説明

関節面の欠損を治療するためのインプラント及びそのデリバリーシステム

本発明は、複雑で臨床治療的に許容可能な近位面を有するインプランプラグに関する。本発明は、非平面状の近位面を有する多層式インプラントプラグを提供する。適切なインプラントの近位面形状には、凹状面、凸状面、ファセットドーム、及び2つのファセットの収束によって形成される傾斜面が含まれるが、これらに限定される訳ではない。本発明のインプラントは、関節面内の組織の欠損の治療に適している。本発明は、本発明のインプラントを搬送するためのデリバリー装置及び搬送方法も提供する。本発明は、本発明のインプラントと共に利用するのに適した欠損を生成するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本出願は、米国特許仮出願60/632,050号明細書に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、非平面状の表面又は複雑な表面に位置している軟骨及び硬骨の欠損を治療するための、インプラント、装置、及び方法に関する。
【0003】
インプラントが組織層の障害を治療するために損傷した硬骨又は軟骨に挿入されることは、本発明の属する技術分野ではよく知られている。手順の一タイプは、特許文献1(Johnson等)、特許文献2(Bobic等)、及び特許文献3(Torrie等)に開示されるように、患者の身体の健全な領域から採取された健全な硬骨又は軟骨のプラグを欠損に移植するステップを含んでいる。代替的な実施例では、インプラントは、特許文献4(Brekke等)、特許文献5(Athanasiou等)、及び特許文献6(Walter等)に開示されるように、例えば多孔性で生体適合性を有する発泡体又は高分子化合物のような人工材料を含んでいる。
【0004】
関節軟骨は、例えば膝、肘や踝のような関節の硬骨間の関節面をカバーする組織である。骨格系では、例えば膝や臀部のような主要な関節接続部の大部分は、所定範囲の動作を通じて滑らかに移動する比較的適合した表面を含んでいる。例えば足首のような特定関節の空間では、表面はさらに複雑な形状を含んでいる。例えば距骨の関節面には、少なくとも5つの表面が存在する。これら関節面は鋭い交点に収束し、これにより急性又は外傷の障害が発生した場合に外科的治療のために複雑な形状を生成している場合がある。現在の治療法は、壊死組織の切除、制限された動き(restricted motion)、鎮痛薬療法、骨軟骨の移植、又は最後の手段として関節の癒着に通常制限されている。外科医は、関節面を再利用し、これにより痛みを低減し機能回復させるための見解をほとんど示すことができない。現在、1つの共通する(しかしながら一般的ではない)意見は、膝の関節面から足首に骨軟骨移植を実施することである。この移植は、提供者(donor)の関節面の形状と被移植者(recipient)の関節面の形状とが適合しない場合に困難であり、結果として的外れな治療(marginal treatment)や不満な治療となることもしばしばである。欠損又は損傷が距骨の内側又は外側の隆起にあり、これにより2つの交差する関節面を橋絡している場合には、満足できる程度に適合した提供者の組織が採取される解剖学的位置は存在しないことになる。
【0005】
多くの特許文献は、軟骨の治療に適した材料、装置、及び方法を開示している。Walter等の特許文献6には、軟骨の回復に適した手で成形可能な生分解性のインプラント材料が開示されている。Athanasiou等の特許文献7には、軟骨を回復させるための生分解性多孔質高分子化合物のインプラント材料が開示されている。Slivka等の特許文献8には、軟骨を回復させるための繊維で強化された多孔質で生分解性のインプラント装置が開示されている。
【0006】
幾つかの特許文献には、軟骨を回復させるための多層式の材料又は装置が開示されている。Athanasiou等の特許文献5には、軟骨の特性と類する特性を有する層及び硬骨の特性と類する特性を有する層を有している生体内分解性の多層式インプラント(multi-phase implant)/キャリアが開示されている。Brekke等の特許文献9には、第1の組織の組織学的パターンを近似するために三次元的な内部構造を備えた第1の領域と、第2の組織の組織学的パターンを近似するために三次元的な内部構造を備えた第2の領域とを有している装置が開示されている。Vyakarnam等の特許文献10及びSherwood等の特許文献11には、構成及び/又は微細構造及び/又は機械的性質の勾配(gradient)の利用が開示されている。Simon等の特許文献12及び特許文献13には、複合的な構造を有する軟骨回復用プラグが開示されている。Simon等の特許文献12には、上層の上面が凸状とされた状態で、プラグと関節する上層を有する2つのプラグの実施例を含む、様々な軟骨用プラグの構成が開示されている。
【0007】
硬骨若しくは軟骨の移植片又は人工材料から成る組織用インプラントを挿入するための従来の装置は、非平面状又は滑らかに屈曲した複雑な表面内にインプラントを挿入するには不適当である。特許文献3(Torrie等)には、屈曲した硬骨の表面に対して垂直な状態で手術器具を利用するためのガイドの向きを決定するための方法が開示されている。一の構成では、ガイドの組織との係合部は、リムがフランジの上方に形成されるように成形されている。使用時に、フランジは硬骨とリムとが接触した状態で載置され、その周縁の周辺で完全に硬骨と同一平面になっている。Torrie等は、前記組織との係合部が僅かに凸状の表面を有した拡大されたリップの形態をしている構成に言及している。
【0008】
移植治療(implant procedure)の際には、様々な深さの欠損がしばしば見受けられる。一旦欠損内部に挿入されたインプラントが突出することなく、又は空洞を形成することなく組織周囲の表面に適合するためには、欠損の深さを決定し、欠損に嵌合するように調整されたインプラントの長さを決定しなければならない。一般に、欠損の正確な深さを決定することは困難であるから、正確な長さのインプラントを挿入することも困難である。
【0009】
特許文献14(Hart等)には、長手軸に沿った内部ボアを有するシリンダと該内部ボア内で同軸方向に移動するように配置されたステムとを備えた、硬骨のインプラントの位置決め装置が開示されている。内部ボアに載置された硬骨のプラグは、ステムが前記内部ボアを通じて進んだ場合に欠損内に搬送されている。しかしながら、工具は、欠損の深さを決定するか、又は欠損に嵌合するようにインプラントの長さを調整するための手段を備えていない。
【0010】
特許文献15(Johanson等)には、同様に硬骨のプラグを採取し移植するための中空円筒体内部にプッシュロッドを備えている装置が開示されている。さらに、この装置は、外科医が移植中に硬骨のプラグを目視可能なように透明又は半透明のチップを含んでいる。このことによって、硬骨のプラグの長さが採取後に決定可能となるが、欠損の深さを決定する手段を備えていない。
【0011】
非平面状の又は複雑な表面を有する組織内で欠損のために改良されたインプラント、手術器具、及びを回復方法が、本発明の属する技術分野で依然として必要とされる。
【特許文献1】米国特許第5,152,763号明細書
【特許文献2】米国特許第5,919,196号明細書
【特許文献3】米国特許第6,358,253号明細書
【特許文献4】米国特許第4,186,448号明細書
【特許文献5】米国特許第5,607,474号明細書
【特許文献6】米国特許第5,716,413号明細書
【特許文献7】米国特許第5,876,452号明細書
【特許文献8】米国特許第6,511,511号明細書
【特許文献9】米国特許第6,264,701号明細書
【特許文献10】米国特許第6,265,149号明細書
【特許文献11】米国特許第6,454,811号明細書
【特許文献12】米国特許第6,626,945号明細書
【特許文献13】米国特許第6,632,246号明細書
【特許文献14】米国特許第5,782,835号明細書
【特許文献15】米国特許第6,395,011号明細書
【特許文献16】米国特許出願第10/785,388号明細書
【特許文献17】米国特許出願第09/702,966号明細書
【特許文献18】米国特許第6,344,396号明細書
【特許文献19】米国特許第5,741,329号明細書
【特許文献20】米国特許第6,783,712号明細書
【特許文献21】米国特許出願第10/931,474号明細書
【特許文献22】米国特許第6,203,573号明細書
【非特許文献1】K.A. Athanasiou, G. G. Niederauer and R.C. Schenck "Biomechanical Topography of Human Ankle Cartilage" Annals of Biomedical Engineering 23 (697-704), 1995
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
欠損は、欠損領域内の組織表面の形状が複雑となるように発生する場合がある。例えば、2つの関節面の間で隆起に沿ってインプラントを位置決めすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複雑な近位面を備えた、組織の欠損に埋め込むためのプラグインプラントを提供する。インプラントにおいて、“近位面”とは、組織の欠損内に挿入された場合に周囲組織の表面に最も近いインプラントの表面を意味する。インプラントの近位面は、欠損位置の組織のために臨床治療的に許容可能な交換を実施可能なようになっている。インプラントの近位面は、一旦埋め込まれるとインプラント周囲の組織と馴染む。
【0014】
一の実施例では、インプラントの近位面は、傾斜面を形成するために収束している2つのファセットを備えている。このような装置は、距骨の関節面、一般には距骨頭や内果及び外果のいずれかと共に関節を成す表面に収束するように適合するために利用可能とされる。
【0015】
他の実施例では、インプラントの近位面は凹状又は凸状とされる。複雑な関節面を有するインプラントは解剖学的機能(anatomical function)を回復させるために利用可能とされる他の応用は膝である。例えば、本発明のインプラントは距骨滑車(trochlea)、膝蓋骨、又は膝蓋大腿関節で利用可能である。インプラントは、大腿骨の滑車溝に適合するように形成されている凹所と共に構成されている。同様に、インプラントは凸状の僅かに丸められた表面が膝蓋骨の表面に適合するような状態で製造される。
【0016】
複雑な表面を有するインプラントが有益とされる、複雑な表面のさらに他の例は、手又は足の小さな関節である。例えば、手間中手骨の関節、足根骨の関節、及び中足骨の関節(中足骨頭の関節を含む)は、複雑な形状を備えたインプラントを必要とする、複雑で大きく屈曲した表面を呈している。
【0017】
本発明のインプラントに適した関節の他の例として、顎骨の顎関節(TMJ)、棘間関節(spine joint)(脊柱の連結(vertebra joint)や椎間関節(facet joint)を含む)、及び臀部、肩部、及び肘部が挙げられる。
【0018】
一の実施例では、インプラントは人工のインプラントである。インプラントは、単一構成又は多層構成とされる。二層式インプラントは、軟骨及び硬骨の組み合わせを模擬するために利用され得る。三層を有する多層式インプラントは、例えば関節軟骨、海綿質骨や皮質骨のような3つの隣接する組織を有する表面を模擬するために利用され得る。このようなインプラントは、損傷した大腿骨端又は脛骨端を再構築する点において有用である。他の実施例では、多層式インプラントの構成要素の異なる部分を絶縁するために、様々な層が非透水性フィルムによって分離されている。
【0019】
本発明は、本発明のインプラントを測定し、矯正し(sizing)、且つ既知の深さ又は未知の深さを有する硬骨及び/又は軟骨用インプラントに搬送可能とする、硬骨及び/又は軟骨用インプラントのデリバリー装置も提供する。デリバリー装置は、部分的又は完全に半透明又は透明とされる。本発明は、複雑な表面を有する硬骨組織又は軟骨組織内に本発明のインプラントを埋め込むための方法も提供する。
【0020】
本発明のデリバリー装置は、該装置によって接近可能な任意の硬骨又は軟骨の欠損の治療に適している。さらに、デリバリー装置は、人工のインプラント同様に硬骨又は軟骨から成る移植片と共に利用するのに適している。本明細書で利用するように、“インプラント”は、人工材料から作られたインプラント及び硬骨又は軟骨から成る移植片であるインプラントを含んでいる。
【0021】
本発明のインプラントのデリバリー装置は、特許文献16に記載のインプラントのデリバリー装置に関連する。この文献は、本明細書の記載内容と矛盾しない程度において参照により本明細書に組み込まれている。
【0022】
本発明のデリバリー装置は、近位端及び遠位端を有する管状外側軸と、長手軸に沿った内部ボアとを含んでいる。デリバリー装置において、“近位(proximal)”は、初期に患者の身体に対して最も近接して向いているデリバリー装置の端部を意味し、以下の説明するように欠損の深さを測定するために利用される。“遠位(distal)”は、初期に患者の身体に対して最も離間されて向いている装置の端部を意味し、インプラントを収容するために利用される。外側軸の内部ボアは、インプラントが非円筒状とされた場合にインプラントの直径又は断面を収容するような大きさとされている。さらに、外側軸の近位端及び遠位端は、欠損周囲の組織の形状に一致するように形成されている。
【0023】
近位端及び遠位端を有する円筒状の内側軸は、外側軸の内部ボア内に配置されている。“欠損内への挿入に適している(suitable for insertion into a defect)”とは、内側軸の近位端が、欠損を歪ませることなく、又は組織層を損傷させることなく硬骨及び/又は軟骨の欠損内部に係合可能な大きさ及び形状を有していることを意味している。本発明では、内側軸の遠位端は、インプラントの内面の大きさ及び形状に類する大きさ及び形状を有している。内側軸の形成された表面は、適切な向きにインプラントを維持するための助けになる。内側軸は、外側軸と滑動可能に係合するような直径を有している。“滑動可能に係合している(slidably engaged)”は、内側軸が外側軸の内側ボア内で滑動可能とされることを意味している。内側軸は、中実とされるか、その中央にカニューレが挿入されている。内側軸及び外側軸は、同一の有効長さを有している。内側軸及び外側軸は、同一の有効長さを有している。外側軸の近位端及び内側軸の平坦な端部が平坦な表面と接触した状態で載置され、内側軸及び外側軸の形成された遠位端は位置合わせされている。内側軸及び外側軸の近位端が位置合わせされた場合には、内側軸及び外側軸の遠位端の形状は適合する。内側軸の一端が外形を成すので、内側軸の外形部分は中央の計測部よりも長い。
【0024】
デリバリー装置は、内側軸の外側軸を通じた摩擦移動(friction-related movement)を提供する手段を備えている。内側軸は、“摩擦部材(friction member)”を有している。この摩擦部材は、本明細書では、外側軸の内面と接触し、且つ内部ボアと締り嵌めをするのに十分な大きさの直径を有しており、これにより内側軸は、力が作用した場合に外側軸内で滑動可能とされ、力が作用しない場合には外側軸内で滑動しない内側軸の一区間として規定されている。摩擦部材は、付加的な摩擦を提供するために、ゴム又は他の材料で被膜されている。外側軸及び内側軸の表面は、摩擦移動を提供するように改良されている場合もある。例えば、外側軸の内面の一区間は小さなビードを含んでおり、内側軸の外面の対応する区間は小さな突起部を含んでいる。内側軸が外側軸を通じて移動した場合には、外側軸の小さなビードが内側軸の突起部と接触し、付加的な摩擦を発生させる。代替的には、外側軸の内面の一区間は、内側軸の外面の対応する区間に配置された突起部又は鋸歯と係合する突起部又は鋸歯を含んでいる場合がある。内側軸が外側軸を通じて移動した場合には、突起部及び/又は鋸歯は互いに接触し、移動が制限される。内側軸の外側軸を通じた不慮の移動を防止する他の手段は、そうでなければ内側軸及び外側軸の表面をテクスチュアリング(texturing)するステップ、又は内側軸及び外側軸の表面を粘性液体で被膜するステップを含んでいる。
【0025】
さらに、デリバリー装置は、内側軸の外側軸内での回転を制限するように構成されている場合がある。例えば、キー又はキー溝のいずれか一方が、キー又はキー溝の他方が外側軸上に位置している状態で内側軸上に位置している場合がある。キー及びキー溝のインターロックが、内側軸の外側軸内での回転を制限又は防止する。
【0026】
内側軸が外側軸内に配置され、且つ内側軸が外側軸の近位端から突出しない場合に、インプラントを外側軸の遠位端内部に挿入することによって、内側軸が前記近位端に向かって配置され、これにより内側軸の一部が外側軸の近位端から突出する。逆に、インプラントが外側軸の遠位端に事前に装填されている場合には、内側軸が外側軸の近位端に挿入され、内側軸の遠位端がインプラントに接触するまで外側軸の遠位端に向かって進む。この時点で、インプラントは外側軸の遠位端を越えて延伸せず、内側軸の一部は外側軸の近位端から突出している。
【0027】
インプラントが少なくとも部分的に外側軸の遠位端に挿入されている状態で、内側軸の近位端が未知の深さの欠損に挿入されている。内側軸の近位端が欠損の底部に接触した場合には、外側軸が、それ自体の近位端が欠損周囲の組織表面と効果的に一致するまで欠損に向かって進む。外側軸に関連して、この遠位方向への移動によって、内側軸が進む。結果として、外側軸の近位端から突出する内側軸の長さは、欠損の深さと同一である。さらに、この移動は、外側軸内のインプラントを移動させ、インプラントの一部が外側軸の遠位端を越えて延伸する原因となる。
【0028】
インプラントの突出端、すなわち外側軸の遠位端から突出しているインプラントの一部は、ナイフ又は他の切断装置を用いて切断することができる。本発明と共に利用するのに適している他の切断装置として、ハサミ、裁断機、又は特許文献16に記載の他の切断装置が挙げられる。外側軸の遠位端内のインプラントの残り部分の長さは、外側軸の近位端から突出している内側軸の長さに等しく、さらに欠損の深さとも等しい。前記装置の近位端は欠損から取り除かれ、インプラントを収容している前記装置の遠位端は欠損の上方に載置される。患者の身体から最も離間された端部である内側軸の近位端は、インプラントを欠損内に押し込むことによって、患者の身体に最も近傍に位置している端部である外側軸の遠位端に向かって進められる。
【0029】
デリバリー装置が任意の材料(医療グレードのプラスチック又は金属を含むがこれらに制限される訳ではない)から構成される場合があるが、プラスチックが硬骨又は軟骨の表面に引っ掻き傷を負わせることを防止するために利用されることが望ましい。さらなる実施例では、外側軸の外面に切り欠かれた一連の薄い同心状のスロットが、デリバリー装置の取り扱いを容易にするために把持面を備えている。
【0030】
本発明のさらなる実施例では、少なくとも1つのスロット又は窓部が、インプラントを目視可能なようにデリバリー装置の外側軸の遠位端に設けられている。スロット又は窓部は、インプラントがデリバリー装置内に配置されている際に視認されるような任意の形状とされる。スロット又は窓部は、透明材料で覆われている場合がある。
【0031】
本発明のさらなる実施例では、外側軸の遠位端に先細りしたリーフを含んでいる。長手方向のスロットは、対向するリーフを形成するために外側軸の遠位端で切り欠かれている。リーフは長手方向のスロット間の外側軸の一部である。これらのリーフは、インプラントに若干の圧縮力を作用させ、これによりインプラントがデリバリー装置内で不慮に移動することを防止するために僅かに内方に先細りして製造されている場合がある。
【0032】
本発明のさらなる実施例では、スナップ−ビード機能が物品(item)をデリバリー装置に取り付けるために外側軸の遠位端に備えられている。このスナップ−ビード機能は、外側軸の遠位端の周囲に環状溝を備えている。取り付け可能な物品は、この環状溝と係合する1つ以上の小さなビード又はリムを有している。一のこのような取り付け可能な物品は、インプラントがデリバリー装置から不意に脱落することを防止するための、外側軸の遠位端の上方に係合する暫定的なキャップである。
【0033】
本発明のさらなる実施例では、インプラントは、例えば血液、血中濃度(blood concentrate)や細胞懸濁液のような生体活性液体と共に欠損に搬送される。インプラントが欠損と係合するような大きさとされ、且つそのように切り欠かれた後に、キャップは外側軸の遠位端の周囲に載置され、生体活性液体が窓部又はスロットを介して追加される。さらに、遠心分離器が液体を充填するために利用され、デリバリー装置は、液体をインプラントに充填した場合に遠心分離中に液体を漏らさず、又はインプラントを湿らせず、遠心分離機内での利用に適している、すなわち構造的に遠心力に耐えることができる。
【0034】
本発明は、少なくとも1つのインプラントデリバリー装置を備えた工具セットも含んでいる。この工具セットは、インプラントと、ナイフ又は他の切断装置とも含んでいる。前記工具セットは、様々な大きさの欠損及びインプラントを収容するために、異なる大きさの内部ボア及び内側軸を有する幾つかのインプラントデリバリー装置を備えている場合がある。この工具セットのデリバリー装置は、個々に大きさに従って決められた色を付されている。
【0035】
本発明は、選択された位置、直径、及び非平面状の表面又は複雑な表面を有する組織の深さを備えた欠損を生成するための装置、工具セット、及び方法を提供する。装置及び方法は、本発明のプラグインプラントと適合した欠損を生成する。
【0036】
“管(tube)”、“管状(tubular)”、及び“円筒状(cylindrical)”という用語は、インプラントデリバリー装置及びインプラントカプセルローダーが凹状(depressions)、凸状(reliefs)、平坦(flats)、若しくは溝状(flutes)であることを除外する訳ではなく、又はその形状を丸められた円筒状に限定する訳でもない。管の断面領域は、楕円状、六角状、八角状、又は不規則形状を含む任意の形状とされるが、これらに限定される訳ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明は、欠損領域の組織表面が非平面状とされる組織の欠損の回復に関する。本発明のインプラントは、様々な組織表面の形状に適合可能である。該形状には、凹状面及び凸状面が含まれるが、これらに限定される訳ではない。一の実施例では、組織表面は略円筒状部又は略球状部の形態とされている。本発明のインプラントは関節面(articulating surfaces)内の欠損の回復に適している。
【0038】
一の実施例では、欠損領域内の組織表面は複雑な表面とされる。一の実施例では、この複雑な表面は関節面を有している。本明細書で用いられるように、複雑な表面は、それ自体に沿って一定でない平均的な曲線を有している。例えば、複雑な表面とは、平面、円筒面、又は球面ではない。複雑な平面には、凹状面、凸状面(ドーム型の表面)、サドル状の表面や他の表面が含まれているが、これらに限定される訳ではない。該他の表面とは、平面と該平面の法線ベクトルを含む2つの直交する平面とが所定の点で交差することによって形成された平面曲線が、2つのファセット(多数のファセットで形成されたドーム及びボウル)が交差することによって形成された、一様に凸状又は凹状の傾斜面ではない平面である。一の実施例では、複雑な平面は複合的な曲率半径を有している。このことは、表面が少なくとも2つの異なる曲率半径(無限大ではない)を有していることを意味している。前記インプラントは対称形である必要はない。一の実施例では、前記インプラントは対称的な一平面を有している。
【0039】
サドル状インプラントは、関節の窪んだ領域及び/又は溝状の領域を治療するために利用することができる。
【0040】
傾斜インプラントは、関節の突起(joint ridges)を治療するために利用される。本明細書で用いられるように、傾斜された構成では、インプラントの一側部は対向する側部よりも長く、その結果として、一般にインプラントの一側部から対向する側部に向かって傾斜している“スキージャンプ台”状の近位面になっている(図4Bに表わす)。一の実施例では、近位面(斜面の高い側の表面)の一部とインプラントの一側部とが成す角度は90°よりも小さい。一の実施例では、斜面の低い側の近位面とインプラントの一側部とが成す角度は90°以上である。一の実施例では、斜面の低い側の近位面とインプラントの側部とが成す角度は90°〜100°である。傾斜と直交する表面の曲線は零であるか、又は零でない。
【0041】
本発明の装置及び方法による回復に適した欠損には、軟骨及び/又は硬骨内の空洞が含まれている。欠損は損傷した硬骨層及び/又は軟骨層である場合がある。しかしながら、欠損は、硬骨及び軟骨の損傷に限定される訳ではない。欠損は、例えば健全な硬骨又は軟骨から成るプラグが移植のために取り除かれた後に硬骨組織又は軟骨組織内に残存する孔のように故意に生成される場合がある。故意に生成された欠損には、靱帯や腱の回復外科手術の際に自家骨移植片又は同種骨移植片を挿入するために生成された硬骨組織又は軟骨組織内の孔が含まれている。損傷領域周囲の硬骨組織又は軟骨組織内の孔はプラグインプラントを用いて容易に回復させるために生成される場合がある。
【0042】
本発明は、組織の欠損に移植するために非平面状の近位面又は複雑な近位面を備えたプラグインプラントを提供する。この組織の欠損は空隙(void)の形態である。プラグインプラントは、それ自体を適切に固定するために十分な長さを有するような大きさとされる。一の実施例では、プラグインプラントは約8mmの長さとされることが望ましいが、8mmよりも長くとも短くとも良い。インプラントの近位面は、欠損領域内の組織を置換するために臨床治療的に許容可能な表面形状を備えている。臨床治療的に許容可能(clinically acceptable)とは、インプラントの近位面が移植された組織を許容可能な程度に機能させることを意味する。関節面内に載置されたインプラントにおいて、インプラントの近位面の形状は、関節が許容可能な程度に機能する限り許容可能である。任意の欠損領域のために臨床治療的に許容可能な1つ以上の近位面が存在する。インプラントの近位面は、損傷前の欠損領域内の組織表面に類似しているが、同一である必要はない。インプラントの近位面は欠損領域の損傷していない組織表面よりも単純である。インプラントの近位面は移植されたインプラントの周囲の組織の近位面と一致するように構成されている。インプラントの近位面が周囲組織と一致するということは、インプラントの近位面周囲の外形が周囲組織の外径と類似していることを意味する。しかしながら、必ずしも同一であることは必要ない。
【0043】
一の実施例では、インプラントは生体材料から構成されている。このインプラントの近位面は、複雑な関節面又は不規則な関節面の外形に適合するように形成されている。このような表面は、1自由度以上の自由度を有した関節を成している1つ以上のファセットから構成されている。例えば滑車溝(trochlear sulcus)では、“V字状”の凹所が膝蓋骨の移植のために2つのファセットによって形成されている。並進方向、すなわちV字状溝に対して平行な直線方向について1自由度が原始的に存在する。他の例として距骨では、6つの関節面が矢状平面(sagital plane)、AP(前後)平面、及び回転方向で少なくとも3自由度を有して並進する。
【0044】
本明細書で利用されるように、プラグインプラントは厳密に欠損孔を充填するように規定されたインプラントである。プラグインプラントは、直立した若しくは傾斜した円筒体、直立した若しくは傾斜した多面体、又は欠損の要求に適合するように選択された他の形状とされる場合がある。インプラントは、周囲組織及び欠損内の回復組織の両方に機械的支持部を設けることによって欠損領域を占有し維持することができる。一の実施例では、本発明のインプラントは複数のアンカープラグを有する橋絡されたインプラントを含んでいない。
【0045】
図1A及び図1Bは、本発明の典型的なインプラントを表わしている。図1A及び図1Bでは、インプラント2の近位面105は、収束することによって傾斜面を形成している2つのファセット(図1Bでは参照符号150a,150b)を有している。このようなインプラントは、距骨(talus)内で収束する2つの関節面、一般に距骨頭(talar dome)及び外踝面(medial malleolus)又は内踝面(lateral malleolus)の一方の表面と関節で接続された距骨の表面を適合させるために利用される場合がある。この2つのファセットが成す角度θは、欠損の位置に依存する。異なる実施例では、前記2つのファセットが成す角度は、約70°〜約130°、好ましくは約90°〜約110°である。距骨頭と内踝面との交差部で挿入するためのインプラントの場合には、角度θは約100°とされる。
【0046】
図1A及び図1Bに表わすインプラントは、近位層110及び遠位層120を有する二層式インプラントである。近位層は欠損領域内の軟骨の特性に適合するように製造されており、遠位層は欠損領域内の硬骨の特性に適合するように配合されている。このインプラントは、遠位層が最初に欠損の硬骨領域内に位置し、且つ近位層が最初に欠損の軟骨領域内に位置しているように、硬骨及び軟骨内の欠損を充填することに適合している。
【0047】
他の例として、膝蓋骨(patella)の欠損を治療するためのインプラントが挙げられる。このようなインプラントは、関節面上の様々な曲線に適合させるために凹状部及び凸状部を組み合わせて成る。例えば、欠損が凸状の隆起から凹状の側部に延在しており、複雑な表面を有する長円状又は楕円状のインプラントを必要とする場合がある。この場合には、デリバリー装置の外側スリーブの内径はインプラントの楕円状断面に適合しており、デリバリー装置の近位端及び遠位端は膝蓋骨表面の複雑な曲線に適合している。
【0048】
図2は、模擬された膝蓋骨の内側隆起210に挿入されている本発明のインプラント2を表わす。このインプラントは2つのファセットを有している。
【0049】
図3A〜図3Cは、サドル状の上表面を有する本発明の二層式インプラントを表わす。図3Aは、本発明におけるインプラントの斜視図である。図3Bは、前記インプラントの断面図b−bである。図3Cは、前記インプラントの断面図a−aである。図3B及び図3Cは、インプラントの全長l、近位層又は上層の長さl、及び遠位層又は下層の長さlのすべてがインプラントの縁部で測定されていることを表わしている。インプラントの縁部で測定した場合には、全長lは図3Bの場合よりも図3Cの場合の方が長い。インプラントの上層の厚さは、図3Bの場合よりも図3Cの場合の方が僅かに大きいことがわかる。一の実施例では、長さlは約15mm〜約20mmであり、上層の長さlは約3mm〜約5mmである。
【0050】
サドル状の表面を有している円筒状プラントは、(1)第一回転軸と、(2)第一回転軸を形成するために交差し、互いに対して垂直な側面及び前面と、(3)側面及び前面に対して直交する横断面と、(4)横断面に対して平行とされる略平坦な遠位端と、(5)凹状面を含む近位端とによって表わされる。x−y−z座標系に照らし合わせると、第一回転軸がy軸と一致し、前面がx−y平面であり、側面がy−z平面であり、横断面がx−z平面である。この凹状面は、f(x)=f(−x)によって表わされる前面及び/又はf(z)=f(−z)によって表わされる側面を備える表面を生成する任意の数学的関数によって形成される点の軌跡によって規定されている。さらに、x=0,z=0の対称軸は一致している。
【0051】
図4A及び図4Bは、傾斜された近位面を有する本発明のインプラントにおける他の実施例を表わしている。図4A及び図4Cは、インプラントの両側面図である。図4Bは、断面c−cの断面図である。図4Bでは、インプラントの近位面と側面とが成す傾斜の角度は、右側よりも左側で小さくなっている。インプラントの左側は、インプラントの右側よりも高い。図4A〜図4Cに表わすインプラントは、滑車(trochlea)の壁部での利用に適している。
【0052】
斜面を備える円筒状のインプラントは、(1)第一回転軸と、(2)交差することによって第一回転軸を形成し、且つ互いに対して垂直な側面及び前面と、(3)側面及び前面に対して直交する横断面と、(4)横断面に対して平行で平坦な遠位端と、(5)凹状面を含む近位端とによって表わされる。回転軸がy軸に一致するx−y−z座標系に照らし合わせると、前面がx−y平面であり、側面がy−z平面であり、横断面がx−z平面である。凹状面は、f(x)≠f(−x)によって表わされる前面及び/又はf(z)≠f(−z)によって表わされる側面を備える表面を生成する任意の数学的関数によって形成される点の軌跡によって規定されている。さらに、x=0,z=0の対称軸は一致している。
【0053】
インプラントは、永久材料(permanent)、非吸収性材料(non-absorbable)、生体吸収性材料(bioabsorbable)、又は生体活性材料(bioactive)のいずれかから成る。インプラントが生体吸収性材料から成る一の実施例では、組織が形成され、天然組織(native tissue)を置き換える場合に、インプラントはゆっくりと吸収される。適切な時間が経過した後、インプラントは、身体に完全に吸収され、機能的な天然組織によって置き換えられる。これらの実施例を実現するために適切な材料は、本発明の属する技術分野において既に知られている。
【0054】
一の実施例では、インプラントは最大4つの主要構成要素:1)吸収性高分子化合物、2)セラミック、3)ファイバー、4)界面活性剤を備えている。インプラントは、第1の構成要素のみを備えている場合がある。しかしながら、該インプラントは、他の構成要素を加えることによって付加的な性能特性を得ることができる。これら構成要素と共に作られた多孔質材料は、多孔質高分子足場材料(porous polymeric scaffold)を備え、高水準の生体活性セラミック、生体活性ミネラル、生物学的に適合したセラミック、又は生物学的に適合したミネラルを組み込み、高い靭性及び強度を有している。多孔質材料は、界面活性剤を含む場合に本質的に疎水性材料の制限を部分的に克服することによって、さらに水和性になる。表1は、前記4つの構成要素のそれぞれの一般的な割合を表わす。表2は、表1の配合の一般的な物性を表わす。一の実施例では、インプラントはPolygraft(登録商標)材料(Osteobiologics, San Antonio, Texas)から製造することができる。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
一の実施例では、インプラントの空隙率は約50%〜約90%である。異なる実施例では、インプラントの空隙率は約50%よりも大きく、好ましくは約70%よりも大きい。インプラントは組織の内部成長を考慮した多孔性を有していることが望ましい。一の実施例では、インプラントの平均的な孔の大きさは約10マイクロメートル〜約2000マイクロメートル、好ましくは約50マイクロメートル〜〜約900マイクロメートル、さらに好ましくは約100マイクロメートル〜約600マイクロメートルである。インプラントはより厳密に硬骨を模擬し、且つより高い空隙率を有した層を備えている。インプラントは、組織の内部成長を促進させるためにより高い空隙率を有した部分又は層を備え、機械的性質を高めるためにより低い空隙率を有した部分又は層も備えている。例えば、層は、より低い空隙率(約0%〜約30%)を有した中央部を備えている。この中央部は、より高い空隙率(約50%〜約90%)を有した環状部によって囲まれている。インプラントの多孔質部は、例えば血液や骨髄のような液体を吸収可能であり、これにより生体活性剤、薬物や薬剤を浸漬させることができる。
【0058】
自家薬剤(autologous agent)及び生体活性薬剤(bioactive agent)の両方が本発明のインプラントを用いて利用可能とされる。自家薬剤及び生体活性薬剤として、例えば血小板濃縮血漿(PRP)、自家成長因子(AGF)や患者自身の骨髄のような濃縮血液が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0059】
人工的な生体活性薬剤には、硬骨の形態形成タンパク質(morphogenic protein)(例えばBMP−2、BMP−7、BMP−12やBMP−13)、及び例えば血小板由来成長因子(PDGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、変異成長因子β(TGF−β)のような成長因子や他の分裂促進因子が含まれるが、これらに限定される訳ではない。他の人工的な生体活性薬剤は、上述の成長因子や他の成長因子の小さなペプチド類似体である場合がある。さらなる他の薬剤は、組織の成長や分化を促進させる薬剤や薬理学的活性物質である場合もある。
【0060】
多層式インプラントにおいては、異なる生体活性薬剤が、インプラントの所望の部分で選択的に組織成長を促進させるために各層に充填されている場合がある。インプラント又は該インプラントの組み合わせに事前に充填された1つ以上の生体活性薬剤が外科手術時に付加される場合がある。例えば、二層式インプラントの硬骨層は硬骨を刺激する薬剤を事前に充填されており、インプラントは外科医に無菌状態を提供する場合がある。外科手術時に、外科医は軟骨特有の成長因子を含んでいる無菌液を加えることによって、組織特有の生体活性剤を備えたインプラントを作る場合がある。単一の薬剤がインプラントの複数層で利用される場合もある。
【0061】
インプラントは、内部成長が理想的とされるタイプの細胞に供給される場合もある。本発明のインプラントの材料は、自家組織又は同種組織に事前に供給されている場合がある。自家組織や同種組織は細かく刻まれているか、又は粒子状にされている場合がある。一の実施例では、組織は皮膚組織、軟骨、靱帯、腱又は硬骨である。これらの同種組織は生物学的構造及び生物学的構成を保存するように処置されているが、免疫応答を起こす可能性がある細胞を取り除くようにも処置されている。同様に、自家組織は異系移植片のために上述のように利用され処置される。
【0062】
吸収性高分子化合物は、多孔性インプラントの中心的構成部材を形成し、インプラント材料の多孔性構造体の形態として求められている。この吸収性高分子化合物は所定の溶剤に対して溶解性を有するか、又は少なくとも膨潤性を有している。さらに、該高分子化合物は、有毒な複製物を発生させずに生体内で分解可能とされる。典型的な高分子化合物は、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、及び共重合体の中から選択される。しかしながら、任意の吸収性高分子化合物を利用することもできる。生分解性のインプラント材料を製造するための、本発明の属する技術分野で既知とされる高分子化合物には、α−ヒドロキシ酸と、ポリグリコリド(PGA)と、例えばグリコリド/L−ラクチド共重合体(PGA/PLLA)やグリコリド/トリメチレンカーボネート共重合体(PGA/TMC)のようなグリコリドの共重合体と、ポリラクチド(PLA)と、例えばポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチド(PDLLA)やL−ラクチド/DL−ラクチド共重合体のようなPLAの立体共重合体と、例えばラクチド/テトラメチルグリコリド共重合体、ラクチド/トリメチレンカーボネート共重合体、ラクチド/δ−バレロラクトン共重合体、ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体、ポリデプシペプチド、PLA/ポリエチレンオキシド共重合体や3位及び6位が非対称に置換されたポリ−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンのようなPLAの共重合体と、ポリ−β−ヒドロキシブチレート(PHBA)、PHBA/β−ヒドロキシバレレート共重合体(PHBA/HVA)やポリ−β−ヒドロキシプロピオナート(PHPA)を含むポリヒドロキシアルカナート重合体と、ポリ−p−ジオキサン(PDS)と、ポリ―δ―バレロラクトンと、ポリ−ε−カプロラクトンと、メチルメタクリレート−N−ビニルピロリドン共重合体と、ポリエステルアラミドと、シュウ酸から作られたポリエステルと、ポリジヒドロピランと、ポリアルキル−2−シアノアクリレートと、ポリウレタン(PU)と、ポリビニルアルコール(PVA)と、ポリペプチドと、ポリ−β−マレイン酸(PMLA)と、ポリトリメチレンカーボネートと、オリエチレンオキシド(PEO)と、ポリ−β−ヒドロキシバレレート(PHVA)と、ポリオルトエステルと、チロシン由来ポリカーボネートと、ポリ−β−アルカン酸とが挙げられる。高分子化合物は、揮発性溶液の中に溶解した際に粘稠溶液を形成するのに十分なモル重量を有しており、非溶剤を追加したときに沈殿し、柔らかいゲルを形成することが理想的である。理想的な分解期間を有することが知られている高分子化合物が選択され得る。本発明のインプラントにおいては、この分解期間は、最大約2年、約3週間から約1年、又は約6週間から約9月とされることが望ましい。
【0063】
インプラントは、特許文献17に記載されるように二峰性分解(bimodal degradation)を達成するか、又は特許文献18に記載されているように機械的性質を向上させるために、特許文献19に記載されているような緩衝に適したセラミック成分も含んでいる。インプラントは、機械的性質を高めるために硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、又は他のセラミックを含んでいる。本発明装置のセラミック成分は、材料に機械的補強及び生物学的活動を付与する。セラミック成分又はミネラル成分は、硫酸カルシウム(半水状又は二水状)、例えばリン酸三カルシウムやハイドロキシアパタイトのような硫酸カルシウムの塩、Bioglass(登録商標)の様々な成分、及びこれら材料の混合物又は組み合わせの中から選択されることが望ましい。粒子の大きさは、選択された成分の理想的な役割に従って1ミクロン未満の大きさから最大1mmの範囲である。例えば高強度に補強された複合材料は、ヒドロキシアパタイトのナノ粒子と混合することによって製造される。代替的には、硫酸カルシウムの大きな粒子(>100pm)が混合され、これにより材料の全空隙率を高め、且つ硬骨形成を促進させて、最終的には4週間〜6週間で溶解する。カルシウムを含有するミネラルを混合することによって、生分解性高分子化合物の分解を緩和し、酸性の崩壊産物の生成を回避することができる。
【0064】
ファイバーを複合材料に付加することによって、本発明の属する技術分野でよく知られているように材料の靭性及び強度の両方を高めることができる。インプラントは、特許文献8及びこれに関連する部分的な継続出願(特許文献20及び特許文献21)に記載されているような繊維強化マトリックス(fiber-reinforced matrix)から構成されている。繊維及びマトリックスの組み合わせは、複合的な足場材料の機械的性質が最適な性能を達成するように選定されていることが望ましい。本発明との利用に適した繊維には、吸収性繊維や非吸収性繊維が挙げられる。一の実施例では、繊維が不規則に配置されている。他の実施例では、繊維は優先的に位置合わせされている。繊維が多孔質材料内で互いに対して平行に優先的に位置合わせされることによって、負荷が繊維の第1の向きに対して平行に作用する場合に対する強度が高められるので、特許文献8に記載されているような異方性挙動が実現される。本発明では、繊維が材料の質量の最大30%まで含まれている場合がある。好ましい高分子繊維材料として、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン、ポリトリメチレンカーボネート、及びこれらの共重合体の中が挙げられる。しかしながら、任意の吸収性高分子化合物も利用可能とされる。多糖ベースの繊維は、機能的に作用するか否かに関わらず、セルロース、キトサン、デキストラン、及び他の物質から選択可能とされる。非高分子化合物の繊維は、紡糸ガラス繊維(例えばBioglass(登録商標)、リン酸カルシウム系ガラスやソーダガラス)や他のセラミック材料、炭素繊維及び金属繊維の中から選定され得る。
【0065】
インプラントは、組織の内部成長及び材料の生体適合性をさらに高めるために界面活性剤(〜1重量%)も含んでいる場合がある。大部分の生分解性高分子化合物は元来疎水性であるので、液体は容易に吸収及び浸透されない。生体適合性を有する界面活性剤を加えることによって、多孔性構造体の表面の水和性を改善することができる場合がある。このことによって、毛管作用を高めることによってインプラントの中心に向かって長い距離を浸透するという血液、体液及び細胞の能力が改善される。生体適合性を有する界面活性剤の例として、ポリエチレンオキシド(PEO’s)、ポリプロピレンオキシド(PPO’s)、PEO及びPPOから成るブロック共重合体(例えばBASF社のプルロニック(登録商標))、ポリアルコサノエート(polyalkoxanoates)、例えばソルビタンモノオレイン酸、遊離脂肪酸や脂肪酸エステルのようなサッカリドエステル、及び塩が挙げられる。当業者に知られている他の表面活性剤も利用可能である。事前処理を不要とするように製造時に高分子化合物に混合されている界面活性剤は、多孔質構造体を製造する操作又は創出について相当の効果を有していない。
【0066】
一の実施例では、インプラントは多層構造体とされる。この実施例では、インプラントは2つ以上の層を有している。二層以上の多層式インプラントは、例えば関節軟骨、海綿質骨や皮質骨のような3つの隣接する組織を模擬するために利用される。
【0067】
一の実施例では、インプラントは二層構造体とされる。この二層は、構成、空隙率/形態、機械的性質、又はこれらの因子の組み合わせの点において相違する場合がある。この二層構造体は、インプラントは近位層及び遠位層を有するように配置されている。インプラントの層を参照する場合に、“近位(proximal)”は、組織内に挿入された場合に周辺組織の表面に最も近いインプラントの層を意味する。一の実施例では、インプラントの近位層は軟骨の特性を模擬するように形成されている。一方、インプラントの遠位層は硬骨の特性を模擬するように形成されている。硬骨は、一般に且つ上方に重なっている軟骨よりも空隙率が低く、且つ剛性が高い。この実施例では、インプラントの近位層は、約2MPa〜約30MPaの剛性(圧縮弾性率)及び約0.5MPa〜約5MPaの降伏強度を有した、軟骨層に類する機械的性質を有している。さらに、インプラントの近位層は、遠位層よりも高い約70%〜約90%の空隙率を有している。さらには、インプラントの遠位層は、骨誘導型セラミック成分(bone inductive ceramic component)を備えずに形成されている。インプラントの近位層は、約40MPa〜約250MPaの剛性及び約2MPa〜約20MPaの降伏強度を有した、硬骨層に類する機械的性質を有している。インプラントの遠位層は約60%〜約90%の空隙率を有している。インプラントの近位層の厚さは、理想的なインプラントの位置で軟骨の厚さと略同一とされる。一の実施例では、近位層の厚さの範囲は約0.5mm〜約2.5mmとされ、距骨頭に適用するためには1.0mm〜1.5mmとされることがより好ましい(非特許文献1)。
【0068】
インプラントの任意の多孔質部は、ポリマー沈殿及び真空膨張を利用して製造され得る。沈殿された高分子化合物を製造する方法は、本発明の属する技術分野においてよく知られている。一般に、この製造方法は、乾燥したポリマー混合物を例えばアセトンのような溶剤に混合するステップと、例えばエタノール、メタノールや水のような非溶剤を用いて溶液から高分子化合体(polymer mass)を沈殿させるステップと、溶剤(solver)を抽出するステップと、型に押し込まれるか、又は型から押し出される粘性体(coherent mass)となるまで高分子化合体から薬剤を沈殿させるステップと、理想的な形状及び剛性に硬化させるステップとを備えている。任意の界面活性剤は、製造時に材料のマトリックスに混合される。例えば繊維やセラミックスのような補強材料を混合するための方法が本発明の属する技術分野で知られている。繊維補強材を混合するための方法が例えば特許文献8に記載されている。当該文献は参照によって本明細書に組み込まれている。混練(kneading)し圧延(rolling)するステップが特許文献8及び特許文献22に記載されるように実施される場合がある。これら文献は参照によって本明細書に組み込まれている。その後、型内で高分子化合物を硬化し発泡させて、これにより多孔性インプラントを形成するステップが実施される場合がある。
【0069】
インプラントの複雑な表面は、該表面の熱成形によって形成される場合がある。熱成形プロセスの際に、温度は、多孔質構造体が崩壊しないように十分に低く維持されている。熱成形のための最大温度は高分子化合物系に依存している。ポリアクチドコグリコリド(polyactide-co-glycolide)共重合体マトリックスを備えたインプラントにとって、熱成形のための適切な温度は約140°F(約60°C)〜約250°F(約121°C)の間とされる。複雑な表面は、モールディング、機械加工、又は当業者に知られた任意の他の適切な手段によって形成される場合もある。
【0070】
多層式インプラントは様々な方法で製造可能とされる。例えば二層式インプラントは、インプラントの近位層及び遠位層を形成し、その後、溶剤及び少量の溶解した高分子化合物を利用してこれら二層を組み立てることによって製造可能とされる。二層式インプラントは、一の層を形成した後に該層を型内に載置し、特許文献5に記載の如く他の層を形成することによって製造可能とされる。さらに、二層式インプラントは、型内で同時に二層を形成することによって製造可能とされる。
【0071】
一の実施例では、本発明のインプラントとの利用に適したデリバリー装置は、近位端、遠位端、及び長手軸線を有した管状外側軸であって、該外側軸の該長手軸線に沿って内部ボアを有している前記外側軸と、欠損内への挿入に適した遠位端及び近位端を有した内側軸であって、前記内部軸及び前記外部軸が滑動可能に係合されているように前記外側軸の前記内部ボア内への嵌合に適合している前記内側軸と、を備え、前記外側軸の近位端及び遠位端は前記欠損周囲で組織表面に一致し、且つ前記内側軸の遠位端は前記インプラントの近位面に一致していることを特徴とするデリバリー装置である。
【0072】
図5及び図6は、本発明のインプラントデリバリー装置30の一の実施例を表わしている。内側軸20の詳細を示すために、図5は外側軸1から取り外された内側軸20を表わしている。好ましい実施例では、デリバリー装置30は関節鏡の利用に適した所定長さ、すなわち約5インチ(約12.7cm)〜約8インチ(約20cm)を有している。インプラントデリバリー装置30は、長手軸線に沿った内部ボア4を有した中空管状外側軸1を含んでいる。内部ボア4は、遠位端32から近位端34に至る外側軸1の長さ全体に亘って延在している。前記デリバリー装置の遠位端及び近位端は、共に欠損領域の周囲で組織の形状に対応するように形成されている。図5では、デリバリー装置の近位端及び遠位端のそれぞれは、2つの陥凹部又は切欠部(図5に表わす遠位切欠部132a,132b及び近位切欠部134a,134b)を有している。図5では、管状外側軸の所定の端部におけるこの2つの切欠部の中心間の角距離は180°とされる。図6は、管状外側軸の遠位端における一の切欠部の角度θを示している。管状外側軸の遠位端及び近位端での角度は同一であり、デリバリー装置の外側スリーブの両端が組織表面の複雑な形状に接触した状態で載置されている。図5及び図6に表わされるデリバリー装置は、隆起部に位置する欠損にインプラントを搬送するのに適している。例えば欠損領域が距骨の内側隆起部(medial ridge)に位置している場合には、θは約110°である。外側軸1の遠位端32は、インプラントがデリバリー装置30内に位置する場合にインプラント(図5には図示しない)を目視するために外側軸1を貫通する1つ以上のスロット5を有している場合がある。スロット5は、デリバリー装置30内に配置されている際にインプラントを目視可能な任意の形状とされ、透明な材料で覆うこともできる。
【0073】
図5に示されているデリバリー装置30は、遠位端22及び近位端24を有した内側軸20をさらに備えている。内側軸20は、使用時に図6に表わすように外側軸1内に位置し、内部ボア4を通じて近位端から遠位端まで移動可能とされる。前記内側軸の遠位端は、インプラントの近位面に対応するように形成している。図5では、前記内側軸の遠位端は切欠部122を有している(図5のデリバリー装置では、内側軸の切欠角度はインプラントのファセット間の角度と同一とされる)。図5に表わすように、内側軸20は外側軸1の内面に接触している摩擦部材12を有している。内側軸は、図9A及び図11Aに示されるような該内側軸の中心を貫通する小さなカニューレ3を含んでいる場合がある。例えば縫合のような手段によって欠損に取り付けられた案内ワイヤがカニューレ内を貫通している場合がある。
【0074】
図7A及び図7Bは、隆起した組織領域200に接触しているデリバリー装置30を表わしている。外側軸1の遠位端の切欠部132a,132bは組織の隆起部に接触している。
【0075】
デリバリー装置の遠位端及び近位端は図5に表わされる形状とは異なって形成されている場合がある。例えば凹状の形状を有するインプラントでは、インプラントデリバリー装置は、関節面の解剖学上の形状(anatomical geometry)に適合させるために凸状の近位端及び遠位端を有している。
【0076】
使用時に、外側軸は、外側軸の近位端又は遠位端が欠損周囲の組織の表面に効果的に一致するように組織に対して向いている。外側軸の近位端及び遠位端が欠損領域の周囲で組織の形状に対応するように形成されているので、外側軸は外側軸の近位端又は遠位端と欠損の周囲組織とが最大限に接触するように向いている。例えば外側軸の近位端又は遠位端が切り欠かれ、且つ欠損の周囲組織が隆起部の一部である場合には、外側軸は切欠部が隆起部の上方に位置するように向いている(図7A及び図7Bを参照)。
【0077】
図8は、デリバリー装置30の遠位端32が外側軸1の外周に延在している小さな溝6を有した本発明の他の実施例を表わす。この実施例では、物品(item)は、外側軸1の外径よりも僅かに大きな直径を有し、外側軸1の遠位端32を覆うように嵌合し、且つ溝6に嵌め込む1つ以上のビード又は1つのリムを有し、これにより取り付けられた物品の位置を固定することのよって外側軸1の遠位端32に取り付け可能とされる。
【0078】
図8も、リーフ9を生成するために外側軸1の遠位端32を通じて切断された長手方向の薄肉のスリット7を有しているデリバリー装置30を表わしている。リーフ9は、長手方向のスリット7同士間の外側軸1の部分である。リーフ9は、内方に僅かに縮径され、且つデリバリー装置30内に位置する際にインプラント(図示しない)に圧縮力を作用させるようになっている。
【0079】
図9A〜図9Cは、突起部15が内側軸20の一部に設けられている本発明の実施例を表わしている。突起部15は内側軸20の外面の一部の周囲に環状に設けられている。当該実施例では、図10Cに表わされるように摩擦ビード16も外側軸1の内面の対応する区間に配置されている。摩擦ビード16は外側軸1の内面周囲よりも高く突出している。内側軸20が外側軸1の内部ボア4を通じて近位端と遠位端との間で移動する際に、内部ボア4を通じて内側軸20を移動させ続けるために外力を必要とするので、摩擦ビード16は突起部15と係合している。“〜と係合している”とは、以下に詳述するように外側軸1の内面上に位置する摩擦ビード16又は鋸歯45が、内側軸20の内部ボア4を通じた移動に対してさらなる抵抗力を作用させるために、以下に詳述するように内側軸20上に位置する突起部15又は鋸歯46に物理的に接触している状態を意味する。
【0080】
図11A〜図11Cは、内側軸20の外面が内側軸20の長手方向に沿って少なくとも1つの位置合わせリブ41を備えている本発明の他の実施例を表わしている。図11Aに表わされるように、位置合わせリブ41は周囲の表面よりも高く突出した内側軸20の外面の一部である。鋸歯46は、図11Cに表わすように位置合わせリブ41の一部から外方に延在している。
【0081】
当該実施例でも図12A〜図12Cに表わされるように、外側軸1は、その内面に切り欠かれた少なくとも1つの位置合わせスロット40を有している。位置合わせスロット40の深さ、位置、及び数は、内側軸20の位置合わせリブ41が外側軸1の内面の位置合わせスロット40に嵌入されるように、内側軸20の位置合わせリブ41の高さ、位置、及び数に対応している。鋸歯45は位置合わせスロット40の一部から外方に延在している。鋸歯45を含む位置合わせスロット40の一部は、図12Cに表わされるように鋸歯46を含む位置合わせリブ41の一部に対応している。
【0082】
当該実施例では、内側軸20は、位置合わせリブ41が位置合わせスロット40と位置合わせされる場合に外側軸1の内部ボア4に嵌合している。内側軸20が外側軸1の内部ボア4を通じて近位側や遠位側に移動する際に、位置合わせリブ41に沿った鋸歯46は、不慮の移動を防止するために位置合わせスロット40に沿った鋸歯45と接触し係合している。
【0083】
当該実施例では、内側軸は、位置合わせリブが位置合わせスロットと位置合わせされた場合に外側軸の内部ボアに嵌入している。位置合わせリブはキーのように作用し、位置合わせスロットはキー溝のように作用する。キーがキー溝と係合することによって、外側軸内部での内側軸の回転を制限又は防止することができる。さらに、内側軸が外側軸の内部ボアを通じて近位側や遠位側に移動する際に、位置合わせリブに沿った鋸歯が、不慮の移動を防止するために位置合わせスロットに沿った鋸歯と接触し係合している。位置合わせリブ及び位置合わせスロットは、回転運動を防止するためには鋸歯を備えていることを必要としない。
【0084】
内側軸の外側軸内での回転を制限するように作用させるために、キー及びキー溝以外の構成を利用することができる。簡単な例として、ボスが正方形又は矩形の断面を有し、且つ内側軸が外側軸内で密接に係合している場合に、内側軸の外側軸内での回転を制限することができる。
【0085】
本発明は、複雑な組織表面内に欠損を生成するための方法も提供する。生成された組織表面は、本発明のインプラント及びインプラントデリバリー装置との利用に適している。欠損は組織の損傷部分の周囲に生成される。一の実施例では、欠損は円状の断面を有する円筒体とされる。
【0086】
一の実施例では、本発明の方法は、欠損周囲の組織の形状に一致するように形成された近位端を有するドリルガイドに関する。ドリルガイドは、内部ボアを有する高剛性な管の形態とされる。使用時、例えばドリルスリーブのような手術器具がドリルガイドの内部ボア内に載置されている。ドリルガイドの形成された端部が手術器具の一部を安定させる。当該実施例では、ドリルガイドの近位端は鋭いというよりは鈍くなっている。本明細書で利用されるように、ドリルガイドの近位端は組織と接触した状態で載置されている端部である。
【0087】
図13は、複雑な組織表面内に円筒状の欠損を生成するための工具セットを示している。該工具セットは、ドリルガイド305、ドリルスリーブ310、及び交換可能なドリルビット315a,315bを含んでいる。ドリルガイドは、近位端が組織表面に対して選択された角度で欠損を生成可能とされるように形成された、高剛性な管とされる。一の実施例では、欠損は組織表面に対して垂直に生成される。図13に表わされる実施例では、ドリルガイドの近位端334は2つの切欠部を有し、これにより組織の隆起上に該近位端を位置決め可能とされる。一の実施例では、ドリルガイドは距骨の内側又は側方の隆起の上方に位置するのに適しており、切欠の角度は約110°である。
【0088】
ドリルスリーブ310は、鋭い近位端を備えた高剛性な管とされる。ドリルスリーブの近位端は、欠損領域内の組織と接触した状態で載置された後に該組織内に位置決めされる。ドリルスリーブは、木槌を含む本発明の属する技術分野に知られた任意の手段によって所定位置に位置決めされ得る。ドリルスリーブは、ドリルガイドがドリルスリーブの位置を案内し、且つドリルスリーブがドリルガイド内で滑動可能とされるような大きさとされる。ドリルスリーブは、所望した欠損の直径を作る大きさとされる。一の実施例では、ドリルスリーブの直径は、所望の欠損の直径と略同一である。
【0089】
ドリルビットは、ドリルスリーブ内に密閉された組織に所望の欠損の深さまで穴開けをする。ドリルビットはドリルスリーブ内に密閉された組織を除去可能な大きさとされる。組織はドリルのフルート内に捕捉される。穴開けは、ドリルビット315aを標準的な手術室の動力ドリルに取り付けるか、ドリルビット315bを図示するようなハンドル400に取り付けることによって実現される。
【0090】
一の実施例では、本発明は、複雑な表面を有する組織内の、選択された位置、直径、及び深さを有する欠損を生成するための方法であって、a)選択された欠損の位置の周囲組織の形状に一致するように形成されているドリルガイドの近位端が、選択された欠損の位置の周囲組織と接触するようにドリルガイドを載置するステップと、b)ドリルスリーブをドリルスリーブの内部に挿入するステップと、c)ドリルスリーブを選択された欠損の深さで組織内に位置決めするステップと、d)ドリルビットをドリルスリーブに挿入するステップと、e)ドリルビットに選択された欠損の深さまで穴開けするステップと、を備えていることを特徴とする方法を提供する。
【0091】
ステップe)の後、ドリルビット、ドリルスリーブ、及びドリルガイドは組織から取り除かれる。
【0092】
代替的に、ドリルガイドはドリルスリーブの代わりにパンチを案内するために利用可能とされる。パンチはドリルスリーブと同様に鋭い近位端を備えた高剛性な管とされる。しかしながら、パンチは、パンチ内部の組織がパンチの端部近傍で千切れ、パンチと共に引き抜かれるように動作する。パンチ内部の組織は、ドリルガイド内部のパンチを捩るか、又はひねることによって千切られる。
【0093】
欠損は、他の方法でも複雑な表面に生成可能とされる。図14A〜図14Eは、ガイドワイヤとして機能する円筒状の欠損を生成する他の方法を示している。ガイドワイヤを利用することによってさらに一定手順化され、欠損を生成する際の位置合わせを改善することができる。欠損は、一般に表面に対して垂直に生成される。しかしながら、例えば股関節部(hip)のような幾つかの位置では、組織表面に対して90°以外の角度で欠損を生成することが望ましい。図14Aに表わすように、ガイドワイヤ350は組織の隆起200上の選択された欠損の位置の中央に載置されている。ガイドワイヤの一端は生成された欠損の所望の深さよりも深い位置に位置決めされている。ガイドワイヤは、欠損の周囲組織上でバランスを保っている位置決めシステム(図示しない)を通じて送り出されることによって、欠損が位置する組織表面に対して垂直に位置合わせされる。位置決めシステムは、3つ以上の脚部でバランスを保っている。その後、図14Bに表わすように、カニューレが挿入されたドリルビットはガイドワイヤを覆うように挿入される。その後、カニューレが挿入されたドリルビットは選択された欠損の深さまで穴開けされる。この時点でガイドワイヤは取り除かれるか、又は所定の位置に保持される。図14Cに表わすように、ドリルスリーブ310は、該ドリルスリーブの近位端が組織と接触した後、木槌450を利用して所望の欠損の深さに位置決めされるように、カニューレが挿入されたドリルビットの上方に載置されている。図14Dに表わすように、その後、カニューレが挿入されたドリルビットは、ドリルエクストラクタ370を利用することによってドリルスリーブの遠位端から取り除かれる。図14Eに表わすように、仕上げ用ドリルビット380がドリルスリーブに挿入されて、選択された欠損の深さまで穴開けされる。ガイドワイヤが未だ所定位置に位置している場合には、カニューレが仕上げ用ドリルビットに挿入される。仕上げ用ドリルビットはドリルのフルートに捕捉された残りの組織を取り除く。仕上げ用ドリルビットの端部は平坦とされる。ガイドワイヤがこの時点で未だ所定位置に位置している場合には、ガイドワイヤは取り除かれるか、又はインプラントの組立を案内するために所定位置に残される。
【0094】
カニューレが挿入されたパンチは、代替的にカニューレが挿入されたドリルビットの代わりにガイドワイヤを覆うように載置することできる。パンチが捩られるか、又はひねられる。これにより、パンチ内部の材料がパンチの端部近傍で引きちぎられ、パンチと共に取り除かれる。
【0095】
他の実施例では、ドリルスリーブは、カニューレが挿入されたドリルビットの前方且つガイドワイヤの上方に載置されている。その後、1つ以上のドリルがドリルスリーブ内の材料に穴開けをするために利用される場合もある。
【0096】
当該実施例では、ガイドワイヤは、金属ピンであるキルシュナーワイヤ(K−ワイヤ)とされる。K−ワイヤの直径は1.5mm〜2.0mmである。カニューレが挿入されたドリルビットはガイドワイヤを覆うように係合する大きさとされ、ドリルビットのシャンクの直径が切断部の直径よりも小さくなるように段が付けられている。カニューレが挿入されたドリルビットのシャンクは、ドリルスリーブ内で嵌合し、これによりドリルスリーブがドリルビットを案内するような大きさとされる。仕上げ用ドリルビットもドリルスリーブ内に係合するような大きさとされる。
【0097】
さらに、本発明のインプラントとの利用に適した欠損は、特別な位置合わせ工具と複雑な表面と共に利用するための上述の手順とを組み合わせて本発明の属する技術分野で知られている任意の欠損生成方法によって生成される。幾つかの状況では、特別な形状をしたドリルガイド又はドリルワイヤを利用することなく、欠損周囲の表面形状が欠損を生成させる。
【0098】
円筒状の欠損は、円状の断面を備えたドリルスリーブを利用することによって生成される。欠損の他の形状が、非円状の断面を備えたドリルスリーブを利用することによって生成される場合もある。例えば、略正方形の断面を備えたドリルスリーブが柱体状の欠損を生成するために利用可能とされる。
【0099】
欠損が生成された後、本発明のデリバリー装置は該装置内にインプラントを挿入するために利用される。欠損の生成方法がガイドワイヤを欠損の中央に残した場合に、デリバリー装置はガイドワイヤが通過可能な大きさとされる内側軸内の中央開口部と共に利用される。このような状況では、ガイドワイヤが通過可能な中央開口部を備えたインプラントを利用可能である。
【0100】
本発明の一の実施例は、本発明のインプラントデリバリー装置を利用することによって、非平面状の表面を有しているインプラントプラグを、未計測の深さを有している組織内の欠損に搬送するための方法を提供する。前記方法は、前記インプラントが前記デリバリー装置内に配置されている場合に内側軸の近位端が外側軸の近位端から突出し、且つ内側軸の突出区間の長さに等しい、インプラントの近位面の少なくとも一部が内側軸の遠位端と接触するようにインプラントをデリバリー装置の遠位端に挿入するステップと、内側軸の近位端が欠損の底部と接触するまで該欠損内部に内側軸の近位端を挿入するステップと、外側軸の近位端が欠損の周囲の組織の表面と有効に一致するまで近位方向に外側軸を進めるステップと、インプラントの一部を外側軸の遠位端を越えて延伸させるステップと、外側軸の遠位端を越えて延伸しているインプラントの前記一部を切り落とすステップと、外側軸に配置されたインプラントの残った部分を残すステップと、デリバリー装置の遠位端を欠損の上方に載置し、これにより欠損の周囲の組織に有効に一致させるステップと、内側軸を遠位方向に進めて、これにより欠損内に入った後に残っているインプラントの部分を押すステップと、を備えていることを特徴とする方法である。
【0101】
本発明は、特定位置に欠損を製造するための工具セットも提供する。一の実施例では、工具セットは、欠損の周囲で組織表面に一致するように形成された近位端を有するドリルガイドと、ドリルスリーブと、ドリルビットとを備えている。
【0102】
本発明のインプラント及びデリバリー装置は、2004年2月23日出願の特許文献16に記載のような、デリバリー装置にインプラントを装填するためのカプセルローダーと共に機能する。本発明のインプラント及びデリバリー装置は、2004年2月23日出願の特許文献16に記載のような、余分なインプラント材料をインプラントの遠位端から切断するための切断装置と共に機能する。
【0103】
本明細書で言及された特許文献及び刊行物のすべてが、本発明の属する技術分野の当業者にとって明白である。
【0104】
当業者であれば、本発明が本発明の装置及び方法を実施し、これにより上述の結果及び利点を得るように十分に適合していることを容易に理解可能だろう。好ましい実施例の代表として本明細書で説明された本発明の装置、方法、及びこれらに付属する方法は例示であり、本発明の技術的範囲を制限することを意図する訳ではない。当業者であれば、本発明の変更及び他の利用を考案することができるだろうが、これらはすべて本発明の技術的範囲内に含まれ、特許請求の範囲によって規定されるものである。
【0105】
本明細書の説明は多くの例示を含んでいるが、本発明の技術的範囲を制限する訳ではなく、本発明の幾つかの実施例の図面を示すにすぎない。このように、付加的な実施例も本発明の技術的範囲内であり、特許請求の範囲内である。本明細書で引用されるすべての参考文献が参照によって本明細書に組み込まれているが、本明細書の記載と矛盾するものではない。本明細書の参考文献は、参照により本明細書の内容として組み込まれており、本発明の付加的な出発原料、付加的な合成方法、付加的な分析方法、及び付加的な利用方法に関する詳細が付与されている。
【0106】
マーカッシュ形式のグループ又は他のグループが本明細書で利用されている場合には、該グループのすべての個々の部材、該グループ内で組み合わせ可能なすべてのコンビネーション及びサブコンビネーションのそれぞれが本明細書に組み込まれている。
【0107】
[例:二層式インプラントプラグ]
二層式インプラントプラグは、軟骨に類する特性を有するようになっている近位層と、硬骨に類する特性を有するようになっている遠位端を備えている。表3は硬骨層の典型的な構成を示し、表4は軟骨層の典型的な構成を示している。これらの表に示されたPGAファイバーはポリグリコール酸から成っている。表5は、表3及び表4に示された構成を有している硬骨層及び軟骨層の典型的な物理特性を示している。
【0108】
【表3】

【0109】
【表4】

【0110】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1A】傾斜面を形成するように収束されたインプラントの近位面に2つのファセットを有する二層式プラグインプラントの斜視図である。
【図1B】図1Aのインプラントの側面図である。
【図2】模擬された距骨頭と内踝面で関節をなす模擬された距骨の表面との交差部で組み立てられたインプラントである。
【図3A】サドル状の表面を有する二層式インプラントである。
【図3B】サドル状の表面を有する二層式インプラントである。
【図3C】サドル状の表面を有する二層式インプラントである。
【図4A】異なる長さで対向する側面を有する二層式インプラントである。
【図4B】異なる長さで対向する側面を有する二層式インプラントである。
【図4C】異なる長さで対向する側面を有する二層式インプラントである。
【図5】内側軸が外側軸から取り除かれた状態の本発明のデリバリー装置である。
【図6】組み立てられたデリバリー装置である。
【図7A】隆起した組織領域と接触した状態の本発明のデリバリー装置である。
【図7B】隆起した組織領域と接触した状態の本発明のデリバリー装置である。
【図8】内側軸が外側軸の近位端から突出している状態で外側軸の遠位端に長手方向のスロット及び嵌め込み式ビードを有する、本発明のインプラントデリバリー装置である。
【図9A】カニューレを備えた図5のインプラントデリバリー装置の内側軸の端面図である。
【図9B】突起部を有する内側軸の側面図である。
【図9C】突起部を詳細に表わすための、図9Bの円で囲まれた部分の拡大図である。図9B及び図9Cのカニューレは点線で表わされている。
【図10A】図5のインプラントデリバリー装置の外側軸の端面図である。
【図10B】図10Aに表わされる外側軸の側面図である。
【図10C】外側軸の内面の摩擦ビードを表わすための、図10Bの円で囲まれた部分の拡大断面図である。
【図11A】2つの位置合わせリブを備えた図5のインプラントデリバリー装置の改良された内側軸の端面図である。
【図11B】改良された内側軸の側面図である。
【図11C】内側軸の表面に沿って鋸歯を表わすための、図11Bの円でかっ込まれた部分の拡大図である。図11B及び図11Cのカニューレは点線によって表わされている。
【図12A】位置合わせスロットを備えた図5のインプラントデリバリー装置の改良された外側軸の端面図である。
【図12B】改良された外側軸の側面図である。
【図12C】外側軸の内面に位置する鋸歯を表わすための、図12Bの円で囲まれた部分の拡大断面図である。
【図13】ドリルガイド305及びドリルスリーブ310を含み、且つドリルビット315a,315bに変更可能な、複雑な組織表面内に円筒状の欠損を生成するための工具セットである。
【図14A】複雑な組織表面内に円筒状の欠損を生成する方法である。
【図14B】複雑な組織表面内に円筒状の欠損を生成する方法である。
【図14C】複雑な組織表面内に円筒状の欠損を生成する方法である。
【図14D】複雑な組織表面内に円筒状の欠損を生成する方法である。
【図14E】複雑な組織表面内に円筒状の欠損を生成する方法である。
【符号の説明】
【0112】
1 外側軸
2 インプラント
3 カニューレ
4 内部ボア
5 スロット
6 溝
7 スリット
9 リーフ
12 遠位層又は下層の長さ
15 突起部
16 摩擦ビード
20 内側軸
22 遠位端
24 近位端
30 インプラントデリバリー装置
32 遠位端
34 近位端
40 スロット
41 リブ
45 鋸歯
46 鋸歯
105 近位面
110 近位層
120 遠位層
122 切欠部
132a 遠位切欠部
132b 遠位切欠部
134a 近位切欠部
134b 近位切欠部
150a ファセット
150b ファセット
200 組織領域
210 内側隆起
305 ドリルガイド
310 ドリルスリーブ
315a ドリルビット
315b ドリルビット
334 ドリルガイドの近位端
350 ガイドワイヤ
370 ドリルエクストラクタ
380 仕上げ用ドリルビット
400 ハンドル
450 木槌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複雑で臨床治療的に許容可能な近位面を備えていることを特徴とする、組織内の欠損に挿入するためのインプラントプラグ。
【請求項2】
前記インプラントの前記近位面が、傾斜面を形成するために収束している2つのファセットを備えていることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記ファセット同士の角度が約70°〜約130°とされることを特徴とする請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記ファセット同士の角度が約90°〜約110°とされることを特徴とする請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記ファセット同士の角度が約100°とされることを特徴とする請求項4に記載のインプラント。
【請求項6】
前記インプラントの前記近位面は凹状とされることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記インプラントの前記近位面が凸状とされることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記インプラントの前記近位面が多数のファセットで形成されたドームとされることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
前記インプラントの前記近位面がサドル状とされることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項10】
前記インプラントの前記近位面が、前記近位面の一部が90°よりも小さい角度で前記インプラントの側部と交わるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項11】
前記インプラントが一層式プラグとされること特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項12】
前記インプラントが多層式プラグとされることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項13】
前記インプラントが二層式プラグとされることを特徴とする請求項12に記載のインプラント。
【請求項14】
前記インプラントには、生体活性剤が充填されていることを特徴とする請求項1にインプラント。
【請求項15】
前記インプラントが、吸収性高分子化合物及びセラミック又はミネラルを含む複合材料を備えていることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項16】
前記複合材料がファイバーをさらに備えていることを特徴とする請求項15に記載のインプラント。
【請求項17】
複雑な近位面を有しているインプラントプラグを、少なくとも1つの請求項1に記載のインプラント及び少なくとも1つのインプラントデリバリー装置を備えた組織内の欠損に挿入するための工具セットであって、
前記インプラントデリバリー装置は、
近位端、遠位端、長手軸線、及び外側軸の前記長手軸線に沿った内部ボアを有している管状の前記外側軸と、
前記欠損への挿入に適した遠位端及び近位端を有している内側軸であって、前記外側軸の前記内部ボア内に嵌合し、これにより前記内側軸及び前記外側軸が滑動可能に係合するように適合された前記内側軸と、
を備え、
前記外側軸の前記近位端及び前記遠位端が前記欠損の周囲で前記組織の表面に一致し、前記内側軸の遠位端が前記インプラントの近位面に一致し、且つ前記インプラントが前記インプラントデリバリー装置と共に利用可能な大きさとされていることを特徴とする工具セット。
【請求項18】
切断装置を備えていることを特徴とする請求項17に記載の工具セット。
【請求項19】
複数の組織のためのインプラントデリバリー装置を備え、
該装置のそれぞれが異なる大きさの内部ボア及び内側軸を有していることを特徴とする請求項17に記載の工具セット。
【請求項20】
複数の前記インプラントをさらに備え、
前記インプラントのそれぞれが少なくとも1つのデリバリー装置と共に利用可能な大きさとされることを特徴とする請求項19の工具セット。
【請求項21】
非平面状の表面を有する組織内の特定位置に欠損を製造するための工具セットであって、
前記欠損の周囲で前記組織の表面に一致するように形成されている近位端を有しているドリルガイドと、
ドリルスリーブと、
ドリルビットと、
を備えていることを特徴とする工具セット。
【請求項22】
前記ドリルスリーブが略円状の断面を有していることを特徴とする請求項21に記載の工具セット。
【請求項23】
平坦な端部を有している仕上げ用ドリルビットをさらに備えていることを特徴とする請求項21に記載の工具セット。
【請求項24】
複雑な表面を有している組織の、選択された位置、直径、及び深さを有する欠損を生成する方法であって、
a.選択された前記欠損の位置の周囲で前記組織の形状に一致するように形成されているドリルガイドの近位端が前記選択された欠損の位置の周囲で前記組織と接触しているように前記ドリルガイドを載置するステップと、
b.ドリルスリーブを前記ドリルガイドの内部に挿入するステップと、
c.前記組織の内部に前記選択された欠損の深さで前記ドリルスリーブを位置決めするステップと、
d.ドリルビットを前記ドリルスリーブに挿入するステップと、
e.前記ドリルビットで前記選択された欠損の深さで穴開けするステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項25】
複雑な表面を有している組織の、選択された位置、直径、及び深さを有する欠損を生成する方法であって、
a.選択された前記欠損の位置の周囲の前記組織の表面に対して選択された角度で、前記選択された欠損の位置の中央にガイドワイヤを載置するステップと、
b.第1のカニューレが挿入されたドリルビットを前記ガイドワイヤの上方に載置し、選択された前記欠損の深さで穴開けをするステップと、
c.前記第1のカニューレが挿入されたドリルビットを取り除くステップと、
d.平坦な端部を有している第2のカニューレが挿入されたドリルビットを前記ガイドワイヤの上方に載置し、選択された前記欠損の深さで穴開けをするステップと、
e.前記第2のカニューレが挿入されたドリルビット及び前記ガイドワイヤを取り除くステップと、
を備えていることを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【公表番号】特表2008−521560(P2008−521560A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544440(P2007−544440)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/043179
【国際公開番号】WO2006/060416
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507177423)オステオバイオロジクス・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】