説明

長期生物分解性有棘縫合糸

【課題】外科手術用の有棘縫合糸および分解可能材料から外科手術用の有棘縫合糸を形成する方法を提供すること。
【解決手段】近位端と遠位端とを備えている細長い本体を有する、分解可能材料を含む縫合糸を提供することと、該縫合糸の該細長い本体の上に棘を形成することであって、該棘は、該細長い本体から該縫合糸の少なくとも1つの端に向かって延出しており、それによって該棘と該細長い本体との間に約90度未満の夾角を形成することとを包含する、方法であって、該縫合糸上の棘の形成は、該縫合糸の分解時間を約5%〜約75%で変化させる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所望の質量損失プロファイルに調整された分解速度を有する生物分解性有棘縫合糸に関する。
【背景技術】
【0002】
有棘縫合糸は、概して従来の縫合糸と同一の材料から作られるが、従来の縫合糸と比較すると、創傷を閉じるためのいくつかの利点を提供する。有棘縫合糸は、1つ以上の間隔を置いた棘を有する細長い本体を含み、該棘は、本体の全長に沿って、縫合糸の本体の表面から延出している。棘は、有棘縫合糸の通過を、組織を貫く一方向に可能にするが、反対方向への有棘縫合糸の動きに逆らうように配列される。従って、有棘縫合糸の一利点は、滑止め特性の供給である。
【0003】
有棘縫合糸は、美容、腹腔鏡および内視鏡の処置における使用に対して公知である。有棘縫合糸を用いることは、創傷における縫合糸のずれを少なくし、組織における張力の配置を可能にする。縫合糸の数は、創傷の大きさおよび閉じられた創傷を保持するために要求される強度によって左右され得る。従来の縫合糸のように、有棘縫合糸は、外科用縫合針を用いて組織に挿入され得る。
【0004】
特定の適用、創傷および創傷の治癒に必要な時間の全長に依存して、分解可能な縫合糸を製作するために用いられるポリマーが、完全に分解される最適な時間、すなわち、そこでポリマーが、その質量の全てを周囲の組織に溶かす最適な時間がある。手術で用いられる分解性縫合糸の場合において、異なる材料は、異なる分解速度を有し、比較的長い分解時間を有する材料は、概して増強された引張強度を有し、約6ヶ月以内に完全に分解される。そのような縫合糸は、増強された引張強度が望まれる場合での使用に適し得、そのような縫合糸の低減された分解時間は、一部の処置へのその使用を阻み得る。従って、材料の分解プロファイルを変更することによって所望の引張特性を提示および維持し、かつ所望の分解速度で質量損失を行う、外科用縫合糸を提供することが、有用であり得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
方法が提供され、該方法は、縫合糸を提供することを包含し、該縫合糸は、近位端と遠位端とを備えている細長い本体を有し、分解可能材料から作られ、その細長い本体に棘を有し、該棘は、本体の少なくとも一端に向かって延出することによって該棘と該細長い本体との間に約90度未満の夾角を形成し、縫合糸の棘の形成は、約5%〜約75%の縫合糸の分解時間を変える。
【0006】
さらなる実施形態において、本開示の方法から形成された外科用縫合糸も、提供される。
【0007】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
近位端と遠位端とを備えている細長い本体を有する、分解可能材料を含む縫合糸を提供することと、
該縫合糸の該細長い本体の上に棘を形成することであって、該棘は、該細長い本体から該縫合糸の少なくとも1つの端に向かって延出しており、それによって該棘と該細長い本体との間に約90度未満の夾角を形成することと
を包含する、方法であって、
該縫合糸上の棘の形成は、該縫合糸の分解時間を約5%〜約75%で変化させる、方法。
(項目2)
縫合糸を提供する上記ステップは、炭酸トリメチレン、炭酸テトラメチレン、ポリ酸無水物および無水物のコポリマー、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、そのホモポリマー、そのコポリマー、およびその組み合わせから成る群から選択された生分解性材料を含む縫合糸を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
縫合糸を提供する上記ステップは、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーを含む縫合糸を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
グリコリドは、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーの約50重量%〜約90重量%を構成し、炭酸トリメチレンは、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーの約10重量%〜約50重量%を構成する、項目3に記載の方法。
(項目5)
縫合糸を提供する上記ステップは、グリコリド、炭酸トリメチレン、カプロラクトンおよびL−ラクチドの四要素からなるポリマーを含む縫合糸を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記ポリマーは、約62重量%〜約72重量%のグリコリドを含み、実施形態において約67重量%〜約71重量%のグリコリドと約1重量%〜約10重量%の炭酸トリメチレンとを含み、実施形態において約6重量%〜約8重量%の炭酸トリメチレンと約12重量%〜約20重量%のカプロラクトンを含み、実施形態において約15重量%〜約18重量%のカプロラクトンと約1重量%〜約10重量%のL−ラクチドを含み、実施形態において約6重量%〜約8重量%のL−ラクチドを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
縫合糸を提供する上記ステップは、グリコリド−ジオキサノン−炭酸トリメチレンターポリマーを含む縫合糸を含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
グリコリドは、グリコリド−ジオキサノン−炭酸トリメチレンターポリマーの約56重量%〜約64重量%を構成し、ジオキサノンは、グリコリド−ジオキサノン−炭酸トリメチレンターポリマーの約12重量%〜約16重量%を構成し、炭酸トリメチレンは、グリコリド−ジオキサノン−炭酸トリメチレンターポリマーの約24重量%〜約28重量%を構成する、項目5に記載の方法。
(項目9)
縫合糸を提供する上記ステップは、モノフィラメントの縫合糸を提供することを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
縫合糸を提供する上記ステップは、マルチフィラメントの縫合糸を提供することを含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
上記縫合糸の少なくとも一部分に分解性ポリマーを含むコーティングを適用することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
コーティングを適用する上記ステップは、ラクトン含有のコポリマーを適用することを含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
上記ラクトンコポリマーは、炭酸アルキレン、炭酸エチレン、環状炭酸エステル、カプロラクトン、炭酸トリメチレン、ジオキサノン、ジオキセパノン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、2,5−ジケトモルフォリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、シュウ酸エチレン、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、6,8−ジオキサビシクロオクタン−7−オン分解性環状アミド、クラウンエーテル由来の分解性環状エーテルエステル、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリアルキルエーテル、およびその組み合わせから成る群から選択された少なくとも1つの単量体をさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
上記ラクトンコポリマーは、脂肪酸金属塩をさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
上記コーティングは、生物活性剤または生物活性薬品を含む、項目11に記載の方法。
(項目16)
上記生物活性剤は、殺生物薬剤、抗生物質、抗菌剤、薬物、成長因子、抗凝血薬剤、鎮痛性薬剤、麻酔薬、抗炎症性薬剤、創傷回復薬剤など、およびそれらの組み合わせを含む、項目11に記載の方法。
(項目17)
項目1の縫合糸を用いて創傷を閉塞することを含む、方法。
(項目18)
上記縫合糸は、針に添付されている、項目14に記載の方法。
(項目19)
上記縫合糸は、環状挿入デバイスの中において組織を通って前進される、項目14に記載の方法。
(項目20)
項目1の上記方法から形成された外科用縫合糸。
【0008】
(摘要)
外科手術用の有棘縫合糸および分解可能材料から外科手術用の有棘縫合糸を形成する方法が提供され、該材料は、所望の質量損失プロファイルを該縫合糸に提供するように調整された分解速度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本開示の様々な実施形態は、図面を参照しながら、以下に記述される。
【0010】
本明細書中に記載されるものは、分解性の外科用縫合糸であって、該縫合糸の本体から延出している棘を有する。縫合糸は、近位端および遠位端の両方を有し得、少なくとも1つの端に向かって細長い本体から棘が延出しており、それによって棘と縫合糸本体との間に約90度未満の夾角を形成する。縫合糸を形成するために用いられる材料は、望まれる質量損失プロファイル、強度保持率および張力特性を提供するように選択される。
【0011】
さらに、所望の分解速度は、棘の形成の間に縫合糸に与えられ得る。機械加工の工程は、縫合糸に加熱された領域を作る。冷却の速度は、局所的な、先に加熱された領域におけるポリマーの組織に影響を及ぼす。より速い冷却速度は、より非晶質の領域に対応するのに対して、より遅い冷却速度は、より少ない非晶質の領域、すなわち結晶領域をもたらす。より速い分解速度は、より非晶質の領域と相関し、より遅い分解速度は、より結晶質の領域と関連する。それ故に、棘の数および局所的に加熱される領域を増加させることは、分解速度にさらなる影響を及ぼす。
【0012】
実施形態において、棘形成に起因する非結晶領域は、有棘縫合糸の冷却速度を制御することによって保たれる。例えば、縫合糸は、棘形成の後に冷却液に触れさせられ得る。冷却液は、急冷浴であり得る。あるいは、冷却液は、棘形成の後に縫合糸の表面を通過される冷却されたガスであり得る。冷却液は、棘形成の10分以内に適用され得、実施形態において、棘形成の1分以内であり得る。用いられる冷却液の温度は、望まれる結晶度の程度による。最も速い吸収時間を有する、高度に非結晶性の縫合糸を取得するために、比較的低い温度が用いられ得る。冷却液の温度を上昇させると、縫合糸の分解時間を増加させる。使用される冷却液は、極低温流体(すなわち、液体窒素、液体ヘリウムなど)または−100℃〜30℃の温度で提供される任意のガスであり得、実施形態においては、−20℃〜20℃であり得る。実施形態において、用いられるガスは、不活性ガスである。勿論、異なる温度の冷却液が、連続して用いられ得ることによって、所望の程度の結晶性を与え、それとともに、所望の分解速度を与えることが理解されるべきである。
【0013】
実施形態において、棘形成の後の縫合糸の冷却の速度を遅め、結晶性の程度を増加させることによって、有棘縫合糸の分解時間は、増加される。例えば、縫合糸は、棘形成の後に温度調整流体に触れさせられ得る。縫合糸は、オーブンの中に置かれ得ることによって、結晶性を増加させるために冷却の速度を制御し、それによって、吸収時間を増加させる。あるいは、熱入れガスが、棘形成の後に縫合糸の表面上を通過され得る。別の実施例として、縫合糸は、液浴の中に沈められ得、冷却の速度を制御し、それによって、増加した結晶性を提供する。用いられる温度調整流体の温度は、望まれる結晶性の程度に依存する。最も遅い吸収時間を有する、高度に結晶化した縫合糸を取得するために、適当な温度の温度調整流体を選択することによって、より長い冷却時間が用いられ得る。温度調整流体の温度を上昇させることによって、縫合糸が冷えるのにかかる時間が増加し、縫合糸の分解時間を増加させる。使用される温度調整流体は、25℃〜200℃の温度で有利に提供され得、実施形態においては、25℃〜150℃で提供され得る。実施形態において、使用されるガスは、不活性ガスである。勿論、異なる温度の温度調整流体が、連続して用いられ得ることによって、所望の程度の結晶性を与え、それとともに、所望の分解速度を与えることが理解されるべきである。
【0014】
例えば、創傷を治癒するために必要な時間に依存して、縫合糸の分解の特別な速度が、望まれ得る。治癒の時間は、異なる有機体および異なる組織によって変わるので、縫合糸の分解速度を制御する能力は、縫合糸が、創傷が治癒するために充分な全長の期間は完全なままで存続し、それでもなお妥当な時間内、通常は生きている組織への縫合糸の適用後約6ヶ月以内に、吸収することを保証することが有利であり得る。
【0015】
任意の分解可能材料が、用いられることによって、本開示の有棘縫合糸を形成し得る。適切な分解可能材料は、例えば、炭酸トリメチレン、炭酸テトラメチレンなどのアルキレン炭酸塩由来のもの、カプロラクトン、ジオキサノン(dioxanone)、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、そのホモポリマー、そのコポリマー、およびその組み合わせなどの天然コラーゲン材料または合成樹脂を含み、それらに限定されない。
【0016】
本開示の縫合糸は、短期分解性縫合糸または長期分解性縫合糸であり得る。短期吸収縫合糸の分類は、移植後約3週間で元来の強度の約20%を保つ外科用縫合糸を指し、縫合糸の質量は、移植後約60〜90日以内に完全に体内に吸収される。市販の短期分解性のマルチフィラメント縫合糸の例は、Ethicon、Inc.(Somerville、N.J.)およびUnited States Surgical(Norwalk、CT)のDEXONTM、VICRYL(登録商標)、およびPOLYSORB(登録商標)を含む。短期分解性縫合糸上の棘の形成は、そのような縫合糸の質量が、移植後の体内に完全に分解されるのにかかる時間をさらに増加し得る。
【0017】
一部の実施形態において、長期分解性縫合糸は、本開示の縫合糸を形成するように用いられ得る。長期分解性縫合糸は、移植後約6週間以上で元来の強度の約20%を保つ縫合糸を含み、縫合糸の質量は、移植後約180日以内に完全に体内で分解される。例えば、PDS II(登録商標)、すなわちEthicon、Inc(Sommerville、N.J.)から市販のポリジオキサノン(polydioxanone)から作られた合成の分解性モノフィラメント縫合糸は、移植後約6週間で元来の強度の約20〜約30%を保つ。PDS IIは、移植後約90日で質量損失を示し始め、縫合糸の質量は、移植後約180日で完全に体内で分解される。
【0018】
MAXONTM縫合糸は、United States Surgical(Norwalk、Conn.)から市販されており、これは他の分解性合成モノフィラメント縫合糸であり、移植後約90日で質量損失を示し始め、縫合糸の質量は、移植後約180日で完全に体内で分解される。MAXON縫合糸は、グリコール酸および炭酸トリメチレンのコポリマーから準備される。
【0019】
用いられ得るさらに別の縫合糸は、BIOSYNTM縫合糸を含み、これは、United States Surgical(Norwalk、Conn.)から市販されており、グリコリド、炭酸トリメチレン、およびジオキサノンから作られるターポリマーであり、移植後4週間に渡り網組合成分解性縫合糸よりも強く、しかし移植後約90日〜約110日の間に完全に分解される。特定の長期分解可能材料は、米国特許第6,165,202号に開示されたものを含み、その全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0020】
他の実施形態において、本開示の有棘縫合糸は、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーから作られ得る。グリコリドの量は、用いられるグリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーの重量の約50%〜約90%であることによって、本開示の縫合糸を形成し得、通常は、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーの約55%〜約70%である。従って、炭酸トリメチレンの量は、用いられるグリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーの重さの約10%〜約50%であることによって、本開示の縫合糸を形成し得、通常は、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーの約30%〜約45%である。
【0021】
さらに他の実施形態において、本開示の縫合糸は、グリコリド、炭酸トリメチレンおよびジオキサノンのターポリマーから作られ得、該ターポリマーは、約56重量%〜約64重量%のグリコリドを含み、実施形態において、約58重量%〜約62重量%のグリコリドを、約24重量%〜32重量%の炭酸トリメチレンを含み、実施形態において、約26重量%〜約28重量%の炭酸トリメチレンおよび約12重量%〜16重量%のジオキサノンを含み、実施形態において、約13重量%〜約15重量%のジオキサノンを含む。
【0022】
別の実施形態において、本開示の縫合糸は、ラクチド−グリコリドコポリマーから作られ得、該コポリマーは、約60重量%〜約70重量%のL−ラクチドを含み、実施形態において、約63重量%〜67重量%のL−ラクチドおよび約30重量%〜約40重量%のグリコリドを含み、実施形態において、約33重量%〜約37重量%のグリコリドを含む。
【0023】
さらに別の実施形態において、本開示の縫合糸は、グリコリド、炭酸トリメチレン、カプロラクトン、およびL−ラクチドの四要素からなるポリマーから作られ得、該ポリマーは、約62重量%〜約72重量%のグリコリドを含み、実施形態において、約67重量%〜71重量%のグリコリドおよび約1重量%〜約10重量%の炭酸トリメチレンを含み、実施形態において、約6重量%〜約8重量%の炭酸トリメチレンおよび約12重量%〜約20重量%のカプロラクトンを含み、実施形態において、約15重量%〜約18重量%のカプロラクトンおよび約1重量%〜約10重量%のL−ラクチドを含み、実施形態において、約6重量%〜約8重量%のL−ラクチドを含む。
【0024】
別の実施形態において、本開示の縫合糸は、100%のグリコリドまたは100%のポリジオキサノンから作られ得る。さらなる実施形態において、本開示の縫合糸は、グリコリド−L−ラクチドコポリマーから作られ得、該コポリマーは、約87重量%〜約99重量%のグリコリドを含み、実施形態において、約89重量%〜約93重量%のグリコリドおよび約4重量%〜約13重量%のL−ラクチドを含み、実施形態において約7重量%〜約11重量%のL−ラクチドを含む。
【0025】
なおもさらなる実施形態において、本開示の縫合糸は、グリコリド−ε−カプロラクトンコポリマーから作られ得、該コポリマーは、約68重量%〜約80重量%のグリコリドを含み、実施形態において、約73重量%〜約77重量%のグリコリドおよび約20重量%〜約30重量%のε−カプロラクトンを含み、実施形態において、約23重量%〜約27重量%のε−カプロラクトンを含む。
【0026】
本開示の縫合糸は、モノフィラメント構造またはマルチフィラメント構造であり得る。本開示の縫合糸を形成するために用いられるフィラメントは、当業者の趣旨の範囲内の任意の技術、例えば押出し、成形、および/または溶剤のキャスティングを用いて形成され得る。実施形態において、ストランドは、例えば、米国特許第6,063,105号、第6,203,564号および6,235,869号に開示された従来型の押出形成機などを介して押し出され得、これら明細書のそれぞれの全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0027】
実施形態において、本開示の縫合糸は、1つ以上のフィラメントから作られるヤーンを含み得、該ヤーンは、同一または異なる材料のマルチプルフィラメントを含み得る。縫合糸がマルチプルフィラメントから作られる場合において、縫合糸は、例えば編込み(braiding)、織り(weaving)、または編み(knitting)などの任意の公知の技術を用いて作られ得る。フィラメントはまた、不織縫合糸を生成するために組み合わされ得る。フィラメント自体が、引き伸ばされるか、配向されるか、縮れさせるか、織り込まれるか、混合されるか、エアでもつれさせられることによって、ヤーンを縫合糸形成工程の一部として形成し得る。一実施形態において、本開示のマルチフィラメント縫合糸は、編込みによって生成される。編込みは、当業者の趣旨の範囲内の任意の方法によってなされ得る。
【0028】
従って、本開示の方法を利用して、有棘縫合糸の質量損失プロファイルは、最適化され、その結果として、縫合糸は、最も適切な時間において完全に分解され得、これは、特定の主要な外科手術、例えば美容、腹腔鏡および内視鏡の処置において重要であり得る。例えば、実施形態において、縫合糸上の棘の形成は、分解可能材料の使用を可能にし、該分解可能材料は、通常は、高い引張強度と長い分解時間を有することにより、同様の高い引張強度を有するが減少した分解速度を有する縫合糸を形成する。
【0029】
本開示に従った使用に適している有棘縫合糸および配置の方法は、米国特許第5,931,855号および第6,599,310号、ならびに米国特許出願公開第20030074023号、第20030074023号、第20040088003号、第20040060409号、および第20040060410号に記述された方法を含み、該方法のそれぞれの開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0030】
棘は、当業者の趣旨の範囲内の任意の方法を利用して、縫合糸の本体の表面に形成され得る。そのような方法には、カッティング、成形などを含み、それらに限定されない。一部の実施形態において、棘は、縫合糸の本体に直接的に鋭角の切れ目を作ることによって形成され得、切れ目部分は、外向きに押し出され、縫合糸の本体から引き離され得る。そのように形成された縫合糸の本体の棘の深さは、縫合糸材料の直径および切れ目の深さに依存し得る。一部の実施形態において、縫合糸フィラメントの外面上に複数の軸方向に間隔を置いた棘をカッティングするために適切なデバイスは、カッティングベッド、カッティングベッドバイス、カッティングテンプレートおよびカッティングを行うブレードアセンブリであり得る。動作において、カッティングデバイスは、同一または不揃いの構成で、および互いに異なる角度で、複数の軸方向に間隔を置いた棘を生成する能力を有する。棘をカッティングするための他の適切な方法は、レーザーまたは手動の方法の使用を含む。縫合糸はまた、射出成形、押出し、打抜き加工などによって形成され得る。縫合糸は、任意の数の所望の予めカットされた全長および予め形成された曲線で包装さえ得る。
【0031】
実施形態において、全ての棘は、縫合糸の通過を、組織を貫く一方向に可能にするが、反対方向への有棘縫合糸の動きに逆らうように配列され得る。例えば、図1を参照すると、縫合糸10上の棘12は、縫合糸上に単一方向に形成され得る。縫合糸10は、細長い本体14および本体の周囲から延出している複数の棘12を含む。棘12は、縫合糸10の本体に向かってたわむことが可能である。棘12は、組織を貫く針の端部16の動きの方向に縫合糸10の動きを可能にするが、一般に反対方向には柔軟ではなく、針の端部16の動きの方向の反対方向への縫合糸10の動きを防止する。
【0032】
他の実施形態において、棘は、縫合糸の全長の第1の部分上に配列され得ることによって、組織を貫く縫合糸の第1の端部の動きを一方向に可能にし、その一方で、縫合糸の全長の第2の部分上の棘は、縫合糸の第2の端部の動きを反対方向に可能にするように配列され得る。例えば、図2に図示されたように、縫合糸110は、両方向的であり得る。有棘縫合糸110は、2つの面積である本体部分114aおよび本体部分114bを有する細長い本体114、組織を貫通するための遠位の第1の針端部116aおよび第2の針端部116b、および本体114の周囲から延出している複数の棘112aおよび112bを含む。縫合糸110の第1の端部と縫合糸の本体の第1の軸方向の位置との間の本体114aの第1の部分上の棘112aは、組織を貫く第1の針の端部116aの動きの方向に縫合糸110の動きを可能にするが、組織に対する第1の針の端部116aの動きの反対の方向への縫合糸110の動きを防止する。縫合糸の本体114の第2の針の端部116bと第2の針の端部116bから第1の軸方向の位置への距離よりも短い、本体上の第2の軸方向の位置との間の本体114bの第2の部分上の棘112bは、組織を貫く第2の針の端部116bの動きの方向に縫合糸の本体114の動きを可能にし、組織に対する第2の針の端部116bの動きの方向と反対の方向への動きを防止する。
【0033】
棘は、任意の適切なパターン、例えばらせん状のパターンに配列され得る。棘の数、構成、間隔および表面面積は、縫合糸が用いられる組織ならびに縫合糸を形成するために用いられる材料の構成および幾何学的形状に依存して変わり得る。加えて、棘のプロポーションは、比較的一定に留まり得、一方で、棘の全体的な全長および棘の間隔は、接続される組織によって決定され得る。例えば、縫合糸が、皮膚または腱における創傷の縁を接続するために用いられる場合には、棘は、比較的短く、かつより硬く作られ得ることによって、この比較的に堅固な組織に入ることを容易にする。あるいは、縫合糸が、比較的に柔らかい脂肪組織における使用を意図される場合には、棘は、より長く、かつより離れた間隔を置いて作られ得ることによって、縫合糸が柔らかい組織を把持する能力を増加させる。
【0034】
棘の表面面積もまた、変わり得る。例えば、縮絨加工の先端部を有する棘は、特別の外科的な適用のために設計された様々な大きさで作られ得る。脂肪組織と比較的に柔らかい組織とを接合させるために、より大きな棘が、望まれ得るのに対して、より小さな棘は、コラーゲンが密な組織に対してより適切であり得る。一部の実施形態において、同一構造内でのより大きな棘とより小さな棘との組み合わせが、有利であり得、例えば、縫合糸が、異なる層状構造を有する組織の回復のために用いられるときなどに有利である。棘の大きさが、各組織層に対してカスタム化されている、同一の縫合糸の中での、大きな棘および小さな棘の組み合わせの使用は、最大の固定特性を保証する。実施形態において、図1に図示されたような単一方向の縫合糸は、大きな棘および小さな棘の両方を有し得、他の実施形態において、図2に図示されたような両方向的な縫合糸は、大きな棘および小さな棘の両方を有し得る。
【0035】
本開示に従って、分解可能材料から製作された有棘縫合糸は、移植後の、所定期間において構造上の完全性を維持し、それは、用いられた特定のコポリマーの特性に依存する。そのような特性は、例えばコポリマーを形成するために用いられる単量体およびそこへのあらゆる接着剤の両方を含むコポリマーの構成要素を含み、ならびに、工程の状態(例えば、共重合反応の速度、反応のための温度、圧力など)およびその結果としてのコポリマーの任意のさらなる処置、すなわちコーティング、滅菌などを含む。
【0036】
本開示の有棘縫合糸は、通常は構造上の完全性、すなわち元来の強度の80%を、移植後の約1日〜約50日の範囲で維持し、実施形態においては、約3日〜約30日であり、より典型的には、約5日〜約20日である。
【0037】
本開示に従って、縫合糸の本体上の棘の形成は、縫合糸の分解時間を約5%〜約75%変化させるために用いられ得、実施形態においてより典型的には、約20%〜約60%である。
【0038】
生物活性剤が、本開示の縫合糸を形成するために用いられるポリマー内に浸透され得るか、その表面に適用され得る。実施形態において、生物活性剤はまた、そのような縫合糸のコーティングに含まれ得る。一部の実施形態において、生物活性剤は、棘と縫合糸の本体との間に形成された角度に局所化され得、それによって、生物活性剤または2006年9月6日出願の米国仮特許出願第60/842,763号に記載の薬剤の制御された解放を促進し、該米国仮特許出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0039】
適切な生物活性剤は、例えば殺生物薬剤、抗生物質、抗菌剤、薬物(medicant)、成長因子、抗凝血薬剤、鎮痛性薬剤、麻酔薬、抗炎症性薬剤、創傷回復薬剤など、およびそれらの組み合わせを含む。
【0040】
生物活性剤は、動物に有益で、治癒の工程を促進させる物質を含む。例えば、縫合糸は、縫合される現場で、堆積される生物活性剤とともに提供され得る。生物活性剤は、その抗菌性の特性、創傷回復および/または組織成長を促進する能力、血栓症などの特定の適応症のために選択され得る。実施形態において、そのような薬剤の組み合わせは、本開示の縫合糸に適用され得る。
【0041】
本明細書に用いられる用語「抗菌剤」は、身体が、病原性(病気の原因となる)微生物に対する破壊または抵抗を援助する。抗菌剤は、抗生物質、防腐薬、消毒薬およびそれらの組み合わせを含む。広域抗生物質などの抗生物質(硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシンまたは誘導グリコペプチド)は、組織にゆっくりと解放されるが、この様な方法で適用され得ることによって、外科的または外傷の創傷部位における臨床的および亜臨床的な感染と戦う際の援助となる。実施形態において、適切な抗菌剤は、1つ以上の溶剤に可溶性であり得る。
【0042】
抗菌剤として用いられ得る抗生物質の類は、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン、リファンピンなどのリファマイシン、エリスロマイシンなどのマクロライド、ナフシリンなどのペニシリン、セファゾリンなどのセファロスポリン、イミペネムおよびアズトレオナムなどのβ−ラクタム抗生物質、ゲンタマイシンおよびTOBRAMYCIN(登録商標)などのアミノグリコシド、クロラムフェニコール、スルファメトキサゾールなどのスルフォンアミド、バンコマイシンなどのグリコペプチド、シプロフロキサシンなどのキノロン、フシジン酸、トリメトプリム、メトロニダゾール、クリンダマイシン、ムピロシン、アンフォテリシンBなどのポリエン、フルコナゾールなどのアゾール、およびスルバクタムなどのβ−ラクタム阻害物質を含む。
【0043】
抗菌剤として用いられ得る防腐薬および消毒薬の例は、ヘキサクロロフェン、カチオン性ビグアナイド類似のクロルヘキシジンおよびシクロヘキシジン、ヨードおよびヨードフォア類似のポビドンヨード、ハロ置換のフェノール化合物類似のPCMX(すなわち、p−クロロ−m−キシレノール)およびトリクロサン(triclosan)(すなわち、2,4,4’−トリクロロ−2’ヒドロキシ−ジフェニルエーテル)、フラン調合薬剤類似のニトロフラントインおよびニトロフラゾン、メテナミン、アルデヒド類似のグルタルアルデヒドおよびホルムアルデヒド、およびアルコールを含む。一部の有用な実施形態において、抗菌剤のうちの少なくとも一部は、トリクロサンのような防腐剤であり得る。
【0044】
創傷の回復および/または組織の成長を促進するために、これらの目的のうちのいずれかまたは両方を達成するように公知の1つ以上の生物活性剤はまた、創傷回復物質または組織成長物質として縫合糸に適用され得る。そのような材料は、いくつかのヒト成長要因(HGF)のいずれか、マガイニン、血栓症を起こす組織または腎臓プラスミノーゲン活性化因子、組織破壊遊離基を除去するスーパーオキシドジスムターゼ、ガン治療のための腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子、インターフェロン、免疫系を促進するインターロイキン2または他のリンフォカイン、それらの組み合わせなどを含む。
【0045】
本開示に従った縫合糸はまた、例えば生物学上受容可能な可塑剤、酸化防止剤および着色料を含み得、それらは、本開示の縫合糸を形成するために用いられるフィラメントに浸透され得るか、またはそのコーティングに含まれ得る。
【0046】
上記のように、生物活性剤は、本開示の縫合糸を形成するために用いられる材料に浸透され得るか、またはその表面に堆積され得る。生物活性剤は、当業者の趣旨の範囲内の任意の方法を用いて本開示の有棘縫合糸に適用され得、該方法は、例えば、浸漬、噴霧、蒸着、はけ塗りなどを含む。実施形態において、抗菌剤などの生物活性剤は、生物活性剤の溶剤の一部として、本開示の有棘縫合糸に適用され得る。
【0047】
他の実施形態において、有棘縫合糸またはその一部は、生物適合性材料を用いてコーティングされ得、該材料は、縫合糸の表面に潤滑性を与え得、さらに本開示の有棘縫合糸の分解速度を調整し得、実施形態においては、縫合糸の分解速度を減少させることによって調整する。しかし、コーティングの追加は、縫合糸の強度および引張特性に不利に影響を及ぼすべきではない。用いられ得る適切なコーティングは、当業者の趣旨の範囲内であり、例えば、米国特許出願公開第20040153125号に記載の生物分解性コーティングを含み、この全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0048】
実施形態において、先述のコーティングを形成する際に有用な混合物は、有効な抗菌的な量における優勢な構成要素として、抗菌剤のような生物活性剤を含み得る。「優勢な量」とは、約50重量パーセントより大きな量が存在する1つ以上の構成要素を指す。「マイナー量」は、約50重量パーセントまでの量が存在する1つ以上の構成要素を指す。マイナーな構成要素は、カプロラクトンなどの生物分解性単量体を含むコポリマーを含み得る。
【0049】
所定の構成要素の「有効な抗菌的な量」は、該構成要素が、細菌の成長を妨げ、創傷部位の雑菌混入を減少または防止する量である。
【0050】
実施形態において、生物適合性の外科移植可能なデバイスのための抗菌分解性コーティングの構成要素は、安価で、生物適合性があり、過度の拡散の影響を受けない。「生物適合性がある」とは、生物系の中の対象物の存在によって、如何なる深刻な全身性の毒性をも引き起こされないことを意味する。生物適合性の対象物は、特定の個人における炎症および/または他の副作用を含む、一部の臨床的に受容可能な量の毒性の原因となり得ることが考慮される。
【0051】
一実施形態において、アルキルエステルシアノアクリレートが、コーティング材料として用いられ得る。アルキルエステルシアノアクリレートは、生組織および関連する体液によるその吸収性のために、医療用途に有用であり得る。米国特許第6,620,846号に記述され、その全開示は本明細書中に参考として援用されるように、重合および適用されたシアノアクリレートの約100%は、適用の後に、2年未満の期間で吸収され得、実施形態において、約2ヶ月〜約24ヶ月で吸収され、他の実施形態において、約3ヶ月〜約18ヶ月で吸収され、他の実施形態において、約6ヶ月〜約12ヶ月で吸収される。従って、有棘縫合糸をアルキルエステルシアノアクリレートを用いてコーティングすることによって、重合および適用されたシアノアクリレートのコーティングを有する縫合糸の約100%は、組織を接合するための縫合糸の使用の後に、約2年より長い期間を経て吸収され得、実施形態において約24ヶ月〜約48ヶ月であり、他の実施形態において、約27ヶ月〜約45ヶ月であり、他の実施形態において、約30ヶ月〜約40ヶ月である。
【0052】
例えば、アルキルエステルシアノアクリレートの単量体は、比較的に大きなペンダント側鎖基のためにゆっくりと反応し得、外科用接着剤としての能力を大いに促進する。アルキルエステルシアノアクリレートは、単独では完全に硬化可能ではなく、従って、有棘縫合糸をアルキルエステルシアノアクリレートでコーティングすることは、創傷の治療のために延長された吸収速度が必要な手術において有用であり得る。
【0053】
当業者の趣旨の範囲内の任意の生物分解性ポリマーが、現在のコーティングに用いられ得る。実施形態において、生物分解性のポリマーは、その構成要素として、ε−カプロラクトンを含み得る。適切なカプロラクトン含有のコポリマーは、周知の従来の重合技術によって合成され得るコポリマーを含み、例えば、George Odian、「Principles of polymerization」第3版、1991年、pp569〜573を参照されたく、その全内容は、本明細書中に参考として援用される。一部の実施形態において、適切なカプロラクトン含有のコポリマーは、「星状体」コポリマーであり、該コポリマーは、多価アルコールイニシエータのあるところで、ε−カプロラクトンの優勢な量と、それとともに重合可能な別の生物分解性単量体の少量とを重合することによって取得される。
【0054】
実施形態において、カプロラクトン含有のコポリマーは、多価アルコールイニシエータのあるところで、ε−カプロラクトンの優勢な量と、他の少なくとも1つの共重合可能な単量体またはそのような単量体の混合物の少量とを重合することによって取得され得る。これらの単量体の重合化は、全ての様々な種類の単量体の追加、すなわち、同時性、続発性、続発性が続く同時性、同時性が続く続発性などを熟慮する。
【0055】
特定の実施形態において、本明細書中のコポリマーは、約70〜約98重量パーセント、好ましくは約80〜95重量パーセントのε−カプロラクトン由来のユニットを含み得、コポリマーの平衡は、他の共重合化可能な単量体に由来する。
【0056】
ε−カプロラクトンと共重合化され得る適切なラクトン単量体は、炭酸トリメチレン、炭酸テトラメチレン、炭酸ジメチルトリメチレンなどの炭酸アルキレン、ジオキサノン、ジオキセパノン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、2,5−ジケトモルフォリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、炭酸エチレン、シュウ酸エチレン、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、6,8−ジオキサビシクロオクタン(dioxabicycloctane)−7−オン分解性環状アミド、クラウンエーテル由来の分解性環状エーテルエステル、α−ヒドロキシ酸(グリコール酸および乳酸など)およびβ−ヒドロキシ酸(β−ヒドロキシ酪酸およびγ−ヒドロキシバレリアン酸)の両方を含むエステル化が可能なヒドロキシ酸、ポリアルキルエーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびそれらの組み合わせなど)を含み、グリコリドが好ましい単量体である。
【0057】
適切な多価アルコールイニシエータは、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エリトリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ジペンタエリスリトール、アリトール(allitol)、ズルシトール(dulcitol)、グルシトール(glucitol)、アルトリトル(altritol)、イジトール、ソルビトール、マンニトール、イノミトールなどを含み、マンニトールが、好ましい。
【0058】
多価アルコールイニシエータは、通常は比較的少量で用いられ、例えば全単量体混合物の約0.01〜5重量パーセントであり、好ましくは約0.1〜3重量パーセントである。
【0059】
コーティングの成分は、約0.3〜約10重量パーセント、好ましくは約0.5〜約5重量パーセントのコポリマーを含み得る。
【0060】
そのようなコーティングは、改良された取扱い特性、抗菌活性および吸収時間の増加といった、組み合わさった望ましい特性を縫合糸に提供し得る。
【0061】
上述の抗菌物質に加えて、一部の実施形態において、コーティングは、縫合糸に抗菌特性を与え得る脂肪酸金属塩を含み得る。
【0062】
コーティングが脂肪酸金属塩を含む場合において、抗菌物質として用いられる脂肪酸金属塩は、ステアリン酸金属塩を含み得る。一実施形態において、抗菌物質として用いられる脂肪酸金属塩は、ステアリン酸銀である。別の実施形態において、抗菌物質として用いられる脂肪酸金属塩は、ステアロイルラクチレートなどの脂肪酸エステル、特にカルシウムステアロイルラクチレートと組み合され得る。
【0063】
本コーティングにおいて用いられ得る適切な脂肪酸は、6以上の炭素原子を有する脂肪酸の、生物適合性のある一価および多価の金属塩を含む。本明細書中で有用な脂肪酸の金属塩を形成するために有用な脂肪酸の例は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リメール酸、リノレン酸などを含む。本明細書中に記述された様々な実施形態において有用な、脂肪酸の金属塩を形成するために有用な一価金属の例は、リチウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、銅、銀および金を含む。本明細書中に記述された様々な実施形態において有用な、脂肪酸の金属塩を形成するために有用な多価金属の例は、アルミニウム、スズ、鉛、ビスマスおよび多価遷移金属を含む。従って、本明細書中に有用な脂肪酸の適切な金属塩は、リチウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、アルミニウム、スズ、鉛、ビスマス、亜鉛、カドミウム、水銀などの脂肪酸塩を含む。
【0064】
脂肪酸の金属塩は、上述のように有効な抗菌的な量におけるコーティングの成分の中に存在する。脂肪酸の金属塩は、単一の化学物質から成り得る。しかし、脂肪酸の金属塩は、脂肪酸のいくつかの金属塩の混合物でもあり得る。脂肪酸の金属塩は、コーティングの成分の約30〜約70重量パーセントの量で存在し得、実施形態において、コーティング成分の約45〜約55重量パーセントで存在する。
【0065】
脂肪酸の金属塩は、冷水には比較的に不溶性であり得る。望ましいときには、溶剤は、脂肪酸の金属塩の作業性、例えば粘性、混和性などを向上させるために用いられ得る。適切な溶剤は、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、塩素化炭化水素(塩化メチレン、クロロフォルム、1,2−ジクロロエタンなど)、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプテン、酢酸エチルなど)を含む。望ましいときには、熱が、脂肪酸の金属塩の溶剤混合物に適用され得ることによって、その溶解性を向上させる。例えば、約30℃〜約60℃の範囲の温度が適当である。
【0066】
特定の実施形態において、脂肪酸エステルは、コーティングの成分の中の脂肪酸の金属塩と組み合わされ得る。そのようなエステルは、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアロイルラクチレートエステル、パルミチルラクチレートエステル、オレイルラクチレートエステル、(例えば、カルシウムステアロイルラクチレート、マグネシウムステアロイルラクチレート、アルミニウムステアロイルラクチレート、バリウムステアロイルラクチレート、または亜鉛ステアロイルラクチレート)、(例えばカルシウムパルミチルラクチレート、マグネシウムパルミチルラクチレート、アルミニウムパルミチルラクチレート、バリウムパルミチルラクチレート、または亜鉛パルミチルラクチレート)、(例えばカルシウムオレイルラクチレート、マグネシウムオレイルラクチレート、アルミニウムオレイルラクチレート、バリウムオレイルラクチレート、または亜鉛オレイルラクチレート)を含み、ステアリン酸カルシウムおよびカルシウムステアロイル−2−ラクチレート(例えば、 Kansas City、Mo.のAmerican Ingredients Co.からVERVという商用名で市販されているカルシウムステアロイル−2−ラクチレート)が好ましい。望まれるときには、脂肪酸エステルは、溶剤と組み合され得る。適切な溶剤は、上に列挙されたものを含む。
【0067】
生物活性剤が、コーティングの一部として含まれる場合において、生物活性剤とコーティングの成分とは、別個の溶剤に加えられ得、結果として生じる溶剤の混合物は、次いで組み合されることによって、コーティング溶剤を形成し得る。他の実施形態において、生物活性剤およびコーティングの成分は、一緒に組み合され得、次いで溶剤と混合されることによって、コーティング溶剤または任意の組み合わせを形成し得る。追加の順番は、重要ではなく、従って、所望の使用に依存して、ルーチンの実験法を介して決定され得る。
【0068】
コーティングは、任意の適切な工程、例えばブラシまたは他のコーティング溶剤塗布具の工程の後、または縫合糸のコーティング溶剤を噴射する1つ以上のスプレーノズルの工程の後に、コーティングの混合物の溶液を通過させることによって、縫合糸に適用され得る。コーティングの溶剤は、約30〜約70重量パーセントの溶剤を含み得、実施形態において、約45〜約55重量パーセントの溶剤を含み得る。実施形態において、塩化メチレン、ヘキサンおよびエタノールの混合物が、溶剤として用いられ得る。コーティング溶剤で湿らされた縫合糸は、随意的に、溶剤を蒸発し、取り払うのに充分な時間および温度で、乾燥オーブンの中を通過させるか、中に保持され得る。望まれる場合には、縫合糸のコーティング成分は、随意的に追加的な生物活性剤または上述の構成要素、例えば、染料、抗生物質、防腐剤、成長因子、抗炎症性薬剤などを含み得る。
【0069】
実施形態において、本開示の縫合糸は、外科分野における縫合糸の視認性を向上させるために、染められ得る。縫合糸との組み合わせに適している任意の染料が、用いられ得る。そのような染料には、カーボンブラック、骨炭、D&C Green No.6およびD&C Violet No.2を含み、それらに限定されない。
【0070】
結果として生じる縫合糸の分解速度は、いくつかの要因によって影響され得、それらには、コーティングの成分の性質および加えられる量を含む。一部の実施形態において、本開示の有棘縫合糸が所望の分解速度を取得するように、さらに処理することが望ましくあり得る。例えば、一部の実施形態において、本開示の縫合糸を加熱して、所望の分解速度を取得することが望ましくあり得る。縫合糸の加熱はまた、縫合糸を形成するために用いられたポリマーに残留する単量体を除去し得る。縫合糸の加熱のための適切な温度は、約100℃〜約160℃であり得、実施形態において、約120℃〜約143℃で、約2時間〜約24時間の間の加熱であり、実施形態において、約8時間〜約16時間の加熱である。一部の実施形態において、加熱は、真空状態で行われ得る。
【0071】
他の実施形態において、本開示の有棘縫合糸の分解速度は、有棘縫合糸に、充分な期間における大気よりも実質的に低い圧力での低温ガスプラズマを含む、プラズマ処理を施すことによって制御され得る。そのような方法は、当業者の趣旨の範囲内であり、例えば、米国特許第5,236,563号に開示された処置を含み、その全開示は、本明細書中に参考として援用される。実施形態において、表面処理は、表面層を約100〜約1500オングストロームの深さまで処理する時間に制限され得、それによって、ポリマーの所望の取扱いの質に悪影響を及ぼさないような、架橋されたポリマー層を生成する。
【0072】
本開示の縫合糸への針の装着を容易にするために、従来のチッピング添加剤が、組み糸(braid)に適用され得る。縫合糸の2つの先端部は、縫合糸の各端に針を装着するために、二重アーム縫合糸と呼ばれるものを提供することが望ましくあり得る。針の装着は、任意の従来の方法、例えば、クリンピング、スエージング(swaging)などによってなされ得、米国特許第5,133,738号、5,226,912号、および5,569,302号に記載されたものを含み、それらの全開示は、本明細書中に参考として援用される。創傷は、縫合糸を針で縫って進めて組織を通過させ、創傷を閉じることによって、縫合され得る。
【0073】
一部の場合において、管状挿入デバイス(不図示)が、組織へ本開示に従った有棘縫合糸を導入するために用いられ得る。そのような管状挿入デバイスは、本開示の有棘縫合糸が中に配置され得る管状の本体ならびに近位端および遠位端を有し得る。使用において、本開示の縫合糸の尖った端は、挿入点において、皮膚、組織などを通って管状挿入デバイスの遠位端を用いて押進され得る。縫合糸の尖った端および管状挿入デバイスの遠位端は、組織を通って押進され、最終的に終点に到達する。管状挿入デバイスの近位端は、次いで把持され、挿入デバイスを除去するために引き出され、有棘縫合糸を所定の位置に残す。
【0074】
存在する場合は、本開示の有棘縫合糸を囲む管状挿入デバイスは、棘と縫合糸本体とによって形成された、棘の角度内に配置された生物活性剤を保護する。従って、管状挿入デバイスは、縫合糸の挿入処理、および格納の間に、有棘縫合糸および縫合糸の表面に装着された生物活性剤を完全な状態に保つことを補助し得る。これは、医療デバイスの包装、および環境などに生物活性剤を損失することを最小限にする。しかし、生物内で有棘縫合糸と管状挿入デバイスとを係合すると、縫合糸のシースを動かして組織からシースを抽出することは、生物活性剤を組織にさらし、棘と縫合糸本体との接合点から創傷が閉じた部位に生物活性剤を解放させることを助長する。
【0075】
本開示の縫合糸を用いて組織を回復させる方法もまた、提供される。本開示の縫合糸は、任意の美容、内視鏡および腹腔鏡の方法において用いられ得る。加えて、本開示の縫合糸は、1つの組織を別の組織に繋ぐために用いられ得、組織を靭帯に繋ぐことを含み、それに限定されない。
【0076】
実施形態において、本開示の縫合糸は、結び目を必要とすることなく、決まった場所に保持され得る。そのような場合において、生物内に配置された本開示の縫合糸上に位置する組織は、所望の位置において身体的に処理またはマッサージされることによって、所望の位置における組織の保持を促進させる。実施形態において、本開示の縫合糸上に位置する組織の物理的な操作は、縫合糸上に存在する任意の薬剤の解放を促進し得、棘と本開示の縫合糸の本体との角度に見いだされる任意の薬剤を含む。
【0077】
例えば、本開示の縫合糸は、組織のリフト(lift)のために用いられ得、これは、特定の美容の用途に望ましい。実施形態において、縫合糸を用いる組織の閉塞のための手順は、ヒトの身体の表面の挿入点に、針に随意的に装着された縫合糸の第1の端を挿入することを含む。縫合糸の第1の端は、柔らかな組織を通って押進され得、最終的に、第1の端が、終点で柔らかな組織から外に延出する。縫合糸の第1の端は、次いで把持され、かつ引き出されることによって、柔らかな組織を通って縫合糸の第1の部分を引っ張り、その結果として、縫合糸の第1の部分の全長は、挿入点と第1の端の終点との間の柔らかな組織の中に残存する。柔らかな組織は、次いで手でまとめられ、かつ縫合糸の少なくとも一部分に沿って前進され、所望の量のリフトを提供する。
【0078】
上述されたこの縫合糸の身体的な処理を用いられ得る美容外科の特定用途は、例えば、フェイスリフト、額のしわ取り、ふともものリフト、胸のリフトを含む。
【0079】
上の記述は、多くの特定の詳細を含むが、これらの詳細は、本開示の範囲の限定と解釈されるべきではなく、これらは、単にその実施形態の例示として解釈されるべきである。本明細書に添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲および精神の範囲内の他の多くの可能性を、当業者は構想されたい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、針に装着された、本開示に従った有棘縫合糸の斜視図である。
【図2】図2は、各端において針に装着された、本開示に従った両方向的な有棘縫合糸の斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
10 縫合糸
12 棘
14 本体
16 端部
110 縫合糸
112a、112b 複数の棘
114 本体
114a、114b 本体部分
116a 第1の針端部
116b 第2の針端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端とを備えている細長い本体を有する、分解可能材料を含む縫合糸を提供することと、
該縫合糸の該細長い本体の上に棘を形成することであって、該棘は、該細長い本体から該縫合糸の少なくとも1つの端に向かって延出しており、それによって該棘と該細長い本体との間に約90度未満の夾角を形成することと
を包含する、方法であって、
該縫合糸上の棘の形成は、該縫合糸の分解時間を約5%〜約75%で変化させる、方法。
【請求項2】
縫合糸を提供する前記ステップは、炭酸トリメチレン、炭酸テトラメチレン、ポリ酸無水物および無水物のコポリマー、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、そのホモポリマー、そのコポリマー、およびその組み合わせから成る群から選択された生分解性材料を含む縫合糸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
縫合糸を提供する前記ステップは、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーを含む縫合糸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
グリコリドは、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーの約50重量%〜約90重量%を構成し、炭酸トリメチレンは、グリコリド−炭酸トリメチレンコポリマーの約10重量%〜約50重量%を構成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
縫合糸を提供する前記ステップは、グリコリド、炭酸トリメチレン、カプロラクトンおよびL−ラクチドの四要素からなるポリマーを含む縫合糸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーは、約62重量%〜約72重量%のグリコリドを含み、実施形態において約67重量%〜約71重量%のグリコリドと約1重量%〜約10重量%の炭酸トリメチレンとを含み、実施形態において約6重量%〜約8重量%の炭酸トリメチレンと約12重量%〜約20重量%のカプロラクトンを含み、実施形態において約15重量%〜約18重量%のカプロラクトンと約1重量%〜約10重量%のL−ラクチドを含み、実施形態において約6重量%〜約8重量%のL−ラクチドを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
縫合糸を提供する前記ステップは、グリコリド−ジオキサノン−炭酸トリメチレンターポリマーを含む縫合糸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
グリコリドは、グリコリド−ジオキサノン−炭酸トリメチレンターポリマーの約56重量%〜約64重量%を構成し、ジオキサノンは、グリコリド−ジオキサノン−炭酸トリメチレンターポリマーの約12重量%〜約16重量%を構成し、炭酸トリメチレンは、グリコリド−ジオキサノン−炭酸トリメチレンターポリマーの約24重量%〜約28重量%を構成する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
縫合糸を提供する前記ステップは、モノフィラメントの縫合糸を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
縫合糸を提供する前記ステップは、マルチフィラメントの縫合糸を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記縫合糸の少なくとも一部分に分解性ポリマーを含むコーティングを適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
コーティングを適用する前記ステップは、ラクトン含有のコポリマーを適用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ラクトンコポリマーは、炭酸アルキレン、炭酸エチレン、環状炭酸エステル、カプロラクトン、炭酸トリメチレン、ジオキサノン、ジオキセパノン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、2,5−ジケトモルフォリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、シュウ酸エチレン、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、6,8−ジオキサビシクロオクタン−7−オン分解性環状アミド、クラウンエーテル由来の分解性環状エーテルエステル、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリアルキルエーテル、およびその組み合わせから成る群から選択された少なくとも1つの単量体をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ラクトンコポリマーは、脂肪酸金属塩をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記コーティングは、生物活性剤または生物活性薬品を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記生物活性剤は、殺生物薬剤、抗生物質、抗菌剤、薬物、成長因子、抗凝血薬剤、鎮痛性薬剤、麻酔薬、抗炎症性薬剤、創傷回復薬剤など、およびそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
請求項1の前記方法から形成された外科用縫合糸。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−114074(P2008−114074A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286780(P2007−286780)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】