説明

長ネギ管理機の畝成形装置

【課題】
解決しようとする問題点は、ネギの栽培に適した土壌では、管理機による土寄せで形成した高畝が崩れやすく、また畝頂部に谷間ができてしまう点であり、畝の崩れを防止すると共に畝の頂部中央の谷間を埋めてネギの青化を防止することを目的とする。
【解決手段】
畝と畝の間の溝に沿って前進しながら耕耘ロータで土を畝の上に跳ね上げる長ネギ管理機において、畝の上部側面に接する成形板を前記管理機の機体左右に一対設け、成形板はその上部及び後部を弾性板で形成すると共に、前部より後部が機体の外側に張り出るように全体を傾斜して取付け、さらに成形板の畝接触面には機体の前後方向に沿う帯板を成形板の板面より起立して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネギを植えた畝に土寄せをする長ネギ管理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネギの栽培において土寄せは重要な作業の一つである。土寄せ作業は、時期が早すぎるとネギの生育が遅れる反面、遅すぎると軟白部が青くなってしまうため、数回に分けて土寄せを行い、最終的には軟白部と緑葉部との分かれた部分にまで土を盛って軟白部を土で覆う。畝の高さは40〜50cmになる。この作業は重労働であり、従来、耕耘ロータを備えた長ネギ管理機などで行なっていた。
【0003】
ところで、ネギは湿気に弱く、空気をたくさん含む土壌を好むため、ただ土を寄せただけでは畝山が崩れやすく、また風で畝頂部の土が飛散して軟白部が露出し、日に当たって青くなってしまうと商品価値が下がってしまう。また、長ネギ管理機では畝の両脇から土を寄せているため頂部中央に谷間ができやすく、この谷間の部分に光が当ってネギの軟白部が青くなってしまうという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、ネギの栽培に適した土壌では、管理機による土寄せで形成した高畝が崩れやすく、また畝の頂部中央に谷間ができてしまう点であり、本発明は畝の崩れを防止すると共に、畝の頂部中央の谷間を埋めてネギの青化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1記載のごとく、畝と畝の間の溝に沿って前進しながら耕耘ロータで土を畝の上に跳ね上げる長ネギ管理機において、畝の上部側面に接する成形板を前記管理機の機体左右に一対設け、成形板はその上部及び後部を弾性板で形成すると共に、前部より後部が機体の外側に張り出るように全体を傾斜して取付け、さらに成形板の畝接触面には機体の前後方向に沿う帯板を成形板の板面より起立して設けた。
【0006】
請求項2記載のごとく、前記機体の左右に横方向の固定フレームを突設し、これに沿って移動可能な縦方向の支持フレームを機体左右に設け、この支持フレームに沿って高さ調節可能に前記成形板を取付けた。
【0007】
請求項3記載のごとく、前記帯板の前部と成形板を取付軸を介して連結し、この取付軸を中心に帯板の後部を上下に角度変更可能にした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のごとく、機体の左右に成形板を取付け、成形板の上部及び後部を弾性板で形成し、成形板の畝接触面に帯板を起立して設けたことにより、ネギを傷つけることなく耕耘ロータで土寄せをしながら畝の上部側面を押圧して押し固めることで畝土が崩れるのを防ぐことができ、また、帯板によって畝面の土を畝の上部に押し上げて畝の頂部中央の谷間を埋めてネギの青化を防ぐことができる。
【0009】
請求項2記載のごとく、成形板を横方向の固定フレーム及び縦方向の支持フレームを介して移動可能に取付けたことにより、成形板の幅及び高さを調整して畝の上部側面の適切な位置を押圧することができる。
【0010】
請求項3記載のごとく、成形板の畝接触面に取付けた帯板を角度変更可能に構成したことにより、この帯板の向きを調節して適切な量の畝土を上方に押上げて畝の頂部中央の谷間を確実に埋めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の長ネギ管理機について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る長ネギ管理機の全体側面図である。
【0012】
長ネギ管理機1は、機体2にエンジン3を搭載し、このエンジン3によって前後位置に配置された耕耘ロータ4と走行輪5とを駆動して、ハンドル6によって操向する。耕耘ロータ4には、耕土の飛散位置調節のためのカバー7が設けられている。また、機体前方に機体の姿勢を保持する保持輪8が設けられ、保持輪8の高さを変えることで耕耘ロータ4による作業深さを調節することができる。また、機体2の左右側面に支持フレーム14と、固定フレーム15と、取付具16とを介して畝成形装置10を取付ける。
【0013】
次に、畝成形装置10について図2及び図3を参照して説明する。図2は畝成形装置の正面図、図3は畝成形装置の裏面図である。
【0014】
畝成形装置10は、畝面を押圧して畝の上部側面を押し固める成形板11と、成形板11の畝接触面に取付けられる帯板12と、成形板11の上部及び後部に取付けて畝に植えられたネギに当接する弾性板13と、機体2の左右に突設された固定フレーム15に取付具16を介して取付けられる支持フレーム14とからなる。
【0015】
成形板11は、その前端部11aで支持フレーム14に取付けられており、前端部から後端部にかけて外側に張り出るように傾斜する張出し部11bと、張出し部11bの下部に設けられて畝土の崩落を抑える抑え部11cとを備える。支持フレーム14は成形板11にボルトとナットによって固定されている。
【0016】
成形板11にゴムなどからなる弾性板13を取付けて上部及び後部へ延出する。また、帯板12を成形板11の前端部11aに取付ける。帯板12は一対のボルトとナットを取付軸19として成形板11に軸支されており、この取付軸19を軸として角度変更が可能となっている。
【0017】
図4は畝成形装置10を長ネギ管理機1に取付けた実施形態の一例を示す図である。
機体2の左右に突設された横方向の固定フレーム15に取付具16を取付ける。取付具16は、横向きのロッド部17とこれと直交する筒部18とを有し、パイプ状の固定フレーム15にこのロッド部17を差し込んで取付ける。固定フレーム15にはねじ穴を設け、ロッド部17をねじで締めて固定する。また、筒部18にもねじ穴を設け、支持フレーム14を挿通して固定する。支持フレーム14の下端に畝成形装置10が取付けられる。
【0018】
本実施例において、外側に張り出して畝面を押圧する畝成形装置10が畝の抵抗によって回転してしまわないように、筒部18は六角筒に形成され、それに合わせて支持フレーム14も六角柱に形成されている。筒部18の形状は六角筒に限られず、四角筒や楕円など非円形形状であればよい。
【0019】
図5は畝成形装置の作用図である。
ロッド部18及び支持フレーム14の固定位置を調節して畝成形器10の高さ及び幅を畝に合わせ、畝の上部側面に成形板11を当てる。成形板11の畝接触面には帯板12が取付けられているため、長ネギ管理機1の走行に伴ってこの帯板12により畝面の土が畝の上部に押上げられ、また、外方向に張り出した成形板11の張出し部11bによって畝の上部側面を押圧して押し固めると共に畝の頂部中央の谷間を埋める。
【0020】
上記のごとく構成した長ネギ管理機は以下に述べる効果を奏する。
【0021】
支持フレーム14及び固定フレーム15に沿って上下位置及び左右位置を調整し、成形板11の高さ及び幅を畝に合わせて畝面に当て、畝の上部側面を押圧して押し固めると共に畝の頂部中央の谷間を埋め、風雨による土の飛散や畝の崩れを防止すると共にネギの青化を防止することができる。
【0022】
成形板11の上部及び後部をゴムなどの弾性板13で形成したことにより、畝に植えられたネギをいためることなく、畝の上部側面を押圧することができる。
【0023】
成形板11の畝接触面に帯板12を取付けたことにより、この帯板12によって畝面の土を上方へ押上げると共に張出し部11bによって畝の上部側面を押圧することができ、また、帯板12の取付角度を変更して適切な量の土を供給して畝の頂部中央の谷間を確実に埋めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る長ネギ管理機の全体側面図。
【図2】畝成形装置の正面図。
【図3】畝成形器の裏面図。
【図4】畝成形器の取付状態を示す図。
【図5】畝成形器の作用図。
【符号の説明】
【0025】
1 長ネギ管理機
10 畝成形装置
11 成形板
11a 前端部
11b 張出し部
11c 抑え部
12 帯板
13 弾性板
14 支持フレーム
15 固定フレーム
16 取付具
17 ロッド部
18 筒部
19 取付軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝と畝の間の溝に沿って前進しながら耕耘ロータで土を畝の上に跳ね上げる長ネギ管理機において、
畝の上部側面に接する成形板を前記管理機の機体左右に一対設け、
成形板はその上部及び後部を弾性板で形成すると共に、前部より後部が機体の外側に張り出るように全体を傾斜して取付け、
さらに成形板の畝接触面には機体の前後方向に沿う帯板を成形板の板面より起立して設けてなる長ネギ管理機の畝成形装置。
【請求項2】
前記機体の左右に横方向の固定フレームを突設し、これに沿って移動可能な縦方向の支持フレームを機体左右に設け、この支持フレームに沿って高さ調節可能に前記成形板を取付けてなる請求項1記載の長ネギ管理機の畝成形装置。
【請求項3】
前記帯板の前部と成形板を取付軸を介して連結し、この取付軸を中心に帯板の後部を上下に角度変更可能にしてなる請求項1記載の長ネギ管理機の畝成形装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−204229(P2006−204229A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22725(P2005−22725)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000113816)マメトラ農機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】