説明

開力軽減錠

【課題】建物側躯体の切欠部を廃止し、見栄え、防犯性を向上させることができるとともに、指挟み事故も防止でき、且つ、こじ開け杆も廃止できる開力軽減錠を提供する。
【解決手段】開力軽減錠11において、扉を支持する枠に設けられるストライク板と、扉に設けられ操作力が入力される操作部材と、扉に設けられる錠箱17と、操作力によって作動した操作部材からの出力によって錠箱内で従動するプランジャー47と、錠箱17に設けられストライク板に係止可能に扉から進退自在となり且つ扉回転中心に直交する面上で回転して反転自在となる反転ラッチ31と、プランジャー47と反転ラッチ31との間に設けられプランジャー47に従動して反転ラッチ31を回転させストライク板の穴縁部を作用点としてこじるラッチ強制揺動部57と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマンションなどの玄関や気密化される部屋の扉に設けられ、部屋内外に生じた圧力差、すなわち気圧差等に抗して扉の開動を助勢する開力軽減錠に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションなどの住居においては、近年では高気密化されていることから、居室内の換気扇などの運転により、室外に比べ室内の気圧が低下し、すなわち室内外で気圧差が生じてしまい、玄関ドアの開放時に大きな力が必要となることがある。このような場合、特に高齢者や子供などは、ドアの開放が困難となる場合がある。
【0003】
従来、上記のような不具合を解消するために、種々の機構が案出されている。例えば、以下に示す特許文献1や特許文献2では、ハンドル裏面に突出するレバーや、ハンドル軸から突出するこじ開け杆などを設けている。これらは、室内外の気圧差で扉の開放が困難となった場合、レバーをハンドルとともに握り、突出杆を建物側の当接部に当接して扉自体を開放方向に移動させたり、こじ開け杆を建物側反力部材の傾斜面に当接し、こじ開け杆に反力部材から反力を生じさせて扉自体を開放方向に移動させたりする。これにより、扉と建物側躯体の枠体等との間をこじ開けるようになり、扉と建物側枠体等との間に隙間を生じさせ、室内外の気圧差を解消させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4034216号公報
【特許文献2】特開2005−127044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハンドルと別体にレバーを設ける機構は、部品点数が多くなり、レバーが表出するため見栄えも悪く、扉の開放時、レバー操作も必要となるなど操作性もよくなかった。また、反力部材をこじ開け杆でこじる機構は、開扉時に、こじ開け杆を通過させるための切欠部をストライク板及び建物側の枠体等に形成しなければならず、見栄えが低下し、さらに防犯性が低下する。また、この切欠部に子供が手指を差し入れる指挟みの虞もある。さらに、こじ開けのみのためのこじ開け杆を別途設ける必要があり、錠箱が大きくなる不利がある。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、建物側躯体の切欠部を廃止して、見栄え、防犯性を向上させることを可能とするとともに、指挟み事故も防止でき、しかも、別体構成とされた専用のこじ開けラッチも廃止できる開力軽減錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開力軽減錠は、扉13を支持する建物側躯体15に設けられるストライク板27と、
前記扉13に設けられ開扉時の操作力が入力される操作部材37と、
前記扉13に設けられる錠箱17と、
操作力によって作動した前記操作部材37からの出力によって錠箱内で従動するプランジャーと、
前記錠箱17に設けられ前記ストライク板27に係止可能に前記扉13から進退自在となり且つ扉回転中心に直交する面上で回転して反転自在となる反転ラッチと、
前記プランジャーと前記反転ラッチとの間に設けられ前記プランジャーに従動して前記反転ラッチを回転させ前記ストライク板27の穴縁部59を作用点61としてこじるラッチ強制揺動部と、
を具備することを特徴とする。
【0008】
この開力軽減錠では、閉扉状態において、操作部材37が開扉操作されると、プランジャーが従動する。従動したプランジャーは、ラッチ強制揺動部57を作動させる。ラッチ強制揺動部が作動すると、反転ラッチが進出状態で回転され、回転した反転ラッチは、ストライク板27の穴縁部59を作用点61として扉13をこじ開ける。このこじ開けによって扉13と建物側躯体15との間に隙間が生じ、例えば室内が負圧である場合の気圧差が解消され、容易な開扉が可能となる。気圧差解消後の開扉に際しては、反転ラッチが後退し、反転ラッチは、切欠部の必要なくストライク板27を乗り越える。
【0009】
本発明の請求項2記載の開力軽減錠は、請求項1記載の開力軽減錠11であって、
前記ラッチ強制揺動部57が、前記プランジャー47に従動して前記反転ラッチ31をすくい上げるようにして回転させることを特徴とする。
【0010】
この開力軽減錠では、閉扉状態において、操作部材37が操作され、プランジャー47が従動されると、ラッチ強制揺動部57が作動される。作動したラッチ強制揺動部57は、反転ラッチ31と錠箱17との間に構成部材が挟入され、楔作用によって反転ラッチ31がすくい上げられるように回転される。この回転力が、反転ラッチ31のこじ開け駆動力となる。反転ラッチ31は、こじ開け駆動されると、ストライク板27の穴縁部59を作用点61で押圧し、その反力によって扉13がこじ開けられる。
【0011】
本発明の請求項3記載の開力軽減錠は、請求項2記載の開力軽減錠11であって、
前記ラッチ強制揺動部57は、
先端に押上傾斜面73を有し後端が前記プランジャー47に軸連結されて揺動自在となり押上板用バネ77によって前記プランジャー47の移動方向と平行な姿勢に付勢される押上板63と、
側面に突設されたガイド片83が前記錠箱17のガイドスリット85に案内されてスライド自在となり前記反転ラッチ31の隣接斜面55に受け先端面87が当接してラッチバネ89にて前記反転ラッチ31の向きを選択的に変えるラッチ受け65と、
前記錠箱17にストッパ基端が軸支され前記プランジャー47の移動の際に丸凸部93が当接してストッパ基端を中心に揺動し前記反転ラッチ31の揺動を規制しながら進退方向のスライドを支持する先端規制爪95を有するとともに前記押上板63を斜めに揺動して後退位置に保持する押上板保持片97を有するラッチストッパ67と、
前記錠箱17の内方に固定され前記ラッチストッパ67の先端規制爪95が貫通するスリット101を有し前記ラッチバネ89及びプランジャーバネ103を支える支持枠69と、
ラッチ側面に形成され間に前記ラッチストッパ67の先端規制爪95が配置されることで前記反転ラッチ31を進退方向となる真直にスライドさせるガイド突条105及びガイド突起71と、
を具備することを特徴とする。
【0012】
この開力軽減錠では、閉扉状態において、操作部材37が操作され、プランジャー47が従動されると、ラッチ強制揺動部57が作動される。作動したラッチ強制揺動部57は、押上板63が反転ラッチ31に向かってスライドされる。プランジャー47が丸凸部93を押圧することで、ラッチストッパ67が揺動され、反転ラッチ31の揺動規制を解除する。さらに操作部材37が操作されると、プランジャー47が進み、押上板63の押上傾斜面73が反転ラッチ31の後端側をすくい上げ、反転ラッチ31を揺動させる。揺動する反転ラッチ31は、ストライク板27の穴縁部59を作用点61でこじる。こじ開けが完了し、扉13がさらに開かれると、反転ラッチ31は穴縁部59に当たり、反力を受けて錠箱17へ後退する。扉13がストライク板27から離脱すると、反転ラッチ31は、ラッチバネ89によって再び突出される。開扉状態からの閉扉において、反転ラッチ31がストライク板27に当たると、閉扉に伴って反転ラッチ31が回転される。さらに閉扉されると、反転ラッチ31は、錠箱17の内方へ後退する。この際、押上板63は、ラッチストッパ67の押上板保持片97によって斜めに揺動して後退位置に保持され、反転ラッチ31の後退を許容する。扉13が完全閉止されると、反転ラッチ31がラッチバネ89によってストライク板27に突出される。
【0013】
本発明の請求項4記載の開力軽減錠は、請求項1記載の開力軽減錠113であって、
前記ラッチ強制揺動部119が、前記プランジャー115に従動して前記反転ラッチ117をリンク123によって回転させることを特徴とする。
【0014】
この開力軽減錠では、閉扉状態において、操作部材37が操作され、プランジャー115が従動されると、ラッチ強制揺動部119が作動される。作動したラッチ強制揺動部119は、リンク123を作動させ、リンク123の出力端に連結される反転ラッチ117を回転する。この回転力が、反転ラッチ117のこじ開け駆動力となる。反転ラッチ117は、こじ開け駆動されると、ストライク板27の穴縁部59を作用点61で押圧し、その反力によって扉13がこじ開けられる。
【0015】
本発明の請求項5記載の開力軽減錠は、請求項4記載の開力軽減錠113であって、
ラッチ強制揺動部119は、
前記反転ラッチ117を反転用軸133によって揺動自在に支持するスライダ129と、
前記錠箱17に固定され前記スライダ129を前記反転ラッチ117が進退する方向にスライド支持するスライダ支持枠131と、
先端に前記スライダ129の後退を規制するスライダ規制片135を有し前記錠箱17に軸支され前記プランジャー115の移動の際に後端の丸凸部93が当接して揺動するラッチストッパ121と、
てこ杆揺動軸149によって前記錠箱17に揺動自在に軸支され、てこ一端151が前記プランジャー115に係合するてこ杆125と、
L型穴155を有し前記てこ杆125のてこ他端143にスライド長穴141を連結することで前記プランジャー115の動きと逆向きに動き前記L型穴155を前記反転ラッチ117に設けられるラッチ揺動軸157に係合するガイド杆127と、
を具備することを特徴とする。
【0016】
この開力軽減錠では、閉扉状態において、操作部材37が操作され、プランジャー115が従動されると、ラッチ強制揺動部119が作動される。作動したラッチ強制揺動部119は、てこ杆125のてこ一端151がプランジャー115によって押圧され、てこ他端143がガイド杆127を引っ張る。ガイド杆127が引っ張られると、ラッチストッパ121がスライダ129に係止することでスライド規制された反転ラッチ117は、ガイド杆127のL型穴155によってラッチ揺動軸157が引っ張られる。反転ラッチ117は、ラッチ揺動軸157が引っ張られることにより、反転用軸133を中心に揺動される。揺動する反転ラッチ117は、ストライク板27の穴縁部59を作用点61でこじる。こじ開けが完了し、扉13がさらに開かれると、反転ラッチ117は穴縁部59に当たり、反力を受けて錠箱17へ後退する。この際、ラッチストッパ121は、スライダ129へのスライド規制を解除している。扉13がストライク板27から離脱すると、反転ラッチ117は、ラッチバネ89によって再び突出される。開扉状態からの閉扉において、反転ラッチ117がストライク板27に当たると、反転ラッチ117は、ラッチ揺動軸157がL型穴155を移動することで回転される。さらに閉扉されると、反転ラッチ117は、錠箱17の内方へ後退する。この際、スライダ129は、ラッチストッパ121によって後退が規制され、反転ラッチ117は、ラッチバネ89を圧縮しながらガイド杆127を押圧して後退する。扉13が完全閉止されると、反転ラッチ117がラッチバネ89によってストライク板27に突出される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る請求項1記載の開力軽減錠によれば、従来、建物側躯体に設けなければならなかったこじ開け杆のための切欠部を廃止でき、建物側躯体の見栄えを向上でき、防犯性を向上させることができる。また、切欠部が無いことで指挟み事故も防止できる。反転ラッチがこじ開け機能を有するので、従来の専用のこじ開けラッチも廃止でき、これにより錠箱を小型化することが可能となる。
【0018】
本発明に係る請求項2記載の開力軽減錠によれば、操作部材に従動するプランジャーによって、ラッチ強制揺動部が反転ラッチと錠箱との間に挟入され、反転ラッチがすくい上げられるようにして回転される。これにより、挟入距離を直接的に反転ラッチの回転量に変換でき、反転ラッチを確実に、且つ短いプランジャーのストロークでこじ開け駆動できる。
【0019】
本発明に係る請求項3記載の開力軽減錠によれば、こじ開け方向に反転ラッチを回転させる押上板が、ラッチストッパによって後退位置に保持される。これにより、反転ラッチをストライク板に干渉させずに開扉でき、建物側躯体の切欠部を廃止できる。
【0020】
本発明に係る請求項4記載の開力軽減錠によれば、ラッチ強制揺動部がプランジャーと反転ラッチとを連結するリンクによって構成され、プランジャーの動きにリンクが作動して反転ラッチが反転される。これにより、操作力を信頼性の高い伝達機構でこじ開け駆動力に変換できる。
【0021】
本発明に係る請求項5記載の開力軽減錠によれば、ラッチ強制揺動部を構成するガイド杆のL型穴によって反転された反転ラッチが、スライダに支持されて後退する。これにより、反転ラッチをストライク板に干渉させずに開扉でき、建物側躯体の切欠部を廃止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第1実施形態の開力軽減錠を備えた扉及び建物側躯体の平断面図である。
【図2】図1に示した開力軽減錠の主要部材の分解斜視図を(a)に、プランジャーの斜視図を(b)に示した図である。
【図3】図1に示した閉扉状態の開力軽減錠の正面図である。
【図4】図3の平断面図である。
【図5】(a)は開力軽減錠の閉扉からの動き始め状態を表す正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図6】(a)は反転ラッチの反転規制が解除された開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図7】(a)は穴縁部に反転ラッチが当たりこじり始められる状態の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図8】(a)はこじり開け完了状態の開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図9】(a)は開扉動作による反転ラッチの後退した開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図10】(a)は開扉状態の開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図11】開力軽減錠の閉扉開始状態の平断面図である。
【図12】閉扉時に反転ラッチがストライク板に当たって反転している開力軽減錠の平断面図である。
【図13】(a)は閉扉時に反転ラッチが後退途中の開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図14】(a)は反転ラッチが後退した全閉直前の開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図15】第2実施形態に係る開力軽減錠の主要部材の分解斜視図である。
【図16】第2実施形態に係る閉扉状態の開力軽減錠の正面図である。
【図17】図16の平断面図である。
【図18】(a)は開力軽減錠の閉扉からの動き始め状態を表す正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図19】(a)は穴縁部に反転ラッチが当たりこじり始められる状態の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図20】(a)はこじり開け完了状態の開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図21】(a)は開扉動作による反転ラッチの後退した開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図22】(a)は開扉途中の開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図23】(a)は開扉状態の開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図24】(a)は閉扉時に反転ラッチがストライク板に当たって反転している開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【図25】(a)は閉扉時に反転ラッチが後退途中の開力軽減錠の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る第1実施形態の開力軽減錠を備えた扉及び建物側躯体の平断面図、図2は図1に示した開力軽減錠の主要部材の分解斜視図、図3は図1に示した閉扉状態の開力軽減錠の正面図、図4は図3の平断面図である。
開力軽減錠11は、例えば玄関用の扉13に適用される。この玄関部分における出入口開口部には建物側躯体を構成する枠15が設けられ、枠15は扉13の吊元を回動自在に支持する。枠15には図示しない戸当りが形成され、戸当りは扉13との隙間をシールする図示しないガスケットを備えている。扉13が室外の方向に開動する扉13であれば、室内側が負圧となることで、扉13はガスケットに押付けられることとなる。
【0024】
扉13には吊元と反対側の扉開閉端に開力軽減錠11の構成部材である錠箱17が内蔵されている。錠箱17には扉13の室外側の面に鍵孔を表出させるシリンダ錠が設けられる。なお、本発明に係る開力軽減錠は、室内扉に設けられるものであってもよく、その場合にはシリンダ錠が不用となる構成もある。
【0025】
錠箱17は矩形箱状に形成され、前端面に図3に示す取付板19をリベット21などの固定部材によって固定している。錠箱17は扉13に内蔵され、扉開閉端の木口23に、取付板19がフロント板25に覆われてビス29で固定される。
【0026】
一方、枠15にはストライク板27が固定部材によって取付けられる。ストライク板27には反転ラッチ31が進入する係合穴33が設けられる。従来機構で必要であった反力部材や扉開放方向の切欠部は不要となっている。なお、本明細書中では、反転ラッチ31の進出方向を前、反転ラッチ31の後退方向を後とする。
【0027】
扉13の室内側、室外側には図1に示す操作部材37が設けられている。操作部材37は、操作杆39がアーム41によって台座43に支持される。アーム41には操作力出力片45が連結され、操作力出力片45は錠箱17に突出している。操作部材37は、操作杆39が操作されると、操作力出力片45が作動し、図3に示すプランジャー47に操作力を伝達する。すなわち、プランジャー47は、操作力によって作動した操作部材37からの出力によって錠箱内で従動する。プランジャー47にはガイド長穴49が形成され、ガイド長穴49は錠箱17に固定されるガイド軸51によって前後方向にガイドされる。本構成では、操作力出力片45は、プランジャー47を反転ラッチ31の方向へ押圧する。この操作部材37としては、レバーハンドル、ノブ、プッシュプルハンドルなどが挙げられる。
【0028】
錠箱17には反転ラッチ31がフロント板25から突出して設けられる。反転ラッチ31は、側面形状が略平行四辺形をなし、扉13と枠15との相対運動を利用して倒されるとともに、全体が錠箱17に引込められる。すなわち、反転ラッチ31は、ストライク板27に係止可能に扉13から進退自在となり、且つ扉回転中心に直交する面(図1の紙面)上で回転して反転自在となる。反転ラッチ31の基端側には図2に示すラッチ後部溝53が形成され、ラッチ後部溝53の底には図4に示す隣接斜面55が形成される。この隣接斜面55は、反転ラッチ31の反転向き(傾斜向き)を決める。
【0029】
プランジャー47とこの反転ラッチ31との間には図2に示すラッチ強制揺動部57が設けられる。ラッチ強制揺動部57は、プランジャー47に従動して反転ラッチ31を回転させ、ストライク板27の穴縁部59を作用点61(図7参照)としてこじる。
【0030】
本実施形態において、ラッチ強制揺動部57は、プランジャー47に従動して反転ラッチ31をすくい上げるようにして回転させる。すなわち、閉扉状態において、操作部材37が操作され、プランジャー47が従動されると、ラッチ強制揺動部57が作動される。作動したラッチ強制揺動部57は、反転ラッチ31と錠箱17との間に構成部材である後述の図2に示す押上板63が挟入され、楔作用によって反転ラッチ31がすくい上げられるように回転される。この回転力が、反転ラッチ31のこじ開け駆動力となる。反転ラッチ31は、こじ開け駆動されると、ストライク板27の穴縁部59を作用点61で押圧し、その反力によって扉13がこじ開けられ、開扉となる。
【0031】
開力軽減錠11は、操作部材37に従動するプランジャー47によって、ラッチ強制揺動部57が反転ラッチ31と錠箱17との間に挟入され、反転ラッチ31がすくい上げられるようにして回転される。これにより、挟入距離を直接的に反転ラッチ31の回転量に変換でき、反転ラッチ31を確実に、且つ短いプランジャー47のストロークでこじ開け駆動できる。
【0032】
ここで、ラッチ強制揺動部57についてさらに説明する。
ラッチ強制揺動部57は、押上板63と、ラッチ受け65と、ラッチストッパ67と、支持枠69と、を有する。
【0033】
押上板63は、先端に一対の押上傾斜面73を有する。この押上傾斜面73によって反転ラッチ31をすくい上げるように揺動する。押上板63は、後端がプランジャー47に押上軸75によって軸連結されて揺動自在となる。押上板63は、押上板用バネ77によってプランジャー47の移動方向と平行な姿勢に付勢される。押上板用バネ77は、図2(b)に示すプランジャー47の正面に形成されるバネ収容スペース79に収容される。この押上板用バネ77は、後述のラッチストッパバネ81よりもバネ力が弱く設定される。
【0034】
ラッチ受け65は、側面に突設されたガイド片83が錠箱17のガイドスリット85に案内されてスライド自在となる。ラッチ受け65は、反転ラッチ31の隣接斜面55に受け先端面87が当接してラッチバネ89にて反転ラッチ31の向きを選択的に変える。ラッチ受け65は、ラッチバネ89によって反転ラッチ31を突出方向へ付勢する。
【0035】
ラッチストッパ67は、錠箱17にストッパ基端が図3に示すストッパ軸91によって一対のものが軸支される。それぞれのラッチストッパ67は、ラッチストッパバネ81によって揺動先端が互いに接近する方向に付勢される。ラッチストッパ67は、プランジャー47の移動の際に、後方内側に形成された丸凸部93がプランジャー47の先端側に当接してストッパ基端を中心に揺動する。つまり、一対のラッチストッパ67が開く。ラッチストッパ67は、反転ラッチ31の揺動を規制しながら、反転ラッチ31の進退方向のスライドを支持する先端規制爪95を有する。同時にこの先端規制爪95は、反転ラッチ31の揺動を規制する。また、ラッチストッパ67は、押上板63を斜めに揺動して後退位置に保持する押上板保持片97を有する。
【0036】
支持枠69は、錠箱17の内方に固定され、ラッチストッパ67の先端規制爪95が貫通するスリット101を有する。ラッチストッパ67は、このスリット101から先端規制爪95を内方へ突出させ、反転ラッチ31の揺動を規制する。また、支持枠69は、ラッチバネ89及びプランジャーバネ103を支える。
【0037】
ガイド突条105及びガイド突起71は、ラッチ側面に形成され間にラッチストッパ67の先端規制爪95が配置されることで反転ラッチ31を真直な進退方向にスライドさせる。反転ラッチ31後端側のガイド突条105の外側面に、押上板63の押上傾斜面73が当たる。反転ラッチ31にはガイド突条105の前方に逃げスペース107が形成され、逃げスペース107には押上板63の先端側が侵入可能となる。この逃げスペース107を設けることで、反転ラッチ31が後退する際や、押上板63が前進する際のガイド突条105と押上傾斜面73との干渉が回避される。
【0038】
次に、上記構成を有する開力軽減錠11の作用を説明する。
図5(a)は開力軽減錠11の閉扉からの動き始め状態を表す正面図、(b)は(a)の平断面図である。
閉扉状態において、押上板63は、ラッチストッパ67の押上板保持片97で斜めの状態に上げられている。操作部材37が操作され、プランジャー47が従動されると、ラッチ強制揺動部57が作動される。
【0039】
図6(a)は反転ラッチ31の反転規制が解除された開力軽減錠11の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
作動したラッチ強制揺動部57は、押上板63が反転ラッチ31に向かってスライドされる。プランジャー47が丸凸部93を押圧することで、ラッチストッパ67が揺動され(約3度の角度で揺動)、反転ラッチ31の揺動規制を解除する。ラッチストッパ67の先端規制爪95が外れ、押上板63が押上板用バネ77のテンションで倒れる。
【0040】
図7(a)は穴縁部59に反転ラッチ31が当たりこじり始められる状態の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
さらに操作部材37が操作されると、操作力出力片45を介してプランジャー47が進み、押上板63の押上傾斜面73が反転ラッチ31をすくい上げ、反転ラッチ31を揺動させる。揺動する反転ラッチ31は、ストライク板27の穴縁部59を作用点61でこじる。
【0041】
図8(a)はこじり開け完了状態の開力軽減錠11の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
こじりが終了すると、こじり開寸法Sが形成される。扉13と枠15との間に隙間が生じ、例えば室外方向に開扉する扉13において、室内が負圧であっても、室内の負圧がなくなる。これにより、室内が負圧となって開動に大きな力が必要となっていた扉13であっても、容易な開動が可能となる。
【0042】
図9(a)は開扉動作による反転ラッチ31の後退した開力軽減錠11の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
こじ開けが完了し、扉13がさらに開かれると、反転ラッチ31は穴縁部59に当たり、反力を受けて錠箱17へ後退する。反転ラッチ31が倒れきったときにできる逃げスペース107に押上板63の押上傾斜面73が入り込むため、反転ラッチ31の後退に支障なく反転ラッチ31を引っ込めることができる。
これにより、反転ラッチ31をストライク板27に干渉させずに開扉でき、すなわちストライク板27には切欠部を廃止できる。
【0043】
図10(a)は開扉状態の開力軽減錠11の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
扉13がさらに開放しストライク板27から離脱すると、反転ラッチ31は、ラッチバネ89によって再び突出される。
【0044】
図11は開力軽減錠11の閉扉開始状態の平断面図である。
閉扉開始状態において、押上板63は、向きの変わった反転ラッチ31に当接状態であり、ラッチストッパ67の押上板保持片97による傾斜状態の保持が行われない。
【0045】
図12は閉扉時に反転ラッチ31がストライク板27に当たって反転している開力軽減錠11の平断面図である。
開扉状態からの閉扉において、反転ラッチ31がストライク板27に当たると、閉扉に伴って反転ラッチ31が回転される。すなわち、反転ラッチ31が閉扉を妨げることはない。また、このときに、押上板63との当接状態が解消となる。
【0046】
図13(a)は閉扉時に反転ラッチ31が後退途中の開力軽減錠11の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
さらに閉扉されると、反転ラッチ31は、閉時傾斜面109がストライク板27の外縁部111に当接し、外縁部111から反力を受けて錠箱17の内方へ後退を開始する。こじ開け方向に反転ラッチ31を回転させた押上板63が、ラッチストッパ67によって後退位置に保持される。
【0047】
図14(a)は反転ラッチ31が後退した全閉直前の開力軽減錠11の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
反転ラッチ31は、ガイド突起71とガイド突条105との間にラッチストッパ67の先端規制爪95が侵入して後退がガイドされる。この際、押上板63は、ラッチストッパ67の押上板保持片97によって斜めに揺動して後退位置に保持され、反転ラッチ31の後退を許容する。
【0048】
扉13が完全閉止されると、反転ラッチ31がラッチバネ89によってストライク板27に突出され、図4に示した閉扉状態に戻る。
【0049】
次に、第2実施形態に係る開力軽減錠113を説明する。
図15は第2実施形態に係る開力軽減錠113の主要部材の分解斜視図、図16は第2実施形態に係る閉扉状態の開力軽減錠113の正面図、図17は図16の平断面図である。なお、図1〜図14に示した部材・部位と同一の部材・部位には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
本実施形態に係る開力軽減錠113は、プランジャー115、反転ラッチ117、ラッチ強制揺動部119、ラッチストッパ121が、上記の開力軽減錠11と異なる。
【0050】
ラッチ強制揺動部119は、プランジャー115に従動して反転ラッチ117をリンク123によって回転させる。リンク123は、プランジャー115と反転ラッチ117との間に設けられ、これらを連結するてこ杆125と、ガイド杆127と、からなる。
【0051】
開力軽減錠113は、閉扉状態において、操作部材37が操作され、操作力出力片45を介し、プランジャー115が従動されると、ラッチ強制揺動部119が作動される。作動したラッチ強制揺動部119は、リンク123を作動させ、リンク123の出力端に連結される反転ラッチ117を進出状態で回転する。この回転力が、反転ラッチ117のこじ開け駆動力となる。反転ラッチ117は、こじ開け駆動されると、ストライク板27の穴縁部59を作用点61(図19参照)で押圧し、その反力によって扉13がこじ開けられる。
【0052】
開力軽減錠113では、ラッチ強制揺動部119がプランジャー115と反転ラッチ117とを連結するリンク123によって構成され、プランジャー115の動きにリンク123が作動して反転ラッチ117が反転される。これにより、操作力を信頼性の高い伝達機構でこじ開け駆動力に変換できる。
【0053】
ここで、ラッチ強制揺動部119についてさらに説明する。
ラッチ強制揺動部119は、スライダ129と、スライダ支持枠131と、ラッチストッパ121と、てこ杆125と、ガイド杆127と、を有する。スライダ129は、反転ラッチ117を反転用軸133によって揺動自在に支持する。
【0054】
スライダ支持枠131は、錠箱17に固定され、スライダ129を反転ラッチ117が進退する方向にスライド支持する。スライダ支持枠131にはスリット101が形成され、スリット101はラッチストッパ121の後述するスライダ規制片135を貫通させる。スライダ支持枠131にはガイド杆127の短冊板137を貫通支持する支持穴139が形成される。短冊板137にはガイド杆127のスライド方向に長いスライド長穴141が形成される。スライド長穴141は、てこ他端143の他端側起立ピン145に係合する。短冊板137にはラッチバネ89が外挿される。また、スライダ支持枠131とプランジャー115との間にはプランジャーバネ103が設けられ、プランジャーバネ103はプランジャー115を後退方向に付勢する。
【0055】
ラッチストッパ121は、錠箱17にストッパ軸91(図16参照)によって軸支されプランジャー115の移動の際に後端の丸凸部93が当接して揺動する。ラッチストッパ121は、先端にスライダ規制片135を有する。スライダ規制片135は、スライダ支持枠131のスリット101を貫通し、内方に突出することによって、スライダ129の後退を規制可能とする。
【0056】
てこ杆125は、中央部にボス147を有し、このボス147がてこ杆揺動軸149(図16参照)によって錠箱17に揺動自在に軸支されている。てこ杆125は、てこ一端151が、一端側起立ピン153によってプランジャー115に係合する。
【0057】
ガイド杆127は、L型穴155を有する。ガイド杆127は、てこ杆125のてこ他端143にスライド長穴141を連結することで、プランジャー115の動きと逆向きに動く。ガイド杆127に形成されるL型穴155は、反転ラッチ117に設けられるラッチ揺動軸157に係合する。反転ラッチ117は、反転用軸133によって回転自在に支持される。この反転用軸133の位置は、L型穴155の上端よりも上方となる。つまり、ガイド杆127のスライド方向に沿う直線上からずれている。従って、ガイド杆127が前後スライドすることにより、ラッチ揺動軸157がL型穴155を移動し、この移動に伴って反転ラッチ117が揺動する。
【0058】
次に、上記構成を有する開力軽減錠113の作用を説明する。
図18(a)は開力軽減錠113の閉扉からの動き始め状態を表す正面図、(b)は(a)の平断面図である。
閉扉状態において、操作部材37が操作され、操作力出力片45を介してプランジャー115が従動されると、ラッチ強制揺動部119が作動される。ラッチ強制揺動部119が作動されると、プランジャー115が反転ラッチ117に向かってスライドされる。ラッチストッパ121は、丸凸部93がプランジャー115のカム状凸部159に押圧され、スライダ規制片135がスライダ129の後退を規制する。同時に、作動したラッチ強制揺動部119は、てこ杆125のてこ一端151がプランジャー115によって押圧され、てこ他端143がガイド杆127を引っ張る。ガイド杆127がてこ他端143によって後退され、反転ラッチ117が揺動開始位置となる。つまり、スライダ129は移動が規制され、ガイド杆127のみが後退する。
【0059】
図19(a)は穴縁部59に反転ラッチ117が当たりこじり始められる状態の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
ガイド杆127が引っ張られると、ラッチストッパ121がスライダ129に係止することでスライド規制された反転ラッチ117は、ガイド杆127のL型穴155によってラッチ揺動軸157が引っ張られる。反転ラッチ117は、ラッチ揺動軸157が引っ張られることにより、反転用軸133を中心に揺動される。揺動する反転ラッチ117は、ストライク板27の穴縁部59を作用点61でこじる。
【0060】
図20(a)はこじり開け完了状態の開力軽減錠113の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
こじりが終了すると、こじり開寸法Sが形成される。扉13と枠15との間に隙間が生じ、例えば室外方向に開扉する扉13において、室内が負圧であっても、室内の負圧がなくなる。これにより、室内が負圧となって開動に大きな力が必要となっていた扉13であっても、容易な開動が可能となる。
【0061】
図21(a)は開扉動作による反転ラッチ117の後退した開力軽減錠113の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
こじ開けが完了し、扉13がさらに開かれると、反転ラッチ117は穴縁部59に当たり、反力を受けて錠箱17内へ後退する。この際、ラッチストッパ121は、スライダ129へのスライド規制を解除している。
これにより、反転ラッチ117をストライク板27に干渉させずに開扉でき、すなわちストライク板27には切欠部を廃止できる。
【0062】
図22(a)は開扉途中の開力軽減錠113の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
扉13がストライク板27から離脱すると、反転ラッチ117は、ラッチバネ89によって再び突出される。
【0063】
図23(a)は開扉状態の開力軽減錠113の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
開扉状態において、操作部材37から手が離され、プランジャー115が後退しても、てこ他端143によってガイド杆127が押圧され、反転ラッチ117の位置は変わらない。
【0064】
図24(a)は閉扉時に反転ラッチ117がストライク板27に当たって反転している開力軽減錠113の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
開扉状態からの閉扉において、反転ラッチ117がストライク板27に当たると、反転ラッチ117は、ラッチ揺動軸157がL型穴155を移動することで回転される。すなわち、反転ラッチ117が閉扉を妨げることはない。
【0065】
図25(a)は閉扉時に反転ラッチ117が後退途中の開力軽減錠113の正面図、(b)は(a)の平断面図である。
さらに閉扉されると、反転ラッチ117は、錠箱17の内方へ後退する。この際、スライダ129は、ラッチストッパ121による規制が解除される。反転ラッチ117は、ラッチバネ89を圧縮しながらガイド杆127を押圧して後退する。ガイド杆127のL型穴155によってこじ開け前の姿勢に反転された反転ラッチ117が、スライダ129に支持されて後退する。扉13が完全閉止されると、反転ラッチ117がラッチバネ89によってストライク板27に突出され、図17に示した閉扉状態に戻る。
【0066】
従って、本実施形態に係る開力軽減錠11、開力軽減錠113によれば、従来、枠15などの建物側躯体に設けなければならなかったこじ開け杆通過のための切欠部を廃止でき、扉及び枠15などの建物側躯体の見栄えを損ねることがなく、さらにこの切欠部が無いことで防犯性を向上させることができる。また、切欠部が無いことから指挟み事故も防止できる。そして、反転ラッチ31または反転ラッチ117がこじ開け機能を有するので、従来の専用のこじ開けラッチ(こし開け杆)も廃止でき、部品点数を削減し錠箱を小型化することが可能となる。
【0067】
なお、上記の第1実施形態において、ラッチストッパ67は、反転ラッチ31のみを規制する反転ラッチ用のラッチストッパと、押上板63のみを規制する押上板用のラッチストッパとの別部材で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
11,113…開力軽減錠
13…扉
15…建物側躯体(枠)
17…錠箱
27…ストライク板
31,117…反転ラッチ
37…操作部材
47,115…プランジャー
55…隣接斜面
57,119…ラッチ強制揺動部
59…穴縁部
61…作用点
63…押上板
65…ラッチ受け
67,121…ラッチストッパ
69…支持枠
71…ガイド突起
73…押上傾斜面
77…押上板用バネ
83…ガイド片
85…ガイドスリット
87…受け先端面
89…ラッチバネ
93…丸凸部
95…先端規制爪
97…押上板保持片
101…スリット
103…プランジャーバネ
105…ガイド突条
123…リンク
125…てこ杆
127…ガイド杆
129…スライダ
131…スライダ支持枠
133…反転用軸
135…スライダ規制片
141…スライド長穴
143…てこ他端
149…てこ杆揺動軸
151…てこ一端
155…L型穴
157…ラッチ揺動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を支持する建物側躯体に設けられるストライク板と、
前記扉に設けられ操作力が入力される操作部材と、
前記扉に設けられる錠箱と、
操作力によって作動した前記操作部材からの出力によって錠箱内で従動するプランジャーと、
前記錠箱に設けられ前記ストライク板に係止可能に前記扉から進退自在となり且つ扉回転中心に直交する面上で回転して反転自在となる反転ラッチと、
前記プランジャーと前記反転ラッチとの間に設けられ前記プランジャーに従動して前記反転ラッチを回転させ前記ストライク板の穴縁部を作用点としてこじるラッチ強制揺動部と、
を具備することを特徴とする開力軽減錠。
【請求項2】
請求項1記載の開力軽減錠であって、
前記ラッチ強制揺動部が、前記プランジャーに従動して前記反転ラッチをすくい上げるようにして回転させることを特徴とする開力軽減錠。
【請求項3】
請求項2記載の開力軽減錠であって、
前記ラッチ強制揺動部は、
先端に押上傾斜面を有し後端が前記プランジャーに軸連結されて揺動自在となり押上板用バネによって前記プランジャーの移動方向と平行な姿勢に付勢される押上板と、
側面に突設されたガイド片が前記錠箱のガイドスリットに案内されてスライド自在となり前記反転ラッチの隣接斜面に受け先端面が当接してラッチバネにて前記反転ラッチの向きを選択的に変えるラッチ受けと、
前記錠箱にストッパ基端が軸支され前記プランジャーの移動の際に丸凸部が当接してストッパ基端を中心に揺動し前記反転ラッチの揺動を規制しながら進退方向のスライドを支持する先端規制爪を有するとともに前記押上板を斜めに揺動して後退位置に保持する押上板保持片を有するラッチストッパと、
前記錠箱の内方に固定され前記ラッチストッパの先端規制爪が貫通するスリットを有し前記ラッチバネ及びプランジャーバネを支える支持枠と、
ラッチ側面に形成され間に前記ラッチストッパの先端規制爪が配置されることで前記反転ラッチを真っ直ぐにスライドさせるガイド突条及びガイド突起と、
を具備することを特徴とする開力軽減錠。
【請求項4】
請求項1記載の開力軽減錠であって、
前記ラッチ強制揺動部が、前記プランジャーに従動して前記反転ラッチをリンクによって回転させることを特徴とする開力軽減錠。
【請求項5】
請求項4記載の開力軽減錠であって、
ラッチ強制揺動部は、
前記反転ラッチを反転用軸によって揺動自在に支持するスライダと、
前記錠箱に固定され前記スライダを前記反転ラッチが進退する方向にスライド支持するスライダ支持枠と、
先端に前記スライダの後退を規制するスライダ規制片を有し前記錠箱に軸支され前記プランジャーの移動の際に後端の丸凸部が当接して揺動するラッチストッパと、
てこ杆揺動軸によって前記錠箱に揺動自在に軸支され、てこ一端が前記プランジャーに係合するてこ杆と、
L型穴を有し前記てこ杆のてこ他端にスライド長穴を連結することで前記プランジャーの動きと逆向きに動き前記L型穴を前記反転ラッチに設けられるラッチ揺動軸に係合するガイド杆と、
を具備することを特徴とする開力軽減錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−113051(P2013−113051A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262401(P2011−262401)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)