説明

鍵盤装置

【課題】 鍵の前部を押鍵しても、鍵の後部を押鍵しても、鍵の回転支点を一定に保ち、屈曲部の耐久性を確保して、鍵の回転動作を安定させて良好に押鍵操作ができる鍵盤装置を提供する。
【解決手段】 鍵盤シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上に配置され、且つ後部に位置する屈曲部22の屈曲により上下方向に回転する鍵2と、この鍵2が上下方向に回転する際に前記鍵の回転支点を一定に保つための鍵回転保持部30とを備えている。従って、鍵2を押鍵操作して鍵2の屈曲部22が上下方向に屈曲する際に、鍵2の回転支点を鍵回転保持部30の第1、第2の各支持部31、32によって一定に保って、鍵2を常に一定の状態で回転させることができる。このため、鍵2の前部を押鍵しても、鍵2の後部を押鍵しても、屈曲部22の耐久性を高めることができると共に、鍵2の回転動作を常に安定させることができ、これにより鍵2を良好に押鍵操作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノや電子オルガンなどの鍵盤楽器に用いられる鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ピアノなどの鍵盤装置においては、特許文献1に記載されているように、上下方向に屈曲する肉厚の薄い屈曲部が設けられた鍵を、鍵盤シャーシ上に屈曲部の屈曲により上下方向に回転可能に設けると共に、この鍵盤シャーシに鍵の押鍵操作に伴って鍵にアクション荷重を付与するハンマー部材を回転可能に設けた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−11747号公報
【0004】
この種の鍵盤装置では、鍵を押鍵操作する際に、鍵の前部を押鍵すると、鍵がハンマー部材に当接する箇所を支点として、鍵が後部上がりに回転するため、屈曲部が鍵によって押し上げられるように屈曲する。また、鍵の後部を押鍵すると、鍵がハンマー部材に当接する箇所を支点として、鍵が後部下がりに回転するため、屈曲部が鍵によって押し下げられるように屈曲する。このため、屈曲部は、鍵の押鍵位置に応じて上下方向に大きく屈曲することになり、屈曲部に対する応力集中が繰り返されると、屈曲部が破損するという問題がある。
【0005】
そこで、このような従来の鍵盤装置においては、鍵に設けられた肉厚の薄い屈曲部の破損を防ぐため、屈曲部の前側に位置する鍵の箇所に、屈曲部の上方への弾性変形を規制する上側変形規制部と屈曲部の下方への弾性変形を規制する下側変形規制部とを設けた構成になっている。この場合、上側変形規制部と下側変形規制部とは、それぞれ鍵盤シャーシに当接する箇所が鍵の前後方向にずれた状態で、鍵に設けられている。
【0006】
このような鍵盤装置では、鍵の前部を押鍵操作すると、ハンマー部材が鍵に当接する箇所を支点として鍵の後部が押し上げられるので、鍵の上側変形規制部が鍵盤シャーシの下面に当接して屈曲部の上側への弾性変形を規制する。また、鍵の後部を押鍵操作すると、ハンマー部材が鍵に当接する箇所を支点として鍵の後部が押し下げられるので、鍵の下側変形規制部が鍵盤シャーシの上面に当接して屈曲部の下側への弾性変形を規制する。これにより、屈曲部の破損を防いでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の鍵盤装置では、鍵の前部を押鍵した際に鍵の上側変形規制部が鍵盤シャーシの下面に当接する箇所と、鍵の後部を押鍵した際に鍵の下側変形規制部が鍵盤シャーシの上面に当接する箇所とが、鍵の前後方向にずれているため、鍵の前部を押鍵した際と鍵の後部を押鍵した際とで、鍵の回転支点が鍵の前後方向において異なり、鍵の回転動作が一定にならず、押鍵操作に違和感が生じるという問題がある。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、鍵の前部を押鍵しても、鍵の後部を押鍵しても、鍵の回転支点を一定に保ち、屈曲部の耐久性を確保して、鍵の回転動作を安定させて良好に押鍵操作ができる鍵盤装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に配置され、且つ後部に位置する屈曲部の屈曲により上下方向に回転する鍵と、この鍵が上下方向に回転する際に前記鍵の回転支点を一定に保つための鍵回転保持部とを備え、前記鍵回転保持部は、前記鍵の前記屈曲部よりも前記鍵の前側に位置する箇所の前記鍵の下部に設けられ、その下端部が前記鍵盤シャーシに対して摺動可能に当接して支持された第1支持部と、前記鍵の上部に前記第1支持部と対応して設けられ、その上端部が前記鍵盤シャーシに対して摺動可能に当接して保持された第2支持部と、を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記第1支持部の前記下端部が、前記鍵盤シャーシ上に設けられた第1受け部に摺動可能な状態で当接し、前記第2支持部の前記上端部は、前記鍵盤シャーシに取り付けられた上部ケースの内面に設けられた第2受け部に摺動可能に当接する構成であることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に配置され、且つ後部に位置する屈曲部の屈曲により上下方向に回転する鍵と、この鍵が上下方向に回転する際に前記鍵の回転支点を一定に保つための鍵回転保持部とを備え、前記鍵回転保持部は、前記鍵盤シャーシに設けられた係止部と、前記鍵の前記屈曲部よりも前記鍵の前側に位置する箇所の前記鍵に設けられて前記係止部に回転可能な状態で係合するフック部とを備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記係止部が、前記鍵の対応する前記鍵盤シャーシの箇所に設けられた開口部内に軸部を前記鍵の前後方向と直交する方向に沿って設けた構成であり、前記フック部は、前記鍵の下部に突出して設けられ、前記鍵盤シャーシの前記開口部に挿入して前記軸部を回転可能な状態で上下に挟む構成であることを特徴とする請求項3に記載の鍵盤装置である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記鍵盤シャーシに、前記鍵の押鍵操作に伴って回転して前記鍵にアクション荷重を付与するハンマー部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鍵盤装置である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、鍵を押鍵操作して鍵の屈曲部が上下方向に屈曲する際に、鍵の回転支点を鍵回転保持部によって一定に保って、鍵を常に一定の状態で回転させることができる。このため、鍵の前部を押鍵しても、鍵の後部を押鍵しても、屈曲部に対する応力集中を防いで屈曲部の耐久性を高めることができると共に、鍵の回転動作を常に安定させることができ、これにより押鍵操作に違和感が生じることなく、鍵を良好に押鍵操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1を示した断面図である。
【図2】図1に示された鍵盤楽器の鍵の配列状態を示した平面図である。
【図3】図1に示された鍵盤楽器において鍵を押鍵操作した状態を示した断面図である。
【図4】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2を示した断面図である。
【図5】図4に示された鍵盤楽器において鍵を押鍵操作した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
以下、図1〜図3を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、合成樹脂製の鍵盤シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上にそれぞれ上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵2と、この複数の鍵2にそれぞれアクション荷重を付与する複数のハンマー部材3と、この複数のハンマー部材3の回転動作によってそれぞれオン動作する複数のスイッチ部4とを備えている。
【0017】
鍵盤シャーシ1は、図1に示すように、その前端部(図1では右端部)に前脚部5が底部から上方に突出して設けられた構成になっている。この前脚部5の前側上部には、鍵2の横振れを防ぐための鍵ガイド部6が起立して設けられている。また、前脚部5の後方(図1では左側)に位置する鍵盤シャーシ1の箇所には、中間脚部7が設けられている。
【0018】
この中間脚部7には、図1に示すように、ゴム足7aが前脚部5と同じ高さで設けられている。この中間脚部7の後部(図1では左側部)上には、立上り部8が鍵ガイド部6とほぼ同じ高さで起立して設けられている。この立上り部8には、後述するハンマー部材3の前部(図1では右側部)が挿入して上下方向に移動するためのハンマー挿入用の開口部8aが設けられている。
【0019】
この立上り部8の上部には、図1に示すように、ハンマー搭載部9が後方(図1では左側)に向けてほぼ水平に設けられている。このハンマー搭載部9の下部には、ハンマー支持部10が下側に突出して設けられている。このハンマー支持部10には、ハンマー部材3を回転可能に支持する支持軸10aが設けられている。
【0020】
また、このハンマー搭載部9の後部(図1では左側部)には、図1に示すように、基板搭載部11が一段低く設けられている。この基板搭載部11上には、スイッチ基板12が鍵2の配列方向に沿って連続した状態で取り付けられている。このスイッチ基板12の下面には、スイッチ部4が各ハンマー部材3にそれぞれ対応して設けられている。
【0021】
このスイッチ部4は、図1に示すように、ゴムシート13にドーム状の膨出部14が膨出形成され、この膨出部14が基板搭載部11の開口部11aに上側から挿入されて下側に突出した状態で、スイッチ基板12の下面に設けられている。また、このスイッチ部4は、ドーム状の膨出部14の内部に一対の可動接点15が設けられ、この一対の可動接点15がスイッチ基板12の下面に設けられた一対の固定接点16に時間差をもって順次接触することにより、オン信号を出力するように構成されている。
【0022】
また、基板搭載部11の後方(図1では左側)に位置する鍵盤シャーシ1の後部には、図1に示すように、鍵搭載部17が鍵ガイド部6よりも少し高い高さで設けられている。この鍵搭載部17は、その上面に鍵2の後端部が取り付けられるように構成されている。この鍵搭載部17の後部には、後脚部18が底部に向けて垂下されている。
【0023】
この後脚部18の下部には、図1に示すように、ハンマー部材3の下限位置を規制する下限ストッパ部19aが設けられている。また、この後脚部18の上部に位置する鍵搭載部17の下面には、ハンマー部材3の上限位置を規制する上限ストッパ部19bが設けられている。さらに、この鍵盤シャーシ1の後部には、スピーカなどの鍵盤楽器に必要な各種の電子部品(図示せず)が組み込まれる上部ケース20が、鍵2の後部(図1では左側部)を覆い隠した状態で取り付けられている。
【0024】
一方、鍵2は、図1に示すように、白鍵と黒鍵とからなっている。ただし、この実施形態1では白鍵のみについて説明する。この鍵2は、図1および図2に示すように、鍵本体21の後部(図1では左側部)に上下方向に屈曲する肉厚の薄い屈曲部22が一体に形成され、この屈曲部22が鍵2の配列方向(図2では左右方向)に連続する連結部23にそれぞれ連結された構成になっている。
【0025】
この鍵2は、図2に示すように、連結部23によって鍵本体21が音階順に配列されるように構成されている。また、この鍵2は、図1に示すように、連結部23が鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17上に配置されてビス止めされることにより、鍵本体21が鍵盤シャーシ1に屈曲部22の屈曲により上下方向に回転可能に取り付けられるように構成されている。さらに、この各鍵2には、ハンマー部材3をそれぞれ押圧するハンマー押圧部24が下側に突出して設けられている。
【0026】
ハンマー部材3は、図1に示すように、ハンマー本体25と、このハンマー本体25の後部(図1では左側部)に設けられた錘部26と、ハンマー本体25の前側上部(図1では右側上部)に設けられてハンマー本体25の回転中心となる軸受け部27と、ハンマー本体25の前端部(図1では右端部)に設けられた鍵当接部28と、ハンマー本体25の中間部に設けられたスイッチ押圧部29とを備えている。
【0027】
このハンマー部材3は、図1に示すように、ハンマー本体25の鍵当接部28を鍵盤シャーシ1の下側から立上り部8の開口部8aに挿入させて、ハンマー搭載部9の前側(図1では右側)に突出させ、この状態でハンマー本体25の軸受け部27をハンマー搭載部9のハンマー支持部10の支持軸10aに回転可能に取り付けることにより、ハンマー本体25がハンマー支持部10の支持軸10aを中心に上下方向に回転するように構成されている。
【0028】
また、このハンマー部材3は、図1に示すように、ハンマー本体25の軸受け部27がハンマー支持部10の支持軸10aに回転可能に取り付けられた際に、ハンマー本体25の鍵当接部28が鍵2のハンマー押圧部24のハンマー保持部24aに摺動可能に挿入され、この状態で鍵当接部28が鍵の押鍵操作に応じて鍵2のハンマー押圧部24によって押し下げられることにより、図3に示すように、ハンマー本体25がハンマー支持部10の支持軸10aを中心に時計回りに回転するように構成されている。
【0029】
この場合、ハンマー部材3は、図1に示すように、鍵2が押鍵操作されていない初期状態のときに、ハンマー本体25が錘26の重量によってハンマー支持部10の支持軸10aを中心に反時計回りに回転して、ハンマー本体25の後端部が鍵盤シャーシ1に設けられた下限ストッパ部19aに当接することにより、初期位置である下限位置に規制されると共に、鍵当接部28が鍵2のハンマー押圧部24を押し上げて、鍵2を初期位置に規制するように構成されている。
【0030】
また、このハンマー部材3は、図3に示すように、鍵2が押鍵操作されると、鍵2のハンマー押圧部24によってハンマー本体25の鍵当接部28が錘部26の重量に抗して押し下げられ、これに伴ってハンマー本体25がハンマー支持部10の支持軸10aを中心に時計回りに回転することにより、鍵2にアクション荷重を付与するように構成されている。
【0031】
この場合、ハンマー部材3は、図3に示すように、ハンマー本体25がハンマー支持部10の支持軸10aを中心に時計回りに回転すると、ハンマー本体25のスイッチ押押圧部29がスイッチ基板12のスイッチ部4を押圧してスイッチ動作させ、この後、ハンマー本体25の後端部が鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17の下面に設けられた上限ストッパ部19bに当接して、ハンマー本体25の上限位置が規制され、これにより鍵2の下限位置を規制するように構成されている。
【0032】
ところで、鍵2は、図1に示すように、その後部(図1では左側部)に設けられた屈曲部22の屈曲により、上下方向に回転する際に、その回転支点を一定に保つための鍵回転保持部30を備えている。この鍵回転保持部30は、屈曲部22よりも鍵2の前側に位置する箇所の鍵本体21の下部に設けられ、その下端部31aが鍵盤シャーシ1に対して摺動可能に当接して支持された第1支持部31と、鍵本体21の上部に第1支持部31と対応して設けられ、その上端部32aが鍵盤シャーシ1に対して摺動可能に当接して保持された第2支持部32とを備えている。
【0033】
この場合、第1支持部31は、図1および図3に示すように、屈曲部22の前端部(図1では右端部)に位置する鍵本体21の後端部の下面に、その下側に向けてほぼ垂直に突出して形成されている。この第1支持部31の下端部31aは、鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17の上面に設けられた第1受け部33上に摺動可能な状態で当接するように構成されている。
【0034】
また、第2支持部32は、図1および図3に示すように、屈曲部22の前端部(図1では右端部)に位置する鍵本体21の後端部の上面に、その上側に向けてほぼ垂直に突出して形成されている。この第2支持部32の上端部32aは、鍵盤シャーシ1に取り付けられた上部ケース20における前部(図1では右側部)の内面に設けられた第2受け部34に摺動可能に当接するように構成されている。
【0035】
次に、このような鍵盤楽器の作用について説明する。
まず、鍵2が押鍵操作されていない初期状態のときには、図1に示すように、ハンマー部材3がその錘部26の重量によってハンマー本体25が鍵盤シャーシ1のハンマー支持部10の支持軸10aを中心に反時計回りに回転し、ハンマー本体25の後端部が鍵盤シャーシ1の後脚部218の下部に設けられた下限ストッパ部19aに当接して初期位置である下限位置に規制されている。
【0036】
この状態では、ハンマー部材3のスイッチ押圧部29がスイッチ基板12に設けられたスイッチ部4から下側に離れていることにより、スイッチ部4のドーム状の膨出部14内に設けられた一対の可動接点15が、スイッチ基板12の下面に設けられた一対の固定接点16から離れている。これにより、スイッチ部4は、オフ状態になっている。
【0037】
また、このときには、図1に示すように、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28によって押し上げられていることにより、鍵2の屈曲部22および鍵2の鍵回転保持部30によって支持された状態で、鍵本体21の前端部が押し上げられて初期位置である上限位置に規制されている。
【0038】
この状態で、鍵2が押鍵操作された際には、図1および図3に示すように、鍵2の屈曲部22が屈曲しながら鍵2の鍵回転保持部30を中心に鍵本体21が時計回りに回転し、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28を押し下げる。すると、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28をハンマー本体25の錘部26の重量に抗して押し下げ、ハンマー本体25が鍵盤シャーシ1のハンマー支持部10の支持軸10aを中心に時計回りに回転し、鍵2にアクション荷重が付与される。
【0039】
このように鍵2が押鍵操作されて鍵本体21が時計回りに回転する際に、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所よりも鍵2の前側に位置する鍵2の前部が押鍵操作されると、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所を支点として、鍵本体21の後部が押し上げられる。このため、鍵2の鍵回転保持部30の第2支持部32の上端部32aが上部ケース20に設けられた第2受け部34に押し付けられる。
【0040】
この状態で、鍵2の屈曲部22が屈曲しながら第2支持部32の上端部32aを中心に鍵本体21が時計回りに回転すると共に、第1支持部31の下端部31aが鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17上に設けられた第1受け部33に当接した状態で第1受け部33の上面に沿って少し前側に摺動する。これにより、鍵2は一定の状態で安定して回転する。
【0041】
また、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所よりも鍵2の後側に位置する鍵2の後部が押鍵操作されると、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所を支点として、鍵本体21の後部が押し下げられる。このため、鍵2の鍵回転保持部30の第1支持部31の下端部31aが鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17上に設けられた第1受け部33に押し付けられる。
【0042】
この状態で、屈曲部22が屈曲しながら第1支持部31の下端部31aを中心に鍵本体21が時計回りに回転すると共に、第2支持部32の上端部32aが上部ケース20に設けられた第2受け部34に当接した状態で第2受け部34の下面に沿って少し前側に摺動する。これにより、鍵2は一定の状態で安定して回転する。
【0043】
このように、鍵2が押鍵操作されてハンマー部材3が回転すると、図3に示すように、ハンマー部材3のスイッチ押圧部29が鍵盤シャーシ1の基板搭載部11に設けられたスイッチ基板12のスイッチ部4を押圧し、スイッチ部4をオン動作させる。すなわち、スイッチ部4は、ハンマー部材3のスイッチ押圧部29によってドーム状の膨出部14が押圧されると、潰れように弾性変形して、内部の一対の可動接点15がスイッチ基板12の一対の固定接点16に時間差をもって順次接触することにより、スイッチ信号を出力する。
【0044】
そして、鍵2が更に押されてハンマー部材3が更に回転すると、図3に示すように、ハンマー本体25の後端部が鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17に設けられた上限ストッパ部19bに当接し、ハンマー部材3の時計回り方向の回転が停止されて、ハンマー部材3が上限位置に規制されると共に、鍵2の時計回り方向への回転も停止されて、鍵2が下限位置に規制される。
【0045】
この後、ハンマー部材3は、ハンマー本体25の錘部26の重量によってハンマー支持部10の支持軸10aを中心に反時計周りに回転し、図1に示すように、初期位置に戻る。このときには、ハンマー部材3がその錘部26の重量によってハンマー本体25が鍵盤シャーシ1のハンマー支持部10の支持軸10aを中心に反時計回りに回転し、ハンマー本体25の後端部が鍵盤シャーシ1の後脚部18の下部に設けられた下限ストッパ部19aに当接して初期位置である下限位置に規制される。
【0046】
また、このときには、ハンマー部材3のスイッチ押圧部29がスイッチ基板12に設けられたスイッチ部4から下側に離れるので、スイッチ部4のドーム状の膨出部14内に設けられた一対の可動接点15が、スイッチ基板12の下面に設けられた一対の固定接点16から離れて、スイッチ部4がオフ状態になる。
【0047】
さらに、このときには、図1に示すように、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28によって押し上げられることにより、屈曲部22が屈曲しながら鍵2の鍵回転保持部30を中心に鍵本体21が反時計回りに回転し、鍵本体21の前端部が押し上げられて初期位置である上限位置に規制される。
【0048】
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵盤シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上に配置され、且つ後部に位置する屈曲部22の屈曲により上下方向に回転する鍵2と、この鍵2が上下方向に回転する際に鍵2の回転支点を一定に保つための鍵回転保持部30とを備えていることにより、鍵2の前部を押鍵しても、鍵2の後部を押鍵しても、鍵回転保持部30によって鍵2の回転支点を一定に保って、鍵2を常に一定の状態で回転させることができ、これにより屈曲部22の耐久性を確保して、鍵2の回転動作を安定させて良好に押鍵操作をすることができる。
【0049】
すなわち、鍵回転保持部30は、屈曲部22よりも鍵2の前側に位置する箇所の鍵2の下部に設けられ、その下端部31aが鍵盤シャーシ1に対して摺動可能に当接して支持された第1支持部31と、鍵2の上部に第1支持部31と対応して設けられ、その上端部32aが鍵盤シャーシ1に対して摺動可能に当接して保持された第2支持部32とを備えていることにより、鍵2が押鍵操作されて回転する際に、第1支持部31の下端部31aまたは第2支持部32の上端部32aを中心に鍵2を回転させることができる。
【0050】
これにより、鍵2の回転支点を一定に保つことができるので、鍵2を常に一定の状態で回転させることができる。このため、鍵2の前部を押鍵しても、また鍵2の後部を押鍵しても、屈曲部22の屈曲変形を一定に保つことができるので、屈曲部22に対する応力集中を防いで、屈曲部22の耐久性を高めることができると共に、鍵2の回転動作を常に安定させることができ、これにより押鍵操作に違和感が生じることなく、鍵2を良好に押鍵操作することができる。
【0051】
この場合、第1支持部31の下端部31aは、鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17上に設けられた第1受け部33に摺動可能な状態で当接し、第2支持部32の上端部32aは、鍵盤シャーシ1に取り付けられた上部ケース20の内面に設けられた第2受け部34の下面に摺動可能に当接する構成であるから、鍵2が押鍵操作されて回転する際に、鍵2の前部を押鍵しても、また鍵2の後部を押鍵しても、屈曲部22に大きな負荷が加わらず、鍵2の回転支点を一定に保つことができ、これにより屈曲部22に対する応力集中を防いで、鍵2の回転動作を常に安定させることができる。
【0052】
例えば、鍵2の前部が押鍵操作されて鍵本体21の後部が押し上げられる際には、第2支持部32の上端部32aが上部ケース20の内面に設けられた第2受け部34に当接した状態で、第2支持部32がその上端部32aを中心に回転すると共に、第1支持部31の下端部31aが鍵盤シャーシ1上の第1受け部33の上面に当接した状態で摺動するので、屈曲部22に大きな負荷が加わらず、鍵2の回転支点を一定に保つことができ、これにより屈曲部22に対する応力集中を防いで、鍵2の回転動作を常に安定させることができる。
【0053】
また、鍵2の後部が押鍵操作されて鍵本体21の後部が押し下げられる際には、第1支持部31の下端部31aが鍵盤シャーシ1上の第1受け部33に当接した状態で、第1支持部31がその下端部31aを中心に回転すると共に、第2支持部32の上端部32aが上部ケース20の内面に設けられた第2受け部34の下面に当接した状態で摺動するので、屈曲部22に大きな負荷が加わらず、鍵2の回転支点を一定に保つことができ、これにより屈曲部22に対する応力集中を防いで、鍵2の回転動作を常に安定させることができる。
【0054】
さらに、この鍵盤楽器では、鍵盤シャーシ1に、鍵2の押鍵操作に伴って回転して鍵2にアクション荷重を付与するハンマー部材3が設けられていることより、鍵2の押鍵強さに応じてハンマー部材3の回転速度が異なるため、鍵2の押鍵強さに応じて鍵2に異なる強さのアクション荷重を付与することができ、これによりアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0055】
この場合、鍵2の前部が押鍵操作された際には、図1において、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所を支点として、鍵本体21の後部が押し上げられ、鍵2の鍵回転保持部30の第2支持部32の上端部32aが上部ケース20に設けられた第2受け部34に押し付けられる。
【0056】
この状態で、鍵2の屈曲部22が屈曲しながら第2支持部32の上端部32aを中心に鍵本体21が時計回りに回転すると共に、第1支持部31の下端部31aが鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17上に設けられた第1受け部33に当接した状態で第1受け部33の上面に沿って摺動するので、ハンマー部材3によって屈曲部22に大きな負荷が加わらず、ハンマー部材3の影響を受けずに、鍵2の回転支点を一定に保つことができ、これにより屈曲部22に対する応力集中を防いで、鍵2を安定した状態で良好に回転させることができる。
【0057】
また、鍵2の後部が押鍵操作された際には、図1において、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所を支点として、鍵本体21の後部が押し下げられ、鍵2の鍵回転保持部30の第1支持部31の下端部31aが鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17上に設けられた第1受け部33に押し付けられる。
【0058】
この状態で、鍵2の屈曲部22が屈曲しながら第1支持部31の下端部31aを中心に鍵本体21が時計回りに回転すると共に、第2支持部32の上端部32aが上部ケース20に設けられた第2受け部34に当接した状態で第2受け部34の下面に沿って摺動するので、ハンマー部材3によって屈曲部22に大きな負荷が加わらず、ハンマー部材3の影響を受けずに、鍵2の回転支点を一定に保つことができ、これにより屈曲部22に対する応力集中を防いで、鍵2を安定した状態で良好に回転させることができる。
【0059】
(実施形態2)
次に、図4および図5を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図3に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図4に示すように、鍵2の回転支点を一定に保つための鍵回転保持部40が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0060】
すなわち、この鍵回転保持部40は、図4および図5に示すように、鍵盤シャーシ1に設けられた係止部41と、屈曲部22よりも鍵2の前側に位置する箇所の鍵本体21に設けられて係止部41に回転可能な状態で係合するフック部42とを備えている。この場合、鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17における前側(図4では右側)に位置する角部、つまり鍵搭載部17からその前側に位置する立下り部17aとに跨る箇所には、開口部43が鍵2に対応して設けられている。
【0061】
この鍵回転保持部40の係止部41は、図4および図5に示すように、鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17に設けられた開口部43内に軸部44を鍵2の前後方向と直交する方向に沿って設けた構成になっている。また、フック部42は、屈曲部22の前端部(図4では右端部)に位置する鍵本体21の後端部の下面に、その下側に向けて突出して設けられ、この下側に突出した部分の下部に軸挿入溝42aが後方に開放されて設けられた構成になっている。
【0062】
このフック部42は、図4および図5に示すように、その下部を鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17における前側の立下り部17aに対応させると共に、下部の軸挿入溝42aを鍵搭載部17の角部に位置する軸部44に対応させ、この状態で軸挿入溝42aに係止部41の軸部44を相対的に移動させて挿入させることにより、軸部44を回転可能な状態で上下に挟むように構成されている。
【0063】
次に、このような鍵盤楽器の作用について説明する。
鍵2が押鍵操作されていない初期状態のときには、実施形態1と同様、ハンマー部材3がその錘部26の重量によってハンマー本体25が鍵盤シャーシ1のハンマー支持部10の支持軸10aを中心に反時計回りに回転し、ハンマー本体25の後端部が鍵盤シャーシ1の後脚部218の下部に設けられた下限ストッパ部19aに当接して初期位置である下限位置に規制されている。
【0064】
この状態では、ハンマー部材3のスイッチ押圧部29がスイッチ基板12に設けられたスイッチ部4から下側に離れていることにより、スイッチ部4は、オフ状態になっている。また、鍵2はハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28によって押し上げられていることにより、鍵2の屈曲部22および鍵2の鍵回転保持部40によって支持された状態で、鍵本体21の前端部が押し上げられて初期位置である上限位置に規制されている。
【0065】
この状態で、鍵2が押鍵操作された際には、図4および図5に示すように、鍵2の屈曲部22が屈曲しながら鍵2の鍵回転保持部40を中心に鍵本体21が時計回りに回転し、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28を押し下げる。すると、実施形態1と同様、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28をハンマー本体25の錘部26の重量に抗して押し下げ、ハンマー本体25が鍵盤シャーシ1のハンマー支持部10の支持軸10aを中心に時計回りに回転し、鍵2にアクション荷重が付与される。
【0066】
このように鍵2が押鍵操作されて鍵本体21が時計回りに回転する際に、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所よりも鍵2の前側に位置する鍵2の前部が押鍵操作されると、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所を支点として、鍵本体21の後部が押し上げられる。このときには、図5に示すように、鍵2が鍵回転保持部40の軸部44を中心に上下方向に回転するので、屈曲部22が鍵本体21の後部によって押し上げられることがなく、一定の状態で屈曲する。
【0067】
また、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所よりも鍵2の後側に位置する鍵2の後部が押鍵操作されると、鍵2のハンマー押圧部24がハンマー部材3の鍵当接部28に当接する箇所を支点として、鍵本体21の後部が押し下げられる。このときにも、図5に示すように、鍵2が鍵回転保持部40の軸部44を中心に上下方向に回転するので、屈曲部22が鍵本体21の後部によって押し下げられることがなく、一定の状態で屈曲する。
【0068】
すなわち、鍵回転保持部40は、鍵2の下側に突出したフック部42の軸挿入溝42aに鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17に設けられた係止部41の軸部44が挿入し、この軸部44を中心に鍵2が上下方向に回転するので、鍵2の前部を押鍵操作しても、また鍵2の後部を押鍵操作しても、鍵2の屈曲部22が一定の状態で屈曲しながら、鍵2が一定の状態で安定して回転する。
【0069】
このように、鍵2が押鍵操作されてハンマー部材3が回転すると、図5に示すように、ハンマー部材3のスイッチ押圧部29が鍵盤シャーシ1の基板搭載部11に設けられたスイッチ基板12のスイッチ部4を押圧し、スイッチ部4をオン動作させる。そして、鍵2が更に押されてハンマー部材3が更に回転すると、図5に示すように、ハンマー本体25の後端部が鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17に設けられた上限ストッパ部19bに当接し、ハンマー部材3が上限位置に規制されると共に鍵2が下限位置に規制される。
【0070】
この後は、実施形態1と同様、ハンマー部材3は、ハンマー本体25の錘部26の重量によってハンマー支持部10の支持軸10aを中心に反時計周りに回転し、図4に示すように、初期位置に戻り、スイッチ部4がオフ状態になると共に、鍵2が初期位置である上限位置に規制される。
【0071】
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵盤シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上に配置され、且つ後部に位置する屈曲部22の屈曲により上下方向に回転する鍵2と、この鍵2が上下方向に回転する際の回転支点を一定に保つための鍵回転保持部40とを備えていることにより、鍵2の前部を押鍵しても、鍵2の後部を押鍵しても、鍵回転保持部40によって鍵2の回転支点を一定に保って、鍵2を常に一定の状態で回転させることができ、これにより屈曲部22の耐久性を確保して、鍵2の回転動作を安定させて良好に押鍵操作をすることができる。
【0072】
すなわち、鍵回転保持部40は、鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17に設けられた係止部41と、鍵盤2の屈曲部22よりも鍵2の前側に位置する箇所の鍵本体21に設けられて鍵搭載部17の係止部41に回転可能な状態で係合するフック部42とを備えていることにより、鍵2が押鍵操作されて回転する際に、鍵搭載部17の係止部41を中心に鍵2を回転させることができる。
【0073】
これにより、鍵2の回転支点を一定に保つことができるので、鍵2を常に一定の状態で上下方向に回転させることができる。このため、鍵2の前部を押鍵しても、また鍵2の後部を押鍵しても、屈曲部22の屈曲変形を一定に保つことができるので、屈曲部22に対する応力集中を防いで、屈曲部22の耐久性を高めることができると共に、鍵2の回転動作を常に安定させることができ、これにより押鍵操作に違和感が生じることなく、鍵2を良好に押鍵操作することができる。
【0074】
この場合、係止部41は、鍵2が対応する鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17の箇所に設けられた開口部43内に軸部44を鍵2の前後方向と直交する方向に沿って設けた構成であり、フック部42は、鍵2の下部に突出して設けられ、鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17の開口部43に挿入して軸部44を回転可能な状態で上下に挟む構成であることにより、鍵2が押鍵操作されて回転する際に、鍵2のフック部42が鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17の係止部41の軸部44を上下に挟んだ状態で、鍵2を回転させることができる。
【0075】
このため、鍵2の前部を押鍵しても、また鍵2の後部を押鍵しても、鍵2が鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17に設けられた係止部41の軸部44を中心に回転するので、鍵2の回転状態を一定に保つことができる。これにより、屈曲部22に大きな負荷が加わらず、屈曲部22を常に一定の状態で屈曲させることができるので、屈曲部22に対する応力集中を防いで、鍵2の回転動作を常に安定させることができる。
【0076】
また、この鍵盤楽器においても、鍵盤シャーシ1に、鍵2の押鍵操作に伴って回転して鍵2にアクション荷重を付与するハンマー部材3が設けられていることより、実施形態1と同様、鍵2の押鍵強さに応じてハンマー部材3の回転速度が異なるため、鍵2の押鍵強さに応じて鍵2に異なる強さのアクション荷重を付与することができ、これによりアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0077】
この場合、鍵2の前部が押鍵操作されて鍵本体21の後部が押し上げられる際、また鍵2の後部が押鍵操作されて鍵本体21の後部が押し下げられる際に、鍵搭載部17の係止部41の軸部44を中心に鍵2を回転させることができるので、屈曲部がハンマー部材3の影響を受けることがなく、屈曲部22に大きな負荷も加わらず、屈曲部22に対する応力集中を防いで、鍵2の回転支点をほぼ一定に保って、鍵2の回転動作を常に安定させることができる。
【0078】
なお、上述した実施形態2では、鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17に鍵回転保持部40の係止部41を一体に形成した場合について述べたが、これに限らず、例えば鍵回転保持部40の係止部41を鍵盤シャーシ1と別に形成して鍵盤シャーシ1の鍵搭載部17に設けた構成であっても良い。
【0079】
また、上述した実施形態1、2では、スイッチ基板12の下面に設けられたスイッチ部4をハンマー部材3のスイッチ押圧部29が押圧してスイッチ動作するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えばスイッチ部4をスイッチ基板12の上面に設け、このスイッチ部4に対応する箇所の鍵2にスイッチ押圧部を設け、この鍵2に設けられたスイッチ押圧部でスイッチ部4を押圧してスイッチ動作させるように構成しても良い。
【0080】
さらに、上述した実施形態1、2では、ハンマー部材3を備えた鍵盤楽器に適用した場合について述べたが、必ずしもハンマー部材3を備えた鍵盤楽器に適用する必要はなく、ハンマー部材3を備えていない鍵盤楽器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 鍵盤シャーシ
2 鍵
3 ハンマー部材
4 スイッチ部
17 鍵搭載部
20 上部ケース
21 鍵本体
22 屈曲部
23 連結部
24 ハンマー押圧部
30、40 鍵回転保持部
31 第1支持部
31a 第1支持部の下端部
32 第2支持部
32a 第2支持部の上端部
33 第1受け部
34 第2受け部
41 係止部
42 フック部
42a 軸挿入溝
43 開口部
44 軸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に配置され、且つ後部に位置する屈曲部の屈曲により上下方向に回転する鍵と、この鍵が上下方向に回転する際に前記鍵の回転支点を一定に保つための鍵回転保持部とを備え、
前記鍵回転保持部は、
前記鍵の前記屈曲部よりも前記鍵の前側に位置する箇所の前記鍵の下部に設けられ、その下端部が前記鍵盤シャーシに対して摺動可能に当接して支持された第1支持部と、
前記鍵の上部に前記第1支持部と対応して設けられ、その上端部が前記鍵盤シャーシに対して摺動可能に当接して保持された第2支持部と、
を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
前記第1支持部の前記下端部は、前記鍵盤シャーシ上に設けられた第1受け部に摺動可能な状態で当接し、前記第2支持部の前記上端部は、前記鍵盤シャーシに取り付けられた上部ケースの内面に設けられた第2受け部に摺動可能に当接する構成であることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置。
【請求項3】
鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に配置され、且つ後部に位置する屈曲部の屈曲により上下方向に回転する鍵と、この鍵が上下方向に回転する際に前記鍵の回転支点を一定に保つための鍵回転保持部とを備え、
前記鍵回転保持部は、前記鍵盤シャーシに設けられた係止部と、前記鍵の前記屈曲部よりも前記鍵の前側に位置する箇所の前記鍵に設けられて前記係止部に回転可能な状態で係合するフック部とを備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項4】
前記係止部は、前記鍵が対応する前記鍵盤シャーシの箇所に設けられた開口部内に軸部を前記鍵の前後方向と直交する方向に沿って設けた構成であり、前記フック部は、前記鍵の下部に突出して設けられ、前記鍵盤シャーシの前記開口部に挿入して前記軸部を回転可能な状態で上下に挟む構成であることを特徴とする請求項3に記載の鍵盤装置。
【請求項5】
前記鍵盤シャーシには、前記鍵の押鍵操作に伴って回転して前記鍵にアクション荷重を付与するハンマー部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鍵盤装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−98656(P2012−98656A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248307(P2010−248307)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】