説明

開閉蓋

【課題】グレーチングを開くときに要する力を軽減して容易に開くことができるようにするためにコイルバネを設けて開く方向に付勢したグレーチングにおいて、グレーチングの枢軸をグレーチングの側面上部に設けてグレーチングを開くときの回転角を大きくし、グレーチングを大きく開くことができるようにすると共に、コイルバネをグレーチング下に設けてグレーチング上を走行する車両との接触による損傷を生じないようにすると共に、サイズの大きなコイルバネでも使用できるようにする。
【解決手段】グレーチング3下に枢軸5と並設した取付軸6にコイルバネ7を巻装する。コイルバネ7の一側は嵩上げ材6より突設されるピン状のバネ止め9に係止する一方、コイルバネ他側はグレーチング3に下面より押し当てられて係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝や暗渠或いは流雪溝の投雪口に片開き状或いは観音開き状に開閉可能に取付けられるグレーチング等の開閉蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の開閉蓋は、側溝、暗渠、流雪溝の点検や清掃等のため開閉されるが、その上を車両が走行して、強度や耐久性が要求されることから通常金属製となっており、そのため重量が嵩み、開閉作業が容易でなかった。
【0003】
開閉蓋を開くときに要する力を軽減して容易に開くことができるようにした開閉蓋も知られる。開閉蓋を開閉可能に軸着する枢軸の下方に一端を回り止めしたトーションバーを並設し、該トーションバーに屈曲形成した張出片部で開閉蓋を開く方向に付勢するようにしたもの(特許文献1)、図1に示すように、受枠2に枢軸5により開閉可能に軸着される開閉蓋1の枢軸5にコイルバネ8を装着して開閉蓋1を開く方向に付勢するようにしたもの(特許文献2)などがそうである。
【特許文献1】特開2005−171504号
【特許文献2】実用新案登録第3105562号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述する特許文献1及び2に開示される開閉蓋では、枢軸はいずれも開閉蓋の側面上部に設けられているため、蓋を開くときの回転角を大きくし、開閉蓋を大きく開くことができるが、特許文献1のトーションバーの場合、次のような難点がある。すなわち、開閉蓋には、溝幅に応じて枢軸の軸方向の長さである蓋長さの異なるものが数多くあるが、上記トーションバーは蓋長さと同程度に設定されているため蓋長さの短いものでは、トーションバーも短くなり、そのため蓋長さと直交する方向の長さが長く、重量の大きな開閉蓋では蓋を開く方向に付勢する付勢力が不十分となり、開閉蓋を開くのに大きな力を要する嫌いがあることである。この点コイルバネは、トーションバーに比べ、コイル長が短くてもコイル径を大きくすることにより付勢力を大きくすることが可能で、コイル長を長くしたり、コイルバネを複数設け、或いはコイル径を大きくすることにより蓋長さと直交する方向の長さが長く、或いは重量の大なる開閉蓋に対しても必要な付勢力を得ることができるが、特許文献2に開示されるような図1に示すような開閉蓋では、枢軸5に装着されるコイルバネ8が開閉蓋1より露出するため、開閉蓋上を走行する車両によりコイルバネ8が損傷されることがあり、また枢軸5にコイルバネ8を装着することによりサイズが大きくなって広い収納部を必要とし、限られたスペースの収納部には、限られたサイズのコイルバネしか装着することができなかった。
【0005】
本発明は、開閉蓋を容易に開くことができるようにするために開閉蓋を開く方向に付勢する手段としてコイルバネを用いるもので、コイルバネが有する上述する利点を損なうことなく、上記の問題を解消した開閉蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、側溝、暗渠、流雪溝の投雪口等に片開き或いは観音開き状に開閉可能に取付けられる開閉蓋において、側溝、暗渠、投雪口等に設置される受枠に側面上端部が枢軸により軸着され、常にはコイルバネによって開く方向に付勢される開閉蓋であって、コイルバネが開閉蓋の下方に枢軸と平行をなす取付軸に装着され、コイルバネの一側を上記受枠又は該受枠と一体をなすバネ止めに係止させると共に、コイルバネ他側を開閉蓋に係止させたことを特徴とし、
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、コイルバネの他側が例えばU形又はリング状に屈曲形成するか、へミング加工した折返し部となっていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2に係わる発明において、上記バネ受けは、開閉蓋からの突出量が枢軸に向って小さくなるようにテーパないし湾曲して形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によると、図2に示すように開閉蓋11を軸着する枢軸5は、開閉蓋11の側面上端に設けられるため、蓋11を開いたときの回転角を大きくし、開閉蓋11を大きく開くことができるほか、コイルバネ8は開閉蓋下に位置し、開閉蓋11より露出しないため、車両との接触による損傷を生じることがなく、また開閉蓋下にはスペースに十分な余裕があって、どのようなサイズのコイルバネ8でも設置することができる。
【0009】
図2に示す開閉蓋の場合、開閉蓋11を開くと、コイルバネ8の一側と他側のなす角度が拡がり、やがて図3に示すようにコイルバネ他端aが開閉蓋11より離れて突出するようになるが、この突出部分は開閉蓋11の開閉時、溝内の点検や清掃時、或いは投雪作業時に接触するおそれがあり、危険である。この点、請求項2に係る発明のように、コイルバネ他端が折返し部になっていて丸みを帯びるようになることにより、例え接触したとしても危険性が解消されうるようになる。
【0010】
請求項3に係わる発明によると、コイルバネの他側端が常にバネ受けに当りうるようになり、バネ反力を最大限有効に発揮させることができること、開閉蓋を閉じたときには、バネ受けによりコイルバネをより深く曲げた状態にすることができ、これによりバネ反力を増大させることができるから、開閉時の開閉力を軽減させることができること、開閉蓋を開いた状態においてもコイルバネ他側端がバネ受けに当りうるようになり、コイルバネ他側端がバネ受けに当っている限り、また当っていないとしても、バネ受けから突出しないか、突出するにしてもその突出量はごく僅かであるため、コイルバネ他側端に接触しにくくなり、接触による危険性を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面により説明する。図中、図1に示すものと同一構造部分には同一符号を付してある。
【0012】
図4は、図示しない側溝に設置した矩形状の受け枠2に開閉可能に装着される開閉蓋としてのグレーチング3、3を示すものであり、図5は、その側面、図6は正面を示すもので、グレーチング3、3には、各一側の中央部上面に取手4が向い合せに取付けられると共に、各他側面の上端が受枠2に枢軸5により軸着され、取手4を掴んで持上げることにより各グレーチング3、3が観音開き状に開閉できるようになっている。
【0013】
受枠2には、その前後の下面に角パイプよりなる嵩上げ材6が枢軸5と直交して取付けられ、グレーチング3、3の他側下に枢軸5と平行して取付軸7が嵩上げ材6、6間に横架されている。そして取付軸7の両側にコイルバネ8が巻装され、各コイルバネ8はそれぞれ、一側が取付軸7と平行をなして嵩上げ材6より内向きに突出するピン状のバネ止め9に係止する一方、他側がグレーチング3に取り付けたばね受け12に押し当てられて係止し、他端は、図7に示すようにU形状に折曲形成された折返し部13となっている。なお、コイルバネ8は、両バネ8のバネ力を合せてもグレーチング3の自重に勝るものではなく、グレーチング3がコイルバネ8の作用によって浮上がることがないようにしてある。
【0014】
本実施形態のグレーチング3は、以上のように構成され、次のような効果を奏する。すなわち、図8は、グレーチング3、3を観音開き状に開いた状態を示すものであるが、枢軸5がグレーチング3の側面上部に設けられているため、グレーチング3を開いたときの回転角を大きくし、グレーチング3を大きく開くことができること、グレーチング3を開くときには、取手4を掴んで持上げるが、グレーチング3は常にはコイルバネ8,8によって開く方向に付勢されているため、グレーチング3を開く力が軽減され、グレーチング3を容易に開くことができること、コイルバネ8はグレーチング下に設けられ、グレーチング上を走行する車両はもとより歩行者と接触することはないため、接触による損傷を生じることがないこと、コイルバネ8は取付軸7の全長にわたって設けることが可能で、グレーチング下にはコイル径の大きなコイルばね8でも設置することができること等の効果を奏する。
【0015】
上記実施形態のグレーチング3は一対設けられ、観音開き状に開閉できるようになっているが、別の実施形態のグレーチングは片側の一つだけで片開き状に開閉できるようにされる。この場合も上記と同様に設けたコイルバネ8,8の作用によって片開き状に容易に開くことができる。
【0016】
上記実施形態のグレーチング3では、コイルバネ8は一対、取付軸6の両側に設けられているが、取付軸6の例えば中央部に一か所だけ設けてもよいし、3か所以上に設けてもよい。
【0017】
上記実施形態のグレーチング3ではまた、コイルバネ8は一側が嵩上げ材5より突出するバネ止め9に係止するようになっているが、嵩上げ材6又は受枠2に直接係止させるようにしてもよいし、受枠2に取着のバネ止めに係止させるようにしてもよい。
【0018】
図9は、前述のバネ受け12を台形状で、グレーチング3からの突出量が枢軸5に向って小さくなるように下面をテーパ状にしたバネ受け15としたものである。図示するグレーチング3は、片開き状になっているが、観音開き状に開閉するグレーチングにおいても、両グレーチングが同様に構成される。
【0019】
図10〜図12は、図9に示すグレーチング3を開くときのコイルバネ8とバネ受け15の位置関係を示すもので、図示するように、コイルバネ他端はグレーチング3を開く途上で常にバネ受け15に接触するため、コイルバネ8のバネ力を最大限有効に発揮させることができること、グレーチング3を閉じた図9に示す状態では、図6に示す前述のバネ受け12に比べ、コイルバネ8がより深く曲げた状態となって屈曲量が増し、バネ反力が増大してグレーチング開閉時の開閉力を軽減できること、グレーチング3を開いた図12の状態においても、コイルバネ他端はバネ受け12に接触するため、コイルバネ他端への接触による危険性が解消されること等の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の開閉蓋は、側溝や暗渠或いは流雪溝の投雪口等に設置される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来例の開閉蓋を開いたときのコイルバネ他端の態様を示す図。
【図2】本発明に係わる開閉蓋の正面図。
【図3】図2に示す開閉蓋を閉じたときの状態を示す正面図。
【図4】受枠に装着したグレーチングの平面図。
【図5】同グレーチングの側面図。
【図6】同グレーチングの正面図。
【図7】コイルバネの斜視図。
【図8】グレーチングを観音開き状に開いた状態を示す正面図。
【図9】別の態様のバネ受けを取付けたグレーチングを開いた状態を示す正面図。
【図10】グレーチングを開く途上を示す正面図。
【図11】グレーチングを更に開いた状態を示す正面図。
【図12】グレーチングを開いた状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0022】
1・・開閉蓋
2・・受枠
3・・グレーチング
4・・取手
5・・枢軸
6・・嵩上げ材
7・・取付軸
8・・コイルバネ
9・・バネ止め
12、15・・ばね受け
13・・折返し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝、暗渠、流雪溝の投雪口等に片開き状或いは観音開き状に開閉可能に取付けられる開閉蓋において、側溝、暗渠、投雪口等に設置される受枠に側面上端部が枢軸により軸着され、常にはコイルバネによって開く方向に付勢される開閉蓋であって、コイルバネが開閉蓋の下方の枢軸と平行をなす取付軸に装着され、コイルバネの一側を上記受枠又は該受枠と一体をなすバネ止めに係止させると共に、コイルバネ他側を開閉蓋又は該開閉蓋に取着のバネ受けに係止させたことを特徴とする開閉蓋。
【請求項2】
上記コイルバネの他側が屈曲又はヘミング加工した折返し部となっていることを特徴とする請求項1記載の開閉蓋。
【請求項3】
上記バネ受けは、開閉蓋からの突出量が枢軸に向って小さくなるようにテーパないし湾曲して形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−186975(P2007−186975A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113068(P2006−113068)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】