説明

鏡餅包装体

【課題】包装資材の使用を抑えて極力過剰包装にならないようにするとともに、機械による包装適正があって、さらに脱酸素剤を入れてあっても変形を生じないようにした鏡餅包装体を提供すること。
【解決手段】重ね鏡餅形状に成形され底部が開口した形状のシート成形品からなる容器本体1と、容器本体1の中に充填された1つ又は複数個の餅2と、容器本体1の底部開口を密封して閉じる蓋材4とからなり、容器本体1の中には1つ又は複数個の餅2とともに脱酸素剤3が入れられており、しかも容器本体1の中は窒素置換されている。過剰包装にならず、ゴミとなるものが減少するので環境に優しいものとなる。脱酸素剤が容器本体内に残っている酸素を吸収するので、カビの発生が防止される。容器本体に残っている酸素の量は僅かであるので、酸素吸収後においても気体の量はあまり減少せず、したがって容器本体が変形するようなこともない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡餅形状のプラスチック容器(シート成形品)に餅を収納してなる鏡餅包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
旧来より、日本では、正月や祝い事の際に重ね鏡餅を飾り付けたり、或いは神棚に重ね鏡餅を供えたりする習慣がある。一方、時代の移り変わりに伴い、日本の住宅も気密性が高まってきており、このことが鏡餅にとっても大きな影響を及ぼしている。すなわち、気密性の高い住宅は、冷暖房の行き届いた現代社会にあっては快適な空間を提供するが、鏡餅にとっては従来発生しにくかった有害なカビまでも誘発する原因の一つになってきている。したがって、鏡開きまでの間にカビが発生し、せっかくの鏡開きの日にカビで鏡餅を食することができなくなってしまうという事態が生じている。そこで、最近では、外観が重ね鏡餅形状に成形されたプラスチック容器(シート成形品)に、切り餅を脱酸素剤とともに個別に袋に入れた切り餅個装体を数多く封入してなる所謂「鏡餅包装体」が販売されている。この鏡餅包装体は、小型のものがその手軽さからかなり出回っている。
【特許文献1】特開平6−34494号公報
【特許文献2】特開2003−146383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したような鏡餅包装体は、飾るための鏡餅として使用でき、その後食する際には容器本体の底部開口を塞いでいる蓋材を開け、中の切り餅個装体を取り出せばよく、餅を裁断する等の手間が掛からないという利点がある。しかしながら、切り餅を個別包装してさらにこれを容器本体に入れて密封状態で蓋材をシールするため、過剰包装になるという問題点がある。さらに、このような切り餅個装体を、特に小型の容器本体へ複数個封入しようとすると、その個別包装分の包材から生じる容器本体内のクリアランス不足から機械化が難しいため、現状は手詰めに頼っており、効率の面から問題があった。
【0004】
過剰包装を避けるため、切り餅個装体を用いずに、直に切り餅や丸餅をプラスチック容器に入れることも考えられるが、その場合は、カビ発生防止用として一緒に入れる脱酸素剤が容器本体内の酸素を吸収し、容器本体内の気体の量が減少することによって、シート成形品である容器本体が楕円状に変形したり、天部分が凹んだりするという容器変形の問題が生じてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、包装資材の使用を抑えて極力過剰包装にならないようにするとともに、機械による包装適正があって、さらに脱酸素剤を入れてあっても変形を生じないようにした鏡餅包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の鏡餅包装体は、重ね鏡餅形状に成形され底部が開口した形状のシート成形品からなる容器本体と、容器本体の中に充填された1つ又は複数個の餅と、容器本体の底部開口を密封して閉じる蓋材とからなり、容器本体の中には1つ又は複数個の餅とともに脱酸素剤が入れられており、しかも容器本体の中は窒素置換されていることを特徴としている。
【0007】
この鏡餅包装体では、容器本体の中が窒素置換されているとは言っても、すべて窒素に置き換わっている訳ではなく、空気すなわち酸素も僅かに残った状態となる。そして、脱酸素剤がこの残った酸素を吸収するので、カビの発生が防止されることになり、しかも吸収される酸素が僅かであるので、容器本体内の気体の減少量が少なく、容器本体が変形することがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鏡餅包装体は、容器本体内に餅を直接入れてあるので、切り餅個装体を入れてある従来のものに比べて包装が単純で過剰包装にならず、ゴミとなるものが減少するので環境に優しいものとなる。さらに、個別包装分の包材がないため容器本体内のクリアランスが十分確保でき、機械による包装適正が向上する。そして、餅と一緒に入れた脱酸素剤が容器本体内に残っている酸素を吸収するので、カビの発生が防止され、しかも、容器本体に残っている酸素の量は僅かであるので、酸素吸収後においても気体の量はあまり減少せず、したがって容器本体が変形するようなこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明に係る鏡餅包装体の一例を示す斜視図、図2は図1に示す鏡餅包装体の縦方向断面図である。
【0011】
鏡餅包装体Aは、重ね鏡餅形状に成形され底部が開口した形状のシート成形品からなる容器本体1と、その容器本体1の中に直接充填された2個の丸餅2と、容器本体1の底部開口を密封して閉じる蓋材3とからなっている。そして、容器本体1の中には丸餅2とともに脱酸素剤4が入れられており、しかも容器本体1の中は窒素ガス(N2 ガス)置換されている。
【0012】
鏡餅包装体Aの製造手順は次のようである。まず、ガスバリア性を有するプラスチックシートを用いて、容器本体1が複数並んだシート成形品を作製する。そして、専用ラインでそのシート成形品における容器本体部分に丸餅2を自動充填し、脱酸素剤3を所定間隔で貼り付けたフィルム状の蓋材4を被せ、個々の容器本体部分における底部開口の周辺を熱シールした後、冷却プレスしてから個々に打ち抜くことにより製造される。この製造工程において容器本体部分に丸餅2を充填する時に、容器本体部分に窒素ガスを吹き付けながら蓋材4をシールして密封する。したがって、この場合、脱酸素剤3は蓋材4の内側に貼り付けられた状態になる。
【0013】
このように、N2 ガスフラッシュ下で容器本体1に丸餅2を直接充填して蓋材4密閉するが、容器本体1内は窒素に100%置き換わる訳ではなく、空気すなわち酸素も僅かに残った状態となる。しかしながら、容器本体1には脱酸素剤3が入っており、この脱酸素剤3が残った酸素を吸収することになるので、カビの発生が防止される。しかも、吸収される酸素が僅かであるので、容器本体1内の気体の減少量が少なく、容器本体1が変形するようなことがない。
【0014】
容器本体1はガスバリア性のあるプラスチックシートを用いて作製するが、蓋材4にもガスバリア性のあるフィルムを用いることは言うまでもない。
【0015】
容器本体1に直接充填する餅は、上記のような同じ2個の丸餅2に限定されるものではない。大小2つの餅でもよいし、複数個の小さな餅をでもよい。もちろん、大きな餅を1つだけ入れるタイプでも構わない。
【0016】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による鏡餅包装体は、上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る鏡餅包装体の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す鏡餅包装体の縦方向断面図である。
【符号の説明】
【0018】
A 鏡餅包装体
1 容器本体
2 丸餅
3 脱酸素剤
4 蓋剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね鏡餅形状に成形され底部が開口した形状のシート成形品からなる容器本体と、容器本体の中に充填された1つ又は複数個の餅と、容器本体の底部開口を密封して閉じる蓋材とからなり、容器本体の中には1つ又は複数個の餅とともに脱酸素剤が入れられており、しかも容器本体の中は窒素置換されていることを特徴とする鏡餅包装体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−213912(P2008−213912A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56734(P2007−56734)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】