説明

防汚性のためのフッ素化処理

繊維基材の処理のために、尿素、ウレタンまたはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、少なくとも1種のアニオン界面活性剤との分散体を含む防汚剤が開示されており、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率は、約0.075:1.0〜約5:1である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
以下の定義は、AATCC技術マニュアル(AATCC Technical Manual)、77巻、409および413頁(2002年、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークの米国繊維化学者色彩技術者協会(American Association of Textile Chemists and Colorists,Research Triangle Park,NC))において、米国繊維化学者色彩技術者協会(AATCC)によって使用される。
【0002】
「洗剤」は、活性成分として、1種または複数の界面活性剤を含有するクリーニング剤である。「汚れ」は、通常テキスタイル材料などの基材上に存在することが意図されないほこり、油、またはその他の物質である。テキスタイルにおける「汚れる」とは、テキスタイル基材が、汚れによって多かれ少なかれ均一に被覆または含浸されるプロセスである。「防汚剤(soil resist agent)」は、カーペットの表面繊維に適用されるか、または取り込まれて、汚れの蓄積を阻止および/または制限する材料である。「界面活性剤」は、液体、通常は水の表面張力を減少させる可溶性または分散性の材料である。
【0003】
同じ典拠によって、「テキスタイルの床用敷物」は「テキスタイル材料で構成される使用表面を有し、一般に床を覆うために使用される物品」であると定義される。以下、このようなテキスタイルの床用敷物を説明するために「カーペット」という用語を使用する。
【0004】
カーク・オスマーの簡易版工業化学百科事典、第3版(Kirk−Othmer Concise Encyclopedia of Chemical Technology,3rd Edition)(ニューヨーク州ニューヨーク(New York NY)のジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、1985年)には、1142頁の「界面活性剤および洗剤系」の説明において、「洗剤という用語は界面活性剤と交換可能に使用されることが多い」と記載されている。
【0005】
先行技術では、製造後、防汚剤の適用後、またはシャンプー洗浄によるカーペットのクリーニング後にカーペットの繊維上に残る残留油または洗剤は、続いて生じる汚れの原因であると広く報告されている。例えば、(非特許文献1)は、83〜84頁において、「繊維が油性膜を含有すると、激しい汚れが生じ得る。この現象は、カーペットがシャンプー洗浄された後、洗剤が完全に除去されていない場合に、ほとんどの再汚れ問題の原因である。空気中を運ばれるグリースがカーペット表面に定着するように、繊維上の不適切な潤滑剤はこの効果を引き起こし得る。」と注釈している。著者らは、油と洗剤は、原因として同等であると見なしている。著者らは、引き続き、「ナイロンカーペットの汚れに影響を与えると考えられる」要因を列挙しており、「テキスタイル材料の汚れの増大を引き起こす残留油性材料の効果は、文献において十分に立証されている。繊維が油性膜を含有する場合には、激しい汚れが生じ得る」と記載している(87頁)。他には、(非特許文献2)において、「・・・精練性が乏しいと染色の問題および潜在的な汚れスポットを生じ得るので、潤滑剤は、緩やかな精練条件下で糸から除去されなければならない・・・」と445頁に記載されている。
【0006】
カーペットの製造トレードのための技術情報は、過剰な量の油または洗剤に関連または起因して悪化する汚れについての警告を十分に有している。現在の世界的なウェブサイトとしては、次のものが挙げられる。
1.(非特許文献3):
「多くの場合、再汚れは、クリーニング中に取り残された洗剤残留物に起因し得る。洗剤は、意図的に汚れを引き付ける。クリーニング後にカーペット中に洗剤が残されることによって、洗剤は汚れを急速に引き付ける。」
2.(非特許文献4):
「いくつかのシャンプーは、再汚れに寄与し得る油を含有する・・・」
3.(非特許文献5):
「全ての洗剤をカーペットからすすぎ落とし、再汚れの促進を防止する。」
4.(非特許文献6):
「シャンプー洗浄は、カーペットの保護仕上げを覆うことが多いセッケン残留物を取り残すだけでなく、汚れを引き付けて保持し得る。」
5.(非特許文献7):
「いくつかの方法は、再汚れを引き起こす洗剤を使用することに気付いている必要もある。これは、クリーニング後に洗剤が繊維表面に残存する場合に起こる。これらの洗剤は、カーペットを汚く見せる汚れを引き付け続けるであろう。」
【0007】
したがって分散性防汚剤配合物の製造業者は、出荷時に配合物の安定な分散体を提供するのに十分な分散試薬のみをその配合物中に使用するように努力している。この制限の結果は、通常の商業用カーペット防汚剤配合物中の分散剤に対するフルオロケミカルの比率として、表1に示される。フルオロケミカル:分散試薬の計算された重量比は、表1では14:1〜30:1の範囲である。
【0008】
【表1】

【0009】
通常、防汚剤配合物は濃縮された形で出荷され、適用の現場で、水により希釈される。商業的には、このような配合物中の分散試薬のレベルは、出荷、希釈および使用中に分散体の安定性を保証するために必要とされるほとんど最小限のレベルに保持される。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,414,111号明細書
【特許文献2】米国特許第3,124,605号明細書
【特許文献3】米国特許第3,923,715号明細書
【特許文献4】米国特許第5,411,766号明細書
【非特許文献1】W.F.テイラー(W.F.Taylor)およびH.J.デマス(H.J.Demas)著「カーペット汚れの理由(The Why's of Carpet Soil)」(テキスタイル・インド(Textile Ind.)、1968年11月、83−87頁)
【非特許文献2】W.ポストマン(W.Postman)著「スピン仕上げの説明(Spin Finishes Explained)」(テキスタイル・リサーチ・ジャーナル(Textile Research Journal)Vol.50#7、444−453(1980年7月))
【非特許文献3】http://www.carpetbuyershandbook.com/common_cleaning_challenges.htmカーペットバイヤーズハンドブック(Carpet Buyers Handbook)ウェブサイト(2002年7月25日アクセス)
【非特許文献4】http://www.hoovercompany.com/ftp/cguide.pdfカーペットクリーニングへのフーバー消費者ガイド(Hoover Consumer Guide to Carpet Cleaning)のウェブサイト(2002年7月25日アクセス)
【非特許文献5】http://www.carpet−rug.com/drill_down_2.cfm?page=14&sub=3カーペット・アンド・ラグ・インスティチュート(Carpet and Rug Institute、CRI)ウェブサイト(2002年7月25日アクセス)
【非特許文献6】http://cms.3m.com/cms/US/en/2−78/iFeRkFQ/view.jhtml3Mウェブサイト(2002年7月25日アクセス)
【非特許文献7】http://antron.dupont.com/content/how_to/ant02_06.shtmlデュポン・アントロン(DuPont Antron)*ウェブサイト、セクションC、ディープクリーニング(Deep Cleaning)から(2002年7月25日アクセス)
【非特許文献8】ポール・カレル(Paul Karrer)による「オーガニック・ケミストリー(Organic Chemistry)、英語版」(エルセヴィア(Elsevier)により出版、1938年、135頁)
【非特許文献9】SRI・インターナショナル・レポート(SRI International Report)(イソシアネーツ(Isocyanates)No.lD、1983年7月、279頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
カーペットなどの繊維基材を製造中に処理するため、および汚れたカーペットに使用されるクリーニング剤中に、あるいはその後に使用するために、改良された防汚剤を有することが望ましい。このような改良された防汚剤は、汚れに対して、より良い耐性を提供するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、安定な分散体を保証するために必要とされるよりも実質的に多い界面活性剤を含有する分散体中に配合された特定の防汚剤を含む。残留する油または界面活性剤がカーペットのより急速な汚れをもたらすという教示にもかかわらず、防汚剤中に存在する界面活性剤のレベルを増大させると、その性能が改良されることがわかった。
【0013】
本発明は、a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水または水および溶媒中の分散体を含む防汚剤であって、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率は、約0.075:1.0〜約5:1である。
【0014】
本発明は、更に、a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水または水および溶媒中の分散体を含む防汚剤を、繊維基材に適用させることを含む繊維基材の防汚処理方法を含み、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率は、約0.075:1.0〜約5:1である。
【0015】
本発明は、更に、a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水または水および溶媒中の分散体を含む防汚剤で処理されたカーペットを含み、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率は、約0.075:1.0〜約5:1である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の目的では、「分散試薬」または「分散剤」という用語は、防汚剤の安定な分散体を製造するために使用される界面活性剤を説明するために使用され、「界面活性剤」という用語は、本発明の組成物の防汚性能を高めるために使用される追加の非フッ素化アニオン界面活性剤を説明するために使用される。分散剤および界面活性剤の両方の機能のために同じ非フッ素化アニオン界面活性剤を使用できることが認識される。
【0017】
本発明は、a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水または水および溶媒中の分散体を含む防汚剤であり、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率は、約0.075:1.0〜約5:1である。
【0018】
本発明の改良された防汚剤は、安定な分散体を保証するために必要とされるよりも高いレベルで、少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤と組み合わされた、1種または複数のポリフルオロ有機化合物を含む。表1は、先行技術のフルオロケミカル:分散剤比が14:1〜30:1の範囲であることを示す。
【0019】
明らかに、添加される界面活性剤の選択は、ポリフルオロ有機化合物および使用される分散剤との適合性に基づかなければならない。
【0020】
本発明の実施において、任意の非フッ素化アニオン界面活性剤または界面活性剤のブレンドが有用である。これらは、非フッ素化アニオン界面活性剤および非フッ素化アニオンヒドロトロープ界面活性剤を含み、スルホネート、サルフェート、ホスフェートおよびカルボキシレートが挙げられる。本発明で使用するのに適する市販の非フッ素化アニオン界面活性剤には、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルファスルホン化カルボン酸塩、アルファスルホン化カルボン酸エステルの塩、1−オクタンスルホン酸塩、アルキルアリールサルフェート、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、デシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、ブチルナフタレンスルホン酸塩、C16〜C18リン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩・ホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ジメチル−5−スルホイソフタル酸塩、およびデシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩とナフタレンスルホン酸塩・ホルムアルデヒド縮合物とのブレンドが含まれる。ナトリウムおよびカリウム塩が好ましい。
【0021】
好ましい非フッ素化アニオン界面活性剤は、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸のナトリウムまたはカリウム塩、アルキルアリールサルフェート、アルキル硫酸塩、C16〜C18リン酸カリウム、デシルジフェニルオキシドジスルホネート、およびデシルジフェニルオキシドジスルホネートとナフタレンスルホン酸塩・ホルムアルデヒド縮合物とのブレンドである。
【0022】
非フッ素化アニオン界面活性剤は、ポリフルオロ有機化合物を分散させるのに必要とされる分散剤の量に加えて添加される。具体的には、本発明の改良された防汚剤は、少なくとも1つの尿素、ウレタンまたはエステル結合を有するフルオロケミカル有機化合物を含有する(以下、「フルオロケミカル」または「FC」とする)。界面活性剤(界面活性剤および分散剤の合計)に対するフルオロケミカルの比率は、約0.075:1.0〜約5:1であり、好ましくは約0.2:1〜約4:1であり、更に好ましくは約0.1:1.0〜約4:1である。このような配合物は、既に記載したように14:1〜30:1のフルオロケミカル:分散剤比(重量による)を有する従来の防汚剤配合物とは、明らかに対照的である。
【0023】
少なくとも1つの尿素、ウレタンまたはエステル結合を有する適切なフルオロケミカル有機化合物はどれも、本明細書において使用することができる。本発明の防汚剤組成物で使用するのに適切なフルオロケミカル化合物は、キルヒナー(Kirchner)により米国特許公報(特許文献1)(参照によって本明細書中に援用される)に記載されるポリフルオロ窒素含有有機化合物を含み、1分子あたり少なくとも1つの尿素結合を有する化合物を含む。この化合物は、(1)1分子あたり少なくとも3つのイソシアネート基を含有する少なくとも1種の有機ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物と、(2)1分子あたり(a)1つまたは複数のツェレビチノフ水素原子を有する単一の官能基、および(b)少なくとも2つのフッ素原子をそれぞれが含有する少なくとも2つの炭素原子、を含有する少なくとも1種のフルオロケミカル化合物と、(3)ポリイソシアネート中のイソシアネート基の約5%〜約60%と反応するのに十分な量の水との反応の生成物である。ツェレビチノフ水素は、有機化合物中に含有される活性水素[−OH、−COOH、−NHなど]である。ツェレビチノフ水素は、化合物をCHMgハライドと反応させてCHを解放させることによって定量することができ、CHは容量分析で測定されて、化合物の活性水素含量の定量的な評価を与える。第1級アミンは、冷却して反応させると1モルのCHを与え、加熱すると通常2モルである[(非特許文献8)]。
【0024】
好ましい実施形態では、水の量は、ポリイソシアネート中のイソシアネート基の約10%〜約35%と反応するのに十分であり、最も好ましくは、約15%〜約30%と反応するのに十分である。
【0025】
各フルオロケミカル化合物が少なくとも2つの炭素原子を含有し、各炭素原子が少なくとも2つのフッ素原子に結合される限り、単一の官能基を含有する広範な種類のフルオロケミカル化合物を使用することができる。例えば、フルオロケミカル化合物は次式:
−R−X−H
で表すことができ、式中、
は、少なくとも2つの炭素原子を含有する一価の脂肪族基であり、そのそれぞれは、少なくとも2つのフッ素原子に結合され、
Rは二価の有機基であり、
kは0または1であり、そして、
Xは、−O−、−S−、または−N(R)−であり、ここでRはH、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル、またはR−R−基である。
本発明の目的では、ツェレビチノフらにより定義されるように、第1級アミンは1つの活性水素を提供するものと仮定される。
【0026】
より具体的な実施形態において、単一の官能基を含有するフルオロケミカル化合物は、次式:
−R−X−H
で表すことができ、式中、
およびkは、上記で定義した通りであり、
Rは二価の基:−C2mSO−、−C2mSO−、−SON(R)−、または−CON(R)−であり、ここでmは1〜22であり、RはH、または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、
は二価の直鎖炭化水素基:−C2n−であり、任意で、次式によってエンドキャップされてもよく、ここでnは0〜12であり、pは1〜50であり、R、RおよびRは同一または異なるHまたは1〜6個の炭素原子を含有するアルキルである。
【0027】
【化1】

【0028】
Xは、−O−、−S−、または−N(R)−であり、ここでRはH、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル、またはR−R−R−基である。
より詳細には、Rは、酸素原子で中断され得る3〜20個の炭素原子を有する完全にフッ素化された直鎖または分枝状の脂肪族基である。
【0029】
好ましい実施形態では、単一の官能基を含有するフルオロケミカル化合物は、次式:
−(CH−X−H
によって表すことができ、式中、
Xは、−O−、−S−、または−N(R)−であり、ここでRはH、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル、またはR−R−R−基であり、
は、ペルフルオロアルキル基、CFCF(CFの混合物であり、ここでrは2〜18であり、そして、
qは、1、2または3である。
より特定の実施形態では、Rは、前記ペルフルオロアルキル基、CFCF(CFの混合物であり、rは2、4、6、8、10、12、14、16、および18である。好ましい実施形態では、rは主に4、6および8である。もう1つの好ましい実施形態では、rは主に6および8である。前者の好ましい実施形態は、商業的により容易に入手することができ、そのためにより安価であり、一方後者は、改良された特性を提供することができる。
【0030】
本発明の目的では、単一の官能基を含有するフルオロケミカル化合物として使用することができる代表的なフルオロ脂肪族アルコールは、以下のものである。
(2S+1)(CHOH、
(CFCFO(CFCFCHCHOH、
(2S+1)CON(R)(CHOH、
(2S+1)SON(R)(CHOH、
【0031】
【化2】

【0032】
式中、
sは3〜14であり、
tは1〜12であり、
uは1〜5であり、
vは1〜5であり、
およびRのそれぞれは、Hまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルである。
【0033】
もう1つの実施形態では、単一の官能基を含有するフルオロケミカル化合物は、式:H(CFCFCHOHによって表すことができ、ここでwは1〜10である。後者のフルオロケミカル化合物は、テトラフルオロエチレンをメタノールと反応させて調製することができる既知のフルオロケミカル化合物である。さらにもう1種のこのような化合物は、式:CF(CF)CHOHを有する1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロ−イソプロパノールである。
【0034】
本発明の更にもう1つの実施形態では、前記フルオロケミカル化合物のうちの1種または複数と共に、単一の官能基を含有する非フッ素化有機化合物を使用することができる。通常、ポリイソシアネートの約1%〜約60%のイソシアネート基を、少なくとも1種のこのような非フッ素化化合物と反応させる。例えば、前記非フッ素化化合物は、式:
10−R11−YH
によって表すことができ、式中、
10はC〜C18アルキル、C〜C18オメガ−アルケニル基、またはC〜C18オメガ−アルケノイルであり、
11は、次式のものであり、ここでR、R、およびRは同一または異なるH、または1〜6個の炭素原子を含有するアルキルであり、pは1〜50である。
【0035】
【化3】

【0036】
Yは、−O−、−S−、または−N(R)−であり、ここでRはH、または1〜6個の炭素原子を含有するアルキルであり、そして、
kおよびpは上記で定義した通りである。
例えば、非フッ素化化合物は、アルカノール、もしくはポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルまたはモノアルケニルエーテルまたはエステルでよい。このような化合物の特定の例としては、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレングリコールのモノメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールのモノ−アリルまたは−メタリルエーテル、ポリオキシエチレングリコールのモノ−メタクリル酸またはアクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0037】
本発明の目的では、3つまたはそれ以上のイソシアネート基を有する任意のポリイソシアネートを使用することができる。例えば、次式を有するヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーを使用することができる。
【0038】
【化4】

【0039】
式中、xは1以上の整数であり、好ましくは1〜8である。このようなヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーの混合物は、その商業的な入手可能性の理由から、本発明のために好ましい。また、次式で表すことができる炭化水素ジイソシアネート誘導イソシアヌレートトリマーも興味深い。
【0040】
【化5】

【0041】
式中、R12は、二価の炭化水素基、好ましくは脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族である。例えば、R12は、ヘキサメチレン、トルエンまたはシクロヘキシレンでよく、好ましくは前者である。本発明の目的のために有用なその他のポリイソシアネートは、3モルのトルエンジイソシアネートと、1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)−エタンまたは1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)−プロパンとの反応によって得られるものである。トルエンジイソシアネートのイソシアヌレートトリマーおよび3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートのイソシアヌレートトリマーは、メチン−トリス−(フェニルイソシアネート)と同様に、本発明の目的のために有用なポリイソシアネートのその他の例である。また、次式を有するポリイソシアネートも本発明の目的のために有用である。
【0042】
【化6】

【0043】
本発明において使用されるポリフルオロ有機化合物は、(1)1分子あたり少なくとも3つのイソシアネート基を含有する少なくとも1種のポリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物と、(2)1分子あたり(a)1つまたは複数のツェレビチノフ水素原子を有する単一の官能基、および(b)少なくとも2つのフッ素原子をそれぞれが有する少なくとも2つの炭素原子、を含有する少なくとも1種のフルオロケミカル化合物とを反応させて調製される。その後、残りのイソシアネート基を水と反応させ、1つまたは複数の尿素結合を形成する。通常、水とポリイソシアネートとを反応させる前には、イソシアネート基のうちの約40%〜約95%が反応されているであろう。すなわち、水の量は一般に、ポリイソシアネート中のイソシアネート基のうちの約5%〜約60%と反応するのに十分な量である。好ましくは、水をポリイソシアネートと反応させる前に、イソシアネート基のうちの約60%〜90%が反応されており、最も好ましくは、水とポリイソシアネートとの反応の前に、イソシアネート基のうちの約70%〜85%が反応されている。したがって、好ましい実施形態では、水の量は、イソシアネート基のうちの約10%〜約35%、最も好ましくは15%〜30%と反応するのに十分な量である。
【0044】
1つの実施形態では、逐次触媒反応で、デスモジュール(Desmodur)N−100、デスモジュールN−3200またはデスモジュールN−3300もしくはこれらの混合物を、1つの官能基を含有する化学量論的に不足したペルフルオロアルキル化合物と反応させ、次に水と反応させることによって、水変性フルオロケミカルカルバメートを調製した。デスモジュールN−100およびデスモジュールN−3200は、モ−ベイ・コーポレーション(Mobay Corporation)から市販されているヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーである。両方とも、おそらく、米国特許公報(特許文献2)に記載されるプロセスで調製され、次の一般式で表すことができる、モノ−、ビス−、トリス−、テトラ−、およびより高次の誘導体の混合物が与えられると思われる。
【0045】
【化7】

【0046】
式中、xは1以上の整数であり、好ましくは1〜8である。
【0047】
【表2】

【0048】
デスモジュールN−100の典型的なNCO含量は、次の組成を有する(非特許文献9)のヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーについて記載されたものと近似する。
【0049】
【表3】

【0050】
その平均当量およびNCO含量に基づくと、デスモジュールN−3200の相対的なビス−、トリス−、テトラ−などの含量は、N−100製品よりも低いはずである。デスモジュールN−3300は、次式で表すことができるヘキサメチレンジイソシアネート誘導イソシアヌレートトリマーである。
【0051】
【化8】

【0052】
水変性フルオロケミカルカルバメートの調製は、通常、ポリイソシアネートと、ペルフルオロアルキル化合物と、メチルイソブチルケトン(MIBK)などの乾燥有機溶媒とを、まず反応容器に装入することによって行われる。試薬を添加する順序はあまり重要でない。装入される脂肪族ポリイソシアネートおよびペルフルオロアルキル化合物の特定の重量は、それらの当量と反応容器の作業容量とを基準にしており、装入されたツェレビチノフ活性水素全てがNCO基装入量全体の40%〜95%の間の所望される値のNCO基と反応するように調整される。乾燥溶媒の重量は、通常、全装入量の15%〜30%である。装入物は、窒素下で攪拌され、40℃〜70℃に加熱される。触媒、通常ジブチルスズジラウレートは、それ自体で、またはMIBK中の溶液として、装入物に依存する量で添加されるが、添加量は通常少量であり、例えば、ポリイソシアネート10,000部あたり1〜2部である。結果として生じた発熱の後、混合物は、触媒添加の時点から2〜20時間、65℃〜105℃の温度で攪拌され、次に、温度が55℃〜90℃に調整された後、更に1〜20時間、水そのものまたは水分を含んだMIBKで処理される。
【0053】
化学量論的に過剰なポリイソシアネートの使用はフッ素化および非フッ素化有機化合物の完全な反応を保証し、これは、続いて起こる水との反応と共に、本発明の防汚剤において使用するのに好ましいフルオロケミカル化合物を提供する。
【0054】
もう1つの実施形態では、本発明で使用するのに適するフルオロケミカル化合物には、ペルフルオロアルキルエステル、およびこれとデトレ(Dettre)らにより米国特許公報(特許文献3)(参照によって本明細書中に援用される)に記載されるビニルポリマーとの混合物が含まれる。デトレにより開示されるフルオロケミカル化合物は、約10〜約20の調整ビッカース硬度を有する0より多く95%までの非フッ素化ビニルポリマーと、5から100%より少ない、3〜30個の炭素原子を有するカルボン酸のペルフルオロアルキルエステルとの組成物の水性分散体を含む。米国特許公報(特許文献3)は、引火性を最小限にする際には揮発性が重要であることを開示した。
【0055】
フッ素化アルコールおよび有機酸の既知のエステルの多くは、本発明において有用なペルフルオロアルキルエステル化合物として有用である。エステルを製造するために使用することができるフッ素化アルコールの代表例は、(CFCFO(CFCFCHCHOH(式中、pは1〜5である)、(CFCF(CFCFCHCHOH(式中、qは1〜5である)、RSON(R’)CHOH(式中、Rは4〜12個の炭素のペルフルオロアルキルであり、R’はHまたは低級アルキルである)、C(2n+1)(CH−OHまたは−SH(式中、nは3〜14であり、mは1〜12である)、RCHC(X)H(CHOH(式中、rは>1であり、Xは、−OC−アルキル、−(CHOH、−(CHCアルキルまたは−OHであり、ここでsは0〜10の整数であり、Rは、3〜21個の炭素のペルフルオロアルキルである)、RCON(R)−(CHOH(式中、Rは、4〜18個の炭素のペルフルオロアルキルであり、tは2〜6であり、Rは4〜10個の炭素のアルキル基である)である。
【0056】
好ましいフッ素化エステルは、式 C(2n+1)(CHOH(式中、nは約3〜14であり、mは1〜3である)のペルフルオロアルキル脂肪族アルコールを用いる。最も好ましいのは、nが主として10、8および6であり、mが2であるアルコールの混合物から形成されるエステルである。これらのエステルは、アルコールまたはアルコール混合物と、他の置換基を含有することができると共に、3〜30個の炭素を含有するモノ−またはポリカルボン酸とを反応させることによって形成される。1つのエステル調製方法では、アルコールは、触媒量のp−トルエンスルホン酸および硫酸の存在下で酸と共に加熱され、そしてベンゼンと共に加熱され、反応の水は、ベンゼンとの共留出物として除去される。残存したベンゼンは蒸留によって除去され、エステルが単離される。
【0057】
式 C(2n+1)CHCHOH(式中、nは6〜14である)の2−ペルフルオロアルキルエタノール、および好ましくは、nの値が上記の通りである2−ペルフルオロアルキルエタノールの混合物は、ヨウ化2−ペルフルオロアルキルエチル、C(2n+1)CHCHIの発煙硫酸による既知の加水分解によって調製される。ヨウ化2−ペルフルオロアルキルエチルは、ヨウ化ペルフルオロアルキルとエチレンとの既知の反応によって調製される。ヨウ化ペルフルオロアルキルは、テトラフルオロエチレンを用いる既知のテロメル化反応によって調製され、したがって、それぞれのヨウ化ペルフルオロアルキルは、−(CF−CF)−単位だけ異なる。
【0058】
分子のペルフルオロアルキル部分の炭素原子の数が6〜14の範囲である本発明のフルオロケミカル成分として有用なペルフルオロアルキルエステル化合物を生成するために、約116℃〜119℃(C13Iの大気圧沸点)よりも低い温度、および5mm圧(666Pa)において約93℃〜97℃(C1429Iの5mm圧の沸騰範囲)より高い温度で沸騰するヨウ化ペルフルオロアルキルの除去が実行される。これにより、分子のペルフルオロアルキル部分の炭素原子数が炭素原子6〜14個の範囲であるヨウ化ペルフルオロアルキルの混合物がもたらされる。本発明においてフルオロケミカル成分として使用されるエステルを調製するもう1つの方法は、臭化またはヨウ化ペルフルオロアルキルエチルと、カルボン酸のアルカリ金属塩とを、無水アルコール中で反応させることである。
【0059】
本発明のフルオロケミカル成分として使用するために好ましいフルオロエステルは、クエン酸ウレタンである。その中で、クエン酸エステルは、エステルをイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイソシアネートと反応させることによって変性される。イソシアネート化合物はクエン酸エステルの−OH基と反応してウレタン結合を形成する。
【0060】
ビニルポリマーと組み合わされたペルフルオロアルキルエステルも、本明細書における使用に適切である。ビニルポリマーとは、重合中に開いてポリマーの炭素鎖を可能にする炭素二重結合がモノマー分子中に存在することを特徴とする、塩化および酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸およびメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレンおよびビニルエステル、ならびに多数のその他のものを含むビニルモノマー(ビニル化合物)の重合または共重合によって誘導されるポリマーを意味する。ビニルポリマーは、約10〜約20の調整ビッカース硬度を有する。好ましいビニルポリマーは、16.1の調整ビッカース硬度を有するポリ(メタクリル酸メチル)である。
【0061】
調整ビッカース硬度は、防汚性の有効性と関連がある。エーベルバッハ(Eberbach)微小硬度試験機(ミシガン州アナーバーのエーベルバッハ社(Eberbach Corp.,Ann Arbor,MI))において、ビッカースのダイヤモンド圧子が用いられる。手順は、ヌープ硬度のための米国材料試験協会標準D1474−68に記載される手順に従い、以下の調整を行う。ヌープ圧子の代わりにビッカース圧子を用い、25gの負荷の代わりに50gの負荷を用い、18秒ではなく30秒間負荷をかけ、50±5%相対湿度の代わりに25±10%相対湿度で測定を行い、ヌープ式ではなくビッカー式を用いて硬度値を計算する。
【0062】
ビッカース硬度法は、米国材料試験協会標準E92−67に記載されている。ビッカース圧子の説明およびビッカース硬度の計算はその中に見出される。
【0063】
「調整ビッカース硬度(adjusted Vickers Hardness)」という用語は、ビッカース式を用いるが、ビッカース法ではない方法で得られた硬度値を示す。本発明の防汚剤の成分として十分な役割を果たすビニルポリマーは、約10〜20の調整ビッカース硬度を有さなければならない。調整硬度は、溶媒溶液中でガラスプレート上に付着され、溶媒が蒸発され、150℃〜175℃で3〜5分間加熱して滑らかなコーティングが得られたポリマーサンプルにおいて決定することができる。あるいは、滑らかなコーティングは、溶媒を蒸発させた後、100℃〜150℃でガラスプレート間に押圧することによって得ることもできる。ポリマーを溶解させるために任意の適切な溶媒を使用することができ、エーテル、ケトンおよび他の良溶媒タイプが特に有用である。コーティングは、試験で使用される圧子がコーティングの厚さの15%より多く侵入しないように十分に厚くなければならない(75〜250マイクロメートル)。
【0064】
ポリ(メタクリル酸メチル)ラテックスは、既知の水性乳化重合により調製することができ、無酸素系および過硫酸カリウム/重亜硫酸ナトリウムなどの開始剤を組み合わせて用いて、高分子量で狭い分子量分布を有する超微細粒子を含有する分散体が提供される。
【0065】
フッ素化エステルの水性分散体は、ポリ(メタクリル酸メチル)の水性ラテックスとブレンドされて、水中で広がることができ、基材に適用するためにそれで希釈することができる組成物を製造することができる。希釈前の分散体は、通常、約5%〜15%のフッ素化エステルおよび3〜30%のメタクリル酸メチルポリマーを含有するであろう。
【0066】
本発明のフルオロケミカル成分は、調製されたままで、または更なる溶媒希釈の後に、貯蔵および/または使用されてもよいし、あるいは分散体を安定化するために分散剤を用いて標準技法により水性分散体に転換されてもよい。本発明のフルオロケミカル成分は、標準技法によって、水中または水および溶媒の混合物中の分散体に転換される。防汚剤中の有機溶媒を最小限にすることが通常望ましいが、低分子量アルコール(例えば、エタノール)やケトン(例えば、アセトンまたはMIBK)などの残留または追加溶媒を使用することができる。本発明の実施において使用するために好ましいのは、溶媒およびグリコールなどの分散性安定剤を任意で含有する水性分散体である。このフルオロケミカル分散体は、非フッ素化アニオン界面活性剤と組み合わされて、本発明の防汚剤を与える。所望の量の追加の非フッ素化アニオン界面活性剤は、攪拌しながらフルオロケミカル分散体に添加される。この添加は、出荷時の濃縮した形のフルオロケミカル分散体に行われてもよいし、あるいは使用のために希釈される場合には、適用させる時点で行われてもよい。
【0067】
本発明の実施において、好ましい防汚剤は、(1)少なくとも3つのイソシアネート基を含有する少なくとも1種の有機ポリイソシアネートと、(2)1分子あたり、(a)1つまたは複数のツェレビチノフ水素原子を有する単一の官能基、および(b)少なくとも2つのフッ素原子をそれぞれが有する少なくとも2つの炭素原子、を含有する少なくとも1種のフルオロケミカル化合物と、(3)前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基の約5%〜約60%と反応するのに十分な量の水との反応の生成物である、尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物を、少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤と組み合わせて含む。該非フッ素化アニオン界面活性剤は、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールサルフェート、アルキル硫酸ナトリウム、C16〜C18リン酸カリウム、デシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、およびデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムとナフタレンスルホン酸ナトリウム・ホルムアルデヒド縮合物とのブレンドからなる群から選択される。
【0068】
本発明は、更に、a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水または水および溶媒中の分散体を含む防汚剤を、繊維基材に適用させることを含む繊維基材の防汚処理方法を含み、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率は約0.075:1.0〜約5:1である。
【0069】
本発明の製品を適用するために適切な基材は、フィルム、繊維、糸、ファブリック、敷物類、あるいは、天然高分子材料、変性された天然高分子材料、または合成高分子材料から、もしくはこれらの他の繊維材料のブレンドから誘導されるフィラメント、繊維、または糸から製造されたその他の物品である。特定の代表例は、綿、羊毛、絹、ナイロン6、ナイロン6,6、および芳香族ポリアミドを含むナイロン、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)(それぞれ、PETおよびPTTと略される)を含むポリエステル、ポリ(アクリロニトリル)、ポリオレフィン、ジュート、サイザル、ならびに他のセルロース系材料である。本発明の防汚剤は、繊維基材に、防汚性および/または撥油性、撥水性、および汚れをはじく特性を付与する。本発明に従う特に興味深い基材のタイプは、敷物類、特にナイロン敷物類であり、これに対して、本発明の防汚剤が適用される。
【0070】
本発明の防汚剤は、様々な慣習的な手順で適切な基材に適用される。繊維基材の最終用途のために、ブラッシング、ディッピング、スプレーイング、パディング、ロールコーティング、発泡などによって、水性分散体または有機溶媒溶液から防汚剤を適用させることができる。また、防汚剤は、従来のベック染色(beck dyeing)手順、連続染色手順またはスレッド・ライン(thread−line)塗布の使用によって適用させることもできる。本発明の防汚剤は、そのままで基材に適用されるか、あるいは他のテキスタイル仕上げ剤、加工助剤、発泡剤、潤滑剤、汚染防止剤などと組み合わせて適用される。この新しい試剤は、現在のカーペット用フルオロケミカル防汚剤に対して改良された初期汚れ性能を提供する。製品は、設置の前にカーペット小売業者または設置業者によってカーペットミルで適用されるか、あるいは新しく設置されたカーペット上に適用される。
【0071】
本発明は更に、(a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、(b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水または水および溶媒中の分散体を含む防汚剤で処理された繊維基材を含み、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率は約0.075:1〜約5:1である。
【0072】
本発明の繊維基材には、既に記載したような基材が含まれる。特に興味深いのはカーペット、特にナイロンカーペットである。本発明の基材を処理するために使用される防汚剤は本明細書において既に記載した通りである。上記のように、防汚剤の様々な適用方法が使用される。本発明の処理済基材は、汚れに対する優れた耐性、および/または撥油性、撥水性、および汚れをはじく特性を有する。
【0073】
先行技術の実施および教示とは反対に、本発明の防汚剤は、繊維基材に適用された場合に、増強された防汚特性を提供するのに有用である。
【0074】
(試験方法)
(試験方法1 促進汚れ試験)
ドラムミル(ローラー上)を用いて合成汚れをカーペット上で転がした。合成汚れは、AATCC試験法123−2000、セクション8に記載される通りに調製した。
【0075】
(汚れ被覆ビーズの調製)
合成汚れ3gと、1リットルの清浄なナイロン樹脂ビーズ(サーリン(SURLYN)イオノマー樹脂ビーズ、1/8〜3/16インチ(0.32〜0.48cm)直径)とを清浄な空のキャニスターに入れた。サーリンはエチレン/メタクリル酸コポリマーであり、本願特許出願人から入手可能である。キャニスターの蓋を閉め、ダクトテープで密封し、ローラー上でキャニスターを5分間回転させた。汚れが被覆したビーズをキャニスターから取り出した。
【0076】
(ドラムに挿入するためのカーペットサンプルの調製)
これらの試験のためのサンプルの全体の大きさは8×25インチ(20.3×63.5cm)であった。1つの試験品目および1つの対照品目を同時に試験した。全てのサンプルのカーペットパイルは、同一方向に横たえた。各カーペットサンプルの短いほうの側を縦方向(房の列を有する)に切断した。
【0077】
(方法)
カーペット断片の裏側に強力な接着テープを取り付け、これらを付着させた。カーペットサンプルを、房をドラムの中央に向けて、清浄な空のドラムミル内に入れた。剛性ワイヤを用いてカーペットをドラムミル内の定位置に保持した。汚れ被覆樹脂ビーズ250ccと、250ccのボールベアリング(5/16インチ、0.79cm直径)とをドラムミル内に入れた。ドラムミルの蓋を閉め、ダクトテープで密封した。105rpmで2分半、ドラムをローラー上で運転させた。ローラーを停止させ、ドラムミルの方向を反転させた。105rpmで更に2分半、ドラムをローラー上で運転させた。カーペットサンプルを取り出し、均一に減圧して過剰なほこりを除去した。汚れ被覆ビーズを廃棄した。
【0078】
(サンプルの評価)
元の汚れていないカーペットに対して、試験および対照品目の汚れたカーペットのデルタE色差を測定した。
【0079】
(試験方法2 汚れ性能の色測定)
促進汚れ試験に続いて、各カーペットの色測定をカーペット上で実行した。各対照および試験サンプルについてカーペットの色を測定し、サンプルを汚し、汚れたカーペットの色を測定した。デルタEは、汚れたサンプルの色と汚れていないサンプルの色の間の差であり、正の数で表される。ミノルタ(Minolta)色度計CR−310を用いて、各品目において色差を測定した。カーペットサンプルの異なる5つの領域で色の読み取りを行い、平均のデルタEを記録した。各試験品目の対照カーペットは、試験品目と同じ色および構成を有していた。対照カーペットは、更なる界面活性剤を含有しないフルオロケミカル分散体で処理した。
【0080】
試験品目のデルタEから対照カーペットのデルタEを差し引くことによって、デルタデルタEを計算した。デルタデルタEの負の値がより大きいと、試験カーペットが対照よりも優れた性能を有し、汚れが少ないことが示される。デルタデルタEの正の値がより大きいと、試験カーペットが対照よりも乏しい性能を有し、より多く汚れたことが示される。
【0081】
(試験方法3 フロアトラフィックの汚れ試験方法)
学校またはオフィスビルディングの雑踏する通路にカーペットを設置し、制御された試験領域で人の徒歩通行にさらした。通路は出口から隔てられ、汚れ試験領域より前に、実質的なウォークオフマットおよびカーペットを敷いた領域を有した。「徒歩通行量」の単位は、いずれかの方向における1人の個体の通過であり、自動通行量カウンタで記録した。試験方法2の場合と同様に、デルタデルタE測定を行った。
【実施例】
【0082】
(実施例1〜13)
これらの実施例は、表2に記載されるように、大量の非フッ素化アニオン界面活性剤を分散性フルオロケミカル防汚剤に添加することによるカーペットの防汚性能の増強を調査した。界面活性剤は、表3に記載されるように、市販のものであった。この実施例で使用したカーペットは、黄色に染色されたナイロン6,6の表面繊維を有する市販のレベルループカーペット(26オンス/yd、0.88kg/m)からなるものであった。この実施例の対照カーペットは本願特許出願人から入手可能な分散性フルオロケミカル防汚剤で処理され、この防汚性剤は、1.4%のレベルの界面活性剤と共に、米国特許公報(特許文献4)に開示されるフルオロケミカルを22.6%のレベルで含有し、フルオロケミカル:分散剤の比率が16:1であった。この分散性フルオロケミカル防汚剤を25%の絞り率(wpu)でスプレー塗布し、カーペット表面温度を250°F(121℃)にして乾燥させた。テキスタイル加工における「絞り率」は、テキスタイルに適用された液体、および液体により運ばれる材料の量であり、通常は、加工前のテキスタイルの乾燥または調整された重量のいずれかの百分率として表される(上掲のAATCC技術マニュアル(AATCC Technical Manual)、77巻、の414頁)。試験組成物は、同じ分散性フルオロケミカル防汚剤に、表2に記載される非フッ素化アニオン界面活性剤を加えて構成した。各試験組成物は、25%wpuでスプレー塗布によりカーペットに適用させ、同じカーペット表面温度にして乾燥させた。対照および試験組成物の適用レベルは表6Aに与えられる。同じフルオロケミカル防汚剤で処理した対照カーペットに対して、促進汚れ試験方法1によりカーペットを試験した。試験方法1および2に従って、試験カーペットを評価し、表6Aに示される汚れ性能の色測定を提供した。
【0083】
(比較例A〜H)
アニオン界面活性剤の代わりに、表4に記載されるカチオンおよび非イオン性界面活性剤を用いて、実施例1の手順を繰り返した。試験組成物は、実施例1〜13に記載されるフルオロケミカル防汚剤に、表4に記載されるような界面活性剤を加えて構成した。カチオンおよび非イオン性界面活性剤は、表5に記載されるように市販のものであった。試験方法1および2に従ってカーペットを評価した。結果は表6Bに示される。
【0084】
(比較例I)
0.05:1.0のフルオロケミカル:界面活性剤の比率でダウファックス(Dowfax)2A4を用いて、実施例1〜13の手順を繰り返した。この比率では、表6Bに示されるように、改良された防汚性能は存在しなかった。
【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
【表7】

【0089】
【表8】

【0090】
【表9】

【0091】
表6Aおよび6Bのデータは、非フッ素化アニオン界面活性剤を存在させた実施例1〜13では、非フッ素化アニオン界面活性剤を添加せずに同じフルオロケミカルで処理したカーペットと比較して汚れが少ないことを示した。比較例A〜Hは、適用前にフルオロケミカル防汚剤にカチオンまたは非イオン性の非フッ素化界面活性剤を添加すると、汚れが多くなることを示した。比較例Iは、改良型防汚剤の改良がFC:界面活性剤比が0.05:1.0では存在しないことを示した。
【0092】
(実施例14)
この実施例は、大量の非フッ素化アニオン界面活性剤を分散性フルオロケミカル防汚剤に添加することによって、未精練の溶液着色ナイロン6,6繊維で構成したカーペットの防汚性能の増強を調査した。この実施例で使用したカーペットは、黄褐色の未精練の溶液着色ナイロン6,6表面繊維で構成された市販のレベルループカーペット(26オンス/yd、0.88kg/m)からなるものであった。この実施例の対照カーペットは、実施例1〜13で使用したものと同じ分散性フルオロケミカル防汚剤で処理し、25%wpuでスプレー塗布し、250°F(121℃)のカーペット表面温度にして乾燥させた。実施例1〜13で使用したものと同じ分散性フルオロケミカル防汚剤と、ノースカロライナ州シャーロットのヨークシャ・アメリカから入手可能な非フッ素化アニオン界面活性剤セネゲン7とから、試験組成物を製造した。スプレー塗布によって試験組成物を25%wpuでカーペットに適用し、250°F(121℃)のカーペット表面温度にして乾燥させた。対照および試験組成物の適用レベルは表7に示される。同じ分散性フルオロケミカル防汚剤で処理した対照カーペットに対して、促進汚れ法によりカーペットを試験した。試験方法1および2に従って試験カーペットを評価し、表7に示される汚れ性能の色測定が提供された。
【0093】
【表10】

【0094】
表7のデータは、フルオロケミカル防汚剤へ非フッ素化アニオン界面活性剤を添加した場合の未精練の溶液着色ナイロン6,6繊維で構成したカーペットでは、非フッ素化アニオン界面活性剤を添加せずに同じフルオロケミカル防汚剤で処理したカーペットと比較して汚れが少ないことを示した。
【0095】
(実施例15)
この実施例は、大量の非フッ素化アニオン界面活性剤をフルオロケミカル防汚剤に添加することによって、未精練の3GTポリエステル繊維で構成したカーペットの防汚性能の増強を調査した。この実施例で使用したカーペットは、未精練のPTTポリエステル表面繊維で構成された市販のレベルループカーペット(28オンス/yd、0.95kg/m)からなるものであった。試験組成物は本願特許出願人から入手可能な分散性フルオロケミカル防汚剤から製造され、この防汚剤は、フルオロケミカルクエン酸ウレタンが1−メチル−2,4−ジイソシアナトベンゼンの代わりにヘキサメチレンジイソシアネートを用いて調製されてアニオン分散されたことを除いて、米国特許公報(特許文献3)の実施例2に開示されるフルオロケミカルクエン酸ウレタンおよびポリ(メタクリル酸メチル)混合物を9.1%レベルで含有した。この分散性フルオロケミカル防汚剤は、0.3%のレベルの分散剤を含有し、フルオロケミカル:分散剤の比率が30:1であった。添加した非フッ素化アニオン界面活性剤は、テキサス州ヒューストンのウィトコ社から入手可能なサプラレートWAQEであった。この実施例の対照カーペットは、同じ分散性フルオロケミカル防汚剤で処理し、25%wpuでスプレー塗布し、250°F(121℃)のカーペット表面温度にして乾燥させた。対照および試験組成物の適用レベルは表8に示される。スプレー塗布によって試験組成物を25%wpuでカーペットに適用し、250°F(121℃)のカーペット表面温度にして乾燥させた。試験方法3のフロアトラフィック汚れ方法によって、対照カーペットに対して試験カーペットを試験した。カーペットを32,000の徒歩通行量にさらした。次に、試験方法2の汚れ性能の色測定に従ってカーペットを評価した。得られたデータは表8に示される。
【0096】
【表11】

【0097】
表8のデータは、フルオロケミカル防汚剤へ非フッ素化アニオン界面活性剤を添加した場合の未精練のポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリエステル繊維で構成したカーペットでは、非フッ素化アニオン界面活性剤を添加せずに同じフルオロケミカル防汚剤で処理したカーペットと比較して汚れが少ないことを示した。
【0098】
(実施例16)
この実施例は、大量の非フッ素化アニオン界面活性剤をフルオロケミカル防汚剤に添加することによって、綿繊維で構成したカーペットの防汚性能の増強を調査した。この実施例で使用したカーペットは、綿表面繊維で構成されたカットパイルのレジデンシャルカーペット(40オンス/yd、1.36kg/m)からなるものであった。実施例15の場合と同じ分散性フルオロケミカル防汚剤と、テキサス州ヒューストンのウィトコ社から入手可能な非フッ素化アニオン界面活性剤サプラレートWAQEとから、試験組成物を製造した。この実施例の対照カーペットは、同じフルオロケミカル防汚剤で処理し、25%wpuでスプレー塗布し、250°F(121℃)のカーペット表面温度にして乾燥させた。対照および試験組成物の適用レベルは表9に示される。スプレー塗布によって試験組成物を25%wpuでカーペットに適用し、250°F(121℃)のカーペット表面温度に乾燥させた。同じ分散性フルオロケミカルで処理した対照カーペットに対して、促進汚れ法(試験方法1)により試験カーペットを試験した。次に、試験方法2の汚れ性能の色測定に従ってカーペットを評価した。得られたデータは表9に示される。
【0099】
【表12】

【0100】
表9のデータは、フルオロケミカル防汚剤へ非フッ素化アニオン界面活性剤を添加した場合の綿繊維で構成したカーペットでは、非フッ素化アニオン界面活性剤を添加せずに同じフルオロケミカル防汚剤で処理したカーペットと比較して汚れが少ないことを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水または水および溶媒中の分散体を含む防汚剤であって、前記界面活性剤に対する前記ポリフルオロ有機化合物の比率が、約0.075:1.0〜約5:1であることを特徴とする防汚剤。
【請求項2】
前記界面活性剤に対する前記ポリフルオロ有機化合物の比率が、約0.1:1.0〜約4:1であることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項3】
前記アニオン界面活性剤が、スルホネート、ジスルホネート、サルフェート、ホスフェ−トまたはカルボキシレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項4】
前記アニオン界面活性剤が、アルファオレフィンスルホネート、アルファスルホン化カルボン酸塩、アルファスルホン化カルボン酸エステルの塩、1−オクタンスルホン酸塩、アルキルアリールサルフェート、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、デシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、ブチルナフタレンスルホン酸塩、C16〜C18リン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩・ホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ジメチル−5−スルホイソフタル酸塩、およびデシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩とナフタレンスルホン酸ナトリウム塩・ホルムアルデヒド縮合物とのブレンドからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の防汚剤。
【請求項5】
前記アニオン界面活性剤が、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールサルフェート、アルキル硫酸ナトリウム、C16〜C18リン酸カリウム、デシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、およびデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムとナフタレンスルホン酸ナトリウム・ホルムアルデヒド縮合物とのブレンドからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の防汚剤。
【請求項6】
前記分散体が、水性分散体であることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項7】
尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有する前記ポリフルオロ有機化合物が、(1)少なくとも3つのイソシアネート基を含有する少なくとも1種の有機ポリイソシアネートと、(2)1分子あたり、(a)1つまたは複数のツェレビチノフ水素原子を有する単一の官能基、および(b)少なくとも2つのフッ素原子をそれぞれが有する少なくとも2つの炭素原子、を含有する少なくとも1種のフルオロケミカル化合物と、(3)前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基の約5%〜約60%と反応するのに十分な量の水との反応の生成物であることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項8】
前記ポリフルオロ有機化合物のために、前記水の量が、前記イソシアネート基の約10%〜約35%と反応するのに十分であることを特徴とする請求項7に記載の防汚剤。
【請求項9】
単一の官能基を含有する前記フルオロケミカル化合物が、式:
−R−X−H
(式中、Rは、少なくとも2つの炭素原子を含有する一価の脂肪族基であり、それぞれの炭素原子が少なくとも2つのフッ素原子を含有し、
Rは、二価の有機基であり、
kは、0または1であり、そして、
Xは、−O−、−S−、または−N(R)−であり、ここでRはH、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル、またはR−R−基である)
によって表されることを特徴とする請求項8に記載の防汚剤。
【請求項10】
前記Rが、酸素原子で中断され得る3〜20個の炭素原子を有する完全にフッ素化された直鎖または分枝状の脂肪族基であることを特徴とする請求項9に記載の防汚剤。
【請求項11】
前記Xが酸素であり、前記Rが−(CH−であることを特徴とする請求項10に記載の防汚剤。
【請求項12】
尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有する前記ポリフルオロ有機化合物が、3〜30個の炭素原子を有するカルボン酸のペルフルオロアルキルエステルであることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項13】
前記ペルフルオロアルキルエステルが、クエン酸ウレタンであることを特徴とする請求項12に記載の防汚剤。
【請求項14】
約10〜約20の調整ビッカース硬度を有する非フッ素化ビニルポリマーを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の防汚剤。
【請求項15】
前記非フッ素化ビニルポリマーが、ポリ(メタクリル酸メチル)であることを特徴とする請求項14に記載の防汚剤。
【請求項16】
a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水または水および溶媒中の分散体を含む防汚剤を、繊維基材に適用させることを含む繊維基材の防汚処理方法であって、前記界面活性剤に対する前記ポリフルオロ有機化合物の比率が、約0.075:1.0〜約5:1であることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記適用が、スプレーまたは発泡により適用することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水中の分散体を含む防汚剤であって、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率が、約0.075:1.0〜約5:1であることを特徴とする防汚剤。
【請求項2】
界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率が、約0.1:1.0〜約4:1であることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項3】
前記アニオン界面活性剤が、スルホネート、ジスルホネート、サルフェート、ホスフェ−トまたはカルボキシレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項4】
前記アニオン界面活性剤が、アルファオレフィンスルホネート、アルファスルホン化カルボン酸塩、アルファスルホン化カルボン酸エステルの塩、1−オクタンスルホン酸塩、アルキルアリールサルフェート、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、デシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、ブチルナフタレンスルホン酸塩、C16〜C18リン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩・ホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ジメチル−5−スルホイソフタル酸塩、およびデシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩とナフタレンスルホン酸ナトリウム塩・ホルムアルデヒド縮合物とのブレンドからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の防汚剤。
【請求項5】
前記アニオン界面活性剤が、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールサルフェート、アルキル硫酸ナトリウム、C16〜C18リン酸カリウム、デシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、およびデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムとナフタレンスルホン酸ナトリウム・ホルムアルデヒド縮合物とのブレンドからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の防汚剤。
【請求項6】
前記分散体が、水性分散体であることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項7】
尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有する前記ポリフルオロ有機化合物が、(1)少なくとも3つのイソシアネート基を含有する少なくとも1種の有機ポリイソシアネートと、(2)1分子あたり、(a)1つまたは複数のツェレビチノフ水素原子を有する単一の官能基、および(b)少なくとも2つのフッ素原子をそれぞれが有する少なくとも2つの炭素原子、を含有する少なくとも1種のフルオロケミカル化合物と、(3)前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基の約5%〜約60%と反応するのに十分な量の水との反応の生成物であることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項8】
前記ポリフルオロ有機化合物のために、前記水の量が、前記イソシアネート基の約10%〜約35%と反応するのに十分であることを特徴とする請求項7に記載の防汚剤。
【請求項9】
単一の官能基を含有する前記フルオロケミカル化合物が、式:
−R−X−H
(式中、Rは、少なくとも2つの炭素原子を含有する一価の脂肪族基であり、それぞれの炭素原子が少なくとも2つのフッ素原子を含有し、
Rは、二価の有機基であり、
kは、0または1であり、そして、
Xは、−O−、−S−、または−N(R)−であり、ここでRはH、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル、またはR−R−基である)
によって表されることを特徴とする請求項8に記載の防汚剤。
【請求項10】
前記Rが、酸素原子で中断され得る3〜20個の炭素原子を有する完全にフッ素化された直鎖または分枝状の脂肪族基であることを特徴とする請求項9に記載の防汚剤。
【請求項11】
前記Xが酸素であり、前記Rが−(CH−であることを特徴とする請求項10に記載の防汚剤。
【請求項12】
尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有する前記ポリフルオロ有機化合物が、3〜30個の炭素原子を有するカルボン酸のペルフルオロアルキルエステルであることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。
【請求項13】
前記ペルフルオロアルキルエステルが、クエン酸ウレタンであることを特徴とする請求項12に記載の防汚剤。
【請求項14】
約10〜約20の調整ビッカース硬度を有する非フッ素化ビニルポリマーを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の防汚剤。
【請求項15】
前記非フッ素化ビニルポリマーが、ポリ(メタクリル酸メチル)であることを特徴とする請求項14に記載の防汚剤。
【請求項16】
a)尿素、ウレタン、またはエステル結合のうちの少なくとも1つを有するポリフルオロ有機化合物と、b)少なくとも1種の非フッ素化アニオン界面活性剤との、水中の分散体を含む防汚剤を、繊維基材に適用させることを含む繊維基材の防汚処理方法であって、界面活性剤に対するポリフルオロ有機化合物の比率が、約0.075:1.0〜約5:1であることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記適用が、スプレーまたは発泡により適用することを特徴とする請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2006−501374(P2006−501374A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−524198(P2004−524198)
【出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/023815
【国際公開番号】WO2004/011714
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】