閉じ込め場の磁石システム及びその方法
大きさ及び方向において均一な磁場を生成するシステム及び方法は、場が長軸から離れるように膨らむことを制限する。実施例によっては、当該磁場は、大きさ及び方向について制御可能である。実施例によっては、生成された磁場は、所定の三次元空間に選択的に閉じ込められる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁場の生成及びメンテナンスに関し、特に、大きさ及び方向について均一であり且つ制御可能な磁場を生成し且つ閉じ込めるシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況において、空間領域に対して均一な磁場を印加して、例えば、磁性部品を含む電子装置の操作に対してテストを行ったり、または、それについての測定値を得ることが有用である。テストや測定目的で磁場を使用するシステムの共通の要件は、印加された場が、作業領域の全体に亘り、強度及び方向が均一であるべきであり、多くの用途において、場が、強度及び方向について制御可能であることが望ましい。場合によっては、磁場が、作業領域、すなわち、磁場の範囲を定める作業領域の境界の外側では存在すべきではないことが望まれる。従来のシステムでは、一般的に、上記及び他の要件を満たすものはなかった。
【0003】
磁場は、例えば、電流コイルを使用して生成される。ほぼ均一な磁場を生成する従来の試みは、いわゆる「ヘルムホルツコイル」を使用する。ヘルムホルツコイルは、1対のピクチャーフレームコイルからの場を重ね合わせるように動作する。実際には、コイルが、コイルの半径にほぼ等しい距離だけ離れて配置されているとき、中心での場の均一性は、最も優れている。ヘルムホルツコイルを使用すると、適度に均一な場が、対をなすコイルの中心領域内に近似され、得られる場の強度は、概して100Oe(エルステッド)よりも小さい。この点については、ヘルムホルツコイルは、遮られていない環境の中での強度が小さい場の生成に対してのみ有用である。2軸の場は、場の方向の制御を可能とし、直交する2対のヘルムホルツコイルを使用して生成される。コイルの大きな寸法に比較して、当該ヘルムホルツコイルシステムは、上記のように、比較的強度の小さい場のみを提供する。従来の技術を使用してより強度の大きな場を生成するために、一般的に、ヘルムホルツによって提供される場の均一性の程度を犠牲にすることが必要である。磁束が、1対の対向する磁極片へと、低磁気抵抗のヨークを介して流れる電磁石を使用するシステムも存在する。このような電磁石が、ヘルムホルツコイルよりも大きな強度の場を提供するために使用されることもあるが、電磁石は、多くの場合、相当非効率であり、また、ヘルムホルツコイルで達成できるようなものと同一程度の場の均一性を提供することはない。
【0004】
図1Aは、従来の一軸電磁石システムによって生成された磁場を示す概略図であり、図1Bは、従来の二軸電磁石システムによって生成された磁場を示す概略図である。図1A及び図1Bにおけるイラストは、各システムにおいて、場の強度の合成分布のみならず、各磁石システムの磁極片間に生成される磁場の方向を示す。イラストは、場の強度及び方向が十分に均一で、係るシステムによって実行される典型的なテストや測定の用途を満足する「作業領域」も示す。
【0005】
図1Aは、1対の磁極片110、120の間の(中心の)長軸X軸から膨らむ場によって生成されるような、一軸電磁石における場の均一性の特徴的な低下を示している。場の均一性の欠如は、大抵、利用可能な作業領域を、磁極片110、120間の空間よりもかなり小さなものに制限することになる。これは、場を生成するために使用されるシステムのサイズ、電力消費、動作周波数、及び製造コストに悪影響を与える。
【0006】
図1Bを参照すると、2軸の場は、2つの一軸配置からの場を直交するように重ねることによって電磁石によって生成される。このイラストは、第1の一軸配置によってx軸に沿って生成される磁場の構成と、y軸に沿った第2の磁場成分を生成するために、第1の配置に対して90度回転して配置され第1の一軸配置と実質的に同一の第2の一軸配置とを示している。一軸配置の各々において、磁束は、低磁気抵抗のヨークを介して、1対の磁極片(一方では110A及び120A,他方では110B及び120B)に向けて流れる。この場合、場の均一性は、さらに損なわれる。その理由は、磁極片110A及び120Aからなる一方の一軸システムからの場Hxは、図面に示すように、他方の一軸システムから磁極片110B及び120Bによってシャントされるためである。その結果、利用可能な作業領域は、大抵、磁極片間の距離に比較してとても小さくなる。電力消費、動作周波数、及び製造コストは、典型的な一軸システムよりも二軸システムでは、さらに悪影響を受ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例は、場が長軸から離れる方向に膨らむことを制限することによって強度及び方向が均一となる磁場を生成するシステム及びその方法を提供して、従来技術の上記及び他の様々な欠点を解決する。場合によっては、磁場は、強度及び方向において制御可能である。幾つかの実施例では、生成された磁場は、所定の3次元空間に選択的に閉じ込められる。
【0008】
一の概念により、本発明の実施例は、強度及び方向において均一となる磁場の生成を容易とする。
【0009】
他の概念により、本発明の二軸の実施例は、実質的な均一性を呈しながらも強度及び方向において制御可能な磁場の生成を容易とする。
【0010】
他の概念により、本発明の実施例は、任意の設計選択である断面を有する場の空間を提供する。
【0011】
他の概念により、本発明は、限られた場の空間に亘ってのみ広がる均一な場の生成を容易にする。場合によっては、場の形状は、場が使用される用途に応じて操作される。
【0012】
他の概念により、本発明の実施例は、改善された効率で均一な磁場を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1Aは、従来の一軸電磁石システムによって生成される磁場を示す概略図である。図1Bは、従来の二軸電磁石システムによって生成される磁場を示す概略図である。
【図2】図2は、部分的に閉ざされた場の空間を提供するように構成された一軸磁石の一実施例を示す概念図である。
【図3】図3は、完全に閉ざされた場の空間を提供するように構成された一軸磁石の一実施例を示す概念図である。
【図4】図4は、図3に示すように、完全に閉ざされた場の空間内で均一な磁場を生成する装置の一実施例の部品を示す構成図である。
【図5】図5は、単一のヨーク駆動システムを使用する閉じ込め場一軸磁石の設計プロトコルの一例を示す概念図である。
【図6】図6は、並列駆動システムを使用する閉じ込め場一軸磁石の設計プロトコルの一例を示す概念図である。
【図7】図7は、二軸磁石システムの矩形の場の空間に配列された磁極面の集合体を示す構成図である。
【図8】図8は、閉じ込め場の二軸磁石用の設計プロトコルの一例を示す構成図である。
【図9】図9A乃至9Cは、磁極面プロフィールの様々な実施例を示す概略図である。
【図10】図10A乃至10Cは、凸状のプロフィールを有する磁極面を使用する二軸磁石の一実施例における磁極面の配置を示す概略図である。
【図11】図11は、制御可能な強度を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の一実施例の操作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、制御可能な強度を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の一実施例の操作を示すフローチャートである。
【図13】図13は、制御可能な強度及び方向を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の他の実施例の操作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に詳細を記載するように、本発明の実施例は、閉ざされた空間(すなわち、場が所定の三次元空間に閉じ込められている)内に磁場を生成する電磁石からなる。閉じ込めは、磁極面の集合体に供給される静磁場ポテンシャルの値を制御することによって行われる。実施例によっては、磁極面に供給する静磁場ポテンシャルの値の集合体を生成する方法は、セグメント化された駆動コイルを担持する共通ヨークに磁極面を接続する方法を含む。このアプローチは、用途によっては特別な有効性を呈し、場合によっては優れた効率特性を呈する。他の構成が、設計変更として、または、性能、価格、及び製造の実用性を考慮して用いられる場合がある。一軸の実施例は、場の空間の範囲を定める境界によって包囲された領域内で実質的に均一な磁場を生成する。同様に、二軸の実施例は、本明細書に記載の境界によって包囲された領域内において強度及び方向において制御可能であり且つ実質的に均一な磁場を生成する。
【0015】
特定の場の空間内に均一な磁場を生成するために、閉じ込めの適切な方法または機構が必要である。実施例によっては、当該閉じ込めは、各々が割り当てられ、所定の、またはダイナミックに調整された静磁場ポテンシャルにある、複数の磁極面からなる「フィールドフェンス」を利用して行われる。本発明の開示において、当該フィールドフェンスは、場の空間の完全または部分的囲い込みを行うために用いられる。特に、磁極面の集合体は、(フェンスポストなどの)境界のコースに沿って選択的に分布され、場の空間の境界面を作成する。各磁極面には、制御された静磁場ポテンシャルが供給される。一実施例では、均一な場が全空間(すなわち、他の磁極面に対する磁極面の各々の位置に基づくと共に、さらに完全に均一な場を仮定した場合の理論的な値)に亘り広がる場合は、各磁極面に供給される各静磁場ポテンシャルの値は、磁極面の各々の位置に存在するものと同一になるように選択される。
【0016】
複数の磁極面の各々に当該静磁場ポテンシャルを選択的にまたは制御可能に供給することは、磁極面によって範囲が定められる閉じ込め空間の内部に存在する均一な場に対する境界条件の作成を容易にする。なお、ディスクリートな位置で条件を課すことは、均一な場に沿って連続的に変化するポテンシャルを近似するのみである。この近似の結果としての場の均一性の歪みは、境界に沿った磁極面の個数及び相対的な位置と、磁極面に供給される静磁場ポテンシャルの値と、または、これら及び他の要因の組み合わせとに、依存する。多くの実施例において、複数のディスクリートな磁極面の使用の結果である場の均一性の歪みは、驚くほど小さく、磁極面に近い場の空間内の領域でのみ目立つ。
一軸場の閉じ込め
【0017】
図2は、部分的に閉ざされた場の空間を提供するように構成された一軸磁石の実施例を示す簡単な概念図であり、図3は、完全に閉ざされた場の空間を提供するように構成された一軸磁石の実施例を示す概念図である。
【0018】
図2及び図3は、実質的に平面的な縦方向の境界、すなわち、互いに対向する2つの縦方向磁極面110、120によって範囲が定められる一軸の場の空間を示す。磁極面の各々は、長軸のほぼ垂直方向に延在している。以下に述べるように、場合に応じては、縦方向磁極面110、120が、実質的に平面的な境界面の範囲を定めないことが望ましい場合がある。場の空間の横方向の境界は、長軸と平行に配置された面によって範囲が定められる場合もある。これらの境界面は、一般的に、複数の横方向磁極面130と一致する。複数の横方向磁極面130の各々は、長軸と直交する各平面にプロフィール(profile)を有する。この各平面は、各横方向磁極面の長手方向の位置(図2における、×1、×2、・・・、×4)をマークする。物理的に、各横方向磁極面130は、所定のプロフィールの形状を有する。これに関しては、「プロフィール」の文言は、横方向磁極面130とその長軸方向の位置をマークする平面とが交差する線を意味する。
【0019】
各横方向磁極面130のプロフィールは、場の空間の横方向断面の範囲を定める。実施例によっては、これらのプロフィールは、縦方向磁極面110及び120によって範囲が定められる境界面と関連する輪郭と整列するように選択される。こういうわけで、「輪郭」は、縦方向磁極面の(y−z面における)二次元的形状を意味し、長軸に対して実質的に直交する方向に延在している。
【0020】
図2は、部分的に閉ざされた場の空間を示す。図面に示すように、縦方向の境界は、縦方向磁極面110、120によって範囲が定められ、横方向の境界は、2列の横方向磁極面130によってその範囲が定められる。図2の実施例において、横方向磁極面130は、直線的なプロフィールを有するように描かれているが、これは要件ではない。図2の実施例は、x−y面において矩形の囲みを画定しながらも、z方向には閉ざされていない場を残している。磁極面110、120、130の大きさに基づいて、z方向において生成された場の範囲は、「h」として示されている。場合によって、z=h/2での面が、z方向における場の最大範囲(すなわち、「シーリング」)、z=−h/2での面が、z方向における場の最小範囲(すなわち、「フロア」)と考えることが望ましい。しかしながら、場は、操作中に、z=h/2或いはz=−h/2を越えて膨らむことがある。多くの実用的な用途は、場の縁で膨らんだ部分を利用する。例えば、基板に配置された物体(例えば、テスト中の装置)に作用させつつも、当該基板が境界面によって画定される囲みの中へとはめ込むには大きすぎるとき、多くのテスト装置は、「シーリング」の上または「フロア」の下に広がる磁場の部分を利用する。完全に閉ざされていない場の空間の形成は、テストや他の目的のために場の空間に対する物体の移動も容易にする。その理由は、構造的な部品が無いので、移動の自由の便宜が図られるからである。しかしながら、上述のごとく、囲みにおける間隙(すなわち、離散した横方向磁極面130の間の間隙、特に磁極面が無いz=h/2及びz=−h/2などの面全体)は、場の均一性が乱れる傾向がある。
【0021】
完全に近い均一性は、「フィールドケージ(field cage)」、すなわち、場の空間を完全に包囲するフィールドフェンスを使用することによって得られる場合がある。これを達成する一つの方法は、閉じたループのプロフィールを有する横方向境界面を使用することである。図3に示すように、一実施例では、矩形プロフィールを有する横方向磁極面130を使用する。横方向磁極面130の形状またはプロフィールは、任意であり、設計変更の事項である。横方向磁極面130の様々なプロフィール形状が、場の空間の使用に適するように適切に採用され、故に、特定の用途となる。用途によっては、円形または楕円形のプロフィールを有する横方向磁極面130を使用することが望ましい。例えば、他の実施例では、プロフィールは、図3に示すように多角形である。
【0022】
図4は、図3に示すような完全に閉ざされた場の空間の中に均一磁場を生成する装置の実施例の部品を示す。特に、図4は、磁極面110、120、130への制御されたポテンシャルの供給を容易にする駆動システム400の構成を示す。
【0023】
図3及び図4において、磁場は、磁極片111、121の対応する縦方向磁極面110、120の間に生成される。さらに、横方向の閉じ込めは、磁極片131の任意個数「n」個の横方向磁極面130によって行われる(横方向磁極片131の2つのみを図4に示す)。当業者は、磁極片の磁極面は、物理的に、磁路(magnetic conduit)の端部であると考える。図4において、この磁路の端部は、場の空間の境界面に連続する面(磁極面110、120、130)である。磁極面につながる磁路は、磁極片(111、121、131)として引用される。本明細書で使用されているように、「フィールドフレーム」の文言は、通常、閉ループ横方向磁極面130の磁極片131を指している。
【0024】
磁極片111、121、131は、場の空間の外側に配置され、各磁極面110、120、130は、場の空間の境界面の範囲を定める。複数の横方向磁極片131が、縦方向磁極片111、121の間で長軸に沿って距離を介して配置された横方向境界面の各々に配置されている。横方向磁極面130のプロフィールによって、長軸と平行な横方向境界面の範囲が定められる。
【0025】
図4に示すように、駆動システム400は、磁気ヨーク410と、磁極片111、121、131をヨーク410に結合する複数のヨーク延長部420と、隣接する延長部420の間のヨーク410に巻回されたコイル巻線部を含む複数の駆動コイル430とを含む。ヨーク410と、延長部420と、磁極片111、121、131とは、制御された静磁場ポテンシャルを磁極面110、120、130に供給するように動作する磁路を表す。特に、ヨーク410は、(延長部420と協動して)磁極片111、121、131の間に磁気抵抗が低い接続を設ける。各磁極面110、120、または130への磁気ポテンシャルの大きさに影響するファクタは、駆動コイル430の巻線数と、駆動コイルを流れる瞬間または平均電流とを含む。なお、これらに限定されるものではない。さらに、静磁場ポテンシャルは、様々な部品を構成するために使用される材料、または、上記の、或いは他のファクタの組み合わせによる影響を受ける。
【0026】
図4に示す構成において、一方の縦方向磁極片111は、ヨーク410の一端部に磁気的に(延長部420を介して)接続され、一方、他方の縦方向磁極片121は、ヨーク410の他端部に磁気的に(延長部420を介して)接続されている。横方向磁極片131は、対応する延長部420を介して両端部の間のヨーク410に磁気的に接続されている。本実施例において、ヨーク410、延長部420、及び磁極片111、121、131は、軟磁性材料から構成され、または軟磁性材料を含み、軟磁性材料に関連した透磁率の値及び飽和磁化値によりその寸法が決められている。この構造上の構成は、部品の間に磁気抵抗の低い接続をなすことを容易とする。
【0027】
動作中、駆動システム400は、複数の駆動コイル430を含む複数の起磁力発生装置を提供する。駆動コイル430の各々は、ヨーク410に結合され、長軸方向において互いに隣接する磁極片111、112、113の間に配置される。この点について、図4の実施例は、隣接する延長部420の各対の間のヨーク410に巻回された駆動コイル430を使用する。各駆動コイル430は、ヨーク410の周囲に巻回された導電性物質からなるコイル巻線である。延長部420間の距離と同様に、延長部420の長さは、各駆動コイル430に対して利用可能な巻線スペースを決めると共に影響を与える。各駆動コイル430を流れる駆動電流は、長軸方向に隣接する延長部420の間のポテンシャルの差に等しい起磁力「F」を生成する。図4に示すように、駆動コイル430は、直列に電気的に接続される。しかし、この駆動コイル430の接続方法は、必ずしも必要ではなく、用途によっては好ましくないことがある。
【0028】
図5は、単一のヨークを使用し且つ閉じ込め場の一軸磁石用の設計プロトコルの一例を示す概念図である。なお、図5は、図4に示す装置の長手方向の断面図を示している。図4を参照して上述したように、駆動システム400は、ヨーク延長部420の間に配置された駆動コイル431−436を保持するヨーク410を含む。場の空間は、縦方向磁極面110、120(図5ではLa、Lbで示す)と、横方向(すなわち、横の)磁極面130(図5ではT1、T2、・・・T5で示す)とによって範囲が定められる。縦方向磁極面110、120での各ポテンシャルは、P(La)、P(Lb)で示され、横方向磁極面130において、各ポテンシャルは、P(T1)、・・・P(T5)で示される。長軸方向に隣接する磁極面の各対の間の長軸方向の距離は、s1、s2、・・・s6で示される。上記の慣習(conventions)により、第i番目のフィールドフレームTiは、ポテンシャルP(Ti)を有し、Laからは距離saiだけ離れ、Lbからは距離sbiだけ離れている。均一な場の中でのポテンシャルは、場の方向に沿って線形に増加し、故に、プロトコルに応じて、フィールドフレームTiに供給されるポテンシャルは、LaとLbとの間の位置に比例する。故に、P(Ti)は、次のように表される。
【0029】
【数1】
[式1]
【0030】
一方、sは、縦方向磁極面110、120の間の総距離を表す。特に、起磁力発生装置は、長軸に沿って磁極面(110、120、130)の位置に応じて、長軸方向に隣接する磁極片(111、121、131)の各磁極面(110、120、130)に対して対応する静磁場ポテンシャルを提供するように使用される。
【0031】
電気的活性化、すなわち駆動電流Iiは、コイルCiを流れて、以下に示すように、駆動電流の大きさと巻線部のターン数Niとの積によって得られる大きさを有する起磁力「F」を生成する。
【0032】
【数2】
[式2]
【0033】
この起磁力の値は、隣接するヨークの延長部420の間のポテンシャルの差に等しく、式1により、以下と等しくなる。
【0034】
【数3】
[式3]
【0035】
コイル431−436によって生成される磁力のチェーンは、次の磁力面で、ポテンシャルの連鎖を生じ、ポテンシャルは、閉じ込められていない均一な場の線形に変化するポテンシャルにディスクリートな近似となる値を有する。上述のように、実施例によっては、駆動コイル430を有する起磁力発生装置は、長軸方向に隣接する磁力面の間の距離に比例する値を有する起磁力を生成するように構成され、また、そのように動作する。
【0036】
(n−2)個のフィールドフレーム(すなわち、縦方向磁極片131)を有する一軸閉じ込め場の磁石は、(n)個の磁極面(縦方向及び横方向共に)用に(n)個のP値を生成するために、(n−1)個の駆動コイル430を必要とする。縦方向磁極面110、120の間のポテンシャルの差は、駆動コイル430によって生成される磁力の合計に等しい。これは、従来の磁石と同じである。故に、図4及び図5に示す閉じ込め場の磁石装置は、従来のアプローチに比較して追加のコイルの巻線部を有さない。本実施例は、単一のコイルの代わりにセグメント化されたコイルを使用するのみである。
図6は、閉じ込め場の一軸磁石を用いた並列駆動システム用の設計プロトコルの一例を示す簡単な概念図である。図6に示す概略図は、図5を参照しつつ上述したものと比較すると、1つの設計変更を表す。各駆動システム400A,400Bは、上述したように、実質的に動作する。しかし、図6に示す構成は、磁極面101、120、130に対するポテンシャルの均一性を改善する傾向がある。デュアル駆動の実施例では、長軸を中心に対称に駆動システム400A,400Bが配置される。実施例によっては、磁極面110、120、130は、等間隔に配置されているので(すなわち、隣接する磁極面間の長軸方向の距離は、縦方向または横方向のいずれにおいても一定)、静磁場ポテンシャルは、一定の割合で増加する。同一のコイル巻線が使用される場合は、コイル巻線は、図6に示すように、直列に接続される。一軸磁石の係る並列駆動の実施例は、以下に詳細を記載するように、二軸磁石の1の場の成分を提供するために使用される。
【0037】
他の設計の選択として、図5及び6に示すような駆動システムは、さらに、駆動回路(例えば、マイクロコントローラ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、または特定用途集積回路(ASIC))を有する。係る駆動論理回路、または回路は、複数の起磁力発生装置に関係した駆動コイルに供給される活性化電流を制御するために使用される。実施例によっては、係る制御は、各磁極片の大きさ、及び透磁率、または他の特性の関数として命令されたり、影響されたりする。
二軸場の閉じ込め
【0038】
二軸磁石は、場の強度及び方向の制御を可能とし、独立して制御可能な2つの場の成分Hx,Hyを生成するように構成された、直交するように配置された2つの一軸磁石を使用して実現される。結果としての場、
【数4】
は、これらの場の成分をベクトル的に加算したものである。なおx及びyは、それぞれ独立した一軸システムの長軸を表す。
【0039】
図1Bに示すように、従来の二軸システムにおける場の均一性は、貧弱である。多くの二軸の実施例において、均一性は、場の拡散のみならず、より重要なことに、他のシステムの磁極片によってシャントされている1のシステムからの場によって、劣化されている。所望の場の均一特性を備えた非常に小さい中心領域は、大抵そのままである。均一性に対するこれらの有害な影響の両方に対する簡単な概念的解決策は、各一軸システムからの場(すなわち、Hx及びHy)を閉じ込めパスへと閉じ込めることを含み、故に、交差領域内で完全に均一な場を得ることである。
【0040】
特に、2つの一軸システムが、直交場の成分を生成すれば、各々は、その長軸(すなわち、「フィールドレーン」)に対して一定の幅に閉じ込められ、次に、フィールドレーンの直交交差は、完全二軸の場の空間になる。図2に示すような2つの二軸システムを使用する構成では、一軸フィールドレーンの各々が、システムの長軸方向に沿って1対のフィールドフェンス(すなわち、横方向の磁極面)によって画定される。さらに、これらレーンの直交交差は、図7に示すような4つのフェンスセグメントによって包囲される矩形の二軸の場の空間の範囲を決める。その場の空間から延長しつつ、各レーンは、各システムの縦方向の磁極面によって終端される。当該2つの一軸システムの直交配置は、二軸場の空間に亘る強度と方向との制御を可能とする均一な場を提供するが、この配置は、重大な欠点、すなわち、二軸場の空間は、縦方向の磁極面によって境界が定められる領域よりも実質的に小さくなるという欠点を有する。この制限は、一軸システムにおける均質の(solid)磁極面が、システム機能に悪影響を与えることなく、(各々が同一の静磁場ポテンシャルにある)ディスクリートな縦方向磁極面のアレイによって置換されることを実現しながら、回避される。上記構成の変更によって、図7に示すような二軸場の空間は、両方の一軸システムの場の空間全体と一致することが可能になる。すなわち、4つの囲み境界面の各々は、一方の一軸システムの横方向の境界として、他方の一軸システムの横方向の境界として、同時に機能する。この構成は、二軸場の空間を効率的に閉じ込めることを容易にする。二軸の実施例によっては、駆動システムは、各磁極面に、上記の一軸設計プロトコルと一致する値を有する静磁気ポテンシャルを供給する。効率的な駆動は、詳細を後述する図6に示すような2つの一軸駆動システムを直交するように重ねることによって行われる。駆動システム構成の一実施例を図8に示す。図8に示すように、2つの一軸システムを直交するように重ねることは、(以前は均質な)縦方向磁極面を複数の(磁気的に平行な)分離した磁極面にセグメント化し、ヨーク延長部の間に駆動コイルの挿入を可能にすることによって、可能となる。
【0041】
この点について、図7は、二軸磁石システムの矩形の場の空間と共に配列された磁極面の集まりを示す概念図であり、図8は、閉じ込め場の二軸磁石用の設計プロトコルの一例を示す概略図を示す。図6及び図8を比較すると、図6の均質な縦方向の磁極面110、120は、図8に示す複数の磁極面110、120の各々へとセグメント化されていることは明らかである。実施例によっては、磁極面190が、ヨーク410A−410Dが挿入されているコーナに追加される。なお、他の実施例では、磁極面190は、簡単な構成のために省略されることがある。図示した実施例では、並列駆動システム400A,400Bは、場の成分Hxを発生し且つ閉じ込める静磁場ポテンシャルを制御するように配置される。一方、駆動システム400C,400Dは、場の成分Hyを発生し且つ閉じ込める静磁場ポテンシャルを制御するように配置される。
【0042】
動作時には、図8に示すシステムの部品は、2つの直交場の成分(すなわち、Hx及びHy)が独立に生成されることを除けば、図2乃至6を参照して説明したことと同様に実質的に機能する。Hx成分については、磁極面110、120は、縦方向磁極面であり、磁極面130は、横方向、すなわち横の磁極面である。これに対し、Hy成分については、逆が真実となる(すなわち、磁極面130は縦方向磁極面であり、磁極面110、120は、横方向磁極面である)。磁極面190は、どちらの場の成分が考慮されるかに応じて、横方向及び縦方向の両方の閉じ込めを行う。
【0043】
均一な縦方向磁極面の複数のディスクリートな縦方向磁極面への置き換えは、(これらの磁極面近傍での場の均一性の僅かな摂動を導くことを除いて)一軸場システムの機能に影響を与えない。Hx駆動システム400A,400Bの並列起動は、Hx場を生成して閉じ込めるための静磁場ポテンシャルPx1を生成する。この場合、縦方向磁極面110は、磁路410Dを介して接続され、全てがポテンシャルPx1にある。一方、縦方向磁極面120は、磁路410Cを介して接続され、全てがポテンシャルPx7にある。上記の一軸設計プロトコルによって、連続的に増加するポテンシャルは、磁極面130(Hx場の成分を閉じ込めるための横方向磁極面)に供給される。同様に、Hy駆動システム400C,400Dを並列に起動することは、Hy場を生成して閉じ込めるための静磁場ポテンシャルPy1〜Py7を生成する。この場合、磁極面130(Hy場の成分を考慮するときの縦方向磁極面)は、磁路410Bを介して接続され、全てがポテンシャルPy1である。一方、磁極面130は、磁路410Aを介して接続され、ポテンシャルPy7に全てある。連続して増加するポテンシャルは、Hy場の成分を閉じ込めるために磁極面110、120に対して供給される。Hx及びHy駆動システムの両方が起動されるときに、各磁極片に供給される静磁気ポテンシャルは、Hx及びHyの場の成分の所定の強度を生成するために、各駆動システムによって供給される値の合計と等しい値を有する。
【0044】
上記のように、図8の二軸アセンブリは、2つの直交場の成分、Hx,Hyのベクトル和となる場を生成する。なお、2つの直交場の成分、Hx,Hyの各々は、各一軸システムによって生成される。駆動システム400A−400Dは、ヨーク410A−410Dで示される、矩形のヨークと組み合わせで動作する。全ての磁極面の集まりは、横方向に閉じ込められたHx場と横方向に閉じ込められたHy場が存在する矩形の囲い込みの範囲を決める。合成した場
【数5】
は、これらの場の成分のベクトル和である。なお、x及びyは、それぞれ独立な一軸システムの長軸に対応する。合成した場の強度及び方向は、Hx及びHyの強度を個々に制御することによって制御される。
【0045】
本実施例において、この領域の囲い込みは、x軸に平行な一対のフィールドフェンス(すなわち、磁極面130、190)と、y軸に平行な一対のフィールドフェンス(すなわち、磁極面110、120、190)とからなる。図8に示す実施例において、7つの磁極面が、各「フェンス」用に用いられ、磁極面190は、隣接するフェンスに対して共通である。なお、磁極面の個数は、任意の設計の選択事項であり、システム全体の要件、製造の検討、価格の制約、またはこれらや他の要因の組み合わせに応じて、多い場合もあり、少ない場合もある。
【0046】
上述のように、各磁極片(111、121、131、191)は、ヨーク延長部420を介してヨーク(410A−410D)に接続され、低抵抗磁気接続をなして、磁極面110、120、130、190に所望の静磁場ポテンシャルを提供する。図8の構成では、各ヨーク410A−410Dの6つの駆動コイル(Cx1−Cx6及びCy1−Cy6)が、必要に応じて、各起磁力(例えば、x軸に沿ってFx1,Fx2,...Fx6、y軸に沿ってFy1,Fy2,...Fy6)を生成するように動作する。この点について、駆動電流lx、lyが使用されて、x軸に沿ってPx1,Px2,...Px7とラベルされたポテンシャル、y軸に沿ってPy1,Py2,...Py7とラベルされたポテンシャルを生成する。図8は、各長軸の対向する面において対応する磁極面を接続する等ポテンシャル線の通常の直線及び直交パターンを示す。これは、各場の成分Hx,Hyの完全な均一性を、これ故に、合成された二軸場を提案する。上記したような境界に沿った摂動を無視すると、場の空間がz軸に沿って限定されずに延在すれば、完全な均一性が実際に存在することになる。二軸場の空間の空間範囲が限定されているとすれば、以下に詳細を記載するように、場の均一性の歪みは、場の空間の幾何学的なフロアまたはシーリングの近傍または越えたところに、存在することがある。
【0047】
2つの場の成分Hx,Hyの機能的な独立性は、二軸システムの動作が、各場の成分の個別の発生、すなわち、1のシステムの長軸方向の境界が、他のシステムの横方向の境界として、またはその逆に機能することを考慮することによって完全に記載されることを意味する。図3乃至5を参照して説明された一軸設計プロトコルが、完全にあてはまる。重ね合わせは、各磁極面(110、120、130、190)で、2つの独立した一軸システムの各々によって規定される静磁場ポテンシャルの値を加算することによって実行される。
【0048】
図示によって、Hxについては、図8の左に沿った磁極面110、190(すなわち、左の「y−フェンス」)が、同一のポテンシャル(Px1)にあり、右のy−フェンスに沿った磁極面120、190は、同一のポテンシャル(Px7)にある。両方のx−フェンスに沿った磁極面130は、x軸に沿った位置の関数として決定される各ポテンシャル(Px2、...Px6)を維持する。上記の方法において、閉じ込み一軸場用の適切な境界条件は、Hxに対して設定される。同様なことが、Hyについても当てはまる。上部xフェンスに沿った磁極面130、190は、同一のポテンシャル(Py1)にあり、一方、底部xフェンスに沿った磁極面130、190は、同一のポテンシャル(Py7)にある。yフェンスに沿った磁極面110、120は、y軸に沿った位置の関数として決定される各ポテンシャル(Py2,...Py6)を維持する。起動している全駆動システム400A−400Dによって、各磁極面110、120、130、190でのポテンシャルは、各一軸システムによって個別に生成された値の合計に等しくなる。
【0049】
(図7及び図8に示すような)一実施例において、二軸磁石は、磁極面が等間隔で配置されたフィールドフェンスによって提供される四角い領域の閉じ込めを用いる。従って、生成される起磁力は、全て等しく、各駆動システムは、同一のコイルを使用し、各駆動システムにおける各コイルは、直列に接続されて、同一の駆動電流で駆動される。他の構成も、当業者によって理解されるように可能であり、本願の開示は、場の空間の境界面の範囲を決める、特定の形状、幾何学的な配置、磁極面の密度に限定されない。
【0050】
図8の概略図に示すような実施例は、x−y面に二軸場の空間を閉じ込めるが、場は、概して、z軸に沿って閉じ込められてはいない。一般に、二軸場の空間を完全に閉じ込めることは、位相的に可能ではない。これは、(図4に示すような)フィールドフレームによって横方向が完全に閉じ込められる場の空間を有する2つの一軸システムを重ねる試みに関係した問題において示されている。場の空間の周囲の磁極片に供給される静磁場ポテンシャルは、場の空間を横切るそのセグメントによってショートされるので、問題が生じる。当該ショートは、これらの片が磁気的に接続されていないときに限り防止される。必要な間隙は、囲い込みの中の数個の開口の存在を意味している。以下に記載するように、この開口の形状は、システムアプリケーションの必要性に調整されている。図7に概略を示す囲いは、二軸の場の空間の部分的な閉じ込めを行う簡単な囲い込みの形状の例を示す。本実施例において、矩形の囲いは、4つの共通のコーナの磁極面を含み、各サイドにそって5個ずつ、全部で16個の磁極面を有するフィールドフェンスを使用する。本実施例において、各磁極面は、均一の高さhを有する。上述のように、幾何学的なシーリングは、z=h/2として範囲が決められ、フロアはz=−h/2として範囲が決められる。これらの寸法では、z=0が中心面となる。上述したように、フロア及びシーリングの名称は、生成された磁場は、これらの面を通過して膨らむ傾向があるために、単に幾何学的なものである。
【0051】
場の空間は、例えば、磁極面の端部を内側に折曲したり、曲げることによって、より十分に閉じ込められ、故に、囲みの内側での場の均一性を改善する。逆に、z=h/2またはz=−h/2を越えた場の膨らみ部分を使用する用途に対して、例えば、磁極面の端部を外側に曲げることによって(例えば、凸状のプロフィールを作成しながら、互いに離れて)、その領域を広げることが望まれる場合もある。
【0052】
この点について、図9A及び図9Cは、磁極面プロフィールの様々な実施例を示す概念図である。図10A及び図10Cは、凸状プロフィールを有する磁極面を使用する二軸磁石の一実施例における磁極面の配置を示す概念図である。様々な用途を考慮するに値する典型的なプロフィールは、直線(図9A)、凹状(図9B),凸状(図9C)である。図9は、各プロフィール形状に対応した結果としての場の形態を示す。場の構成は、所定の磁極面に沿って、場のベクトルが、プロフィールに対して局所的に垂直であることを知ることによって導き出される。しかしながら、非直線的なプロフィールの実行は、プロフィールが横方向の境界面の形状のみのその範囲を定める一軸システムでは生じない挑戦を作り出す。対照的に、二軸システムにおける各磁極面は、一のシステムによる縦方向境界の成分として、または、他のシステムによる横方向境界成分として、同時に使用される。
【0053】
z軸に対して直交する方向に延在する面と交差する磁極面について検討する。磁極面のプロフィールが直線状(図9A)ではなく、凹状(図9B),或いは凸状(図9C)であるとき、交点のパターンは、高さと共に、すなわち、z軸に沿った面の位置と共に変化すべきである。交点のパターンは、上記の設計プロトコルと一致した、等ポテンシャルの直交または直線状のパターンを保持するために、高さの変化に伴って変化すべきである。これは、図10A及び図10Bに示されている。図10A及び図10Bは、それぞれ、第1の立面図[z1]での面と第2の立面図[z2]での面とに対して凸状のプロフィールを有する磁極面の交点を示す。図示された直線パターンは近似ではあるが、対向するフィールドフェンスでの対応する磁極面を接続する線は、等ポテンシャルの想定線である。図10A及び図10Bを比較すると、交点は、[z1]から[z2]へと半径方向に全てがシフトすることは明らかである。図10Cは、累進的に低くなる高さで、一致が高さの範囲を超えて維持されるべきであれば、交点のトラックを示す。図10Cのプロットによって示すように、場合によっては、各プロフィールは、方位角の面内に存在することが望ましい。なお、[z1]から[z2]へと移動するとき、対角の方位角rdに位置する点は、直交する方位角r0に位置する点よりもより長い距離をシフトする。従って、各磁極面のプロフィールは仰角により変倍される。カーブした磁極面プロフィールを使用する実施例では、磁極面のプロフィールは、その位置が、仰角の関数として一致するよう変化するような形を有し、さらにそのように配置されていることが望ましい。
【0054】
全ての磁路(例えばヨーク410、延長部420、磁極片111、121、131、191)が、磁路に沿った損失の無い状態で静磁場ポテンシャルを伝達することが望ましい。これらの特性は、「軟磁性」材料といわれる磁性材料のクラスのせいであり、すなわち、透磁率の大きな値、及びヒステリシスが無いことによって特徴付けられている。実施例によっては、応答の線形性からメリットがある。従って、飽和の作用を最小限にする、あるは除去することが望ましい。従って、用途によっては、様々な磁路が、飽和磁化の所定値で所定の材料に対する十分な断面積を有することを必要とする。上記の設計基準及び材料の選択技術は、当業者には周知である。
【0055】
一般に、磁石の場の出力を制御する方法として、2つの確立した方法がある。(例えば)システムの初期校正に基づいた駆動または起動電流を直接制御することによって、或いは、閉ループアプローチを使用して、得られた場の強度の測定値に基づいて駆動電流を選択的に調整することによってである。場の強度の直接制御は、システムの応答が十分に線形である場合にのみ、可能である。閉ループ制御は、より良い精度とより緩やかな線形性の要件を提供するが、場のセンサなどの部品を必要とする。上記方法のいずれかは、現開示の内容において使用される。図示すると共にこれまでに説明した駆動システムは、記載した機能を容易にするための適切な制御回路或いは論理回路を含む。この点について、一軸の設計を参照したときのように、二軸の実施例において、(マイクロコントローラや、PLC、ASICなどで具体化される)駆動回路や論理回路を含む駆動システムを提供することが望まれる。当該駆動回路や論理回路は、複数の起磁力発生装置に関連した駆動コイルに提供される起動電流を制御するために使用される。
【0056】
図11は、制御可能な強度を有し実質的に均一な磁場を生成する方法の一実施例の一般的な動作を説明するフローチャートである。静磁場ポテンシャルは、ブロック1101に示すように長軸に実質的に直交する方向に延在する第1の縦方向境界で第1の縦方向磁極面に供給される。静磁場ポテンシャルは、ブロック1102に示すように長軸に実質的に直交する方向に延在する第2の縦方向境界で第2の縦方向磁極面に供給される。複数の横方向磁極面が、ブロック1103に示すように提供される。上記のように、横方向磁極面は、第1の縦方向境界と第2の縦方向境界との間で横方向境界面に沿って配置される。各横方向磁極面は、長軸に対して実質的に直交する方向に延在する横方向境界面の各々に配置されている。
【0057】
詳細を上述したように、各静磁場ポテンシャルは、ブロック1104に示すように、横方向磁極面の各々に供給される。各静磁場ポテンシャルの値は、第1及び第2の縦方向の境界に対する横方向境界面の各々の位置により選択される。
【0058】
図12は、制御可能な強度及び方向を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の一実施例の動作を示すフローチャートである。実施例によっては、当該方法は、2つの直交場の成分、すなわち、第1の長軸に沿って発生すべき第1の場の成分と、第2の長軸に沿って発生すべき第2の場の成分とを決めることによって(ブロック1201)、開始される。複数の磁極面は、ブロック1202によって示されるように、第1及び第2の長軸の各々に沿った位置に配置される。
【0059】
次に、第1の縦方向境界で第1の複数個の縦方向磁極面に印加される第1の静磁場ポテンシャルは、(ブロック1203に示すように)選択され、第2の縦方向境界で第2の複数個の縦方向磁極面に印加される第2の静磁場ポテンシャルは、(ブロック1204に示すように)選択される。複数の横方向磁極面が、ブロック1205で示すように、特定される。上記のように、これらの横方向磁極面は、第1及び第2の縦方向境界面の間の横方向境界面に沿って配置され、各々は、長軸に実質的に直交する方向に延在する横方向境界面の各々に配置されている。複数の横方向磁極面の各々に対して、静磁場ポテンシャルの値は、第1及び第2の長手方向境界に対して横方向境界面の各々の位置に応じて選択される(ブロック1206)。
【0060】
ブロック1203乃至1206にて示した動作は、判別ブロック1299へのループバックによって示すように、直交場の成分の各々に対して繰り返される。もし、両方の場の成分が選択されないという判別がなされた場合、プロセスは、第2の場の成分に対してブロック1203乃至1206での動作を繰り返して継続する。一方、両方の場の成分が選択されたという判別がなされた場合、磁場が、場の成分のベクトル和によって生成される。特に、静磁場ポテンシャルの選択された値が、ブロック1210で示すように全磁極面に供給される。上記のように、各磁極面に供給されるべき各ポテンシャルは、一軸システムの各々におけるその磁極面用に決定されたポテンシャルの和になる。上記の方法により、場の空間内で強度及び方向が制御可能な実質的に均一な磁場が、生成される。
【0061】
図12に示す実施例は、閉ループマネージメントまたは制御システムと共に使用されるときに、特別な有用性を呈する。1つまたは複数のフィールドセンサ(例えば、各場の成分に対し少なくとも1つのフィールドセンサ)または他の検出機構が、生成された場の強度をモニタするために使用される場合、フィードバックが、システムの様々な磁極面に対して選択された静磁場ポテンシャルを変更したり、或いは調整するために、(例えば上記の駆動回路や論理回路によって)ダイナミックに使用される。この閉ループフィードバックは、図12において、ブロック1206からブロック1203までの破線矢印によって示されている。
【0062】
図13は、制御可能な強度及び方向を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の他の実施例の一般的な動作を説明するフローチャートである。実施例によっては、当該方法は、2つの直交軸(ブロック1301)を有するフィールド面の範囲を定めることによって始まる。なお、各直交軸は、各場の成分に対する長軸を定める。
【0063】
生成されるべき場の空間の境界は、ブロック1302で示されるように、その範囲が定められる。実施例によっては、境界は、各長軸に対して垂直なフィールド面と交差する境界面によって境界が定められるフィールド面において、矩形の領域を特定することによって、決められたり、或いは定められたりする。これらの境界面、または閉じ込める面は、特定の空間で場を包囲するように機能する。上記のように、二軸場の空間を囲むことは完全に可能ではないが、場の空間は、直交長軸によって範囲が定められるフィールド面内で囲われる。この点について、フィールド面での空間的境界は、各長軸と平行に配置され、そして、各長軸の対向する側に配置された対をなす境界面からなる。複数の磁極面は、場の空間の空間的な境界を設定することを容易にするために、境界面の各々に配置される(ブロック1303)。
【0064】
「縦方向」及び「横方向」境界面及び磁極面は、各場の成分に対して指定される(ブロック1304)。上記したように、1つの場の成分(例えば、Hx)に対する縦方向境界面は、他の場成分(例えば、Hy)に対する横方向の境界面であり、その逆もあり得る。第1及び第2の場成分の各々に対して、各長軸に直交する境界面での磁極面は、縦方向磁極面として指定され、各長軸に平行な境界面での磁極面は、横方向磁極面として指定される。例えば、第1の場の成分に対して、方法は、特定の長軸に対して直交する方向に延在する2つの境界面(及びこれらの境界面での磁極面)を「縦方向」として指定し、その特定の長軸に平行な方向に延在する2つの境界面を「横方向」として指定する。その逆は、第2の場の成分として当てはまる。
【0065】
場の成分の各々の大きさは、ブロック1305に示すように判別される。上記したように、これらの大きさは、2つの場の成分のベクトル和が、生成されるべき磁場の所望の大きさ及び方向をもたらすように、選択され、或いは設定される。場の成分の各々は、ブロック1306に示すように生成されて閉じ込められる。生成については、1つの方法は、第1の縦方向境界面に沿って配置された磁極面の全てに静磁場ポテンシャルの第1の値を選択し、さらに、第2の縦方向境界面に沿って配置された磁極面の全てに静磁場ポテンシャルの第2の値を選択することによって、場の成分の各々を生成する。上述のように、これらの静磁場ポテンシャルの間の差は、場の成分の各々の設定された、または所望の大きさに比例する。閉じ込めについては、1つの方法は、横方向境界面に沿って配置された各磁極面に対し、縦方向境界での磁極面に供給される値の中間の値を有する静磁場ポテンシャルを選択することによって、場の成分の各々を閉じ込める。上記したように、横方向磁極面の値の各々は、横方向磁極面と縦方向境界の各々との間の離間距離に比例する。
【0066】
さらに、磁極面に供給されるべき静磁場ポテンシャルの値を選択したり、または設定することは、第1及び第2の場の成分の各々の選択された大きさに比例する静磁場ポテンシャルを選択することを含む。上述したように、生成されるべき磁場は、場の成分の各々のベクトル和である。従って、1つの方法は、2つの場の成分の生成及び閉じ込めに関連した値の合計に等しい値を有する静磁場ポテンシャルを、磁極面の各々に供給する。これを、ブロック1307に示す。実施例によっては、ブロック1307で示す動作は、一軸駆動システムの各々の直交する重ね合わせである共通の磁路を使用して、磁極面の集合体に静磁場ポテンシャルを供給する。
【0067】
なお、図13でのブロックの配置は、事象の特定の順序や順番を必ずしも付与するものではなく、他の可能性を排除する目的もないものである。例えば、ブロック1305に示す動作は、他のブロックでの動作に先行してもよく、ブロック1302及び1303、または1303及び1304での動作は、互いに連続して同時に起きてもよい。他の順番や組み合わせも予測される。
【0068】
本発明の特徴及び概念は、特定の実施例を参照して詳細に説明し且つ記載したが、これらは例示であり、これに限定するものではない。当業者は、開示された実施例に対する変形例及び変更例は、本開示の目的及び概念の範囲内にあることを認める。従って、本発明は、添付した請求項によってのみ限定されるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁場の生成及びメンテナンスに関し、特に、大きさ及び方向について均一であり且つ制御可能な磁場を生成し且つ閉じ込めるシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況において、空間領域に対して均一な磁場を印加して、例えば、磁性部品を含む電子装置の操作に対してテストを行ったり、または、それについての測定値を得ることが有用である。テストや測定目的で磁場を使用するシステムの共通の要件は、印加された場が、作業領域の全体に亘り、強度及び方向が均一であるべきであり、多くの用途において、場が、強度及び方向について制御可能であることが望ましい。場合によっては、磁場が、作業領域、すなわち、磁場の範囲を定める作業領域の境界の外側では存在すべきではないことが望まれる。従来のシステムでは、一般的に、上記及び他の要件を満たすものはなかった。
【0003】
磁場は、例えば、電流コイルを使用して生成される。ほぼ均一な磁場を生成する従来の試みは、いわゆる「ヘルムホルツコイル」を使用する。ヘルムホルツコイルは、1対のピクチャーフレームコイルからの場を重ね合わせるように動作する。実際には、コイルが、コイルの半径にほぼ等しい距離だけ離れて配置されているとき、中心での場の均一性は、最も優れている。ヘルムホルツコイルを使用すると、適度に均一な場が、対をなすコイルの中心領域内に近似され、得られる場の強度は、概して100Oe(エルステッド)よりも小さい。この点については、ヘルムホルツコイルは、遮られていない環境の中での強度が小さい場の生成に対してのみ有用である。2軸の場は、場の方向の制御を可能とし、直交する2対のヘルムホルツコイルを使用して生成される。コイルの大きな寸法に比較して、当該ヘルムホルツコイルシステムは、上記のように、比較的強度の小さい場のみを提供する。従来の技術を使用してより強度の大きな場を生成するために、一般的に、ヘルムホルツによって提供される場の均一性の程度を犠牲にすることが必要である。磁束が、1対の対向する磁極片へと、低磁気抵抗のヨークを介して流れる電磁石を使用するシステムも存在する。このような電磁石が、ヘルムホルツコイルよりも大きな強度の場を提供するために使用されることもあるが、電磁石は、多くの場合、相当非効率であり、また、ヘルムホルツコイルで達成できるようなものと同一程度の場の均一性を提供することはない。
【0004】
図1Aは、従来の一軸電磁石システムによって生成された磁場を示す概略図であり、図1Bは、従来の二軸電磁石システムによって生成された磁場を示す概略図である。図1A及び図1Bにおけるイラストは、各システムにおいて、場の強度の合成分布のみならず、各磁石システムの磁極片間に生成される磁場の方向を示す。イラストは、場の強度及び方向が十分に均一で、係るシステムによって実行される典型的なテストや測定の用途を満足する「作業領域」も示す。
【0005】
図1Aは、1対の磁極片110、120の間の(中心の)長軸X軸から膨らむ場によって生成されるような、一軸電磁石における場の均一性の特徴的な低下を示している。場の均一性の欠如は、大抵、利用可能な作業領域を、磁極片110、120間の空間よりもかなり小さなものに制限することになる。これは、場を生成するために使用されるシステムのサイズ、電力消費、動作周波数、及び製造コストに悪影響を与える。
【0006】
図1Bを参照すると、2軸の場は、2つの一軸配置からの場を直交するように重ねることによって電磁石によって生成される。このイラストは、第1の一軸配置によってx軸に沿って生成される磁場の構成と、y軸に沿った第2の磁場成分を生成するために、第1の配置に対して90度回転して配置され第1の一軸配置と実質的に同一の第2の一軸配置とを示している。一軸配置の各々において、磁束は、低磁気抵抗のヨークを介して、1対の磁極片(一方では110A及び120A,他方では110B及び120B)に向けて流れる。この場合、場の均一性は、さらに損なわれる。その理由は、磁極片110A及び120Aからなる一方の一軸システムからの場Hxは、図面に示すように、他方の一軸システムから磁極片110B及び120Bによってシャントされるためである。その結果、利用可能な作業領域は、大抵、磁極片間の距離に比較してとても小さくなる。電力消費、動作周波数、及び製造コストは、典型的な一軸システムよりも二軸システムでは、さらに悪影響を受ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例は、場が長軸から離れる方向に膨らむことを制限することによって強度及び方向が均一となる磁場を生成するシステム及びその方法を提供して、従来技術の上記及び他の様々な欠点を解決する。場合によっては、磁場は、強度及び方向において制御可能である。幾つかの実施例では、生成された磁場は、所定の3次元空間に選択的に閉じ込められる。
【0008】
一の概念により、本発明の実施例は、強度及び方向において均一となる磁場の生成を容易とする。
【0009】
他の概念により、本発明の二軸の実施例は、実質的な均一性を呈しながらも強度及び方向において制御可能な磁場の生成を容易とする。
【0010】
他の概念により、本発明の実施例は、任意の設計選択である断面を有する場の空間を提供する。
【0011】
他の概念により、本発明は、限られた場の空間に亘ってのみ広がる均一な場の生成を容易にする。場合によっては、場の形状は、場が使用される用途に応じて操作される。
【0012】
他の概念により、本発明の実施例は、改善された効率で均一な磁場を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1Aは、従来の一軸電磁石システムによって生成される磁場を示す概略図である。図1Bは、従来の二軸電磁石システムによって生成される磁場を示す概略図である。
【図2】図2は、部分的に閉ざされた場の空間を提供するように構成された一軸磁石の一実施例を示す概念図である。
【図3】図3は、完全に閉ざされた場の空間を提供するように構成された一軸磁石の一実施例を示す概念図である。
【図4】図4は、図3に示すように、完全に閉ざされた場の空間内で均一な磁場を生成する装置の一実施例の部品を示す構成図である。
【図5】図5は、単一のヨーク駆動システムを使用する閉じ込め場一軸磁石の設計プロトコルの一例を示す概念図である。
【図6】図6は、並列駆動システムを使用する閉じ込め場一軸磁石の設計プロトコルの一例を示す概念図である。
【図7】図7は、二軸磁石システムの矩形の場の空間に配列された磁極面の集合体を示す構成図である。
【図8】図8は、閉じ込め場の二軸磁石用の設計プロトコルの一例を示す構成図である。
【図9】図9A乃至9Cは、磁極面プロフィールの様々な実施例を示す概略図である。
【図10】図10A乃至10Cは、凸状のプロフィールを有する磁極面を使用する二軸磁石の一実施例における磁極面の配置を示す概略図である。
【図11】図11は、制御可能な強度を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の一実施例の操作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、制御可能な強度を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の一実施例の操作を示すフローチャートである。
【図13】図13は、制御可能な強度及び方向を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の他の実施例の操作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に詳細を記載するように、本発明の実施例は、閉ざされた空間(すなわち、場が所定の三次元空間に閉じ込められている)内に磁場を生成する電磁石からなる。閉じ込めは、磁極面の集合体に供給される静磁場ポテンシャルの値を制御することによって行われる。実施例によっては、磁極面に供給する静磁場ポテンシャルの値の集合体を生成する方法は、セグメント化された駆動コイルを担持する共通ヨークに磁極面を接続する方法を含む。このアプローチは、用途によっては特別な有効性を呈し、場合によっては優れた効率特性を呈する。他の構成が、設計変更として、または、性能、価格、及び製造の実用性を考慮して用いられる場合がある。一軸の実施例は、場の空間の範囲を定める境界によって包囲された領域内で実質的に均一な磁場を生成する。同様に、二軸の実施例は、本明細書に記載の境界によって包囲された領域内において強度及び方向において制御可能であり且つ実質的に均一な磁場を生成する。
【0015】
特定の場の空間内に均一な磁場を生成するために、閉じ込めの適切な方法または機構が必要である。実施例によっては、当該閉じ込めは、各々が割り当てられ、所定の、またはダイナミックに調整された静磁場ポテンシャルにある、複数の磁極面からなる「フィールドフェンス」を利用して行われる。本発明の開示において、当該フィールドフェンスは、場の空間の完全または部分的囲い込みを行うために用いられる。特に、磁極面の集合体は、(フェンスポストなどの)境界のコースに沿って選択的に分布され、場の空間の境界面を作成する。各磁極面には、制御された静磁場ポテンシャルが供給される。一実施例では、均一な場が全空間(すなわち、他の磁極面に対する磁極面の各々の位置に基づくと共に、さらに完全に均一な場を仮定した場合の理論的な値)に亘り広がる場合は、各磁極面に供給される各静磁場ポテンシャルの値は、磁極面の各々の位置に存在するものと同一になるように選択される。
【0016】
複数の磁極面の各々に当該静磁場ポテンシャルを選択的にまたは制御可能に供給することは、磁極面によって範囲が定められる閉じ込め空間の内部に存在する均一な場に対する境界条件の作成を容易にする。なお、ディスクリートな位置で条件を課すことは、均一な場に沿って連続的に変化するポテンシャルを近似するのみである。この近似の結果としての場の均一性の歪みは、境界に沿った磁極面の個数及び相対的な位置と、磁極面に供給される静磁場ポテンシャルの値と、または、これら及び他の要因の組み合わせとに、依存する。多くの実施例において、複数のディスクリートな磁極面の使用の結果である場の均一性の歪みは、驚くほど小さく、磁極面に近い場の空間内の領域でのみ目立つ。
一軸場の閉じ込め
【0017】
図2は、部分的に閉ざされた場の空間を提供するように構成された一軸磁石の実施例を示す簡単な概念図であり、図3は、完全に閉ざされた場の空間を提供するように構成された一軸磁石の実施例を示す概念図である。
【0018】
図2及び図3は、実質的に平面的な縦方向の境界、すなわち、互いに対向する2つの縦方向磁極面110、120によって範囲が定められる一軸の場の空間を示す。磁極面の各々は、長軸のほぼ垂直方向に延在している。以下に述べるように、場合に応じては、縦方向磁極面110、120が、実質的に平面的な境界面の範囲を定めないことが望ましい場合がある。場の空間の横方向の境界は、長軸と平行に配置された面によって範囲が定められる場合もある。これらの境界面は、一般的に、複数の横方向磁極面130と一致する。複数の横方向磁極面130の各々は、長軸と直交する各平面にプロフィール(profile)を有する。この各平面は、各横方向磁極面の長手方向の位置(図2における、×1、×2、・・・、×4)をマークする。物理的に、各横方向磁極面130は、所定のプロフィールの形状を有する。これに関しては、「プロフィール」の文言は、横方向磁極面130とその長軸方向の位置をマークする平面とが交差する線を意味する。
【0019】
各横方向磁極面130のプロフィールは、場の空間の横方向断面の範囲を定める。実施例によっては、これらのプロフィールは、縦方向磁極面110及び120によって範囲が定められる境界面と関連する輪郭と整列するように選択される。こういうわけで、「輪郭」は、縦方向磁極面の(y−z面における)二次元的形状を意味し、長軸に対して実質的に直交する方向に延在している。
【0020】
図2は、部分的に閉ざされた場の空間を示す。図面に示すように、縦方向の境界は、縦方向磁極面110、120によって範囲が定められ、横方向の境界は、2列の横方向磁極面130によってその範囲が定められる。図2の実施例において、横方向磁極面130は、直線的なプロフィールを有するように描かれているが、これは要件ではない。図2の実施例は、x−y面において矩形の囲みを画定しながらも、z方向には閉ざされていない場を残している。磁極面110、120、130の大きさに基づいて、z方向において生成された場の範囲は、「h」として示されている。場合によって、z=h/2での面が、z方向における場の最大範囲(すなわち、「シーリング」)、z=−h/2での面が、z方向における場の最小範囲(すなわち、「フロア」)と考えることが望ましい。しかしながら、場は、操作中に、z=h/2或いはz=−h/2を越えて膨らむことがある。多くの実用的な用途は、場の縁で膨らんだ部分を利用する。例えば、基板に配置された物体(例えば、テスト中の装置)に作用させつつも、当該基板が境界面によって画定される囲みの中へとはめ込むには大きすぎるとき、多くのテスト装置は、「シーリング」の上または「フロア」の下に広がる磁場の部分を利用する。完全に閉ざされていない場の空間の形成は、テストや他の目的のために場の空間に対する物体の移動も容易にする。その理由は、構造的な部品が無いので、移動の自由の便宜が図られるからである。しかしながら、上述のごとく、囲みにおける間隙(すなわち、離散した横方向磁極面130の間の間隙、特に磁極面が無いz=h/2及びz=−h/2などの面全体)は、場の均一性が乱れる傾向がある。
【0021】
完全に近い均一性は、「フィールドケージ(field cage)」、すなわち、場の空間を完全に包囲するフィールドフェンスを使用することによって得られる場合がある。これを達成する一つの方法は、閉じたループのプロフィールを有する横方向境界面を使用することである。図3に示すように、一実施例では、矩形プロフィールを有する横方向磁極面130を使用する。横方向磁極面130の形状またはプロフィールは、任意であり、設計変更の事項である。横方向磁極面130の様々なプロフィール形状が、場の空間の使用に適するように適切に採用され、故に、特定の用途となる。用途によっては、円形または楕円形のプロフィールを有する横方向磁極面130を使用することが望ましい。例えば、他の実施例では、プロフィールは、図3に示すように多角形である。
【0022】
図4は、図3に示すような完全に閉ざされた場の空間の中に均一磁場を生成する装置の実施例の部品を示す。特に、図4は、磁極面110、120、130への制御されたポテンシャルの供給を容易にする駆動システム400の構成を示す。
【0023】
図3及び図4において、磁場は、磁極片111、121の対応する縦方向磁極面110、120の間に生成される。さらに、横方向の閉じ込めは、磁極片131の任意個数「n」個の横方向磁極面130によって行われる(横方向磁極片131の2つのみを図4に示す)。当業者は、磁極片の磁極面は、物理的に、磁路(magnetic conduit)の端部であると考える。図4において、この磁路の端部は、場の空間の境界面に連続する面(磁極面110、120、130)である。磁極面につながる磁路は、磁極片(111、121、131)として引用される。本明細書で使用されているように、「フィールドフレーム」の文言は、通常、閉ループ横方向磁極面130の磁極片131を指している。
【0024】
磁極片111、121、131は、場の空間の外側に配置され、各磁極面110、120、130は、場の空間の境界面の範囲を定める。複数の横方向磁極片131が、縦方向磁極片111、121の間で長軸に沿って距離を介して配置された横方向境界面の各々に配置されている。横方向磁極面130のプロフィールによって、長軸と平行な横方向境界面の範囲が定められる。
【0025】
図4に示すように、駆動システム400は、磁気ヨーク410と、磁極片111、121、131をヨーク410に結合する複数のヨーク延長部420と、隣接する延長部420の間のヨーク410に巻回されたコイル巻線部を含む複数の駆動コイル430とを含む。ヨーク410と、延長部420と、磁極片111、121、131とは、制御された静磁場ポテンシャルを磁極面110、120、130に供給するように動作する磁路を表す。特に、ヨーク410は、(延長部420と協動して)磁極片111、121、131の間に磁気抵抗が低い接続を設ける。各磁極面110、120、または130への磁気ポテンシャルの大きさに影響するファクタは、駆動コイル430の巻線数と、駆動コイルを流れる瞬間または平均電流とを含む。なお、これらに限定されるものではない。さらに、静磁場ポテンシャルは、様々な部品を構成するために使用される材料、または、上記の、或いは他のファクタの組み合わせによる影響を受ける。
【0026】
図4に示す構成において、一方の縦方向磁極片111は、ヨーク410の一端部に磁気的に(延長部420を介して)接続され、一方、他方の縦方向磁極片121は、ヨーク410の他端部に磁気的に(延長部420を介して)接続されている。横方向磁極片131は、対応する延長部420を介して両端部の間のヨーク410に磁気的に接続されている。本実施例において、ヨーク410、延長部420、及び磁極片111、121、131は、軟磁性材料から構成され、または軟磁性材料を含み、軟磁性材料に関連した透磁率の値及び飽和磁化値によりその寸法が決められている。この構造上の構成は、部品の間に磁気抵抗の低い接続をなすことを容易とする。
【0027】
動作中、駆動システム400は、複数の駆動コイル430を含む複数の起磁力発生装置を提供する。駆動コイル430の各々は、ヨーク410に結合され、長軸方向において互いに隣接する磁極片111、112、113の間に配置される。この点について、図4の実施例は、隣接する延長部420の各対の間のヨーク410に巻回された駆動コイル430を使用する。各駆動コイル430は、ヨーク410の周囲に巻回された導電性物質からなるコイル巻線である。延長部420間の距離と同様に、延長部420の長さは、各駆動コイル430に対して利用可能な巻線スペースを決めると共に影響を与える。各駆動コイル430を流れる駆動電流は、長軸方向に隣接する延長部420の間のポテンシャルの差に等しい起磁力「F」を生成する。図4に示すように、駆動コイル430は、直列に電気的に接続される。しかし、この駆動コイル430の接続方法は、必ずしも必要ではなく、用途によっては好ましくないことがある。
【0028】
図5は、単一のヨークを使用し且つ閉じ込め場の一軸磁石用の設計プロトコルの一例を示す概念図である。なお、図5は、図4に示す装置の長手方向の断面図を示している。図4を参照して上述したように、駆動システム400は、ヨーク延長部420の間に配置された駆動コイル431−436を保持するヨーク410を含む。場の空間は、縦方向磁極面110、120(図5ではLa、Lbで示す)と、横方向(すなわち、横の)磁極面130(図5ではT1、T2、・・・T5で示す)とによって範囲が定められる。縦方向磁極面110、120での各ポテンシャルは、P(La)、P(Lb)で示され、横方向磁極面130において、各ポテンシャルは、P(T1)、・・・P(T5)で示される。長軸方向に隣接する磁極面の各対の間の長軸方向の距離は、s1、s2、・・・s6で示される。上記の慣習(conventions)により、第i番目のフィールドフレームTiは、ポテンシャルP(Ti)を有し、Laからは距離saiだけ離れ、Lbからは距離sbiだけ離れている。均一な場の中でのポテンシャルは、場の方向に沿って線形に増加し、故に、プロトコルに応じて、フィールドフレームTiに供給されるポテンシャルは、LaとLbとの間の位置に比例する。故に、P(Ti)は、次のように表される。
【0029】
【数1】
[式1]
【0030】
一方、sは、縦方向磁極面110、120の間の総距離を表す。特に、起磁力発生装置は、長軸に沿って磁極面(110、120、130)の位置に応じて、長軸方向に隣接する磁極片(111、121、131)の各磁極面(110、120、130)に対して対応する静磁場ポテンシャルを提供するように使用される。
【0031】
電気的活性化、すなわち駆動電流Iiは、コイルCiを流れて、以下に示すように、駆動電流の大きさと巻線部のターン数Niとの積によって得られる大きさを有する起磁力「F」を生成する。
【0032】
【数2】
[式2]
【0033】
この起磁力の値は、隣接するヨークの延長部420の間のポテンシャルの差に等しく、式1により、以下と等しくなる。
【0034】
【数3】
[式3]
【0035】
コイル431−436によって生成される磁力のチェーンは、次の磁力面で、ポテンシャルの連鎖を生じ、ポテンシャルは、閉じ込められていない均一な場の線形に変化するポテンシャルにディスクリートな近似となる値を有する。上述のように、実施例によっては、駆動コイル430を有する起磁力発生装置は、長軸方向に隣接する磁力面の間の距離に比例する値を有する起磁力を生成するように構成され、また、そのように動作する。
【0036】
(n−2)個のフィールドフレーム(すなわち、縦方向磁極片131)を有する一軸閉じ込め場の磁石は、(n)個の磁極面(縦方向及び横方向共に)用に(n)個のP値を生成するために、(n−1)個の駆動コイル430を必要とする。縦方向磁極面110、120の間のポテンシャルの差は、駆動コイル430によって生成される磁力の合計に等しい。これは、従来の磁石と同じである。故に、図4及び図5に示す閉じ込め場の磁石装置は、従来のアプローチに比較して追加のコイルの巻線部を有さない。本実施例は、単一のコイルの代わりにセグメント化されたコイルを使用するのみである。
図6は、閉じ込め場の一軸磁石を用いた並列駆動システム用の設計プロトコルの一例を示す簡単な概念図である。図6に示す概略図は、図5を参照しつつ上述したものと比較すると、1つの設計変更を表す。各駆動システム400A,400Bは、上述したように、実質的に動作する。しかし、図6に示す構成は、磁極面101、120、130に対するポテンシャルの均一性を改善する傾向がある。デュアル駆動の実施例では、長軸を中心に対称に駆動システム400A,400Bが配置される。実施例によっては、磁極面110、120、130は、等間隔に配置されているので(すなわち、隣接する磁極面間の長軸方向の距離は、縦方向または横方向のいずれにおいても一定)、静磁場ポテンシャルは、一定の割合で増加する。同一のコイル巻線が使用される場合は、コイル巻線は、図6に示すように、直列に接続される。一軸磁石の係る並列駆動の実施例は、以下に詳細を記載するように、二軸磁石の1の場の成分を提供するために使用される。
【0037】
他の設計の選択として、図5及び6に示すような駆動システムは、さらに、駆動回路(例えば、マイクロコントローラ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、または特定用途集積回路(ASIC))を有する。係る駆動論理回路、または回路は、複数の起磁力発生装置に関係した駆動コイルに供給される活性化電流を制御するために使用される。実施例によっては、係る制御は、各磁極片の大きさ、及び透磁率、または他の特性の関数として命令されたり、影響されたりする。
二軸場の閉じ込め
【0038】
二軸磁石は、場の強度及び方向の制御を可能とし、独立して制御可能な2つの場の成分Hx,Hyを生成するように構成された、直交するように配置された2つの一軸磁石を使用して実現される。結果としての場、
【数4】
は、これらの場の成分をベクトル的に加算したものである。なおx及びyは、それぞれ独立した一軸システムの長軸を表す。
【0039】
図1Bに示すように、従来の二軸システムにおける場の均一性は、貧弱である。多くの二軸の実施例において、均一性は、場の拡散のみならず、より重要なことに、他のシステムの磁極片によってシャントされている1のシステムからの場によって、劣化されている。所望の場の均一特性を備えた非常に小さい中心領域は、大抵そのままである。均一性に対するこれらの有害な影響の両方に対する簡単な概念的解決策は、各一軸システムからの場(すなわち、Hx及びHy)を閉じ込めパスへと閉じ込めることを含み、故に、交差領域内で完全に均一な場を得ることである。
【0040】
特に、2つの一軸システムが、直交場の成分を生成すれば、各々は、その長軸(すなわち、「フィールドレーン」)に対して一定の幅に閉じ込められ、次に、フィールドレーンの直交交差は、完全二軸の場の空間になる。図2に示すような2つの二軸システムを使用する構成では、一軸フィールドレーンの各々が、システムの長軸方向に沿って1対のフィールドフェンス(すなわち、横方向の磁極面)によって画定される。さらに、これらレーンの直交交差は、図7に示すような4つのフェンスセグメントによって包囲される矩形の二軸の場の空間の範囲を決める。その場の空間から延長しつつ、各レーンは、各システムの縦方向の磁極面によって終端される。当該2つの一軸システムの直交配置は、二軸場の空間に亘る強度と方向との制御を可能とする均一な場を提供するが、この配置は、重大な欠点、すなわち、二軸場の空間は、縦方向の磁極面によって境界が定められる領域よりも実質的に小さくなるという欠点を有する。この制限は、一軸システムにおける均質の(solid)磁極面が、システム機能に悪影響を与えることなく、(各々が同一の静磁場ポテンシャルにある)ディスクリートな縦方向磁極面のアレイによって置換されることを実現しながら、回避される。上記構成の変更によって、図7に示すような二軸場の空間は、両方の一軸システムの場の空間全体と一致することが可能になる。すなわち、4つの囲み境界面の各々は、一方の一軸システムの横方向の境界として、他方の一軸システムの横方向の境界として、同時に機能する。この構成は、二軸場の空間を効率的に閉じ込めることを容易にする。二軸の実施例によっては、駆動システムは、各磁極面に、上記の一軸設計プロトコルと一致する値を有する静磁気ポテンシャルを供給する。効率的な駆動は、詳細を後述する図6に示すような2つの一軸駆動システムを直交するように重ねることによって行われる。駆動システム構成の一実施例を図8に示す。図8に示すように、2つの一軸システムを直交するように重ねることは、(以前は均質な)縦方向磁極面を複数の(磁気的に平行な)分離した磁極面にセグメント化し、ヨーク延長部の間に駆動コイルの挿入を可能にすることによって、可能となる。
【0041】
この点について、図7は、二軸磁石システムの矩形の場の空間と共に配列された磁極面の集まりを示す概念図であり、図8は、閉じ込め場の二軸磁石用の設計プロトコルの一例を示す概略図を示す。図6及び図8を比較すると、図6の均質な縦方向の磁極面110、120は、図8に示す複数の磁極面110、120の各々へとセグメント化されていることは明らかである。実施例によっては、磁極面190が、ヨーク410A−410Dが挿入されているコーナに追加される。なお、他の実施例では、磁極面190は、簡単な構成のために省略されることがある。図示した実施例では、並列駆動システム400A,400Bは、場の成分Hxを発生し且つ閉じ込める静磁場ポテンシャルを制御するように配置される。一方、駆動システム400C,400Dは、場の成分Hyを発生し且つ閉じ込める静磁場ポテンシャルを制御するように配置される。
【0042】
動作時には、図8に示すシステムの部品は、2つの直交場の成分(すなわち、Hx及びHy)が独立に生成されることを除けば、図2乃至6を参照して説明したことと同様に実質的に機能する。Hx成分については、磁極面110、120は、縦方向磁極面であり、磁極面130は、横方向、すなわち横の磁極面である。これに対し、Hy成分については、逆が真実となる(すなわち、磁極面130は縦方向磁極面であり、磁極面110、120は、横方向磁極面である)。磁極面190は、どちらの場の成分が考慮されるかに応じて、横方向及び縦方向の両方の閉じ込めを行う。
【0043】
均一な縦方向磁極面の複数のディスクリートな縦方向磁極面への置き換えは、(これらの磁極面近傍での場の均一性の僅かな摂動を導くことを除いて)一軸場システムの機能に影響を与えない。Hx駆動システム400A,400Bの並列起動は、Hx場を生成して閉じ込めるための静磁場ポテンシャルPx1を生成する。この場合、縦方向磁極面110は、磁路410Dを介して接続され、全てがポテンシャルPx1にある。一方、縦方向磁極面120は、磁路410Cを介して接続され、全てがポテンシャルPx7にある。上記の一軸設計プロトコルによって、連続的に増加するポテンシャルは、磁極面130(Hx場の成分を閉じ込めるための横方向磁極面)に供給される。同様に、Hy駆動システム400C,400Dを並列に起動することは、Hy場を生成して閉じ込めるための静磁場ポテンシャルPy1〜Py7を生成する。この場合、磁極面130(Hy場の成分を考慮するときの縦方向磁極面)は、磁路410Bを介して接続され、全てがポテンシャルPy1である。一方、磁極面130は、磁路410Aを介して接続され、ポテンシャルPy7に全てある。連続して増加するポテンシャルは、Hy場の成分を閉じ込めるために磁極面110、120に対して供給される。Hx及びHy駆動システムの両方が起動されるときに、各磁極片に供給される静磁気ポテンシャルは、Hx及びHyの場の成分の所定の強度を生成するために、各駆動システムによって供給される値の合計と等しい値を有する。
【0044】
上記のように、図8の二軸アセンブリは、2つの直交場の成分、Hx,Hyのベクトル和となる場を生成する。なお、2つの直交場の成分、Hx,Hyの各々は、各一軸システムによって生成される。駆動システム400A−400Dは、ヨーク410A−410Dで示される、矩形のヨークと組み合わせで動作する。全ての磁極面の集まりは、横方向に閉じ込められたHx場と横方向に閉じ込められたHy場が存在する矩形の囲い込みの範囲を決める。合成した場
【数5】
は、これらの場の成分のベクトル和である。なお、x及びyは、それぞれ独立な一軸システムの長軸に対応する。合成した場の強度及び方向は、Hx及びHyの強度を個々に制御することによって制御される。
【0045】
本実施例において、この領域の囲い込みは、x軸に平行な一対のフィールドフェンス(すなわち、磁極面130、190)と、y軸に平行な一対のフィールドフェンス(すなわち、磁極面110、120、190)とからなる。図8に示す実施例において、7つの磁極面が、各「フェンス」用に用いられ、磁極面190は、隣接するフェンスに対して共通である。なお、磁極面の個数は、任意の設計の選択事項であり、システム全体の要件、製造の検討、価格の制約、またはこれらや他の要因の組み合わせに応じて、多い場合もあり、少ない場合もある。
【0046】
上述のように、各磁極片(111、121、131、191)は、ヨーク延長部420を介してヨーク(410A−410D)に接続され、低抵抗磁気接続をなして、磁極面110、120、130、190に所望の静磁場ポテンシャルを提供する。図8の構成では、各ヨーク410A−410Dの6つの駆動コイル(Cx1−Cx6及びCy1−Cy6)が、必要に応じて、各起磁力(例えば、x軸に沿ってFx1,Fx2,...Fx6、y軸に沿ってFy1,Fy2,...Fy6)を生成するように動作する。この点について、駆動電流lx、lyが使用されて、x軸に沿ってPx1,Px2,...Px7とラベルされたポテンシャル、y軸に沿ってPy1,Py2,...Py7とラベルされたポテンシャルを生成する。図8は、各長軸の対向する面において対応する磁極面を接続する等ポテンシャル線の通常の直線及び直交パターンを示す。これは、各場の成分Hx,Hyの完全な均一性を、これ故に、合成された二軸場を提案する。上記したような境界に沿った摂動を無視すると、場の空間がz軸に沿って限定されずに延在すれば、完全な均一性が実際に存在することになる。二軸場の空間の空間範囲が限定されているとすれば、以下に詳細を記載するように、場の均一性の歪みは、場の空間の幾何学的なフロアまたはシーリングの近傍または越えたところに、存在することがある。
【0047】
2つの場の成分Hx,Hyの機能的な独立性は、二軸システムの動作が、各場の成分の個別の発生、すなわち、1のシステムの長軸方向の境界が、他のシステムの横方向の境界として、またはその逆に機能することを考慮することによって完全に記載されることを意味する。図3乃至5を参照して説明された一軸設計プロトコルが、完全にあてはまる。重ね合わせは、各磁極面(110、120、130、190)で、2つの独立した一軸システムの各々によって規定される静磁場ポテンシャルの値を加算することによって実行される。
【0048】
図示によって、Hxについては、図8の左に沿った磁極面110、190(すなわち、左の「y−フェンス」)が、同一のポテンシャル(Px1)にあり、右のy−フェンスに沿った磁極面120、190は、同一のポテンシャル(Px7)にある。両方のx−フェンスに沿った磁極面130は、x軸に沿った位置の関数として決定される各ポテンシャル(Px2、...Px6)を維持する。上記の方法において、閉じ込み一軸場用の適切な境界条件は、Hxに対して設定される。同様なことが、Hyについても当てはまる。上部xフェンスに沿った磁極面130、190は、同一のポテンシャル(Py1)にあり、一方、底部xフェンスに沿った磁極面130、190は、同一のポテンシャル(Py7)にある。yフェンスに沿った磁極面110、120は、y軸に沿った位置の関数として決定される各ポテンシャル(Py2,...Py6)を維持する。起動している全駆動システム400A−400Dによって、各磁極面110、120、130、190でのポテンシャルは、各一軸システムによって個別に生成された値の合計に等しくなる。
【0049】
(図7及び図8に示すような)一実施例において、二軸磁石は、磁極面が等間隔で配置されたフィールドフェンスによって提供される四角い領域の閉じ込めを用いる。従って、生成される起磁力は、全て等しく、各駆動システムは、同一のコイルを使用し、各駆動システムにおける各コイルは、直列に接続されて、同一の駆動電流で駆動される。他の構成も、当業者によって理解されるように可能であり、本願の開示は、場の空間の境界面の範囲を決める、特定の形状、幾何学的な配置、磁極面の密度に限定されない。
【0050】
図8の概略図に示すような実施例は、x−y面に二軸場の空間を閉じ込めるが、場は、概して、z軸に沿って閉じ込められてはいない。一般に、二軸場の空間を完全に閉じ込めることは、位相的に可能ではない。これは、(図4に示すような)フィールドフレームによって横方向が完全に閉じ込められる場の空間を有する2つの一軸システムを重ねる試みに関係した問題において示されている。場の空間の周囲の磁極片に供給される静磁場ポテンシャルは、場の空間を横切るそのセグメントによってショートされるので、問題が生じる。当該ショートは、これらの片が磁気的に接続されていないときに限り防止される。必要な間隙は、囲い込みの中の数個の開口の存在を意味している。以下に記載するように、この開口の形状は、システムアプリケーションの必要性に調整されている。図7に概略を示す囲いは、二軸の場の空間の部分的な閉じ込めを行う簡単な囲い込みの形状の例を示す。本実施例において、矩形の囲いは、4つの共通のコーナの磁極面を含み、各サイドにそって5個ずつ、全部で16個の磁極面を有するフィールドフェンスを使用する。本実施例において、各磁極面は、均一の高さhを有する。上述のように、幾何学的なシーリングは、z=h/2として範囲が決められ、フロアはz=−h/2として範囲が決められる。これらの寸法では、z=0が中心面となる。上述したように、フロア及びシーリングの名称は、生成された磁場は、これらの面を通過して膨らむ傾向があるために、単に幾何学的なものである。
【0051】
場の空間は、例えば、磁極面の端部を内側に折曲したり、曲げることによって、より十分に閉じ込められ、故に、囲みの内側での場の均一性を改善する。逆に、z=h/2またはz=−h/2を越えた場の膨らみ部分を使用する用途に対して、例えば、磁極面の端部を外側に曲げることによって(例えば、凸状のプロフィールを作成しながら、互いに離れて)、その領域を広げることが望まれる場合もある。
【0052】
この点について、図9A及び図9Cは、磁極面プロフィールの様々な実施例を示す概念図である。図10A及び図10Cは、凸状プロフィールを有する磁極面を使用する二軸磁石の一実施例における磁極面の配置を示す概念図である。様々な用途を考慮するに値する典型的なプロフィールは、直線(図9A)、凹状(図9B),凸状(図9C)である。図9は、各プロフィール形状に対応した結果としての場の形態を示す。場の構成は、所定の磁極面に沿って、場のベクトルが、プロフィールに対して局所的に垂直であることを知ることによって導き出される。しかしながら、非直線的なプロフィールの実行は、プロフィールが横方向の境界面の形状のみのその範囲を定める一軸システムでは生じない挑戦を作り出す。対照的に、二軸システムにおける各磁極面は、一のシステムによる縦方向境界の成分として、または、他のシステムによる横方向境界成分として、同時に使用される。
【0053】
z軸に対して直交する方向に延在する面と交差する磁極面について検討する。磁極面のプロフィールが直線状(図9A)ではなく、凹状(図9B),或いは凸状(図9C)であるとき、交点のパターンは、高さと共に、すなわち、z軸に沿った面の位置と共に変化すべきである。交点のパターンは、上記の設計プロトコルと一致した、等ポテンシャルの直交または直線状のパターンを保持するために、高さの変化に伴って変化すべきである。これは、図10A及び図10Bに示されている。図10A及び図10Bは、それぞれ、第1の立面図[z1]での面と第2の立面図[z2]での面とに対して凸状のプロフィールを有する磁極面の交点を示す。図示された直線パターンは近似ではあるが、対向するフィールドフェンスでの対応する磁極面を接続する線は、等ポテンシャルの想定線である。図10A及び図10Bを比較すると、交点は、[z1]から[z2]へと半径方向に全てがシフトすることは明らかである。図10Cは、累進的に低くなる高さで、一致が高さの範囲を超えて維持されるべきであれば、交点のトラックを示す。図10Cのプロットによって示すように、場合によっては、各プロフィールは、方位角の面内に存在することが望ましい。なお、[z1]から[z2]へと移動するとき、対角の方位角rdに位置する点は、直交する方位角r0に位置する点よりもより長い距離をシフトする。従って、各磁極面のプロフィールは仰角により変倍される。カーブした磁極面プロフィールを使用する実施例では、磁極面のプロフィールは、その位置が、仰角の関数として一致するよう変化するような形を有し、さらにそのように配置されていることが望ましい。
【0054】
全ての磁路(例えばヨーク410、延長部420、磁極片111、121、131、191)が、磁路に沿った損失の無い状態で静磁場ポテンシャルを伝達することが望ましい。これらの特性は、「軟磁性」材料といわれる磁性材料のクラスのせいであり、すなわち、透磁率の大きな値、及びヒステリシスが無いことによって特徴付けられている。実施例によっては、応答の線形性からメリットがある。従って、飽和の作用を最小限にする、あるは除去することが望ましい。従って、用途によっては、様々な磁路が、飽和磁化の所定値で所定の材料に対する十分な断面積を有することを必要とする。上記の設計基準及び材料の選択技術は、当業者には周知である。
【0055】
一般に、磁石の場の出力を制御する方法として、2つの確立した方法がある。(例えば)システムの初期校正に基づいた駆動または起動電流を直接制御することによって、或いは、閉ループアプローチを使用して、得られた場の強度の測定値に基づいて駆動電流を選択的に調整することによってである。場の強度の直接制御は、システムの応答が十分に線形である場合にのみ、可能である。閉ループ制御は、より良い精度とより緩やかな線形性の要件を提供するが、場のセンサなどの部品を必要とする。上記方法のいずれかは、現開示の内容において使用される。図示すると共にこれまでに説明した駆動システムは、記載した機能を容易にするための適切な制御回路或いは論理回路を含む。この点について、一軸の設計を参照したときのように、二軸の実施例において、(マイクロコントローラや、PLC、ASICなどで具体化される)駆動回路や論理回路を含む駆動システムを提供することが望まれる。当該駆動回路や論理回路は、複数の起磁力発生装置に関連した駆動コイルに提供される起動電流を制御するために使用される。
【0056】
図11は、制御可能な強度を有し実質的に均一な磁場を生成する方法の一実施例の一般的な動作を説明するフローチャートである。静磁場ポテンシャルは、ブロック1101に示すように長軸に実質的に直交する方向に延在する第1の縦方向境界で第1の縦方向磁極面に供給される。静磁場ポテンシャルは、ブロック1102に示すように長軸に実質的に直交する方向に延在する第2の縦方向境界で第2の縦方向磁極面に供給される。複数の横方向磁極面が、ブロック1103に示すように提供される。上記のように、横方向磁極面は、第1の縦方向境界と第2の縦方向境界との間で横方向境界面に沿って配置される。各横方向磁極面は、長軸に対して実質的に直交する方向に延在する横方向境界面の各々に配置されている。
【0057】
詳細を上述したように、各静磁場ポテンシャルは、ブロック1104に示すように、横方向磁極面の各々に供給される。各静磁場ポテンシャルの値は、第1及び第2の縦方向の境界に対する横方向境界面の各々の位置により選択される。
【0058】
図12は、制御可能な強度及び方向を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の一実施例の動作を示すフローチャートである。実施例によっては、当該方法は、2つの直交場の成分、すなわち、第1の長軸に沿って発生すべき第1の場の成分と、第2の長軸に沿って発生すべき第2の場の成分とを決めることによって(ブロック1201)、開始される。複数の磁極面は、ブロック1202によって示されるように、第1及び第2の長軸の各々に沿った位置に配置される。
【0059】
次に、第1の縦方向境界で第1の複数個の縦方向磁極面に印加される第1の静磁場ポテンシャルは、(ブロック1203に示すように)選択され、第2の縦方向境界で第2の複数個の縦方向磁極面に印加される第2の静磁場ポテンシャルは、(ブロック1204に示すように)選択される。複数の横方向磁極面が、ブロック1205で示すように、特定される。上記のように、これらの横方向磁極面は、第1及び第2の縦方向境界面の間の横方向境界面に沿って配置され、各々は、長軸に実質的に直交する方向に延在する横方向境界面の各々に配置されている。複数の横方向磁極面の各々に対して、静磁場ポテンシャルの値は、第1及び第2の長手方向境界に対して横方向境界面の各々の位置に応じて選択される(ブロック1206)。
【0060】
ブロック1203乃至1206にて示した動作は、判別ブロック1299へのループバックによって示すように、直交場の成分の各々に対して繰り返される。もし、両方の場の成分が選択されないという判別がなされた場合、プロセスは、第2の場の成分に対してブロック1203乃至1206での動作を繰り返して継続する。一方、両方の場の成分が選択されたという判別がなされた場合、磁場が、場の成分のベクトル和によって生成される。特に、静磁場ポテンシャルの選択された値が、ブロック1210で示すように全磁極面に供給される。上記のように、各磁極面に供給されるべき各ポテンシャルは、一軸システムの各々におけるその磁極面用に決定されたポテンシャルの和になる。上記の方法により、場の空間内で強度及び方向が制御可能な実質的に均一な磁場が、生成される。
【0061】
図12に示す実施例は、閉ループマネージメントまたは制御システムと共に使用されるときに、特別な有用性を呈する。1つまたは複数のフィールドセンサ(例えば、各場の成分に対し少なくとも1つのフィールドセンサ)または他の検出機構が、生成された場の強度をモニタするために使用される場合、フィードバックが、システムの様々な磁極面に対して選択された静磁場ポテンシャルを変更したり、或いは調整するために、(例えば上記の駆動回路や論理回路によって)ダイナミックに使用される。この閉ループフィードバックは、図12において、ブロック1206からブロック1203までの破線矢印によって示されている。
【0062】
図13は、制御可能な強度及び方向を有する実質的に均一な磁場を生成する方法の他の実施例の一般的な動作を説明するフローチャートである。実施例によっては、当該方法は、2つの直交軸(ブロック1301)を有するフィールド面の範囲を定めることによって始まる。なお、各直交軸は、各場の成分に対する長軸を定める。
【0063】
生成されるべき場の空間の境界は、ブロック1302で示されるように、その範囲が定められる。実施例によっては、境界は、各長軸に対して垂直なフィールド面と交差する境界面によって境界が定められるフィールド面において、矩形の領域を特定することによって、決められたり、或いは定められたりする。これらの境界面、または閉じ込める面は、特定の空間で場を包囲するように機能する。上記のように、二軸場の空間を囲むことは完全に可能ではないが、場の空間は、直交長軸によって範囲が定められるフィールド面内で囲われる。この点について、フィールド面での空間的境界は、各長軸と平行に配置され、そして、各長軸の対向する側に配置された対をなす境界面からなる。複数の磁極面は、場の空間の空間的な境界を設定することを容易にするために、境界面の各々に配置される(ブロック1303)。
【0064】
「縦方向」及び「横方向」境界面及び磁極面は、各場の成分に対して指定される(ブロック1304)。上記したように、1つの場の成分(例えば、Hx)に対する縦方向境界面は、他の場成分(例えば、Hy)に対する横方向の境界面であり、その逆もあり得る。第1及び第2の場成分の各々に対して、各長軸に直交する境界面での磁極面は、縦方向磁極面として指定され、各長軸に平行な境界面での磁極面は、横方向磁極面として指定される。例えば、第1の場の成分に対して、方法は、特定の長軸に対して直交する方向に延在する2つの境界面(及びこれらの境界面での磁極面)を「縦方向」として指定し、その特定の長軸に平行な方向に延在する2つの境界面を「横方向」として指定する。その逆は、第2の場の成分として当てはまる。
【0065】
場の成分の各々の大きさは、ブロック1305に示すように判別される。上記したように、これらの大きさは、2つの場の成分のベクトル和が、生成されるべき磁場の所望の大きさ及び方向をもたらすように、選択され、或いは設定される。場の成分の各々は、ブロック1306に示すように生成されて閉じ込められる。生成については、1つの方法は、第1の縦方向境界面に沿って配置された磁極面の全てに静磁場ポテンシャルの第1の値を選択し、さらに、第2の縦方向境界面に沿って配置された磁極面の全てに静磁場ポテンシャルの第2の値を選択することによって、場の成分の各々を生成する。上述のように、これらの静磁場ポテンシャルの間の差は、場の成分の各々の設定された、または所望の大きさに比例する。閉じ込めについては、1つの方法は、横方向境界面に沿って配置された各磁極面に対し、縦方向境界での磁極面に供給される値の中間の値を有する静磁場ポテンシャルを選択することによって、場の成分の各々を閉じ込める。上記したように、横方向磁極面の値の各々は、横方向磁極面と縦方向境界の各々との間の離間距離に比例する。
【0066】
さらに、磁極面に供給されるべき静磁場ポテンシャルの値を選択したり、または設定することは、第1及び第2の場の成分の各々の選択された大きさに比例する静磁場ポテンシャルを選択することを含む。上述したように、生成されるべき磁場は、場の成分の各々のベクトル和である。従って、1つの方法は、2つの場の成分の生成及び閉じ込めに関連した値の合計に等しい値を有する静磁場ポテンシャルを、磁極面の各々に供給する。これを、ブロック1307に示す。実施例によっては、ブロック1307で示す動作は、一軸駆動システムの各々の直交する重ね合わせである共通の磁路を使用して、磁極面の集合体に静磁場ポテンシャルを供給する。
【0067】
なお、図13でのブロックの配置は、事象の特定の順序や順番を必ずしも付与するものではなく、他の可能性を排除する目的もないものである。例えば、ブロック1305に示す動作は、他のブロックでの動作に先行してもよく、ブロック1302及び1303、または1303及び1304での動作は、互いに連続して同時に起きてもよい。他の順番や組み合わせも予測される。
【0068】
本発明の特徴及び概念は、特定の実施例を参照して詳細に説明し且つ記載したが、これらは例示であり、これに限定するものではない。当業者は、開示された実施例に対する変形例及び変更例は、本開示の目的及び概念の範囲内にあることを認める。従って、本発明は、添付した請求項によってのみ限定されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長軸を有する閉じ込め場の空間内で制御可能な大きさを有する磁場を生成する方法であって、
前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第1の縦方向の境界で第1の縦方向の磁極面に第1の静磁場ポテンシャルを供給する工程と、
前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第2の縦方向の境界で第2の縦方向の磁極面に第2の静磁場ポテンシャルを供給する工程と、
前記第1及び第2の縦方向の境界の間の横方向の境界に沿って配置される複数の横方向磁極面を設ける工程と、前記複数の横方向磁極面の各々は、前記長軸に実質的に直交する方向に延在する横方向境界面に配置され、
前記複数の横方向磁極面の各々に静磁場ポテンシャルを供給する工程と、
前記複数の横方向磁極面の各々に対して、前記第1及び第2の縦方向の境界に対して横方向の境界面の各々の位置に応じて各磁気ポテンシャルの値を選択する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1、第2、及び各静磁場ポテンシャルを供給する前記工程は、前記磁極面の各々を磁路を介して静磁場ポテンシャル発生装置に接続して静磁場ポテンシャルの選択された値を提供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の静磁場ポテンシャルは、P(La)の値を有し、前記第2の静磁場ポテンシャルは、P(Lb)の値を有し、各静磁場ポテンシャルP(Ti)は、前記複数の横方向磁極面の各々に供給され、以下に示すものと実質的に等しい値を有し、
【数1】
但し、saiは横方向境界面iと前記第1の縦方向境界との間の距離であり、sbiは横方向境界面iと前記第2の縦方向境界との間の距離であり、sは前記第1及び第2の縦方向境界面間の距離であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記供給工程は、さらに、
前記磁路に接続された前記複数の横方向磁極面の隣接するものを特定する工程と、
起磁力発生装置を前記隣接する磁極面の横方向境界面の各々の間の磁路に接続する工程と、
前記選択工程に応じた前記隣接する磁極面に対して選択された静磁場ポテンシャルの差に実質的に等しい値を有する起磁力を発生する工程と
を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記発生工程は、前記磁路の周囲に巻回された通電導体を流れる電流を駆動する工程を有し、起磁力は、前記コイルのターン数と前記電流の振幅との積であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記起磁力の前記値は、前記駆動工程に応じて選択的に調整可能であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記起磁力の値は、前記隣接する磁極面の横方向境界面の各々の間の距離に比例することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の縦方向磁極面に第1の輪郭を提供する工程と、
前記第2の縦方向磁極面に第2の輪郭を提供する工程と、
前記複数の横方向磁極面の各々にそれぞれプロフィールを提供する工程と、
前記第1の輪郭、前記第2の輪郭及び前記プロフィールの各々を使用して前記第1の空間を閉じ込める工程と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記長軸に沿って、前記第1の輪郭、前記第2の輪郭及び前記プロフィールの各々を実質的に整列する工程をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロフィールの各々は、前記第1の輪郭及び前記第2の輪郭の形状に実質的に相当することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
テスト下の物体の物理的大きさに応じて、前記第1の輪郭、前記第2の輪郭及び前記プロフィールの各々を選択する工程をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記場の空間内でのテスト下の前記物体の位置決めをする工程と、テスト下の前記物体の磁気成分を前記磁場に対して晒す工程と、前記第1の静磁場ポテンシャル、前記第2の静磁場ポテンシャル、及び前記静磁場ポテンシャルを比例して制御することによって前記磁場の大きさを制御する工程とをさらに有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記晒す工程は、テスト下の前記物体の前記磁気成分を別の磁場に連続して晒す工程を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
長軸を有する閉じ込め場の空間内で均一な磁場を生成する装置であって、
前記場の空間の外側にあり、前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第1の縦方向の境界面を形成する第1の輪郭を有する第1の縦方向磁極面を有する第1の縦方向の磁極片と、
前記場の空間の外側にあり、前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第2の縦方向の境界面を形成する第2の輪郭を有する第2の縦方向磁極面を有する第2の縦方向の磁極片と、
前記場の空間の外側にあり、前記第1及び第2の縦方向境界面の間で前記長軸に沿って配置された複数の横方向磁極片と、前記横方向磁極片の各々は、前記長軸に対して実質的に直交する横方向境界面の各々において前記長軸と平行に延在する横方向境界面の各々を形成する横方向プロフィールを有する横方向磁極面を有し、
前記磁極片の間に低磁気抵抗の磁気接続を提供する磁路と、
を有し、
前記第1の縦方向磁極片は、前記磁路の第1の端部に磁気的に接続され、前記第2の縦方向磁極片は、前記磁路の第2の端部に磁気的に接続され、前記複数の横方向磁極片の各々は、前記第1及び第2端部の間で前記磁路に磁気的に接続され、
さらに、
前記磁路に接続され、且つ縦方向に隣接する磁極片の間に配置される複数の起磁力発生装置を有し、前記複数の起磁力発生装置の各々は、前記長軸に沿った前記磁極面の位置に応じて前記縦方向に隣接する磁極片の各々の磁極面に静磁場ポテンシャルの各々を提供することを特徴とする装置。
【請求項15】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、前記磁極面の間の距離に比例する値を有する起磁力を生成することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、前記磁路の周囲に巻回された通電導体からなるコイル巻線を有し、前記起磁力は、前記通電導体を介して駆動される電流の振幅と前記コイル巻線におけるターン数との積であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記磁路は、軟磁性材料から成り、前記磁路は、前記軟磁性材料に関係した磁気飽和値及び透磁率により寸法が決められていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記磁路は、磁極片の各々に前記磁気ヨークを接続する延長部の各々を有する磁気ヨークを有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、隣接する延長部の間の前記磁気ヨークの周囲に巻回された通電導体のコイル巻線を含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記コイル巻線は、直列に電気的に接続され、且つ起動電流によって励磁されることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
各対の隣接する磁極面の間の距離は、実質的に均一であり、前記コイル巻線の各々は、同一のターン数を有することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記磁極片は、軟磁性材料から成り、前記磁極片の各々は、前記軟磁性材料に関係した磁気飽和値の各々と透磁率の各々とを有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記磁極片は、前記値に応じて大きさが決められることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
生成される磁場の大きさの関数として、前記複数の起磁力発生装置を制御する駆動回路をさらに有することを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の縦方向磁極面に供給される第1の静磁場ポテンシャルは、P(La)の値を有し、前記第2の縦方向磁極面に供給される第2の静磁場ポテンシャルは、P(Lb)の値を有し、各静磁場ポテンシャルP(Ti)は、横方向磁極面の各々に供給され、以下に示すものと実質的に等しい値を有し、
【数2】
但し、saiは横方向境界面iと前記第1の縦方向境界との間の距離であり、sbiは横方向境界面iと前記第2の縦方向境界との間の距離であり、sは前記第1及び第2の縦方向境界面間の距離であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記横方向プロフィールの各々は、前記長軸に沿って実質的に配列されていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項27】
前記横方向プロフィールの各々は、前記第1の輪郭及び前記第2の輪郭の形状に実質的に相当し、前記長軸に沿って前記第1及び第2の輪郭と実質的に配列されていることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記横方向プロフィールの各々は、前記長軸の周囲に閉ループを形成することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項29】
前記第1の輪郭、前記第2の輪郭及び前記プロフィールは、テスト下の物体の物理的な寸法に応じて大きさが決められることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項30】
前記磁極片の少なくとも1つは、前記磁路から選択的に除去可能であり、テスト下の前記物体の前記場の空間内での配置を可能とすることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
場の空間内で制御可能な大きさ及び方向を有する磁場を生成する方法であって、
2つの直交場の成分を設定する工程と、第1の場の成分は第1の長軸に沿って生成されるものであり、第2の場の成分は第2の長軸に沿って生成されるものであり、
複数の磁極面を前記第1及び第2の長軸の各々に配置する工程と、
2つの直交場の成分の各々に対し、
長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第1の縦方向の境界で第1の複数個の縦方向の磁極面に印加する第1の静磁場ポテンシャルを選択する工程と、
前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第2の縦方向の境界で第2の複数個の縦方向の磁極面に印加する第2の静磁場ポテンシャルを選択する工程と、
前記第1及び第2の縦方向の境界の間の横方向の境界に沿って配置される複数の横方向磁極面を特定する工程と、前記複数の横方向磁極面の各々は、前記長軸に実質的に直交する方向に延在する横方向境界面の各々に配置され、
前記複数の横方向磁極面の各々に対し、前記第1及び第2の縦方向境界に対して横方向境界面の各々の位置に応じて静磁場ポテンシャルの各々の値を選択する工程と、
前記複数の磁極面の各々に静磁場ポテンシャルの選択された値を供給する工程とを有し、前記場の空間の内部で大きさ及び方向が制御可能な実質的に均一な磁場を生成することを特徴とする方法。
【請求項32】
前記2つの直交場の成分の各々に対し、前記供給工程は、前記複数の磁極面の各々を磁路を介して静磁場ポテンシャル発生装置に接続して静磁場ポテンシャルの選択された値を提供することを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
2つの直交場の成分の各々に対し、前記第1の静磁場ポテンシャルは、P(La)の値を有し、前記第2の静磁場ポテンシャルは、P(Lb)の値を有し、各静磁場ポテンシャルP(Ti)は、前記複数の横方向磁極面の各々に供給され、以下に示すものと実質的に等しい値を有し、
【数3】
但し、saiは各横方向境界面iと前記第1の縦方向境界との間の距離であり、sbiは各横方向境界面iと前記第2の縦方向境界との間の距離であり、sは前記第1及び第2の縦方向境界間の距離であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
2つの直交場の成分の各々に対し、前記供給工程は、さらに、
前記磁路に接続された前記複数の横方向磁極面の隣接するものを特定する工程と、
起磁力発生装置を前記隣接する磁極面の横方向境界の各々の間の磁路に接続する工程と、
前記選択工程に応じた前記隣接する磁極面に対して選択された静磁場ポテンシャルの差に実質的に等しい値を有する起磁力を発生する工程と
を有することを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
2つの直交場の成分の各々に対し、前記発生工程は、前記磁路の周囲に巻回された通電導体を流れる電流を駆動する工程を有し、起磁力は、前記コイルのターン数と前記電流の振幅との積であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記起磁力の前記値は、前記駆動工程に応じて選択的に調整可能であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記起磁力の値は、前記隣接する磁極面の横方向境界面の各々の間の距離に比例することを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記第1、第2、及び各静磁場ポテンシャルを選択する前記工程は、複数の磁極面の各々に対し、前記第1の直交場の成分に関連した第1成分静磁場ポテンシャルの値と、前記第2の直交場の成分に関連した第2成分静磁場ポテンシャルの値とを得る工程を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記供給工程は、前記第1及び第2の静磁場ポテンシャル値の合計に等しい大きさを有する静磁場ポテンシャルを、前記複数の磁極面の各々に提供する工程を含むことを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記複数の磁極面の各々は次元的プロフィールを有し、さらに、
前記複数の磁極面を前記第1の長軸及び前記第2の長軸に沿って配置する工程を有し、前記次元的プロフィールは、2対の境界面を定めて、前記場の空間を閉じ込めることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項41】
第1の対の境界面は、前記第1の長軸と実質的に平行な方向に延在し、前記第1の対の第1の面は、前記第1の対の第2の面からは前記第1の長軸の反対側に配置されることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項42】
第2の対の境界面は、前記第2の長軸と実質的に平行な方向に延在し、前記第2の対の第1の面は、前記第2の対の第2の面からは前記第2の長軸の反対側に配置されていることを特徴とする請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記第1及び第2の長軸に対して直交する次元的プロフィールの空間的な広がり及び2対の境界面は、3次元空間を定め、さらに、前記3次元空間内の利用領域内で実質的に均一な大きさ及び方向を有する磁場を生成する工程をさらに有することを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記次元的プロフィールの形状を決めて、前記利用領域での前記磁場の均一性を最適化する工程をさらに有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記次元的プロフィール及び前記境界面の対の形状を決めて、テスト下の物体の物理的大きさに応じた3次元空間を決める工程をさらに有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記利用領域内でのテスト下の前記物体の位置決めをする工程と、テスト下の前記物体の磁気成分を前記磁場に対して晒す工程と、2つの直交場の成分の値を調整することによって、前記磁場の大きさ及び方向を制御する工程とをさらに有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記晒す工程は、テスト下の前記物体の前記磁気成分を別の磁場に連続して晒す工程を有することを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記異なる磁場は、大きさが異なることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記異なる磁場は、方向が異なることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項50】
境界によって定められた領域内で制御可能な大きさ及び方向を有する実質的に均一な磁場を生成する装置であって、各境界の各々に対し、
各境界に関係した複数の磁極片の各々と、前記複数の磁極片の各々は、次元的プロフィールを備えた磁極面を有し、前記磁極面の次元的プロフィールは、各境界用の境界面を定め、
各境界に関連した複数の起磁力発生装置の各々と、前記複数の起磁力発生装置の各々は、各境界に沿って互いに隣接する磁極片の間に配置されると共に、前記境界の各々に沿って各磁極片の位置に応じて前記隣接する磁極片の各磁極面に、選択された値の起磁力を提供するように連結されていることを特徴とする装置。
【請求項51】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、前記磁極面の間の距離に比例する値を有する起磁力を生成することを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、磁路の周囲に巻回された通電導体からなるコイル巻線部を有し、前記起磁力は、前記通電導体を介して駆動される電流の振幅と、前記コイル巻線部のターン数との籍であることを特徴とする請求項50記載の装置。
【請求項53】
前記磁路は、軟磁性材料を含み、前記磁路は、前記軟磁性材料と関連した磁気飽和の値及び透磁率の値に応じて寸法が決められていることを特徴とする請求項52記載の装置。
【請求項54】
前記磁路は、延長部の各々を有する磁気ヨークを有し、前記延長部は、前記磁気ヨークを各磁極片に接続することを特徴とする請求項52記載の装置。
【請求項55】
前記起磁力発生装置の各々は、互いに隣接する延長部の間の前記磁気ヨークの周囲に巻回された通電導体のコイル巻回部を有することを特徴とする請求項54記載の装置。
【請求項56】
前記コイル巻回部は、電気的に直列に接続され、起動電流によって励磁されることを特徴とする請求項55記載の装置。
【請求項57】
互いに隣接する磁極面の間の距離は、実質的に均一であり、前記コイル巻回部の各々は、ターン数が同一であることを特徴とする請求項56記載の装置。
【請求項58】
前記磁極片は、軟磁性材料からなり、前記磁極片の各々は、前記軟磁性材料に関連した磁気飽和値の各々と透磁率の各々を有することを特徴とする請求項50記載の装置。
【請求項59】
前記磁極片は、それぞれの値に応じて寸法が決められていることを特徴とする請求項58記載の装置。
【請求項60】
生成されるべき磁場の振幅の関数として前記複数の起磁力発生装置を制御する駆動回路をさらに有することを特徴とする請求項59記載の装置。
【請求項61】
前記境界によって範囲が定められ、且つ前記境界の各々から実質的に等距離に配置された領域内の中心軸をさらに有し、
前記磁極面の各々の前記次元的プロフィールは、前記中心軸から放射状に延びる面内に位置することを特徴とする請求項50記載の装置。
【請求項62】
前記磁極面の前記次元的プロフィールは、方位角に応じて縮小・拡大されることを特徴とする請求項61記載の装置。
【請求項63】
前記磁極面の前記次元的プロフィールは、各境界に沿った前記次元的プロフィールの位置が、前記中心軸からの仰角の関数として一致するように変化するように、大きさが決められ且つそのように向きが決められていることを特徴とする請求項61記載の装置。
【請求項64】
範囲が定められた実質的に矩形の境界で実質的に均一な磁場を生成する方法であって、前記場は、実質的な矩形の境界の各々から実質的に等距離にある中心軸に対して制御可能な立体角の方向及び制御可能な大きさを有し、実質的に矩形の境界の各々に対し、
各境界に関連した複数の磁極片の各々と、前記複数の磁極片の各々は、次元的プロフィールを有する磁極面を有し、前記磁極面の前記次元的プロフィールは、各境界の境界面の範囲を定め、
前記境界の各々に関連した複数の起磁力発生装置の各々と、前記複数の起磁力発生装置の各々は、各境界に沿って互いに隣接する磁極片の間に配置され、且つ前記境界に沿った磁極面の各々の位置に応じて前記隣接する磁極片の各磁極面に、選択された値の起磁力を供給するように連結されていることを特徴とする装置。
【請求項65】
前記磁極面の各々の前記次元的プロフィールは、各境界に対して直交する方向に延在する面に配置されていることを特徴とする請求項64記載の装置。
【請求項66】
前記磁極面の各々の前記次元的プロフィールは、前記中心軸から放射状に延在する面に配置されていることを特徴とする請求項64記載の装置。
【請求項67】
前記磁極面の各々の前記次元的プロフィールは、方位角により縮小・拡大されることを特徴とする請求項66記載の装置。
【請求項68】
前記磁極面の前記次元的プロフィールは、各境界に沿った前記次元的プロフィールの位置が、前記中心軸に沿った仰角の関数として一致するように変化するように形作られ且つ向きが決められていることを特徴とする請求項66記載の装置。
【請求項69】
場の空間内の制御可能な大きさ及び方向を有する磁場を生成する方法であって、
2つの直交軸を有するフィールド面の範囲を画定する工程と、前記軸の各々は2つの直交場の成分に対する長軸であり、第1の場の成分は、第1の長軸に沿って生成されるものであり、第2の場の成分は、第2の長軸に沿って生成されるものであり、
前記フィールド面内で空間的な境界の範囲を画定する工程と、前記空間的な境界は、各長軸と平行に配置された境界面の各対からなり、
複数の磁極面を前記境界面に配置する工程と、
各場の成分に対し、各長軸と直交する境界面において前記複数の磁極面のうちの幾つかを縦方向の磁極面と指定し、各長軸と平行な境界面において前記複数の磁極面のうちの幾つかを横方向の磁極面と指定する工程と、
前記第1及び第2の場の成分の各々の大きさを選択する工程と、
を有し、
前記第1及び第2の場の成分に対し、
第1の静磁場ポテンシャルを選択して第1の縦方向境界面で縦方向の磁極面に印加し、第2の静磁場ポテンシャルを選択して第2の縦方向境界面で縦方向の磁極面に印加することによって前記第1の成分を生成する工程と、
横方向磁極面の各々に対し、前記第1及び第2の静磁場ポテンシャルの間の各静磁場ポテンシャルの値を選択することによって場の成分を閉じ込める工程と、各静磁場ポテンシャルは、前記第1及び第2の縦方向境界面に対する横方向磁極面の位置により選択され、
前記第1、第2、及び各静磁場ポテンシャルの値を選択する工程は、第1及び第2の場の成分の各々の選択された大きさに比例する静磁場ポテンシャルを選択する工程を含み、
前記複数の磁極面の各々に対し、前記生成工程及び閉じ込め工程により選択された値の和を表す静磁場ポテンシャルの値を、前記第1及び第2の場の成分に対して供給する工程を有し、前記場の空間内で大きさ及び方向が制御可能な実質的に均一な磁場を生成することを特徴とする方法。
【請求項1】
長軸を有する閉じ込め場の空間内で制御可能な大きさを有する磁場を生成する方法であって、
前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第1の縦方向の境界で第1の縦方向の磁極面に第1の静磁場ポテンシャルを供給する工程と、
前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第2の縦方向の境界で第2の縦方向の磁極面に第2の静磁場ポテンシャルを供給する工程と、
前記第1及び第2の縦方向の境界の間の横方向の境界に沿って配置される複数の横方向磁極面を設ける工程と、前記複数の横方向磁極面の各々は、前記長軸に実質的に直交する方向に延在する横方向境界面に配置され、
前記複数の横方向磁極面の各々に静磁場ポテンシャルを供給する工程と、
前記複数の横方向磁極面の各々に対して、前記第1及び第2の縦方向の境界に対して横方向の境界面の各々の位置に応じて各磁気ポテンシャルの値を選択する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1、第2、及び各静磁場ポテンシャルを供給する前記工程は、前記磁極面の各々を磁路を介して静磁場ポテンシャル発生装置に接続して静磁場ポテンシャルの選択された値を提供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の静磁場ポテンシャルは、P(La)の値を有し、前記第2の静磁場ポテンシャルは、P(Lb)の値を有し、各静磁場ポテンシャルP(Ti)は、前記複数の横方向磁極面の各々に供給され、以下に示すものと実質的に等しい値を有し、
【数1】
但し、saiは横方向境界面iと前記第1の縦方向境界との間の距離であり、sbiは横方向境界面iと前記第2の縦方向境界との間の距離であり、sは前記第1及び第2の縦方向境界面間の距離であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記供給工程は、さらに、
前記磁路に接続された前記複数の横方向磁極面の隣接するものを特定する工程と、
起磁力発生装置を前記隣接する磁極面の横方向境界面の各々の間の磁路に接続する工程と、
前記選択工程に応じた前記隣接する磁極面に対して選択された静磁場ポテンシャルの差に実質的に等しい値を有する起磁力を発生する工程と
を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記発生工程は、前記磁路の周囲に巻回された通電導体を流れる電流を駆動する工程を有し、起磁力は、前記コイルのターン数と前記電流の振幅との積であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記起磁力の前記値は、前記駆動工程に応じて選択的に調整可能であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記起磁力の値は、前記隣接する磁極面の横方向境界面の各々の間の距離に比例することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の縦方向磁極面に第1の輪郭を提供する工程と、
前記第2の縦方向磁極面に第2の輪郭を提供する工程と、
前記複数の横方向磁極面の各々にそれぞれプロフィールを提供する工程と、
前記第1の輪郭、前記第2の輪郭及び前記プロフィールの各々を使用して前記第1の空間を閉じ込める工程と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記長軸に沿って、前記第1の輪郭、前記第2の輪郭及び前記プロフィールの各々を実質的に整列する工程をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロフィールの各々は、前記第1の輪郭及び前記第2の輪郭の形状に実質的に相当することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
テスト下の物体の物理的大きさに応じて、前記第1の輪郭、前記第2の輪郭及び前記プロフィールの各々を選択する工程をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記場の空間内でのテスト下の前記物体の位置決めをする工程と、テスト下の前記物体の磁気成分を前記磁場に対して晒す工程と、前記第1の静磁場ポテンシャル、前記第2の静磁場ポテンシャル、及び前記静磁場ポテンシャルを比例して制御することによって前記磁場の大きさを制御する工程とをさらに有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記晒す工程は、テスト下の前記物体の前記磁気成分を別の磁場に連続して晒す工程を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
長軸を有する閉じ込め場の空間内で均一な磁場を生成する装置であって、
前記場の空間の外側にあり、前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第1の縦方向の境界面を形成する第1の輪郭を有する第1の縦方向磁極面を有する第1の縦方向の磁極片と、
前記場の空間の外側にあり、前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第2の縦方向の境界面を形成する第2の輪郭を有する第2の縦方向磁極面を有する第2の縦方向の磁極片と、
前記場の空間の外側にあり、前記第1及び第2の縦方向境界面の間で前記長軸に沿って配置された複数の横方向磁極片と、前記横方向磁極片の各々は、前記長軸に対して実質的に直交する横方向境界面の各々において前記長軸と平行に延在する横方向境界面の各々を形成する横方向プロフィールを有する横方向磁極面を有し、
前記磁極片の間に低磁気抵抗の磁気接続を提供する磁路と、
を有し、
前記第1の縦方向磁極片は、前記磁路の第1の端部に磁気的に接続され、前記第2の縦方向磁極片は、前記磁路の第2の端部に磁気的に接続され、前記複数の横方向磁極片の各々は、前記第1及び第2端部の間で前記磁路に磁気的に接続され、
さらに、
前記磁路に接続され、且つ縦方向に隣接する磁極片の間に配置される複数の起磁力発生装置を有し、前記複数の起磁力発生装置の各々は、前記長軸に沿った前記磁極面の位置に応じて前記縦方向に隣接する磁極片の各々の磁極面に静磁場ポテンシャルの各々を提供することを特徴とする装置。
【請求項15】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、前記磁極面の間の距離に比例する値を有する起磁力を生成することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、前記磁路の周囲に巻回された通電導体からなるコイル巻線を有し、前記起磁力は、前記通電導体を介して駆動される電流の振幅と前記コイル巻線におけるターン数との積であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記磁路は、軟磁性材料から成り、前記磁路は、前記軟磁性材料に関係した磁気飽和値及び透磁率により寸法が決められていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記磁路は、磁極片の各々に前記磁気ヨークを接続する延長部の各々を有する磁気ヨークを有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、隣接する延長部の間の前記磁気ヨークの周囲に巻回された通電導体のコイル巻線を含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記コイル巻線は、直列に電気的に接続され、且つ起動電流によって励磁されることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
各対の隣接する磁極面の間の距離は、実質的に均一であり、前記コイル巻線の各々は、同一のターン数を有することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記磁極片は、軟磁性材料から成り、前記磁極片の各々は、前記軟磁性材料に関係した磁気飽和値の各々と透磁率の各々とを有することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記磁極片は、前記値に応じて大きさが決められることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
生成される磁場の大きさの関数として、前記複数の起磁力発生装置を制御する駆動回路をさらに有することを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の縦方向磁極面に供給される第1の静磁場ポテンシャルは、P(La)の値を有し、前記第2の縦方向磁極面に供給される第2の静磁場ポテンシャルは、P(Lb)の値を有し、各静磁場ポテンシャルP(Ti)は、横方向磁極面の各々に供給され、以下に示すものと実質的に等しい値を有し、
【数2】
但し、saiは横方向境界面iと前記第1の縦方向境界との間の距離であり、sbiは横方向境界面iと前記第2の縦方向境界との間の距離であり、sは前記第1及び第2の縦方向境界面間の距離であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記横方向プロフィールの各々は、前記長軸に沿って実質的に配列されていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項27】
前記横方向プロフィールの各々は、前記第1の輪郭及び前記第2の輪郭の形状に実質的に相当し、前記長軸に沿って前記第1及び第2の輪郭と実質的に配列されていることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記横方向プロフィールの各々は、前記長軸の周囲に閉ループを形成することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項29】
前記第1の輪郭、前記第2の輪郭及び前記プロフィールは、テスト下の物体の物理的な寸法に応じて大きさが決められることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項30】
前記磁極片の少なくとも1つは、前記磁路から選択的に除去可能であり、テスト下の前記物体の前記場の空間内での配置を可能とすることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
場の空間内で制御可能な大きさ及び方向を有する磁場を生成する方法であって、
2つの直交場の成分を設定する工程と、第1の場の成分は第1の長軸に沿って生成されるものであり、第2の場の成分は第2の長軸に沿って生成されるものであり、
複数の磁極面を前記第1及び第2の長軸の各々に配置する工程と、
2つの直交場の成分の各々に対し、
長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第1の縦方向の境界で第1の複数個の縦方向の磁極面に印加する第1の静磁場ポテンシャルを選択する工程と、
前記長軸に対して実質的に直交する方向に延在する第2の縦方向の境界で第2の複数個の縦方向の磁極面に印加する第2の静磁場ポテンシャルを選択する工程と、
前記第1及び第2の縦方向の境界の間の横方向の境界に沿って配置される複数の横方向磁極面を特定する工程と、前記複数の横方向磁極面の各々は、前記長軸に実質的に直交する方向に延在する横方向境界面の各々に配置され、
前記複数の横方向磁極面の各々に対し、前記第1及び第2の縦方向境界に対して横方向境界面の各々の位置に応じて静磁場ポテンシャルの各々の値を選択する工程と、
前記複数の磁極面の各々に静磁場ポテンシャルの選択された値を供給する工程とを有し、前記場の空間の内部で大きさ及び方向が制御可能な実質的に均一な磁場を生成することを特徴とする方法。
【請求項32】
前記2つの直交場の成分の各々に対し、前記供給工程は、前記複数の磁極面の各々を磁路を介して静磁場ポテンシャル発生装置に接続して静磁場ポテンシャルの選択された値を提供することを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
2つの直交場の成分の各々に対し、前記第1の静磁場ポテンシャルは、P(La)の値を有し、前記第2の静磁場ポテンシャルは、P(Lb)の値を有し、各静磁場ポテンシャルP(Ti)は、前記複数の横方向磁極面の各々に供給され、以下に示すものと実質的に等しい値を有し、
【数3】
但し、saiは各横方向境界面iと前記第1の縦方向境界との間の距離であり、sbiは各横方向境界面iと前記第2の縦方向境界との間の距離であり、sは前記第1及び第2の縦方向境界間の距離であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
2つの直交場の成分の各々に対し、前記供給工程は、さらに、
前記磁路に接続された前記複数の横方向磁極面の隣接するものを特定する工程と、
起磁力発生装置を前記隣接する磁極面の横方向境界の各々の間の磁路に接続する工程と、
前記選択工程に応じた前記隣接する磁極面に対して選択された静磁場ポテンシャルの差に実質的に等しい値を有する起磁力を発生する工程と
を有することを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
2つの直交場の成分の各々に対し、前記発生工程は、前記磁路の周囲に巻回された通電導体を流れる電流を駆動する工程を有し、起磁力は、前記コイルのターン数と前記電流の振幅との積であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記起磁力の前記値は、前記駆動工程に応じて選択的に調整可能であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記起磁力の値は、前記隣接する磁極面の横方向境界面の各々の間の距離に比例することを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記第1、第2、及び各静磁場ポテンシャルを選択する前記工程は、複数の磁極面の各々に対し、前記第1の直交場の成分に関連した第1成分静磁場ポテンシャルの値と、前記第2の直交場の成分に関連した第2成分静磁場ポテンシャルの値とを得る工程を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記供給工程は、前記第1及び第2の静磁場ポテンシャル値の合計に等しい大きさを有する静磁場ポテンシャルを、前記複数の磁極面の各々に提供する工程を含むことを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記複数の磁極面の各々は次元的プロフィールを有し、さらに、
前記複数の磁極面を前記第1の長軸及び前記第2の長軸に沿って配置する工程を有し、前記次元的プロフィールは、2対の境界面を定めて、前記場の空間を閉じ込めることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項41】
第1の対の境界面は、前記第1の長軸と実質的に平行な方向に延在し、前記第1の対の第1の面は、前記第1の対の第2の面からは前記第1の長軸の反対側に配置されることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項42】
第2の対の境界面は、前記第2の長軸と実質的に平行な方向に延在し、前記第2の対の第1の面は、前記第2の対の第2の面からは前記第2の長軸の反対側に配置されていることを特徴とする請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記第1及び第2の長軸に対して直交する次元的プロフィールの空間的な広がり及び2対の境界面は、3次元空間を定め、さらに、前記3次元空間内の利用領域内で実質的に均一な大きさ及び方向を有する磁場を生成する工程をさらに有することを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記次元的プロフィールの形状を決めて、前記利用領域での前記磁場の均一性を最適化する工程をさらに有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記次元的プロフィール及び前記境界面の対の形状を決めて、テスト下の物体の物理的大きさに応じた3次元空間を決める工程をさらに有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記利用領域内でのテスト下の前記物体の位置決めをする工程と、テスト下の前記物体の磁気成分を前記磁場に対して晒す工程と、2つの直交場の成分の値を調整することによって、前記磁場の大きさ及び方向を制御する工程とをさらに有することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記晒す工程は、テスト下の前記物体の前記磁気成分を別の磁場に連続して晒す工程を有することを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記異なる磁場は、大きさが異なることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記異なる磁場は、方向が異なることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項50】
境界によって定められた領域内で制御可能な大きさ及び方向を有する実質的に均一な磁場を生成する装置であって、各境界の各々に対し、
各境界に関係した複数の磁極片の各々と、前記複数の磁極片の各々は、次元的プロフィールを備えた磁極面を有し、前記磁極面の次元的プロフィールは、各境界用の境界面を定め、
各境界に関連した複数の起磁力発生装置の各々と、前記複数の起磁力発生装置の各々は、各境界に沿って互いに隣接する磁極片の間に配置されると共に、前記境界の各々に沿って各磁極片の位置に応じて前記隣接する磁極片の各磁極面に、選択された値の起磁力を提供するように連結されていることを特徴とする装置。
【請求項51】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、前記磁極面の間の距離に比例する値を有する起磁力を生成することを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の起磁力発生装置の各々は、磁路の周囲に巻回された通電導体からなるコイル巻線部を有し、前記起磁力は、前記通電導体を介して駆動される電流の振幅と、前記コイル巻線部のターン数との籍であることを特徴とする請求項50記載の装置。
【請求項53】
前記磁路は、軟磁性材料を含み、前記磁路は、前記軟磁性材料と関連した磁気飽和の値及び透磁率の値に応じて寸法が決められていることを特徴とする請求項52記載の装置。
【請求項54】
前記磁路は、延長部の各々を有する磁気ヨークを有し、前記延長部は、前記磁気ヨークを各磁極片に接続することを特徴とする請求項52記載の装置。
【請求項55】
前記起磁力発生装置の各々は、互いに隣接する延長部の間の前記磁気ヨークの周囲に巻回された通電導体のコイル巻回部を有することを特徴とする請求項54記載の装置。
【請求項56】
前記コイル巻回部は、電気的に直列に接続され、起動電流によって励磁されることを特徴とする請求項55記載の装置。
【請求項57】
互いに隣接する磁極面の間の距離は、実質的に均一であり、前記コイル巻回部の各々は、ターン数が同一であることを特徴とする請求項56記載の装置。
【請求項58】
前記磁極片は、軟磁性材料からなり、前記磁極片の各々は、前記軟磁性材料に関連した磁気飽和値の各々と透磁率の各々を有することを特徴とする請求項50記載の装置。
【請求項59】
前記磁極片は、それぞれの値に応じて寸法が決められていることを特徴とする請求項58記載の装置。
【請求項60】
生成されるべき磁場の振幅の関数として前記複数の起磁力発生装置を制御する駆動回路をさらに有することを特徴とする請求項59記載の装置。
【請求項61】
前記境界によって範囲が定められ、且つ前記境界の各々から実質的に等距離に配置された領域内の中心軸をさらに有し、
前記磁極面の各々の前記次元的プロフィールは、前記中心軸から放射状に延びる面内に位置することを特徴とする請求項50記載の装置。
【請求項62】
前記磁極面の前記次元的プロフィールは、方位角に応じて縮小・拡大されることを特徴とする請求項61記載の装置。
【請求項63】
前記磁極面の前記次元的プロフィールは、各境界に沿った前記次元的プロフィールの位置が、前記中心軸からの仰角の関数として一致するように変化するように、大きさが決められ且つそのように向きが決められていることを特徴とする請求項61記載の装置。
【請求項64】
範囲が定められた実質的に矩形の境界で実質的に均一な磁場を生成する方法であって、前記場は、実質的な矩形の境界の各々から実質的に等距離にある中心軸に対して制御可能な立体角の方向及び制御可能な大きさを有し、実質的に矩形の境界の各々に対し、
各境界に関連した複数の磁極片の各々と、前記複数の磁極片の各々は、次元的プロフィールを有する磁極面を有し、前記磁極面の前記次元的プロフィールは、各境界の境界面の範囲を定め、
前記境界の各々に関連した複数の起磁力発生装置の各々と、前記複数の起磁力発生装置の各々は、各境界に沿って互いに隣接する磁極片の間に配置され、且つ前記境界に沿った磁極面の各々の位置に応じて前記隣接する磁極片の各磁極面に、選択された値の起磁力を供給するように連結されていることを特徴とする装置。
【請求項65】
前記磁極面の各々の前記次元的プロフィールは、各境界に対して直交する方向に延在する面に配置されていることを特徴とする請求項64記載の装置。
【請求項66】
前記磁極面の各々の前記次元的プロフィールは、前記中心軸から放射状に延在する面に配置されていることを特徴とする請求項64記載の装置。
【請求項67】
前記磁極面の各々の前記次元的プロフィールは、方位角により縮小・拡大されることを特徴とする請求項66記載の装置。
【請求項68】
前記磁極面の前記次元的プロフィールは、各境界に沿った前記次元的プロフィールの位置が、前記中心軸に沿った仰角の関数として一致するように変化するように形作られ且つ向きが決められていることを特徴とする請求項66記載の装置。
【請求項69】
場の空間内の制御可能な大きさ及び方向を有する磁場を生成する方法であって、
2つの直交軸を有するフィールド面の範囲を画定する工程と、前記軸の各々は2つの直交場の成分に対する長軸であり、第1の場の成分は、第1の長軸に沿って生成されるものであり、第2の場の成分は、第2の長軸に沿って生成されるものであり、
前記フィールド面内で空間的な境界の範囲を画定する工程と、前記空間的な境界は、各長軸と平行に配置された境界面の各対からなり、
複数の磁極面を前記境界面に配置する工程と、
各場の成分に対し、各長軸と直交する境界面において前記複数の磁極面のうちの幾つかを縦方向の磁極面と指定し、各長軸と平行な境界面において前記複数の磁極面のうちの幾つかを横方向の磁極面と指定する工程と、
前記第1及び第2の場の成分の各々の大きさを選択する工程と、
を有し、
前記第1及び第2の場の成分に対し、
第1の静磁場ポテンシャルを選択して第1の縦方向境界面で縦方向の磁極面に印加し、第2の静磁場ポテンシャルを選択して第2の縦方向境界面で縦方向の磁極面に印加することによって前記第1の成分を生成する工程と、
横方向磁極面の各々に対し、前記第1及び第2の静磁場ポテンシャルの間の各静磁場ポテンシャルの値を選択することによって場の成分を閉じ込める工程と、各静磁場ポテンシャルは、前記第1及び第2の縦方向境界面に対する横方向磁極面の位置により選択され、
前記第1、第2、及び各静磁場ポテンシャルの値を選択する工程は、第1及び第2の場の成分の各々の選択された大きさに比例する静磁場ポテンシャルを選択する工程を含み、
前記複数の磁極面の各々に対し、前記生成工程及び閉じ込め工程により選択された値の和を表す静磁場ポテンシャルの値を、前記第1及び第2の場の成分に対して供給する工程を有し、前記場の空間内で大きさ及び方向が制御可能な実質的に均一な磁場を生成することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−522424(P2011−522424A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511826(P2011−511826)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045507
【国際公開番号】WO2009/146378
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(500475649)ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド (251)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045507
【国際公開番号】WO2009/146378
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(500475649)ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド (251)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]