説明

間仕切りカーテン

【課題】編地部と紐状ウエーブ部を交互に有する安価な間仕切りカーテンを実現する。
【解決手段】複数の経糸とその経糸より太い複数の緯糸で編地を構成する編地部2と、緯糸のみで構成する部分1とを、交互に編み機での横方向の編み幅方向に設けてその両サイドは編地部2として、それらの横方向の幅の合計は一度に編み上げる編み機上の横方向の編み幅とし、この編み構成を縦方向に成長させて編みあげた間仕切りカーテン生地であり、編地部2を所定間隔に狭めて吊り下げて使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家屋の窓等でその屋内側に使用したりあるいは屋内で間仕切りに使用したりする間仕切りカーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の家屋で使用するカーテンは、カーテンにドレープ状襞やウエーブをつくり、美観の向上を図っている。特にホテル、レストラン、式場、劇場、ホール等ではこの種の間仕切り、カーテンが広く使用されている。本発明の関わるスタイルは、業界ではローマンシェードスタイルの中の、バルーンシェード、オーストリアンシェードに属するものである。そのようなカーテンは一般に制作費が高価となる問題があつた。本発明はこの問題を解決し、更に同分類のカーテンには無いシンプル性を有しながら美観の向上を図ろうとするものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の第一は図5に示すようなソフトな織物のベタ生地を用い縫製で横間隔が20から50cm程度の一定間隔にたぐり上げるようにしてたるみ襞やウエーブをとるものである。これは図5の▲7▼の縫製部とした部分である。そして図5の▲6▼はその結果としてたるみ襞やウエーブが作られた部分に相当する。しかしこの種のものは縫製で行うため、高価であり、また縫製の制限から丈が2.5m、幅が3mのものまでのサイズしかできなかった。
従来技術の第二は図3に示すように横方向全体を編地構成とした後に編地部は両サイドとし、それ以外は縦紐のみとしたものを交互に繰り返して編み上げていき最後に横方向全体を編地構成として編み上げるもので、これを図4の如く図3の位置から90°回転させて両サイド部であった編地構成部分を縫製加工で、たごませて吊り下げることで紐部にウエーブ、襞を作り間仕切りカーテンとするものである。しかし次のような欠点があった。
1)編み機で同時に編み上げる横方向の編み幅が、カーテン等に使用時は90°回転させて使用するため、縦方向のカーテンの丈となる。編機の横幅は約3Mのため、カーテンの丈が一定長となり、例えば所望のカーテンの丈がそれより短い場合は切断して使用するので価格が高くつくことになる。その逆の場合は、不可能あるいは、連結縫製となり、やはり価格高あるいは美観に問題があつた。
2)本発明のごとく緯糸を編み込むことのできる編み機では編み機の幅は3m程度と短いため緯糸は経糸に対して自由であり、太い紐状のものも使用できるが、従来技術の編み地は経糸のみを使用する編み機のため、経糸は使用する糸の太さに制限があり、太い紐状の糸の使用は困難がある。このためこの経糸のみで構成された紐状部分は90°回転させて吊り下げた時、糸の太さが不足して紐状からは程遠く、綺麗なウエーブが出ない。
本発明はこれらの問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明を実現するには以下の手段による。
「手段1」
緯糸を編み込むことができる編み機を使用し、複数の経糸とその経糸より太い複数の緯糸で編地を構成する編地部と、緯糸のみで構成する部分とを、交互に編み機での横方向の編み幅方向に設けてその両サイドは編地部として、それらの横方向の幅の合計は一度に編み上げる編み機上の横方向の編み幅とし、この編み構成を縦方向に成長させて所望の長さに編みあげた間仕切りカーテン生地であり、且つ編地端部で所定間隔に狭めて吊り下げて使用することを手段とする間仕切りカーテン。
「手段2」
手段1で複数の経糸とその経糸より太い複数の緯糸で編地を構成する編地部の横幅と緯糸のみで構成する部分の横幅の比が編み機上で1:8〜1:10であることを手段とする間仕切りカーテン生地。
「手段3」
手段1で経糸の太さが75デニール以上400デニール以下、緯糸の太さが600デニール以上3000デニール以下であることを手段とする間仕切りカーテン生地。
【発明の効果】
【0005】
上記の手段を実施することによって、本発明は以下の効果を有する。
1)編み機で同時に編み上げる横方向の編み幅が、カーテン等に使用時も横方向のカーテンの幅となるため、編み機で対応できる幅以上の場合は縫製で繋ぐことが可能である。また縦方向はカーテンの丈方向となるため、反物を自由に裁断することによって丈対応が可能である。
2)編み機では緯糸は編み機の幅は3m程度と短いため経糸に対して自由であり、太い紐状のものも使用できる。このためこの緯糸のみで構成された部分はカーテンとして吊るした場合、紐状にすることができ、綺麗なウエーブが出せる。
3)従って経糸に対し緯糸は十分に太くあるいは柔らかい糸で編まれるため、緯糸のみで構成する部分の風合いやボリウム感が出せる。経糸を75から400デニールに対し緯糸の太さを600から3000デニールとすることでその効果は顕著になる。編み糸のサイズの単位としてデニールを用いるが1デニールとは1グラムの重量の糸材を9000mに引き伸ばした時の糸のサイズをいう。
4)編地部の横幅と緯糸のみで構成する部分の横幅の比を1:8から1:10とすることで緯糸のウエーブ美観を顕著に出せる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の構成を示す図
【図2】本発明の図1を吊るした図
【図3】従来技術構成を示す図
【図4】従来技術の図3を90°回転させた位置で吊るした図
【図5】従来技術構成を示す別図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下図面によって説明する。
【実施例】
図1は本発明を適応した図であり、編み機により編み上げた図である。図1で▲1▼は緯糸のみで構成する部分、▲2▼は編地部である。aは緯糸と経糸により編地を構成した部分▲2▼の横幅、bは緯糸のみで構成された部分の横幅、cはこれらのa幅部とb幅部を交互に横方向に繰り返し配置したトータルの幅で編み機の幅方向である。このとき両サイドはa部の編地部で構成される。d部は編み機の編み方向の長さでありカーテンや間仕切りとして使用したときの垂直方向の長さである。
図2は図1のものをカーテンや間仕切りとして使用するために垂直に吊るした図である。この場合、各編地部を寄せて吊るすと緯糸のみで構成された▲1▼部分は緯糸が撓んでウエーブ状になる。この理由は各編地部は経糸と緯糸が絡み合った編地となり重力に対し変形しないが、緯糸のみの部分は重力の影響で撓んでウエーブ状となるためである。このため装飾性を持つカーテンや間仕切りとして適したものとなる。即ち緯糸のみの部分は繰り返すウエーブを有して布地のみのカーテン等に対して変化と美観を創出する。また通気性、採光性、透過性でも編地部に対し変化に富むものとなる。
また緯糸同士でも自由度が高く、一種類でなく数種類の緯糸を使用することもできる。
一般にこれらの緯糸や経糸は難燃ポリエステル材が用いられる。
【0008】
図1及び図2の本発明品は編み機で同時に編み上げる横方向の編み幅が、カーテン等に使用時も横方向のカーテンの幅となる。編み機で対応できる幅以上の横幅を必要とする場合は縫製で繋ぐことが可能である。編地の縦方向はカーテンの丈方向となるため、反物を自由に裁断することによって丈対応が可能である。
本発明品に使用する編み機は従来の編み機が経糸のみで編地を構成するのに対して、経糸と緯糸で編地を構成する編機を使用するため、その緯糸には糸の種類、太さの選択は自由にできる。このため、この緯糸に紐状の糸を使用することにより、緯糸のみの部分を設ければカーテンとして吊るした場合、紐状にすることができ、綺麗なウエーブが出せる。経糸に対し緯糸は十分に太く、あるいは柔らかい糸で編まれるため、緯糸のみで構成する部分の風合いやボリウム感が出せる。実際に編んでみると経糸を75から400デニールに対し緯糸の太さを600から3000デニールとすることでその風合いやボリウム感効果は顕著になる。実際的に、編地部の横幅aと緯糸のみの部分の横幅bの比a:bを1:8から1:10とすることで緯糸のウエーブ美観を顕著に出せる。
【0009】
従来技術の第一は図5に示すようなソフトな織物のベタ生地を用い縫製で横間隔が20から50cm程度の一定間隔にたぐり上げるようにしてたるみ襞やウエーブをとるものである。これは図5の▲7▼の縫製部とした部分である。そして図5の▲6▼はその結果としてたるみ襞やウエーブが作られた部分に相当する。しかしこの種のものは縫製で行うため、高価であり、また縫製の制限から丈が2.5m、幅が3mのものまでのサイズしかできなかった。
【0010】
従来技術の第二は図3に示すように経糸のみで編み地を構成する編み機を使用し、▲3▼なる経糸による紐状部分と▲4▼なる経糸による編地部で、横方向全体幅eを編地部とし、その長さをgまで編んだ後に編地部は両サイドの幅f部とし、それ以外は▲3▼なる経糸による紐状部分のみとし、縦長hまでとしたものを交互に繰り返して編み上げていき、最後は最初と同じく横方向全体を経糸による編地部として全長iまで編み上げるものである。これを図4の如く図3の位置から90°回転させて上端部の▲5▼で縫製加工等で、たごませて吊り下げることで紐部にウエーブを作り間仕切りカーテンとするものである。しかし図3、図4のものは前述したような欠点があった。即ち編み機で同時に編み上げる横方向の編み幅が、カーテン等に使用時は縦方向のカーテンの丈となるためカーテンの丈が一定長となり、例えば1.8mが所望のカーテンの丈である場合でも一定長3mものから裁断して使用するので価格が高くつくことになる。丈が3m超の場合は不可能となり市場性がない。また、経糸のみで編地を構成する編機の場合、紐状部分は経糸のみで編まれるため、かなり太い糸を使用して紐状部分を構成する必要があり、その糸が編地部を構成する部分にも使用されるため、密度のあるしっかりした編地が構成されず、編地部と紐状部のバランスも悪く、商品価値が著しく低下する。このため経糸による紐状部分はカーテンとして吊るして横方向に配置しても糸の太さが不足して紐状からは程遠く、綺麗なウエーブが出ないという問題があった。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明により作られる間仕切り、カーテンは編地部とウエーブ紐部の2種類の風合いを生かしながら、安価で、実用性、優美性、品質の均一性備えたものであるので、工業的に大きな貢献が期待される。
【符号の説明】
【0012】
▲1▼ 緯糸のみで構成する部分 ▲2▼ 編地部、▲3▼ 経糸による紐状部、▲4▼ 編地部、▲5▼ たごませ吊り下げ部、▲6▼ ソフトな生地部、▲7▼ 縫製部
a 編地部横幅、b 緯糸部横幅、c 全横幅、d 編み方向長、e 全横幅、f 両サイド編地部横幅、g 編地部縦幅、h 経糸による紐状部縦幅、i 縦幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の経糸とその経糸より太い複数の緯糸で編地を構成する編地部と、緯糸のみで構成する部分とを、交互に編み機での横方向の編み幅方向に設けてその両サイドは編地部として、それらの横方向の幅の合計は一度に編み上げる編み機上の横方向の編み幅とし、この編み構成を縦方向に成長させて所望の長さに編みあげた間仕切りカーテン生地であり、且つ編地端部で所定間隔に狭めて吊り下げて使用することを特徴とする間仕切りカーテン。
【請求項2】
請求項1で複数の経糸とその経糸より太い複数の緯糸で編地を構成する編地部の横幅と緯糸のみで構成する部分の横幅の比が編み機上で1:8〜1:10であることを特徴とする間仕切りカーテン生地。
【請求項3】
請求項1で経糸の太さが75デニール以上400デニール以下、緯糸の太さが600デニール以上3000デニール以下であることを特徴とする間仕切りカーテン生地。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−264205(P2010−264205A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135532(P2009−135532)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(593071823)株式会社黒沢レ−ス (13)
【Fターム(参考)】