説明

防塵機能付き光学装置

【課題】複数個所に防塵用の光学素子を加振手段とともに備える場合に、駆動制御系の回路規模の増大を防止し、低コストにて適正に防塵効果を発揮させる。
【解決手段】複数の光学部304,310,314毎に防塵ガラス321,323,325を加振用の圧電素子322,324,326とともに備える場合に、それぞれの光学部304,310,314に含まれる圧電素子322,324,326を駆動制御する単一の防塵ガラス駆動回路332とその制御部333とによる駆動制御部331を備える構成としたので、個々の圧電素子322,324,326毎に駆動手段や制御手段を設ける必要がなく、駆動制御系の回路規模の増大を防止し、低コストにて適正に防塵効果を発揮させることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラシステムなどの電子撮像装置の内部に付着した塵を除去可能な防塵機能付き光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光学装置の防塵機能に関する技術の一例として、撮像素子を保護する保護ガラスを振動させることで、そのガラスに付着した塵を払い落とすという技術が提案されている。その一例として、特許文献1によれば、ガラス板を振動させる手段として圧電素子が用いられている。この圧電素子は、印加される電圧に反応して伸縮することでガラス板を所定の一つの周期で加振する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−48665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮像素子を保護する保護ガラス(防塵ガラス)を圧電素子により振動させることで、防塵ガラスに付着した塵を払い落とす特許文献1の例においては、撮影用の撮像素子に対応する防塵ガラスを振動させることのみについて記述されている。
【0005】
デジタルカメラのような光学装置は、様々な光学系部位(例えば、焦点検出用のセンサ)について防塵機能が望まれるが、防塵ガラスを複数個所に備える光学装置の場合の適切な対応策についての提案例は皆無である。防塵ガラスを複数個所に備える場合、単純には、これらの複数個所の防塵ガラスに対応する圧電素子等の加振手段に対してそれぞれ別個の駆動制御系を設けることとなる。しかし、これでは、電気回路の規模が増大し、実装面積の増大やコストアップを引き起こしてしまう問題が生ずる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数個所に防塵用の光学素子を加振手段とともに備える場合に、駆動制御系の回路規模の増大を防止し、低コストにて適正に防塵効果を発揮させることができる防塵機能付き光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る防塵機能付き光学装置は、結像光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子と、該光電変換素子よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子と、該光学素子を振動させるための加振手段と、をそれぞれ備える複数の光学手段と、これらの光学手段に含まれる複数の前記加振手段を駆動制御する単一の駆動制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、前記駆動制御手段は、前記各光学素子の共振周波数を含む所定の周波数範囲を走査するように前記各加振手段を駆動することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、前記各光学素子は、異なる共振周波数を有し、前記駆動制御手段は、前記各光学素子の異なる共振周波数の全てを含む所定の周波数範囲を走査するように前記各加振手段を駆動することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、前記駆動制御手段は、前記各加振手段を選択的に駆動して前記各光学素子を時分割で振動させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、前記各光学素子は、異なる共振周波数を有し、前記駆動制御手段は、前記各光学素子の共振周波数を含む所定の周波数範囲を走査するように前記各加振手段を選択的に駆動して前記各光学素子を時分割で振動させることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る防塵機能付き光学装置は、結像光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子と、該光電変換素子よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子と、該光学素子を振動させるための圧電素子と、をそれぞれ備える複数の光学手段と、これらの光学手段に含まれる複数の前記圧電素子を所定の駆動周波数で駆動する単一の駆動手段と、該駆動手段の動作を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、前記駆動手段は、前記各圧電素子を選択的に駆動するためのスイッチング手段を有し、前記制御手段は、選択的に駆動する前記圧電素子に対応して前記駆動周波数を変更させるように前記駆動手段の動作を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、前記駆動手段は、前記各圧電素子に印加する印加電圧を該圧電素子毎に異ならせる印加電圧可変手段を有することを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、前記駆動手段は、前記各圧電素子に印加する印加電圧を該圧電素子毎に異ならせる印加電圧可変手段と、前記各圧電素子を選択的に駆動するためのスイッチング手段とを有し、前記制御手段は、選択的に駆動する前記圧電素子に対応して前記印加電圧を変更させるように前記印加電圧可変手段の動作を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、前記駆動手段は、前記各圧電素子を選択的に駆動するためのスイッチング手段を有し、前記制御手段は、選択的に駆動する前記圧電素子に対応して駆動時間を変更させるように前記駆動手段の動作を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、複数の前記光学手段のうちの少なくとも一つは、撮像光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する撮像用光電変換素子を含む撮像用光学手段であり、複数の前記光学手段のうちの他の少なくとも一つは、ファインダ光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換するファインダ用光電変換素子を含むファインダ用光学手段であることを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る防塵機能付き光学装置は、上記発明において、複数の前記光学手段のうちの少なくとも一つは、撮像光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する撮像用光電変換素子を含む撮像用光学手段であり、複数の前記光学手段のうちの他の少なくとも一つは、撮像レンズの焦点状態を検出するための焦点検出用光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する焦点検出用光電変換素子を含む焦点検出用光学手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る防塵機能付き光学装置によれば、複数の光学手段毎に防塵用の光学素子を加振手段とともに備える場合に、それぞれの光学手段に含まれる加振手段を駆動制御する単一の駆動制御手段を備える構成としたので、個々の加振手段毎に駆動手段や制御手段を設ける必要がなく、駆動制御系の回路規模の増大を防止し、低コストにて適正に防塵効果を発揮させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明の防塵機能付き光学装置として複数の光電変換素子を有するデジタルカメラシステムを一例に挙げた複数の実施の形態に基づき詳述する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の防塵機能付き光学装置としてのデジタルカメラシステムの実際的な光学的配置を考慮した構成例を示す概念図である。この防塵機能付き光学装置は、まず、撮影レンズ301を主体とする結像光学系としての撮像用光学系302により結像される被写体の光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子、特に撮像用光電変換素子としてのCCDユニット303を含む撮像用光学手段としての撮像用光学部304を備えている。
【0022】
また、防塵機能付き光学装置は、撮像レンズ301を経た後、クイックターンミラー305により選択的に分岐され、ペンタプリズム306及びハーフミラー307を主体とする結像光学系としてのファインダ光学系308により結像される光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子、特にファインダ用光電変換素子としてのファインダCCDユニット309を含むファインダ用光学手段としてのファインダ用光学部310を備えている。
【0023】
さらに、防塵機能付き光学装置は、撮像レンズ301を経た後、クイックターンミラー305背後のサブミラー311による反射光束を受け、撮像レンズ301の焦点状態を検出するための結像光学系としてのAF検出光学系(焦点検出用光学系)312により結像される光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子、特に焦点検出用光電変換素子としてのAFセンサユニット313を含む焦点検出用光学手段としてのAF検出用光学部314を備えている。
【0024】
撮像用光学部304は、CCDユニット303よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子としての防塵ガラス321と、この防塵ガラス321を振動させるための加振手段としての圧電素子322とを備えている。同様に、ファインダ用光学部310は、ファインダCCDユニット309よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子としての防塵ガラス323と、この防塵ガラス323を振動させるための加振手段としての圧電素子324とを備えている。さらに、AF検出用光学部314は、AFセンサユニット313、さらにはAF検出光学系312よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子としての防塵ガラス325と、この防塵ガラス325を振動させるための加振手段としての圧電素子326とを備えている。すなわち、本実施の形態では、加振手段として、電気機械変換素子である圧電セラミックス等を利用した圧電素子322,324,326を用いているが、防塵ガラス321,323,325を適切に振動させ得る手段であればよい。
【0025】
さらに、防塵機能付き光学装置は、当該装置の各種動作制御を受け持つとともに、各光学部304,310,314中に含まれる複数の圧電素子322,324,326を駆動制御する単一の駆動制御手段としての駆動制御部331を備えている。この駆動制御部331は、これらの圧電素子322,324,326を所定の駆動周波数で駆動することで防塵ガラス321,323,325を振動させる単一の駆動手段としての防塵ガラス駆動回路332と、この防塵ガラス駆動回路332の動作を制御する制御手段としての制御部333とを備えている。
【0026】
図2は、図1に示した上述のような本実施の形態1の構成例に対応する制御系を主体として示す概略ブロック図である。図3は、圧電素子322,324,326に対する防塵ガラス駆動回路332の構成の一例を示す回路図であり、図4は、動作制御例を示すタイムチャートである。
【0027】
ここで、図3及び図4を参照して、本実施の形態1における防塵ガラス321,323,325の駆動及びその動作制御について説明する。ここに例示した防塵ガラス駆動回路332は、図3に示すような回路構成を有し、その各部において、図4のタイムチャートで表わす波形信号(Sig1〜Sig4)が生成され、それらの信号に基づいて次のように制御される。
【0028】
すなわち、防塵ガラス駆動回路332は、図3に例示するように、N進カウンタ41、1/2分周回路42、インバータ43、複数のMOSトランジスタ(Q00,Q01,Q02)44a,44b,44c、トランス45及び抵抗(R00)46から構成されている。
【0029】
トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44b及びトランジスタ(Q02)44cのオン/オフ切替え動作によって、そのトランス45の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電素子322,324,326を駆動させ、防塵ガラス321,323,325を共振させるようになっている(詳細は後述する)。
【0030】
制御部333は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、この制御部333内部に存在するクロックジェネレータ55を介して防塵ガラス駆動回路332を次のように制御する。クロックジェネレータ55は、圧電素子322,324,326へ印加する信号周波数より充分に早い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ41へ出力する。この出力信号が図4中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そして、この基本クロック信号はN進カウンタ41へ入力される。
【0031】
N進カウンタ41は、このパルス信号をカウントし、所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。すなわち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が図4中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路42を通してデューティ比を1:1へ変換する。なお、この変換されたパルス信号は図4中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
【0032】
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタ(Q01)44bがオンする。一方、トランジスタ(Q02)44cへはインバータ43を経由してこのパルス信号が印加される。したがって、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたトランジスタ(Q02)44cがオンする。トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bとトランジスタ(Q02)44cが交互にオンすると、2次側には図4中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
【0033】
トランス45の巻線比は、電源回路53の出力電圧と圧電素子322,324,326の駆動に必要な電圧から決定される。なお、抵抗(R00)46はトランス45に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
【0034】
圧電素子322,324,326を駆動するに際しては、トランジスタ(Q00)44aがオン状態にあり、電源回路53のユニットからトランス45のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。図中、トランジスタ(Q00)44aのオン/オフ制御はIOポートのP_PwContを介して行われる。N進カウンタ41の設定値“N”はIOポートD_NCntから設定できる。よって、制御部333は、設定値“N”を適宜に制御することで、圧電素子322,324,326の駆動周波数を任意に変更可能である。
【0035】
このとき、周波数は、次の(1)式によって算出可能である。
fdrv = fpls/2N …………(1)
ここで、N:カウンタへの設定値、
fpls:クロックジェネレータの出力パルスの周波数、
fdrv:圧電素子へ印加される信号の周波数、
なお、この(1)式に基づいた演算は、制御部333のCPUで行われる。
【0036】
このようにして、本実施の形態1の防塵機能付き光学装置としてのデジタルカメラシステムは、基本的に、それぞれの光学部304,310,314に含まれる圧電素子322,324,326を駆動する単一の防塵ガラス駆動回路332と制御部333とによる駆動制御部331を備える構成としたので、個々の圧電素子322,324,326毎に駆動回路や制御部を設ける必要がなく、駆動制御系の回路規模の増大を防止し、低コストにて適正に防塵効果を発揮させることができる。
【0037】
図5は、図1に示した防塵機能付き光学装置が搭載されたデジタルカメラシステムとしての具体的な構成例を示すブロック構成図である。このカメラシステムは、交換レンズとしてのレンズユニット10と、カメラ本体としてのボディユニット100から主に構成されており、ボディユニット100の前面に対して、マウント207を介して所望のレンズユニット10が着脱自在に設定されている。
【0038】
レンズユニット10の制御はレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下“Lucom"と称する)5が行う。ボディユニット100の制御は、前述の制御部333が行う(なお、以下の説明では、制御部333をボディ制御用マイクロコンピュータ(以下“Bucom"と称する)333と表記する)。これらLucom5とBucom333とは、合体時において通信コネクタ6を介して通信可能に電気的接続がなされる。そしてカメラシステムとしてLucom5がBucom333に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
【0039】
レンズユニット10内には撮影レンズ301と絞り3が設けられている。撮影レンズ301はレンズ駆動機構2内にある図示しないDCモータによって駆動される。絞り3は絞り駆動機構4内にある図示しないステッピングモータによって駆動される。Lucom5はBucom333の指令に従ってこれら各モータを制御する。
【0040】
ボディユニット100内には次の構成部材が図示のように配設されている。例えば、光学系としての一眼レフ方式の構成部材(クイックリターンミラー305、ペンタプリズム306、接眼レンズ13、サブミラー311)と、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタ15と、サブミラー311からの反射光束を受けて自動測距するためのAF検出用光学部314が設けられている。AF検出用光学部314は、コンデンサレンズ160、セパレータレンズ161、セパレータ絞り162及びラインセンサ構成のAFセンサユニット313により構成されている。
【0041】
また、AF検出用光学部314を駆動制御するAFセンサ駆動回路17と、クイックリターンミラー305を駆動制御するミラー駆動機構18と、シャッタ15の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構19と、それら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路20と、ペンタプリズム306からの光束に基づき測光処理する測光回路21が設けられている。
【0042】
撮影レンズ301の光軸上には、撮像用光学系302を通過した被写体像を光電変換するためのCCDユニット303が光電変換素子として設けられ、さらにこのCCDユニット303と撮影レンズ301との間には防塵ガラス321が設けられており、この防塵ガラス321を所定の周波数で振動させる圧電素子322がその防塵ガラス321の周縁部に取り付けられている。この圧電素子322が防塵ガラス駆動回路332によって防塵ガラス321を振動させて、そのガラス表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。
【0043】
また、ファインダ光軸上には、ファインダ光学系308を通過した被写体像を光電変換するためのファインダCCDユニット309が光電変換素子として設けられている。また、ファインダ光学系308を通過した被写体像の一部を反射してファインダCCDユニット309に導くためのハーフミラー307及びファインダCCDレンズ126が配置されている。
【0044】
ファインダCCDユニット309で撮像された画像は、カメラボディ背面等に配置された液晶モニタ24に表示される。これにより、ファインダを覗かなくても撮影しようとしている画像を観察することができる。さらに、ファインダCCDユニット309は、ファインダCCDレンズ126との間の光路上に配設された防塵ガラス323によって保護されている。この防塵ガラス323を所定の周波数で振動させる圧電素子324は、防塵ガラス323の周縁部に取り付けられている。この圧電素子324が防塵ガラス駆動回路332によって防塵ガラス323を振動させて、そのガラス表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。
【0045】
AF検出用光学部314は、AFセンサユニット313、さらにはAF検出光学系312よりも前段の光路上にAFセンサユニット313と平行に配設された防塵ガラス325により保護されている。この防塵ガラス325は、AF検出光学系312を密閉構造的に保護している。この防塵ガラス325を所定の周波数で振動させる圧電素子326は、防塵ガラス325の周縁部に取り付けられている。この圧電素子324が防塵ガラス駆動回路332によって防塵ガラス325を振動させて、そのガラス表面に付着していた塵を除去できるように構成されている。
【0046】
もし、防塵ガラス325が存在しなければ、レンズ着脱時にマウント207から侵入した塵がコンデンサレンズ160の外面に付着し、AF検出時に悪影響を及ぼす。しかし、防塵ガラス325によって侵入する塵から保護し、この防塵ガラス325の外面に付着する塵を圧電素子326による加振振動で除去することによって、AF検出精度の低下をなくすことができる。
【0047】
このようにして、図5に示すような本実施の形態1のカメラシステムはいわゆる「防塵機能付きカメラ」に属する基本構造をもつ電子カメラである。
【0048】
なお、CCDユニット303、ファインダCCDユニット309、AFセンサユニット313それぞれの周辺の温度を測定するために、防塵ガラス321,323,325の近傍には、温度測定回路33が設けられている。
【0049】
また、このカメラシステムには、CCDユニット303に接続したCCDインターフェイス回路23、ファインダCCDユニット309に接続したファインダCCDインターフェイス回路127、液晶モニタ24、記憶領域として設けられたSDRAM25、FlashROM26及び記録メディア27などを利用して画像処理する画像処理コントローラ28が設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する例えばEEPROMからなる不揮発性メモリ29が、Bucom333からアクセス可能に設けられている。
【0050】
また、Bucom333には、当該カメラシステムの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD51と、カメラ操作SW52とが設けられている。カメラ操作SW52は、例えばレリーズSW、モード変更SW及びパワーSWなどの、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。さらに、電源としての電池54と、この電源の電圧を、当該カメラシステムを構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路53が設けられている。
【0051】
上述した如くに構成されたカメラシステムでは、各部が次のように稼動する。画像処理コントローラ28は、Bucom333の指令に従ってCCDインターフェイス回路23又はファインダCCDインターフェイス回路127を制御してCCDユニット303又はファインダCCDユニット309から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ28でビデオ信号に変換され、液晶モニタ24にて出力表示される。ユーザはこの液晶モニタ24の表示画像から、撮影した画像イメージを確認できる。
【0052】
SDRAM25は画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。またこの画像データはJPEGデータに変換された後には記録メディア27に保管されるように設定されている。
【0053】
CCDユニット303は、前述のように、透明な防塵ガラス321によって保護されている。この防塵ガラス321の周縁部にはそのガラス面を加振するための圧電素子322が配置されており、この圧電素子322は、後で詳しく説明するように防塵ガラス駆動回路332によって駆動される。CCDユニット303及び圧電素子322は、防塵ガラス321を一面とし、かつ、破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
【0054】
また、通常、温度はガラス製の物材の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の一つであるため、運用時にその温度を計測してその固有振動数の変化を考慮しなければならない。稼動中に温度上昇が激しいCCDユニット303の前面を保護するため設けられた防塵ガラス321の温度変化を測定してその時の固有振動数を予想するほうがよい。したがって、本実施の形態1の場合、温度測定回路33に接続されたセンサ(不図示)が、CCDユニット303の周辺温度を測定するため設けられている。なお、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵ガラス321の振動面のごく近傍に設定されるのが好ましい。
【0055】
ファインダCCDユニット309は、CCDユニット303と同様に、透明な防塵ガラス323によって保護されている。この防塵ガラス323の周縁部には、そのガラス面を加振するための圧電素子324が配置されており、この圧電素子324は防塵ガラス駆動回路332によって駆動される。ファインダCCDユニット309及び圧電素子324は、防塵ガラス323を一面とし、かつ、破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
【0056】
さらに、防塵ガラス323の温度変化を測定し、その時の固有振動数を予想するため、温度測定回路33に接続されたセンサ(不図示)が、ファインダCCDユニット309の周辺温度を測定するため設けられている。なお、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵ガラス323の振動面のごく近傍に設定されるのが好ましい。
【0057】
ミラー駆動機構18は、クイックリターンミラー305をアップ位置とダウン位置へ駆動するための機構であり、このクイックリターンミラー305がダウン位置にある時、撮影レンズ301からの光束はAF検出用光学部314側とペンタプリズム306側へと分割されて導かれる。AF検出用光学部314内のAFセンサユニット313からの出力は、AFセンサ駆動回路17を介してBucom333へ送信されて周知の測距処理が行われる。
【0058】
また、ペンタプリズム306に隣接する接眼レンズ13からはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム306を通過した光束の一部は測光回路21内のフォトセンサ(不図示)へ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
【0059】
次に、上述の制御部であるカメラボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom)333が行う制御について具体的に説明する。図6にBucom333で稼動する制御プログラムのメインルーチンを例示する。まず、カメラの電源SW(不図示)がオンされると、Bucom333は稼動を開始し、ステップS000では、カメラシステムを起動するための処理が実行される。電源回路53を制御してこのカメラシステムを構成する各回路ユニットへ電力を供給する。また、各回路の初期設定を行う。
【0060】
ステップS001では、温度測定回路33より各部の現在の温度データを取り込む。この温度データは続くステップS002の動作ルーチンにおいて必要な情報である。ステップS002では、サブルーチン「塵除去動作」がコールされ実行される。このサブルーチン中で防塵ガラス321,323,325を振動させることにより塵払いの動作が実行される。電源起動時にこの動作を実行することで、このカメラを撮影に使用しない期間に、意図せずにガラスに付着した塵を除去できる。サブルーチンの詳細動作は後述する。
【0061】
ステップS003は、周期的に実行されるステップであり、Lucom5と通信動作を行うことでレンズユニット10の状態を検出するための動作ステップである。ステップS004にて、レンズユニット10がボディユニット100に装着されたことを検出すると、ステップS007へ移行する。一方、レンズユニット10がボディユニット100から外されたことを検出したときは、ステップS005からステップS006へ移行する。そして、制御フラグのF_Lensをリセットし、ステップS010に移行する。
【0062】
ステップS007では、制御フラグのF_Lensをセットする。この制御フラグは、カメラのボディユニット100にレンズユニット10が装着されている期間は“1”を示し、レンズユニット10が外されている期間は“0”を示す。ステップS008にて、温度測定の動作が行われ、その直後のステップS009にて、防塵ガラス321,323,325の塵を除去するためのサブルーチン「塵除去動作」がコールされ実行される。そして、ステップS010に移行する。
【0063】
通常、カメラ本体にレンズユニット10が装着されていない期間において、レンズや防塵ガラス321,323,325等に塵が付着する可能性が高い。したがって、レンズユニット10の装着を検出したタイミングで塵を払う動作を実行することが望ましい。よって、周期的にステップS008とステップS009の動作を実行することも考えられるが、これでは、塵が付着していない状態で防塵ガラス321,323,325を振動させることが多くなり、無駄な電力を消費する可能性が高いので、ここでは、レンズ装着操作の有無で実行することにしている。
【0064】
ステップS010では、カメラ操作SW52の状態を検出する。そして、カメラ操作SW52の一つであるモード変更SW(不図示)の状態変化がステップS011で検出されると、ステップS012へ移行する。ステップS012では、そのSWの操作に連動してカメラの動作モードが変更され、ステップS013では、その動作モードに応じた情報が動作表示用LCD51へ表示出力される。そして、ステップS003へ再び移行する。
【0065】
ステップS014では、カメラ操作SWの一つである1st.レリーズSW(不図示)が操作されたか否かを判定する。もし、1st.レリーズSWがオンしているならばステップS015へ移行し、オフならばステップS003へ再び移行する。ステップS015では、測光回路21から被写体の輝度情報を入手する。そして、この情報からCCDユニット303の露光時間(Tv値)と撮影レンズ1の絞り設定値(Av値)を算出する。
【0066】
ステップS016では、AFセンサ駆動回路17を経由してAFセンサユニット313の検知データを入手する。このデータに基づきピントのズレ量を算出する。ここで、ステップS017にて、F_Lensの状態を判定する。“0”ならばレンズユニット10が存在しないことを意味するので、ステップS018以降の撮影動作は実行できない。そこで、この場合はステップS003へ再び移行する。ステップS018では、Lucom5に対してピントのズレ量を送信して、このズレ量に基づく撮影レンズ1の駆動を指令する。
【0067】
ステップS019では、カメラ操作SW52の一つである2nd.レリーズSW(不図示)が操作されたか否かを判定する。この2nd.レリーズSWがオンしているときはステップS020へ移行して所定の撮影動作を行うが、オフのときは再びステップS003へ移行する。
【0068】
ステップS020からは、まずLucom5へAv値を送信し、絞り3の駆動を指令し、ステップS021にてクイックリターンミラー305をアップ位置へ移動する。ステップS022にてシャッタ15の先幕走行を開始させ、ステップS023にて画像処理コントローラ28に対して撮像動作の実行を指令する。Tv値で示される時間、CCDユニット303への露光が終了すると、ステップS024において、シャッタ15の後幕走行を開始させ、ステップS025にてクイックリターンミラー305をダウン位置へ駆動する。
【0069】
また、これと並行してシャッタ15のチャージ動作を行う。そして、ステップS026では、Lucom5に対して絞り3を開放位置へ復帰させるように指令し、ステップS027では、画像処理コントローラ28に対して、撮影した画像データを記録メディア27へ記録するように指令する。その画像データの記録が終了すると、再びステップS003へ移行する。
【0070】
ここで、防塵ガラス321,323,325の支持構造と振動形態について説明しておく。なお、防塵ガラス321,323,325は、いずれも同様な構成となっているため、ここでは防塵ガラス321についてのみ説明するものとする。
【0071】
本発明に係わるカメラシステムにおいては、防塵ガラス321の形状を仮に円盤とする。また、その防塵ガラス30のガラス板の円周に沿って加振用の圧電素子322を配置すると、このガラス板は円周で支持されることになる。このとき、このガラス板は複数の振動モード(振動形態)で加振する。本発明では、この振動モードの中から2つのモードを選択して使い分けることとする。図7−1,図7−2、図8−1及び図8−2に選択した振動モードにおけるガラス板の振動の状態を示す。
【0072】
本実施の形態1に係る防塵ガラス321は、図7−1,図7−2にそれぞれ図示したような振動形態を示す。すなわち、加振手段として機能する圧電素子322によって振動を加えると、そのガラス板の周囲には振動しない「節」が発生するが、概ねガラス全面が同じ位相にて、太矢印で示された如く図7−1と図7−2との状態を交互に繰り返して振動する。このような振動形態を以下「振動モード1」と称する。
【0073】
同様に、本実施の形態1の防塵ガラス321は、加える振動の周波数によっては、図8−1,図8−2にそれぞれ図示したような形態でも振動することができる。すなわち、図8−1,図8−2に例示した防塵ガラス321の振動形態は、ガラス板の内側と外側が180度ずれた位相で振動するものである。詳しくは、図示する振動形態ではガラス板の周囲と内部に節がそれぞれ発生するモードであり、図示の如く、内側の節に囲まれた領域の振動と内部の節の外側領域(ドーナツ状の領域)の振動は位相が180度ずれている。以下これを「振動モード2」と称する。
【0074】
次に、図9に示すサブルーチン「塵除去動作」においては、これら振動モード1と振動モード2の2つのモードで防塵ガラス321が共振されるように圧電素子322を駆動するように設定されている。一般的に、塵の特性(例えば重さ、形状、素材など)によって、塵を除去しやすい周波数や振幅が異なる。そこで、確実に塵を除くためにはこれら2つの振動モードでそのガラス板を共振させるとよい。もちろん、さらに複数の振動モードで共振させてもよい。但し、除去動作にかかる時間もまたその分余計にかかることがあるので、除去効果の程度と所要時間とを充分鑑みて適当な数に設定するべきである。
【0075】
図9のフローチャート及び図10〜図13に基づき、「塵除去動作」について説明する。まず、ステップS100では、EEPROM29から3つの制御パラメータ(Startoffset,Stopoffset,OSCtime)を読み出す。これらの3つの制御パラメータは、図10にメモリマップで示されたEEPROM29内部に記憶された「振動モード1対応温度補正テーブル」から読み出せる。
【0076】
図11−1は、この振動モード1対応温度補正テーブルの詳細を示している。この温度補正テーブルから対応する制御パラメータを読み出すためには温度情報(t)が必要である。温度情報(t)はこのサブルーチンの実行前に、温度測定回路33の温度センサ(不図示)によって検出され取得されている(図5のステップS001又はステップS008参照)。
【0077】
温度情報(t)が仮に20℃の場合、このときの制御パラメータを図11−1の振動モード1対応温度テーブル中の*0で示す部分から読み取ると、読出し開始位置(Startoffset)は“3”、読出し終了位置(Stopoffset)は“14”、そして、時間間隔(OscTime)は“100”がそれぞれ対応して得られる。そして、“Startoffset”の値と“Stopoffset”の値によって、EEPROM29の振動モード1対応周波数補正テーブルの領域を定義する。また、この領域から読み出された時間間隔(この場合は、100msec.)でN進カウンタ41へ順次設定される。
【0078】
図12−1,図12−2はこれら振動モードに対応する周波数補正テーブルを示し、図12−1は振動モード1対応周波数補正テーブル、図12−2は振動モード2対応周波数補正テーブルである。振動モード1対応周波数補正テーブルはクロックジェネレータ55が周波数40(MHz)のパルス信号を出力するものとして算出されている。
【0079】
既に説明した(1)式を適用すれば駆動周波数は算出できる。上述した温度補正テーブルから読み取った値に基づき、振動モード1対応周波数補正テーブルの*1〜*2の領域の7つのプリセット値がN進カウンタ41へ順次設定される。このときの駆動周波数f1,f2,…,f7と、ガラス板の振動の振幅との関係をグラフとしてプロットすると、図13中の*3のような曲線となる。
【0080】
この図13には、駆動周波数fnとガラス板の振動の振幅との関係を特性グラフ曲線で表わしており、プロットされた*3のグラフ曲線を中心として、共振周波数の補正範囲(fc´<fc<fc´´)が示されている。*3のグラフ曲線においては、fcが共振周波数である。そして、このfcはたまたまf4に等しい。例えば、*4のような特性をもつガラス板の場合はfc´が共振周波数であって、fc´はf3と等しい。例えば、*5のような特性のガラス板の場合はfc´´が共振周波数であって、fc´´はf5と等しい。
【0081】
よって、共振周波数がΔfcの範囲でバラツクことを考慮して、当該周波数補正テーブルの読出し開始位置(Startoffset)と読出し終了位置(Stopoffset)を設定すれば、必ず共振周波数でガラス板を加振する状況を実現することができる。また、温度によって、Δfcが変動しても、図11−1に示す振動モード1対応温度補正テーブルを適正に設定することで、必ず共振周波数で駆動できることが明らかである。
【0082】
ところで、上述の説明では、防塵ガラス321を例に挙げて説明したが、防塵ガラス321,323,325は、必要とされる光学的サイズや許容スペースが異なるため、それぞれ異なる寸法となる。例えば、ファインダCCDユニット309はファインダとしての機能上、一般的には、CCDユニット303ほどの大型な撮像素子は必要とされず、やや小型の撮像素子が使用される。また、AFセンサユニット313は、近年ではマルチAFの採用等によって大型化しているものの、CCDユニット303やファインダCCDユニット309よりは受光部の光学的寸法は小さい。
【0083】
このように、それぞれに必要な光学的寸法が異なるため、また、ファインダ系、AF系は、撮像系よりもスペース的により小型化が要求されるので、防塵ガラス321,323,325の寸法は異なるものとならざるを得ない。
【0084】
防塵ガラス321,323,325の寸法が異なるため、それぞれの共振周波数も基本的には異なるものとなる。図14−1は、防塵ガラスの面積と共振周波数との関係を示すグラフであり、図14−2は、防塵ガラスの厚さと共振周波数との関係を示すグラフである。防塵ガラスの共振周波数は、一般に、面積にほぼ反比例し、厚さにほぼ比例する特性を有する。
【0085】
そこで、防塵ガラス321,323,325の面積と厚さを操作して同一の共振周波数に設定しようとすると、一般には、スペースや割れやすい等の問題があり、限界がある。しかしながら、これらの複数の防塵ガラス321,323,325の面積と厚さとを許される範囲で操作し、できるだけ近い共振周波数とすることは、後述するように、共通の駆動周波数範囲を走査して駆動することができるので、効果的である。
【0086】
以上のように、それぞれの防塵ガラス321,323,325に最適な振動を得るためには、駆動周波数をそれぞれ最適な数値に設定し、振動が十分に得られるようにする必要がある。そこで、本実施の形態1では、防塵ガラス駆動回路332は、Bucom333による制御の下に、防塵ガラス321,323,325の共振周波数に合わせて駆動周波数を変更しながら駆動し、それぞれ最適な振動が得られるように駆動制御を行う。
【0087】
図15は、防塵ガラス321,323,325毎に駆動周波数と振動の振幅との関係を特性グラフ曲線で表した特性図である。各防塵ガラス321,323,325の特性は、その寸法、形状に応じてそれぞれ異なるものとなり、その共振周波数fc321,fc323,fc325も異なるものである。したがって、各防塵ガラス321,323,325はそれぞれ共振周波数fc321,fc323,fc325にて駆動を行うことが望ましく、最も振動振幅が得られ、塵の除去効果が大きい。
【0088】
したがって、防塵ガラス駆動回路332の駆動周波数は、前述の防塵ガラス321のみを考慮した場合には、図12−1中の*1〜*2で示すf1〜f7の範囲としてfc321=f4が含まれるものとし説明したが、防塵ガラス共振周波数321,323,325の全てを考慮した場合には、図12−1中の*1〜*2´で示すこれらの異なる共振周波数fc321,fc323,fc325の全てを含む所定の周波数範囲としてf1〜f12で示す範囲で駆動するように制御される。
【0089】
ここで、図9のフローチャートの説明に戻る。OSCtimeの値を大きくすれば、共振状態における加振時間を任意に設定できる。但し、無効な加振動作(共振周波数以外での駆動)の時間も大きくなるので注意が必要である。そこで、ステップS101では、EEPROM29の読み出し開始アドレスとしてAddressM1+Startoffsetを設定する。AddressM1は振動モード1対応周波数補正テーブルの先頭アドレスを示している。したがって、AddressM1+Startoffsetは図12−1中の*1に対応していることになる。ここで、防塵ガラス321,323,325の共振周波数は、それぞれfc321=f4,fc323=f6,fc325=f9に設定されている。
【0090】
ステップS102では、圧電素子322,324,326を駆動するための準備動作が行われる。IOポートのP_PwContを制御してトランジスタ(Q00)44aをオン状態にする。さらに、クロックジェネレータ55からパルス信号の出力を開始する。この状態でN進カウンタ41にテーブルから取り出したデータを設定すれば、所望の周波数で圧電素子322,324,326を駆動できる。
【0091】
ステップS103においては、設定されたアドレスからプリセット値(N)を読み出す。そして、IOポートのD_NCntからN進カウンタ41に読み出したプリセット値を設定する。ステップS104では、タイマカウンタへOSCtimeを設定しタイマのカウント動作を開始する。
【0092】
そして、ステップS105にて、タイマカウンタの動作が終了するまで待機する。ステップS106では、EEPROM29のアドレスが“AddressM1+Stopoffset”に等しいか否かが判定される。もし、等しい場合は図12−1の*2´までテーブルデータを読み出したことを意味する。すなわち、予定した複数の周波数での加振動作が終了したことになる。よってこの場合は、ステップS108にて駆動動作を停止する処理が行われる。トランジスタ(Q00)44aをオフし、クロックジェネレータ55の動作を止める。
【0093】
このように、図12−1中の*1(f1)〜*2´(f12)まで周波数を変化させるので、各防塵ガラス321,323,325の共振周波数fc321=f4,fc323=f6,fc325=f9の全てを含む範囲で駆動周波数が変更され、駆動が行われる。この場合、共振周波数fc321,fc323,fc325を共通(同一)又はごく近い周波数にすることができれば、周波数を変化させる走査範囲を狭くすることができ、一つの周波数での駆動時間、周波数変化ステップを固定と仮定すれば、塵落しのための駆動時間を短縮することができ、装置の動作タイムラグを小さくし応答性を高めることができる。
【0094】
ステップS106からステップS107へ移行したときは、EEPROM29のアドレスをインクリメント(+1)する。次の周波数で圧電素子322,324,326を駆動するため、再びステップS103へ移行する。
【0095】
振動モード1に対応する駆動動作が終了すると、振動モード2に対応する駆動動作のためにステップS200〜S208の動作が実行される。振動モード2でガラス板を加振するために必要な制御パラメータStartoffset,Stopoffset,OSCtimeは、図11−2に示されEEPROM29中の振動モード2対応温度補正テーブルから読み出せばよい。そして、プリセット値(N)は、EEPROM29の振動モード2対応周波数補正テーブルから読み出せばよい。同様に、振動モード2対応周波数補正テーブルの詳細は図12−2に示されている。
【0096】
続くステップS200〜S208の動作は、基本的に前述したステップS100〜S108の動作と同じである。異なるところは、制御に必要なテーブルを読み出すEEPROM29のアドレスが異なる点のみである。よってその説明は省略する。
【0097】
このように、振動モード1、振動モード2の2種類の振動モードによる防塵ガラス321,323,325への加振動作が終了すると、メインルーチンへリターンする。
【0098】
なお、カメラシステムの設計段階では、ガラス板の共振周波数のバラツキを予測することは非常に困難である。したがって、このカメラシステムが完成した後に、圧電素子322,324,326の駆動周波数を決定する制御パラメータを設定できるようにすべきである。そこで、必要なパラメータは、上述した如く本発明ではすべてEEPROM29に選択可能に格納されている。
【0099】
このように、本実施の形態1の防塵機能付き光学装置であるデジタルカメラシステムによれば、被写体像を光電変換するためのCCDユニット303と、このCCDユニット303と撮影レンズ301との間に配された防塵ガラス321と、この防塵ガラス321を所定の周波数で振動させる圧電素子322とを有し、好ましくはこのCCDユニット303をケース状の枠体内に収めて一体に設けた状態に構成している。同様に、被写体像を光電変換するためのファインダCCDユニット309と、このファインダCCDユニット309の前段に配された防塵ガラス323と、この防塵ガラス323を所定の周波数で振動させる圧電素子324とを有し、好ましくはこのファインダCCDユニット309をケース状の枠体内に収めて一体に設けた状態に構成している。さらに、被写体像を光電変換するためのAFセンサユニット313と、このAFセンサユニット313の前段に配された防塵ガラス325と、この防塵ガラス325を所定の周波数で振動させる圧電素子326とを有する。そして、圧電素子322,324,326が防塵ガラス駆動回路332によって防塵ガラス321,323,325を振動させる際には、その振動の周波数を順次変更するように適宜制御している。これによって、防塵ガラス321,323,325の表面は、与えられた複数種類の周波数に基づき同一位相ないし180度ずれた位相で振動を繰り返し、その結果、ガラス表面に付着していた塵が除去される。
【0100】
このように実施したことで、保護ガラスとしての防塵ガラス321,323,325の共振周波数に影響する例えばガラス形状や弾性係数のバラツキなどを調整しなくとも、測定された周囲の温度を考慮する程度で、効率的な塵の除去が可能なカメラシステムを提供することができる。また、保護ガラスのようにその共振周波数を特定できないガラス部材のバラツキに起因する固有共振周波数に対する調整に要する手間やコストも不要となる。
【0101】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、概略的には、駆動制御部331によって各圧電素子322,324,326を選択的に駆動して各防塵ガラス321,323,325を時分割で振動させるようにしたものである。特に、本実施の形態では、各防塵ガラス321,323,325が、fc321,fc323,fc325で示したような異なる共振周波数を有する場合を想定し、駆動制御部331が各防塵ガラス321,323,325の共振周波数を含む所定の周波数範囲を走査するように各圧電素子322,324,326を選択的に駆動して各防塵ガラス321,323,325を時分割で振動させるようにしたものである。
【0102】
図16は、本実施の形態2の防塵ガラス駆動回路332Aの構成例を示す概略回路図である。ここでは、図3に示した構成部分と異なる部分について説明する。本実施の形態2の防塵ガラス駆動回路332Aは、トランス45の2次側出力と各圧電素子322,324,326との間にこれらを選択的に駆動するためのスイッチング手段としてのMOSFET等によるスイッチ200,201,202を備えている。これらのスイッチ200,201,202はBucom333からの選択信号SEL1〜SEL3によりオン/オフ制御される。例えば、選択信号SEL1がHレベルの時には対応するスイッチ200がオンしてトランス45の2次側と圧電素子322とが接続状態(駆動可能状態)となり、選択信号SEL1がLレベルの時には対応するスイッチ200がオフとなりトランス45の2次側と圧電素子322とは分離状態(駆動不可状態)となる。選択信号SEL2,SEL3についても同様である。
【0103】
図17は、図16に示す構成による場合の動作制御例を示すタイムチャートである。概略的には、Bucom333による制御で駆動周波数fを変化させて所定の周波数範囲を走査させるものとし、駆動周波数fの変化に応じて選択信号SEL1〜SEL3のH/Lレベルを切替え、駆動周波数が有効に作用する場合だけ対応するスイッチ200,201,202を選択的にオンとし、トランス45の2次側出力を対応する圧電素子322,324又は326に供給する。
【0104】
まず、防塵ガラス321の共振周波数f4を含む駆動周波数f1〜f6の走査範囲では選択信号SEL1をHレベルとしてスイッチ200をオンさせて圧電素子322にトランス45の2次側出力を供給し、圧電素子322を駆動させる。この場合、駆動周波数が有効でない圧電素子324に対しては駆動周波数f1〜f3の範囲では選択信号SEL2をオフとし圧電素子324にトランス45の2次側出力を供給しない。同様に、駆動周波数が有効でない圧電素子326に対しては駆動周波数f1〜f6の範囲では選択信号SEL3をオフとし圧電素子326にトランス45の2次側出力を供給しない。そして、駆動周波数f7〜f12の走査範囲では、選択信号SEL1をLレベルとしてスイッチ200をオフとし圧電素子322にトランス45の2次側出力を供給しない。
【0105】
また、防塵ガラス323の共振周波数f6を含む駆動周波数f4〜f8の走査範囲では選択信号SEL2をHレベルとしてスイッチ201をオンさせて圧電素子324にトランス45の2次側出力を供給し、圧電素子324を駆動させる。これ以外の駆動周波数f1〜f3,f9〜f12の走査範囲では、選択信号SEL2をLレベルとしてスイッチ201をオフとし圧電素子324にトランス45の2次側出力を供給しない。
【0106】
同様に、防塵ガラス325の共振周波数f9を含む駆動周波数f7〜f12の走査範囲では選択信号SEL3をHレベルとしてスイッチ202をオンさせて圧電素子326にトランス45の2次側出力を供給し、圧電素子326を駆動させる。これ以外の駆動周波数f1〜f7の走査範囲では、前述したように選択信号SEL3をLレベルとしてスイッチ202をオフとし圧電素子326にトランス45の2次側出力を供給しない。
【0107】
このように、本実施の形態2によれば、駆動制御部331が各防塵ガラス321,323,325の共振周波数を含む所定の周波数範囲を走査するように各圧電素子322,324,326を選択的に駆動して各防塵ガラス321,323,325を時分割で振動させるので、振動が得られない駆動周波数の場合に発生する無駄な電力の消費を抑えることができ、電池消耗を抑制することができる。特に、本実施の形態2の場合、防塵ガラス321,323,325のそれぞれの共振周波数fc321,fc323,fc325が異なるので、それぞれの共振周波数の差を利用することで一つの防塵ガラス駆動回路332であってもそれぞれの走査範囲を順次切替え制御するだけで複数の圧電素子322,324,326を選択的に効率よく駆動することができる。
【0108】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3は、加振手段が圧電素子である点に着目し、概略的には、各圧電素子322,324,326に印加する印加電圧を該圧電素子322,324,326毎に異ならせるようにしたものである。すなわち、各防塵ガラス321,323,325を振動させる上で各圧電素子322,324,326に最適なパラメータとして、印加電圧を用い、この印加電圧を切替えて各圧電素子322,324,32を駆動させることにより、対応する防塵ガラス321,323,325を振動させて防塵動作を行わせるものである。
【0109】
圧電素子322,324,326は、前述したようにそれぞれ寸法、形状、使用方法が異なるので、要求される塵の除去性能、すなわち振動振幅が異なる。この振幅を調整する方法として、圧電素子への印加電圧を変更する方法がある。図18は、圧電素子に対する印加電圧とその場合の振幅との関係を示したグラフであり、印加電圧に比例して圧電素子の振動振幅が大きくなる特性を示している。
【0110】
したがって、圧電素子322,324,326に対する印加電圧を大きくすると、振動振幅を大きくすることができる。もっとも、圧電素子322,324,326への印加電圧として、寸法、形状等によって決まる所定値以上の電圧を与えると破壊する可能性があるので、むやみに大きな電圧を印加すればよいというものではない。また、防塵ガラス321,323,325の振動が大きすぎて割れてしまう可能性もある。
【0111】
図19は、本実施の形態3の防塵ガラス駆動回路332Bの構成例を示す概略回路図である。ここでは、図3に示した構成部分と異なる部分について説明する。本実施の形態3の防塵ガラス駆動回路332Bは、トランス45が2次側巻線の両側端子210,213間を複数に分割した中間端子211,212を有することにより印加電圧可変手段として構成され、出力端子210とこれらの中間端子211,212とで3段階の出力電圧の出力が可能とされている。
【0112】
最も出力電圧の高い出力端子210は、スイッチ200を介して圧電素子321に接続され、次に出力電圧の高い中間端子211は、スイッチ201を介して圧電素子323に接続され、中間端子212は、スイッチ202を介して圧電素子325に接続されている。
【0113】
すなわち、本実施の形態3のトランス45は、2次側に異なる巻線比を構成することで昇圧比を変更し、圧電素子側に供給する電圧を変えるようにしたものである。いま、2次側巻線の端子210,213間の巻線比をK1とすると、端子211,213間の巻線比K2に対して、K1>K2となり、出力端子210使用時は中間端子211使用時よりも昇圧比をより高くすることで、圧電素子324の場合よりも圧電素子322の場合のほうが印加電圧が高くなる。また、端子212,213間の巻線比K3は、K3<K2<K1となり、中間端子212使用時は中間端子211使用時よりも、昇圧比をより低くすることで、圧電素子324の場合よりも圧電素子326の場合のほうが印加電圧が低くなる。
【0114】
図20は、図19に示す構成による場合の動作制御例を示すタイムチャートである。ここでは、駆動周波数fは、防塵ガラス321,323,325のそれぞれの共振周波数f4,f6,f9の3種類としている。
【0115】
まず、駆動周波数f4で動作を行い、選択信号SEL1をHレベル(SEL2,3はLレベル)とし、スイッチ200をオンさせ、圧電素子322にトランス45の2次側出力電圧Aを供給する。この場合、圧電素子322に対する印加電圧Aの振幅はV322となる。次に、駆動周波数f6で動作を行い、選択信号SEL2をHレベル(SEL1,3はLレベル)とし、スイッチ201をオンさせ、圧電素子324にトランス45の2次側出力電圧Bを供給する。この場合、圧電素子324に対する印加電圧Bの振幅はV324となる。この振幅V324は、トランス45の巻線比に応じて、振幅V322よりも小さな値を示す。
【0116】
さらに、駆動周波数f9で動作を行い、選択信号SEL3をHレベル(SEL1,2はLレベル)とし、スイッチ202をオンさせ、圧電素子326にトランス45の2次側出力電圧Cを供給する。この場合、圧電素子326に対する印加電圧Cの振幅はV326となる。この振幅V326は、トランス45の巻線比に応じて、振幅V324よりも小さな値を示す。
【0117】
このように、本実施の形態3によれば、トランス45の2次巻線の巻線比を変更することで、それぞれの圧電素子322,324,326に対する印加電圧を個別に設定することができ、それぞれの圧電素子322,324,326に必要な電圧を供給し、より効率的な振動を得ることができる。また、スイッチ200,201,202を備え、圧電素子322,324,326毎に選択的として時分割駆動しているので、効率よい駆動が可能となる。
【0118】
図21は、変形例を示す概略回路図である。図21に示すように、スイッチ200,201,202を省略し、それぞれの圧電素子322,324,326に対してそれぞれ異なる印加電圧A,B,Cを、実施の形態1の場合と同様、同時に印加して駆動させるようにしてもよい。
【0119】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4は、加振手段が圧電素子である点に着目し、概略的には、実施の形態3の場合と同様、各圧電素子322,324,326に印加する印加電圧を該圧電素子322,324,326毎に異ならせるようにしたものである。ただし、その印加電圧を可変させる方法として、トランス45の1次側電圧を可変させるようにしたものである。
【0120】
図22は、本実施の形態4の防塵ガラス駆動回路332Cの構成例を示す概略回路図である。ここでは、図3に示した構成部分と異なる部分について説明する。本実施の形態4の防塵ガラス駆動回路332Cは、トランス45が1次側巻線の両側端子150,153間を複数に分割した中間端子151,152を有し、端子150,153をそれぞれトランジスタ44b,44cによって選択的に駆動可能にするとともに、これらの中間端子151,152をそれぞれトランジスタ154,155によって選択的に駆動可能とすることにより印加電圧可変手段として構成されている。すなわち、本実施の形態4のトランス45は、1次側に異なる巻線比を構成することで昇圧比を変更し、圧電素子側に供給する電圧を変えるようにしたものである。なお、トランス45の2次側の接続は図16の場合と同様である。
【0121】
ここで、中間端子151,152用のトランジスタ154,155は、実施の形態1の場合と同様、1/2分周回路42の出力をBucom333のVCONT信号の切替えに応じて選択的に入力させることにより駆動される。なお、本実施の形態4の防塵ガラス駆動回路332Cは、VCONT信号に応じて、トランジスタ44b,44c側とトランジスタ154,155側とを選択的に動作させるために、ANDゲート157,158及びインバータ159を有する。
【0122】
図23は、図22に示す構成による場合の動作制御例を示すタイムチャートである。ここで、駆動周波数fは、実施の形態3の場合と同様、防塵ガラス321,323,325のそれぞれの共振周波数f4,f6,f9の3種類としている。
【0123】
まず、駆動周波数f4で動作を行う。Bucom333は、VCONT信号をHレベルとし、1/2分周回路42の出力をANDゲート157、インバータ156を介してトランジスタ154,155に駆動周波数f4を供給する。また、選択信号SEL1をHレベル(SEL2,3はLレベル)とし、スイッチ200をオンさせ、圧電素子322にトランス45の2次側出力電圧Aを供給する。Bucom333は、駆動周波数f4での動作時間はt1となるように制御する。この場合の圧電素子322に対する印加電圧Aの振幅V322は、トランス45の中間端子151,152間の1次巻線と2次巻線とにより決まる巻線比に応じた値となる。
【0124】
次に、駆動周波数f6で動作を行う。Bucom333は、VCONT信号をLレベルとし、インバータ159でHレベルに変換し、1/2分周回路42の出力をANDゲート158、インバータ43を介してトランジスタ44b,44cに駆動周波数f6を供給する。また、選択信号SEL2をHレベル(SEL1,3はLレベル)とし、スイッチ201をオンさせ、圧電素子324にトランス45の2次側出力電圧Bを供給する。Bucom333は、駆動周波数f6での動作時間はt1となるように制御する。この場合の圧電素子324に対する印加電圧Bの振幅V324は、トランス45の端子150,153間の1次巻線と2次巻線とにより決まる巻線比に応じた値であり、V322よりも小さな値となる。
【0125】
さらに、駆動周波数f9で動作を行う。Bucom333は、VCONT信号をLレベルとしたまま(インバータ159でHレベルに変換する)、1/2分周回路42の出力をANDゲート158、インバータ43を介してトランジスタ44b,44cに駆動周波数f9を供給する。また、選択信号SEL3をHレベル(SEL1,2はLレベル)とし、スイッチ202をオンさせ、圧電素子326にトランス45の2次側出力電圧Cを供給する。Bucom333は、駆動周波数f9での動作時間はt2(>t1)となるように制御する。この場合の圧電素子326に対する印加電圧Bの振幅V326は、トランス45の端子150,153間の1次巻線と2次巻線とにより決まる巻線比に応じた値であり、V324と同じ値となる。
【0126】
このように、本実施の形態4によれば、トランス45の1次巻線の巻線比を変更することで、それぞれの圧電素子322,324,326に対する印加電圧を個別に設定することができ、それぞれの圧電素子322,324,326に必要な電圧を供給し、より効率的な振動を得ることができる。また、スイッチ200,201,202を備え、圧電素子322,324,326毎に選択的として時分割駆動しているので、効率よい駆動が可能となる。さらには、圧電素子322,324,326毎に必要に応じてその動作時間をt1,t2のように変えて設定し、防塵ガラス321,323,325の振動時間を変更可能に制御するので、塵除去性能を向上させることができる。特に、印加電圧を高くする代わりに、振動時間を長めとすることにより塵除去効果を得ることができる。
【0127】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5について説明する。本実施の形態5は、加振手段が圧電素子である点に着目し、概略的には、実施の形態3,4の場合と同様、各圧電素子322,324,326に印加する印加電圧を該圧電素子322,324,326毎に異ならせるようにしたものである。ただし、その印加電圧を可変させる方法として、定電圧出力可変電源を用いて可変させるようにしたものである。
【0128】
図24は、本実施の形態5の防塵ガラス駆動回路332Dの構成例を示す概略回路図である。ここでは、図3に示した構成部分と異なる部分について説明する。本実施の形態5の防塵ガラス駆動回路332Dは、トランス45の1次側電源として定電圧出力可変電源170を備え、Bucom333によりこの定電圧出力可変電源170の出力電圧を可変させることにより、トランス45の2次側出力電圧を変化させ、圧電素子323,324,326毎に印加電圧を変化させる。ここで、トランス45の1次側と2次側との巻線比は1:Kとされている。
【0129】
図25は、図24に示す構成による場合の動作制御例を示すタイムチャートである。ここで、駆動周波数fは、実施の形態3,4の場合と同様、防塵ガラス321,323,325のそれぞれの共振周波数f4,f6,f9の3種類としている。
【0130】
まず、駆動周波数f4で動作を行う。Bucom333は、定電圧出力可変電源170の出力電圧をV1に設定する。そして、トランジスタ44b,44cに駆動周波数f4を供給すると、トランス45の巻線比Kに応じた2次側出力電圧V322=K・V1が発生する。また、選択信号SEL1をHレベル(SEL2,3はLレベル)とし、スイッチ200をオンさせ、圧電素子322にトランス45の2次側出力電圧Aを供給する。この場合の圧電素子322に対する印加電圧Aの振幅V322は、上述の通り、K・V1となる。
【0131】
次に、駆動周波数f6で動作を行う。Bucom333は、定電圧出力可変電源170の出力電圧をV2(ただし、V2<V1)に設定する。そして、トランジスタ44b,44cに駆動周波数f6を供給すると、トランス45の巻線比Kに応じた2次側出力電圧V324=K・V2が発生する。また、選択信号SEL2をHレベル(SEL1,3はLレベル)とし、スイッチ201をオンさせ、圧電素子324にトランス45の2次側出力電圧Bを供給する。この場合の圧電素子324に対する印加電圧Bの振幅V324は、上述の通り、K・V2であり、印加電圧Aの振幅V322よりも小さな値となる。
【0132】
さらに、駆動周波数f9で動作を行う。Bucom333は、定電圧出力可変電源170の出力電圧をV3(ただし、V3<V2<V1)に設定する。そして、トランジスタ44b,44cに駆動周波数f9を供給すると、トランス45の巻線比Kに応じた2次側出力電圧V326=K・V3が発生する。また、選択信号SEL3をHレベル(SEL1,2はLレベル)とし、スイッチ202をオンさせ、圧電素子326にトランス45の2次側出力電圧Cを供給する。この場合の圧電素子326に対する印加電圧Cの振幅V326は、上述の通り、K・V3であり、印加電圧A,Bの振幅V322,V324よりも小さな値となる。
【0133】
このように、本実施の形態5によれば、定電圧出力可変電源170の出力電圧を可変制御してトランス45の1次側電圧を切替えることで、それぞれの圧電素子322,324,326に対する印加電圧を個別に設定することができ、それぞれの圧電素子322,324,326に必要な電圧を供給し、より効率的な振動を得ることができる。また、スイッチ200,201,202を備え、圧電素子322,324,326毎に選択的として時分割駆動しているので、効率よい駆動が可能となる。
【0134】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施の形態1の防塵機能付き光学装置としてのデジタルカメラシステムの実際的な光学的配置を考慮した構成例を示す概念図である。
【図2】図1の構成例に対応する制御系を主体として示す概略ブロック図である。
【図3】圧電素子に対する防塵ガラス駆動回路の構成の一例を示す回路図である。
【図4】動作制御例を示すタイムチャートである。
【図5】図1に示した防塵機能付き光学装置が搭載されたデジタルカメラシステムとしての具体的な構成例を示すブロック構成図である。
【図6】制御プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図7−1】本発明に係る防塵ガラスの振動形態を示し、ガラス板の周囲に節が発生して全面が同じ位相で振動する振動モード1の一態様の説明図である。
【図7−2】本発明に係る防塵ガラスの振動形態を示し、ガラス板の周囲に節が発生して全面が同じ位相で振動する振動モード1の異なる態様の説明図である。
【図8−1】本発明に係る防塵ガラスの振動形態を示し、ガラス板の内側と外側が180°異なる位相で振動する振動モード2の一態様の説明図である。
【図8−2】本発明に係る防塵ガラスの振動形態を示し、ガラス板の内側と外側が180°異なる位相で振動する振動モード2の異なる態様の説明図である。
【図9】図6のフローチャート中のサブルーチン「塵除去動作」の詳細手順を表わすフローチャートである。
【図10】EEPROMに占める補正に関するテーブル領域を示すメモリマップである。
【図11−1】振動モード1対応温度補正テーブルの詳細を示す図である。
【図11−2】振動モード2対応温度補正テーブルの詳細を示す図である。
【図12−1】振動モード1対応周波数補正テーブルの詳細を示す図である。
【図12−2】振動モード2対応周波数補正テーブルの詳細を示す図である。
【図13】駆動周波数とガラス板の振動の振幅との関係を表わす特性グラフである。
【図14−1】防塵ガラスの面積と共振周波数との関係を示すグラフである。
【図14−2】防塵ガラスの厚さと共振周波数との関係を示すグラフである。
【図15】防塵ガラス毎に駆動周波数と振動の振幅との関係を特性グラフ曲線で表した特性図である。
【図16】本発明の実施の形態2の防塵ガラス駆動回路の構成例を示す概略回路図である。
【図17】動作制御例を示すタイムチャートである。
【図18】圧電素子に対する印加電圧とその場合の振幅との関係を示したグラフである。
【図19】本発明の実施の形態3の防塵ガラス駆動回路の構成例を示す概略回路図である。
【図20】動作制御例を示すタイムチャートである。
【図21】変形例の防塵ガラス駆動回路の構成例を示す概略回路図である。
【図22】本発明の実施の形態4の防塵ガラス駆動回路の構成例を示す概略回路図である。
【図23】動作制御例を示すタイムチャートである。
【図24】本発明の実施の形態5の防塵ガラス駆動回路の構成例を示す概略回路図である。
【図25】動作制御例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0136】
45 トランス
170 定電圧出力可変手段
200〜202 スイッチ
302 撮像光学系
303 CCDユニット
304 撮像用光学部
308 ファインダ光学系
309 ファインダCCDユニット
310 ファインダ用光学部
312 焦点検出用光学系
313 AFセンサユニット
314 AF検出用光学部
321 防塵ガラス
322 圧電素子
323 防塵ガラス
324 圧電素子
325 防塵ガラス
326 圧電素子
331 駆動制御部
332 防塵ガラス駆動回路
333 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子と、該光電変換素子よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子と、該光学素子を振動させるための加振手段と、をそれぞれ備える複数の光学手段と、
これらの光学手段に含まれる複数の前記加振手段を駆動制御する単一の駆動制御手段と、
を備えたことを特徴とする防塵機能付き光学装置。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、前記各光学素子の共振周波数を含む所定の周波数範囲を走査するように前記各加振手段を駆動することを特徴とする請求項1に記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項3】
前記各光学素子は、異なる共振周波数を有し、
前記駆動制御手段は、前記各光学素子の異なる共振周波数の全てを含む所定の周波数範囲を走査するように前記各加振手段を駆動することを特徴とする請求項2に記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項4】
前記駆動制御手段は、前記各加振手段を選択的に駆動して前記各光学素子を時分割で振動させることを特徴とする請求項1に記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項5】
前記各光学素子は、異なる共振周波数を有し、
前記駆動制御手段は、前記各光学素子の共振周波数を含む所定の周波数範囲を走査するように前記各加振手段を選択的に駆動して前記各光学素子を時分割で振動させることを特徴とする請求項4に記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項6】
結像光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する光電変換素子と、該光電変換素子よりも前段の光路上に配設された防塵用の光学素子と、該光学素子を振動させるための圧電素子と、をそれぞれ備える複数の光学手段と、
これらの光学手段に含まれる複数の前記圧電素子を所定の駆動周波数で駆動する単一の駆動手段と、
該駆動手段の動作を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする防塵機能付き光学装置。
【請求項7】
前記駆動手段は、前記各圧電素子を選択的に駆動するためのスイッチング手段を有し、
前記制御手段は、選択的に駆動する前記圧電素子に対応して前記駆動周波数を変更させるように前記駆動手段の動作を制御することを特徴とする請求項6に記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項8】
前記駆動手段は、前記各圧電素子に印加する印加電圧を該圧電素子毎に異ならせる印加電圧可変手段を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項9】
前記駆動手段は、前記各圧電素子に印加する印加電圧を該圧電素子毎に異ならせる印加電圧可変手段と、前記各圧電素子を選択的に駆動するためのスイッチング手段とを有し、
前記制御手段は、選択的に駆動する前記圧電素子に対応して前記印加電圧を変更させるように前記印加電圧可変手段の動作を制御することを特徴とする請求項6又は7に記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項10】
前記駆動手段は、前記各圧電素子を選択的に駆動するためのスイッチング手段を有し、
前記制御手段は、選択的に駆動する前記圧電素子に対応して駆動時間を変更させるように前記駆動手段の動作を制御することを特徴とする請求項6,7又は9に記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項11】
複数の前記光学手段のうちの少なくとも一つは、撮像光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する撮像用光電変換素子を含む撮像用光学手段であり、
複数の前記光学手段のうちの他の少なくとも一つは、ファインダ光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換するファインダ用光電変換素子を含むファインダ用光学手段であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の防塵機能付き光学装置。
【請求項12】
複数の前記光学手段のうちの少なくとも一つは、撮像光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する撮像用光電変換素子を含む撮像用光学手段であり、
複数の前記光学手段のうちの他の少なくとも一つは、撮像レンズの焦点状態を検出するための焦点検出用光学系により結像される光学像を受光して電気信号に変換する焦点検出用光電変換素子を含む焦点検出用光学手段であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の防塵機能付き光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−259162(P2006−259162A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75865(P2005−75865)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】