発生した際に、その摩擦抵抗によって第1、第2の各アーム部24、25が第1、第2の各屈曲部24a、25aを中心にそれぞれ下側に回転変位し、この第1、第2の各アーム部24、25の回転変位に伴って摩擦アーム部26が鍵6の内側面6aに押し付けられることにより、摩擦抵抗が増大するように構成されている。
【0037】
一方、このような負荷付与部材20は、図2〜図4に示すように、鍵6が押鍵操作されて一対の摩擦変形部23が弾性変形した際に、その弾性変形状態を規制する一対の変形規制部27を備えている。この一対の変形規制部27は、支持部22の両側に位置するベース部21の上部にそれぞれ鍵6の内側面6aに向けて斜め上方に緩やかに傾斜して設けられている。
【0038】
これにより、この変形規制部27は、図3に示すように、鍵6が押鍵操作されて摩擦変形部23の第2のアーム部25が下側に回転変位した際に、第2のアーム部25が上方から当接して、第1、第2の各アーム部24、25の下側への回転変位を規制することにより、摩擦変形部23の弾性変形を規制して、摩擦変形部23による摩擦抵抗が最大になるように構成されている。
【0039】
ところで、複数の鍵6には、図2〜図4に示すように、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、その鍵6に対する負荷付与部材20による負荷の付与をそれぞれ解除する複数の負荷付与解除部29が設けられている。この負荷付与解除部29は、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、負荷付与部材20の摩擦変形部23を鍵2の内側面6aから離間させるための段差凹部29aである。
【0040】
すなわち、この負荷付与解除部29の段差凹部29aは、図3および図4に示すように、鍵6が押し下げられて負荷付与部材20の摩擦変形部23が弾性変形し、この弾性変形した摩擦変形部23が変形規制部27によって規制されて摩擦抵抗が最大になった際に、摩擦変形部23の摩擦アーム部26を鍵2の内側面6aから離間させるために、鍵6の内側面6aを削り取って鍵6の肉厚を薄くした構成になっている。
【0041】
この場合、負荷付与解除部29の段差凹部29aは、図3に示すように、鍵6が押し下げられて負荷付与部材20の摩擦変形部23が変形規制部27によって規制されて摩擦抵抗が最大になり、この状態で鍵6が更に押し下げられ、図4に示すように、押し下げ動作が終了する際に、摩擦変形部23の摩擦アーム部26の下端部が対応する鍵6の内側面6aの位置から鍵6の内側面6aの上端部に亘って、鍵6の肉厚を薄く形成した構成になっている。
【0042】
また、この負荷付与部材20と鍵6の内側面6aとの間には、図2〜図4に示すように、粘性を有する潤滑剤28が設けられている。この潤滑剤28は、粘性を有する液状、またはゲル状(ゼリー状)のものであり、押鍵操作した際における鍵タッチ感に合う最適な粘性を有し、負荷付与部材20における摩擦変形部23の摩擦アーム部26と鍵6の内側面6a(つまり、この鍵6の内側面6aとは、負荷付与解除部29の段差凹部29aを含む)との間に塗布されている。
【0043】
この潤滑剤28は、図2および図3に示すように、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際に、鍵6の内側面6aと共に下側に移動する潤滑剤28の粘性によって、摩擦変形部23の摩擦アーム部26を引き下げながら第1、第2の各アーム部24、25を下側に回転変位させることにより、摩擦アーム部26を鍵6の内側面6aに接触させて摩擦抵抗を発生させるように構成されている。また、この潤滑剤28は、図3に示すように、鍵6が押鍵操作されて摩擦変形部23の第2のアーム部25が変形規制部27に当接した際に、摩擦アーム部26と鍵6の内側面6aとを相対的に滑らせながら摺動させるように構成されている。
【0044】
さらに、この潤滑剤28は、図4に示すように、鍵6の押鍵操作が終了する際、つまり鍵6が下限ストッパ部12cによって下限位置に規制される際に、摩擦アーム部26の全体が鍵6の負荷付与解除部29の段差凹部29aに対面して鍵6の内側面6aから離れることにより、摩擦変形部23の摩擦アーム部26と鍵6の内側面6aとの間に発生した摩擦抵抗を解除し、摩擦変形部23を図2に示す元の状態に戻すように構成されている。
【0045】
次に、このような鍵盤楽器において負荷付与部材20を成形用金型で成形する場合について説明する。
この成形方法には、2通りの方法があり、1つの方法は負荷付与部材20を鍵盤シャーシ2と同じ材料で同時に一体成形する方法であり、他の方法は負荷付与部材20と鍵盤シャーシ2とを異なる材料で2色成形する方法である。
【0046】
前者の方法は、予め、鍵盤シャーシ2を成形するための上金型と下金型とからなる成形用金型内に、スライドコアを用いて、負荷付与部材20を形成するための空洞部(キャビティ)を形成する。そして、この成形用金型内にポリプロピレンなどの合成樹脂を射出する。この後、成形用金型を離型する際には、スライドコアを成形用金型内から引き抜く。これにより、負荷付与部材20が鍵盤シャーシ2と同じ材料で同時に成形される。
【0047】
また、後者の方法は、予め負荷付与部材20と異なる合成樹脂で鍵盤シャーシ2を上金型と下金型とからなる一次成形用金型で成形する。この一次成形用金型で成形された鍵盤シャーシ2を上金型と下金型とからなる二次成形用金型内に配置して負荷付与部材20を成形する。
【0048】
このときには、二次成形用金型内に、スライドコアを用いて、負荷付与部材20を形成するための空洞部(キャビティ)を形成する。この二次成形用金型内にポリプロピレンなどの合成樹脂を射出する。この後、二次成形用金型を離型する際には、スライドコアを二次成形用金型内から引き抜く。これにより、負荷付与部材20が鍵盤シャーシ2と異なる材料で2色成形される。
【0049】
また、鍵6を成形用金型で成形する場合には、鍵6を成形するための上金型と下金型とからなる成形用金型内に、スライドコアを用いて、負荷付与解除部29の段差凹部29aを形成するための空洞部(キャビティ)を形成する。この成形用金型内にポリプロピレンなどの合成樹脂を射出し、この成形用金型を離型する際に、スライドコアを成形用金型内から引き抜くことにより、負荷付与解除部29が形成された鍵6が形成される。
【0050】
次に、このような鍵盤楽器で複数の鍵6を押鍵操作して演奏する場合にいて説明する。
図1において、複数の鍵6のうち、白鍵7を押鍵操作すると、白鍵7が屈曲部7aを中心に反時計回りに回転する。また、複数の鍵6のうち、黒鍵8を押鍵操作すると、黒鍵8が屈曲部8aを中心に反時計回りに回転する。このように鍵6が押鍵操作されて図1において反時計回りに回転すると、鍵6のスイッチ押圧部17がスイッチ基板14上のスイッチ部16を押圧し、この押圧されたスイッチ部16がスイッチ信号を出力する。これにより、楽音が発音される。
【0051】
このように鍵6が押鍵操作されて図1において反時計回りに回転するときには、図3に示すように、負荷付与部材20の一対の摩擦変形部23が弾性変形して、鍵6に対して負荷を付与する。すなわち、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際には、鍵6の内側面6aと共に下側に移動する潤滑剤28の粘性によって、摩擦変形部23の摩擦アーム部26が引き下げられながら第1、第2の各アーム部24、25が下側に回転変位する。
【0052】
これにより、図3に示すように、摩擦アーム部26が鍵6の内側面6aに押し付けられるので、摩擦変形部23と鍵6の内側面6aとの間に摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗によって鍵6に負荷が付与され、鍵荷重が重くなる。このときには、鍵6の荷重が、図5に曲線Aで示すように、急速に上昇し、鍵タッチが重くなる。
【0053】
そして、鍵6が更に押し下げられて、摩擦変形部23の第1、第2の各アーム部24、25が鍵6の内側面6aと共に下側に回転変位すると、図3に示すように、第2のアーム部25が変形規制部27に上方から当接して、摩擦変形部23の弾性変形が規制され、摩擦抵抗が最大になる。この状態で、鍵6が更に押し下げられると、図4に示すように、摩擦アーム部26が鍵6の負荷付与解除部29の段差凹部29aに対面し、摩擦アーム部26が鍵2の内側面6aから離れる。
【0054】
このため、鍵6に対する摩擦アーム部26の摩擦抵抗が急激に減少するので、鍵6の鍵荷重が急激に軽くなり、鍵荷重が抜ける鍵タッチ感が得られる。すなわち、図5に曲線Aで示すように、鍵6が押し下げられるに伴って、鍵荷重が急速に増加するが、鍵6が更に押し下げられて、摩擦アーム部26の全体が鍵6の負荷付与解除部29の段差凹部29aに対面した際には、図5に曲線Bで示すように、摩擦アーム部26による摩擦抵抗が極端に減少するため、鍵荷重が急激に軽くなり、鍵盤6に鍵荷重が抜ける鍵タッチ感が生じる。
【0055】
この後、鍵6に設けられた鍵突起部13のフック部13aが鍵盤シャーシ2の下限ストッパ部12cに当接するので、図5に曲線Cで示すように、鍵6の荷重が再び急激に上昇し、鍵タッチが更に重くなる。この後、鍵2は、図1に示すスイッチ部16の膨出部16bの弾性復帰力および鍵6の屈曲部7a、8aの弾性復帰力によって初期位置に戻る。
【0056】
このときには、図4に示すように、摩擦変形部23の摩擦アーム部26が鍵6の負荷付与解除部29の段差凹部29aに対面し、鍵6の内側面6aに対する摩擦アーム部26による摩擦抵抗が解除されているので、摩擦アーム部26が第1〜第3の各屈曲部24a、25a、26aの弾性復帰力によって速やかに弾性復帰して鍵6の内側面6aから離れる。これにより、鍵6が円滑に且つスムーズに上方に回転移動し、図5に曲線Dで示すように、鍵6の荷重が急激に低下する。
【0057】
そして、鍵盤6が更に上方に回転移動して、摩擦変形部23の摩擦アーム部26が鍵6の負荷付与解除部29の段差凹部29aから下側に相対的にずれると、摩擦変形部23の摩擦アーム部26が鍵6の内側面6aに接近するので、摩擦アーム部26による摩擦抵抗が少し発生し、図5の曲線Eに示すように、鍵6の荷重が少し重くなる。
【0058】
しかし、このときには、負荷付与部材20の第1、第2の各アーム部24、25が第1、第2の各屈曲部24a、25aを中心に上方に向けて回転変位するので、摩擦アーム部26による摩擦抵抗は増大せず、スイッチ部16の膨出部16bの弾性復帰力および鍵6の各屈曲部7a、8aの弾性復帰力によって、鍵6が円滑に且つスムーズに上方に回転移動する。このため、図5に曲線Fで示すように、鍵6の荷重は徐々に低下して初期状態の鍵荷重に戻り、鍵6を速やかに初期位置に向けて戻す。
【0059】
このときには、図1に示すように、スイッチ部16がスイッチ押圧部17を押し上げて初期状態に戻り、スイッチ部16の膨出部16b内の可動接点がスイッチ基板14の固定接点から上方に離れるので、スイッチ部16がオフになり、楽音の発音が停止される。この後、鍵6に設けられた鍵突起部13のフック部13aが鍵盤シャーシ2の上限ストッパ部12bに当接して、鍵6が初期位置に規制され、次の押鍵準備に備える。
【0060】
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵盤シャーシ2上に設けられて複数の鍵6をそれぞれ上下方向にガイドする複数の鍵ガイド部11と、この複数の鍵ガイド部11にそれぞれ設けられ、複数の鍵6を押鍵操作した際に、その押鍵操作された鍵6に対して摩擦抵抗による負荷をそれぞれ付与する複数の負荷付与部材20と、複数の鍵6にそれぞれ設けられ、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、その鍵6に対する負荷付与部材20による負荷の付与をそれぞれ解除する複数の負荷付与解除部29とを備えていることにより、ハンマー部材を用いずに、押鍵操作時にアコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0061】
すなわち、この鍵盤楽器では、鍵6を押鍵操作した際に、その押鍵操作された鍵6に対して負荷付与部材20が摩擦抵抗による負荷を付与するので、鍵荷重を重くすることができると共に、鍵6の押鍵操作が終了する際には、負荷付与解除部29によって負荷付与部材20による摩擦抵抗を解除するので、鍵荷重を急激に軽くして鍵荷重が抜ける鍵タッチ感を得ることができ、これにより鍵6を速やかに初期位置に向けて戻し、次の押鍵準備に備えることができるので、演奏性を向上させることができる。
【0062】
このため、この鍵盤楽器では、従来例のようなハンマー部材を用いなくても、押鍵操作時に鍵6に負荷を付与して鍵タッチを確実に重くすることができると共に、負荷付与解除部29によって鍵荷重を急激に軽くして鍵荷重が抜ける鍵タッチ感を得ることができるので、アコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができる。また、この鍵盤楽器では、従来例のように重量の重いハンマー部材を用いる必要がないので、楽器全体の重量を大幅に軽くすることができ、これにより手軽に鍵盤楽器を持ち運ぶことができると共に、低価格なものを提供することができる。
【0063】
この場合、負荷付与部材20は、鍵ガイド部11に設けられた支持部22と、この支持部22に設けられて鍵6が押鍵操作された際にこの押鍵操作された鍵6との間に生じる摩擦抵抗に応じて弾性変形し、この弾性変形に伴う摩擦抵抗による負荷を鍵6に対して付与する一対の摩擦変形部23とを備えていることにより、鍵6が押鍵操作されると、鍵6と一対の摩擦変形部23との間に摩擦抵抗を発生させ、この摩擦抵抗によって一対の摩擦変形部23を弾性変形させることができ、この一対の摩擦変形部23の弾性変形によって摩擦抵抗を増大させることができるので、鍵荷重を確実に且つ急速に重くすることができる。
【0064】
また、支持部22は、鍵6の内部に下側から挿入された状態で鍵ガイド部11に設けられており、摩擦変形部23は、支持部22の上下部に第1、第2の各屈曲部24a、25aを介して斜め上方に向けて延びた状態で設けられた第1、第2の各アーム部24、25と、この第1、第2の各アーム部24、25の各先端部にそれぞれ第3の屈曲部26aを介して上下に張り渡され、鍵6の内側面6aに接離可能な状態で接触して摺動する摩擦アーム部26とを備えているので、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際に、第1、第2の各アーム部24、25によって摩擦アーム部26を鍵6の内側面6aに押し付けることができ、この押し付けに伴う負荷を鍵6に対して確実に付与することができる。
【0065】
すなわち、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際には、鍵6の内側面6aと摩擦アーム部26との間に摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗によって第1、第2の各屈曲部24a、25aが屈曲しながら第1、第2の各アーム部24、25を回転変位させて摩擦アーム部26を鍵6の内側面6aに確実に押し付けることができる。このため、鍵6の押し下げに伴って第1、第2の各アーム部24、25の回転変位が徐々に増大するので、鍵6の内側面6aと摩擦アーム部26との間に発生させる摩擦抵抗を急速に増大させることができ、これにより鍵荷重を速やかに重くすることができる。
【0066】
また、負荷付与部材20は、鍵6が押鍵操作されて一対の摩擦変形部23が弾性変形した際に、その弾性変形状態を規制する変形規制部27を備えているので、鍵6が押鍵操作されて摩擦変形部23の第1、第2の各アーム部24、25が下側に回転変位した際に、第2のアーム部25が変形規制部27に当接して摩擦変形部23の弾性変形を規制することができる。このため、鍵6が押し下げられて鍵6の内側面6aと摩擦アーム部26との間に発生する摩擦抵抗が増大しても、その摩擦抵抗が一定以上に増大しないように抑制することができる。
【0067】
また、この鍵盤楽器では、負荷付与解除部29が、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、負荷付与部材20を鍵6の内側面6aから離間させるための段差凹部29aであるから、鍵6の肉厚を薄くするだけの簡単な構造で、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、負荷付与部材20を負荷付与解除部29の段差凹部29aに対応させることができ、これにより負荷付与部材20を鍵6の内側面6aから離間させることができるので、鍵6に対する負荷付与部材20による負荷を確実に且つ速やかに解除することができる。
【0068】
この場合、負荷付与解除部29は、鍵6が押鍵操作されて、鍵6の内側面6aと摩擦アーム部26との間に発生させる摩擦抵抗が増大し、鍵6に対する負荷付与部材20の摩擦抵抗が最大になった際に、負荷付与部材20を鍵6の内側面6aから離間させるので、鍵荷重を急激に軽くして鍵荷重が抜ける鍵タッチ感を得ることができる。これにより、アコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができると共に、負荷付与部材20の摩擦変形部23を速やかに元の形状に弾性復帰させることができ、これにより鍵6の初期位置への復帰を容易にすることができる。
【0069】
また、鍵6の内側面6aと負荷付与部材20との間には、粘性を有する潤滑剤28が設けられていることにより、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際に、鍵6の内側面6aと共に下側に移動する潤滑剤28の粘性によって、摩擦変形部23の摩擦アーム部26を引き下げながら第1、第2の各アーム部24、25を下側に回転変位させることができ、これにより摩擦アーム部26を鍵6の内側面6aに接触させて摩擦抵抗を確実に発生させることができると共に、鍵6の押し下げ動作が終了する際に、鍵6に対する負荷付与部材20による負荷を確実に解除することができる。
【0070】
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵6が押鍵操作されて摩擦変形部23の第2のアーム部25が変形規制部27に当接した際に、潤滑剤28によって摩擦アーム部26と鍵6の内側面6aとを相対的に滑らせながら摺動させることができ、また鍵6の押鍵操作が終了する際には、負荷付与解除部29の段差凹部29aによって摩擦変形部23の摩擦アーム部26と鍵6の内側面6aとが潤滑剤28を介して離れるので、摩擦変形部23による摩擦抵抗を解除することができる。これにより、摩擦変形部23を元の形状に容易に戻すことができるので、鍵6が摩擦抵抗の影響をほとんど受けずに、鍵6を初期位置に速やかに且つ良好に復帰させることができる。
【0071】
また、この鍵盤楽器では、鍵ガイド部11が鍵盤シャーシ2にそれぞれ一体に形成されており、複数の負荷付与部材20が鍵ガイド部11にそれぞれ一体に形成されており、複数の負荷付与解除部29が複数の鍵6にそれぞれ一体に形成されていることにより、複数の鍵6ごとに負荷付与部材20および負荷付与解除部29を備えていても、生産性の向上を図ることができる。
【0072】
すなわち、複数の鍵6ごとに負荷付与部材20および負荷付与解除部29を備えていても、鍵盤シャーシ2を成形する成形用金型によって複数の負荷付与部材20を複数の鍵ガイド部11および鍵盤シャーシ2と共に一度に成形することができると共に、鍵6を成形する成形用金型によって複数の負荷付与解除部29を複数の鍵6と共に一度に成形することができる。このため、生産性が良く、従来例のようなハンマー部材を用いた場合に比べて、部品点数を大幅に削減することができ、これにより組立作業性の向上を図ることができると共に、低価格化をも図ることができる。
【0073】
(実施形態2)
次に、図6〜図8を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図5に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図6に示すように、鍵6の押鍵操作時に鍵6に対して負荷を付与する負荷付与部材30と、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、その鍵6に対する負荷付与部材30による負荷の付与を解除する負荷付与解除部36とが、実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0074】
この負荷付与部材30は、実施形態1と同様、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなり、図6に示すように、鍵ガイド部11に設けられた一対のベース部31と、この一対のベース部31にそれぞれ設けられた一対の支持部32と、この一対の支持部32にそれぞれ設けられた一対の摩擦変形部33とを備えている。一対のベース部31は、実施形態1と同様、鍵ガイド部11の上部に起立した状態でそれぞれ一体に形成されている。
【0075】
一対の支持部32は、一対のベース部31上における鍵6の内側面6aに接近する各端部にそれぞれ起立して鍵6の内部に挿入する状態で一体に形成されている。一対の摩擦変形部33は、実施形態1と同様、鍵6が押鍵操作された際にこの押鍵操作された鍵6との間に生じる摩擦抵抗に応じて弾性変形し、この弾性変形に伴う負荷を鍵6に対して付与するように構成されている。この場合、負荷付与部材30に対応する箇所における鍵6内の中心部には、柱状の摩擦突起部34が垂下されている。
【0076】
この負荷付与部材30の摩擦変形部33は、図6に示すように、一対の支持部32の上下部に第1、第2の各屈曲部24a、25aを介して鍵6の摩擦突起部34に向けて斜め上方に延びた状態で設けられた第1、第2の各アーム部24、25と、この第1、第2の各アーム部24、25の各先端部にそれぞれ第3の屈曲部26aを介して上下に張り渡された摩擦アーム部26とを備えている。
【0077】
第1のアーム部24は、図6に示すように、一対の支持部32の各上端部から鍵6の摩擦突起部34に向けて斜め上方に延びた状態で、第1の屈曲部24aを介して一対の支持部32にそれぞれ一体に形成されている。第2のアーム部25は、一対の支持部32の下端部から鍵6の摩擦突起部34に向けて斜め上方に延びた状態で、第2の屈曲部25aを介して一対の支持部32にそれぞれ一体に形成されている。
【0078】
この場合においても、第2のアーム部25は、図6に示すように、第1のアーム部24と同じ長さで、且つ第1のアーム部24と平行に形成されている。また、第1、第2の各屈曲部24a、25aは、実施形態1と同様、肉厚の薄い薄肉部に形成された樹脂ヒンジ部であり、図6〜図8に示すように、それぞれ屈曲変形することにより、第1、第2の各アーム部24、25を上下方向に回転変位させるように構成されている。
【0079】
また、摩擦アーム部26は、図6に示すように、その上部が第3の屈曲部26aを介して第1のアーム部24の先端部に一体に形成されていると共に、下部が第3の屈曲部26aを介して第2のアーム部25の先端部に一体に形成されていることにより、鍵6の摩擦突起部34と平行な状態で上下方向に張り渡されている。
【0080】
この摩擦アーム部26は、図6〜図8に示すように、鍵6が押鍵操作された際に、鍵6の摩擦突起部34に接離可能な状態で接触して摺動することにより、押鍵操作された鍵6の摩擦突起部34との間に摩擦抵抗が発生するように構成されている。また、この第3の各屈曲部26aも、肉厚の薄い薄肉部に形成された樹脂ヒンジ部であり、図6〜図8に示すように、それぞれ屈曲変形することにより、摩擦アーム部26を鍵6の摩擦突起部34に沿って上下方向に変位させるように構成されている。
【0081】
これにより、摩擦変形部33は、図6に示すように、全体が平行四辺形をなすリンク形状に形成されていると共に、鍵6の摩擦突起部34を中心として一対の支持部32と共に線対称な状態で形成されている。このため、この摩擦変形部33は、図6〜図8に示すように、鍵6が押鍵操作された際に、摩擦アーム部26が鍵6の摩擦突起部34の両側面34aに接離可能な状態で接触しながら摺動することにより、押鍵操作された鍵6の摩擦突起部34との間に摩擦抵抗が発生するように構成されている。
【0082】
また、この摩擦変形部33は、図6および図7に示すように、鍵6が押鍵操作されて鍵6の摩擦突起部34との間に摩擦抵抗が発生した際に、その摩擦抵抗によって第1、第2の各アーム部24、25が第1、第2の各屈曲部24a、25aを中心にそれぞれ下側に回転変位し、この第1、第2の各アーム部24、25の回転変位に伴って摩擦アーム部26が鍵6の摩擦突起部34に押し付けられることにより、摩擦抵抗が増大するように構成されている。
【0083】
一方、この負荷付与部材30においても、図6〜図8に示すように、鍵6が押鍵操作されて一対の摩擦変形部33が弾性変形した際に、その弾性変形状態を規制する一対の変形規制部35を備えている。この一対の変形規制部35は、一対の支持部32の間に位置する各ベース部31の上部にそれぞれ摩擦突起部34に向けて斜め上方に緩やかに傾斜して設けられている。この変形規制部35も、実施形態1と同様、鍵6が押鍵操作されて摩擦変形部33の第1、第2の各アーム部24、25が下側に回転変位した際に、第2のアーム部25が上方から当接することにより、摩擦変形部33の弾性変形を規制するように構成されている。
【0084】
また、複数の鍵6には、図6〜図8に示すように、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、その鍵6に対する負荷付与部材30による負荷の付与を解除する負荷付与解除部36が設けられている。この負荷付与解除部36は、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、負荷付与部材30の摩擦変形部33を鍵2の摩擦突起部34の両側面34aから離間させるための段差凹部36aである。
【0085】
すなわち、この負荷付与解除部36の段差凹部36aは、図7および図8に示すように、鍵6が押し下げられて負荷付与部材30の摩擦変形部33が弾性変形し、この弾性変形した摩擦変形部33が変形規制部35によって規制されて摩擦抵抗が最大になった際に、摩擦変形部33の摩擦アーム部26を鍵2の摩擦突起部34の両側面34aから離間させるために、摩擦突起部34の両側面34aを削り取って摩擦突起部34の肉厚を薄くした構成になっている。
【0086】
この場合、負荷付与解除部36の段差凹部36aは、図7に示すように、鍵6が押し下げられて負荷付与部材30の摩擦変形部33が変形規制部35によって規制されて摩擦抵抗が最大になり、この状態で鍵6が更に押し下げられ、図8に示すように、その押し下げ動作が終了する際に、摩擦変形部33の摩擦アーム部26の下端部が対応する鍵6の摩擦突起部34の両側面34aの位置から摩擦突起部34の両側面34aの上端部に亘って、摩擦突起部34の肉厚を薄く形成した構成になっている。
【0087】
また、この負荷付与部材30と鍵6の摩擦突起部34との間にも、実施形態1と同様、粘性を有する潤滑剤28が設けられている。この潤滑剤28も、粘性を有する液状、またはゲル状(ゼリー状)のものであり、押鍵操作した際における鍵タッチ感に合う最適な粘性を有し、負荷付与部材30における摩擦変形部33の摩擦アーム部26と鍵6の摩擦突起部34との間に塗布されている。
【0088】
この潤滑剤28は、図6に示すように、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際に、鍵6の摩擦突起部34と共に下側に移動する潤滑剤28の粘性によって、摩擦変形部33の摩擦アーム部26を引き下げながら第1、第2の各アーム部24、25を下側に回転変位させることにより、摩擦アーム部26を鍵6の摩擦突起部34に接触させて摩擦抵抗を発生させるように構成されている。また、この潤滑剤28は、図7に示すように、鍵6が押鍵操作されて摩擦変形部33の第2のアーム部25が変形規制部35に当接した際に、摩擦アーム部26と鍵6の摩擦突起部34とを相対的に滑らせながら摺動させるように構成されている。
【0089】
さらに、この潤滑剤28は、図8に示すように、鍵6が押鍵操作されて下限ストッパ部12cによって下限位置に規制された際に、摩擦アーム部26と鍵6の摩擦突起部34とが相対的に滑ることにより、摩擦変形部33の摩擦アーム部26の全体が鍵6の摩擦突起部34の両側面34aにおける負荷付与解除部36の段差凹部36aに対面して摩擦突起部34の両側面34aから離れることにより、摩擦変形部33の摩擦アーム部26と鍵6の摩擦突起部34との間に発生した摩擦抵抗を解除し、摩擦変形部33を図6に示す元の形状に戻すように構成されている。
【0090】
このような鍵盤楽器において、負荷付与部材30を成形用金型で成形する場合には、実施形態1と同様、上金型と下金型とからなる成形用金型、およびスライドコアを用いて、複数の鍵ガイド部11および鍵盤シャーシ2と一体に成形することができる。また、鍵6を成形用金型で成形する場合には、実施形態1と同様、鍵6を成形するための成形用金型、およびスライドコアを用いて、負荷付与解除部36が形成された鍵6を形成することができる。
【0091】
次に、この鍵盤楽器で演奏をする場合について説明する。
この場合にも、実施形態1と同様、鍵6を押鍵操作することにより、演奏することができる。すなわち、鍵6が押鍵操作されて図1において反時計回りに回転すると、鍵6のスイッチ押圧部17がスイッチ基板14上のスイッチ部16を押圧し、この押圧されたスイッチ部16がスイッチ信号を出力する。これにより、楽音が発音される。
【0092】
このように鍵6が押鍵操作されて図1において反時計回りに回転するときには、図7に示すように、負荷付与部材30の一対の摩擦変形部33が鍵6の摩擦突起部34によって弾性変形して、鍵6に負荷を付与する。すなわち、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際には、鍵6の摩擦突起部34と共に下側に移動する潤滑剤28の粘性によって、摩擦変形部33の摩擦アーム部26が引き下げながら第1、第2の各アーム部24、25を下側に回転変位させる。
【0093】
これにより、図7に示すように、摩擦アーム部26が鍵6の摩擦突起部34の両側面34aに押し付けられるので、摩擦変形部33と鍵6の摩擦突起部34との間に摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗によって鍵6に対して負荷が付与され、鍵荷重が重くなる。このときには、鍵6の荷重が、図5に曲線Aで示したように、急速に上昇し、鍵タッチが重くなる。
【0094】
そして、鍵6が更に押し下げられて、摩擦変形部33の第1、第2の各アーム部24、25が鍵6の摩擦突起部34と共に下側に回転変位すると、図7に示すように、第2のアーム部25が変形規制部35に上方から当接して、摩擦変形部33の弾性変形が規制され、摩擦抵抗が最大になる。この状態で、鍵6が更に押し下げられると、図8に示すように、摩擦アーム部26が鍵6の負荷付与解除部36の段差凹部36aに対面し、摩擦アーム部26が摩擦突起部34の両側面34aから離れる。
【0095】
このため、鍵6に対する摩擦アーム部26の摩擦抵抗が急激に減少するので、鍵6の鍵荷重が急激に軽くなり、鍵荷重が抜ける鍵タッチ感が得られる。このときには、図5に曲線Aで示したように、鍵6が押し下げられるに伴って、鍵荷重が徐々に増加するが、鍵6が更に押し下げられて、摩擦アーム部26の全体が鍵6の負荷付与解除部36の段差凹部36aに対面する際に、図5に曲線Bで示したように、摩擦アーム部26による摩擦抵抗が極端に減少するため、鍵荷重が急激に軽くなり、鍵6に鍵荷重が抜ける鍵タッチ感が生じる。
【0096】
この後、鍵6に設けられた鍵突起部13のフック部13aが鍵盤シャーシ2の下限ストッパ部12cに当接するので、図5に曲線Cで示したように、鍵6の荷重が再び急激に上昇し、鍵タッチが更に重くなる。この後、鍵2は、図1に示したスイッチ部16の膨出部16bの弾性復帰力および鍵6の屈曲部7a、8aの弾性復帰力によって初期位置に戻る。
【0097】
このときには、図8に示すように、摩擦変形部33の摩擦アーム部26が鍵6の負荷付与解除部36の段差凹部36aに対面し、摩擦突起部34の両側面34aに対する摩擦アーム部26による摩擦抵抗が解除されているので、摩擦変形部33が第1〜第3の各屈曲部24a、25a、26aの弾性復帰力によって速やかに元の形状に弾性復帰する。これにより、鍵6が円滑に且つスムーズに上方に回転移動し、図5に曲線Dで示したように、鍵6の荷重が急激に低下する。
【0098】
そして、鍵盤6が更に上方に回転移動して摩擦変形部33の摩擦アーム部26が鍵6の負荷付与解除部36の段差凹部36aから下側に相対的にずれると、摩擦変形部33の摩擦アーム部26が摩擦突起部34の両側面34aに接近するので、摩擦アーム部26による摩擦抵抗が少し発生し、図5の曲線Eに示したように、鍵6の荷重が少し重くなる。
【0099】
しかし、このときには、負荷付与部材36の第1、第2の各アーム部24、25が第1、第2の各屈曲部24a、25aを中心に上方に向けて回転するので、摩擦アーム部26による摩擦抵抗は増大せず、スイッチ部16の膨出部16bの弾性復帰力および鍵6の屈曲部7a、8aの弾性復帰力によって、鍵6が円滑に且つスムーズに上方に回転移動する。このため、図5に曲線Fで示したように、鍵6の荷重は初期状態の鍵荷重に戻り、鍵6を速やかに初期位置に向けて戻す。
【0100】
このときには、実施形態1と同様、スイッチ部16がスイッチ押圧部17を押し上げて初期状態に戻り、スイッチ部16の膨出部16b内の可動接点がスイッチ基板14の固定接点から上方に離れるので、スイッチ部16がオフになり、楽音の発音が停止される。この後、鍵6に設けられた鍵突起部13のフック部13aが鍵盤シャーシ2の上限ストッパ部12bに当接して、鍵6が初期位置に規制され、次の押鍵準備に備える。
【0101】
このように、この鍵盤楽器においても、複数の鍵6が上下方向に回転可能に取り付けられた状態で並列に配列された鍵盤シャーシ2上に設けられ、複数の鍵6をそれぞれ上下方向にガイドする複数の鍵ガイド部11と、この複数の鍵ガイド部11にそれぞれ設けられ、複数の鍵6を押鍵操作した際に、その押鍵操作された鍵6に対して摩擦抵抗による負荷をそれぞれ付与する複数の負荷付与部材30と、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、その鍵6に対する負荷付与部材30による負荷の付与をそれぞれ解除する複数の負荷付与解除部36と、を備えていることにより、実施形態1と同様、ハンマー部材を用いずに、押鍵操作時にアコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0102】
すなわち、この鍵盤楽器においても、鍵6を押鍵操作した際に、その押鍵操作された鍵6に対して負荷付与部材30が摩擦抵抗による負荷を付与するので、鍵荷重を重くすることができると共に、押鍵終了後または押鍵終了付近では負荷付与解除部36によって負荷付与部材30による摩擦抵抗を解除するので、鍵荷重を急激に軽くして鍵荷重が抜ける鍵タッチ感を得ることができ、これにより鍵6を速やかに初期位置に向けて戻し、次の押鍵準備に備えることができるので、演奏性を向上させることができる。
【0103】
このため、このような鍵盤楽器でも、実施形態1と同様、従来例のようなハンマー部材を用いなくても、押鍵操作時に鍵6に負荷を付与して鍵タッチを確実に重くすることができると共に、負荷付与解除部36によって鍵荷重を急激に軽くして鍵荷重が抜ける鍵タッチ感を得ることができるので、アコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができる。また、従来例のように重量の重いハンマー部材を用いる必要がないので、楽器全体の重量を大幅に軽くすることができ、これにより手軽に鍵盤楽器を持ち運ぶことができると共に、低価格なものを提供することができる。
【0104】
この場合、負荷付与部材30は、鍵ガイド部11に設けられた一対の支持部32と、この一対の支持部32にそれぞれ設けられて鍵6が押鍵操作された際にこの押鍵操作された鍵6の摩擦突起部34との間に生じる摩擦抵抗に応じて弾性変形し、この弾性変形に伴う負荷を鍵6に対して付与する一対の摩擦変形部33とを備えていることにより、鍵6が押鍵操作されると、鍵6の摩擦突起部34と一対の摩擦変形部33との間に摩擦抵抗を発生させ、この摩擦抵抗によって一対の摩擦変形部33を弾性変形させることができ、この一対の摩擦変形部33の弾性変形によって、摩擦抵抗を増大させることができるので、鍵荷重を確実に且つ急速に重くすることができる。
【0105】
また、一対の支持部32は、鍵6の内部に下側から挿入された状態で鍵ガイド部11に設けられており、摩擦変形部33は、一対の支持部32の上下部に第1、第2の各屈曲部24a、25aを介して斜め上方に向けて延びた状態で設けられた第1、第2の各アーム部24、25と、この第1、第2の各アーム部24、25の各先端部にそれぞれ第3の屈曲部26aを介して上下に張り渡され、鍵6の摩擦突起部34の両側面34aに接離可能な状態で接触して摺動する摩擦アーム部26とを備えているので、実施形態1と同様、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際に、第1、第2の各アーム部24、25によって摩擦アーム部26を鍵6の摩擦突起部34の両側面34aに押し付けることができ、この押し付けに伴う負荷を鍵6に対して確実に付与することができる。
【0106】
すなわち、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際には、鍵6の摩擦突起部34の両側面34aと摩擦アーム部26との間に摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗によって第1、第2の各屈曲部24a、25aが屈曲しながら第1、第2の各アーム部24、25を回転変位させて摩擦アーム部26を鍵6の摩擦突起部34に確実に押し付けることができる。このため、鍵6の押し下げに伴って第1、第2の各アーム部24、25の回転変位が徐々に増大するので、鍵6の摩擦突起部34と摩擦アーム部26との間に発生させる摩擦抵抗を急速に増大させることができ、これにより鍵荷重を速やかに重くすることができる。
【0107】
また、負荷付与部材30は、鍵6が押鍵操作されて一対の摩擦変形部33が弾性変形した際に、その弾性変形状態を規制する変形規制部35を備えているので、実施形態1と同様、鍵6が押鍵操作されて摩擦変形部33の第1、第2の各アーム部24、25が下側に回転変位した際に、第2のアーム部25が変形規制部35に当接して摩擦変形部33の弾性変形を規制することができる。このため、鍵6が押し下げられて鍵6の摩擦突起部34と摩擦アーム部26との間に発生する摩擦抵抗が増大しても、その摩擦抵抗が一定以上に増大しないように抑制することができる。
【0108】
また、この鍵盤楽器では、負荷付与解除部36が、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、負荷付与部材30を鍵6の摩擦突起部34の両側面34aから離間させるための段差凹部36aであるから、実施形態1と同様、鍵6の摩擦突起部34の肉厚を薄くするだけの簡単な構造で、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、負荷付与部材30が負荷付与解除部36の段差凹部36aに対応させることができ、これにより負荷付与部材30を鍵6の摩擦突起部34の両側面34aから離間させることができるので、鍵6に対する負荷付与部材30による負荷を確実に且つ速やかに解除することができる。
【0109】
この場合、負荷付与解除部36は、鍵6が押鍵操作されて、鍵6の摩擦突起部34の両側面34aと摩擦アーム部26との間に発生させる摩擦抵抗が増大し、鍵6に対する負荷付与部材30の摩擦抵抗が最大になった際に、負荷付与部材30を鍵6の摩擦突起部34の両側面34aから離間させるので、鍵荷重を急激に軽くして鍵荷重が抜ける鍵タッチ感を得ることができる。これにより、アコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができると共に、負荷付与部材30の摩擦変形部33を速やかに元の形状に弾性復帰させることができ、これにより鍵6の初期位置への復帰を容易にすることができる。
【0110】
また、鍵6の摩擦突起部34と負荷付与部材30との間には、粘性を有する潤滑剤28が設けられていることにより、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際に、鍵6の摩擦突起部34と共に下側に移動する潤滑剤28の粘性によって、摩擦変形部33の摩擦アーム部26を引き下げながら第1、第2の各アーム部24、25を下側に回転変位させることができ、これにより摩擦アーム部26を鍵6の摩擦突起部34の両側面34aに接触させて摩擦抵抗を確実に発生させることができると共に、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、鍵6に対する負荷付与部材30による負荷を確実に解除することができる。
【0111】
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵6が押鍵操作されて摩擦変形部33の第2のアーム部25が変形規制部35に当接した際に、潤滑剤28によって摩擦アーム部26と鍵6の摩擦突起部34とを相対的に滑らせながら摺動させることができ、また鍵6の押鍵操作が終了する際には、負荷付与解除部36の段差凹部36aによって摩擦変形部33の摩擦アーム部26と鍵6の摩擦突起部34の両側面34aとが潤滑剤28を介して離れるので、摩擦変形部33による摩擦抵抗を解除することができる。これにより、摩擦変形部33を元の形状に容易に戻すことができるので、鍵6が摩擦抵抗の影響をほとんど受けずに、鍵6を初期位置に速やかに且つ良好に復帰させることができる。
【0112】
また、この鍵盤楽器においても、複数の鍵ガイド部11も鍵盤シャーシ2にそれぞれ一体に形成されており、複数の負荷付与部材30が複数の鍵ガイド部11にそれぞれ一体に形成されており、複数の負荷付与解除部36が複数の鍵6の各摩擦突起部34にそれぞれ一体に形成されていることにより、複数の鍵6ごとに負荷付与部材30および負荷付与解除部36を備えていても、生産性の向上を図ることができる。
【0113】
すなわち、複数の鍵6ごとに負荷付与部材30および負荷付与解除部36を備えていても、鍵盤シャーシ2を成形する成形用金型によって複数の負荷付与部材30を複数の鍵ガイド部11および鍵盤シャーシ2と共に一度に成形することができると共に、鍵6を成形する成形用金型によって複数の負荷付与解除部36を複数の鍵6と共に一度に成形することができる。このため、実施形態1と同様、生産性が良く、従来例のようなハンマー部材を用いた場合に比べて、部品点数を大幅に削減することができ、これにより組立作業性の向上を図ることができると共に、低価格化をも図ることができる。
【0114】
(実施形態3)
次に、図9〜図11を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図5に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図9に示すように、鍵6の押鍵操作時に鍵6に対して負荷を付与する負荷付与部材40の摩擦変形部41が、実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0115】
すなわち、この負荷付与部材40は、粘性を有する潤滑剤28を用いずに、摩擦変形部41を鍵6の内側面6aに直接接触させるように構成されている。このため、負荷付与部材40の摩擦変形部41は、支持部22の上下部に一体に形成された第1、第2の各アーム部24、25にそれぞれ切欠き溝52を形成した構成になっている。
【0116】
このような鍵盤楽器において、鍵6を押鍵操作した場合には、図10に示すように、負荷付与部材50の摩擦変形部51が弾性変形し、この弾性変形に伴う摩擦抵抗による負荷を鍵6に対して付与する。すなわち、鍵6が押鍵操作されて押し下げられる際には、摩擦変形部41の摩擦アーム部26が鍵6の内側面6aによって押し下げながら第1、第2の各アーム部24、25を下側に回転変位させる。
【0117】
これにより、図10に示すように、摩擦アーム部26が鍵6の内側面6aに押し付けられるので、摩擦変形部41と鍵6の内側面6aとの間に摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗によって鍵6に対して負荷が付与され、鍵荷重が重くなる。そして、鍵6が更に押し下げられて、摩擦変形部41の第1、第2の各アーム部24、25が下側に回転変位すると、図10に示すように、第2のアーム部25が変形規制部27に当接して、摩擦変形部41の弾性変形が規制される。
【0118】
すなわち、第2のアーム部25が変形規制部27に当接すると、第1、第2のアーム部24、25に設けられた各切欠き溝42によって、第1、第2のアーム部24、25が折れ曲がり、これにより摩擦変形部41の弾性変形が規制される。この状態で、鍵6が更に押し下げられると、第1、第2の各アーム部25が更に折れ曲がり、摩擦抵抗が最大になる。すると、摩擦変形部41の摩擦アーム部26が鍵6の負荷付与解除部29の段差凹部29aに対面し、摩擦アーム部26が鍵2の内側面6aから離れる。
【0119】
このため、実施形態1と同様、鍵6に対する摩擦アーム部26の摩擦抵抗が急激に減少するので、鍵6の鍵荷重が急激に軽くなり、鍵荷重が抜ける鍵タッチ感が得られる。このときには、図11に示すように、摩擦変形部41が元の形状に戻る。これにより、摩擦変形部41は、摩擦抵抗による負荷を鍵6に対して付与することがないので、スイッチ部16の膨出部16bの弾性復帰力および鍵6の屈曲部7a、8aの弾性復帰力によって、鍵6が円滑に且つスムーズに上方に回転移動して、図9に示す初期位置に戻る。
【0120】
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵盤シャーシ2上に設けられて複数の鍵6をそれぞれ上下方向にガイドする複数の鍵ガイド部11と、この複数の鍵ガイド部11にそれぞれ設けられ、複数の鍵6を押鍵操作した際に、その押鍵操作された鍵6に対して摩擦抵抗による負荷をそれぞれ付与する複数の負荷付与部材40と、複数の鍵6にそれぞれ設けられ、押鍵操作された鍵6の押し下げ動作が終了する際に、その鍵6に対する負荷付与部材20による負荷の付与をそれぞれ解除する複数の負荷付与解除部29と、を備えていることにより、実施形態1と同様、ハンマー部材を用いずに、押鍵操作時にアコースティックピアノに近似した鍵タッチ感を得ることができるほか、粘性を有する潤滑剤28を用いずに、複数の負荷付与部材40によって各鍵6に負荷を付与することができる。
【0121】
すなわち、この鍵盤楽器では、負荷付与部材40の摩擦変形部41が、支持部22の上下部に一体に形成された第1、第2の各アーム部24、25にそれぞれ切欠き溝52を形成した構成であるから、鍵6を押鍵操作した際に、摩擦変形部41における摩擦アーム部26が鍵6の内側面6aに押し付けられて摩擦抵抗が増大しても、その摩擦抵抗が一定以上に増大した際に、第1、第2の各アーム部24、25が切欠き溝42によって折れ曲がるように弾性変形して摩擦抵抗を逃がすことができる。このため、摩擦変形部41を元の形状に戻して鍵6を初期位置に復帰させることができる。
【0122】
なお、上述した実施形態3では、負荷付与部材40として、潤滑剤28を用いずに、実施形態1の負荷付与部材20の第1、第2の各アーム部24、25にそれぞれ切欠き溝42を形成した場合について述べたが、これに限らず、例えば実施形態2の負荷付与部材30においても、潤滑剤28を用いずに、第1、第2の各アーム部24、25にそれぞれ切欠き溝42を形成した構成であっても良く、またこの実施形態3の負荷付与部材41においても、潤滑剤28を用いても良い。
【0123】
また、上述した実施形態1〜3では、負荷付与部材20、30、40における摩擦変形部23、33、41の第1、第2の各アーム部24、25および摩擦アーム部26を合成樹脂で一体に成形した場合について述べたが、これに限らず、第1、第2の各アーム部24、25および摩擦アーム部26をそれぞれ別部材として形成し、第1、第2の各アーム部24、25をそれぞれ支持部22、32に軸によって回転可能に取り付けると共に、この第1、第2の各アーム部24、25に摩擦アーム部26の両端部をそれぞれ軸によって回転可能に取り付けたリンク機構として構成しても良い。
【0124】
さらに、また、上述した実施形態1〜3では、鍵6が白鍵7と黒鍵8とを有し、白鍵7がその各後端部に形成された薄肉の屈曲部7aと、この屈曲部7aが連結されて鍵6の配列方向に連続する共通支持部7bとを備え、黒鍵8がその各後端部に形成された薄肉の屈曲部8aと、この屈曲部8aが連結されて鍵6の配列方向に連続する共通支持部8bとを備えた構成である場合について述べたが、これに限らず、鍵6は、白鍵7の後端部と黒鍵8の後端部とを鍵盤シャーシ2の鍵支持部18に設けられた支持軸にそれぞれ独立させた状態で回転可能に取り付けた構成のものであっても良い。
【0125】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0126】
(付記)
請求項1に記載の発明は、複数の鍵が鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に取り付けられた状態で並列に配列された鍵盤装置において、前記鍵盤シャーシ上に設けられ、前記複数の鍵をそれぞれ上下方向にガイドする複数の鍵ガイド部と、この複数の鍵ガイド部にそれぞれ設けられ、前記複数の鍵を押鍵操作した際に、その押鍵操作された前記鍵に対して摩擦抵抗による負荷をそれぞれ付与する複数の負荷付与部材と、前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、押鍵操作された前記複数の鍵の押し下げ動作が終了する際に、その鍵に対する前記負荷付与部材による負荷の付与をそれぞれ解除する複数の負荷付与解除部と、を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0127】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤装置において、前記負荷付与部材は、前記鍵ガイド部に設けられた支持部と、この支持部に設けられて前記鍵が押鍵操作された際にこの押鍵操作された前記鍵との間に生じる摩擦抵抗に応じて変形し、この変形に伴う摩擦抵抗による負荷を前記鍵に対して付与する摩擦変形部とを備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0128】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鍵盤装置において、前記摩擦変形部は、前記支持部の上下部に第1、第2の各屈曲部を介して斜め上方に向けて延びた状態で設けられた第1、第2の各アーム部と、この第1、第2の各アーム部の各先端部にそれぞれ第3の屈曲部を介して上下に張り渡され、前記鍵の内側面に接離可能な状態で接触して摺動する摩擦アーム部とを備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0129】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の鍵盤装置において、前記負荷付与部材は、前記鍵を押鍵操作して前記摩擦変形部が弾性変形した際に、その弾性変形状態を規制する変形規制部を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0130】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鍵盤装置において、前記負荷付与解除部は、押鍵操作された前記鍵の押し下げ動作が終了する際に、前記負荷付与部材を前記鍵の摺動面から離間させるための段差凹部であることを特徴とする鍵盤装置である。
【0131】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の鍵盤装置において、前記鍵と前記負荷付与部材との間には、粘性を有する潤滑剤が設けられていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0132】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵ガイド部は前記鍵盤シャーシにそれぞれ一体に形成されており、前記複数の負荷付与部材は前記複数の鍵ガイド部にそれぞれ一体に形成されており、前記複数の負荷付与解除部は前記複数の鍵にそれぞれ一体に形成されていることを特徴とする鍵盤装置である。
【符号の説明】
【0133】
1 楽器ケース
2 鍵盤シャーシ
6 鍵
6a 鍵の各内側面
11 鍵ガイド部
20、30、40 負荷付与部材
22、32 支持部
23、33、41 摩擦変形部
24 第1のアーム部
24a 第1の屈曲部
25 第2のアーム部
25a 第2の屈曲部
26 摩擦アーム部
26a 第3の屈曲部
27、35 変形規制部
28 潤滑剤
29、36 負荷付与解除部
29a、36a 段差凹部
34 摩擦突起部
34a 摩擦突起部の両側面
42 切欠き溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鍵が鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に取り付けられた状態で並列に配列された鍵盤装置において、
前記鍵盤シャーシ上に設けられ、前記複数の鍵をそれぞれ上下方向にガイドする複数の鍵ガイド部と、
この複数の鍵ガイド部にそれぞれ設けられ、前記複数の鍵を押鍵操作した際に、その押鍵操作された前記鍵に対して摩擦抵抗による負荷をそれぞれ付与する複数の負荷付与部材と、
前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、押鍵操作された前記複数の鍵の押し下げ動作が終了する際に、その鍵に対する前記負荷付与部材による負荷の付与をそれぞれ解除する複数の負荷付与解除部と、
を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤装置において、前記負荷付与部材は、前記鍵ガイド部に設けられた支持部と、この支持部に設けられて前記鍵が押鍵操作された際にこの押鍵操作された前記鍵との間に生じる摩擦抵抗に応じて変形し、この変形に伴う摩擦抵抗による負荷を前記鍵に対して付与する摩擦変形部とを備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鍵盤装置において、前記摩擦変形部は、前記支持部の上下部に第1、第2の各屈曲部を介して斜め上方に向けて延びた状態で設けられた第1、第2の各アーム部と、この第1、第2の各アーム部の各先端部にそれぞれ第3の屈曲部を介して上下に張り渡され、前記鍵の内側面に接離可能な状態で接触して摺動する摩擦アーム部とを備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の鍵盤装置において、前記負荷付与部材は、前記鍵を押鍵操作して前記摩擦変形部が弾性変形した際に、その弾性変形状態を規制する変形規制部を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鍵盤装置において、前記負荷付与解除部は、押鍵操作された前記鍵の押し下げ動作が終了する際に、前記負荷付与部材を前記鍵の摺動面から離間させるための段差凹部であることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の鍵盤装置において、前記鍵と前記負荷付与部材との間には、粘性を有する潤滑剤が設けられていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵ガイド部は前記鍵盤シャーシにそれぞれ一体に形成されており、前記複数の負荷付与部材は前記複数の鍵ガイド部にそれぞれ一体に形成されており、前記複数の負荷付与解除部は前記複数の鍵にそれぞれ一体に形成されていることを特徴とする鍵盤装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−145790(P2012−145790A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4546(P2011−4546)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】