説明

防災無線システム

【課題】人偽的なミスが無くユーザ操作により容易に固定系防災無線装置の初期設定が行えるようにした防災無線システムを提供する。
【解決手段】固定系防災無線装置1に、記憶部7と、制御部8と、コマンド解析部9と、このコマンド解析部9からの初期設定要求信号を受けて初期設定に関する処理を実行させる設定値管理部10と、コマンド解析部9からの画面表示要求信号を受けて所定の画面表示データを作成して表示付きマイク16へ出力する表示処理部13とを構成し、一方、表示付きマイク16には、表示処理部13で作成した画面表示データに従って表示部16Aへ表示を行う表示機能部と、表示部16Aへの表示に基づいて選択確定した選択確定信号をコマンド解析部8へ送信するために押下する確定ボタン16Bとを有して構成し、表示付きマイク16を使用してその表示部16Aに初期設定画面を表示させ、これを目視確認しながら初期設定処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定系防災無線装置に表示付きマイク(データマイク)を接続して構成した防災無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
親局装置からの無線による防災情報を子局装置である固定系防災無線装置で取得し、この取得した防災情報を音声出力や文字表示出力する防災無線システムが知られており、この固定系防災無線装置には、様々な外部接続装置が接続されて、その機能を増大する構成も示されている(例えば、特許文献1を参照)。この種の従来の固定系防災無線装置では、その初期設定を行う場合、固定系子局防災無線装置にシリアルケーブルにて保守制御端末装置を接続し、保守制御端末装置のターミナル上からコマンドおよび初期設定値が格納されているアドレスを指定し、人為的な操作により初期設定値、つまり周波数や市町村ID等の設定を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−25297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の防災無線システムでは、固定系防災無線装置の初期設定を行うためには、保守員が専用の保守制御端末装置を固定系防災無線装置が設置されている現地へ持ち込まなければならず、しかも、この持ち込んだ保守制御端末装置を使用してユーザ操作によって行っていたため、保守制御端末装置からの設定を行う場合、人為的なミスを誘発してしまう恐れがあり、最悪の場合、親局装置からの防災情報を固定系防災無線装置で受信できないことも考えられる。
【0005】
本発明の目的は、人為的なミスが無くユーザ操作により容易に固定系防災無線装置の初期設定が行えるようにした防災無線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、固定系防災無線装置に、表示部と、上記固定系防災無線装置側で作成した画面表示データに従って上記表示部へ表示を行う表示機能部と、入力を行う操作ボタンとを有した表示部付きマイクを接続して構成した防災無線システムにおいて、上記固定系防災無線装置に、初期設定プログラムを格納した記憶部と、この初期設定プログラムに従って処理を行う制御部と、上記表示付きマイクからの選択確定信号を解析し初期設定要求信号または画面表示要求信号を出力するコマンド解析部と、このコマンド解析部からの初期設定要求信号を受けて初期設定に関する処理を実行させる設定値管理部と、上記コマンド解析部からの画面表示要求信号を受けて所定の画面表示データを作成して上記表示付きマイクへ出力する表示処理部とを構成し、上記表示付きマイクには、上記表示処理部からの画面表示データによる上記表示部への表示に基づいて選択確定した選択確定信号を上記コマンド解析部へ送信するための手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明による防災無線システムは、付属の外部接続機器である表示付きマイクを使用してその表示部に、固定系防災無線装置側の表示処理部で作成した画面を表示することができるので、これを目視確認しながら確定ボタンを操作して固定系防災無線装置へ選択確定信号を送信すると、これをコマンド解析部で解析して初期設定処理を簡単に行うことができ、操作性の向上を図りながらアドレス間違いなど人為的なミス発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態による防災無線システムにおける固定系防災無線装置の概略構成を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、図1に示した表示付きマイクにおける初期設定処理初期状態を示す正面図である。
【図3】図3は、図1に示した表示付きマイクにおける初期設定処理途中状態を示す正面図である。
【図4】図4は、図1に示した表示付きマイクにおける初期設定処理終期状態の表示画面を示す正面図である。
【図5】図5は、図1に示した表示付きマイクにおける送信周波数設定状態の表示画面を示す正面図である。
【図6】図6は、図1に示した表示付きマイクにおける受信周波数設定状態の表示画面を示す正面図である。
【図7】図7は、図1に示した表示付きマイクにおける市町村ID設定状態の表示画面を示す正面図である。
【図8】図8は、図1に示した固定系防災無線装置の初期設定処理動作の初期部分を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、図1に示した固定系防災無線装置の初期設定処理動作の中期部分を示すシーケンス図である。
【図10】図10は、図1に示した固定系防災無線装置の初期設定処理動作の終期部分を示すシーケンス図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施の形態による防災無線システムの固定系防災無線装置における表示付きマイクの初期化処理状態を示す正面図である。
【図12】図12は、図11に示した表示付きマイクの工場出荷時設定処理状態を示す正面図である。
【図13】図13は、図11に示した固定系防災無線装置の初期化処理の前半部分を示すシーケンス図である。
【図14】図14は、図13に示した初期化処理の後半部分を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態による防災無線システムにおける固定系防災無線装置の概略構成を示すブロック構成図である。
固定系防災無線装置1は、図示しないセンタ局装置からアンテナ2を介して防災無線信号を受信する受信部3と、受信した防災無線信号を処理する処理部4と、スピーカ6を通して防災放送として音声出力する音声出力部5と、装置全体の各種処理を行う制御プログラムや、初期設定プログラムおよび初期化プログラムを格納した記憶部7と、この制御プログラムに基づいて各種処理を行うと共に、特に起動時に初期設定プログラムに従って処理を行う制御部8と、詳細を後述する表示付きマイク16からの選択確定信号を解析するコマンド解析部9と、コマンド解析部9のコマンド解析結果に基づいて初期設定要求信号を出力する設定値管理部10と、この設定値管理部10からの初期設定要求信号を受けたとき格納先への初期設定処理を制御する不揮発メモリ制御部11と、この不揮発メモリ制御部11により制御されて初期設定の登録および初期化を行う不揮発メモリ12と、コマンド解析部9からの画面表示要求信号を受けて所定の画面表示データを出力する表示処理部13と、後述する外部接続装置である表示付きマイク16との通信を行う通信制御部14と、固定系防災無線装置1と表示付きマイク16とのインタフェースを行う専用コネクタ15とを有して構成している。
【0011】
この固定系防災無線装置1には、データマイク、ハンドセット等とも呼ばれる表示付きマイク16が接続されており、表示付きマイク16は、一般的な使用におけるマイク機能と、表示部16Aと、固定系防災無線装置1の表示処理部13で作成した画面表示データを表示部16Aに表示する図示しない表示機能部と、表示部16Aに表示された処理項目を選択したり確定するために押下するONボタンを兼用した確定ボタン16Bと、入力時に操作する操作ボタン16Cとを有している。表示付きマイク16の表示部16Aには、従来の構成においても表示機能部によって所定の表示を行うことができたが、ここでは表示処理部13で作成した画面表示データを表示部16Aに表示する機能を付加することによって、後述する説明から分かるように表示付きマイク16は、固定系防災無線装置1の初期設定を行うための機能を有している。
【0012】
次に、固定系防災無線装置1における初期設定処理動作について、図8に示したシーケンス図を用いて説明する。
固定系防災無線装置1を所定の設置位置に設置し、その電源を入れて起動処理17を実行すると、初期設定プログラムが作動し、時刻t1で表示処理部13は初期設定確認信号を設定値管理部10へ出力する。設定値管理部10は初期設定が「済」か「未」かを管理しており、ここで初期設定は「未」設定であるから、時刻t2での結果送信に基づいて表示処理部13は、初期設定のための画面を作成する初期設定画面作成処理18を行い、時刻t3で初期設定画面の画面表示データと共に画面表示要求信号を通信制御部14を通して表示付きマイク16へ送信する。
【0013】
画面表示要求信号を受けた表示付きマイク16は、図示しない表示機能部で初期設定画面表示処理19を行い、図2に示したように表示部16Aに初期設定画面を表示する。このときの初期設定画面は、「送信周波数」、「受信周波数」および「市町村ID」の全ての項目が未設定として表示される。ここで保守員は、表示部16Aを見ながら処理項目選択処理20を行って表示付きマイク16側での初期設定を開始する。例えば、この処理項目選択処理20は、表示部16Aへの未設定の記載順番に従って処理順番を設定すると、先ず、最上部に位置する未設定の「送信周波数」を選択することになる。ここで確定ボタン16Bを押下すると、送信周波数を選択したことを確定する送信周波数を選択確定処理21が行われ、送信周波数の設定を通知する選択確定信号が時刻t4で表示付きマイク16から固定系防災無線装置1の通信制御部14を通してコマンド解析部9へ入力される。
【0014】
コマンド解析部9は、この送信周波数の選択確定信号を判別して時刻t5で表示処理部13に対応する画面表示要求信号を送信する。この画面表示要求信号を受けた表示処理部13は、送信周波数の設定画面を作成する送信周波数設定画面作成処理22を実行して送信周波数設定のための画面表示データを作成し、時刻t6で画面表示データを画面表示要求信号と共に通信制御部14を通して表示付きマイク16へ送信する。
【0015】
すると表示付きマイク16では、図示しない表示機能部により受信した画面表示データに基づいて周波数の設定を行うための画面を実際に表示する周波数設定画面表示示処理23を実施し、その表示部16Aに図5に示したように「送信周波数」の入力画面となる。そこで保守員は、ユーザ操作による送信周波数を数値入力する入力送信周波数入力処理24として所定の操作ボタン16Cを押下して「送信周波数」の初期値データを入力し、その後、確定ボタン16Bを押下して送信周波数入力確定処理25を行う。これによって時刻t7で、送信周波数の初期値データを含む選択確定信号が表示付きマイク16から固定系防災無線装置1の通信制御部14を通してコマンド解析部9へ入力される。
【0016】
この選択確定信号を受信したコマンド解析部9は、コマンド解析処理26を実行する。その後、図9に示した時刻t8で送信周波数の初期設定要求信号を設定値管理部10へ送信する。これを受けた設定値管理部10は、送信周波数の初期設定を行うための設定処理27を開始し、時刻t9で不揮発メモリ制御部11に送信周波数の初期設定要求信号を送信する。初期値データと共に初期設定要求信号を受けた不揮発メモリ制御部11は、不揮発メモリ12へ送信周波数の初期値データを登録する。続いて設定値管理部10は、時刻t10で不揮発メモリ制御部11に対して初期設定確認信号を送って送信周波数の登録処理を確認する初期値設定確認処理28を行った後、時刻t11で設定完了信号をコマンド解析部9へ送信する。コマンド解析部9では、送信周波数の初期値設定が完了したことを識別して、時刻t12で次の画面表示要求信号を表示処理部13に与える。これを受けた表示処理部13は、初期値設定プログラムに従って次の段階としての初期設定画面作成処理29を行い、時刻t12で今回の初期設定画面の画面表示データと共に画面表示要求信号を通信制御部14を通して表示付きマイク16へ送信する。
【0017】
このときの表示付きマイク16の図示しない表示機能部は、今回取得した画面表示データに基づいた初期設定画面表示処理30によって表示部16Aに、図2に類似した新たな初期設定画面が表示されるが、既に初期値の設定が完了した「送信周波数」は設定済みとの表示に変わり、「受信周波数」および「市町村ID」は未設定のままの表示となる。続いて保守員は、初期設置画面を見ながら上述した「送信周波数」の設定の場合と同様に二番目の「受信周波数」の初期値設定を行う。上述したように処理項目選択処理20は、表示部16Aへの未設定の記載順番に従って処理順番が設定されているため、二番目に位置する未設定の「受信周波数」が指定されることになり、ここで確定ボタン16Bを押下すると、受信周波数に対する初期設定を確定する受信周波数選択確定処理21が行われたことになる。
【0018】
その後は、「送信周波数」の初期設定時に行った送信周波数選択確定処理21から初期設定画面表示処理30までと同じ処理を、「受信周波数」に対して実行する。最初の「送信周波数」に対する初期設定の場合の周波数設定画面表示処理23では、表示付きマイク16の表示部16Aは図5に示した入力状態となるが、二番目の「受信周波数」に対する周波数設定画面表示処理23では、表示付きマイク16の表示部16Aは図6に示した入力状態となる。
【0019】
二番目の「受信周波数」の初期設定で、「送信周波数」に対して行った初期設定画面表示処理30に対応する処理まで進むと、表示付きマイク16の表示部16Aは図3に示した状態となり、「送信周波数」および「受信周波数」は設定済みとなるが、「市町村ID」は依然として未設定として表示される。
【0020】
続いて保守員は、図3に示した初期設置画面を見ながら三番目の「市町村ID」の初期設定を行う。上述した「送信周波数」の場合と同様に、図8に示した処理項目選択処理20から周波数設定画面表示処理23までを「市町村ID」に対して行うと、表示付きマイク16の表示部16Aは、図7に示した状態となる。
【0021】
次に、この状態から行う三番目の「市町村ID」の初期設定処理動作について、図10に示したシーケンス図を用いて説明する。
表示付きマイク16の表示部16Aが図7の状態となった後、ユーザ操作による市町村ID入力処理31、つまり、所定の操作ボタン16Cを押下することによって予め定めた「市町村ID」の初期値データを入力し、その後、確定ボタン16Bを押下して市町村IDの入力が確定したことを示す市町村ID入力確定処理32を行う。これによって時刻t13で、市町村IDの初期値データを含む選択確定信号が表示付きマイク16から固定系防災無線装置1の通信制御部14を通してコマンド解析部9へ入力される。
【0022】
この選択確定信号を受信したコマンド解析部9は、コマンド解析処理33を実行し、時刻t14で市町村IDの初期設定要求信号を設定値管理部10へ送信する。これを受けた設定値管理部10は、市町村IDの初期設定を行うための設定処理34を開始し、時刻t15で不揮発メモリ制御部11に市町村IDの初期設定要求信号を送信する。初期値データと共に初期設定要求信号を受けた不揮発メモリ制御部11は、不揮発メモリ12へ市町村IDの初期値データを登録する。続いて設定値管理部10は、時刻t16で不揮発メモリ制御部11に対して初期設定確認信号を送って市町村IDの初期値を登録する処理が完了したことを確認する初期値設定確認処理35を行った後、時刻t17で設定完了信号をコマンド解析部9へ送信する。これを受けたコマンド解析部9では、市町村IDの初期値設定が完了したことを識別して、次の画面表示のための画面表示要求信号を表示処理部13に与える。表示処理部13は、初期設定プログラムに従って次の画面表示のために初期設定画面作成処理36を行い、時刻t18で次の画面表示データと共に画面表示要求信号を通信制御部14を通して表示付きマイク16へ送信する。
【0023】
この時点で全ての初期設定項目に対する初期値設定が済みとなるので、表示付きマイク16の図示しない表示機能部で初期設定画面表示処理37を行うと、図4に示したように初期設定処理の完了を意味する非表示となる。保守員は、このときの表示部16Aを目視して初期設定処理を完了していることを確認することができる。しかし、表示部16Aを初期設定画面表示処理37によって非表示としたとき、その表示形式では確認が難しくなると思われるなら、表示部16Aには、その他の表示形式、例えば図3とほぼ同様の表示で、かつ全ての初期設定項目に対して設定済みを表示する表示形式としても良い。
【0024】
上述した防災無線システムにおける固定系防災無線装置1では、固定系防災無線装置1に、初期設定プログラムを格納した記憶部7と、この初期設定プログラムに従って処理を行う制御部8と、表示付きマイク16からの選択確定信号を解析し初期設定要求信号または画面表示要求信号を出力するコマンド解析部9と、このコマンド解析部9からの初期設定要求信号を受けて初期設定に関する処理を実行させる設定値管理部10と、コマンド解析部9からの画面表示要求信号を受けて所定の画面表示データを作成して表示付きマイク16へ出力する表示処理部13とを構成し、一方、表示付きマイク16は、表示処理部13で作成した画面表示データに従って表示部16Aへ表示を行う表示機能部と、表示部16Aへの表示に基づいて選択確定した選択確定信号をコマンド解析部8へ送信するために押下する確定ボタン16Bとを有して構成したため、付属の接続機器である表示付きマイク16を使用してその表示部16Aに初期設定画面を表示させ、これを目視確認しながら初期設定処理を簡単に行うことができるので、操作性の向上を図りながらアドレス間違いなど人為的なミス発生を防止することができる。従来の防災無線システムにおける固定系防災無線装置の初期設定では、保守員が専用の保守制御端末装置を現地へ持ち込み、ユーザ操作により保守制御端末装置を使用して行うため、保守制御端末装置のターミナル上からアドレスを指定し設定するとき、人為的なミスを誘発してしまう恐れがあったが、これを防止して、親局装置との無線接続ができない状態となるのを容易に回避することができる。
【0025】
上述した初期設定処理は、固定系防災無線装置1の電源を入れた時に初期設定プログラムを起動させ、この初期設定プログラムに従って初期設定を行うようにしたが、表示付きマイク16に新たに付設した専用の初期設定開始ボタン、あるいは初期設定開始を割り付けた操作ボタン16Cを押下することによって初期値設定プログラムを起動するようにしても良い。固定系防災無線装置1の電源を入れた時とは別に初期設定プログラムを起動するようにすると、必要なときに、例えば図2に示したような表示部16Aとすることができる。初期設定画面の全ての項目が「済」となると、図8に示した設定管理部10は初期設定「済」となる。
【実施例2】
【0026】
図13および図14は、本発明の他の実施の形態による防災無線システムにおける固定系防災無線装置の初期化処理動作を示すシーケンス図である。
固定系防災無線装置1では工場出荷時に予め初期設定を行うものの、現地において、この工場出荷時設定を初期化する場合がある。この初期化を可能にするために、この実施の形態では、初期設定プログラムとして、詳細を後述する初期化プログラムを含んで固定系防災無線装置1の記憶部7内に予め格納しておき、所定のタイミングで初期化プログラムを起動して行うようにしている。
【0027】
初期化プログラムを起動した状態で、図13に示したように先ず初期化処理を行うためのユーザ操作としての入力処理38を行い、その後、初期化を確定する初期化選択確定処理39として確定ボタン16Bを押下すると、時刻t20で表示付きマイク16から固定系防災無線装置1に対して初期化の選択確定信号が送信される。この選択確定信号は通信制御部14を通してコマンド解析部9へ送信され、コマンド解析部9では、コマンド解析を行って初期化の選択確定信号であることを識別し、時刻t21で表示処理部13へ対応する画面作成のために画面表示要求信号を与える。画面表示要求信号を受けた表示処理部13は、初期化プログラムに従って対応する初期化画面を作成する初期化画面作成処理40を行い、時刻t22で作成した画面表示データと共に画面表示要求信号を通信制御部14を通して表示付きマイク16へ送信する。
【0028】
画面表示要求信号を受けた表示付きマイク16の図示しない表示機能部は、初期化画面の画面表示データに基づいて初期化画面表示処理41を行い、図11に示したように表示部16Aに初期化画面を表示する。ここでは、「初期化」画面であることの表示と、その元に「工場出荷維持設定」だけの表示をしているため、確定ボタン16Bを押下すると入力処理42によって「工場出荷時設定」を選択したことになり、再度、確定ボタン16Bを押下すると工場出荷時設定画面選択処理43として「工場出荷時設定」を確定したことになる。また、これによって時刻t23で、表示付きマイク16から固定系防災無線装置1に対して工場出荷時設定の選択確定信号が送信される。
【0029】
この選択確定信号は通信制御部14を通してコマンド解析部9へ送信され、コマンド解析部9では、コマンド解析を行って工場出荷時設定の選択確定信号であることを識別し、時刻t24で対応する画面表示を作成するために表示処理部13へ画面表示要求信号を与える。この画面表示要求信号を受けた表示処理部13は、初期化プログラムに従って、対応する工場出荷時設定のための画面を作成する工場出荷時設定画面作成処理40を行い、時刻t25で、画面表示データと共に画面表示要求信号を通信制御部14を通して表示付きマイク16へ送信する。
【0030】
画面表示要求信号を受けた表示付きマイク16は、図示しない表示機能部で画面表示データに基づいて画面表示を行うために工場出荷時設定画面表示処理45を行うと、図12に示したように表示部16Aに次の工場出荷時設定画面を表示する。その後の操作は、図14に示すようにユーザ操作による入力処理46に従って、工場出荷時設定を初期化することになる図11の「Yes」を選択し、その後、確定ボタン16Bを押下してYES選択確定処理47を実行すると、時刻t26で表示付きマイク16から固定系防災無線装置1に対してこの選択確定信号が送信される。
【0031】
この選択確定信号を受信したコマンド解析部9は、コマンド解析処理48を実行し、時刻t27で初期化のための初期設定要求信号を設定値管理部10へ送信する。これを受けた設定値管理部10は、初期値設定処理49を開始し、時刻t28で不揮発メモリ制御部11に工場出荷時の初期設定を初期化する初期設定要求信号を送信する。初期設定要求信号を受けた不揮発メモリ制御部11は、不揮発メモリ12内に格納されている工場出荷時の初期値を初期化する処理を実行させる。続いて設定値管理部10は、これまで工場出荷時設定によって初期設定「済」となっていたことをクリアするクリア処理50を実行し、これ以降、初期設定を「未」として管理する。時刻t29で不揮発メモリ制御部11に対してクリア設定信号を送る。その後、この処理が完了したことを確認して時刻t30で、設定完了信号をコマンド解析部9へ送信する。これを受けたコマンド解析部9では、この信号を識別して装置リセット処理51を実行する。
【0032】
このようにして、先の実施の形態の場合と同様に表示付きマイク16を使用して、固定系防災無線装置1の工場出荷時の設定を初期化することができる。その後、固定系防災無線装置1の使用形態に対応する初期設定が必要な場合は、先の実施の形態で説明したように固定系子局防災無線装置1を再起動して初期設定プログラムを起動して行う。このとき、図8に示した設定管理部10で管理する初期設定は「未」となっており、先の場合と同様に初期設定を行うことができる。
【0033】
上述の説明から分かるように、初期化プログラムによる処理でも、先の初期設定プログラムの場合と同様に、コマンド解析部9からの画面表示要求信号を受けた表示処理部13はその都度予め定めた画面表示データを作成し、これを受けた表示付きマイク16では、表示処理部13から受信した画面表示データに基づいて表示部16Aへの表示を行うため、保守員はこのときの表示部16Aを目視しながら、選択確定信号を送信することによって、不揮発メモリ12の工場出荷時設定を初期化する処理を容易に行うことができる。
【0034】
上述した初期化プログラムの起動は他のタイミングで行うことができる。例えば、上述したように固定系防災無線装置1の電源を入れて起動させた時に、初期化プログラムを含む初期設定プログラムを起動し、図8で説明した初期設定画面表示処理19によって表示付きマイク16の表示部16Aを図2に状態にしたとき、この表示画面中に先ず、「初期設定」と「初期化」とを選択可能に表示させることもできる。この表示画面で、「初期設定」を選択した場合には図8で説明した初期設定プログラムを作動させ、一方、「初期化」を選択した場合には、図13および図14で説明した初期化プログラムを作動させて図12に示した入力処理38から同様に処理を進めることもできる。
【0035】
また、表示付きマイク16に専用の初期化開始ボタンおよび専用の初期値設定開始ボタンを取り付けたり、あるいは初期化開始または初期値設定開始を割り付けた操作ボタン16Cを設け、これらのいずれかを押下したときに、固定系防災無線装置1の記憶部7内に格納した初期化プログラムまたは初期値設定プログラムを起動させるようにしても良い。
【0036】
このような防災無線システムにおける固定系防災無線装置では、市町村統合などで市町村IDなど初期設定値に変更が発生する場合がある。このような場合においても、上述の防災無線システムにおける固定系防災無線装置によれば、表示付きマイク16の表示部16Aを目視しながら、以前の初期設定を初期化したり、新たな初期設定を容易に、かつ確実に行うことができ、迅速に運用へ移行することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明による防災無線システムは、図1に示した固定系防災無線装置1に限らず、その他の構成のものにも適用することができる。例えば、表示付きマイク16は通常使用のONボタンを確定ボタン16Bとして兼用しているが、ONボタンと確定ボタン16Bを別々に分けたり、既に構成されている操作ボタン16Cにその機能を割り付けても良い。従って、表示付きマイク16から固定系防災無線装置1側に選択確定信号を送信するのは、確定ボタン16Bに限らず他の手段を使用することができる。また初期設定プログラムも、図8で説明した処理手順に従うものに限らず、その他のものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 固定系防災無線装置
2 アンテナ
3 受信部
4 処理部
5 音声出力部
6 スピーカ
7 記憶部
8 制御部
9 コマンド解析部
10 設定値管理部
11 不揮発メモリ制御部
12 不揮発メモリ
13 表示処理部
14 通信制御部
15 コネクタ
16 表示付きマイク
16A 表示部
16B 確定ボタン
16C 操作ボタン
17 起動処理
18 初期設定画面作成処理
19 初期設定画面表示処理
20 処理項目選択処理
21 送信周波数選択確定処理
22 周波数設定画像作成処理
23 周波数設定画面表示処理
24 送信周波数入力処理
25 送信周波数入力確定処理
26 コマンド解析処理
27 設定処理
28 初期設定確認処理
29 初期設定画面作成処理
30 初期設定画面表示処理
31 市町村ID入力処理
32 市町村ID確定処理
33 コマンド解析処理
34 設定処理
35 初期設定確認処理
36 初期設定画面作成処理
37 初期設定画面表示処理
38 入力処理
39 初期化画面選択処理
40 初期化画面作成処理
41 初期化画面表示処理
42 入力処理
43 工場出荷時設定画面選択処理
44 工場出荷時設定画面作成処理
45 工場出荷時設定画面表示処理
46 入力処理
47 YES選択確定処理
48 コマンド解析処理
49 初期値設定処理
50 初期設定「済」クリア処理
51 装置リセット処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定系防災無線装置に、表示部と、上記固定系防災無線装置側で作成した画面表示データに従って上記表示部へ表示を行う表示機能部と、入力を行う操作ボタンとを有した表示部付きマイクを接続して構成した防災無線システムにおいて、上記固定系防災無線装置に、初期設定プログラムを格納した記憶部と、この初期設定プログラムに従って処理を行う制御部と、上記表示付きマイクからの選択確定信号を解析し初期設定要求信号または画面表示要求信号を出力するコマンド解析部と、このコマンド解析部からの初期設定要求信号を受けて初期設定に関する処理を実行させる設定値管理部と、上記コマンド解析部からの画面表示要求信号を受けて所定の画面表示データを作成して上記表示付きマイクへ出力する表示処理部とを構成し、上記表示付きマイクには、上記表示処理部からの画面表示データによる上記表示部への表示に基づいて選択確定した選択確定信号を上記コマンド解析部へ送信するための手段を設けたことを特徴とする防災無線システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−164959(P2011−164959A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27286(P2010−27286)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】