説明

関節機構

【課題】軽量化を図ることが可能な関節機構を提供する。
【解決手段】この関節機構は、第1部材2と、この第1部材2に第1軸8を介して回動可能に結合された第2部材4とを備え、当該第2部材4を作動液の圧力で第1軸8回りに第1部材2に対して相対的に回動させることにより第1部材2と第2部材4の間の角度を変化させる関節機構であって、第1部材2は、第1軸8に結合するとともに、作動液が給排される第1部材作動液室2dを内部に有し、第2部材4は、第1部材作動液室2d内でピストンを構成し、第1部材作動液室2dへの作動液の給排に応じて第1軸8回りに第1部材2に対して相対的に回動する第1ロッド部14と、その第1ロッド部14と別体に設けられ、第1軸8に結合する基部12とを有するとともに、これら第1ロッド部14及び基部12は、互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結された部材間の角度を変化させる関節機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連結された部材間の角度を変化させる関節機構が知られている。例えば、下記特許文献1には、そのような関節機構の一例として、油圧ショベルに用いられるブームと油圧ショベル本体の間の関節機構、アームとブームの間の関節機構及びバケットとアームの間の関節機構が開示されている。この油圧ショベルでは、ブーム、アーム及びバケットが油圧ショベル本体側から順番に回動可能に連結されている。そして、ブームと油圧ショベル本体の間の関節機構は、ブームと油圧ショベル本体との連結軸回りにブームを回動させてブームと油圧ショベル本体の間の角度を変化させるものであり、アームとブームの間の関節機構は、アームとブームとの連結軸回りにアームを回動させてアームとブームの間の角度を変化させるものである。また、バケットとアームの間の関節機構は、バケットとアームとの連結軸回りにバケットを回動させてバケットとアームの間の角度を変化させるものである。そして、これら各関節機構は、連結された各部材を相対的に回動させるアクチュエータとしての油圧シリンダをそれぞれ有しており、この油圧シリンダは駆動される各部材の外部に取り付けられている。
【特許文献1】特開2002−322662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示された油圧ショベルの各関節機構では、前記ブーム等の駆動対象部材とは別に、これらを回動させるための専用のアクチュエータとして油圧シリンダを新たに付加しなければならない。このため、油圧シリンダ及びこの油圧シリンダによって駆動される各部材を含む装置全体の重量が増大するという問題点がある。
【0004】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、軽量化を図ることが可能な関節機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による関節機構は、第1部材と、この第1部材に第1軸を介して回動可能に結合された第2部材とを備え、当該第2部材を流体の圧力で前記第1軸回りに前記第1部材に対して相対的に回動させることにより前記第1部材と前記第2部材の間の角度を変化させる関節機構であって、前記第1部材は、前記第1軸に結合するとともに、流体が給排される第1部材流体室を内部に有し、前記第2部材は、前記第1部材流体室内でピストンを構成し、前記第1部材流体室への流体の給排に応じて前記第1軸回りに前記第1部材に対して相対的に回動する第1ロッド部と、その第1ロッド部と別体に設けられ、前記第1軸に結合する基部とを有するとともに、これら第1ロッド部及び基部は、互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合される。
【0006】
この関節機構では、アクチュエータを構成する第1部材流体室が第1部材の内部に設けられ、この第1部材流体室内でピストンを構成する第1ロッド部が第2部材に含まれている。このため、第1部材及び第2部材とは別にこれらを駆動するための専用のアクチュエータを付加する場合に比べて、軽量化を図ることができる。
【0007】
ところで、第2部材において第1部材流体室内でピストンを構成する第1ロッド部と、第1軸に結合する基部とがリジッドに結合している場合には、第1部材に曲げや捻り等の力が加えられると、その力が第1部材流体室を構成する第1部材の内壁面と、その内壁面に摺接する第1ロッド部との間で作用してその第1部材の内壁面及び第1ロッド部が磨耗又は損傷を生じる虞がある。しかしながら、本発明による関節機構では、第2部材において第1ロッド部と基部が互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合されるので、第1部材に曲げや捻り等の力が加えられた場合でも、前記がたつきの分、第1ロッド部が第1部材に追従して動いて第1部材に加えられた力を逃がすことができる。このため、前記第1部材に加えられた力が第1部材の内壁面と第1ロッド部との間に作用することに起因する第1部材の内壁面及び第1ロッド部の磨耗又は損傷を防ぐことができる。
【0008】
上記関節機構において、前記第1ロッド部は、前記第1部材流体室を2つに区画するとともに、その第1部材流体室を囲む前記第1部材の内壁面に摺接する第1ピストン部と、その第1ピストン部に繋がり、前記第1部材流体室から前記第1部材の外部へ延びる第1アーム部と、その第1アーム部の前記第1ピストン部と反対側の端部に設けられた第1結合部とを有し、前記基部は、前記第1結合部に対してがたつきを持った状態で結合される第1被結合部を有し、前記第1結合部は、前記第1アーム部の端部から突出する第1突出部と、その第1突出部の先端に設けられ、その第1突出部よりも大径に形成された第1先端部とを有し、前記第1被結合部は、前記第1先端部がその周囲に所定の隙間を持った状態で収容される第1収容部と、前記第1先端部が抜け出ないような大きさに形成され、前記第1突出部がその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通される第1挿通孔とを有することが好ましい。
【0009】
このように構成すれば、第2部材において、基部に対する第1ロッド部の結合の抜けを防ぎながら、第1ロッド部と基部を互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合させる具体的な構造を構成することができる。
【0010】
上記関節機構において、前記第2部材に対して第2軸を介して回動可能に結合された第3部材を備え、前記第3部材は、前記第2軸に結合するとともに、流体が給排される第3部材流体室を内部に有し、前記第2部材は、前記基部と別体に設けられ、前記第3部材流体室内でピストンを構成するとともに、前記第3部材流体室への流体の給排に応じて前記第2軸回りに前記第3部材に対して相対的に回動する第2ロッド部を有し、前記基部は、前記第2軸に結合し、前記第2ロッド部及び前記基部は、互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合されることが好ましい。
【0011】
このように構成すれば、第1部材と第2部材との間の角度を変化させるとともに第2部材と第3部材との間の角度を変化させることが可能な関節機構を構成することができるので、2つの部材間の角度のみを変化させる関節機構に比べて、より大きな可動角度範囲を持つ関節機構を構成することができる。また、この構成では、アクチュエータを構成する第3部材流体室が第3部材の内部に設けられ、この第3部材流体室内でピストンを構成する第2ロッド部が第2部材に含まれているため、第2部材及び第3部材とは別にこれらを駆動するための専用のアクチュエータを付加する場合に比べて、軽量化を図ることができる。
【0012】
また、第2部材において第2ロッド部と基部とがリジッドに結合している場合には、上記第1ロッド部と基部がリジッドに結合している場合と同様、第3部材に曲げや捻り等の力が加えられた場合に第3部材の内壁面及び第2ロッド部が磨耗又は損傷を生じる虞がある。しかしながら、この構成では、第2部材において第2ロッド部と基部が互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合されるので、第3部材に曲げや捻り等の力が加えられた場合でも、前記がたつきの分、第2ロッド部が第3部材に追従して動いて第3部材に加えられた力を逃がすことができる。このため、前記第3部材に加えられた力が第3部材の内壁面と第2ロッド部との間に作用することに起因する第3部材の内壁面及び第2ロッド部の磨耗又は損傷を防ぐことができる。
【0013】
この場合において、前記第2ロッド部は、前記第3部材流体室を2つに区画するとともに、その第3部材流体室を囲む前記第3部材の内壁面に摺接する第2ピストン部と、その第2ピストン部に繋がり、前記第3部材流体室から前記第3部材の外部へ延びる第2アーム部と、その第2アーム部の前記第2ピストン部と反対側の端部に設けられた第2結合部とを有し、前記基部は、前記第2結合部に対してがたつきを持った状態で結合される第2被結合部を有し、前記第2結合部は、前記第2アーム部の端部から突出する第2突出部と、その第2突出部の先端に設けられ、その第2突出部よりも大径に形成された第2先端部とを有し、前記第2被結合部は、前記第2先端部がその周囲に所定の隙間を持った状態で収容される第2収容部と、前記第2先端部が抜け出ないような大きさに形成され、前記第2突出部がその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通される第2挿通孔とを有することが好ましい。
【0014】
このように構成すれば、第2部材において、基部に対する第2ロッド部の結合の抜けを防ぎながら、第2ロッド部と基部を互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合させる具体的な構造を構成することができる。
【0015】
上記第2部材において基部が第1ロッド部及び第2ロッド部と結合される構成において、前記第1ロッド部は、前記第1部材流体室を2つに区画するとともに、その第1部材流体室を囲む前記第1部材の内壁面に摺接する第1ピストン部と、その第1ピストン部に繋がり、前記第1部材流体室から前記第1部材の外部へ延びる第1アーム部と、その第1アーム部の前記第1ピストン部と反対側の端部に設けられた第1結合部とを有し、前記第2ロッド部は、前記第3部材流体室を2つに区画するとともに、その第3部材流体室を囲む前記第3部材の内壁面に摺接する第2ピストン部と、その第2ピストン部に繋がり、前記第3部材流体室から前記第3部材の外部へ延びる第2アーム部と、その第2アーム部の前記第2ピストン部と反対側の端部に設けられた第2結合部とを有し、前記基部は、前記第1結合部の先端部と前記第2結合部の先端部をそれらの先端面が互いに対向するような状態で収容してそれら第1結合部の先端部と第2結合部の先端部の両方に対してがたつきを持った状態で結合される被結合部を有し、前記第1結合部の先端面と前記第2結合部の先端面とは、それぞれ互いの側に向かって突出する曲面状の凸面からなることが好ましい。
【0016】
この構成では、基部が第1結合部の先端部と第2結合部の先端部の両方に対して結合する被結合部を有するので、第1結合部に対して結合する被結合部と第2結合部に対して結合する被結合部とが基部に個別に設けられている場合に比べて、基部を小型化することができる。また、この構成では、第1結合部の先端面と第2結合部の先端面とが、それぞれ互いの側に向かって突出する曲面状の凸面からなるので、前記曲げや捻り等の力が加えられた第1部材と第3部材に追従して第1ロッド部と第2ロッド部が動く際に、第1結合部の先端部と第2結合部の先端部が被結合部に収容された状態で互いの先端面同士が相手の動きを阻害することが抑制され、第1結合部と第2結合部が互いに相対変位しやすくなる。このため、前記曲げや捻り等の力が第1部材と第3部材に加えられた場合に、第1部材と第3部材に追従して第1ロッド部と第2ロッド部が動きやすくなり、第1部材と第3部材に加えられた力を良好に逃がすことができる。
【0017】
この場合において、前記第1結合部は、前記第1アーム部の端部から突出する第1突出部と、その第1突出部の先端に設けられ、その第1突出部よりも大径に形成された第1先端部とを有し、前記第2結合部は、前記第2アーム部の端部から突出する第2突出部と、その第2突出部の先端に設けられ、その第2突出部よりも大径に形成された第2先端部とを有し、前記被結合部は、前記第1先端部と前記第2先端部がそれらの周囲に所定の隙間を持った状態で収容される収容部と、前記第1先端部が抜け出ないような大きさに形成され、前記第1突出部がその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通される第1挿通孔と、前記第2先端部が抜け出ないような大きさに形成され、前記第2突出部がその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通される第2挿通孔とを有することが好ましい。
【0018】
このように構成すれば、基部において、被結合部が第1結合部の先端部と第2結合部の先端部の両方を収容するとともに、それら両結合部の先端部とがたつきを持った状態で結合する具体的な構造を構成することができる。
【0019】
さらにこの場合において、前記第1先端部の先端面と前記第2先端部の先端面は、前記収容部内で互いに対向するように配置されるとともに、互いに接触した状態で相対変位可能な球面状の凸面にそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0020】
このように構成すれば、収容部内で第1先端部の先端面と第2先端部の先端面とが互いに接触する場合でも、第1先端部と第2先端部が互いに相対変位し、互いの動きが阻害されるのを防ぐことができる。従って、この構成では、収容部内で第1先端部の先端面と第2先端部の先端面とが互いに接触する場合でも、前記曲げや捻り等の力が加えられた第1部材と第3部材に追従した第1ロッド部と第2ロッド部の動きが互いに阻害されるのを防ぐことができ、第1部材と第3部材に加えられた力を良好に逃がすことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明による関節機構では、軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による関節機構の正面図であり、図2は、図1に示した関節機構の内部構造を説明するための断面図である。図3は、図1に示した関節機構を構成する第1部材2の斜視図であり、図4は、図1に示した関節機構を構成する第2部材4の正面図である。図5及び図6は、図4に示した第2部材4の基部12の構造を示す図であり、図7は、図4に示した第2部材4の第1ロッド部14及び第2ロッド部16の構造を示す図であり、図8は、図7に示した第1ロッド部14を第1結合部14c側から見た図である。まず、図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態による関節機構の構成について説明する。
【0024】
本実施形態による関節機構は、マニピュレータ等のロボットの関節部や油圧ショベル、クレーン等の建設機械の関節部またはその他の各種機械の関節部に適用されるものである。この関節機構は、図1及び図2に示すように、第1部材2と、第2部材4と、第3部材6と、第1軸8と、第2軸10とを備えており、第2部材4が第1軸8を介して第1部材2に回動可能に結合しているとともに第2軸10を介して第3部材6に回動可能に結合している。そして、この関節機構では、第2部材4を作動液の圧力で第1軸8回りに第1部材2に対して相対的に回動させることにより第1部材2と第2部材4との間の角度を変化させるとともに、第2部材4を作動液の圧力で第2軸10回りに第3部材6に対して相対的に回動させることにより第2部材4と第3部材6の間の角度を変化させるようになっている。なお、前記作動液は、本発明の流体の概念に含まれるものである。
【0025】
具体的には、第1部材2は、中空の略四角柱状に形成されており、その長手方向の一方端側で第2部材4と結合している。この第1部材2の第2部材4側の端部には、図3に示すように、開口部2aが設けられている。この開口部2aには、一対の蓋部2b,2bが第1部材2の幅方向に第2部材4の後述する第1ロッド部14の第1アーム部14bの厚みに相当する間隔を隔てて取り付けられている。また、第1部材2の第2部材4側の端部の図3における下部には、幅方向に離間して一対の第1部材軸受部2c,2cが設けられている。この第1部材軸受部2c,2cは、後述する第1部材作動液室2dの外側に設けられている。
【0026】
また、第1部材2の内部には、図2に示すように、作動液が外部から給排される第1部材作動液室2dが設けられている。この第1部材作動液室2dは、本発明の第1部材流体室の概念に含まれるものである。そして、第1部材作動液室2dは、前記蓋部2b,2bと、第1部材2の幅方向の両側壁部2e,2eと、図2における第1部材2の底壁部2fと、第1部材2の内部に設けられた円弧状の外側壁部2gと、第1部材軸受部2c,2cの近傍に設けられた円弧状の内側壁部2hとで囲まれることによって形成されている。
【0027】
外側壁部2gは、前記開口部2aの図3における上端部から底壁部2fの長手方向の中間部にかけて形成されている。この外側壁部2gのうち第1部材作動液室2dに面する壁面は、前記第1部材軸受部2c,2cの軸心を中心とした円弧状に形成されている。
【0028】
内側壁部2hは、前記開口部2aの図3における下端部から底壁部2fの第1部材軸受部2c,2c近傍の領域にかけて形成されている。この内側壁部2hのうち第1部材作動液室2dに面する壁面は、第1部材軸受部2c,2cの軸心を中心とした円弧状に形成されている。
【0029】
また、第1部材2の内部には、第1部材作動液室2dに作動液を給排するための2つの給排経路部2i,2jが設けられている。
【0030】
一方の給排経路部2iは、第1部材2内において図2における上部に設けられている。この一方の給排経路部2iは、第1部材2の長手方向に延びているとともに、途中で2つに分岐している。そして、分岐した各経路が第1部材作動液室2dのうち後述する第1ロッド部14の第1アーム部14bによって区画された一方の空間と他方の空間の図2における上部にそれぞれ接続されている。この構成は、第1部材作動液室2dにおいて後述する第1ロッド部14の第1アーム部14bを挟んで両側の空間に均等に作動液を給排するための構成である。
【0031】
また、もう一方の給排経路部2jは、第1部材2内において図2における下部に設けられている。この給排経路部2jは、第1部材2の長手方向に延びており、第1部材作動液室2dの図2における下部に接続されている。
【0032】
前記第3部材6は、第1部材2と同様の構造を有している。すなわち、第3部材6は、中空の略四角柱状に形成されており、その長手方向の一方端側で第2部材4の前記第1部材2と反対側の部分に結合している。この第3部材6の第2部材4側の端部には、前記第1部材2の開口部2aと同様の開口部(図示せず)が設けられている。この開口部には、前記第1部材2の蓋部2b,2bと同様の一対の蓋部6b,6bが第3部材6の幅方向に第2部材4の後述する第2ロッド部16の第2アーム部16bの厚みに相当する間隔を隔てて取り付けられている。
【0033】
また、第3部材6は、一対の第3部材軸受部6c,6cと、第3部材作動液室6dと、給排経路部6i,6jとを有している。なお、第3部材作動液室6dは、本発明の第3部材流体室の概念に含まれるものである。一対の第3部材軸受部6c,6cの構造は、前記第1部材2の一対の第1部材軸受部2c,2cの構造と同様である。また、第3部材作動液室6dの構造は、前記第1部材作動液室2dの構造と同様である。第3部材作動液室6dは、前記蓋部6b,6bと、第3部材6の幅方向の両側壁部6e,6eと、図2における第3部材6の底壁部6fと、第3部材6の内部に設けられた円弧状の外側壁部6gと、第3部材軸受部6c,6cの近傍に設けられた円弧状の内側壁部6hとで囲まれることによって形成されている。この第3部材の外側壁部6gの構造は、前記第1部材2の外側壁部2gの構造と同様であり、内側壁部6hの構造は、前記第1部材2の内側壁部2hの構造と同様である。すなわち、外側壁部6gのうち第3部材作動液室6dに面する壁面は、第3部材軸受部6c,6cの軸心を中心とした円弧状に形成されており、内側壁部6hのうち第3部材作動液室6dに面する壁面は、第3部材軸受部6c,6cの軸心を中心とした円弧状に形成されている。また、給排経路部6i,6jの構造は、前記第1部材2の給排経路部2i,2jの構造とそれぞれ同様である。そして、このような構成の第3部材6が第2部材4を挟んで前記第1部材2と対称となるように配置されている。
【0034】
前記第2部材4は、図4に示すように、基部12と、第1ロッド部14と、第2ロッド部16とを有している。
【0035】
基部12は、前記第1部材2と前記第3部材6との間に位置している。この基部12は、その図4における下端部に円筒状の第1軸受部12a及び第2軸受部12bを有している。第1軸受部12aと第2軸受部12bは、第2部材4の長手方向に並んで配設されており、その軸心が互いに平行となるように配置されている。
【0036】
第1軸受部12aは、前記一対の第1部材軸受部2c,2c間に配置されており、これら第1部材軸受部2c,2c及び第1軸受部12aに前記第1軸8が挿通されて結合されている。そして、第1軸8は、第1部材軸受部2c,2cに固定されており、基部12は第1軸8回りに第1部材2に対して相対的に回動可能となっている。
【0037】
第2軸受部12bは、前記一対の第3部材軸受部6c,6c間に配置されており、これら第3部材軸受部6c,6c及び第2軸受部12bに前記第2軸10が挿通されて結合されている。そして、第2軸10は、第3部材軸受部6c,6cに固定されており、基部12は第2軸10回りに第3部材6に対して相対的に回動可能となっている。
【0038】
また、基部12は、第1軸受部12aと第2軸受部12bの境界部周辺の図5における上面から上方に延びる被結合部構成部12cを有し、その被結合部構成部12cの上下方向の中間部に設けられた被結合部12dを有している。この被結合部12dは、本発明の第1被結合部及び第2被結合部の概念に含まれるものである。そして、この被結合部12dは、第1ロッド部14の後述する第1結合部14cと第2ロッド部16の後述する第2結合部16cの両方に対してがたつきを持った状態で結合される部分である。
【0039】
具体的には、この被結合部12dは、収容部12eと、第1挿通孔12fと、第2挿通孔12gとを有する。
【0040】
収容部12eは、後述する第1結合部14cの第1先端部14iと、後述する第2結合部16cの第2先端部16iとがそれらの周囲に所定の隙間を持った状態で収容される空間であり、被結合部構成部12cの図5における左右方向の中央部に設けられている。この収容部12eは、前記第1軸受部12aの軸心及び前記第2軸受部12bの軸心に対して垂直な軸心を持つ円形断面を有するように形成されている。そして、この収容部12eは、後述する第1結合部14cの第1先端部14i及び第2結合部16cの第2先端部16iよりも大径に形成されているとともに、その軸方向の長さが第1先端部14iの軸方向の長さと第2先端部16iの軸方向の長さの合計よりも大きくなるように形成されている。基部12は、図6に示すように、2つの構成部材12h,12hからなっており、これら構成部材12h,12hが溶接やボルトによる締結などで互いに結合されることによって基部12が作製される。構成部材12h,12hは、第1軸受部12a及び第2軸受部12bの軸方向における基部12の中心線に対して互いに対称形に形成されている。そして、後述する第1先端部14i及び第2先端部16iは、両構成部材12h,12hを互いに結合させて基部12を形成する際に収容部12e内に組み込まれるようになっている。
【0041】
第1挿通孔12fは、後述する第1結合部14cの第1突出部14hがその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通されるものである。この第1挿通孔12fは、被結合部構成部12cにおいて前記収容部12eから第1部材2側へ向かって延びるように形成されており、前記収容部12eと同軸の円孔に形成されている。そして、この第1挿通孔12fは、第1結合部14cの第1突出部14hよりも大径に形成されており、その第1突出部14hの外周面と当該第1挿通孔12fの内周面との間に所定の隙間が形成されている。また、この第1挿通孔12fは、後述する第1結合部14cの第1先端部14iよりも小径に形成されており、前記収容部12eに収容された第1先端部14iが抜け出ないような大きさとなっている。
【0042】
第2挿通孔12gは、後述する第2結合部16cの第2突出部16hがその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通されるものである。この第2挿通孔12gは、被結合部構成部12cにおいて前記収容部12eから第3部材6側へ向かって延びるように形成されており、前記収容部12eと同軸の円孔に形成されている。そして、この第2挿通孔12gは、第2結合部16cの第2突出部16hよりも大径に形成されており、その第2突出部16hの外周面と当該第2挿通孔12gの内周面との間に所定の隙間が形成されている。また、この第2挿通孔12gは、後述する第2結合部16cの第2先端部16iよりも小径に形成されており、前記収容部12eに収容された第2先端部16iが抜け出ないような大きさとなっている。
【0043】
上記のように被結合部12dが構成されていることにより、収容部12e内における後述する第1結合部14cの第1先端部14iの周囲の隙間及び第1挿通孔12f内における後述する第1結合部14cの第1突出部14hの周囲の隙間の分だけ、被結合部12dは第1結合部14cに対してがたつきを持つようになっており、収容部12e内における後述する第2結合部16cの第1先端部16iの周囲の隙間及び第2挿通孔12g内における後述する第2結合部16cの第1突出部16hの周囲の隙間の分だけ、被結合部12dは第2結合部16cに対してがたつきを持つようになっている。なお、この被結合部12dと第1結合部14cとの間のがたつきは、第1ロッド部14の回動が基部12に伝えられるのを阻害するほど大きなものではなく、被結合部12dと第2結合部16cとの間のがたつきは、第2ロッド部16の回動が基部12に伝えられるのを阻害するほど大きなものではない。換言すれば、前記各隙間の大きさは、第1ロッド部14の回動を基部12に伝えるのを阻害しないような程度の大きさに設定されているとともに、第2ロッド部16の回動を基部12に伝えるのを阻害しないような程度の大きさに設定されている。
【0044】
第1ロッド部14は、前記基部12と別体に設けられており、前記第1部材作動液室2d内でピストンを構成し、その第1部材作動液室2dへの作動液の給排に応じて第1軸8回りに第1部材2に対して相対的に回動するものである。この第1ロッド部14は、図7に示すように、第1ピストン部14aと、第1アーム部14bと、第1結合部14cとを有する。
【0045】
第1ピストン部14aは、第1部材作動液室2d内に格納され、この第1部材作動液室2dを2つに区画するものである。この第1ピストン部14aは、前記基部12の第1軸受部12a近傍から径方向外側へ延びる板状に形成されている。そして、第1部材作動液室2d内の第1ピストン部14aによって区画された一方の空間と他方の空間とに前記給排経路部2i,2jを通じて作動液が給排されることに応じて、この第1ピストン部14aは、その各端面が第1部材作動液室2dを囲む前記各壁部2e,2f,2gの対応する各壁面に摺接しながら、第1軸8回りに回動するようになっている。そして、この第1ピストン部14aの回動により第1ロッド部14全体が回動するとともに、その第1ロッド部14の回動が基部12に伝えられて第2部材4全体が第1軸8回りに第1部材2に対して相対的に回動するようになっている。また、第1ピストン部14aは、第1部材2の開口部2aの形状に対応した外形を有している。
【0046】
第1ピストン部14aの図7における下面側には、作動液導入溝14dが設けられている。この作動液導入溝14dは、第1部材2の下側の給排経路部2jに対応する位置に配設されている。作動液導入溝14dは、第1ピストン部14aの前記第1軸受部12aと反対側の端面から第1軸受部12a側へ延びているとともに、第1軸受部12a側へ向かうに連れてその深さが徐々に浅くなるように構成されている。この作動液導入溝14dは、図2に示すように第1ピストン部14aの下面が第1部材2の底壁部2fの上面に接触しているときにその底壁部2fの上面と第1ピストン部14aの下面との間に給排経路部2jから作動液を導入しやすくするために設けられている。
【0047】
第1アーム部14bは、図7に示すように第1ピストン部14aの上面に繋がっており、その第1ピストン部14aの上面から上方へ湾曲した形状で延びている。この第1アーム部14bは、前記第1部材作動液室2dから第1部材2の外部へ向かって延びている。そして、この第1アーム部14bは、第1部材作動液室2dよりも小さい幅に形成されており、第1部材2の開口部2aの上下部分と蓋部2b,2bの互いに対向する面とで構成された開口を通って第1部材作動液室2dに出入可能となっている。なお、蓋部2b,2b及び開口部2aの上下部分の第1アーム部14bと接する箇所には図略のシール材が設けられて第1アーム部14bとの間の隙間がシールされており、そのシール材によって第1部材作動液室2dからの作動液の漏出が抑制されている。
【0048】
そして、第1アーム部14bは、第1部材作動液室2dに面する前記外側壁部2gの円弧状の壁面に対応した形状の外周面14eと、第1部材作動液室2dに面する前記内側壁部2hの円弧状の壁面に対応した形状の内周面14fとを有する。そして、第1アーム部14bは、その外周面14eが前記外側壁部2gの対応する壁面に摺接するとともに、その内周面14fが前記内側壁部2hの対応する壁面に摺接しながら、前記第1ピストン部14aの第1部材作動液室2d内での移動に応じて第1部材作動液室2dに出入するようになっている。この第1アーム部14bにより、第1部材作動液室2d内の第1ピストン部14a上の空間が幅方向に2つに仕切られている。そして、第1アーム部14bの第1ピストン部14aとの境界部近傍には前記2つに仕切られた両側の空間を繋ぐ貫通孔14gが設けられている。この貫通孔14gにより、両空間における作動液の圧力の均一化が図られている。
【0049】
そして、前記第1ピストン部14a及び第1アーム部14bは、第1部材2に対して取り付けられる際、第1部材2の開口部2aを通って第1部材作動液室2d内に挿入される。
【0050】
具体的には、第1部材2の開口部2aに蓋部2b,2bが取り付けられていない状態で、第1ピストン部14aの外周部が第1部材2の開口部2aに嵌め込まれるとともに、第1軸受部12aが第1部材軸受部2c,2c間に配置される。そして、第1ピストン部14a及び第1アーム部14bが第1部材作動液室2dに面する外側壁部2gの壁面及び内側壁部2hの壁面に沿って移動させられて第1部材作動液室2d内に納められる。その後、第1部材2の開口部2aに蓋部2b,2bが取り付けられて第1部材作動液室2dが密封される。なお、前記第1軸8の第1部材軸受部2c,2c及び第1軸受部12aへの取り付けは、開口部2aに蓋部2b,2bが取り付けられた後に行われる。
【0051】
第1結合部14cは、第1アーム部14bの前記第1ピストン部14aと反対側の端部に設けられており、基部12の被結合部12dとがたつきを持った状態で結合される部分である。この第1結合部14cは、第1突出部14hと第1先端部14iとからなる。
【0052】
第1突出部14hは、第1アーム部14bの端部から突出する円柱状の部分である。この第1突出部14hは、上記したようにその周囲に所定の隙間を持った状態で基部12の第1挿通孔12fに挿通されている。
【0053】
第1先端部14iは、図8に示すように、第1突出部14hよりも大径の円板状に形成されており、第1突出部14hの先端にその第1突出部14hと同軸に設けられている。この第1先端部14iは、上記したようにその周囲に所定の隙間を持った状態で基部12の収容部12e内に収容されている。また、第1先端部14iは、基部12の第1挿通孔12fよりも大径に形成されており、収容部12e内に収容された状態で第1挿通孔12fを通って抜け出ないようになっている。そして、この第1先端部14iの先端面14jは、曲面状の凸面、具体的には球面に形成されている。
【0054】
第2ロッド部16は、前記基部12と別体に設けられており、前記第3部材作動液室6d内でピストンを構成し、その第3部材作動液室6dへの作動液の給排に応じて第2軸10回りに第3部材6に対して相対的に回動するものである。この第2ロッド部16は、第1ロッド部14と同様に構成されており、基部12を挟んで第1ロッド部14と対称に配設されている。
【0055】
具体的には、この第2ロッド部16は、図7に示すように、前記第1ロッド部14の第1ピストン部14a、第1アーム部14b、第1結合部14cと同様に構成された第2ピストン部16a、第2アーム部16b、第2結合部16cを有する。
【0056】
第2ピストン部16aには、前記第1ピストン部14aの作動液導入溝14dと同様の構成の作動液導入溝16dが設けられている。
【0057】
第2アーム部16bは、前記第1アーム部14bの外周面14e及び内周面14fと同様の構成の外周面16e及び内周面16fを有しているとともに、この第2アーム部16bには、前記第1アーム部14bの貫通孔14gと同様の構成の貫通孔16gが設けられている。
【0058】
第2結合部16cは、前記第1結合部14cの第1突出部14h及び第1先端部14iと同様の構成の第2突出部16h及び第2先端部16iを有している。また、第2先端部16iの先端面16jは、第1先端部14iの先端面14jと同様の凸面からなる。そして、この第2結合部16cの第2先端部16iは、第1結合部14cの第1先端部14iと共に基部12の被結合部12dの収容部12e内に収容されており、その収容部12e内で第1先端部14iの先端面14jと第2先端部16iの先端面16jとが互いに対向するように配置されている。すなわち、第1先端部14iの先端面14jと第2先端部16iの先端面16jとは、収容部12e内においてそれぞれ互いの側に向かって突出する曲面状の凸面となっている。そして、これら両先端面14j,16jは、収容部12e内で互いに接触した状態で相対変位可能な球面状の凸面にそれぞれ形成されている。
【0059】
図9は、本実施形態による関節機構の関節角度を変化させた状態を示した断面図である。図10は、本実施形態による関節機構に曲げ力が加えられたときの状態を示す図1中のX−X線に沿った断面図である。次に、これらの図を参照して、本実施形態による関節機構の動作について説明する。
【0060】
図3を参照して、第1ピストン部14aによって区画された第1部材作動液室2d内の一方の空間に給排経路部2jから作動液が供給されるとともに他方の空間から給排経路部2iを通じて作動液が排出されると、第1ピストン部14aが作動液の圧力で第1部材作動液室2d内の前記他方の空間側へ移動する。この場合、第2部材4が第1部材2に対してそれらの間の角度が小さくなる方向に第1軸8回りに相対的に回動する。
【0061】
また、逆に第1ピストン部14aによって区画された第1部材作動液室2d内の前記他方の空間に給排経路部2iから作動液が供給されるとともに前記一方の空間から給排経路部2jを通じて作動液が排出されると、第1ピストン部14aが作動液の圧力で第1部材作動液室2d内の前記一方の空間側へ移動する。これにより、上記と逆の動作で、第2部材4が第1部材2に対してそれらの間の角度が大きくなる方向に第1軸8回りに相対的に回動する。
【0062】
また、第2ピストン部16aによって区画された第3部材作動液室6d内の一方の空間に給排経路部6jから作動液が供給されるとともに他方の空間から給排経路部6iを通じて作動液が排出されると、第2ピストン部16aが作動液の圧力で第3部材作動液室6d内の前記他方の空間側へ移動する。この場合、第2部材4が第3部材6に対してそれらの間の角度が小さくなる方向に第2軸10回りに相対的に回動する。
【0063】
また、逆に第2ピストン部16aによって区画された第3部材作動液室6dの前記他方の空間に給排経路部6iから作動液が供給されるとともに前記一方の空間から給排経路部6jを通じて作動液が排出されると、第2ピストン部16aが作動液の圧力で第3部材作動液室6d内の前記一方の空間側へ移動する。これにより、上記と逆の動作で、第2部材4が第3部材6に対してそれらの間の角度が大きくなる方向に第2軸10回りに相対的に回動する。
【0064】
そして、本実施形態では、第1部材2及び/又は第3部材6に曲げ力が加えられた場合には、図10に示すように、被結合部12dの収容部12e内において第1結合部14cの第1先端部14iの先端面14jと第2結合部16cの第2先端部16iの先端面16jとが互いに接触しながら第1結合部14cと第2結合部16cとがその周囲の隙間の範囲内で相対変位することができ、それによって第1ロッド部14が第1部材2に追従して動いて基部12に対して傾くとともに、第2ロッド部16が第3部材6に追従して動いて基部12に対して傾く。その結果、第1部材2及び/又は第3部材6に加えられた曲げ力が逃がされる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態による関節機構では、アクチュエータを構成する第1部材作動液室2dが第1部材2の内部に設けられているとともに、この第1部材作動液室2d内でピストンを構成する第1ロッド部14が第2部材4に含まれているため、第1部材2及び第2部材4とは別にこれらを駆動するための専用のアクチュエータを付加する場合に比べて、軽量化を図ることができる。また、アクチュエータを構成する第3部材作動液室6dが第3部材6の内部に設けられているとともに、この第3部材作動液室6d内でピストンを構成する第2ロッド部16が第2部材4に含まれているため、第2部材4及び第3部材6とは別にこれらを駆動するための専用のアクチュエータを付加する場合に比べて、軽量化を図ることができる。
【0066】
ところで、第2部材4において第1ロッド部14と基部12とがリジッドに結合しているような構成では、第1部材2に曲げや捻り等の力が加えられると、第1部材軸受部2c,2cと第1軸受部12aの第1軸8に対する結合部位においてそれらの間に微小なクリアランスが存在することに起因して第1部材2と第1ロッド部14とが相対的にずれを生じ、それにより、第1部材2に加えられた力が第1部材作動液室2dを囲む各壁部2e,2g,2hの壁面と、それらの壁面に摺接する第1ロッド部14の第1ピストン部14a及び第1アーム部14bの各端面との間で作用してその第1部材2の各壁面及び第1ロッド部14の第1ピストン部14a及び第1アーム部14bが磨耗又は損傷を生じる虞がある。また、第2部材4において第2ロッド部16と基部12とがリジッドに結合しているような構成では、第3部材6に曲げや捻り等の力が加えられると、上記と同様にして第3部材6の第3部材作動液室6dを囲む各壁部6e,6g,6hの各壁面及び第2ロッド部16の第2ピストン部16a及び第2アーム部16bが磨耗又は損傷を生じる虞がある。
【0067】
これに対して、本実施形態による関節機構では、第2部材4において第1ロッド部14の第1結合部14cと基部12の被結合部12dががたつきを持った状態で結合されているので、第1部材2に曲げや捻り等の力が加えられた場合でも、前記がたつきの分、第1ロッド部14が第1部材2に追従して動いて第1部材2に加えられた力を逃がすことができる。また、本実施形態では、第2部材4において第2軸10に結合する基部12の被結合部12dが第2ロッド部16の第2結合部16cとがたつきを持った状態で結合されているので、第3部材6に曲げや捻り等の力が加えられた場合でも、前記がたつきの分、第2ロッド部16が第3部材6に追従して動いて第3部材6に加えられた力を逃がすことができる。従って、前記第1部材2に加えられた力が第1部材2の第1部材作動液室2dを囲む各壁部2e,2g,2hの壁面と第1ロッド部14の第1ピストン部14a及び第1アーム部14bの各端面との間に作用することに起因するそれら第1部材2の各壁面及び第1ロッド部14の第1ピストン部14a及び第1アーム部14bの磨耗又は損傷を防ぐことができるとともに、前記第3部材6に加えられた力が第3部材6の第3部材作動液室6dを囲む各壁部6e,6g,6hの壁面と第2ロッド部16の第2ピストン部16a及び第2アーム部16bの各端面との間に作用することに起因するそれら第3部材6の各壁面及び第2ロッド部16の第2ピストン部16a及び第2アーム部16bの磨耗又は損傷を防ぐことができる。
【0068】
なお、上記のような第1部材2の第1部材作動液室2dを囲む各壁面、第3部材6の第3部材作動液室6dを囲む各壁面、第1ロッド部14及び第2ロッド部16の磨耗又は損傷を防ぐための別の構成として、第1ロッド部14、基部12、第2ロッド部16が互いにリジッドに結合されている構成において、第1部材2を第1部材作動液室2dを囲む内側部材とその内側部材の外側を覆う外側部材とに分割するとともに、第3部材6を第3部材作動液室6dを囲む内側部材とその内側部材の外側を覆う外側部材とに分割して、それら内側部材と外側部材との間に隙間を設けたり、その隙間に弾性材を挟むことによって前記曲げや捻り等の力を前記隙間又は前記弾性材で吸収させる構成も考えられる。しかしながら、この構成では、内側部材と外側部材の2重構造としたことに起因して、第1部材及び第3部材の寸法を拡大させないならば、第1部材作動液室2d及び第3部材作動液室6dの寸法を縮小せざるを得なくなり、それに応じて第1ロッド部14の第1ピストン部14a及び第2ロッド部16の第2ピストン部16aの液圧の重圧面積が小さくせざるを得なくなる。その結果、関節機構における関節駆動時に発生させる最大トルクが小さくなるという問題が生じる。
【0069】
これに対して、本実施形態では、第1ロッド部14の第1ピストン部14a及び第2ロッド部16の第2ピストン部16aの液圧の重圧面積を小さくする必要がなく、関節駆動時に発生させる最大トルクを大きなトルクに維持しながら、前記磨耗又は損傷の問題を解消することができる。
【0070】
また、本実施形態では、第2部材4が第1軸8回りに第1部材2に対して相対的に回動して第1部材2と第2部材4との間の角度を変化させることができるとともに、第2部材4が第2軸10回りに第3部材6に対して相対的に回動して第2部材4と第3部材6の間の角度を変化させることができるので、第1部材2と第2部材4の間の角度のみ又は第2部材4と第3部材6の間の角度のみを変化させることが可能な関節機構に比べて、より大きな可動角度範囲を持つ関節機構を構成することができる。
【0071】
また、本実施形態では、基部12が第1ロッド部14の第1結合部14cの第1先端部14iと第2ロッド部16の第2結合部16cの第2先端部16iの両方に対して結合する被結合部12dを有するので、第1結合部14cに対して結合する被結合部と第2結合部16cに対して結合する被結合部とが基部12に個別に設けられている場合に比べて、基部12を小型化することができる。
【0072】
また、本実施形態では、第1結合部14cの第1先端部14iの先端面14jと第2結合部16cの第2先端部16iの先端面16jとが、それぞれ互いの側に向かって突出する曲面状の凸面からなるので、前記曲げや捻り等の力が加えられた第1部材2と第3部材6に追従して第1ロッド部14と第2ロッド部16が動く際に、第1先端部14iと第2先端部16iが被結合部12dの収容部12eに収容された状態で互いの先端面14j,16j同士が相手の動きを阻害することが抑制され、第1結合部14cと第2結合部16cとが互いに相対変位しやすくなる。このため、前記曲げや捻り等の力が第1部材2と第3部材6に加えられた場合に、第1部材2と第3部材6に追従して第1ロッド部14と第2ロッド部16が動きやすくなり、第1部材2と第3部材6に加えられた力を良好に逃がすことができる。
【0073】
また、本実施形態では、第1先端部14iの先端面14jと第2先端部16iの先端面16jは、収容部12e内で互いに対向するように配置されるとともに、互いに接触した状態で相対変位可能な球面状の凸面にそれぞれ形成されているので、収容部12e内で第1先端部14iの先端面14jと第2先端部16iの先端面16jとが互いに接触する場合でも、第1先端部14jと第2先端部16jが互いに相対変位し、互いの動きが阻害されるのを防ぐことができる。従って、収容部12e内で第1先端部14iの先端面14jと第2先端部16iの先端面16jとが互いに接触する場合でも、前記曲げや捻り等の力が加えられた第1部材2と第3部材6に追従した第1ロッド部14と第2ロッド部16の動きが互いに阻害されるのを防ぐことができ、第1部材2と第3部材6に加えられた力を良好に逃がすことができる。
【0074】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0075】
例えば、上記実施形態では、第1部材2と第2部材4が関節駆動するとともに第2部材4と第3部材6が関節駆動する関節機構を例にとって説明したが、本発明はこの構成に限らない。すなわち、上記実施形態の第1部材2と第2部材4の関節駆動部分または第2部材4と第3部材6の関節駆動部分のいずれか一方のみからなる関節機構を構成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、基部12に第1結合部14cと第2結合部16cの両方に対してがたつきを持った状態で結合される被結合部12dを設けたが、本発明はこの構成に限らない。すなわち、図11に示す上記実施形態の変形例のように、基部12に、第1結合部14cに対してがたつきを持った状態で結合される第1被結合部12iと、第2結合部16cに対してがたつきを持った状態で結合される第2被結合部12jとが個別に設けられていてもよい。具体的には、第1被結合部12iは、第1結合部14cの第1先端部14iがその周囲に所定の隙間を持った状態で収容される第1収容部12kを有し、第2被結合部12jは、第2結合部16cの第2先端部16iがその周囲に所定の隙間を持った状態で収容される第2収容部12mを有している。すなわち、基部12において、第1被結合部12iの第1収容部12kと第2被結合部12jの第2収容部12mとが個別に設けられていてもよい。
【0077】
また、関節機構が第1部材2と第2部材4の関節駆動部分のみからなる場合は、基部12に前記第1被結合部12iのみが設けられていればよく、関節機構が第2部材4と第3部材6の関節駆動部分のみからなる場合は、基部12に前記第2被結合部12jのみが設けられていればよい。また、関節機構が第1部材2、第2部材4及び第3部材6からなる場合でも、基部12に前記第1被結合部12iのみが設けられていて第1結合部14cと第1被結合部12iががたつきを持った状態で結合されている一方、基部12と第2ロッド部16がリジッドに結合されていてもよく、また、基部12に前記第2被結合部12jのみが設けられていて第2結合部16cと第2被結合部12jががたつきを持った状態で結合されている一方、基部12と第1ロッド部14がリジッドに結合されていてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、第2部材4を第1部材2及び第3部材6に対して相対的に回動させるための駆動力を与える媒体として作動液を用いたが、本発明はこれに限らず、その駆動力を与える媒体としての流体に空気やそれ以外の気体を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態による関節機構の正面図である。
【図2】図1に示した関節機構の内部構造を説明するための断面図である。
【図3】図1に示した関節機構を構成する第1部材の斜視図である。
【図4】図1に示した関節機構を構成する第2部材の正面図である。
【図5】図4に示した第2部材の基部の正面図である。
【図6】図4に示した第2部材の基部の側面図である。
【図7】図4に示した第2部材の第1ロッド部及び第2ロッド部の構造を示す図である。
【図8】図7に示した第1ロッド部を第1結合部側から見た図である。
【図9】本発明の一実施形態による関節機構の関節角度を変化させた状態を示した断面図である。
【図10】本発明の一実施形態による関節機構に曲げ力が加えられたときの状態を示す図1中のX−X線に沿った断面図である。
【図11】本発明の一実施形態の変形例による第2部材の正面図である。
【符号の説明】
【0080】
2 第1部材
2d 第1部材作動液室(第1部材流体室)
4 第2部材
6 第3部材
6d 第3部材流体室
8 第1軸
10 第2軸
12 基部
12d 被結合部(第1被結合部、第2被結合部)
12e 収容部(第1収容部、第2収容部)
12f 第1挿通孔
12g 第2挿通孔
12i 第1被結合部
12j 第2被結合部
12k 第1収容部
12m 第2収容部
14 第1ロッド部
14a 第1ピストン部
14b 第1アーム部
14c 第1結合部
14h 第1突出部
14i 第1先端部
16 第2ロッド部
16a 第2ピストン部
16b 第2アーム部
16c 第2結合部
16h 第2突出部
16i 第2先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、この第1部材に第1軸を介して回動可能に結合された第2部材とを備え、当該第2部材を流体の圧力で前記第1軸回りに前記第1部材に対して相対的に回動させることにより前記第1部材と前記第2部材の間の角度を変化させる関節機構であって、
前記第1部材は、前記第1軸に結合するとともに、流体が給排される第1部材流体室を内部に有し、
前記第2部材は、前記第1部材流体室内でピストンを構成し、前記第1部材流体室への流体の給排に応じて前記第1軸回りに前記第1部材に対して相対的に回動する第1ロッド部と、その第1ロッド部と別体に設けられ、前記第1軸に結合する基部とを有するとともに、これら第1ロッド部及び基部は、互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合される、関節機構。
【請求項2】
前記第1ロッド部は、前記第1部材流体室を2つに区画するとともに、その第1部材流体室を囲む前記第1部材の内壁面に摺接する第1ピストン部と、その第1ピストン部に繋がり、前記第1部材流体室から前記第1部材の外部へ延びる第1アーム部と、その第1アーム部の前記第1ピストン部と反対側の端部に設けられた第1結合部とを有し、
前記基部は、前記第1結合部に対してがたつきを持った状態で結合される第1被結合部を有し、
前記第1結合部は、前記第1アーム部の端部から突出する第1突出部と、その第1突出部の先端に設けられ、その第1突出部よりも大径に形成された第1先端部とを有し、
前記第1被結合部は、前記第1先端部がその周囲に所定の隙間を持った状態で収容される第1収容部と、前記第1先端部が抜け出ないような大きさに形成され、前記第1突出部がその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通される第1挿通孔とを有する、請求項1に記載の関節機構。
【請求項3】
前記第2部材に対して第2軸を介して回動可能に結合された第3部材を備え、
前記第3部材は、前記第2軸に結合するとともに、流体が給排される第3部材流体室を内部に有し、
前記第2部材は、前記基部と別体に設けられ、前記第3部材流体室内でピストンを構成するとともに、前記第3部材流体室への流体の給排に応じて前記第2軸回りに前記第3部材に対して相対的に回動する第2ロッド部を有し、
前記基部は、前記第2軸に結合し、
前記第2ロッド部及び前記基部は、互いの相対変位を許容するがたつきを持った状態で結合される、請求項1又は2に記載の関節機構。
【請求項4】
前記第2ロッド部は、前記第3部材流体室を2つに区画するとともに、その第3部材流体室を囲む前記第3部材の内壁面に摺接する第2ピストン部と、その第2ピストン部に繋がり、前記第3部材流体室から前記第3部材の外部へ延びる第2アーム部と、その第2アーム部の前記第2ピストン部と反対側の端部に設けられた第2結合部とを有し、
前記基部は、前記第2結合部に対してがたつきを持った状態で結合される第2被結合部を有し、
前記第2結合部は、前記第2アーム部の端部から突出する第2突出部と、その第2突出部の先端に設けられ、その第2突出部よりも大径に形成された第2先端部とを有し、
前記第2被結合部は、前記第2先端部がその周囲に所定の隙間を持った状態で収容される第2収容部と、前記第2先端部が抜け出ないような大きさに形成され、前記第2突出部がその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通される第2挿通孔とを有する、請求項3に記載の関節機構。
【請求項5】
前記第1ロッド部は、前記第1部材流体室を2つに区画するとともに、その第1部材流体室を囲む前記第1部材の内壁面に摺接する第1ピストン部と、その第1ピストン部に繋がり、前記第1部材流体室から前記第1部材の外部へ延びる第1アーム部と、その第1アーム部の前記第1ピストン部と反対側の端部に設けられた第1結合部とを有し、
前記第2ロッド部は、前記第3部材流体室を2つに区画するとともに、その第3部材流体室を囲む前記第3部材の内壁面に摺接する第2ピストン部と、その第2ピストン部に繋がり、前記第3部材流体室から前記第3部材の外部へ延びる第2アーム部と、その第2アーム部の前記第2ピストン部と反対側の端部に設けられた第2結合部とを有し、
前記基部は、前記第1結合部の先端部と前記第2結合部の先端部をそれらの先端面が互いに対向するような状態で収容してそれら第1結合部の先端部と第2結合部の先端部の両方に対してがたつきを持った状態で結合される被結合部を有し、
前記第1結合部の先端面と前記第2結合部の先端面とは、それぞれ互いの側に向かって突出する曲面状の凸面からなる、請求項3に記載の関節機構。
【請求項6】
前記第1結合部は、前記第1アーム部の端部から突出する第1突出部と、その第1突出部の先端に設けられ、その第1突出部よりも大径に形成された第1先端部とを有し、
前記第2結合部は、前記第2アーム部の端部から突出する第2突出部と、その第2突出部の先端に設けられ、その第2突出部よりも大径に形成された第2先端部とを有し、
前記被結合部は、前記第1先端部と前記第2先端部がそれらの周囲に所定の隙間を持った状態で収容される収容部と、前記第1先端部が抜け出ないような大きさに形成され、前記第1突出部がその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通される第1挿通孔と、前記第2先端部が抜け出ないような大きさに形成され、前記第2突出部がその周囲に所定の隙間を持った状態で挿通される第2挿通孔とを有する、請求項5に記載の関節機構。
【請求項7】
前記第1先端部の先端面と前記第2先端部の先端面は、前記収容部内で互いに対向するように配置されるとともに、互いに接触した状態で相対変位可能な球面状の凸面にそれぞれ形成されている、請求項6に記載の関節機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−90941(P2010−90941A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259679(P2008−259679)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】