説明

閉塞構造

【課題】閉塞部材の脱落を防止することが可能な閉塞構造を提供する。
【解決手段】ケース6内にコネクタ5を収納し、このコネクタ5に対応するケース6箇所に開口部64を設けると共に開口部64を弾性体からなる閉塞部材7を通じて閉塞してなる閉塞構造において、ケース6の閉塞部材7に対応する位置に凹部61を設け、この凹部61の底壁部62に開口部64を設け、閉塞部材7が凹部61の側壁部63に対向する周面部71と、底壁部62に対向する底面部72とを有し、底壁部62に開口部64に連通する切り欠き部66を設けると共に、閉塞部材7に切り欠き部66に抜け止め保持される突出部73を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用計器等の電気機器に適用される閉塞構造に関し、特にケース内にコネクタを収納し、このコネクタに対応する前記ケース箇所に開口部を設けると共に開口部を弾性体からなる閉塞部材を通じて閉塞してなる閉塞構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
車両用計器等の電気機器は、例えば下記特許文献1に記載されているように、計器本体と、この計器本体を駆動する制御回路を実装した回路基板とをケース内に収納し、このケースに設けられたコネクタ用の開口部を介して回路基板と車両側コネクタとをコネクタ接続した構成とされている。
【0003】
コネクタ用の開口部は、車両側コネクタとの接続が完了した際に防水ブーツからなる閉塞部材によって塞がれ、水密性が確保されるようになっている。
【特許文献1】特開2007−085786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記公報に記載の車両用計器にあって閉塞部材は、ケースのフード部に嵌め込むことにより保持されるものであるが、単なる嵌め込みによる取り付けでは、外れて脱落してしまうという問題があった。特にこの種の車両用計器にあっては、ソフトウエアの書き換えや修正、各種データ転送、検査等の特定の作業時のみケース内のコネクタと外部コネクタとを接続し、通常の使用時には外部コネクタは接続せず、開口部を閉塞部材で塞ぐ場合があり、この場合は閉塞部材はケースのみによって保持されるため、脱落が懸念されていた。
【0005】
本発明は前述した問題点に着目し、閉塞部材の脱落を防止することが可能な閉塞構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するため、ケース内にコネクタを収納し、このコネクタに対応する前記ケース箇所に開口部を設けると共に前記開口部を弾性体からなる閉塞部材を通じて閉塞してなる閉塞構造において、前記ケースの前記閉塞部材に対応する位置に凹部を設け、この凹部の底壁部に前記開口部を設け、前記閉塞部材が前記凹部の側壁部に対向する周面部と、前記底壁部に対向する底面部とを有し、前記底壁部に前記開口部に連通する切り欠き部を設けると共に、前記閉塞部材に前記切り欠き部に抜け止め保持される突出部を設けたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記閉塞部材に前記側壁部に当接する突起部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記突出部の一部に抜け止め用の膨出部を設け、前記切り欠き部の一部に幅広部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、初期の目的を達成することができ、閉塞部材の脱落を防止することが可能な閉塞構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0011】
図1〜図3は、本発明による閉塞構造を車両用計器に適用した一実施形態を示すもので、図1は本実施形態による車両用計器の要部断面図、図2は閉塞部材の斜視図、図3はケースの底面を示す正面図である。
【0012】
図1において、本実施形態による車両用計器は、図示しない観察者に近い側から、透視カバー1と、フレーム部材2と、デジタル式またはアナログ式の計器ユニット3と、回路基板4と、コネクタ5と、ケース6と、閉塞部材7とから構成されている。
【0013】
透視カバー1は、例えば透光性を有する合成樹脂により形成され、フレーム部材2と計器ユニット3を覆っている。
【0014】
フレーム部材2は、例えば遮光性を有する合成樹脂により形成され、計器ユニット3の所要部を覆っている。
【0015】
回路基板5は、この場合、周知の硬質配線基板が適用され、計器ユニット3を電気的に駆動する。
【0016】
コネクタ5は、回路基板5に導通接続されている。このコネクタ5は、例えばソフトウエアの書き換えや修正、各種データ転送、検査等の特定の作業時のみ、図示しない外部コネクタと接続されるもので、それ以外の時は如何なる電気部材とも接続されない。
【0017】
ケース6は、例えば遮光性を有する合成樹脂により形成され、少なくともコネクタ5を含む回路基板5を内部に収納するもので、その底部にはコネクタ5に対応する箇所にコネクタ5側に窪む凹部61が形成されている。
【0018】
この凹部61は、底壁部62と、この底壁部62を取り巻く側壁部63とで構成され、底壁部62には、図3にも示すように、開口部64と、立壁部65と、切り欠き部66とがそれぞれ設けられている。
【0019】
開口部64は、ケース6外からコネクタ5に前記外部コネクタをプラグイン接続可能とするもので、コネクタ5の接続口に対応した箇所に設けられている。
【0020】
立壁部65は、開口部64からは所定距離を隔て且つ開口部64を取り巻く周壁として形成されている。
【0021】
切り欠き部66は、開口部64の一辺、所定箇所から立壁部65に向かってライン状に形成されている。またこの切り欠き部66の一部には幅広部67が形成されている。
【0022】
閉塞部材7は、合成ゴム等の弾性体からなり、凹部61と略等しい大きさを有している。この閉塞部材7は、凹部61の側壁部63に対向する周面部71と、底壁部62に対向する底面部72と、切り欠き部66を通じてケース6に保持される突出部73とを有しており、ケース6の凹部61に装着、保持され、開口部64を塞ぐものである。
【0023】
周面部71には、その全周に閉塞部材7の装着時において凹部61の側壁部63に当接する突起部74が形成されている。
【0024】
底面部72には、突出部73の他、閉塞部材7の装着時において立壁部65が嵌入する溝部75が形成されている。このように溝部75に立壁部65を嵌入合することにより、閉塞部材7とケース6との接触面積を増加させると共に接触構造自体を複雑にし、密閉性を高め、更には立壁部65によって閉塞部材7の伸縮を規制することにより、突起部74と側壁部63との接触圧を確保し、これによっても密閉性を向上させている。またこのような構造は、密閉性だけでなく、閉塞部材7の脱落防止にも寄与している。
【0025】
突出部73は、この場合、円柱ボス形状に形成され、その先端には、膨出部76が形成されている。この膨出部76は、突出部73を幅広部67に位置させた際に、突出部73が幅広部67から通り抜けてしまわないように幅広部67のサイズよりも大きくなるように膨出形成されている。
【0026】
閉塞部材7の装着は以下のように行う。
まず膨出部76を含む突出部73をケース6の底面側から開口部64を介して切り欠き部66に通した後、幅広部67まで横移動させる。突出部73が切り欠き部66内を横移動する際は、突出部73は圧縮されて細くなるが、幅広部67に到達すると圧縮が解除されて元の太さに戻り、幅広部67内に留まるように保持される。
【0027】
次に立壁部65に溝部75を嵌入しつつ、突起部74を側壁部63に圧接させながら閉塞部材7全体を凹部61内に押し込んで、ケース6に保持させ、開口部64を密閉状態に塞ぎ、水分等の侵入を遮断する。
【0028】
一方、コネクタ5に前記外部コネクタを接続する際は、閉塞部材7を図1中、矢印方向に取り外して接続作業の障害にならないように、脇に待避させればよい。この際、切り欠き部66に挿入された突出部73は膨出部76を通じて抜け止め保持され、脱落が防止される。なお接続解除後は、再び開口部64を密閉状態に塞ぐよう凹部61に閉塞部材7を装着すればよい。
【0029】
以上にように本実施形態では、ケース6内にコネクタ5を収納し、このコネクタ5に対応するケース6箇所に開口部64を設けると共に開口部64を弾性体からなる閉塞部材7を通じて閉塞してなる閉塞構造において、ケース6の閉塞部材7に対応する位置に凹部61を設け、この凹部61の底壁部62に開口部64を設け、閉塞部材7が凹部61の側壁部63に対向する周面部71と、底壁部62に対向する底面部72とを有し、底壁部62に開口部64に連通する切り欠き部66を設けると共に、閉塞部材7に切り欠き部66に抜け止め保持される突出部73を設けたことにより、閉塞部材7の脱落を防止することができる。
【0030】
また本実施形態では、閉塞部材7に側壁部63に当接する突起部74を設けたことにより、密閉性を向上させることができる。
【0031】
また本実施形態では、突出部73の一部に抜け止め用の膨出部76を設け、切り欠き部の一部に幅広部67を設けたことにより、突出部73の位置を規制しながら抜け止め保持することができる。
【0032】
また本実施形態では、ケース6の立壁部65に閉塞部材7の溝部75を嵌入する構造を採用したことにより、開口部64を密閉状態を良好に保つことができる。
【0033】
なお本発明は、前記特許文献1のように、閉塞部材7に電気コードを通すタイプの閉塞構造にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による車両用計器の要部断面図。
【図2】同実施形態による閉塞部材の斜視図。
【図3】同実施形態によるケースの底面を示す正面図。
【符号の説明】
【0035】
1 透視カバー
2 フレーム部材
3 計器ユニット
4 回路基板
5 コネクタ
6 ケース
7 閉塞部材
61 凹部
62 底壁部
63 側壁部
64 開口部
65 立壁部
66 切り欠き部
67 幅広部
71 周面部
72 底面部
73 突出部
74 突起部
75 溝部
76 膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内にコネクタを収納し、このコネクタに対応する前記ケース箇所に開口部を設けると共に前記開口部を弾性体からなる閉塞部材を通じて閉塞してなる閉塞構造において、
前記ケースの前記閉塞部材に対応する位置に凹部を設け、
この凹部の底壁部に前記開口部を設け、
前記閉塞部材が前記凹部の側壁部に対向する周面部と、前記底壁部に対向する底面部とを有し、
前記底壁部に前記開口部に連通する切り欠き部を設けると共に、前記閉塞部材に前記切り欠き部に抜け止め保持される突出部を設けたことを特徴とする閉塞構造。
【請求項2】
前記閉塞部材に前記側壁部に当接する突起部を設けたことを特徴とする請求項1記載の閉塞構造。
【請求項3】
前記突出部の一部に抜け止め用の膨出部を設け、前記切り欠き部の一部に幅広部を設けたことを特徴とする請求項1記載の閉塞構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−283387(P2009−283387A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136469(P2008−136469)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】