説明

防災表示装置

【課題】 複雑な操作を要することなく防災用動力機器の状態確認や遠隔操作ができる防災表示装置を提供する。
【解決手段】 CRT表示部15のグラフィックエリアに隣接して消火ポンプ表示ウィンドウ画面及び排煙機表示ウィンドウ画面をそれぞれ表示し、状態変化した消火ポンプ28を確認したとき、その消火ポンプの種別、ポンプ設置の建物名等の情報を消火ポンプ表示ウィンドウ画面に表示し、また、状態変化した排煙機27を確認したときは、排煙機表示ウィンドウ画面に排煙機、設置場所、系統等の情報を表示する制御部19を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物の各フロアに配設された各種の端末機器の状態を画面に表示する防災表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の防災表示装置は、端末機器が配置されている建物の平面図をCRT画面に表示すると共に、火災受信機を通じて端末機器の状態変化(発報、異常等)を確認すると、状態変化した端末機器のシンボルの色を変化させて、同じ平面図上に配置されている他のシンボルと識別できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−28380号公報(第4頁、図1、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述した端末機器として、火災感知器やガス漏れ検知器等の他に、消火ポンプ、排煙機、加圧排煙機等の防災用動力機器があるが、これら防災用動力機器等の端末機器の状態が一括して確認できるように、また遠隔操作ができるように、防災表示装置の他に機器毎に表示窓とスイッチを備えたインターフェイス盤が設けられていた。また、火災受信機によって端末機器の火災感知器の自動試験が定期的に行われているが、試験結果の情報は、火災受信機のプリンタでプリントアウトしなければ確認できない状態であった。以上のことから従来の防災表示装置では、防災用動力機器等の端末機器の状態を確認するときや遠隔操作するときインターフェイス盤が設置されている場所まで移動しなければならず、また、試験結果の情報を取得する場合もプリンタが置かれている場所まで移動しなければならなかった。さらに、特にインターフェイス盤が必要なため、コスト高となり、設置スペースも要していた。
【0004】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、インターフェイス盤を用いることなく、しかも複雑な操作を要することなく防災用動力機器等の端末機器の状態確認や遠隔操作ができ、また、火災受信機のプリンタを用いることなく試験結果の情報を確認できる防災表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る防災表示装置は、建物に配設された各種の端末機器が接続された火災受信機に接続されて、その端末機器のシンボルが配置された建物の各フロアの平面図を表示部のグラフィックエリアに表示すると共に、火災受信機から送られてくる状態情報に基づいて状態変化した端末機器を確認したとき、その状態変化した端末機器のシンボルを同一平面図上に配置されている他の端末機器のシンボルと識別可能に表示する防災表示装置において、表示部にグラフィックエリアに隣接して防災用動力表示エリアを設け、状態変化した端末機器が防災用動力機器のとき、防災用動力表示エリアにその防災用動力機器の情報を画面表示する第1の表示制御手段を備えたものである。
(2)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)において、第1の表示制御手段は、操作入力部からの操作に基づいて、防災用動力表示エリアに表示した防災用動力機器の情報画面を縦方向に伸縮する。
(3)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)において、第1の表示制御手段は、操作入力部からの操作に基づいて、防災用動力表示エリアに表示した防災用動力機器の情報画面をスクロールする。
(4)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)〜(3)の何れかにおいて、表示部に設けられたメニューバー表示エリアに複数のスイッチを表示し、各スイッチにそれぞれ対応して設定された端末機器の状態一覧情報をデータとして有し、スイッチの選択操作に応じて、該当する端末機器の状態一覧情報をグラフィックエリアに表示する第2の表示制御手段を備えたものである。
(5)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)〜(4)の何れかにおいて、表示部に設けられたメニューバー表示エリアに複数の制御スイッチを表示し、各制御スイッチにそれぞれ対応して設定された防災用動力機器の遠隔操作用の操作画面をデータとして有し、制御スイッチの選択操作に応じて、該当する操作画面をグラフィックエリアに表示する第3の表示制御手段を備えたものである。
(6)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)〜(5)の何れかにおいて、火災受信機によって実行された端末機器の試験結果情報を受信して外部記録媒体に記録し、操作入力部の操作に基づいて試験結果情報をグラフィックエリアに表示する試験結果情報取得手段を備えたものである。
(7)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)〜(6)の何れかにおいて、LANを介して副表示機と接続するためのインターフェイス部を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
(1)本発明においては、表示部にグラフィックエリアに隣接して防災用動力表示エリアを設け、状態変化した端末機器が防災用動力機器のとき、防災用動力表示エリアにその防災用動力機器の情報を画面表示するようにしたので、従来のように移動することなく、しかも画面切換を要することなく常に防災用動力機器の状態を本装置から確認することができる。このため、従来必要であったインターフェイス盤が不要になり、コストの削減、設置スペースの縮小が可能になった。
(2)本発明においては、操作入力部からの操作に基づいて、防災用動力表示エリアに表示した防災用動力機器の情報画面を縦方向に伸縮するようにしているので、限られた表示エリアを有効に利用することができる。
(3)本発明においては、操作入力部からの操作に基づいて、防災用動力表示エリアに表示した防災用動力機器の情報画面をスクロールするようにしているので、限られた表示エリアを有効に利用することができる。
(4)本発明においては、メニューバー表示エリアに表示されたスイッチが選択操作されたとき、そのスイッチに対応して設定された端末機器の状態一覧情報をグラフィックエリアに表示するようにしたので、従来のように移動することなく、しかも複雑な操作を要することなく端末機器の状態を本装置から確認でき、このため、従来必要であったインターフェイス盤が不要になり、コストの削減、設置スペースの縮小が可能になった。また、表示部の限られた表示エリアを有効に利用することができる。
(5)本発明においては、メニューバー表示エリアに表示された制御スイッチが選択操作されたとき、その制御スイッチに対応して設定された防災用動力機器の遠隔操作用の操作画面をグラフィックエリアに表示するようにしたので、従来のように移動することなく、しかも容易な操作で防災用動力機器の遠隔操作を本装置からでき、このため、従来必要であったインターフェイス盤が不要になり、コストの削減、設置スペースの縮小が可能になった。また、表示部の限られた表示エリアを有効に利用することができる。
(6)本発明においては、火災受信機によって実行された端末機器の試験結果情報を受信して外部記録媒体に記録し、操作入力部の操作に基づいて試験結果情報をグラフィックエリアに表示するようにしたので、火災受信機のプリンタを用いることなく、しかも複雑な操作を要することなく試験結果情報を本装置の表示部に表示することができ、このため、その情報のプリントアウトのための面倒な移動行為がなくなり、また、簡易な構成で試験結果情報を抽出することができるという効果がある。
(7)本発明においては、LANを介して副表示機と接続するためのインターフェイス部を備えたので、副表示機との接続が可能になり、また、副表示機側でも画面切換が可能となり、本装置に表示される画面とは別の画面を参照することが可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の実施の形態に係る防災表示装置の全体を示すブロック構成図である。
図において、1は防災表示装置、2は防災表示装置1が接続された火災受信機である。この火災受信機2には、建物内に配設された各種の端末機器と信号線を介して接続されており、例えば、煙感知器20、熱感知器21等の火災感知器、火災発見者が操作する発信機22、地区ベル装置23、ガス漏れ検知器24,防火戸25や、防災用動力としての加圧排煙機26,排煙機27、消火ポンプ28、その他、図示しない消火設備、業務用ガス遮断弁等が接続されている。
【0008】
3は商用電源、4はスイッチがオフされたときに、防災表示装置1の制御部19に移報信号を出力する機能を備えたブレーカ、5は防災表示装置1にブレーカ4を介して商用電源3からの電源を供給する予備電源装置である。この予備電源装置5は、停電したり予備電源の電圧が低下したときに制御部19に電圧低下を知らせる信号を出力する。なお、防災表示装置1の制御部19は、移報信号が入力されたとき、或いは電圧低下を検知したときは、本装置1の動作を終了し、かつ、予備電源装置5に電源断を制御する停止出力を発するようになっている。
【0009】
11は火災受信機2から移報される各種の端末機器の状態情報を信号伝送により受信したり、各種の制御信号を送出するインターフェイス部である。12は火災受信機2によって定期的に実施される煙感知器20や熱感知器21等の端末機器(火災感知器)の試験結果情報を外部記録媒体のフロッピー(登録商標)ディスク6に記録したり、そのフロッピー(登録商標)ディスク6に記録した前記の試験結果情報等の各種情報を読み出したりする外部記録媒体駆動部(フロッピー(登録商標)ディスクドライバ等)である。この外部記録媒体駆動部12は、制御部19によって制御される。13は制御部19を動作させる制御プログラムや処理プログラム、各種の端末機器のシンボルが配置された建物のフロア毎の平面図等の画像データ、防災用動力機器の情報画面の消火ポンプ表示画像データ及び排煙機表示画像データ、防災諸警報一覧画像データ、消火設備モード一覧画像データ、業務用ガス遮断弁一覧画像データ、排煙機制御の操作スイッチ画像データ等が記憶されている例えばハードディスクの記憶部である。前記の処理プログラムには、動作説明時に述べるが、本発明の第1の表示制御手段、第2の表示制御手段及び第3の表示制御手段、並びに前述した試験結果情報を読み込むための試験結果情報取得手段の各機能をプログラミングしたものも含まれている。
【0010】
14は制御部19の制御によって映出される画像を出力する画像出力部、15は画像出力部14から出力される画像を例えばCRTに表示する表示手段のCRT表示部、16はマウス17が接続される操作入力部で、CRT表示部15の画面上にポインタを表示し、マウス17の移動操作に基づいてそのポインタを移動し、クリック操作による入力を判別して制御部19に通知する。ここで、CRT表示部15の画面上には、後述する各種スイッチが表示されるようになっており、オペレータによるこの各種スイッチの選択操作は、選択したいスイッチ上にポインタを移動操作し、次に、クリック操作を行うことにより実施される。なお、前記移動操作やクリック操作は、画面上のタッチパネル操作でも可能となっている。また、表示手段として、必ずしもCRTでなくともよく、LCDやプラズマディスプレイ等であってもよい。18はLANを介して副表示機30と接続するためのインターフェイス部である。副表示機30は、図示していないがCRT表示部を有し、このCRT表示部に防災表示装置1に表示されている画面を表示したり、画面を切り換える機能を備えている。
【0011】
次に、図2を用いてCRT表示部15における画面の基本構成を説明する。図2は実施の形態におけるCRT表示部の画面の基本構成を示す図である。
CRT表示部15の画面は、グラフィックエリア、メニューバー表示エリア、時刻表示エリア、平面キープランエリア、断面キープランエリア、防災用動力表示エリア、アラームリストエリア、消防活動支援表示エリア、及び基本表示操作エリアからなっている。
【0012】
グラフィックエリアは、建物の各フロアの平面図、防災諸警報一覧等の画像を表示するエリアであり、メニューバー表示エリアは、各種のスイッチを表示するエリアであり、時刻表示エリアは現在の日時を表示するエリアである。平面キープランエリアは、グラフィックエリアに表示された平面図と同じフロアの縮小全体平面図(図示せず)をウィンドウ表示するエリアであり、断面キープランエリアは、建物の全体の概略断面図をウィンドウ表示するエリアで、建物全体の階数が一目でわかるようになっている。具体的には、建物の各フロアに対応してフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示するエリアであり、このフロア選択スイッチ50は、オペレータによる前記選択操作により、例えば、黒色反転表示に変化すると共に、対応するフロアの平面図がグラフィックエリアに表示される。また、発報、作動、異常等の状態情報が発生した端末機器に対応するフロア選択スイッチ50は、例えば、赤色反転表示して、発報、作動、異常等の警報状態を報知することができる。
【0013】
防災用動力表示エリアは、例えば消火ポンプ表示エリアと排煙機表示エリアとからなり、状態変化した消火ポンプ28や排煙機27等を文字情報及びシンボル表示でウィンドウ表示するエリアである。状態変化とは、消火ポンプや排煙機等が制御状態になったときや停止状態から動作状態になったとき、また異常状態になったときであり、火災受信機2からの状態情報に基づいて表示される。なお、排煙機表示エリアは、排煙機27の他に加圧排煙機26の文字情報及びシンボル表示もウィンドウ表示するものであるが、排煙機表示エリアとは別に加圧排煙機表示エリアを設けるようにしてもよい。アラームリストエリアは、発報した煙感知器20や熱感知器21、手動或いは自動で動作した排煙口、防火ダンパ等の状態変化した各種端末機器を時系列にウィンドウ表示するエリアである。消防活動支援表示エリアは、消防活動の支援に要する各種スイッチを備える画像を表示するためのエリアであり、基本表示操作エリアは、火災断定、画面消去、復旧、音響停止等を操作したり、その状態を表示するための各種スイッチを備える画像をウィンドウ表示するエリアである。
【0014】
前記のように構成された本実施の形態の防災表示装置の動作について図2乃至図9を用いて説明する。なお、図3は消火ポンプ表示ウィンドウ画面と排煙機表示ウィンドウ画面の表示例を示す図、図4は防災諸警報の一覧画面を示す図、図5は消火設備モードの状態一覧画面を示す図、図6は業務用ガス遮断弁の状態一覧画面を示す図、図7は排煙機の操作スイッチのウィンドウ画面を示す図である。
【0015】
防災表示装置1の制御部19は、通常時のスクリーンセーバ機能により、CRT表示部15に「正常監視中」を表示しているときに、例えば建物(タワーA)の2階に設置された2個の煙感知器20の状態変化(発報)を火災受信機2からの状態情報に基づいて確認すると、スクリーンセーバ機能を解除し、次に、2個の煙感知器20のシンボルが設置された2階平面図の画像データを記憶部13から読み出してグラフィックエリアに切換表示をする。この時、発報した2個の煙感知器20のシンボル51a、51bを同一平面図上に配置されている他の端末機器のシンボルと識別できるように色を赤等に変化させて点滅表示し、点滅表示のシンボルと同じ警戒区域(例えば同じ部屋)に配置されている炎シンボル52a、52bを赤等にし、地区ベル装置を鳴動させる。
【0016】
この時、「保守」、「防災諸警報」、「消火設備モード」、「業務用ガス遮断弁」、「消火ポンプ制御」、「排煙機制御」、「加圧排煙機制御」等の各スイッチをメニューバー表示エリアに表示し、出火階(2階)の縮小全体平面図を平面キープランエリアに表示し、出火階に対応したフロア選択スイッチ50を赤等で表示したタワーAの全体断面図を断面キープランエリアに表示し、また、消火ポンプ表示ウィンドウ画面を消火ポンプ表示エリアに表示し、排煙機表示ウィンドウ画面を排煙機表示エリアに表示し、さらに、「アラームリスト」、「消防活動支援」及び「基本表示操作」をそれぞれタイトルバーとするウィンドウ画面を各エリアに表示する。これら画面は、記憶部13に記憶されている各画像データから読み出されたものである。
【0017】
また、防災表示装置1の制御部19は、この火災発生により、例えば、状態変化(作動)したスプリンクラポンプ(SPポンプ)及び排煙機、加圧排煙機を火災受信機2からの状態情報に基づいて確認したときは、図2に示すように、消火ポンプ表示ウィンドウ画面に、作動したSPポンプ、ポンプ設置の建物名(タワーA)等の情報を表示し、排煙機表示ウィンドウ画面に、作動した排煙機(又は加圧排煙機)、設置場所、系統等の情報を表示する。これらの情報は、各機器に対応して設定されたもので、記憶部13のハードディスクにデータとして記憶されている。また、状態変化が異常であったときは、前述した情報に加えて「異常」を文字表示して、オペレータにその旨を知らせる。
【0018】
また、制御部19は、図2に示す画面において、消火ポンプ表示ウィンドウ画面のタイトルバーがマウス17の操作によって上方にドラッグされたときは、その操作に基づいて消火ポンプ表示ウィンドウ画面を上方に広げると共に、断面キープランのウィンドウ画面を縮め(図3(a)参照)、さらに、この状態において、排煙機表示ウィンドウ画面のタイトルバーがマウス17の操作によって上方にドラッグされると、上方に広げた消火ポンプ表示ウィンドウ画面を維持しながら断面キープランのウィンドウ画面をさらに縮めると共に、排煙機表示ウィンドウ画面を上方に広げる(図3(b)参照)。なお、それぞれのタイトルバーをそれぞれ下方にドラッグした場合は、各ウィンドウ画面は元のサイズに戻すことが可能である。このように、画面の上下方向に隣接して配置された断面キープランエリア、防災用動力表示エリアを、それぞれのエリアを合算した範囲内で任意のエリアサイズとすることができ、例えば、図3(a)のように、排煙機表示ウィンドウ画面の三つ目の情報が表示されていないときに、スクロールバー60の操作で表示することも可能であるが、図3(b)のように、そのウィンドウ画面のエリアを広げることでも表示することが可能となる。
【0019】
また、図2に示す画面において、メニューバー表示エリアに表示された「防災諸警報」スイッチが操作されると、制御部19は、記憶部13から防災諸警報一覧画像データを読み出して、図4に示すように防災諸警報の一覧画面をグラフィックエリアに切換表示をし、「消火設備モード」スイッチが操作されたときは、記憶部13から消火設備モード一覧画像データを読み出して、図5に示すように消火設備モードの状態一覧画面をグラフィックエリアに切換表示をし、さらに、「業務用ガス遮断弁」スイッチが操作されたときは、前記と同様に記憶部13から業務用ガス遮断弁一覧画像データを読み出して、図6に示すように業務用ガス遮断弁の開閉状態一覧画面をグラフィックエリアに切換表示をする。
【0020】
図4に示す防災諸警報の一覧画面は、排煙機、SPポンプ(スプリンクラポンプ)、泡消火ポンプ、屋内消火ポンプ等の防災用動力機器や、加圧給気機、消火水槽、中間水槽、非常用コンセント等の各端末機器に対し、状態の監視結果を表示灯(丸の部分)の色分けで表示したものである。例えば排煙機の場合、「運転」・「故障」・「電源異常」の各状態を監視しており、その排煙機の運転を火災受信機2からの状態情報に基づいて確認したとき、「運転」の表示灯を白色から赤色に変化させ、前記の一覧画面をグラフィックエリアに表示したときに、各端末機器に対する監視結果に基づいて表示灯を点灯表示する。
【0021】
図5に示す消火設備モードの状態一覧画面は、建物(タワーA)に設けられた各電気室に用いられるそれぞれの消火設備(窒素ガス、HFCガス、CO2ガス等)に対し、運転モードの状態を表示灯の色分けで表示したものである。表示灯の色分けは、火災受信機2からの状態情報に基づいており、例えば、「1F特高電気室−1」の「窒素ガス消火設備」が手動に設定されているとき表示灯を赤色に設定し、「1F特高電気室−2」の「窒素ガス消火設備」が自動に設定されているときは表示灯を緑色に設定し、前記の一覧画面をグラフィックエリアに表示したときに、運転モードの状態に応じて設定した色で表示灯を点灯表示する。
【0022】
図6に示す業務用ガス遮断弁の開閉状態一覧画面は、建物(タワーA)に設けられた各厨房に用いられるそれぞれのガス遮断弁に対し、弁の開閉状態を表示灯の色分けで表示したものである。この色分けは、前述したように火災受信機2からの状態情報に基づいており、例えばガス遮断弁が閉鎖されている厨房の表示灯を緑色に設定し、ガス遮断弁が開放されている厨房の表示灯を白色で設定し、前記と同様にその一覧画面をグラフィックエリアに表示したときに、設定した色で表示灯を点灯表示する。
【0023】
また、図2に示す画面において、メニューバー表示エリアに表示された「排煙機制御」スイッチが操作されたときは、制御部19は、図7に示すように、グラフィックエリアに表示した平面図上に排煙機の操作スイッチ画像をウィンドウ表示する。この画像は、予め設定された複数の排煙機を本装置1から遠隔操作できるようにしたもので、「起動」と「停止」の各スイッチが排煙機毎に表示されている。スイッチをマウス17で選択した場合、選択されたスイッチの色が例えば赤色に変化する。この時、「起動」が選択されたときは、火災受信機2を通じて排煙機に伝達され、該当する排煙機が駆動する。なお、「消火ポンプ制御」スイッチが操作されたときは、図示していないが、予め設定された複数の消火ポンプの操作スイッチ画像をウィンドウ表示し、また、「加圧排煙機制御」スイッチが操作されたときは、図示していないが、予め設定された複数の加圧排煙機の操作スイッチ画像をウィンドウ表示するようになっている。
【0024】
次に、図8乃至図10を用いて試験結果情報の取得時の動作を説明する。図8は防災表示装置における試験結果情報の取得時の操作例を示す図、図9は各端末機器の試験結果情報を読み込むときの火災受信機の動作を示すフローチャート、図10は火災受信機により実施された試験結果情報を取得するときの防災表示装置の動作を示すフローチャートである。
【0025】
火災受信機2は、所定の周期で煙感知器20、熱感知器21等の端末機器(火災感知器)の自動試験実行期日(1週間或いは1ヶ月)に達したかどうかを判定しており(S1)、その期日に達していないときは前述した各種の端末機器の監視に入り、自動試験実行期日に達したときは、ポーリングによって煙感知器20、熱感知器21等の端末機器の状態情報を取り込み(S2)、そして、正常かどうかを判定する(S3)。正常なときは、その端末機器の試験結果情報を作成し、図示せぬメモリに格納する(S4)。また、正常でなかったときは、異常の端末機器の試験結果情報を作成し、前記メモリに格納する(S5)。その後、試験対象の端末機器の試験が終了したかどうかを判定し(S6)、試験が終了していないときは、S2に戻って試験が終了するまで繰り返し行う。試験対象の端末機器の試験が終了したときは、前述したように端末機器の監視に入る。
【0026】
一方、防災表示装置1の制御部19は、メニューバー表示エリアに表示された「保守」スイッチの操作による「試験結果保存」の選択を確認したとき(S11)、外部記録媒体駆動部12を駆動して外部記録媒体6への書き込み可能にすると共に、インターフェイス部11を介して火災受信機2にアクセスし、メモリに格納されている試験結果情報を読み込む(S12)。前述した「試験結果保存」は、「保守」スイッチの操作によってCRT表示部15の画面上に表示されたプルダウンメニューの中から選択されたものであり(図8参照)、その「試験結果保存」のメニューが選択されていないときはS14へ進む。試験結果情報の読み込みが終了すると、外部記録媒体駆動部12を通じて外部記録媒体6に保存する(S13)。その後は、前記のプルダウンメニューに表示されている「試験結果表示」が選択されたかどうかを判定し(S14)、そのメニューが選択されていないときは例えば火災受信機2を通しての監視動作に入り、一方、「試験結果表示」が選択されたときは、外部記録媒体6に保存した試験結果情報を読み出して、CRT表示部15のグラフィックエリアに表示する(S15)。なお、グラフィックエリアに平面図の画像が表示されているときはその画面と切換表示をする。
【0027】
以上のように、CRT表示部15のグラフィックエリアに隣接して消火ポンプ表示ウィンドウ画面及び排煙機表示ウィンドウ画面をそれぞれ表示し、状態変化した消火ポンプを確認したとき、その消火ポンプの種別、ポンプ設置の建物名等の情報を消火ポンプ表示ウィンドウ画面に表示し、また、状態変化した排煙機を確認したときは、排煙機、設置場所、系統等の情報を表示するようにしたので、従来のように移動することなく、しかも画面切換を要することなく常に消火ポンプや排煙機の状態を本装置1から確認することができる。
【0028】
また、消火ポンプ表示ウィンドウ画面及び排煙機表示ウィンドウ画面がそれぞれ上方にドラッグされたとき、各ウィンドウ画面を広げるようにしたので、限られた表示エリアを有効に利用することができる。
【0029】
また、メニューバー表示エリアに表示された「防災諸警報」スイッチが選択操作されたとき、防災諸警報の一覧画面をグラフィックエリアに切換表示をし、「消火設備モード」スイッチが選択操作されたとき、消火設備モードの一覧画面をグラフィックエリアに切換表示をし、「業務用ガス遮断弁」スイッチが選択操作されたとき、業務用ガス遮断弁の開閉状態一覧画面をグラフィックエリアに切換表示をするようにしたので、従来のように移動することなく、しかも複雑な操作を要することなく各種の端末機器の状態を本装置1から確認でき、このため、従来必要であったインターフェイス盤が不要になり、コストの削減、設置スペースの縮小が可能になるという効果がある。
【0030】
また、「排煙機制御」スイッチが操作されたとき、グラフィックエリアに表示した平面図上に排煙機の操作スイッチ画像をウィンドウ表示するようにしたので、従来のように移動することなく、しかも容易な操作で排煙機を遠隔操作することが可能になり、このため、従来必要であったインターフェイス盤が不要になり、コストの削減、設置スペースの縮小が可能になるという効果がある。
【0031】
さらに、火災受信機2によって実行された端末機器の試験結果情報を受信して外部記録媒体6に記録し、操作入力部の操作に基づいて試験結果情報をグラフィックエリアに表示するようにしたので、火災受信機のプリンタを用いることなく、しかも複雑な操作を要することなく試験結果情報を本装置1のグラフィックエリアに表示することができ、このため、その情報のプリントアウトのための面倒な移動行為がなくなり、また、簡易な構成で試験結果情報を抽出することができるという効果がある。
【0032】
また、LANを介して副表示機30と接続するためのインターフェイス部18を備えたので、副表示機30との接続が可能になり、また、副表示機30側でも画面切換が可能となり、本装置1に表示される画面とは別の画面を参照することが可能になるという効果がある。
【0033】
なお、前記の実施の形態では、消火ポンプ表示ウィンドウ画面及び排煙機表示ウィンドウ画面をそれぞれ上方にドラッグして、各ウィンドウ画面を広げるようにしたことを述べたが、これに代えて、図3(a)の排煙機表示ウィンドウ画面に表示されているスクロールバー60操作等により、各ウィンドウ画面をスクロールさせて、画面上に表示されていない防災用動力機器を表示させるようにして、限られた表示エリアを有効に利用できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る防災表示装置の全体を示すブロック構成図である。
【図2】実施の形態におけるCRT表示部の画面の基本構成を示す図である。
【図3】消火ポンプ表示ウィンドウ画面と排煙機表示ウィンドウ画面の表示例を示す図である。
【図4】防災諸警報の一覧画面を示す図である。
【図5】消火設備モードの状態一覧画面を示す図である。
【図6】業務用ガス遮断弁の状態一覧画面を示す図である。
【図7】排煙機の操作スイッチのウィンドウ画面を示す図である。
【図8】防災表示装置における試験結果情報の取得時の操作例を示す図である。
【図9】各端末機器の試験結果情報を読み込むときの火災受信機の動作を示すフローチャートである。
【図10】火災受信機により実施された試験結果情報を取得するときの防災表示装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 防災表示装置、2 火災受信機、3 商用電源、4 ブレーカ、5 予備電源装置、6 外部記録媒体、11 インターフェイス部、12 外部記録媒体駆動部、13 記憶部、14 画像出力部、15 CRT表示部、16 操作入力部、17 マウス、
18 インターフェイス部、19 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に配設された各種の端末機器が接続された火災受信機に接続されて、前記端末機器のシンボルが配置された建物の各フロアの平面図を表示部のグラフィックエリアに表示すると共に、前記火災受信機から送られてくる状態情報に基づいて状態変化した端末機器を確認したとき、その状態変化した端末機器のシンボルを同一平面図上に配置されている他の端末機器のシンボルと識別可能に表示する防災表示装置において、
前記表示部にグラフィックエリアに隣接して防災用動力表示エリアを設け、状態変化した端末機器が防災用動力機器のとき、前記防災用動力表示エリアにその防災用動力機器の情報を画面表示する第1の表示制御手段を備えたことを特徴とする防災表示装置。
【請求項2】
第1の表示制御手段は、操作入力部からの操作に基づいて、前記防災用動力表示エリアに表示した防災用動力機器の情報画面を縦方向に伸縮することを特徴とする請求項1記載の防災表示装置。
【請求項3】
第1の表示制御手段は、操作入力部からの操作に基づいて、前記防災用動力表示エリアに表示した防災用動力機器の情報画面をスクロールすることを特徴とする請求項1記載の防災表示装置。
【請求項4】
前記表示部に設けられたメニューバー表示エリアに複数のスイッチを表示し、各スイッチにそれぞれ対応して設定された端末機器の状態一覧情報をデータとして有し、スイッチの選択操作に応じて、該当する端末機器の状態一覧情報を前記グラフィックエリアに表示する第2の表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の防災表示装置。
【請求項5】
前記表示部に設けられたメニューバー表示エリアに複数の制御スイッチを表示し、各制御スイッチにそれぞれ対応して設定された防災用動力機器の遠隔操作用の操作画面をデータとして有し、制御スイッチの選択操作に応じて、該当する操作画面を前記グラフィックエリアに表示する第3の表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の防災表示装置。
【請求項6】
火災受信機によって実行された端末機器の試験結果情報を受信して外部記録媒体に記録し、操作入力部の操作に基づいて試験結果情報を前記グラフィックエリアに表示する試験結果情報取得手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の防災表示装置。
【請求項7】
LANを介して副表示機と接続するためのインターフェイス部を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の防災表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate