説明

間仕切内埋設暖冷房システム

【課題】 住宅の間仕切空間内に、温冷水循環タイプの暖冷房システムを、組込み及びメンテナンス容易に埋設配置する。

【解決手段】 間仕切WA内の間柱6B間に、上下ヘッダー1間に縦パイプ2C群を連通した放熱パネルを2枚重層一体化連通した放熱器Heを吊下げ形態で保持し、放熱器Heの下側にはドレンパン3Aを配置し、間仕切WAの両側の居室に対して放熱作用を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の間仕切壁内に放熱器を埋設配置した暖冷房システムに関するものであり、より詳しくは、木造又は鉄骨造又は鉄筋コンクリート造建物の壁下地の間仕切壁内に、プラスチック樹脂製の温冷水循環放熱器を吊下げ形態で配置したもので、放熱器によって、間仕切壁の両側の居室に対して、温水循環による室内暖房と、冷水循環による室内冷房を可能とした、暖冷房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、居室内の暖房手段として、壁面に放熱体を配置する手法は、各種提案、実施されている。
図7は、従来例1であり、特許文献1として挙げた本出願人の提案にかかる隠蔽温水暖房システムの説明図である。
即ち、図7(従来例1)の隠蔽温水暖房システムは、軽量鉄骨間仕切壁を構成するスタッド間に、アルミ板と嵌合溝を穿設した断熱材とを積層一体とした放熱パネルを配置し、可撓性のプラスチック樹脂性の温水パイプを、アルミ板面に当接形態で、断熱材の嵌合溝内に屈曲延展配置して、天井配置の、往き管を温水パイプの一端に、戻り管を温水パイプの他端に接続し、間仕切壁のアルミ板面の温水加熱によって、アルミ板面側の居室内を暖房するものである。
【0003】
また、図8は、従来例2であって、特許文献2として挙げた壁面暖房システムである。
即ち、従来例2(図8)は、図に示す如く、調湿機能を有する火山灰シラスを主成分とする壁材に温水パイプを組込み、壁材の外面に、ホットメルト糊で、タイル、石膏ボード等を張着したパネルを、パネルの壁材面を壁室内面とし、パネル内の温水パイプに外部の温水器から温水を循環供給して、壁材面側の室内を温水暖房するものである。
【0004】
また、図9は、従来例3であって、特許文献3として挙げたビルトインタイプ温水暖房システムである。
即ち、図9(従来例3)は、出窓の窓下コンクリート壁面に凹所を形成して、凹所壁面の前面に、断熱材を介してスペーサーを配置し、スペーサー内には、前面側に輻射板を有し、背面側にフィンを有するパネルタイプの放熱器を配置し、且つ放熱器下方には、冷気導入用の斜板を配置し、温水パイプで放熱器に熱供給し、放熱器の前面の居室を暖房するものである。
【0005】
また、従来例4として挙げた図10は、特許文献4として開示した本願出願人の提案に係る放熱器であって、壁内隠蔽は出来ないものであるが、全プラスチック樹脂製放熱部を採用したものである。
即ち、図10に示す放熱器は、プラスチック樹脂製の縦パイプ群を上下の大径緯パイプで連通した2枚の放熱パネルを重層形態で一体化して放熱部とし、該放熱部の上下、左右の四周に、上枠、側枠、下枠、上接合具及び下接合具で枠組みを付加して、熱効率及びデザイン性に優れた居室内配置タイプの放熱器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−170532号公報
【特許文献2】特開2004−163051号公報
【特許文献3】特開平11−108379号公報
【特許文献4】特開2009−222297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例1(図7)の隠蔽温水暖房システムは、間仕切壁内に収納出来、壁のアルミ板面側の居室に対する放熱暖房が実施出来るだけであり、しかも、放熱パネルは、両側の軽量鉄骨間仕切のスタッド(間柱)間(標準:455mm)を2ヵ所使用し、可撓性のプラスチック樹脂パイプを上下屈曲延展配置するもので、プラスチック樹脂パイプのフープストレスでの曲げ半径の限界の制約を受けるため、パイプ間隔は狭く出来ず、開示の8本配置が限度であり、放熱量が少ない。
そして、放熱量の増大を図って放熱パネル面を左右に増加すれば、家具配置の制約が大となる。
【0008】
また、放熱パネルと壁仕上材とが面当接しているので、放熱パネルは、熱伝導により、軽量鉄骨間仕切及び壁仕上材に熱分散してからの輻射熱伝達となるため、熱効率が悪い。
また、温水パイプ内に冷房用の冷水を循環させれば、温水パイプの周面に結露が生じ、結露水は、断熱材及び壁仕上材に吸着し、放熱パネルを収納する間仕切内には、ダニ、カビの発生を来たす。
そして、放熱パネルを収納する間仕切内は、放熱パネルによって上下分断しているため、間仕切内は、ガラリによる室内空気の流入、流出効果が少なく、結露水を吸着した壁仕上材の乾燥効果が期待出来ない。
従って、従来例1(図7)の隠蔽型温水暖房システムでは、結露の発生を伴なう冷房運転は実施出来ない。
【0009】
また、従来例2(図8)の温水暖房は、壁面暖房であるが、壁材面側の居室のみの暖房であり、しかも、温水パイプからの熱伝導によって、隣接する壁材、及びパネルを支持する、例えば、コンクリート壁、に熱が分散されるので熱効率が悪い。
また、温水パイプを封入している調湿機能を有する壁材が、温水パイプ内の高温水によってヒビ割れ等の加熱損傷を生ずる。
しかも、温水パイプを封入したパネルは重く、暖房壁面の連続形成は、施工面、コスト面で問題があり、仕上材も、輻射波の放射率の大な材料に限定される。
【0010】
また、従来例3(図9)の温水暖房システムにあっては、放熱器の前面の居室のみの暖房が可能であり、しかも、放熱器がフィンを有する広幅のパネル式であるため、通常の金属製放熱パネルの配管同様に、金属製放熱器を、温水に含まれる酸素による腐蝕を抑えるために、温水パイプには酸素を透過させない高価な樹脂管、又は銅管を使用する必要があり、温水ボイラーにも、酸素の混入を防ぐ高価な密閉式の採用が必要となり、コスト面、管理面上の問題がある。
しかも、ビルトイン配置のため、出窓床面の前部のスペースが必要であって、適用居室が制約される。
そして、出窓床面に蓋部を設けて対流熱を上昇させるため、配置場所が限定され、放熱器を隠蔽するために、建物を構成する暖房装置以外の、躯体、外装、断熱等の面でのコストも発生し、壁の両面の暖房に適用出来ないものである。
【0011】
また、従来例4(図10)の放熱器は、放熱パネル自体は、全プラスチック樹脂製で、輻射熱放熱に優れたものであるが、居室内配置用に開発されたものであり、該放熱器は、間仕切内に隠蔽埋設出来ないものである。
本発明は、これら従来例の問題点を、一挙に解決、又は改善するものであって、間仕切壁内への、最適の収納の下に、結露対策をも備えた、間仕切壁の両側の居室の暖房にも冷房にも適した、且つ放熱量の極めて高い、暖冷房システムであって、従来の壁暖房システムの概念を一新する、新規で、意匠効果も期待出来る、実用性に富んだ暖冷房システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の間仕切内埋設暖冷房システムは、例えば、図1に示す如く、木造、鉄骨造又は鉄筋コンクリート造建物の、壁下地の間仕切WAの間柱6B間の空間O内に、プラスチック樹脂製放熱器Heを収納した温冷水循環タイプの暖冷房システムであって、放熱器Heは、上下ヘッダー1間に縦パイプ2C群を密集並列連通した、第1放熱パネル101と、第2放熱パネル102とを重層形態で一体化して、一方の放熱パネルの上側ヘッダー1からは供給口2Sを、他方の放熱パネルの上側ヘッダー1からは排出口2Rを突設したものであり、放熱器Heを間仕切WAの空間O内に吊下げ形態で保持し、放熱器Heの下側にはドレンパン3Aを配置し、間仕切WAの両側の居室に対して放熱作用を付与するものである。
【0013】
この場合、空間Oは、放熱器Heを収納して放熱器Heから放熱する熱空間であり、典型的には、間仕切WAの長さ方向両端を規定する左右間柱6Bと、左右間柱6B間に差渡した上桟6Kと下桟6Kとで上下左右を区画規定する空間である。
そして、空間O内で発生した放熱器の熱エネルギーを有効に間仕切WA両側の居室に放出するために、空間(熱空間)Oを規定する左右の間柱6B及び上下の受桟6Kの内周面には、輻射波反射層8Dを配置するのが好ましく、典型的には、慣用のアルミ箔を張着しておく。
【0014】
また、放熱器Heは、典型的には、図3に示す如く、ポリプロピレン、ランダム、コポリマー樹脂(PP−R樹脂)製で、上下長さh1が2000mm、左右幅L1が350mm、厚さW1が58.5mmの、縦長薄形状で、熱輻射波の吸収放射率が0.95の能力を備えたものであり、細くて長い縦パイプ2Cは剛体でないため、且つ熱伸縮するため、放熱器Heは吊下げ形態で保持することにより、熱伸縮に対応出来るのである。
そして、放熱器Heの吊下げ保持は、空間Oの上面を規定する上桟6Kから吊具を介して保持しても良いが、典型的には、図2に示す如く、空間Oの両側面を規定する間柱6Bに固定した吊金具11によって、上側ヘッダー主管2Aの下面を支承する。
【0015】
また、放熱器Heの配置は、暖冷房対象の放熱居室空間が、1室の場合は、壁から居室内に直交突出する小壁によって壁内収納空間Oを形成しても良く、放熱居室が3室の場合は、間仕切壁のT字状部を収納空間Oとすることも可能であるが、典型的には、図1に示す如く、表裏の間仕切WAの中に収納する。
また、間仕切空間O内に配置した放熱器Heは、露出形態で表裏両室へ熱放出すれば、施工面、熱効率面で有利である。
【0016】
しかし、仕切壁の目隠し機能を維持したい場合は、放熱器Heを収納した空間Oの一面又は両面を、輻射波の吸収反射率が0.9前後の各種プラスチック板、ビニール張り石膏ボード、で閉止すれば良く、典型的には、図1に示す如く、デザイン性、加工性に優れ、同厚のガラス板の200倍の強度を備えた5mm厚の不透明ポリカーボネート樹脂板で空間Oの表裏両面を覆うものであり、この場合、暖冷房システムは、表裏両面が均等な外観を呈し、施工性、メンテナンス性、インテリアデザイン性に優れた、実用性の高い暖冷房システムを提供する。
【0017】
また、ドレンパン3Aは、放熱器の、特に冷房時に、縦パイプ2C群の外周に発生した結露水を収集するもので、放熱器Heの、前後幅(標準:58.5mm)及び左右全長(標準:350mm)をカバーする受皿形態であって、排水の集まる位置に、慣用の排水管と接続するためのドレンパイプを突出したものであれば良く、典型的には、図5(B)に示す如く、深さh3が25mm、幅W3が80mm、長さL3が390mmの、プラスチック樹脂製品である。
【0018】
従って、本発明の暖冷房システムは、放熱器Heが間仕切WAのスペースを有効に利用した配置であって、表裏両面から放熱作用を奏するため、間仕切WAの両側の居室に対するスペース面での干渉を生ずること無く、両側の居室を暖冷房出来る。
そして、放熱器Heが、プラスチック樹脂製の第1放熱パネル101と第2放熱パネル102の重層形態であること、及びプラスチック樹脂は熱輻射波の吸収放射率(標準:0.95)が高いことにより、間仕切WAの両側居室に、熱輻射波を有効に放射し、人体に心地良い暖冷房を全スペースに亘って提供する。
【0019】
また、放熱器Heが輻射波放熱器であるため、放熱器Heの前面、及び/又は、後面に、熱輻射波の吸収放射率の高い(0.9前後)各種プラスチック板、ビニールクロス張り石膏ボード、ガラス板等を需要者の好みに応じて選択配置することにより、仕切壁機能とインテリアデザイン効果を備えた暖冷房システムが提供出来る。
そして、放熱器Heはドレン手段を備えているため、間仕切WA内埋設形態でありながら、冷房作用による結露に対応出来、カビやダニの発生を抑制する衛生的な暖冷房システムとなる。
【0020】
また、本発明の埋設暖冷房システムにあっては、放熱器Heは、図1に示す如く、両側の間柱6Bと、間柱6B間に差渡した上下受桟6Kとで規定される空間O内で、上側ヘッダー1を、間柱6Bに固定した吊金具11によって、熱伝達抑制形態に支承し、下側ヘッダー1を、間柱6Bに固定したプラスチック樹脂製の保持具5によって、前後左右動を抑制して保持するのが好ましい。
【0021】
この場合、吊金具11は、左右両側の間柱6Bに取付けて、上側ヘッダー1の左右両端を支承すれば良く、吊金具11のヘッダー1との当接面に慣用の断熱シートを介在すれば良いが、典型的には、吊金具11は、図4(A),(B)に示す如く、間柱6Bに固定するためのねじ孔H11を備えた、幅W11が77mmで高さh11が50mmの垂直辺11Fと、垂直辺11Fの下端から側方へ突出した、垂直辺と同幅の水平辺11Bとから成り、水平辺11Bは、第1放熱パネル及び第2放熱パネルの2本のヘッダー主管2A支承用の、突出長L11が75mmの底辺11D、及び両側の曲面側辺11Sを備え、且つ底辺11Dの幅中央に、第1放熱パネル及び第2放熱パネルの継手枝管2Bの入り込む、幅が50mmで深さが40mmの切欠11Gを備えた鋼板製であって、垂直辺11Fの内面及び水平辺11Bの上面に、慣用の断熱シート11Mを貼着したものである。
【0022】
また、保持具5は、左右両側の間柱6Bに取付けて、下側ヘッダー1の左右両端を、前後方向の振れ及び左右方向の振れが抑制出来れば良く、典型的には、図4(C),(D)に示す如く、プラスチック製で、ねじ孔H5を備えた一辺W5が40mmの垂直板5Fの中央から、第1放熱パネルと第2放熱パネルの継手枝管2B間に嵌入する、長さ50mm、太さ13mmのパイプ片5Pを突出し、パイプ片5Pの外周に、スリーブ突起5Eを備えた円板5Rを摺動自在に嵌合し、パイプ片5Pを第1放熱パネルの継手枝管2Bと第2放熱パネルの継手枝管2B間に挿入して、放熱器He下端の、前後揺動を阻止し、且つ円板5Rを継手枝管2Bの側面に当接し、円板5Rと一体のスリーブ突起5Eをパイプ片5Pに固定して、円板5Rで左右動を阻止するものである。
【0023】
従って、熱伸縮する細くて、長い縦パイプ2C群を備えた放熱器Heは、吊金具11によって、吊下げ形態の保持となって、熱伸縮変位に対応出来、放熱器Heの下端も、保持具5によって、前後揺動及び左右動が規制されるため、狭い前後幅W6(標準:105mm)の間仕切WA内への、上下長さh1(標準:2000mm)の長くて前後変位し易い放熱器Heの収納が、支障無く収納出来る。
しかも、吊金具11は、放熱器Heを断熱シートで熱伝達抑制形態で保持するため、吊金具11に結露の発生は無く、保持具5も全プラスチック樹脂製であるため結露の発生は無く、放熱器He収納空間O内では、湿潤によるカビやダニの発生も抑制出来る。
【0024】
また、本発明の暖冷房システムにあっては、ドレンパン3Aは、図2、図5に示す如く、プラスチック樹脂製であって、内表面及び外表面を断熱被覆して間柱6Bに固定した支持金具12によって、下桟6Kの上面とは空気流間隔S1を保ち、放熱器He下端面とは人手挿入間隔S2を保って支持するのが好ましい。
この場合、支持金具12は、左右両側の間柱6Bに固定した一対で、ドレンパイプ3Bの両端が支持出来、且つ結露を生じなければ良く、典型的には、図5に示す如く、両側辺12Sと、ねじ孔H12を備えた中央取付辺12Fとを底板12Dに立設した、幅W12(標準:91mm)がドレンパン幅W3(標準:80mm)より大で、高さh12が15mm、長さL12が50mmの鋼板製であって、両側辺12S及び底板12Dの外表面に発泡ウレタン断熱層12M´を、内表面に断熱シート12Mを被覆したものである。
また、ドレンパン3Aの空間O内での上下位置関係は、典型的には、上桟6K上面との空気流間隔S1は20mm、ドレンパン3Aと放熱器He下端面との人手挿入間隔S2は50mmである。
【0025】
従って、支持金具12の一対を左右の間柱6B面に固定すれば、ドレンパン3Aの両端下面が支持金具12の底板12Dで支承出来、支持金具12の外表面の断熱被覆層12M´及び内表面の断熱被覆層12Mは、冷房作用時の支持金具12の表面の結露を抑制し、ドレンパン3Aと下桟6K上面との間隔S1を空気が流通するため、ドレンパン3A周囲の結露によるカビ・ダニの発生が抑制出来る。
また、ドレンパン3Aと放熱器He下端面との間隔S2(標準:50mm)の存在によって、ドレンパン3A内の清掃作業も容易となる。
【0026】
また、本発明の暖冷房システムにあっては、図1に示す如く、間仕切WAの間柱6B間の空間Oの表裏両面の、少なくとも一面は、熱輻射波の吸収放射率が0.9以上の不透明化粧板8Eで、周縁部からの空気流出入可能に覆い、放熱器Heの上側ヘッダー1から上部、及び下側ヘッダー1から下部は、透視不能に、且つ空間Oへの空気流出入可能に化粧幕板で覆うのが好ましい。
この場合、熱輻射波の吸収放射率が0.9以上の不透明化粧板8Eとしては、各種不透明プラスチック板、ビニールクロス張り石膏ボード、不透明ガラス板等が採用可能であり、典型的には、デザイン性、加工性に優れ、且つ同厚のガラス板の200倍の強度を備えた5mm厚の不透明ポリカーボネート樹脂板である。
【0027】
化粧板8Eの配置は、化粧板8Eの上下端及び左右端が空間O内への空気の流出、流入を許容する形態で、且つ空間O内の暖冷房システムを目隠しすれば良く、仕切壁内装材8A面より空気流出入間隔d8だけ張出し状に配置すれば良く、典型的には、図1に示す如く、化粧板8Eは、上端が上側受桟6Kの上面と面一で、下端が下側受桟6K上面より寸法d8´(標準:30mm)上方でドレンパン3Aの上半を覆うレベルであり、左右端が間柱6Bの外側面と面一であり、内装材8Aの表面より寸法d8(標準:20mm)だけ居室内に張出した形態で、ボルトb8と化粧ナットn8により、間柱6Bに、着脱自在に取付ける。
【0028】
そのため、室内者の目線からは、熱空間(空間)O内の暖冷房システムの存在が隠蔽出来、内装材8A面からの張出し寸法d8(標準:20mm)が化粧板8Eの周縁から空間Oと居室との空気の流入、流出を許容する。
この場合、化粧板8Eは、左右縁が間柱6Bの外側面と面一であるため、斜め方向からの目線でも、空間O内は目視出来ないし、下端縁は、ドレンパン3Aの上下中間レベルであるが、床材9A表面との間隔(標準:130mm)が小さいため、室内者の通常の目線では、空間Oの内部は見えない。
【0029】
また、この場合、化粧板8Eの配置は、典型的には、図1に示す如く、間仕切WAの熱空間Oの両面を対称形態に覆うため、熱空間Oの表裏面、即ち両側の居室面は、単に化粧板8Eのみが目視出来る機能美を呈し、表裏面は、同一のデザインで、同一の熱放出効果、同一のメンテナンス性を備えたものとなるが、片面、即ち一方の居室側の面は、図6に例示の如く、空間O内の見苦しい部位、即ち放熱器Heの上側ヘッダー1から上部、及び下側ヘッダー1から下部、のみを上方化粧幕板13A及び下方化粧幕板13Bで、化粧板8E同様に、間柱6Bから張出し形態で固定するか、或いは上下化粧幕板13A,13Bに空気孔Hcを穿孔して、空間O内への空気流入可能に覆い、空間Oの上下中間部を開放して放熱器Heの縦パイプ2C群のみを露出させても良く、この場合は、縦パイプ2C群は、幾何学的な機能美を呈し、放熱器Heの循環水を着色すれば、好みの色彩効果も加味出来、両側の居室で異なるデザイン効果が得られる。
【0030】
また、本発明の暖冷房システムにあっては、図2に示す如く、放熱器Heの供給口2S及び排出口2Rは、天井配管のサプライ管S及びリターン管Rと、空間O内で、接続金具2Nで接続して、接続金具2Nを保温材NCで被覆するのが好ましい。
この場合、天井配管のサプライ管S及びリターン管Rは、図2に示す如く、熱空間Oの上面を規定する上側受桟6Kのパイプ貫通用孔H6から垂下延出すれば良い。
従って、接続金具2Nには結露の発生が無く、放熱器Heの配管接続部位のメンテナンスも容易となり、天井配管と接続した放熱器Heは、空気溜りが防止出来て、室内での空気抜きメンテナンスが不要となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の暖冷房システムは、全プラスチック製の第1放熱パネル101と第2放熱パネル102とを重層一体化した放熱器Heを採用して、間仕切WAの間柱6B間の空間O内に埋設するため、間仕切WAに面する居室のスペースに干渉せずに、間仕切WAに面する両側の居室への暖冷房が提供出来る。
そして、間仕切WAは、前後幅W6(標準:105mm)が狭いが、上下高さが天井面から床面まで十分な高さCh(標準:2400mm)であるため、放熱器Heは、十分な長さL1(標準:2000mm)が採用出来、従来の壁暖房からは想像出来ない高発熱量が得られる。
【0032】
また、放熱器Heは、全プラスチック樹脂製であって、プラスチック樹脂は熱線輻射波の吸収放射率が高い(標準:0.95)ため、本発明の暖冷房システムの放熱作用は、輻射放熱作用を主(標準:70%強)とし、対流放熱作用を従とする輻射熱暖冷房となるため、人体に不快感を与える強制空気対流の存在しない、静かで、居室内に均斉に放射暖冷房出来て、穏やかで、人体に優しい暖冷房を間仕切WAから提供する。
そして、放熱器Heが下部にドレン機構を備えているため、間仕切WA内での冷房も支障無い。
また、放熱器Heは、供給口2S及び排出口2Rが上側ヘッダー1上に存在するため、天井配管のサプライ管S及びリターン管Rとの接続と出来、放熱パネルHe内の循環温冷水経路に空気溜りの発生は無くて、放熱パネルHeの、室内での空気抜きメンテナンスから開放される。
【0033】
また、本発明の暖冷房システムは、放熱器Heが輻射波放熱器として放熱作用するため、放熱器Heの前面、及び/又は、後面に、熱輻射波の吸収放射率(標準:0.9)が高い、プラスチック板、ビニールクロス張り石膏ボード等の化粧板8Eを需要者の好みに応じ選択適用することにより、インテリアデザイン効果を備えた暖冷房システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明実施例の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は横断面図である。
【図2】本発明実施例の拡大縦断面図である。
【図3】放熱器Heの説明図であって、(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)は裏面図である。
【図4】放熱器の保持手段の説明図であって、(A)は放熱器Heを吊金具11で保持した状態の側面図、(B)は吊金具11の斜視図、(C)は放熱器下端を保持具5で保持した状態の側面図、(D)は保持具5の斜視図である。
【図5】ドレン機構の説明図であって、(A)はドレンパンの使用状態側面図、(B)はドレンパンの切欠斜視図、(C)は支持金具の斜視図である。
【図6】空間O内部隠蔽手段の説明図で、(A)は上下に化粧幕板を採用した部分横断面図、(B)は(A)の上部縦断面図、(C)は上下に有孔化粧幕板を採用した部分横断面図、(D)は(C)の上部縦断面図、(E)は格子を採用した部分横断面図、(F)は(E)の上部縦断側面図である。
【図7】従来例1の説明図であって、(A)は正面図、(B)は縦断側面図、(C)は横断面図である。
【図8】従来例2の説明図であって、(A)は正面図、(B)は要部縦断面図である。
【図9】従来例3の説明図であって、(A)は正面斜視図、(B)は要部縦断側面図である。
【図10】従来例4の説明図であって、(A)は全体斜視図、(B)は放熱部の部分拡大平面図、(C)は放熱部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔放熱器He(図3)〕
図3は、放熱器Heの説明図であって、(A)は左側面図、(B)は正面用、即ち第1放熱パネル101側から見た正面図、(C)は右側面図、(D)は裏面用、即ち第2放熱パネル102側から見た正面図である。
放熱器Heは、長辺が105mm、短辺が45mmの間柱6Bの中心間隔L6が455mmの間仕切間隔に配置する収納箱12内に組込むものとして準備する。
【0036】
放熱器Heの全体形状は、図3に示す如く、高さ(上下長さ)h1が2000mm、幅(左右長さ)L1が350mm、前後厚さW1が58.5mmで、上側主管2Aと下側主管2Aとの間に、多数の細い縦パイプ2C群を差渡し状に連通した、使用全パイプがプラスチック樹脂パイプから成る第1放熱パネル101と、第1放熱パネルと同一構造の第2放熱パネル102とを、前後に、第1放熱パネル101の主管2Aと第2放熱パネル102の主管2Aとを対向間隔gs(4.5mm)を保って、一体化したものである。
【0037】
放熱器Heの製作は、ヘッダー1として、ポリプロピレン、ランダム、コポリマー樹脂(PP−R樹脂)を用いて、外径dAが27mm、肉厚5mm、長さL1が350mmの主管2Aに、主管2Aと直交する外径17mm、肉厚3.6mm、長さ30mmの継手枝管2B群を、中心間距離20mmで突出した形態に射出成形で準備し、縦パイプ2CとしてPP−R樹脂の押出成形で、外径(dC)13mm、肉厚1.6mmの縦パイプ材を成形して、定寸に切断準備する。
【0038】
そして、各縦パイプ2C群を、上側ヘッダー1の継手枝管2Bと下側ヘッダー1の継手枝管2Bに融着接合して、上側ヘッダー1の主管2A上端面から下側ヘッダー1の主管2Aの下端面までの寸法h1、即ち放熱器Heの高さh1が2000mmの、同一構造の第1放熱パネル101及び第2放熱パネル102を準備する。
【0039】
また、放熱パネルは、図3(B)に示す如く、上側主管2Aの左右端、下側主管2Aの左右端には閉止板2Fを配置し、上側主管2Aには、一端から上方へ、縦パイプ2C材を切断したパイプ片を供給、排出口2S又は2Rとして連通突出し、上側主管2Aの他端では、左端の縦パイプ2Cと左から2番目の縦パイプ2Cの連通を遮断する仕切板2Pを配置する。
【0040】
そして、2枚の放熱パネルを、供給、排出口2S(2R)を同一位置に重ねて、上下の主管2A相互の間隔gs(4.5mm)を保って、2枚の放熱パネルを、供給排出口2S,2Rの反対側の上側主管2A間のみを連通パイプ2Dで連結し、他の3隅の主管2A間はスペーサーパイプ2Eで接続すれば、2枚重ねで、第1放熱パネル101の冷温水供給口2Sと第2放熱パネル102の冷温水排出口2Rとが同一位置で前後関係を保つ放熱器Heが得られる。
【0041】
得られた放熱器Heは、図3に示す如く、各縦パイプ2C間の隙間の間隔は7mmで、第1放熱パネル101と第2放熱パネル102との、縦パイプ2C群間の対向間隔gpが18.5mm、高さh1が2000mm、幅W1が58.5mmの全プラスチック樹脂製放熱器Heとなる。
そして、PP−R樹脂製の縦パイプ2C群は、人体に良いとされる3μm〜14μmの波長の輻射波を高い放射率(平均:0.95)で放射するため、輻射熱放熱器となる。
【0042】
そして、第1放熱パネル101の、一端の供給口2Sから下降流f1を注入すれば、第1放熱パネル上側主管2A内横流f2→縦パイプ下降流f3→下側主管2A内横流f4→他端縦パイプ上昇流f5→第1放熱パネル101から第2放熱パネル102への連通パイプ2D内連通流f6→第2放熱パネル102の他端縦パイプ2C内の下降流f7→下側主管2A内横流f8→縦パイプ2C内の上昇流f9→上側主管2A内横流f10→一端の排出口2Rからの上昇流f11、の経路で、第1放熱パネル101の供給口2Sから、2枚のパネル縦パイプ2C群を全て通過して第2放熱パネル102の排出口2Rに流出するものとなり、各縦パイプ2C群によって、第1放熱パネル及び第2放熱パネルから、面均斉な放熱作用を奏する放熱器Heとなる。
【0043】
〔熱空間O(図1〕〕
熱空間Oは、図1に示す如く、間仕切WA内の放熱器Heを収納する空間であって、左右間寸法は、中心間寸法L6が455mmで配置した両側の、前間柱6Bの対向内面が規定し、上下間寸法は、左右間柱6B間に差渡し配置した、上側受桟6Kの下面と、下側受桟6Kの上面とで規定された空間Oであって、前後幅は、間柱6Bの幅W6(標準:105mm)で規定されている。
【0044】
そして、熱空間Oを規定している間柱6Bの内面、上側受桟6Kの下面及び下側受桟6Kの上面には、慣用のアルミ箔を貼着して、輻射波反射層8Dとし、間柱6Bの幅中央位置の前面F側と後面B側には、図1に示す如く、化粧ナットn8螺着用のボルトb8を対称的に埋設配置し、上側受桟6Kには、天井配管のサプライ管S及びリターン管Rを垂下させるための貫通孔H6を穿設し、下側受桟6Kには、床下配管のプラスチック樹脂製排水管3C用の貫通孔H6を穿設しておく。
【0045】
〔吊金具11(図4(A),(B))〕
吊金具11は、熱空間Oを規定する両側の間柱6Bの対向内面に固定して、放熱器Heの左右両端を吊下げ形態で保持する金具であって、図4(A)は吊金具11が放熱器Heを保持した状態の右側部分の側面図であり、図4(B)は吊金具11の全体斜視図である。
【0046】
吊金具11は、肉厚2.3mmの鋼板製で、図4(B)に示す如く、幅W11が77mm、高さh11が50mm、長さL11が70mmで、ねじ挿入用孔H11を備えた固定用垂直辺11Fの下端から、底辺11Dの両側に曲面側辺11Sを備えた支承用水平辺11Bを突設し、水平辺11Bの底辺11Dの先端から幅50mm、深さ40mmのヘッダー嵌合用切欠11Gを形成し、垂直辺11F及び水平辺11Bの内面には慣用の断熱シート11Mを層着し、水平辺11Bの下面から側面に亘る外表面には、慣用の発泡ウレタンを吹付け塗布したものである。
【0047】
〔保持具5(図4(C),(D))〕
保持具5は、間柱6B内面下方に固定して放熱器Heの下端両側に嵌合し、放熱器Heの下端の、前後左右動及び浮き上りを阻止するものであって、図4(C)は放熱器Heに保持具5を嵌合した状態の側面図であり、図4(D)は保持具5の全体斜視図である。
【0048】
即ち、保持具5は、全プラスチック樹脂製であって、図4(D)に示す如く、間柱6Bへの取付用のねじ孔H5を備えた、一辺が40mm(W5)の肉厚3mmの垂直板5Fの中央から、外径13mm、長さL5が50mmのパイプ片5Pを突設して、パイプ片5P内には発泡ウレタンを充填し、パイプ片5Pの外周には、外径が35mmのフランジ状の円板5Rを前端に備えた長さ15mmのスリーブ突起5Eを摺動自在に嵌合し、突起5Eにはパイプ片5P上への調節止着用のねじ孔Hnを対向位置に配置して、突起5Eを、適宜位置で、プラスチック製釘5Nでパイプ片5Pに固定可能としたものである。
【0049】
〔ドレンパン3A及び支持金具12(図5)〕
ドレンパン3Aは、間柱6Bの内面に固定した支持金具12によって、放熱器Heの下方に保持し、放熱器Heの周面に発生した結露水を受けて、慣用の排水管3Cで排除するものであり、図5(A)は、ドレンパン3Aを支持金具12で支持したドレン機構部の一側端の側面図、図5(B)はドレンパン3Aの一側端部の斜視図、図5(C)は支持金具12の全体斜視図である。
【0050】
ドレンパン3Aは、図5(B)に示す如く、肉厚1.5mmのプラスチック樹脂製で、幅W3が80mm、高さh3が25mm、長さL3が390mmで、底板3Dの四周に立設側板3Sを備えた、断面C字状の、長方形の受皿であって、底板3Dの一側端部位には、外径13mm、肉厚1.6mm、長さ30mmのドレンパイプ3Bを溶着突設したものである。
【0051】
また、ドレンパン3Aを支承保持するための支持金具12は、図5(C)に示す如く、肉厚2.3mmの鋼板製で、幅W12が91mm、高さh12が15mm、長さL12が50mmであって、底板12Dの両側に立設側板12Sを備え、両側側板12Sの基端を立設取付辺12Fで一体化し、取付辺12Fには取付用のねじ孔H12を穿設したもので、内表面全面には慣用の断熱シート12Mを貼着し、底板12D及び両側板12Sの外表面に発泡ウレタン12M´を吹付け塗布したものである。
【0052】
〔暖冷房システムの構築(図1、図2)〕
間仕切WAの両側の間柱6Bと下側受桟6K及び上側受桟6Kとで区画規定された熱空間(空間)O内への暖冷房システムの収納構築は、図1に示す如く、熱空間Oに面した内装材8A、の端部は、慣用のプラスチック製のコーナーアングル8Cを配置して、内装材8Aの端縁の損傷を阻止しておき、上下長h1が2000mm、左右幅L1が350mm、前後厚W1が58.5mmの放熱器Heの、上側ヘッダー1の両端を、左右両側の間柱6B内面に固定した一対の吊金具11で支承し、下側ヘッダー1の両端を間柱6B内面に固定した一対の保持具5で保持し、放熱器Heの下方にドレンパン3Aを、間柱6Bに取付けた一対の支持金具11で、水勾配付与形態に支承し、ドレンパン3Aの下面から垂下突出したドレンパイプ3Bを床下の慣用の排水管3Cと接続する。
【0053】
そして、放熱器Heへ温冷水を供給するための、天井配管のサプライ管S及びリターン管Rを、上側受桟6Kのパイプ貫通孔H6から空間O内に垂下して、放熱器Heの供給口2S及び排出口2Rと接続金具2Nで接続し、接続金具2Nを保温材NCで被覆する。
次いで、収納した放熱器Heの表側F及び裏側Bには、左右幅L8が550mm、上下長さh8が2220mm、厚さが5mmの不透明なポリカーボネート樹脂板を、化粧板8Eとして、同一対称構造に、間柱6Bに埋設したボルトb8と化粧ナットn8で取付ける。
【0054】
この場合の各構成部材の寸法関係は、図2に示す如く、天井高さChが2400mmであって、床用合板9B上に固定した幅木8B(標準幅:75mm)の上面と、下側受桟6K上面とが面一で、ドレンパン3A下面と、下側受桟6K上面との間隔S1が20mm、ドレンパン3A上面と、放熱器Heの下端面との間隔S2が50mmであり、表裏の化粧板8Eは、上端が上側受桟6Kの上面と同一レベルで、下端が幅木8Bの上端、即ち下側受桟6Kの上面から空気流出入寸法30mm(d8´)上方を占め、左右端は両側間柱6Bの外側面と整合(図1(B)参照)し、且つ空間Oの両側に配置した間仕切壁内装材8A面から空気流出入寸法d8(標準:20mm)張出た関係である。
【0055】
得られた暖冷房システムにあっては、放熱器Heの保持構造は、上端では、図4(A),(B)に示す如く、水平辺11Bが、第1放熱パネル101及び第2放熱パネル102の、継手枝管2Bを切欠11Gに嵌入して、両側の曲面側辺11Sが2本のヘッダー主管2Aの側面を包む形態で、上側ヘッダー1の左右端を支承するため、放熱器Heの上端が左右動することはなく、且つ、吊金具11のヘッダー受容面、即ち内表面が断熱シート11Mを備えて放熱器Heからの熱伝達が抑制されていることと、吊金具11の外周面が断熱層(発泡ウレタン層)を備えているため、吊金具11の結露は抑制出来る。
【0056】
そして、放熱器Heの下端でも、図4(C)に示す如く、全プラスチック樹脂製の保持具5のパイプ片5Pが、表裏2層の放熱パネル(第1放熱パネル101及び第2放熱パネル102)の下端の対向継手枝管2B列の間に入り込んで放熱器He下端の前後揺動を阻止し、且つ円板5Rは、第1放熱パネル101及び第2放熱パネル102の外側端の継手枝管2Bの外面への当接形態で、円板5Rと一体のスリーブ突起5Eを、パイプ片5Pにプラスチック製釘5Nの打込みで固定し、放熱器He下端の左右動も円板5Rが阻止しているため、放熱器He下端を耐震性、耐熱伸長性に保持する。
【0057】
また、ドレン機構も、図5に示す如く、ドレンパン3Aが、内表面に断熱シート層を、外表面に発泡ウレタン層を備えた支持金具12で支承しているため、及びドレンパン3A底面と下側受桟6K上面間に空気流間隔S1(標準:20mm)を備えているため、支持金具12の結露を防止することと、空気対流とによって、ドレン機構部の湿潤及びカビ・ダニの発生が抑制出来る。
また、放熱器He上部の接続金具2Nも、保温材NCで被覆したため、結露の発生が抑制出来る。
【0058】
従って、得られた暖冷房システムは、暖冷房作用は、輻射波吸収放射率が0.95のPP−R樹脂製放熱器Heから、輻射波吸収放射率が0.9の化粧板8Eを透過して、居室全体に均斉に作用する輻射熱作用が主(70%強)で、化粧板8Eの、主として下端と上端とを経由する自然対流熱作用が従(30%弱)の放熱作用を発揮する、無風で、静かで、人体に心地良い、輻射熱暖冷房を発揮し、2層放熱パネルによる高い熱放散で、間仕切WAの両側の居室を均斉暖冷房し、冷房時にも結露を抑制して、カビ・ダニの発生が抑制出来る、衛生的で、放熱効果の高い暖冷房システムとなり、且つ間仕切WAの表裏面が同一形態であって、すっきりした、均等の機能美を呈して、外観上も、機能上も、従来の壁暖房から想像も出来ない画期的な暖冷房システムとなる。
【0059】
〔変形例(図6)〕
放熱器Heの隠蔽手段としては、実施例の表側(F側)裏側(B側)を同一の化粧板8Eで完全隠蔽する手段に換えて、意匠効果上、各種の変形手段の適用が可能である。
図6(A),(B)は放熱器Heの裏面(B)側に、上側幕板13A及び下側幕板13Bを適用した図で、(A)は一側部位の横断面図、(B)は上側縦断面図である。
即ち、上側幕板13Aで、放熱器Heの上側ヘッダー1より上部を、下側幕板13Bで下側ヘッダー1より下部を隠蔽目隠しするものであり、幕板13A,13Bは、実施例の化粧板8Eと同一材でも、異なる面材でも良く、空間Oの上部及び下部に空気溜りが生じない形態であれば良い。
【0060】
この場合は、表側(F側)は、化粧板8Eで全面目隠しであるが、裏側(B側)は、上下幕板13A,13B間は開放で、縦パイプ8C群は露出形態となる。
そして、裏側(B側)の居室内からは、長尺の縦パイプ群のみが露出して、幾何学的な機能美を呈することとなり、外観上も暖冷房の存在が目視出来、循環水に着色水を採用すれば、機能美+色彩効果の斬新な意匠効果が得られる。
【0061】
また、図6(C),(D)は、目隠し手段の第2変形例であって、(C)は一側部位の横断面図、(D)は上側縦断面図である。
即ち、第2変形例では、第1変形例の上側幕板13A及び下側幕板13Bとして厚手(標準:20mm)の天然木板を採用し、上側幕板13Aには、外方から内方に傾斜降下形態の、下側幕板13Bには、外方から内方に傾斜上昇の空気孔(標準径:12mm)を、間隔配置して、上下幕板13A,13Bを間柱6Bに当接形態で、着脱可能に固定するものである。
この場合、空気孔Hcは散在、且つ傾斜しているため、空気の流出入作用は奏するが、空間O内の見苦しい部位、即ち上側ヘッダーより上部、及び下側ヘッダーより下部、の隠蔽作用は果す。
勿論、上下幕板13A,13Bに、薄手の有孔板材を採用することも可能である。
【0062】
また、図6(E),(F)は、目隠し手段の第3変形例であって、図6(E)は一側部位の横断面図、図6(F)は上側部位の縦断側面図である。
第3変形例は、図6(E),(F)に示す如く、上側受桟6Kから下側受桟6Kに亘る熱空間O全面を、間隔平行配置した縦桟14B群と横桟14A群とで格子組みして被覆したものであり、縦桟14B及び横桟14Aの色彩、材質、格子目の寸法、形状等は、需要者の希望に応じて選択実施することにより、和室等、居室に適合したデザインとなり、本願発明の所期の目的は達せられる。
【0063】
尚、目隠し手段の変形例1、即ち図6(A),(B)、変形例2、即ち図6(C),(D)、及び変形例3、即ち図6(E),(F)の手段は、共に同一手段を表裏両面に適用することも、表裏に異なる目隠し手段を適用することも可能であり、本発明の間仕切内埋設暖冷房システムは、需要者の希望に応じた、壁面のインテリアデザインをも満足させられる、且つ人体に優しい輻射熱暖冷房システムを提供する。
【符号の説明】
【0064】
1 ヘッダー
2A ヘッダー主管(主管)
2B 継手枝管(枝管)
2C 縦パイプ
2D 連通管
2E スペーサーパイプ
2F 閉止板
2N 接続金具
2P 仕切板
2R 排出口
2S 供給口
3A ドレンパン
3B ドレンパイプ
3C 排水管
3D,12D,5D 底板
3S,12S 側板
5 保持具
5E スリーブ突起(突起)
5F 垂直板
5P パイプ片
5R 円板
5M´,11M´,12M´ 発泡ウレタン(断熱被覆層)
6B 間柱
6K 受桟
8A 内装材
8B 幅木
8C コーナーアングル
8D アルミ箔(輻射波反射層)
8E 化粧板
9A 床材
9B 床用合板
10 天井材
11 吊金具
11B 水平辺
11D 底辺
11F 垂直辺
11G 切欠
11M,12M 断熱シート(断熱被覆層)
11S 曲面側辺
12 支持金具
13A 上側幕板(化粧幕板)
13B 下側幕板(化粧幕板)
14A 横桟
14B 縦桟
101 第1放熱パネル(放熱パネル)
102 第2放熱パネル(放熱パネル)
b8 ボルト
He 放熱器
n8 化粧ナット
NC 保温材
O 熱空間(空間)
R リターン管(戻り管)
S サプライ管(往き管)
WA 間仕切

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造、鉄骨造又は鉄筋コンクリート造建物の、壁下地の間仕切(WA)の間柱(6B)間の空間(O)内に、プラスチック樹脂製放熱器(He)を収納した温冷水循環タイプの暖冷房システムであって、放熱器(He)は、上下ヘッダー(1)間に縦パイプ(2C)群を密集並列連通した、第1放熱パネル(101)と、第2放熱パネル(102)とを重層形態で一体化して、一方の放熱パネルの上側ヘッダー(1)からは供給口(2S)を、他方の放熱パネルの上側ヘッダー(1)からは排出口(2R)を突設したものであり、放熱器(He)を間仕切(WA)の空間(O)内に吊下げ形態で保持し、放熱器(He)の下側にはドレンパン(3A)を配置し、間仕切(WA)の両側の居室に対して放熱作用を付与することを特徴とする間仕切内埋設暖冷房システム。
【請求項2】
放熱器(He)は、両側の間柱(6B)と、間柱(6B)間に差渡した上下受桟(6K)とで規定される空間(O)内で、上側ヘッダー(1)を、間柱(6B)に固定した吊金具(11)によって、熱伝達抑制形態に支承し、下側ヘッダー(1)を、間柱(6B)に固定したプラスチック樹脂製の保持具(5)によって、前後左右動を抑制して保持した、請求項1に記載の暖冷房システム。
【請求項3】
ドレンパン(3A)は、プラスチック樹脂製であって、内表面及び外表面を断熱被覆して間柱(6B)に固定した支持金具(12)によって、下側受桟(6K)の上面とは空気流間隔(S1)を保ち、放熱器(He)下端面とは人手挿入間隔(S2)を保って支持した、請求項1又は2に記載の暖冷房システム。
【請求項4】
間仕切(WA)の間柱(6B)間の空間(O)の表裏両面の少なくとも一面は、熱輻射波の吸収放射率が0.9以上の不透明化粧板(8E)で、周縁部からの空気流出入可能に覆い、放熱器(He)の上側ヘッダー(1)から上部、及び下側ヘッダー(1)から下部は、透視不能に、且つ空間(O)への空気流出入可能に化粧幕板で覆った、請求項1又は2に記載の暖冷房システム。
【請求項5】
放熱器(He)の供給口(2S)及び排出口(2R)は、天井配管のサプライ管(S)及びリターン管(R)と、空間(O)内で、接続金具(2N)で接続して、接続金具(2N)を保温材(NC)で被覆した、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の暖冷房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−63084(P2012−63084A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207908(P2010−207908)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(510113368)株式会社 テスク資材販売 (11)
【Fターム(参考)】