説明

長尺体カバー取付け具、及び、長尺体カバー装置

【課題】構造体側に対する長尺体カバーの取付け構造の簡素化と長尺体カバーの取付け作業の効率化を図ることのできる長尺体カバー取付け具、及び、長尺体カバー装置を提供する。
【解決手段】
構造体側に取付け可能な構造体側取付け部10と、内嵌側の筒状の長尺体カバー2の端部と外嵌側の筒状の長尺体カバー3の端部との嵌合接続箇所に取付け可能なカバー側取付け部11とが備えられているとともに、カバー側取付け部11が、前記嵌合接続箇所における長尺体カバー2、3の端部どうしの嵌合面間に差し込み可能で、且つ、その差し込み状態で該嵌合面間に係合する差し込み係合片6Bから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒管やケーブルや給排水管等の長尺体を筒状の長尺体カバーで被覆した状態で建物内に配設するための技術に関し、特に、壁体やスラブの外面等の構造体に対して長尺体カバーを取付けるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の長尺体カバーとしては、長尺体配設ルートのストレート部に配される直管型長尺体カバー、長尺体配設ルートのコーナー部に配されるエルボ型長尺体カバー、長尺体配設ルートの合流部や分岐部などに配されるT字型等のジョイントカバー、長尺体配設ルートの端末に配される端末カバーなどの各種のものがある。ここで、エルボ型長尺体カバー、ジョイントカバー、端末カバーなどの端部は、直管型長尺体カバーの端部に対して外嵌する状態で嵌合接続可能に構成されている。
【0003】
そして、これら各種の長尺体カバーを長尺体配設ルートの適所に配して隣接するカバーどうしを接続するとともに、長尺体を支持する状態で構造体側に取付けられた金属製の長尺体支持具に対して長尺体カバーの連設体を取付けることで、長尺体配設ルートの全域に亘って長尺体が多数の長尺体カバーの連設体で被覆された長尺体カバー構造が構成されている。
【0004】
ところで、従来では、長尺体を支持する状態で構造体側に取付けられた金属製の長尺体支持具に対して長尺体カバーの連設体を取付けるのに、長尺体配設ルートのストレート部に配される各直管型長尺体カバー(内嵌側の長尺体カバーの一例)のみを取付け具で長尺体支持具に取付けていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の技術では、エルボ型長尺体カバーやジョイントカバーや端末カバーなどの外嵌側の長尺体カバーが内嵌側の長尺体カバーに対して嵌合接続されているだけであるため、外力が加わった時などにおいて、外嵌側の長尺体カバーがグラついたり、或いは、外嵌側の長尺体カバーが内嵌側の長尺体カバーから外れたりする虞があった。
【0006】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、外力が加わった時などにおいて、外嵌側の長尺体カバーがグラついたり、或いは、外嵌側の長尺体カバーが内嵌側の長尺体カバーから外れたりするのを効率的に抑止し得る長尺体カバー取付け具、及び、長尺体カバー装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、長尺体カバー取付け具に係り、その特徴は、
構造体側に取付け可能な構造体側取付け部と、内嵌側の筒状の長尺体カバーの端部と外嵌側の筒状の長尺体カバーの端部との嵌合接続箇所に取付け可能なカバー側取付け部とが備えられているとともに、
前記カバー側取付け部が、前記嵌合接続箇所における長尺体カバーの端部どうしの嵌合面間に差し込み可能で、且つ、その差し込み状態で該嵌合面間に係合する差し込み係合片から構成されている点にある。
【0008】
上記構成によれば、前記構造体側取付け部を構造体側に取付けるとともに、前記カバー側取付け部を前記嵌合接続箇所に取付けることによって、内嵌側の長尺体カバーと外嵌側の長尺体カバーの嵌合接続構造を利用して、内嵌側の長尺体カバーと外嵌側の長尺体カバーを同時に構造体側に取付けることができる。
【0009】
従って、外力が加わった時などにおいて、外嵌側の長尺体カバーがグラついたり、或いは、外嵌側の長尺体カバーが内嵌側の長尺体カバーから外れたりするのを効率的に抑止することができるとともに、長尺体カバーの取付け構造の簡素化と取付け作業の効率化も図ることができる。
【0010】
しかも、前記カバー側取付け部を前記嵌合接続箇所における両長尺体カバーの端部どうしの嵌合面間に差し込むだけの簡単な操作で、カバー側取付け部を嵌合接続箇所に取付けることができるから、長尺体カバーの取付け作業の更なる効率化を図ることができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記構造体側取付け部を備えた基板部に対して交差する姿勢で前記差し込み係合片が備えられている点にある。
【0012】
つまり、両長尺体カバーの嵌合接続箇所への差し込み方向は長尺体カバーの嵌合接続方向(つまり、長尺体カバーの長手方向)になるが、上記構成によれば、前記構造体側取付け部を備えた基板部に対して交差する姿勢で前記差し込み係合片が備えられているから、カバー側取付け部を嵌合接続箇所に取付けた状態において構造体側取付け部を長尺体カバーの外面から離れた位置に配することができる。
【0013】
従って、カバー側取付け部を嵌合接続箇所に取付けた状態からの構造体側取付け部の構造体側への取付け作業において長尺体カバーが作業の邪魔になるのを抑止することができ、これにより、長尺体カバーの取付け作業の更なる効率化を図ることができる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、前記差し込み係合片の前記嵌合面間への差し込み状態で長尺体カバーの端部どうしの嵌合接続箇所又はそれに連なる部位の外面に当接して該嵌合接続箇所に対する取付け姿勢を所定姿勢に保持する姿勢保持手段が備えられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記姿勢保持手段によって、該嵌合接続箇所に対する取付け姿勢が所定姿勢に保持されるから、構造体側取付け部が構造体側に取付けられた状態において構造体側に対する長尺体カバーの取付け姿勢を所定の姿勢に保つことができる。
【0016】
従って、長尺体カバーの取付け姿勢が不安定になるのを抑止することができるとともに、その長尺体カバーの取付け姿勢の不安定化によって差し込み係合片が長尺体カバーの嵌合接続箇所から外れることも抑止することができる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、前記差し込み係合片の前記嵌合面間からの離脱移動を阻止する外れ止め手段が備えられている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記外れ止め手段によって前記差し込み係合片の前記嵌合面間からの離脱移動が阻止されるから、差し込み係合片が前記嵌合面間から外れる不具合を防止することができる。
【0019】
本発明の第5特徴構成は、前記外れ止め手段が、外嵌側の前記長尺体カバーの端部の内面に突設された凸部に対する当接により、前記差し込み係合片の前記嵌合面間からの離脱移動を阻止するように、前記差し込み係合片の基端側を遊端とする状態で差し込み係合片に切り起こし形成された弾性変形可能な外れ止め片から構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記差し込み係合片を前記嵌合面間に差し込むときには、その差し込み係合片の嵌合面間への進入に連れて遊端側が差し込み係合片側に近接移動するように弾性変形して、差し込み係合片の嵌合面間への差し込み移動を許すことができる。
【0021】
そして、差し込み移動後には遊端側が差し込み係合片とは反対側に移動するように弾性復元変形して起き姿勢となって、外嵌側の前記長尺体カバーの端部の内面に突設された凸部に対する当接により前記差し込み係合片の前記嵌合面間からの離脱移動を阻止することができる。
【0022】
従って、差し込み係合片が前記嵌合面間から外れる不具合をシンプルな構造でもって効果的に防止することができる。
【0023】
本発明の第6特徴構成は、第1〜5特徴構成のいずれかの長尺体カバー取付け具用の長尺体カバー装置であって、
一対の前記長尺体カバーのうち、外嵌側の前記長尺体カバーの端縁部には、内嵌側の前記長尺体カバーとの嵌合接続状態において内嵌側の長尺体カバーの端部の外面部との間に前記差し込み係合片を差し込むための差し込み口を形成する差し込み口形成用切欠きが形成されている点にある。
【0024】
上記構成によれば、両長尺体カバーの嵌合接続状態において前記差し込み係合片を差し込むための差し込み口が形成されるから、前記差し込み口の開口縁によって前記差し込み係合片を挿入案内することができるとともに、差し込み係合片が差し込み口に差し込まれた状態から移動したり姿勢が変更したりするのも抑止することができる。
【0025】
また、例えば、差し込み係合片が長尺体カバーよりも強度の優れた素材から構成されている場合において、差し込み口の厚み分(すなわち、差し込み口形成用切欠きの深さ分)だけ差し込み係合片の厚み寸法を大きくすることで、カバー側取付け部と前記嵌合接続箇所との取付け強度を高めることもできる。
【0026】
本発明の第7特徴構成は、前記差し込み口形成用切欠きが、外嵌側の前記長尺体カバーの端縁部の周方向複数箇所に分散形成されている点にある。
【0027】
上記構成によれば、周方向複数箇所の差し込み口形成用切欠きにより現出される周方向複数箇所の差し込み口に選択的に差し込み係合片を係合させることができるから、前記嵌合接続箇所の位置や姿勢などに応じて、作業効率や取付け強度等の面から好適な差し込み口に差し込み係合片を係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】配管カバー構造の一部を示す説明図
【図2】配管カバー構造の要部の横断面図
【図3】配管カバー構造の要部の横断面図
【図4】配管カバー構造の要部の縦断面図
【図5】(a)配管カバー取付け具の正面側斜視図、(b)配管カバー取付け具の背面側斜視図
【図6】(a)配管カバー取付け具と配管カバーとの取付け構造を示す正面側斜視図、(b)配管カバー取付け具と配管カバーとの取付け構造を示す背面側斜視図
【図7】配管カバー取付け具と配管カバーとの取付け構造を示す拡大縦断面図
【図8】配管カバー構造の施工方法を示す説明図
【図9】配管カバー構造の施工方法を示す説明図
【図10】配管カバー構造の施工方法を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1〜図3は、冷媒管やドレンホース等の配管(長尺体の一例)Pを被覆する複数種の合成樹脂製の配管カバー(長尺体カバーの一例)を壁面W(構造体側の被取付け部の一例)に沿う配管類配設ルートに沿って配設した配管カバー構造の一部を示す。
【0030】
1は配管Pを壁面Wに取付ける金属製の配管支持具(長尺体支持具の一例)、2は配管配設ルートのストレート部で配管Pを被覆する直管型配管カバー(内嵌側の配管カバーの一例)、3は配管配設ルートのコーナー部で配管Pを被覆するエルボ型配管カバー(外嵌側の配管カバーの一例)である。
【0031】
前記直管型配管カバー2どうしは、合成樹脂製の筒状の第一配管カバー取付け具4を介して接続された状態で、第一配管カバー取付け具4を介して壁面W側の配管支持具1に取付けられている。
【0032】
一方、前記直管型配管カバー2とエルボ型配管カバー3は、エルボ型配管カバー3の端部と直管型配管カバー2の端部との嵌合によって接続されているとともに、当該エルボ型配管カバー3の両端二箇所の嵌合接続箇所のうちの一方が、嵌合接続箇所用の金属製の第二配管カバー取付け具6(本発明に係る長尺体カバー取付け具の一例)を介して壁面W側の金属製の固定具5に取付けられている。
【0033】
前記直管型配管カバー2は、径方向で二つ(複数の一例)に分割した半割筒状の一対の分割カバー体2A、2Bから構成されていて、配管支持具1により壁面Wに取付けた配管Pを包み込むように両分割カバー体2A、2Bを係着することで、配管Pを被覆する状態で配設し得るように構成されている。
【0034】
前記配管支持具1は、図1〜図2に示すように、配管Pを支持する環状の支持部を備えた支持部材7と、壁面Wに対する取付け部材8とを着脱自在に連設して構成されている。
【0035】
前記支持部材7は、前記支持部を構成するための半円状の配管受け板部を有した屈曲形状の2枚の帯板部材7aを、ヒンジ部7bを介して揺動自在に連結して構成されている。両帯板部材7aの遊端側には、前記取付け部材8の後述する被連結板部8bに対してボルトやナット等の固定手段15で固定連結するための挿通孔(図示しない)を備えた連結板部7cが備えられている。
【0036】
前記取付け部材8は、壁面Wに対してボルトやビス等の固定手段16で固定するための矩形板状の取付け板部8a(取付け部の一例)と、該取付け板部8aの長手方向中間部に突設された被連結板部8bとを備えたT字状金具から構成されている。
【0037】
前記取付け板部8aの長手方向の両端側には、ボルトやナット等の固定手段16で壁面Wに固定するための挿通孔8cが形成されているとともに、前記被連結板部8bには、前記固定手段15で支持部材7の連結板部7cに固定連結するための挿通孔(図示しない)が形成されている。
【0038】
つまり、この配管支持具1は、前記取付け部材8の取付け板部8aを固定手段16により壁面Wに固定し、且つ、支持部材7の前記両帯板部材7a間に配管Pを配置した状態で、前記ヒンジ部7b周りに前記両帯板部材7aを互いが近接する方向に揺動させて両帯板部材7aの連結板部7cの各々を前記取付け部材8の被連結板部8bに固定手段15で連結することにより、配管Pを壁面Wに取付ける。
【0039】
前記第一配管カバー取付け具4は、前記配管支持具1に外装するための支持具装着部4Aを軸芯方向中間部に備え、且つ、前記配管支持具1の両脇で配管Pを被覆する直管型配管カバー2の端部に外装するためのカバー装着部4Bを軸芯方向両端部に備えた筒状に構成されている。
【0040】
図2に示すように、前記取付け具側装着部4Aの内面部の周方向に間隔を空けた4箇所(複数箇所の一例)には、配管支持具1の支持部の外周部に先端側が当接して該支持部を所定位置に保持するための弾性変形可能な位置保持片部4aが突設されている。
【0041】
また、前記支持具装着部4Aには、配管支持具1に装着した状態において配管支持具1の取付け板部8aを外部に位置させるように取付け板部8aに連なる部位を挿通させる挿通部4bが形成されている。
【0042】
そして、第一配管カバー取付け具4は、壁面Wに取付けた状態の前記配管支持具1とそれの両側に配置した直管型配管カバーに対して装着操作が可能なように、径方向における相対近接操作で筒状に組付可能で、且つ、ビス等の固定手段(図示しない)で固定可能な一対の半割筒状の第1、第2分割カバー体9A、9Bから構成されている。
【0043】
図3、図4、図8に示すように、前記エルボ型配管カバー3は、径方向で二つ(複数の一例)に分割した半割筒状の一対の分割カバー体3A、3Bから構成されていて、配管Pを包み込むように両分割カバー体を係着したのち、ビス等の固定手段(図示しない)で両分割カバー体3A、3Bを固定することにより、配管Pを被覆する状態で配設し得るように構成されている。
【0044】
前記エルボ型配管カバー3の端縁部の内面には、内嵌状態で接続された直管型配管カバー2の端部の外面に接当又は近接する第一リブ3a(凸部の一例)がエルボ型配管カバー3の開口端縁を形成する状態で一体形成されている。
【0045】
当該第一リブ3aの延設方向(すなわち、エルボ型配管カバー3の周方向)の複数箇所(具体的には上下左右の4箇所)には、両配管カバー2、3の嵌合接続状態で後述する第二配管カバー取付け具6の差し込み係合片6Bの差し込み口Aを形成するための差し込み口形成用切欠き3bが形成されている。
【0046】
また、エルボ型配管カバー3の端部の内面には、円周方向の複数箇所において前記第一リブ3aとT字状に直交する状態で直管型配管カバー2の端部の外面に接当又は近接するガタツキ防止用の第二リブ3cと、直管型配管カバー2の端面と筒軸芯方向から当接して当該直管型配管カバー2の最大接続深さを規制する嵌合深さ規制用の第三リブ3dが形成されている。
【0047】
図3、図10に示すように、前記固定具5は、壁面W用の矩形板状の取付け板部5a(取付け部の一例)と、該取付け板部5aの長手方向中間部に突設された第二配管カバー取付け具用の被取付け板部5bとを備えたT字状金具から構成されている。
【0048】
当該取付け板部5aには、壁面Wに対してボルトやビス等の固定手段17で固定するための取付け孔5dが形成されているとともに、被取付け板部5bには、第二配管カバー取付け具6に対してボルト・ナット等の固定手段18で固定するための被取付け孔5eが形成されている。
【0049】
図5〜図7に示すように、前記第二配管カバー取付け具6には、壁面W側の前記固定具5に取付け可能な構造体側取付け部10と、直管型配管カバー2の端部とエルボ型配管カバー3の端部との嵌合接続箇所に差し込まれた状態で該嵌合接続箇所に取付け可能なカバー側取付け部11とが備えられている。
【0050】
前記構造体取付け部10は、矩形板状に構成された基板部6Aの上半部から構成されている。当該基板部6Aの上半部には、前記固定具5の被取付け板部5bに対して前記固定手段18で固定連結するための挿通孔6aが貫通形成されている。
【0051】
また、前記カバー側取付け部11は、前記嵌合接続箇所における両配管カバー2、3の端部どうしの嵌合面間に差し込み可能で、且つ、その差し込み状態で該嵌合面間に係合し得るように、基板部6Aに直交する姿勢(基板部6Aに交差する姿勢の一例)で基板部6Aの下端部に突設された差し込み係合片6Bから構成されている。
【0052】
そのため、前記差し込み係合片6Bを両配管カバー2、3の嵌合接続箇所に差し込むだけの簡単な操作で前記差し込み係合片6Bを両配管カバー2、3の嵌合接続箇所に取付けることができる。
【0053】
また、前記差し込み係合片6Bを前記嵌合接続箇所に取付けた状態で構造体側取付け部10が両配管カバー2、3の外面から離れた位置に配されるから、前記嵌合接続箇所に取付けた状態からの固定具5に対する取付け作業も容易に行うことができる。
【0054】
前記差し込み係合片6Bは、直管型配管カバー2の端部の外面とエルボ型配管カバー3の端部の内面とで形成される横断面弧状の差し込み口Aに対応する横断面弧状に湾曲形成されていて、本例では、横断面における内面形状が直管型配管カバー2の端部の外面に沿う形状となる曲率で湾曲形成されている。
【0055】
そのため、前記差し込み係合片6Bの表裏両面の各々を両配管カバー2、3の各々の嵌合面に対して面当接させた安定的な状態で差し込み係合片6Bを両配管カバー2、3の嵌合接続箇所に取付けることができる。
【0056】
また、例えば、直管型配管カバー2の外面を操作ガイド面として該外面に沿わせる状態で移動操作することにより、差し込み係合片6Bを嵌合接続箇所の差し込み口Aに容易に差し込むことができる。
【0057】
当該第二配管カバー取付け具6には、前記差し込み係合片6Aの前記嵌合面間からの離脱移動を阻止する外れ止め手段12と、差し込み係合片6Aの前記嵌合面間への差し込み状態で両配管カバー2、3の端部どうしの嵌合接続箇所又はそれに連なる部位の外面に当接して該嵌合接続箇所に対する取付け姿勢を所定姿勢に保持する姿勢保持手段13とが備えられている。
【0058】
前記外れ止め手段12は、前記差し込み係合片6Aの基端寄り部位において、差し込み係合片6Aの基端側を遊端とする状態で上方側に切り起こし形成された弾性変形可能な左右一対の外れ止め片6bから構成されている。
【0059】
当該外れ止め片6bは、差し込み係合片6Bの前記嵌合面間への進入に連れて下方側に弾性変形してエルボ型配管カバー3の端部の内面に突設された第一リブ3a(凸部の一例)を乗り越え、且つ、第一リブ3aを乗り越えた後に弾性復元して起き姿勢となる。
【0060】
つまり、この外れ止め片6bは、差し込み係合片6Bの前記嵌合面間への差し込み移動を許しながら、差し込み移動後は第一リブ3aとの当接によって差し込み係合片6Aの前記嵌合面間からの離脱移動を阻止し得るように構成されている。
【0061】
前記姿勢保持手段13は、差し込み係合片6Bの差し込み係合状態でエルボ型配管カバー3の端部の外面に接当又は近接するように下端面と差し込み係合片6Bの上面部との間にエルボ型配管カバー3の端部の厚み分(端部の厚み分又はそれよりも大なる厚み分の一例)だけ隙間が生じる状態で基板部6Aの正面側に突設された左右一対の縦姿勢の正面側姿勢保持片6eと、差し込み係合片6Aの差し込み係合状態で直管型配管カバー2の端部の外面に接当又は近接するように下端面が差し込み係合片6Bの下端面と面一又は略面一となる状態で基板部6Aの背面側に突設された左右一対の縦姿勢の背面側姿勢保持片6fとから構成されている。
【0062】
なお、前記正面側姿勢保持片6eは、基板部6Aの左右両側縁から正面側(差し込み係合片側)に突出する状態に折り曲げ形成された側面視L字状の左右の両側板部6Dの下部から構成されている。また、前記背面側姿勢保持片6fは、基板部6Aの左右中間部の二箇所を背面側に切り起こして構成されている。
【0063】
次に、上述の如く構成された第二配管カバー取付け具6を用いて構造体側に配管カバー2、3を取付ける方法について説明する。
【0064】
図示しないが、先ず、壁面Wの適所に対して配管支持具1を固定手段16で取付け、且つ、配管支持具1に配管Pを支持させた状態で、配管支持具1の両脇において配管Pを囲う状態で直管型配管カバーの分割カバー体2A、2Bを組付けて直管型配管カバー2を配管Pに保持させる。
【0065】
そして、前記配管支持具1とそれの両脇の直管型配管カバー2の端部とに外装させる状態で配管カバー取付け具4の第1、第2分割カバー体9A、9Bを径方向に相対近接移動させて組付けるとともに、その組付け状態で両分割カバー体9A、9Bをビス等の固定手段で固定し、両直管型配管カバー2を配管支持具1に取付ける。
【0066】
次に、図8に示すように、配管配設ルートのコーナー部において配管Pを囲う状態でエルボ型配管カバーの分割カバー体3A、3Bを組付けてエルボ型配管カバー3を配設するとともに、直管型配管カバー2とエルボ型配管カバー3とを嵌合接続する。
【0067】
その後、図9、10に示すように、両配管カバー2、3の嵌合接続箇所における差し込み口A(本例では、エルボ型配管カバー3の厚み寸法が最も大きな上方側に形成された差し込み口A)に対して、第二配管カバー取付け具6の差し込み係合片6Bを直管型配管カバー2の外面に沿わせながら差し込んで、第二配管カバー取付け具6を該嵌合接続箇所に取付ける。
【0068】
そして、壁面Wに対して固定具5を固定手段17で取付けるとともに、該固定具5の被取付け板部5bと第二配管カバー取付け具6の構造体側取付け部10を固定手段18で固定する。これにより、配管カバー2、3の取付けが完了して配管カバー構造が完成する。
【0069】
なお、直管状配管カバー2とエルボ型配管カバー3は、第二配管カバー取付け具6用の配管カバー装置(長尺体カバー装置の一例)を構成する。
【0070】
[その他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、外嵌側の長尺体カバーの一例であるエルボ型配管カバー3の端縁部に差し込み口形成用切欠き3bを形成する場合を例に示したが、差し込み口形成用切欠き3bは必ずしも形成する必要はない。
【0071】
(2)前述の実施形態では、前記差し込み係合片6Bが横断面弧状の湾曲状片に構成されている場合を例に示したが、例えば、配管カバーが横断面角形状等の場合には、横断面直線状の平坦状片に構成する等であってもよい。
【0072】
(3)前述の実施形態では、前記姿勢保持手段13が、基板部6Aの正面側に突設された正面側姿勢保持片6eと、基板部6Aの背面側に突設された背面側姿勢保持片6fとから構成されている場合を例に示したが、正面側姿勢保持片6eと背面側姿勢保持片6fの一方だけから構成されていてもよく、或いは、基板部6Aに姿勢保持片を形成するのに代えて基板部6Aの所定位置にエラストマー素材等からなる別部材を配設して構成されていてもよい。
【0073】
(4)前述の実施形態では、前記外れ止め手段12が、前記差し込み係合片6Aに切り起こし形成された外れ止め片6bから構成されている場合を例に示したが、例えば、差し込み係合片6Aを両配管カバー2、3の嵌合面間に差し込んだ状態で配管カバーの外面に引っ掛かる状態に基板部6Aに形成した掛止片等から構成されていてもよい。
【0074】
(5)外嵌側の長尺体カバーは、前述の実施形態で示したエルボ型配管カバー3に限らず、例えば、配管配設ルートの合流部や分岐部に配されるT字型等のジョイントカバー、配管配設ルートの端末に配される端末カバーなどであってもよく、要するに、内嵌側の長尺体カバーに対して外嵌する状態で嵌合接続可能なものであれば如何なるものであってもよい。
【0075】
(6)内嵌側の長尺体カバーも、前述の実施形態で示した直管型配管カバー2に限らず、外嵌側の長尺体カバーに対して内嵌する状態で嵌合接続可能なものであれば如何なるものであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
2 内嵌側の長尺体カバー(直管型配管カバー)
3 外嵌側の長尺体カバー(エルボ型配管カバー)
3a 凸部(第一リブ)
3b 差し込み口形成用切欠き
6 長尺体カバー取付け具(第二配管カバー取付け具)
6A 基板部
6B 差し込み係合片
6b 外れ止め片
10 構造体側取付け部
11 カバー側取付け部
12 外れ止め手段
13 姿勢保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体側に取付け可能な構造体側取付け部と、内嵌側の筒状の長尺体カバーの端部と外嵌側の筒状の長尺体カバーの端部との嵌合接続箇所に取付け可能なカバー側取付け部とが備えられているとともに、
前記カバー側取付け部が、前記嵌合接続箇所における長尺体カバーの端部どうしの嵌合面間に差し込み可能で、且つ、その差し込み状態で該嵌合面間に係合する差し込み係合片から構成されている長尺体カバー取付け具。
【請求項2】
前記構造体側取付け部を備えた基板部に対して交差する姿勢で前記差し込み係合片が備えられている請求項1記載の長尺体カバー取付け具。
【請求項3】
前記差し込み係合片の前記嵌合面間への差し込み状態で長尺体カバーの端部どうしの嵌合接続箇所又はそれに連なる部位の外面に当接して該嵌合接続箇所に対する取付け姿勢を所定姿勢に保持する姿勢保持手段が備えられている請求項1又は2記載の長尺体カバー取付け具。
【請求項4】
前記差し込み係合片の前記嵌合面間からの離脱移動を阻止する外れ止め手段が備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の長尺体カバー取付け具。
【請求項5】
前記外れ止め手段が、外嵌側の前記長尺体カバーの端部の内面に突設された凸部に対する当接により、前記差し込み係合片の前記嵌合面間からの離脱移動を阻止するように、前記差し込み係合片の基端側を遊端とする状態で差し込み係合片に切り起こし形成された弾性変形可能な外れ止め片から構成されている請求項4記載の長尺体カバー取付け具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の長尺体カバー取付け具用の長尺体カバー装置であって、
一対の前記長尺体カバーのうち、外嵌側の前記長尺体カバーの端縁部には、内嵌側の前記長尺体カバーとの嵌合接続状態において内嵌側の長尺体カバーの端部の外面との間に前記差し込み係合片を差し込むための差し込み口を形成する差し込み口形成用切欠きが形成されている長尺体カバー装置。
【請求項7】
前記差し込み口形成用切欠きが、外嵌側の前記長尺体カバーの端縁部の周方向複数箇所に分散形成されている請求項6記載の長尺体カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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