説明

開放型温風暖房機

【課題】部屋内の空気の汚染を確実に精度良く検出することができる開放型温風暖房機を提供する。
【解決手段】開放型温風暖房機の筐体1の内部を、バーナ8の燃焼部9を収容する燃焼室6と、バーナ8の混合管部13a先端に備える一次空気の吸入口13bを収容する一次空気室7とに区画する。筐体1に、燃焼室6内に燃焼用二次空気を取り入れる二次空気取入口12と、一次空気室7内に燃焼用一次空気を取り入れる一次空気取入口21とを設ける。一次空気取入口21を、二次空気取入口12から離間した位置に設ける。筐体1の外部から一次空気取入口21を経て一次空気室7内の吸入口13bに向かう気流が形成される領域に、空気の汚染を検出するセンサ22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の内部に燃焼用空気を取り入れてバーナを燃焼させ、その燃焼排気をファンにより筐体の外部から吸い込んだ希釈空気と混合させて強制的に筐体の外部に吹き出させることにより暖房用の温風を得る開放型温風暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の開放型温風暖房機は、バーナの燃焼により得られる燃焼排気を暖房用の温風として部屋内に放出するため、部屋内の空気が汚染するおそれがある。そこで、空気が汚染した場合には、使用者に報知する、或いは強制的に燃焼を停止させる必要がある。
【0003】
従来、この種の開放型温風暖房機においては、暖房機の筐体外壁やリモコンにCOセンサを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、部屋内におけるCO等による空気の汚染濃度は一定ではないために、確実に空気の汚染を検出ことは困難である。
【0004】
また、この種の開放型温風暖房機は、バーナの燃焼部に供給される燃焼用二次空気や燃焼排気に混合させる希釈空気を強制的に筐体内部に取り込み、且つ、希釈空気と混合した燃焼排気を強制的に部屋内に放出させるファンを備えている。そこで、開放型温風暖房機の筐体に設けられている燃焼用二次空気や希釈空気の取入口、或いは、希釈空気と混合した燃焼排気が温風として吹き出される吹出口にCOセンサ等の空気の汚染を検出するセンサを配置することが考えられる。燃焼用二次空気や希釈空気の取入口に前記センサを配置した場合には、部屋内を廻った空気がファンにより吸引されるときの空気流にセンサを接触させることができる。また、吹出口に前記センサを配置した場合には、燃焼排気の流れにセンサを接触させることができる。
【0005】
しかし、COセンサ等の空気の汚染を検出するセンサは、接触する気流の速度が高いと汚染を検出する精度が低下することが知られている。このため、前記取入口や吹出口に前記センサを配置しても、高精度な汚染検出ができないおそれがある。また、比較的高温の雰囲気内に前記センサを配置する場合には、耐熱構造を有する高価なセンサを用いる必要があるため、コストが増加する不都合がある。
【特許文献1】特開昭64−79544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる不都合を解消して、本発明は、コスト増加を抑えて部屋内の空気の汚染を確実に精度良く検出することができる開放型温風暖房機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、筐体の内部にバーナとファンとが収容され、筐体の外部から取り入れた燃焼用空気によりバーナを燃焼させ、その燃焼排気をファンにより筐体の外部から取り入れた希釈空気と混合させて温風吹出し用の開口部から強制的に吹き出させる開放型温風暖房機において、バーナは、火炎を形成して暖房用の燃焼排気を生成する燃焼部と、該燃焼部に供給される燃料ガスと燃焼用一次空気とを混合させる混合管部と、該混合管部の先端に形成されて燃料ガスを噴出させるノズルと対峙し、該ノズルから噴出する燃料ガスに伴って燃焼用一次空気を吸入する吸入口とを備え、筐体は、バーナの燃焼部を収容する燃焼室と、該燃焼室とは区画され、前記バーナの混合管部先端の吸入口を収容する一次空気室と、前記燃焼室内に燃焼用二次空気及び希釈空気を取り入れる二次空気取入口と、該二次空気取入口から離間した位置に設けられて、一次空気室内に燃焼用一次空気を取り入れる一次空気取入口とを備え、筐体外部から一次空気取入口を経て一次空気室内の吸入口に向かう気流が形成される領域に、空気の汚染を検出するセンサを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、前記筐体の内部が燃焼室と一次空気室とに区画されている。更に、一次空気室に燃焼用一次空気を取り入れる一次空気取入口は、燃焼室内に燃焼用二次空気及び希釈空気を取り入れる二次空気取入口から離間した位置に設けられている。これによって、燃焼室内においては、二次空気取入口から温風吹出し用の開口部に向かう気流がファンによって強制的に形成されていても、一次空気室においては、ファンによる気流に殆ど影響されずに、筐体外部から一次空気取入口を経て一次空気室内の吸入口に向かう気流が比較的緩やかに形成される。そして、この領域に前記センサを備えることにより、該センサに比較的緩やかな気流を接触させて空気の汚染を精度良く検出することができる。しかも、一次空気取入口から取り入れられる空気は必ず低温(室温)であるため、耐熱構造の高価なセンサを使用する必要はなく低コストとすることができ、更に、一次空気取入口から取り入れられる空気は部屋内を廻ってその汚染濃度が比較的安定したものであるため、センサによって部屋内の空気の汚染を確実に検出することができる。
【0009】
なお、前記センサは、筐体外部から一次空気取入口を経て一次空気室内の吸入口に向かう気流が形成される領域に設けられていればよく、前記センサを設ける具体的な位置として、前記一次空気取入口に臨む筐体の外側位置、前記一次空気取入口に臨む筐体の内側位置、一次空気取入口と吸入口との間の一次空気室内の位置、或いは、一次空気室の内壁面の何れかの位置等を挙げることができる。
【0010】
また、本発明において、前記バーナは燃料ガスにより燃焼するガスバーナであり、該バーナに燃料ガスを供給するガス供給管を前記筐体の内部に備えると共に、該ガス供給管の上流端に筐体の外部から燃料ガスを供給するガスホースを接続するガスホース接続口を備えるとき、前記ガスホース接続口を、前記一次空気取入口の下方位置に設けることが好ましい。
【0011】
ガスホース接続口においては、ガスホースの接続が不十分である等によって燃料ガスが漏れると部屋内の空気が汚染されることが考えられる。そこで、本発明によれば、前記ガスホース接続口を、前記一次空気取入口の下方位置に設けることで、ガスホース接続口から漏れた燃料ガスを一次空気取入口から吸入口へ向かう気流に乗せることができ、この気流に乗った燃料ガスを前記センサにより確実に検出することができる。
【0012】
なお、本発明において採用される空気の汚染を検出するセンサとしては、CO、CO2、及び燃料ガスに含まれるハイドロカーボン(CmHn)を検出する半導体センサ等を挙げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の開放型温風暖房機は所謂ガスファンヒータであって、図1に示す外観形状の筐体1を備えている。筐体1は、その前面側を覆う前面パネル3と、背面側を覆う背面パネル4とを備えている。前面パネル3には、温風吹出し用の開口部5が形成されている。
【0014】
筐体1の内部は、前面パネル3を取り除いた状態で図2に示すように、燃焼室6と一次空気室7とは、燃焼室6の外壁6aによって区画されている。燃焼室6の内部には、バーナ8の燃焼部9が収容されている。該バーナ8は燃料ガスにより燃焼させるガスバーナであり、燃焼部9は、火炎を形成して燃焼排気を生成する。更に、燃焼室6には温風吹出口10が形成され、燃焼室6の内部にはファン11が設けられている。該ファン11はラインフローファンであり、その回転により、バーナ8の燃焼部9で生成された燃焼室6内の燃焼排気を希釈空気と混合させて、温風吹出口10から強制的に送り出す。温風吹出口10から送り出される燃焼排気と希釈空気との混合気は暖房用の温風として、図1に示した前面パネル3の開口部5から部屋内に吹き出される。また、図3に示すように、背面パネル4の燃焼室6に対応する位置には、燃焼部9の燃焼用二次空気及び希釈空気を燃焼室6に取り入れる二次空気取入口12が形成されている。二次空気取入口12からは、前記ファン11による温風の吹き出しに伴い部屋内の空気が、燃焼用二次空気及び燃焼排気に混合させるための希釈空気として取り入れられる。
【0015】
前記一次空気室7は、図2に示すように、燃焼室6の外壁6aにより該燃焼室6と区画されており、一次空気室7の内部には、燃焼室6から延出するバーナ8の混合管部13aが収容されている。混合管部13aの先端には、吸入口13bが形成されており、吸入口13bには、バーナ8に燃料ガスを供給するガス供給管14の下流端に取付けたノズル15が対峙している。これにより、該ノズル15から噴出する燃料ガス流に伴ってエジェクタ効果により吸入口13bから燃焼用一次空気が吸入され、混合管部13a内では燃料ガスと燃焼用一次空気とが混合される。
【0016】
更に、一次空気室7内には、ガス供給管14に接続されたバルブユニット16と、暖房運転の制御用の電子ユニット17と、前記ファン11を回転駆動するファンモータ18とが収容されている。バルブユニット16は詳しくは図示しないが、ガス供給管14への燃料ガスの供給と遮断とを行なう弁装置であり、図3に示すように、背面パネル4の外側に露出するガスホース接続口19を備えている。該ガスホース接続口19には、外部から燃料ガスを供給するガスホース20が接続される。
【0017】
また、図3に示すように、背面パネル4の一次空気室7に対応する位置には、吸入口13bから吸入する燃焼用一次空気が取り入れられる一次空気取入口21が形成されている。該一次空気取入口21は前記二次空気取入口12から離間した位置に形成され、これによって、二次空気取入口12から取り入れられる燃焼用二次空気や希釈空気の流れと、一次空気取入口21から取り入れられる燃焼用一次空気の流れとの干渉が防止されている。これにより、一次空気取入口21からは、前記吸入口13bからエジェクタ効果で吸引される分だけで、部屋内の空気が比較的緩やかな流れを形成した状態で燃焼用一次空気として取り入れられる。更に、一次空気取入口21は前記ガスホース接続口19の上方に位置している。これにより、ガスホース接続口19へのガスホース20の接続が不十分である等によって燃料ガスが漏れた場合には、漏れた燃料ガスが部屋内の空気と共に一次空気取入口21から一次空気室7内に取り入れられる。
【0018】
また、図2及び図4に示すように、一次空気取入口21とバーナ8の吸入口13bとの間には、空気の汚染を検出するセンサ22が配置されている。センサ22は、CO、CO2、及び燃料ガスに含まれるハイドロカーボン(CmHn)等を部屋内の空気の汚染として検出する。センサ22は、図4に示すように、筐体1の外部から一次空気取入口21を経て一次空気室7内の吸入口13bに向かう気流aが形成される領域Aに設けられ、本実施形態においては、一次空気室7内に収容された前記電子ユニット17に設けられている。なお、センサ22は、電子ユニット17との電気的な接続が維持されていればよく、例えば、図示しないが、センサ22単体で、一次空気取入口21を臨む筐体1の内側或いは筐体1の外側に取付けてもよい。
【0019】
次に、以上のように構成された開放型温風暖房機の作動を説明する。図2及び図3を参照して、開放型温風暖房機の暖房運転に伴い、二次空気取入口12から燃焼室6内に燃焼用二次空気と希釈空気とが取り入れられ、一次空気取入口21から一次空気室7内に燃焼用一次空気が取り入れられる。燃焼室6においては、前記ファン11の作動により強制的に希釈空気と混合された燃焼排気が吹き出されるので、これに伴い、二次空気取入口12からは比較的速い流速で燃焼用二次空気と希釈空気とが取り入れられる。これにより、バーナ8の燃焼部9では十分な燃焼用二次空気により確実に燃焼し、希釈空気と混合された燃焼排気が暖房用の温風として効率よく生成される。
【0020】
一方、一次空気室7においては、一次空気取入口21から取り入れられた燃焼用一次空気が吸入口13bから吸入される。吸入口13bから吸入される燃焼用一次空気の流れは、前記ノズル15からの燃料ガスの噴流に伴ってエジェクタ効果により形成されるものであるので、前記ファン11によって強制的に二次空気取入口12から取り入れられる燃焼用二次空気や希釈空気の流れに比べて弱い流れである。従って、筐体1の外部から一次空気取入口21を経て一次空気室7の内部に向かう空気の流れは比較的緩やかに形成される。そして、一次空気取入口21から取り入れられる空気は部屋内を廻ったものであるので、この空気が汚染されていれば、その汚染を前記センサ22により確実に検出することができる。
【0021】
このとき、図2に示すように、筐体1の内部において燃焼室6と一次空気室7とが燃焼室6の外壁6bにより区画され、図3に示すように、一次空気取入口21は、二次空気取入口12から離間した位置に設けられているので、一次空気室7の内部に向かって生じる空気(燃焼用一次空気)の流れは、二次空気取入口12における高い流速の空気(燃焼用二次空気及び希釈空気)の流れに影響されることなく、比較的緩やかな状態に維持される。ここで、前記センサ22は、例えば二次空気取入口12から取り入れられる空気のように速度の高い流れに接した場合には検出精度が低下するおそれがある。しかし、本実施形態においては、前記センサ22が、一次空気室7の内部に向かって生じる比較的緩やかな流れに接するので、高い検出精度を得ることができる。また、例えば、二次空気取入口12の近傍に前記センサ22を設けた場合には、停電等によりファン11が停止して燃焼排気が逆流し、高温の燃焼排気にセンサ22が接触するおそれがある。それに対し、本実施形態においては、前記センサ22が、筐体1の外部から一次空気取入口21を経て一次空気室7内の吸入口13bに向かう気流aが形成される領域Aに設けられているので、燃焼排気が逆流しても、高温の燃焼排気にセンサ22が接触することはない。そして、部屋内を廻って一次空気取入口21から取り入れられる空気は必ず低温(室温)であり、その温度変化も極めて少ないので、センサ22に耐熱構造を不要として低コストとすることができると共に、センサ22の温度特性を考慮する必要がなくバラツキのない安定した検出精度を得ることができる。
【0022】
更に、一次空気取入口21は、図3に示すように、ガスホース接続口19の上方に位置するので、万一、ガスホース接続口19とガスホース20との接続部分から燃料ガス漏れが生じても、漏れた燃料ガスを確実に一次空気取入口21から一次空気室7に取り入れることができる。これにより、一次空気室7に取り入れられた漏れによる燃料ガスを、前記センサ22によって空気の汚染として検出させることができる。
【0023】
このように、本実施形態の開放型温風暖房機によれば、図4に示すように、筐体1の外部から一次空気取入口21を経て一次空気室7の吸入口13bに向かう気流aが形成される領域Aに前記センサ22を設けたので、部屋内の空気の汚染を確実に精度良く検出することができ、空気が汚染したことがセンサ22によって検出された場合には、例えば、使用者に報知したり、或いは強制的に燃焼を停止させるといった所定の制御を迅速且つ確実に行なうことが可能となる。
【0024】
なお、本実施形態においては、開放型温風暖房機としてガスファンヒータについて説明したが、本発明の開放型温風暖房機はこれに限るものではなく、例えば石油を気化した燃料ガスを燃焼させる方式の石油ファンヒータであっても採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の開放型温風暖房機の外観を示す説明的斜視図。
【図2】図1の開放型温風暖房機の筐体内部の説明的正面図。
【図3】図1の開放型温風暖房機の背面側を示す説明図。
【図4】一次空気室を側面視して示す説明図。
【符号の説明】
【0026】
1…筐体、6…燃焼室、7…一次空気室、8…バーナ、9…燃焼部、10…開口部、11…ファン、12…二次空気取入口、13a…混合管部、13b…吸入口、14…ガス供給管、15…ノズル、19…ガスホース接続口、20…ガスホース、21…一次空気取入口、22…センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部にバーナとファンとが収容され、筐体の外部から取り入れた燃焼用空気によりバーナを燃焼させ、その燃焼排気をファンにより筐体の外部から取り入れた希釈空気と混合させて温風吹出し用の開口部から強制的に吹き出させる開放型温風暖房機において、
バーナは、火炎を形成して暖房用の燃焼排気を生成する燃焼部と、該燃焼部に供給される燃料ガスと燃焼用一次空気とを混合させる混合管部と、該混合管部の先端に形成されて燃料ガスを噴出させるノズルと対峙し、該ノズルから噴出する燃料ガスに伴って燃焼用一次空気を吸入する吸入口とを備え、
筐体は、バーナの燃焼部を収容する燃焼室と、該燃焼室とは区画され、前記バーナの混合管部先端の吸入口を収容する一次空気室と、前記燃焼室内に燃焼用二次空気及び希釈空気を取り入れる二次空気取入口と、該二次空気取入口から離間した位置に設けられて、一次空気室内に燃焼用一次空気を取り入れる一次空気取入口とを備え、
筐体外部から一次空気取入口を経て一次空気室内の吸入口に向かう気流が形成される領域に、空気の汚染を検出するセンサを備えることを特徴とする開放型温風暖房機。
【請求項2】
前記バーナは燃料ガスにより燃焼するガスバーナであり、該バーナに燃料ガスを供給するガス供給管を前記筐体の内部に備えると共に、該ガス供給管の上流端に筐体の外部から燃料ガスを供給するガスホースを接続するガスホース接続口を備えるとき、
前記ガスホース接続口を、前記一次空気取入口の下方位置に設けたことを特徴とする請求項1記載の開放型温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−309346(P2008−309346A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154827(P2007−154827)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】