説明

防汚性被膜の形成方法及び防汚性部材

【課題】親水性及び疎水性の両方の粉塵に対する防汚性能に優れた防汚性被膜を安定して形成し得る方法の提供。
【解決手段】平均粒径が3nm以上5μmの親水性無機微粒子3を50質量%以上含む不揮発成分を含有するコーティング組成物を基材1に塗布及び乾燥して被膜を形成した後、この被膜の表面に、平均粒径が0.05μm以上2μm以下のフッ素樹脂粒子7を接触させることを特徴とする防汚性被膜6の形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防汚性被膜の形成方法及び防汚性部材に関し、特に、換気扇、空気調和機(加湿器、除湿機を含む)、空気清浄機、冷蔵庫、扇風機などの各種機器に用いられる部材のための防汚性被膜の形成方法、及びこの防汚性被膜が表面に形成された防汚性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
換気扇、空気調和機(加湿器、除湿機を含む)、空気清浄機、冷蔵庫、扇風機などの各種機器の汚れは、浮遊粉塵が表面に衝突して付着することによって主に生じる。そのため、各種機器の汚れを防止するためには、帯電防止効果によって浮遊粉塵を表面に寄せ付け難くするか、又は表面に衝突した浮遊粉塵を付着し難くする必要がある。また、粉塵は、表面が親水性の砂塵や表面が疎水性の煤煙などのように表面特性が異なるものが多いため、多種多様な粉塵の付着を抑制し得る防汚性被膜の形成技術の開発が望まれている。
【0003】
防汚性被膜の形成技術としては、例えば、特許文献1において、シリカナノ粒子とフッ素樹脂粒子とを所定の割合で含むコーティング組成物を用いて防汚性被膜を形成する方法が提案されている。この方法によって得られる防汚性被膜は、シリカナノ粒子を主体とする多孔質膜であるため帯電防止機能を有すると共に、シリカナノ粒子による親水性部分とフッ素樹脂粒子による疎水性部分とが表面に混在しているため、親水性及び疎水性の両方の粉塵に対する防汚性能を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/087877号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、フッ素樹脂粒子の高い疎水性によって疎水性の粉塵に対する付着抑制効果を与えているものの、コーティング組成物中にフッ素樹脂粒子を均一に分散させるために一般に添加される界面活性剤が、フッ素樹脂粒子の表面に付着し、フッ素樹脂粒子を親水性にすることがある。その結果、防汚性被膜中のフッ素樹脂粒子の表面にも界面活性剤が残存し、フッ素樹脂粒子による疎水性の粉塵に対する防汚性能が十分に得られないことがある。
また、特許文献1の方法では、条件によっては被膜の表面にクラックやボイドなどの欠陥が生じることがある。例えば、膜厚を大きくする場合や顔料及び抗菌剤などの添加物を防汚性被膜に含有させる場合に、被膜の表面に欠陥が生じ易い。そして、この欠陥に起因した凹凸に粉塵が捕捉され易くなる結果、防汚性能が低下してしまうことがある。ここで、本明細書における「防汚性能」とは、汚れが付着し難い性能、及び付着した汚れが除去され易い性能を意味する。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、親水性及び疎水性の両方の粉塵に対する防汚性能に優れた防汚性被膜を安定して形成し得る方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、防汚性能に優れた防汚性部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、所定の親水性無機微粒子を含有するコーティング組成物を基材に塗布及び乾燥して形成された被膜に生じた微小なクラックやボイドなどの欠陥を、所定のフッ素樹脂粒子を接触させることによって充填することで、被膜の凹凸を低減して粉塵が捕捉され難くすると共に、フッ素樹脂粒子の疎水性を低下させることなく、フッ素樹脂粒子による疎水性部分を親水性無機微粒子からなる多孔質膜中に混在させて親水性及び疎水性の両方の粉塵に対する防汚性能を高め得ることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、平均粒径が3nm以上5μmの親水性無機微粒子50質量%以上を含む不揮発成分を含有するコーティング組成物を基材に塗布及び乾燥して被膜を形成した後、この被膜の表面に、平均粒径が0.05μm以上2μm以下のフッ素樹脂粒子を接触させることを特徴とする防汚性被膜の形成方法である。
また、本発明は、平均粒径が3nm以上5μmの親水性無機微粒子からなる多孔質膜と、前記多孔質膜の表面の凹部に充填された平均粒径が0.05μm以上2μm以下のフッ素樹脂粒子とを含む防汚性被膜を部材の表面に有することを特徴とする防汚性部材である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、親水性及び疎水性の両方の粉塵に対する防汚性能に優れた防汚性被膜を安定して形成し得る方法を提供することができる。
また、本発明によれば、防汚性能に優れた防汚性部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】基材上に形成された被膜の断面図である。
【図1b】基材上に形成された被膜の断面図である。
【図2a】図1aの被膜の表面にフッ素樹脂粒子を接触させることによって形成された防汚性被膜の断面図である。
【図2b】図1bの被膜の表面にフッ素樹脂粒子を接触させることによって形成された防汚性被膜の断面図である。
【図3a】図1aの被膜の表面にフッ素樹脂粒子を接触させることによって形成された防汚性被膜の断面図である。
【図3b】図1bの被膜の表面にフッ素樹脂粒子を接触させることによって形成された防汚性被膜の断面図である。
【図4】空気調和機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
本実施の形態の防汚性被膜の形成方法は、所定のコーティング組成物を基材に塗布及び乾燥して被膜を形成した後、この被膜の表面に所定のフッ素樹脂粒子を接触させることを特徴とする。
本実施の形態の防汚性被膜の形成方法に用いられるコーティング組成物は、不揮発成分として親水性無機微粒子を含有する。ここで、本明細書における「不揮発成分」とは、被膜を形成する際に揮発せず、被膜の構成要素となる成分のことを意味する。具体的には、10gのコーティング組成物を100℃で1時間加熱した後に得られる残留物が不揮発成分である。
【0012】
親水性無機微粒子としては、特に限定されず、例えば、ケイ素、マグネシウム、アルミニウム、チタン、セリウム、スズ、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、アンチモンなどの元素の微粒子、又はこれらの元素の酸化物や窒化物の微粒子が挙げられる。また、それ自体は親水性ではない無機微粒子を各種物質で親水化処理したものを用いてもよい。これらの親水性無機微粒子は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
また、被膜の形成を容易にするために、シリカやアルミナなどの金属酸化物のゾル、ナトリウムシリケートやリチウムシリケートなどの各種シリケート、金属アルキレート、リン酸アルミやρ−アルミナなどの一般的なバインダーをコーティング組成物に添加してもよい。なお、バインダーが親水性無機微粒子を含有するものであれば、そのバインダーを単独で用いることもできる。
【0013】
親水性無機微粒子の平均粒径は、3nm以上5μm以下、好ましくは5nm以上2μm以下である。ここで、本明細書における親水性無機微粒子の「平均粒径」とは、レーザー光散乱式又は動的光散乱式の粒度分布計で測定した時の一次粒子の平均粒径の値を意味する。親水性無機微粒子の平均粒径が3nm未満であると、親水性無機微粒子が均一に分散したコーティング組成物を得ることが難しい。また、このコーティング組成物から得られる被膜に微小な欠陥が形成されず、この欠陥に起因する凹凸にフッ素樹脂粒子を十分に充填させることができないため、所望の防汚性能が得られ難い。一方、親水性無機微粒子の平均粒径が5μmを超えると、形成される被膜の凹凸が大きくなりすぎてしまい、フッ素樹脂粉末を当該凹凸に十分に充填させることができないため、所望の防汚性能が得られ難い。
【0014】
コーティング組成物は、不揮発成分として、親水性無機微粒子の他にも、顔料や抗菌剤などの公知の添加剤を含むことができる。
顔料としては、特に限定されず、例えば、無機顔料、天然無機顔料、合成無機顔料、セラミック顔料、有機顔料、不溶性色素、アゾ系顔料、多環式系顔料、レーキ顔料などが挙げられる。これらの顔料は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
抗菌剤としては、特に限定されず、例えば、銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属を、ゼオライト、セラミックス、シリカゲルなどの多孔性無機材料に担持させた無機抗菌剤;アンモニウム塩化合物、有機シリコン系アンモニウム塩などの有機抗菌剤;キトサンなどの天然抗菌剤;酸化チタンなどの光触媒抗菌剤などが挙げられる。これらの抗菌剤は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0015】
コーティング組成物中の不揮発成分の含有量は、特に限定されないが、一般に0.5質量%以上30質量%以下、好ましくは1質量%以上20質量%以下である。不揮発成分の含有量が0.5質量%未満であると、形成される被膜が薄くなりすぎてしまい、微小な欠陥が十分に形成されないことがある。その結果、当該欠陥に起因する凹凸にフッ素樹脂粉末を十分に充填させることができず、所望の防汚性能が得られないことがある。一方、不揮発成分の含有量が30質量%を超えると、コーティング組成物の流動性が低下し、基材への塗布が困難になることがある。また、形成される被膜が厚くなりすぎたり、大きな欠陥が生じることがあり、所望の防汚性能が得られないことがある。
【0016】
全不揮発成分中の親水性無機微粒子の含有量は、50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。ここで、親水性無機微粒子の質量は乾燥状態によって変化することから、100℃で1時間乾燥させることによって水分を十分に蒸発させた後の質量を親水性無機微粒子の質量とする。親水性無機微粒子の含有量が50質量%未満であると、形成される被膜に微小な欠陥が十分に形成されず、所望の防汚性能が得られない。
【0017】
コーティング組成物は、揮発成分として水性媒体を含むことができる。水性媒体としては、特に限定されないが、水であることが好ましい。また、水の他にも、コーティング組成物の安定性、塗布性及び乾燥性などを調整する観点から、水及び水と相溶する極性溶剤の混合物を用いることもできる。
水としては、特に限定されないが、水に含まれるミネラル分の量が多い場合には、親水性無機微粒子の凝集が生じることがある。そのため、脱イオン水を用いることが好ましい。しかし、親水性無機微粒子の凝集が生じない場合には、水道水などの使用も可能である。
【0018】
極性溶剤としては、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸セロソルブ、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサンなどのエーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールなどのグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールエステル類が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0019】
コーティング組成物中の水性媒体の含有量は、特に限定されず、使用する不揮発成分の種類などにあわせて適宜調整すればよいが、一般に30質量%以上99.5質量%以下である。
【0020】
コーティング組成物は、上記のような成分を用い、公知の方法に従って製造することができる。例えば、ホモジナイザーなどの混合装置を用いて親水性無機微粒子や任意の添加剤を水性媒体に分散させればよい。
【0021】
本実施の形態の防汚性被膜の形成方法では、まず、上記のコーティング組成物を基材に塗布及び乾燥して被膜を形成する。
ここで、基材上に形成された被膜の断面図を図1a及び1bに示す。図1aは、不揮発成分として親水性無機微粒子のみを含む場合であり、図1bは、不揮発成分として親水性無機微粒子及び添加剤を含む場合である。
図1aにおいて、基材1上に形成された被膜2は、親水性無機微粒子3からなる多孔質膜であり、クラックやボイドなどの欠陥4によって表面に凹凸が形成されている。また、図1bにおいて、基板1上に形成された被膜2は、親水性無機微粒子3からなる多孔質膜中に添加剤5が包含されており、この添加剤5の存在によって欠陥4が生じる結果、表面に凹凸が形成されている。
【0022】
コーティング組成物の基材1への塗布方法としては、特に限定されず、例えば、浸漬、スプレー、かけ塗りなどが挙げられる。また、基材1に塗布したコーティング組成物の乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、室温又は加熱条件下に基材を放置すればよい。塗布及び乾燥の条件は、使用する方法の種類や、被膜2の厚さなどに応じて適宜設定すればよい。なお、所望の膜厚を有する被膜2を得るために、塗布及び乾燥を複数回繰り返してもよい。
【0023】
コーティング組成物が塗布される基材1としては、特に限定されず、防汚性能が要求される製品の種類に応じて適宜選択することができる。基材1の例としては、アルミニウム基材やステンレス基材などの金属基材、ガラス基材、プラスチック基材などが挙げられる。
基材1に形成される被膜2の厚さは、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一般に0.2μm以上50μm以下である。
【0024】
次に、上記のようにして形成された被膜2の表面に所定のフッ素樹脂粒子を接触させる。
ここで、フッ素樹脂粒子を接触させることによって得られた防汚性被膜の断面図を図2a及び2bに示す。図2aは、図1aの被膜2の表面にフッ素樹脂粒子を接触させた場合であり、図2bは、図1bの被膜2の表面にフッ素樹脂粒子を接触させた場合である。
図2aにおいて、基材1上に形成された防汚性被膜6は、親水性無機微粒子3からなる多孔質膜に生じた欠陥4内にフッ素樹脂粒子7が充填されている。また、図2bにおいて、基材1上に形成された防汚性被膜6は、親水性無機微粒子3からなる多孔質膜に添加剤5が包含されていると共に、この多孔質膜に生じた欠陥4内にフッ素樹脂粒子7が充填されている。これらの防汚性被膜6は、欠陥4がフッ素樹脂粒子7によって充填されているため、表面の凹凸が少ない。また、これらの防汚性被膜6は、親水性無機微粒子3に起因する親水性部分と、フッ素樹脂粒子7に起因する疎水性部分とが表面に露出した構造をなしている。
【0025】
フッ素樹脂粒子7としては、特に限定されず、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)、ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、これらの共重合体などの粒子が挙げられる。これらのフッ素樹脂粒子7は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらのフッ素樹脂粒子7に他の樹脂粒子を混合したものを用いることも可能である。
【0026】
フッ素樹脂粒子7の平均粒径は、0.05μm以上2μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下である。ここで、本明細書におけるフッ素樹脂粒子7の「平均粒径」とは、レーザー光散乱式又は動的光散乱式の粒度分布計で測定した時の一次粒子の平均粒径の値を意味する。フッ素樹脂粒子7の平均粒径が0.05μm未満であると、フッ素樹脂粒子7が被膜2全体に付着し、親水性無機微粒子3に起因する親水性部分の領域が少なくなるため、所望の防汚性能が得られない。一方、フッ素樹脂粒子7の平均粒径が2μmを超えると、被膜2の欠陥4にフッ素樹脂粒子7が充填され難くなるため、所望の防汚性能が得られない。
なお、被膜2の表面に接触させるフッ素樹脂粒子7は、一次粒子に限定されず、被膜2の欠陥4内に充填される際に凝集が壊れるのであれば、一次粒子が凝集した二次凝集粒子であってもよい。
【0027】
被膜2の表面にフッ素樹脂粒子7を接触させる方法としては、特に限定されず、各種方法を用いることができる。例えば、フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に擦り付けたり、吹き付けたりすればよい。
【0028】
被膜2の欠陥4内にフッ素樹脂粒子7を充填すると共に安定に付着させるためには、フッ素樹脂粒子7を特定の押圧で被膜2の表面と接触させることが好ましい。ただし、フッ素樹脂粒子7の押圧は、被膜2の形状やフッ素樹脂粒子7の状態で異なるために一義的に定義することは難しいが、一般的には5g/cm以上500g/cm以下、好ましくは10g/cm以上200g/cm以下である。かかる押圧であれば、被膜2の欠陥4内にフッ素樹脂粒子7を充填すると共に安定に付着させることができるため、防汚性被膜6を水洗する場合にも、フッ素樹脂粒子7が被膜2から脱落することを抑制することができる。フッ素樹脂粒子7の押圧が5g/cm未満であると、被膜2の欠陥4内にフッ素樹脂粒子7を充填すると共に安定に付着させることが十分でないことがある。一方、フッ素樹脂粒子7の押圧が500g/cmを超えると、被膜2の表面全体がフッ素樹脂粒子7で覆われたり、被膜2が損傷してしまうことがある。
【0029】
フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に擦り付ける方法としては、特に限定されないが、例えば、被膜2の表面にフッ素樹脂粒子7を適用した後、刷毛、織布や不織布などの繊維、スポンジなどの柔軟材料、スキージやローラなどを用いて擦り付ければよい。或いは、フッ素樹脂粒子7が入った容器中に被膜2が形成された基材1を押し付けた後、基材1を移動又は振動させればよい。これらの方法によれば、被膜2の欠陥4内にフッ素樹脂粒子7を効率的に充填すると共に、より安定に付着させることができる。
【0030】
フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に吹き付ける方法としては、特に限定されないが、例えば、プロペラを備えた容器中に、被膜2が形成された基材1及びフッ素樹脂粒子7を配置した後、プロペラを回転させることによってフッ素樹脂粒子7を容器内で循環させ、このフッ素樹脂粒子7を含む循環気流を被膜2の表面に吹き付ければよい。或いは、噴霧装置などを用いてフッ素樹脂粒子7を含む気流を被膜2の表面に吹き付ければよい。
【0031】
特に、基材1が複雑な形状である場合、フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に擦り付ける方法を用いると、被膜2の表面にフッ素樹脂粒子7を十分に接触させることが困難であったり、時間がかかったりすることがある。また、この方法では、フッ素樹脂粒子7の押圧が局所的に大きくなり易い。従って、これらの欠点を回避する観点から、フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に吹き付ける方法を用いることが最も好ましい。
【0032】
フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に吹き付ける場合、気流の速度は、特に限定されず、使用するフッ素樹脂粒子7の種類に応じて適宜調整すればよい。気流の速度は、一般に5m/秒以上40m/秒以下、好ましくは10m/秒以上35m/秒以下である。気流の速度が5m/秒未満であると、フッ素樹脂粉末7を気流で吹き付けることが困難であることがある。気流の速度が40m/秒を超えると、被膜2の表面全体がフッ素樹脂粒子7で覆われたり、被膜2が損傷してしまうことがある。
【0033】
また、空気の流れと接する部材(例えば、ファンなど)に防汚性被膜6を形成する場合、当該部材に対する実際の空気の流れを考慮して、フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に吹き付ければ、実際の空気の流れに含まれる粉塵に対する防汚性能がより一層向上する。例えば、空気の流れは、部材に対して垂直である場合に限定されず、部材に対して斜め方向である場合も多い。そこで、フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に対して斜め方向から吹き付けることにより、斜め方向の空気の流れに対する防汚性能を向上させることができる。
【0034】
ここで、フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に斜め方向から吹き付けることによって得られた防汚性被膜6の断面図を図3a及び3bに示す。なお、図2a及び2bは、フッ素樹脂粒子7を被膜2の表面に垂直方向から吹き付けることによって得られた防汚性被膜6の断面図である。図3aは、図1aの被膜2の表面にフッ素樹脂粒子7を斜め方向から吹き付けた場合であり、図3bは、図1bの被膜2の表面にフッ素樹脂粒子7を斜め方向から吹き付けた場合である。図3a及び3b中、矢印はフッ素樹脂粒子7の吹き付け方向である。
図3a及び3bの防汚性被膜6は、欠陥4内へのフッ素樹脂粒子7の充填状態が、図2a及び2bの防汚性被膜6とは異なり、実際の空気、すなわち、斜め方向の空気の流れに含まれる粉塵が捕捉され難い構造をなしている。そのため、図3a及び3bの防汚性被膜6は、実際の空気の流れに対する防汚性能が向上する。
【0035】
また、一般に、フッ素樹脂粒子7は小さく、気流などを用いて被膜2の表面と接触させても、被膜2の欠陥4内にフッ素樹脂粒子7が充填され難い場合がある。そこで、被膜2の表面にフッ素樹脂粒子7を接触させる際に、フッ素樹脂粒子7と共に特定の粒状物質を用いることにより、被膜2の欠陥4内へのフッ素樹脂粒子7の充填を促進させることができる。また、特定の粒状物質を用いれば、被膜2の表面に過剰に付着したフッ素樹脂粒子7を除去することもでき、親水性無機微粒子3に起因する親水性部分と、フッ素樹脂粒子7に起因する疎水性部分とを表面にバランス良く露出させることができる。
【0036】
フッ素樹脂粒子7と共に用いられる粒状物質としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを使用することができる。粒状物質の例としては、ポリプロピレン(PP)、PS(ポリスチレン)などの樹脂、ガラス、セラミック、金属などが挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。特に、樹脂は、被膜2の表面を傷付けることが少ないため好ましい。また、ガラス、セラミック、金属などは、比重が大きいため、弱い押力でも処理が可能であると共に、帯電等が起こり難く、取扱いが容易であるため好ましい。
【0037】
粒状物質の平均粒径は、0.2mm以上5mm以下、好ましくは0.5mm以上3mm以下である。ここで、本明細書における粒状物質の「平均粒径」とは、レーザー光散乱式又は動的光散乱式の粒度分布計で測定した時の一次粒子の平均粒径の値を意味する。ただし、これらの装置で測定できない大きな粒径のものは、顕微鏡等で測定した値であり得る。粒状物質の平均粒径が0.2mm未満、又は5mm以上であると、フッ素樹脂粒子7の充填を促進させる効果が十分に得られないことがある。
【0038】
フッ素樹脂粒子7と粒状物質との混合割合は、フッ素樹脂粒子7及び粒状物質の比重に応じて適宜調整する必要がある。すなわち、粒状物質の比重がフッ素樹脂粒子7の比重よりも小さい場合、フッ素樹脂粒子7と粒状物質との混合割合は、好ましくは2:98〜90:10、より好ましくは10:90〜80:20である。当該範囲よりもフッ素樹脂粒子7が少ないと、フッ素樹脂粒子7の充填に時間がかかりすぎてしまうと共に、充填処理中に被膜2が損傷してしまうことがある。一方、当該範囲よりも粒状物質が少ないと、粒状物質を添加することによる効果が十分に得られないことがある。また、粒状物質の比重がフッ素樹脂粒子7の比重よりも大きい場合、フッ素樹脂粒子7と粒状物質との混合割合は、好ましくは10:90〜98:2、より好ましくは30:70〜80:20である。当該範囲よりもフッ素樹脂粒子7が少ないと、フッ素樹脂粒子7が被膜2上に過剰に付着してしまい、所望の防汚性能が得られないことがある。一方、当該範囲よりも粒状物質が少ないと、粒状物質を添加することによる効果が十分に得られないことがある。
【0039】
また、フッ素樹脂粒子7を粒状物質と共に被膜2の表面に吹き付ける場合、気流の速度も、フッ素樹脂粒子7及び粒状物質の比重に応じて適宜調整する必要がある。すなわち、粒状物質の比重がフッ素樹脂粒子7の比重よりも小さい場合、気流の速度は、好ましくは5m/秒以上40m/秒以下、好ましくは10m/秒以上35m/秒以下である。気流の速度が5m/秒未満であると、フッ素樹脂粉末7を気流で吹き付けることが困難であることがある。一方、気流の速度が40m/秒を超えると、被膜2の表面全体がフッ素樹脂粒子7で覆われたり、被膜2が損傷してしまうことがある。また、粒状物質の比重がフッ素樹脂粒子7の比重よりも大きい場合、気流の速度は、好ましくは5m/秒以上35m/秒以下、より好ましくは10m/秒以上30m/秒以下である。気流の速度が5m/秒未満であると、フッ素樹脂粉末7を気流で吹き付けることが困難であることがある。一方、気流の速度が35m/秒を超えると、被膜2が損傷してしまうことがある。
【0040】
上記のようにして形成される防汚性被膜6は、親水性及び疎水性の両方の粉塵に対する防汚性能に優れている。
【0041】
実施の形態2.
本実施の形態の防汚性部材は、所定の親水性無機微粒子からなる多孔質膜と、この多孔質膜の表面の凹部に充填された所定のフッ素樹脂粒子とを含む防汚性被膜を部材の表面に有することを特徴とする。この防汚性部材は、上記の防汚性被膜の形成方法を用いて製造することができる。
防汚性被膜が形成される部材としては、防汚性能が要求される部材であれば特に限定されない。かかる部材の例としては、換気扇、空気調和機(加湿器、除湿機を含む)、空気清浄機、冷蔵庫、扇風機などの各種機器に用いられる部材が挙げられる。これらの部材の中でも、風路内に配置される部材が好ましい。
【0042】
ここで、一例として、空気調和機の断面図を図4示す。図4において、空気調和機は、ファン10と、熱交換器11と、ベーン12と、フラップ13とを具備する。そして、ファン10、熱交換器11、ベーン12、フラップ13の少なくとも一つの表面に、防汚性被膜が形成されている。この防汚性被膜は、親水性及び疎水性の両方の粉塵に対する防汚性能に優れているため、汚れによる見た目の悪化、汚れを起因とするカビや細菌の繁殖等の衛生上の問題、各部材の性能低下などを防止することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例及び比較例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
平均粒径50nmのシリカ微粒子(親水性無機微粒子、日産化学工業株式会社製スノーテックスXL)、及びリチウムシリケート(バインダー、日産化学工業株式会社製リチウムシリケート45)を脱イオン水に配合して混合し、コーティング組成物を作製した。このコーティング組成物において、シリカ微粒子の含有量は5質量%、リチウムシリケートの含有量は2質量%とした。また、不揮発成分(シリカ微粒子及びリチウムシリケート)中のシリカ微粒子の含有量は、71.4質量%であった。
次に、このコーティング組成部にガラス板を浸漬させた後、ガラス板を引き上げ、80℃で10分間乾燥させることによって被膜を形成した。
次に、一次粒子の平均粒径が0.2μmのフッ素樹脂粒子(旭硝子株式会社製フルオンF173J)を被膜上に適用し、不織布を用いて25g/cmの押圧で擦り付けることによって防汚性被膜を形成した。
【0044】
(実施例2)
この実施例では、フッ素樹脂粒子を被膜に吹き付けることによって防汚性被膜を形成した。
まず、実施例1と同様にして被膜を表面に形成したガラス板を、一次粒子の平均粒径が0.2μmのフッ素樹脂粒子(旭硝子株式会社製フルオンF173J)150gと共に、プロペラを備えた一辺が約300mmの容器中に配置した。次に、プロペラを回転させてフッ素樹脂粒子を容器内で循環させ、被膜の表面にフッ素樹脂粒子を吹き付けた。この時の循環空気の風速は約20m/秒であった。
【0045】
(実施例3)
平均粒径12nmのヒュームドシリカ(親水性無機微粒子、日本アエロジル株式会社製アエロジル200)、平均粒径6nmのコロイダルシリカ(親水性無機微粒子、日産化学工業株式会社製スノーテックスXS)を脱イオン水に配合して混合し、コーティング組成物を作製した。このコーティング組成物において、ヒュームドシリカの含有量は4質量%、コロイダルシリカの含有量は0.5質量%とした。不揮発成分中のシリカ微粒子の含有量は、約100質量%である。
次に、このコーティング組成部にガラス板を浸漬させた後、ガラス板を引き上げ、100℃で15分間乾燥させることによって被膜を形成した。
次に、一次粒子の平均粒径が0.2μmのフッ素樹脂粒子(旭硝子株式会社製フルオンF173J)を入れた容器中に被膜を30g/cmの押圧で押し付けることによって防汚性被膜を形成した。
【0046】
(実施例4)
この実施例では、フッ素樹脂粒子を被膜に吹き付けることによって防汚性被膜を形成した。
まず、実施例3と同様にして被膜を表面に形成したガラス板を、一次粒子の平均粒径が0.2μmのフッ素樹脂粒子(旭硝子株式会社製フルオンF173J)150gと共に、プロペラを備えた一辺が約300mmの容器中に配置した。次に、プロペラを回転させてフッ素樹脂粒子を容器内で循環させ、被膜の表面にフッ素樹脂粒子を吹き付けた。この時の循環空気の風速は約20m/秒であった。
【0047】
(実施例5)
この実施例では、フッ素樹脂粒子と共にガラスビーズを被膜に吹き付けることによって防汚性被膜を形成した。
まず、実施例3と同様にして被膜を表面に形成したガラス板を、一次粒子の平均粒径が0.2μmのフッ素樹脂粒子(旭硝子株式会社製フルオンF173J)150g及び平均粒径が0.8μmのガラスビーズ50gの混合物と共に、プロペラを備えた一辺が約300mmの容器中に配置した。次に、プロペラを回転させてフッ素樹脂粒子及びガラスビーズを容器内で循環させ、被膜の表面にフッ素樹脂粒子及びガラスビーズを吹き付けた。この時の循環空気の風速は約20m/秒であった。
【0048】
(比較例1)
シリカ微粒子を配合していないコーティング組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして防汚性被膜を形成した。
(比較例2)
フッ素樹脂粒子を被膜に吹き付けなかったこと以外は、実施例1と同様にして防汚性被膜を形成した。
(比較例3)
フッ素樹脂粒子を被膜に押し付けなかったこと以外は、実施例3と同様にして防汚性被膜を形成した。
【0049】
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた防汚性被膜について、以下の評価を行った。
(防汚性評価)
一般に、機械加工工場内の空気調和機の気流噴出し部分では、セルロース系短繊維の埃、油脂が含まれる粒子状微粒子の付着によって黒く着色する。そこで、この気流噴出し部分に、防汚性被膜を形成したガラス基板を2ヶ月間配置し、これらの汚れがどの程度抑制されるかを評価した。汚れの評価は、防汚性被膜を形成したガラス基板の吸光度を測定し、設置前のガラス基板の吸光度からどの程度変化したかを調べた。吸光度は、紫外可視分光光度計UV−3100PC(島津製作所)を用い、波長450nmで測定した。
(水洗後の防汚性評価)
防汚性被膜を形成したガラス基板を、シャワー状の水道水によって30秒間洗浄した後、上記と同様にして防汚性評価を行った。
上記の各評価の結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1において、実施例1〜5の防汚性被膜は、比較例1〜3の防汚性被膜に比べて、吸光度の変化が少なく、防汚性能に優れていた。また、フッ素樹脂粒子を吹き付けるよりも、フッ素樹脂粒子を所定の押圧で擦り付けるか又は押し付けることで、被膜の凹凸内にフッ素樹脂粒子を安定に充填させることができ、水洗した後でも防汚性能を維持することができた(実施例1及び3)。さらに、フッ素樹脂粒子と共にガラスビーズを吹き付けることで、被膜の凹凸内にフッ素樹脂粒子を安定に充填させることができ、水洗した後でも防汚性能を維持することができた(実施例5)。
【0052】
これに対して、比較例1では、コーティング組成物がシリカ微粒子を含有していないため、平滑な被膜が形成されてしまう。その結果、被膜の凹凸にフッ素樹脂粒子を十分に充填させることができず、所望の防汚性能が得られなかったと推測される。また、比較例2及び3では、被膜の凹凸にフッ素樹脂粒子を充填させていないため、被膜の凹凸に汚れが捕捉され易く、所望の防汚性能が得られなかったと推測される。
【0053】
(実施例6)
この実施例では、換気扇用のシロッコファンに防汚性被膜を形成した。シロッコファンとしては、直径150mmの鋼板製のものを用いた。
まず、実施例1で用いたコーティング組成物にシロッコファンを浸漬させた後、シロッコファンを引き上げ、80℃で10分間乾燥させることによって被膜を形成した。次に、被膜を形成したシロッコファンを換気扇に組み込んだ後、一次粒子の平均粒径が0.2μmのフッ素樹脂粒子(旭硝子株式会社製フルオンF173J)及び平均粒径が0.8μmのガラスビーズの混合物(質量割合1:1)25gを、ファンを回転させることによってシロッコファンの表面に形成された被膜に吹き付けた。この時の循環空気の風速は約15m/秒であった。
【0054】
(比較例4)
フッ素樹脂粒子を被膜に吹き付けなかったこと以外は、実施例6と同様にして防汚性被膜を形成した。
(比較例5)
防汚性被膜を形成しないシロッコファンを組み込んだ換気扇を準備した。
【0055】
実施例6及び比較例4〜5で作製した換気扇について、粉塵の付着試験を行った。
まず、家庭内で回収した綿埃60gを飛散させ、約20分かけて換気扇に吸い込ませた。次に、シロッコファンの重量を測定し、付着試験前のシロッコファンの重量からどの程度変化したかを調べることによって、綿埃の付着量を評価した。
この評価の結果、実施例6のシロッコファンでは綿埃の付着量が0.22gであったのに対し、比較例4及び5のシロッコファンでは綿埃の付着量がそれぞれ0.85g及び0.98gと多かった。
【0056】
以上の結果から分かるように、本発明の防汚性被膜の形成方法によれば、親水性及び疎水性の両方の粉塵に対する防汚性能に優れた防汚性被膜を安定して形成することができる。特に、シロッコファンをはじめとする複雑な形状の部材に対しても防汚性能に優れた防汚性被膜を安定して形成することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 基板、2 被膜、3 親水性無機微粒子、4 欠陥、5 添加剤、6 防汚性被膜、7 フッ素樹脂粒子、10 ファン、11 熱交換器、12 ベーン、13 フラップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が3nm以上5μmの親水性無機微粒子50質量%以上を含む不揮発成分を含有するコーティング組成物を基材に塗布及び乾燥して被膜を形成した後、この被膜の表面に、平均粒径が0.05μm以上2μm以下のフッ素樹脂粒子を接触させることを特徴とする防汚性被膜の形成方法。
【請求項2】
前記フッ素樹脂粒子を前記被膜の表面に擦り付けることを特徴とする請求項1に記載の防汚性被膜の形成方法。
【請求項3】
前記フッ素樹脂粒子を前記被膜の表面に吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の防汚性被膜の形成方法。
【請求項4】
前記フッ素樹脂粒子と平均粒径が0.2mm以上5mm以下の粒状物質との混合物を前記被膜の表面に接触させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防汚性被膜の形成方法。
【請求項5】
平均粒径が3nm以上5μmの親水性無機微粒子からなる多孔質膜と、前記多孔質膜の表面の凹部に充填された平均粒径が0.05μm以上2μm以下のフッ素樹脂粒子とを含む防汚性被膜を部材の表面に有することを特徴とする防汚性部材。
【請求項6】
前記部材は、換気扇、空気調和機、空気清浄機、冷蔵庫又は扇風機に用いられる部材であることを特徴とする請求項5に記載の防汚性部材。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−24713(P2012−24713A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166844(P2010−166844)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】