説明

開閉装置及び画像形成装置

【課題】第3機体を開いた状態で第2機体を開いたとしても、第3機体が第2機体に対して閉姿勢になる開閉装置を提供する。
【解決手段】スキャナハウジング20が閉姿勢の状態及びカバー部材30が開姿勢の状態のときに、スキャナハウジング20を開姿勢にすると、スキャナハウジング20の第2ギア50の回転中心は、プリンタハウジング10の第1ギア40の中心を軸として矢印d方向にさらに回動する。これにより、スキャナハウジング20の第2ギア50の歯50bは、プリンタハウジング10の第1ギア40の歯40bとさらに噛み合う。これにより第2ギア50は矢印C1方向に回転する。第2ギア50が矢印C1方向に回転すると、カバー部材30の第3ギア60は、矢印B2方向に回転させられる。よって、カバー部材30はスキャナハウジング20に対して閉姿勢になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対的に開閉可能に連結される複数の機体間における開閉装置に関するものであり、特に機体本体がシェルオープン式に開閉可能な複写機、プリンタ装置、ファクシミリ等の各種機器に適応される開閉装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉装置5を図9に示す。従来の開閉装置5は、第1機体1と、第1機体1の上方を覆う閉姿勢と上方を開放する開姿勢とに揺動可能に第1機体1に連結される第1機体
2と、第1機体2を覆う閉姿勢と開放する開姿勢とに揺動可能に第2機体2に連結される第3機体3とを備える開閉装置5が知られている。
【0003】
従来の開閉装置5は、ヒンジ7を備えており、第2機体2及び第3機体3は、第1機体1に対してヒンジ7を回動中心として開閉する。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開平9−185202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図9に示すように、第3機体3が開閉可能に連結されている第2機体2を第1機体1に揺動可能に連結すると、第3機体3を開いた状態で誤って第2機体2を開いてしまうことがある。これにより開閉装置5の後方に通路があれば人にぶつかる危険があり、後方に壁があれば第3機体3が壁にぶつかって破損する畏れがある。ここで「開く」とは閉姿勢から開姿勢に揺動することをいい、「閉じる」とは開姿勢から閉姿勢に揺動することをいう。
【0005】
そこで本発明は、第3機体を開いた状態で第2機体を開いてしまったとしても、第3機体が第2機体に対して閉姿勢になる開閉装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1機体と、第1機体に一端部が軸支され、他端部が第1機体に対して閉じた閉姿勢と第1機体に対して開いた開姿勢とに回動可能に設けられた第2機体と、第2機体に一端部が軸支され、他端部が第2機体に対して閉じた閉姿勢と第2機体に対して開いた開姿勢とに回動可能に設けられた第3機体とを備えた開閉装置において、第1機体には、第1機体に固定され、かつ第2機体の回動中心を軸とする第1ギアが設けられ、第2機体には、第2機体に回転可能に取り付けられ、かつ第1ギアに対向する位置に配置された第2ギアが設けられ、第3機体には、第3機体に固定され、かつ第2ギアに対向する位置に配置され、第3機体の回動中心を軸とする第3ギアが設けられ、第1ギアは、第2機体が閉姿勢のときに第2ギアと噛み合わず、第2機体を開姿勢にしたときに第2ギアと噛み合う一部の範囲に歯が設けられ、第2ギアの周囲には、全周に歯が設けられ、第3ギアは、第3機体が閉姿勢のときに第2ギアと噛み合わず、第3機体を開姿勢にしたときに第2ギアと噛み合う一部の範囲に歯が設けられ、第2機体が閉姿勢の状態で、かつ第3機体が開姿勢の状態のときに第2機体を開姿勢にすると、第2機体の第2ギアは、第2機体の回動軸を中心として公転すると共に第1機体の第1ギアの歯と噛み合いながら自転し、第2機体の第2ギアの自転によって、第3機体の第3ギアの歯が回転させられ、第3機体が閉姿勢になることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、第1ギアの半径方向に直交する歯の長さは、第2ギア及び第
3ギアの半径方向に直交する歯の長さよりも長いことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、第1機体は、画像を形成する画像形成部を備えたプリンタハウジングであり、第2機体は、画像を読み取る画像読取部を備えたスキャナハウジングであり、第3機体は、スキャナハウジングの上部に載置された原稿を押さえるためのカバー部材であり、かつ原稿自動給紙装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、第2機体が閉姿勢の状態で、かつ第3機体が開姿勢の状態のときに第2機体を開姿勢にすると、第3機体が閉姿勢になる。
【0010】
これにより、開閉装置の後方に通路があっても第3機体が人にぶつかる危険がなく、また、後方に壁があっても第3機体が壁にぶつかって破損することがない。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、第1ギアの半径方向に直交する歯の長さは、第2ギア及び第3ギアの半径方向に直交する歯の長さよりも長くなっている。
【0012】
第2機体は第1機体に対して回動可能に設けられているため、第1機体と第2機体との間に若干のガタが生じる。第1ギアの半径方向に直交する歯の長さを第2ギア及び第3ギアの半径方向に直交する歯の長さよりも長くすることで、第2機体及び第3機体は第1機体に対して安定して支持される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、第1機体は、画像を形成する画像形成部を備えたプリンタハウジングであり、第2機体は、画像を読み取る画像読取部を備えたスキャナハウジングであり、第3機体は、スキャナハウジングの上部に設けられた原稿台を押さえるためのカバー部材であり、かつ原稿自動給紙装置を備えている。
【0014】
第1機体、第2機体及び第3機体がそれぞれプリンタハウジング、スキャナハウジング及びカバー部材であり、さらにカバー部材に原稿自動給紙装置が備えられていると、カバー部材が重くなってしまう。また、プリンタハウジングには画像形成部が設けられているため、メンテナンスや用紙ジャムの解除のために上部を開閉する機会が多い。よって、請求項1及び請求項2に記載の開閉装置を画像形成装置に適応することで、さらなる効果が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置9の全体を示す分解斜視図である。
【0016】
画像形成装置9は、プリンタハウジング10(請求項に記載の第1機体に相当)と、プリンタハウジング10の上方を覆う閉姿勢と上方を開放する開姿勢とに揺動可能にプリンタハウジング10に連結されるスキャナハウジング20(請求項に記載の第2機体に相当)と、スキャナハウジング20を覆う閉姿勢と開放する開姿勢とに揺動可能にスキャナハウジング20に連結されるカバー部材30(請求項に記載の第3機体に相当)とが備えられている。なお、カバー部材30には、原稿自動給紙装置18(以下、「ADF」という。ADF:AutomaticDocument Feeder)が設けられている。
【0017】
以降の説明において「スキャナハウジング20を開く」とは、スキャナハウジング20を閉姿勢から開姿勢に揺動することをいい、「スキャナハウジング20を閉じる」とは、スキャナハウジング20を開姿勢から閉姿勢に揺動することをいうものとする。また、カバー部材30についても同様である。なお、図1において画像形成装置9は、左斜め上を
前、右斜め下を後、左斜め下を右、右斜め上を左とする。
【0018】
図1に示すように、プリンタハウジング10は後端部付近において、右側端部には第1ギア40が設けられ、左側端部には突起部45が設けられている。なお、本発明の実施の形態において第1ギア40及び突起部45はプリンタハウジング10と一体的に設けられているが、別体のものをプリンタハウジング10に固定してもよい。
【0019】
第1ギア40及び突出部45は半円が上向きに突出するような形状をしており、さらに第1ギア40には一部の範囲(後に説明)に歯40bが設けられている。また、第1ギア40及び突出部45には半円の中心位置に穴40a, 45aがそれぞれ設けられており、穴40a, 45aは互いに水平方向において一直線上になるように備えられている。
【0020】
スキャナハウジング20の後端部付近には、プリンタハウジング10の穴40a,45
aに嵌る第1軸42,47が、それぞれ左右方向において外側に突出した状態で設けられ
ている。スキャナハウジング20の第1軸42,47がプリンタハウジング10の穴40
a,45aにそれぞれに嵌ることで、スキャナハウジング20は第1軸42,47の周りに揺動するようにプリンタハウジング10に連結されている。つまり、スキャナハウジング20は、プリンタハウジング10の第1ギア40の半円中心を回動中心として揺動するように設けられている。
【0021】
スキャナハウジング20の右側面の後端部付近には、上下方向において第1ギア40と対向する位置に第2ギア50が備えられている。詳しく説明すると第2ギア50は、第2ギア50の中心に設けられた穴50aが、スキャナハウジング20の後端部付近に設けられた穴20aに対向する位置に配置され、ピン52によってスキャナハウジング20に回転可能に取り付けられる。
【0022】
なお、第2ギア50の周囲には全周に歯50bが設けられており、第1ギア40の歯40bの半径方向に直交する長さ(歯40bの左右方向の長さ)は、第2ギア50の歯50bの半径方向に直交する長さよりも若干大きくなっている。スキャナハウジング20は、スキャナハウジング20の第1軸42,47がプリンタハウジング10の穴40a,45aに嵌合することで揺動可能に設けられているため、左右方向に若干のガタが生じる。よって、第1ギア40の歯40bの半径方向に直交する長さを第2ギア50の歯50bの半径方向に直交する長さよりも若干大きくすることで、スキャナハウジング20はプリンタハウジング10に対して安定して支持される。また、第2ギア50はスキャナハウジング20の右側面の後端部付近にのみ設けられており、左側面には設けられていない。
【0023】
また、スキャナハウジング20の後端部付近には、左右方向における両端部付近において、支持部55,57がそれぞれ上向きに突出している。支持部55,57は上部付近に穴55a,57aがそれぞれ左右方向に貫通して設けられており、穴55a, 57aは互い
に水平方向において一直線上になるように備えられている。
【0024】
カバー部材30の後端部には、左右方向において両端部付近に凹部63,67が設けら
れており、凹部63,67にはスキャナハウジング20の支持部55,57がそれぞれ嵌められる。また、カバー部材30の後端部付近の右側面には、上下方向において第2ギア50と対向する位置に第3ギア60が、カバー部材30に接着剤等で固定されている。なお、本発明の実施の形態において第3ギア60は、カバー部材30と別体として設けられ、カバー部材30に固定されているが、カバー部材30と一体的に設けてもよい。
【0025】
第3ギア60は、中心部に穴60aが貫通しており、一部の範囲に歯60b(後に説明)が設けられている。第3ギア60の穴60aには第3軸62が嵌められ、第3軸62は
、第3ギア60の穴60aに対向するように設けられたカバー部材30の右側面端部の穴(図示せず)及び突起部55の穴55aを貫通し、凹部63の左側面の穴63aに嵌められる。
【0026】
また、カバー部材30の後端部付近の左側面においては、支持部57の穴57aに対向するようにカバー部材30の左側面端部に設けられた穴67aと、支持部57の穴57aとを第3軸65が貫通し、凹部67の右側面の穴(図示せず)に嵌められる。これにより、カバー部材30は第3軸62,65の周りに揺動するようにスキャナハウジング20に
連結されている。つまりカバー部材30は、カバー部材30の第3ギア60の円中心を回動中心として揺動するように設けられている。
【0027】
図2は、図1における画像形成装置9の側面図であり、画像形成装置9を右側から見た図である。なお、図2〜図8において、図面左側を前側、右側を後側とする。また、図2において、スキャナハウジング20及びカバー部材30は閉姿勢の状態になっている。
【0028】
第1ギア40、第2ギア50及び第3ギア60は、各ギアの中心位置(第1軸42、ピン52及び第3軸62の中心)が上下方向において鉛直線上(A−A線上)になるように配置されている。
【0029】
第1ギア40は、A−A線を境として、後側に歯40bが設けられている。詳しく説明すると第1ギア40は、歯40bがA−A線よりも若干後ろの位置から、時計周り方向に約90度の範囲に設けられており、歯40b以外の範囲は歯が設けられていない曲線部40cで構成されている。
【0030】
第2ギア50は、全体に歯50bが設けられておりスキャナハウジング20に対して回転可能に備えられている。図2の状態(スキャナハウジング20が閉姿勢の状態)において、第2ギア50は第1ギア40の曲線部40cに対向する位置で静止している。
【0031】
第3ギア60は、A−A線を境として、ほぼ後側に歯60bが設けられている。詳しく説明すると第3ギア60は、第3ギア60と第2ギア50とが対向する位置において、歯60bがA−A線よりも若干後ろの位置から反時計周り方向に向かって約180度の範囲に設けられており、歯60b以外の範囲は歯が設けられていない曲線部60cで構成されている。また、図2の状態(カバー部材30が閉姿勢の状態)において、第2ギア50は第3ギア60の曲線部60cに対向する位置で静止している。
【0032】
つまり、図2の状態(スキャナハウジング20及びカバー部材30は閉姿勢の状態)において第2ギア50は、第1ギア40の曲線部40c及び第3ギア60の曲線部60cと対向する位置に配置されており、スキャナハウジング20に対して空回りできるようになっている。
【0033】
図3は画像形成装置9の模式図である。原稿カバー13は第1の原稿台15に載置された原稿Mを押さえるとともに、光源23の放射光以外の光が原稿Mを照らすことがないように第1の原稿台15を覆うものである。本実施の形態の原稿カバー13はADF18が一体に設けられている。ADF18は複数の読み取り対象の原稿を一括して載置するための第二の原稿台17に載置された原稿を一枚ずつ搬送するローラ19を回転させるモータ、制御回路などで構成されている。
【0034】
スキャナハウジング20には、画像読み取り手段としてのスキャナ部29が収容されている。スキャナ部29は、キャリッジ21、リニアイメージセンサ22を実装した走査回路基板26、光源23、レンズ24、ミラー25、図示しない副走査駆動部などを備える
。キャリッジ21はスキャナハウジング20に固定された棒状のキャリッジガイド27に摺動自在に支持されており、副走査駆動部によってキャリッジガイド27の軸線方向に往復移動する。リニアイメージセンサ22を実装した走査回路基板26、光源23、レンズ24、及びミラー25はキャリッジ21に搭載されている。光源23は、第一の原稿台15上に載置されている原稿の走査線近傍を照射し、ミラー25及びレンズ24は照射された原稿の走査線上の反射光像をリニアイメージセンサ22の受光面に結像させる。リニアイメージセンサ22は、RBG各色の受光素子が図2において紙面垂直方向に直線状に並ぶ姿勢で走査回路基板26に搭載されている。リニアイメージセンサ22は受光面に結像された光学像の濃淡に相関する電気信号を出力する。走査回路基板26にはリニアイメージセンサ22及び光源23を駆動する回路、AD変換回路等が実装されている。第二の原稿台17に載置された原稿を読み取る場合、副走査駆動部はキャリッジ21を図3において破線で示す位置に移動させる。後述する制御部がADF18を制御して原稿Nを搬送することでリニアイメージセンサ22と原稿Nとが相対移動するため、二次元画像の走査が可能となる。
【0035】
プリンタハウジング10には画像形成手段としてのプリンタ部12が収容されている。プリンタ部12はモノクロレーザー方式により印刷媒体に画像を印刷する。なお、本実施の形態ではモノクロレーザー方式により印刷を行う場合を説明するが、カラーレーザー方式、インクジェット方式、ドットインパクト方式などで印刷を行うものであってもよい。プリンタ部12は、感光ドラム31、チャージローラ32、レーザー発信機33、トナーカートリッジ34、転写ローラ35、プレッシャーロール36、ヒートロール37、クリーナーユニット38、図示しない用紙搬送部などを備える。チャージローラ32は感光ドラム31を帯電させ、レーザー発信機33はレーザー光を発光して感光ドラム31上に静電潜像を形成する。トナーカートリッジ34にはマグネットローラとトナーとが収容されており、マグネットローラで感光ドラム31にトナーを付着させることにより静電潜像を現像する。印刷媒体としての印刷用紙39は図示しない用紙搬送部によって搬送され、ヒートロール37は転写されたトナーを熱で溶かして印刷用紙39に定着させ、プレッシャーロール36は印刷用紙39に圧力を加えてトナーを圧着させる。クリーナーユニット38は印刷用紙39に転写しきれなかった感光ドラム31上の残留トナーを除去する。印刷された印刷用紙39は用紙搬送部によって図示しない排紙トレイに排出される。
【0036】
プリンタハウジング10には図示しない制御部が収容されている。制御部は画像読み取り手段としても印刷手段としても機能する。制御部はスキャナ部29を制御して原稿を読み取らせ、走査回路基板26から出力される信号にガンマ補正、シェーティング補正などを施して画像データを作成する。また、制御部は画像データにハーフトーン処理、解像度変換処理、色空間の変換処理、インターレース処理等を施して印刷データを作成し、作成したデータに基づいてプリンタ部12を制御してディジタル画像を印刷させる。
【0037】
次に、図2及び図4〜図8を参照にして、スキャナハウジング20及びカバー部材30が開閉する様子と、第1ギア40、第2ギア50及び第3ギア60の動きについて説明する。
【0038】
なお、以降、『回転する』とは第2ギア50がピン52を中心としてスキャナハウジング20に対して回転することをいい、また、第3ギア60が第3軸62を中心として回転することをいう。ただし、第3ギア60はカバー部材30に固定されているので、カバー部材30が回動する動きと一体的に第3ギア60も回転する。
【0039】
なお、以降第2ギア50及び第3ギア60の回転方向として、第2ギア50がピン52を中心として時計回りに回転する方向をC1、反時計回りに回転する方向をC2とし、第3ギア60が第3軸62を中心として時計回りに回転する方向をB1、反時計回りに回転
する方向をB2とする。
【0040】
まず、図2、図4及び図5を参照にして、カバー部材30が閉姿勢から開姿勢になる様子を説明する。図2は、カバー部材30及びスキャナハウジング20が閉姿勢の状態であり、図4は、図2に示す状態からカバー部材30を若干開いた状態を示しており、図5は、図4の状態からカバー部材30をさらに開いた様子を示している。
【0041】
カバー部材30が閉姿勢の状態(図2に示す状態)から、カバー部材30を若干開くと、カバー部材30は第3軸62を中心として回動する。このとき、第3ギア60はカバー部材30に固定されているので、カバー部材30が回動するにつれて第3ギア60の歯60bは矢印B1方向に回転する。第3ギア60が矢印B1方向に回転すると、第3ギア60の歯60bは第2ギア50の歯50bに噛み合う位置に移動される(図4の状態)。
【0042】
図4に示す状態からさらにカバー部材30を開くと、第3ギア60の歯60bはさらに矢印B1方向に移動する(図5に示す状態)。歯60bが矢印B1方向に移動すると、第3ギア60の歯60bと第2ギア50の歯50bとが噛み合い、第2ギア50は矢印C2方向に回転させられる。第2ギア50はスキャナハウジング20に対して回転可能に設けられており、かつ第1ギア40の曲線部40cと対向する位置(歯40bと噛み合わない位置)に配置されているので、第1ギア40の歯40bに対して空回りしながら回転する。このようにしてカバー部材30はスキャナハウジング20に対して開かれ、また、閉じるときは逆の動作で閉姿勢になる。なお、図5に示す状態は、カバー部材30をスキャナハウジング20に対して90度開いた様子を示している。
【0043】
次に、図4、図6及び図7を参照にして、スキャナハウジング20が閉姿勢の状態で、かつカバー部材30が開姿勢の状態のときに、スキャナハウジング20を開姿勢にしたときの動作について説明する。図4は、スキャナハウジング20が閉姿勢の状態でカバー部材30を若干開いた状態(角度α開いた状態)を示している。また、図6は図4に示す状態からスキャナハウジング20を開いた状態(角度β開いた状態)を示している。
【0044】
図4に示す状態からスキャナハウジング20を開くと(図6に示す状態)、第2ギア50の回転中心は、第1ギア40の中心位置を軸として矢印d方向に回動する。ここで、スキャナハウジング20を角度β開いたとすると、第2ギア50の回転中心も第1ギア40の中心位置を軸として角度β回動する。
【0045】
このとき、カバー部材30はスキャナハウジング20に連結されているのでスキャナハウジング20の動きに連動する。つまり、カバー部材30の第3ギア60の回転中心も第1ギア40の中心位置を軸として角度β移動する(矢印f方向に移動する)。
【0046】
また、スキャナハウジング20を角度β開くと、スキャナハウジング20の第2ギア50の回転中心が矢印d方向に回動するため、スキャナハウジング20の第2ギア50の歯50bがプリンタハウジング10の第1ギア40の歯40bと噛み合い始める。なお、図6に示す状態は、スキャナハウジング20の第2ギア50の歯50bがプリンタハウジング10の第1ギア40の歯40bと噛み合う瞬間を示している。
【0047】
図7は、図6に示す状態から、さらにスキャナハウジング20を開いた状態(角度βからさらに角度θ開いた状態)を示している。スキャナハウジング20をさらに開くと、スキャナハウジング20の第2ギア50の回転中心は、プリンタハウジング10の第1ギア40の中心を軸として矢印d方向にさらに移動する(公転する)。このとき、スキャナハウジング20の第2ギア50の回転中心は、さらに角度θだけ矢印d方向に移動する。
【0048】
カバー部材30はスキャナハウジング20に連結されているので、スキャナハウジング20の第2ギア50の回転中心と同様に、カバー部材30の第3ギア60の回転中心もプリンタハウジング10の第1ギア40の中心位置を軸として矢印f方向にさらに移動する(角度θ移動する)。
【0049】
このとき、スキャナハウジング20の第2ギア50の回転中心が矢印d方向に移動することで、スキャナハウジング20の第2ギア50の歯50bは、プリンタハウジング10の第1ギア40の歯40bとさらに噛み合う。これにより、第2ギア50は矢印C1方向に回転する(自転する)。第2ギア50が矢印C1方向に回転すると、カバー部材30の第3ギア60は、矢印B2方向に回転させられる。
【0050】
つまり、図6に示す状態からスキャナハウジング20をさらに開いたとしても(角度θ開いたとしても)、カバー部材30の第3ギア60はスキャナハウジング20の第2ギア50によって矢印B2方向に回転させられる。つまり、カバー部材30はスキャナハウジング20に対して閉姿勢になる。
【0051】
例えばプリンタハウジング1の中で用紙ジャムが発生したときや、各部品等の交換などをしたいときは、スキャナハウジング20を開姿勢にすることでプリンタハウジング1内のメンテナンスを行うことができる。
【0052】
このとき、もしスキャナハウジング20が閉姿勢の状態で、かつカバー部材30が開姿勢の状態のときに、スキャナハウジング20を開姿勢にしてしまったとしても、カバー部材30はスキャナハウジング20に対して閉姿勢になる。これにより、画像形成装置9の後方に通路があってもカバー部材30が人にぶつかる危険がなく、また、後方に壁があってもカバー部材30が壁にぶつかって破損することがない。
【0053】
さらに、カバー部材30がスキャナハウジング20に対して閉姿勢になった後には、スキャナハウジング20を閉じる動作と一体的にカバー部材30が閉じるようになっている。
【0054】
次に図2、図8を参照にして、スキャナハウジング20及びカバー部材30を同時に開姿勢にした様子を説明する。図2は、スキャナハウジング20及びカバー部材30が閉姿勢の状態であり、図8は、カバー部材30を閉姿勢にした状態でスキャナハウジング20を開姿勢にした状態を示している。
【0055】
図2に示す状態においてスキャナハウジング20の第2ギア50は、プリンタハウジング10の第1ギア40の曲線部40cと対向する位置(歯40bと噛み合わない位置)に配置されており、また、カバー部材30の第3ギア60の曲線部60cと対向する位置(歯60bと噛み合わない位置)に配置されている。
【0056】
図8は、図2に示す状態から、カバー部材30を閉姿勢にした状態でスキャナハウジング20を開姿勢にした状態を示している。このとき、スキャナハウジング20の第2ギア50の中心及びカバー部材30の第3ギア60の中心は、プリンタハウジング10の第1ギア40の中心を回動中心として、それぞれ矢印d方向及び矢印f方向に回動する。
【0057】
このとき、スキャナハウジング20の第2ギア50の歯50bは、矢印d方向に回動するにつれてプリンタハウジング10の第1ギア40の歯40bと噛み合っていく。一方、カバー部材30の第3ギア60は、曲線部60cがスキャナハウジング20の第2ギア50の歯50bと対向する位置に配置された状態で矢印f方向に回動される。つまり、スキャナハウジング20の第2ギア50の歯50bとカバー部材30の第3ギア60の歯60
bとは噛み合うことがなく、スキャナハウジング20及びカバー部材30は開姿勢になる。
【0058】
なお、本発明に実施の形態においては、第1ギア40、第2ギア50及び第3ギア60は、各ギアの中心位置が上下方向において鉛直線上(A−A線上)になるように配置されているが、これに限るものではない。スキャナハウジング20の回動中心にプリンタハウジング10の第1ギア40の半円中心が設けられ、カバー部材30の回動中心にカバー部材30の第3ギア60の円中心が設けられ、第1ギア40と第3ギア60を連結する第2ギアが配置されていればよい。
【0059】
また、本発明の実施の形態において、第1ギア40、第2ギア50及び第3ギア60は画像形成装置9に設けられているが、これに限定するものではなく、例えばファクシミリ装置やその他の製品でもよく、機体本体が分割されるものであれば他にも適応できる。
【0060】
また、本発明の実施の形態において、プリンタハウジング10、スキャナハウジング20及びカバー部材30のように3つ分割されるものについて記載してあるが、4つ以上分割されるものでもよい。この場合、複数ある機体のうちの上3つに第1ギア40、第2ギア50及び第3ギア60を設けてもよいし、また、下3つに設けるなどしてもよい。
【0061】
また、本発明の実施の形態において、第1ギア40、第2ギア50及び第3ギア60は画像形成装置9の後端部付近の右側面に設けられているが、これに限定されるものではなく、左側面に設けてもよく、また、両方に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の画像形成装置の全体を示す分解斜視図である。
【図2】画像形成装置を右側から見た側面図である。
【図3】画像形成装置の模式図である。
【図4】図2に示す状態からカバー部材30を若干開いた状態を示した図である。
【図5】図4の状態からカバー部材30をさらに開いた様子を示した図である。
【図6】図4に示す状態からスキャナハウジング20を開いた状態を示す図である。
【図7】図6に示す状態からさらにスキャナハウジング20を開いた状態を示す図である。
【図8】カバー部材30を閉姿勢にした状態でスキャナハウジング20を開姿勢にした状態を示す図である。
【図9】従来の開閉装置を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
9…画像形成装置
10…プリンタハウジング(第1機体)
13…原稿カバー
20…スキャナハウジング(第2機体)
30…カバー部材(第3機体)
18…原稿自動給紙装置(ADF)
40…第1ギア
40c,60c…曲線部
40a,45a,55a,57a, 60a,63a,67a…穴
40b,50b,60b…歯
42,47…第1軸
45…突起部
50…第2ギア
52…ピン
55,57…支持部
60…第3ギア
62,65…第3軸
63,67…凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機体と、
前記第1機体に一端部が軸支され、他端部が前記第1機体に対して閉じた閉姿勢と前記第1機体に対して開いた開姿勢とに回動可能に設けられた第2機体と、
前記第2機体に一端部が軸支され、他端部が前記第2機体に対して閉じた閉姿勢と前記第2機体に対して開いた開姿勢とに回動可能に設けられた第3機体とを備えた開閉装置において、
前記第1機体には、前記第1機体に固定され、かつ前記第2機体の回動中心を軸とする第1ギアが設けられ、
前記第2機体には、前記第2機体に回転可能に取り付けられ、かつ前記第1ギアに対向する位置に配置された第2ギアが設けられ、
前記第3機体には、前記第3機体に固定され、かつ前記第2ギアに対向する位置に配置され、前記第3機体の回動中心を軸とする第3ギアが設けられ、
前記第1ギアは、前記第2機体が閉姿勢のときに前記第2ギアと噛み合わず、前記第2機体を開姿勢にしたときに前記第2ギアと噛み合う一部の範囲に歯が設けられ、
前記第2ギアの周囲には、全周に歯が設けられ、
前記第3ギアは、前記第3機体が閉姿勢のときに前記第2ギアと噛み合わず、前記第3機体を開姿勢にしたときに前記第2ギアと噛み合う一部の範囲に歯が設けられ、
前記第2機体が閉姿勢の状態で、かつ前記第3機体が開姿勢の状態のときに前記第2機体を開姿勢にすると、前記第2機体の前記第2ギアは、前記第2機体の回動軸を中心として公転すると共に前記第1機体の前記第1ギアの歯と噛み合いながら自転し、
前記第2機体の前記第2ギアの自転によって、前記第3機体の前記第3ギアの歯が回転させられ、前記第3機体が閉姿勢になることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記第1ギアの半径方向に直交する歯の長さは、前記第2ギア及び前記第3ギアの半径方向に直交する歯の長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記第1機体は、画像を形成する画像形成部を備えたプリンタハウジングであり、
前記第2機体は、画像を読み取る画像読取部を備えたスキャナハウジングであり、
前記第3機体は、前記スキャナハウジングの上部に載置された原稿を押さえるためのカバー部材であり、かつ原稿自動給紙装置を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−108617(P2009−108617A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282946(P2007−282946)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】