説明

開閉装置

【課題】 開閉体が全閉手前位置よりも閉鎖方向側で停止した場合に、その開閉体を勘に頼ることなく全閉手前位置よりも若干開放方向側となる位置まで開放動作させる。
【解決手段】 開閉体10の閉鎖動作中であって全閉手前位置感知部による感知信号の入力がある状態において、停止指令の入力があった場合には、開閉体10の閉鎖動作及びタイマーによるカウントを停止し、その後、閉鎖指令の入力があることを条件に開閉体10の閉鎖動作を再開し、その閉鎖動作中、座板感知部の感知信号があることを条件に開閉体10を反転して開放動作し、その後、全閉手前位置感知部による感知信号がなくなったことを条件に前記開放動作を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座板感知部により開閉体閉鎖方向側の物体を感知するようにした開閉装置に関し、特にシャッター装置として好適な開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置は、開閉体の閉鎖方向端部に該開閉体よりも閉鎖方向側の物体を接触感知する座板感知部を設け、開閉体の閉鎖動作中に前記座板感知部が障害物等を接触感知した際に、開閉体を所定量だけ反転動作(以降、タッチアップ動作と称する)させるようにしている。
このような開閉装置では、例えば特許文献1に記載のもののように、開閉体が全閉した際の前記タッチアップ動作により開閉体と床面等との間に隙間が生じてしまうのを防ぐために、閉鎖動作中の開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲に差し掛かったら、前記座板感知部を無効にするとともに、予め設定されたタイマー時間だけ閉鎖動作したところで全閉になったとみなして該閉鎖動作を停止するようにしている。
また、前記開閉装置では、開閉体の閉鎖方向端部が前記全閉手前の所定範囲内に位置して該開閉体が停止した場合、閉スイッチが操作されてオーバーラン状態(開閉体の閉鎖動作が全閉後も継続して開閉体に過剰な負荷が加わったり開閉体が巻取軸に逆巻きされたりする状態)になるのを防ぐために、前記閉スイッチによる操作を無視するようにしている。
【0003】
しかしながら、前記従来技術によれば、開閉体の閉鎖方向端部が前記全閉手前の所定範囲内に位置して該開閉体が停止すると、その開閉体の閉鎖方向端部と床面等との間には、若干の隙間が形成される場合があるが、その隙間を塞ぐために、前記閉スイッチを操作しても、開閉体が閉鎖動作しないことになる。
そこで、開閉体を閉鎖動作させて前記隙間を塞ぐためには、開スイッチの操作により一旦開閉体を上昇させ、その上昇を、開閉体の閉鎖方向端部が前記全閉手前の所定範囲から脱出した時点で停止スイッチの操作により停止する必要がある。そして、その後に閉スイッチの操作により開閉体を下降させ、その下降を、前記タイマーのカウントアップにより停止すればよい。
ところが、開スイッチ及び停止スイッチによる前記操作の際、操作者は、開閉体を前記全閉手前の所定範囲から脱出させるためにどれくらい上昇させればよいのかがわからず、その操作を勘に頼るしかない。しかも、前記上昇及び停止のために、少なくとも二回の操作(開スイッチの操作と停止スイッチの操作)を要し、その操作が煩わしい。また、開閉体を全閉するという目的のために、閉鎖動作とは逆の動作をするための開スイッチを操作しなければならないので、操作者がその操作に混乱を生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−306672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、閉鎖動作中の開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲に差し掛かったら、予め設定されたタイマー時間だけ閉鎖動作したところで全閉になったとみなして該閉鎖動作を停止するようにした開閉装置において、開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内に位置した状態で該開閉体が停止した場合に、その開閉体を勘に頼ることなく前記所定範囲から脱出するまで開放動作させることができること、その動作のための操作が容易なこと、操作者が操作に混乱を生じないこと等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明に係る技術的手段は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0007】
閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを感知する全閉手前位置感知部と、前記開閉体の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部と、前記開閉体を制御動作する制御部とを備え、前記開閉体の閉鎖動作中、前記全閉手前位置感知部による感知信号があった際にタイマーによる所定時間のカウントを開始し、前記タイマーのカウントアップにより前記開閉体が全閉したものとみなして前記閉鎖動作を停止するようにした開閉装置において、前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作中であって前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力がある状態において、停止指令の入力があった場合には、前記開閉体の閉鎖動作及び前記タイマーによるカウントを停止し、その後、閉鎖指令の入力があることを条件に前記開閉体の閉鎖動作を再開し、その閉鎖動作中、前記座板感知部の感知信号があることを条件に前記開閉体を反転動作し、その後、前記全閉手前位置感知部による感知信号がなくなったことを条件に前記開閉体を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このような特徴を有することで本発明は以下の作用効果を奏する。
開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内に進入し、該開閉体の閉鎖動作が停止した状態において、該開閉体を全閉したい場合には、閉スイッチ操作等による閉鎖指令を発すれば、開閉体が一旦閉鎖動作した後に自動的に反転動作して、前記所定範囲よりも若干開放方向側となる位置まで開放動作する。したがって、その動作を勘に頼ることなく正確に行うことができる上、その動作のための操作は、一回の閉スイッチの操作のみであり容易である。しかも、操作者は開閉体を全閉するという目的のために閉スイッチを操作することになるため、その操作に混乱を生じにくい。
そして、前記所定範囲よりも若干開放方向側となる位置まで開放動作して停止した状態の開閉体を全閉する場合には、閉スイッチ操作等による閉鎖指令を発すればよく、この閉鎖指令により開閉体が閉鎖動作し、この閉鎖動作を、前記タイマーのカウントアップにより全閉とみなされる位置で停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】制御部による制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】制御部による制御動作の他例を示すフローチャートである。
【図4】制御部による制御動作の他例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る開閉装置は、開閉体を巻取り軸に巻き取って収納するようにした形態(例えばシャッター装置等)に適用した場合に特に効果的であるが、開閉体を巻取り軸に巻取ることなく開放方向側に収納するようにした形態(例えばオーバーヘッドドア装置等)に適用することも可能である。
【0011】
前記開閉体の形態として、例えば、シート状体、ネット状体、複数のスラットやパイプ、あるいはパネルを開閉方向へ連設してなる形態等、さらには、前述のシート状体、ネット状体、スラット、パイプ、パネルを適宜に組み合わせてなる形態等が挙げられる。
【0012】
また、前記全閉手前位置感知部には、例えば、前記開閉体を閉鎖動作させる駆動源や開閉体を繰り出す巻取軸等の回転量から前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを検知するようにした構成や、ガイドレール等の不動部位に設けられて前記所定範囲内にある前記開閉体を接触式又は非接触式のセンサ(例えば、マイクロスイッチや近接スイッチ等)によって検知するようにした構成等を含む。
【0013】
また、前記停止指令及び前記閉鎖指令は、例えば操作スイッチやリモコン、携帯端末等の操作により発せられる信号とすればよく、特に操作性のよい好ましい態様としては押しボタンスイッチが押されることにより発せられる信号とされる。
【0014】
本発明に係る好ましい一形態では、前記制御部は、前記開放動作の停止に続けて、前記開閉体を閉鎖動作する。
この形態によれば、全閉手前の所定範囲よりも若干開放方向側で停止した開閉体を、自動的に閉鎖動作させることができる。そして、その閉鎖動作中、全閉手前位置感知部による感知信号があった際にタイマーによる所定時間のカウントが開始し、前記タイマーのカウントアップにより全閉とみなされる位置で該閉鎖動作が停止する。
【0015】
更に好ましい形態では、前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作中であって前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力がある状態において、停止指令の入力がない場合には、前記座板感知部による感知信号がなく且つ前記タイマーがカウントアップしたことを条件に、前記開閉体を停止するとともにその停止状態を異常状態とみなし、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記タイマーがカウントアップしたことを条件に、前記開閉体を停止するとともにその停止状態を正常な全閉停止状態とみなす。
この形態によれば、例えば座板感知部が故障した場合等に、その状態を異常状態として認識することができる。
【0016】
なお、本実施形態中において、タイマーによる「カウント」とは、タイマーが時間を数えることを意味する。また、タイマーの「カウントアップ」とは、タイマーによるカウントが、予め設定された所定時間に達したことを意味する。
【0017】
また、本実施形態中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が開口部や空間を開閉するためにスライドする方向を意味する。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この開閉装置は、閉鎖方向端部をスライドさせて開閉動作する開閉体10と、該開閉体10の幅方向(図1における左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりして開閉動作させる巻取装置30とを備え、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲H内にある際の制御に特徴を有している。
【0019】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、上下に隣接する該スラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の閉鎖方向端部(図示例によれば下端部)に、可動座板12を接続している。
【0020】
可動座板12は、開閉体幅方向の略全長にわたる部材であり、開閉体本体11の下端部から下方へ突出している。この可動座板12は、開閉体本体11に相対して開閉体開閉方向(図1の上下方向)へ所定量だけ自在に移動する。
この可動座板12を上下方向へ移動させる構造は、例えば、可動座板12の上端部を、開閉体本体11の下端部に対し、上下方向へ所定量スライドするように係合すればよい。
【0021】
この可動座板12と開閉体本体11との間には、可動座板12が開閉体本体11に対し上方へ移動したことを接触又は非接触で感知するセンサ(図示しないマイクロスイッチ又は近接スイッチ等)が設けられる。
そして、可動座板12及び前記センサは、開閉体10の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部として機能する。すなわち、開閉体10の閉鎖方向端部への物体の当接等により、可動座板12が開閉体本体11に相対する開放方向へ移動すると、前記センサの接点がオンになる。また、前記物体が除去される等により可動座板12が開閉体本体11に相対する閉鎖方向へ移動すると、前記センサの接点がオフになる。
なお、この構成は、可動座板12がその可動範囲を全ストローク移動すると前記センサの接点がオンになる態様としてもよいし、可動座板12がその可動範囲を所定の割合移動すると前記センサの接点がオンになる態様としてもよい。
【0022】
また、ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体10によって着座される当接対象部位p(例えば、床面や地面、枠部材等)と巻取装置30との間にわたって配設されている。
【0023】
また、巻取装置30は、下部側に開閉体10を出没させるための開口部を形成した収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸32と、該巻取軸32を駆動回転したり制動したりする開閉機40と、開閉機40の制御により開閉体10を制御動作する制御部50とを具備している。
【0024】
開閉機40は、開閉体10を閉鎖動作する駆動源となる直流または交流の電動モータと、該電動モータの回転力を適切な回転数及びトルクに調整して巻取軸32へ伝達する動力伝達機構(具体的には歯車等)と、該動力伝達機構の出力軸の回転量が所定値になった際に接点信号を出力するカウンタ式リミットスイッチ41とを具備している。
【0025】
前記カウンタ式リミットスイッチ41は、前記出力軸の回転量を機械的にカウントするカウンター機構と、該カウンター機構のカウント値が所定値になった際に作動するマイクロスイッチとを組み合わせてなる周知の機構である。このカウンタ式リミットスイッチ41は、前記開閉体10の閉鎖方向端部(より具体的には可動座板12の下端)が全閉手前の所定範囲Hにあることを感知する全閉手前位置感知部として機能する。
すなわち、開閉体10の閉鎖方向端部が閉鎖動作により全閉手前の所定範囲H内に進入すると、カウンタ式リミットスイッチ41の接点がオンになる。また、開閉体10の閉鎖方向端部が開放動作により全閉手前の所定範囲Hよりも開放方向側(図示例によれば上方側)に移動すると、同カウンタ式リミットスイッチ41の接点がオフになる。
【0026】
また、制御部50は、前記全閉手前位置感知部や、前記座板感知部、操作部51などから入力される電気信号を、プログラムに基づいて電子的に演算処理し、その処理結果に応じた制御電力を開閉機40へ供給して、開閉機40を正転や逆転、停止等させる制御回路である。
この制御部50は、回路構成や設定値等を現場状況等に応じて容易に変更可能なように、例えばマイコンやプログラマブルコントローラー等に用いられているプログラムドロジック回路による構成とするのが好ましいが、リレー回路やその他の電子回路を用いた回路とすることも可能である。
【0027】
前記操作部51は、開スイッチ51a、停止スイッチ51b、閉スイッチ51cの三つのスイッチを有するスイッチボックスであり、前記各スイッチの接点信号を制御部50へ入力するように電気配線されている。
【0028】
次に、上記構成の開閉装置についての制御動作の一例を、図2〜4に示すフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0029】
図2のフローチャートは、開閉体10が全閉手前の所定範囲Hよりも開放方向側で閉鎖動作している状態において開始される制御部50の処理を示している。
【0030】
ステップ1では、全閉手前位置感知部(カウンタ式リミットスイッチ41)による感知信号の入力を待ち、感知信号が入力された場合には次のステップ2へ処理を進める。
ステップ2では、下限タイマーによる所定時間のカウントを開始する。
【0031】
ここで、前記下限タイマーは、制御部50の制御回路上のタイマー機能、あるいは別途具備されるタイマーリレー等を用いればよい。
前記所定時間は、開閉体10の閉鎖方向端部が前記所定範囲Hに進入してから全閉位置となるまでの閉鎖動作時間と略同等になるように設定される。
【0032】
すなわち、前記ステップ1及び2によれば、閉鎖動作中の開閉体10の閉鎖方向端部が、全閉手前の所定範囲Hに進入すると、前記下限タイマーによる所定時間のカウントが開始される。
【0033】
次に、ステップ3では、停止スイッチ51b等の操作による停止指令の入力があるか否かを判断し、停止指令の入力がある場合にはステップ4へ処理を進め、そうでなければステップ3aへ処理を移行する。
【0034】
ステップ4では、開閉機40の停止により開閉体10の閉鎖動作を停止する。
ステップ5では、前記下限タイマーによるカウントを停止する。
【0035】
次のステップ6では、閉スイッチ51c等の操作による閉鎖指令の入力があるのを待ち、閉鎖指令の入力があった場合には次のステップ7へ処理を進める。
【0036】
ステップ7では、開閉機40の駆動により開閉体10の閉鎖動作を開始する。
【0037】
ステップ8では、座板感知部(可動座板12等)による感知信号の入力を待ち、感知信号の入力がある場合には次のステップ9へ処理を進める。
【0038】
ステップ9では、開閉機40の回転方向を反転することにより開閉体10を反転して開放動作させる。
【0039】
ステップ10では、全閉手前位置感知部による感知信号がなくなるのを待ち(より具体的に説明すればカウンタ式リミットスイッチ41の接点がオフになるのを待ち)、感知信号がなくなった場合には、次のステップ11へ処理を進める。
【0040】
ステップ11では、開閉機40の停止により開閉体10の開放動作を停止する。
【0041】
この停止状態は、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲Hよりも若干開放方向側に位置した状態の正常な中間停止状態とみなされる。
したがって、この停止状態の後、閉スイッチ51c等による閉鎖指令があった場合には、開閉体10が閉鎖動作するとともに、上記ステップ1以降の処理が再度行われる。
【0042】
また、前記ステップ3にて停止指令がない場合には、ステップ3aが実行される。
ステップ3aでは、前記下限タイマーがカウントアップしたか否かを判断し、カウントアップした場合にはステップ4aへ処理を進め、そうでなければステップ3bへ処理を移行する。
【0043】
ステップ4aでは、開閉機40の停止により開閉体10の閉鎖動作を停止する。そして、制御部50は、この停止状態を座板感知部の故障等による異常停止状態とみなし、開閉体10の開閉動作を再開するために特別な解除操作(例えば、開スイッチ51aと閉スイッチ51cを同時に押す操作等)が必要な状態となる。また、この異常停止状態においては、必要に応じて、警報の発信(例えば、LEDの点滅や、警報音の発信、警報信号の発信等を含む)を行うようにしてもよい。
【0044】
また、ステップ3bでは、座板感知部(可動座板12等)による感知信号があるか否かを判断し、感知信号がある場合には次のステップ4bへ処理を進め、そうでなければステップ3へ処理を戻す。
【0045】
ステップ4bでは、前記下限タイマーがカウントアップするのを待ち、カウントアップしたならば次のステップ5bへ処理を進める。
【0046】
ステップ5bでは、開閉機40の停止により開閉体10の閉鎖動作を停止する。そして、制御部50は、この停止状態を正常な全閉停止状態とみなす。
【0047】
したがって、図2に示す制御動作によれば、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲H内に進入し、停止指令によって開閉体10の閉鎖動作が停止した状態において、開閉体10を全閉したい場合には、閉スイッチ51cの操作により閉鎖指令を発すれば、開閉体10が一旦閉鎖動作した後に自動的に反転し、前記所定範囲Hよりも若干開放方向側となる位置まで開放動作して停止する。
そして、この停止状態の後、閉スイッチ51c等による閉鎖指令の入力があれば、開閉体10の閉鎖動作が再開する。更に、閉鎖動作中の開閉体10が全閉手前の所定範囲Hに差し掛かると、下限タイマーによるカウントアップが再開する(ステップ1,2)。そして、その後、例えば、停止指令の入力がなく、座板感知部の感知信号があり且つ下限タイマーがカウントアップすれば(ステップ3b,4b)、開閉体10の閉鎖動作が停止して(ステップ5b)、その停止状態が正常な全閉停止状態とみなされる。
【0048】
なお、図2に示すフローチャートによれば、前記ステップ11で開閉体10を停止した後、その開閉体10を全閉するためには、再度閉スイッチ51cによる操作が必要なものとしたが、他例としては、図3のフローチャートに示すように、前記閉スイッチ51cによる操作がなくても、開閉体10を自動的に全閉できる構成としてもよい。
【0049】
すなわち、図3に示す制御例では、前記ステップ11による開放動作の停止に続けて、次のステップ12により開閉体10の閉鎖動作が行われ、その後、前記ステップ1へ処理が戻される。
したがって、図3の制御例によれば、ステップ11による開放動作の停止の後に自動的に開閉体10の閉鎖動作が行われる。そして、その閉鎖動作中、例えば、停止指令の入力がなく、座板感知部の感知信号があり且つ下限タイマーがカウントアップすれば(ステップ3b,4b)、その閉鎖動作が停止して(ステップ5b)、その状態が正常な全閉停止状態とみなされる。
【0050】
また、図2及び図3に示す制御例では、座板感知部からの感知信号の有無を判断することにより、座板感知部の故障の有無を認識できるようにしたが、他例としては、図4に示す制御例のように、座板感知部の故障の有無を認識しない態様とすることも可能である。
【0051】
図4に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートに対し、ステップ2をステップ2’に、ステップ5をステップ5’に、ステップ3aをステップ3a’に、それぞれ置換した構成としてある。
その置換されたステップのみ詳細に説明すれば、ステップ2’では、下限タイマーによるカウントを開始するとともに、座板感知部を無効にする。
ステップ5’では、下限タイマーによるカウントを停止するとともに、座板感知部を有効にする。
ステップ3a’では、下限タイマーがカウントアップした場合にステップ4aへ処理を進め、そうでなければステップ3へ処理を戻す。
【0052】
すなわち、図4に示す制御例によれば、先ず、閉鎖動作中の開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲Hに進入すると、下限タイマーによるカウントが開始されるとともに座板感知部が無効にされる(ステップ1,2’)。
その後、停止スイッチ51b等による停止指令がある場合には、開閉体10の閉鎖動作及び下限タイマーによるカウントを停止するとともに座板感知部を有効にし(ステップ4,5’)、その後、閉鎖指令の入力があることを条件に開閉体10の閉鎖動作を再開し(ステップ6,7)、その閉鎖動作中、座板感知部の感知信号があることを条件に開閉体10を反転して開放動作し(ステップ8,9)、その後、全閉手前位置感知部による感知信号がなくなったことを条件に前記開放動作を停止する(ステップ10,11)。
【0053】
また、停止スイッチ51b等による停止指令がない場合には、開閉体10の閉鎖動作、下限タイマーによるカウント及び座板感知部の無効を継続した状態において、下限タイマーがカウントアップするのを待ち、カウントアップしたならば開閉体10の閉鎖動作を停止し(ステップ3a’,4a)、その状態を全閉停止状態とみなす。なお、ステップ4aの後、次の開閉動作に備えて座板感知部を有効にすることが好ましい。
【0054】
また、図4に示す制御例においても、図3に示す制御例と同様に、ステップ11の後に上記ステップ12を実行して、処理をステップ1に戻すようにしてもよい。
【0055】
また、本願発明は、開閉体10の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲Hよりも開放方向側にある場合の制御を限定するものではないが、一例として、開閉体10の閉鎖方向端部が前記所定範囲Hよりも開放方向側にある場合には、座板感知部を常時有効にし、開閉体10の閉鎖動作中に、座板感知部による感知信号があった場合には、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物等に当接したものとみなして、開閉体10を停止・反転して所定時間だけ開放動作した後に停止する(所謂タッチアップ動作を行う)。
【0056】
また、上記座板感知部は、開閉体10の閉鎖方向端部が当接対象部位pに当接したことを感知可能な構成であれば上記実施の形態以外のものであってもよく、例えば、開閉体10の閉鎖方向端部に下方からの押圧力によって感知信号を出力するセンサ(例えばテープスイッチ等)を設けた態様等としてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態によれば、制御部50に入力される閉鎖指令を、操作部51の閉スイッチ51cの接点信号としたが、他例としては、この閉鎖指令をリモコン装置や図示しない他の操作回路から発せられる信号とすることが可能である。
【0058】
また、図2〜図4に示す制御例において、全閉停止状態の時は、例えば開操作などの所定の操作による開放指令があるまで、閉操作等による閉鎖指令を無効にするようにしてもよい。この構成によれば、全閉停止状態においては、閉操作等による閉鎖指令があっても無視され、その全閉停止状態が維持される。
【0059】
また、他例として、図2〜図4に示す制御例において、全閉停止状態の時は、閉操作等による閉鎖指令を有効にしたまま、座板感知部を有効にした上で、上記ステップ6へ処理を移行するようにしてもよい。この構成によれば、全閉停止状態において、閉操作等による閉鎖指令があった場合には、前記ステップ6〜11の処理により、開閉体10が所定範囲Hよりも若干開放方向側となる位置まで開放動作して停止する。
【符号の説明】
【0060】
10:開閉体
12:可動座板(座板感知部)
30:巻取装置
40:開閉機
41:カウンタ式リミットスイッチ(全閉手前位置感知部)
50:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖方向端部が全閉手前の所定範囲内にあることを感知する全閉手前位置感知部と、前記開閉体の閉鎖方向端部が閉鎖方向側の物体に当接したことを感知する座板感知部と、前記開閉体を制御動作する制御部とを備え、前記開閉体の閉鎖動作中、前記全閉手前位置感知部による感知信号があった際にタイマーによる所定時間のカウントを開始し、前記タイマーのカウントアップにより前記開閉体が全閉したものとみなして前記閉鎖動作を停止するようにした開閉装置において、
前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作中であって前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力がある状態において、停止指令の入力があった場合には、前記開閉体の閉鎖動作及び前記タイマーによるカウントを停止し、その後、閉鎖指令の入力があることを条件に前記開閉体の閉鎖動作を再開し、その閉鎖動作中、前記座板感知部の感知信号があることを条件に前記開閉体を反転して開放動作し、その後、前記全閉手前位置感知部による感知信号がなくなったことを条件に前記開放動作を停止することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記開放動作の停止に続けて、前記開閉体を閉鎖動作することを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記開閉体の閉鎖動作中であって前記全閉手前位置感知部による感知信号の入力がある状態において、停止指令の入力がない場合には、前記座板感知部による感知信号がなく且つ前記タイマーがカウントアップしたことを条件に、前記開閉体を停止するとともにその停止状態を異常状態とみなし、前記座板感知部による感知信号があり且つ前記タイマーがカウントアップしたことを条件に、前記開閉体を停止するとともにその停止状態を正常な全閉停止状態とみなすことを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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