説明

防犯システム及び防犯受信器

【課題】不当な防犯機能の停止行為を抑制するとともに、防犯受信器の設置位置を容易に変更できるようにする。
【解決手段】防犯受信器20は、直流電源により駆動し、検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する受信器本体20Aと、当該防犯システム1が敷設された建物の壁内に埋設するように固定設置され、交流電源を直流電源に変換し、直流電源を受信器本体20Aへと供給する電源部20Bとからなり、受信器本体20Aは、電源部20Bに対して着脱自在に係止される係止開口部62を有し、係止開口部62を介して電源部20Bに係止される際に、電源部20Bと電気的に接続されることで実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、何らかの異常状態を検知し、検知結果に応じた防犯処理を実行する防犯システム及び防犯受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
外部から建物内への不法な侵入を防止するために、扉、窓などに設置した検知センサ(センサ)と、侵入を検知した検知センサから送信されるワイヤレス信号を受信して警報を発する防犯受信器(ワイヤレス防犯受信器)とを備えた防犯システムが考案、実施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−173837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような防犯システムの防犯受信器は、宅内の壁面などに設けられたコンセントを介して供給される商用交流電源を変換した直流電源、または内蔵された電池によって駆動している。したがって、コンセントから電源プラグを抜く、電池を取り出すといった簡単な行為で防犯受信器の動作を容易に停止させることができてしまう。
【0005】
つまり、防犯システムを起動させていたとしても、宅内に不法に侵入した侵入者によって上述したような防犯受信器の動作を停止させる行為を実行されることで、防犯機能を容易に停止させられてしまう可能性があるといった問題がある。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、防犯受信器を宅内の壁面に固定設置させ、壁内に埋設配線された電源線から直接、電源供給されるようにする構成が考えられる。しかしながら、このように、防犯受信器を壁面に完全に固定設置させてしまうと、例えば、室内のレイアウト変更などによって、防犯受信器の設置位置を変更したい場合などに臨機応変に対応することができないといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述したような問題を解決するために案出されたものであり、第3者による不当な防犯機能の停止行為を抑制するとともに、防犯受信器の設置位置を容易に変更することができる防犯システム及び防犯受信器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防犯システムは、何らかの異常状態を検知したことに応じて、検知信号を無線信号として送信する検知センサと、前記検知センサによって送信された検知信号を受信したことに応じて所定の防犯処理を実行する防犯受信器とを備える防犯システムにおいて、前記防犯受信器が、直流電源により駆動し、前記検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する受信器本体と、当該防犯システムが敷設された建物の壁面に埋設するように固定設置され、交流電源を直流電源に変換し、前記直流電源を前記受信器本体へと供給する電源部とからなる。そして、前記受信器本体は、前記電源部に対して着脱自在に係止される係止部を有し、前記係止部を介して前記電源部に係止される際に、前記電源部と電気的に接続されることで、上述の課題を解決する。
【0009】
本発明の防犯受信器は、何らかの異常状態を検知したことに応じて、検知信号を無線信号として送信する検知センサと、前記検知センサによって送信された検知信号を受信したことに応じて所定の防犯処理を実行する防犯受信器とを備える防犯システムの防犯受信器において、当該防犯受信器は、直流電源により駆動し、前記検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する受信器本体と、前記防犯システムが敷設された建物の壁内に埋設するように固定設置され、交流電源を直流電源に変換し、前記直流電源を前記受信器本体へと供給する電源部とからなる。そして、前記受信器本体は、前記電源部に対して着脱自在に係止される係止部を有し、前記係止部を介して前記電源部に係止される際に、前記電源部と電気的に接続されることで、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第3者による不当な防犯機能の停止行為を抑制するとともに、防犯受信器の設置位置を容易に変更することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示す防犯システム1について説明をする。防犯システム1は、複数の検知センサ10(nは、自然数)と、検知センサ10と所定の周波数帯域を利用して双方向に無線通信することができる防犯受信器20とを備えている。
【0013】
まず、図1を用いて、検知センサ10の機能的な構成について説明をする。検知センサ10は、防犯受信器20に無線信号を送信し、防犯受信器20から送信される無線信号を受信するアンテナ11、無線送受信部12と、送信するデータに基づき所定の周波数の搬送波を変調し、受信した無線信号に変調されているデータを復調して取り出す変復調部13と、当該検知センサ10を統括的に制御する信号処理部14と、少なくとも当該検知センサ10を一意に特定する識別情報を記憶しているデータ記憶部15と、侵入者を検知するセンサ部16と、電源制御部17と、電源制御部17の制御に応じて当該検知センサ10の各機能部に電源を供給する電池などの電源18と、侵入者を威嚇する警報音を鳴動させる音響部19とを備えている。
【0014】
このような構成の検知センサ10は、小型形状をしており電池などの電源18を内蔵しているため、住宅をはじめとする様々な建物内外のあらゆる場所に設置可能となっている。検知センサ10が設置される場所は、センサ部16のセンシング方式によって決定される。
【0015】
センサ部16は、防犯システム1で防犯管理している建物内、建物周囲領域内へ不当に侵入した侵入者の存在といった、管理管轄領域内での何らかの異常状態を検知することができるセンサであり、例えば、窓や扉(ドア)の開閉を検知することで侵入者の存在を間接的に検知するマグネットセンサ(開閉センサ)や、物体の温度と人の温度との温度差を検出することで侵入者の存在を直接的に検知する熱線センサなどを利用することができる。
【0016】
このように、検知センサ10は、センサ部16としてマグネットセンサが使用されている場合には、窓や扉(ドア)などに設置され、熱線センサが使用されている場合には、建物の壁や天井などに設置されることになる。
【0017】
信号処理部14は、センサ部16によって、防犯システム1の管理管轄領域内へ不当に侵入した侵入者の存在が検知されたことに応じて、データ記憶部15に記憶されている当該検知センサ10を一意に特定する識別情報を読み出し、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13への電源供給を開始し、さらに、無線送受信部12、変復調部13を制御して、読み出した識別情報を添付した無線信号である検知信号をアンテナ11を介して防犯受信器20に送信する。
【0018】
信号処理部14は、防犯受信器20から送信され、アンテナ11、無線送受信部12を介して無線信号が受信されたことに応じて、変復調部13で復調された無線信号に添付されている識別情報と、データ記憶部15に記憶されている当該検知センサ10を一意に特定する識別情報とを比較し、自身に対して送信された無線信号であるかどうかを判定する。
【0019】
信号処理部14は、識別信号が一致した場合には、自身に対して送信された無線信号であると判断して、送信された無線信号の命令要求に応じた処理を実行する。
【0020】
検知センサ10は、侵入者を威嚇する威嚇機能を備えている。図1に示すように、検知センサ10は、音響部19を備えており、センサ部16で、侵入者の不当な侵入といった何らかの異常状態を検知した場合に、音響部19から威嚇音(威嚇メッセージ)を発することで侵入者を威嚇することができる。
【0021】
なお、検知センサ10が備える威嚇機能は、当該検知センサ10の近傍に存在する侵入者を威嚇することができればよいため、上述したように威嚇音を発する音響部19に限定されるものではなく、例えば、強い光を発光するランプや機械的な機構などであってもよい。
【0022】
図1に示すように、防犯受信器20は、当該防犯受信器20の主要な機能を搭載した受信器本体20Aと、受信器本体20Aへ電源を供給する電源部20Bとを備えている。電源部20Bは、当該防犯システム1が敷設された建物の壁内に埋設され、商用交流電源を直流電源に変換して受信器本体20Aに供給する。これに対し、受信器本体20Aは、電源部20Bに対して着脱自在に係止され、電源部20Bに係止される際に電源部20Bと電気的に接続されることになる。このように、受信器本体20Aと電源部20Bとからなる防犯受信器20の外観構成や具体的な設置手法などについては、後で詳細に説明をする。
【0023】
まず、図1を用いて、受信器本体20Aの機能的な構成について説明をする。図1に示すように受信器本体20Aは、検知センサ10に無線信号を送信し、検知センサ10から送信される無線信号を受信するアンテナ21、無線送受信部22と、送信するデータに基づき所定の周波数の搬送波を変調し、受信した無線信号に変調されているデータを復調して取り出す変復調部23と、当該受信器本体20Aを統括的に制御する信号処理部24と、防犯システム1を構成する全ての検知センサ10の識別情報を記憶したデータ記憶部25と、当該受信器本体20Aの各種機能を操作するための例えば、押下ボタンなどである操作部26と、表示部27と、検知センサ10から送信された検知信号を受信したことに応じて鳴動し、周囲にいる人に対して、侵入者が検知されたことを報知する音響部28と、電源部20Bから直流電源が供給される電源供給端子29と、信号処理部24からの制御信号を外部機器に出力するための制御信号出力端子30とを備えている。
【0024】
制御信号出力端子30から出力される信号処理部24からの制御信号を受け取る外部装置としては、防犯システム1を統括的に管理するセンター装置に電話回線などを介して自動的に通報をする自動通報機などがある。自動通報機は、制御信号出力端子30から出力される制御信号を受信したことに応じて、防犯システム1において何らかの異常状態が発生したことをセンター装置に自動的に通報する。
【0025】
このような構成の受信器本体20Aは、固定設置された電源部20Bに着脱自在に係止される際に、電源供給端子29と電源部20Bの電源供給コネクタ42とが接続されて電気的な接続が確立され、電源部20Bから供給される直流電源により駆動する。
【0026】
また、受信器本体20Aは、外部電源入力端子31を備えており、電源部20Bのように商用交流電源を直流電源に変換して供給するACアダプターなどを接続して駆動させることもできる。
【0027】
表示部27は、例えば、LED(Light Emitting Diode)といった発光素子や、発光ランプなどである。表示部27は、検知センサ10から送信された無線信号を受信した場合や、操作部26が操作された場合に、信号処理部24による点灯、消灯、点滅制御に応じて表示形態を変えることで、信号受信状況や、操作状況などをユーザに視覚的に提示する。例えば、検知センサ10から送信された検知信号を受信した場合には、検知センサ10の設置により侵入者を検知することが可能となった検知エリアを特定する発光ランプが点滅し、侵入者の位置をユーザに通知する。
【0028】
表示部27は、ユーザが一瞥して表示結果を視認することができればどのようなものであってもよく、例えば、赤色光、緑色光、青色光を発光することができるLEDを用い、発光色の組み合わせを変えることで上述した消灯、点灯、点滅と同じように表示形態を変えることもできる。また、このようなLEDばかりではなく、例えば、小型で薄型のEL(Electric Luminescence)発光パネルなどであってもよい。また、表示部27は、文字情報や画像情報を表示することができる液晶ディスプレイなどを用いることもできる。
【0029】
データ記憶部25は、防犯システム1を構成する検知センサ10の全ての識別情報を、検知センサ10を設置した検知エリアを特定することができる情報に対応付けて記憶している。検知エリアを特定することができる情報は、例えば、検知エリアと対応付けられた発光ランプである表示部27を特定する情報であったり、液晶ディスプレイや発光パネルである表示部27に表示させるシンボル情報などである。
【0030】
これにより、検知センサ10から送信された検知信号より取得される識別情報から、データ記憶部25に対応付けられた情報を取得し、表示部27を介してユーザに提示することで、侵入者が検知された検知エリアを特定することができる。
【0031】
信号処理部24は、検知センサ10から送信され、アンテナ21、無線送受信部22を介して検知信号が受信されたことに応じて、変復調部23で復調された検知信号に添付されている識別情報と、データ記憶部25に記憶されている検知センサ10を一意に特定する識別情報とを比較し、対応付けて記憶されている情報を読み出すとともに、音響部28を鳴動させる。そして、信号処理部24は、読み出した情報で特定される侵入者が検知された検知エリアを表示部27を介してユーザに提示する。
【0032】
受信器本体20Aは、検知エリア毎に切モード、報知モード、警戒モードといった受信器本体20Aの動作モードである監視モードを設定することができる。
【0033】
検知エリアを切モードに設定すると、受信器本体20Aは、切モードとした検知エリアに設置された検知センサ10から送信される検知信号を受信したとしても警報音を鳴動させない。切モードは、受信器本体20Aの動作状態を休止状態とする動作モードである。
【0034】
また、検知エリアを報知モードにすると、受信器本体20Aは、報知モードとした検知エリアに設置された検知センサ10から送信される検知信号を受信した場合に報知音を鳴動させるよう待機する。信号処理部24は、この報知モード時に検知信号を受信したことに応じて、音響部28、表示部27でそれぞれ報知音(報知メッセージ)の発報や、報知表示(例えば、緑色ランプ点灯)を実行させる。
【0035】
また、検知エリアを警戒モードに設定すると、受信器本体20Aは、警戒モードとした検知エリアに設置された検知センサ10から送信される検知信号を受信した場合に警報音を鳴動させるよう待機する。信号処理部24は、この警戒モード時に検知信号を受信したことに応じて、音響部28、表示部27でそれぞれ警報音(警報メッセージ)の発報や、警報表示(例えば、赤色ランプ点灯)を実行させる。また、警戒モードに設定された場合、検知信号を受信したことに応じて外部装置である自動通報機を制御する制御信号を出力させるかどうかを設定することもできる。
【0036】
次に、図1を用いて、電源部20Bの機能的な構成について説明をする。図1に示すように、電源部20Bは、電源変換部41と、電源供給コネクタ42と、商用交流電源を供給する電源線を接続する電源線接続端子43と、受信器本体20Aの制御信号出力端子30と接続される制御信号入力端子44と、制御信号入力端子44に入力された制御信号を外部装置へ送信するための信号線を接続する信号線接続端子45とを備えている。
【0037】
電源変換部41は、電源線接続端子43を介して供給された商用交流電源を直流電源へと変換する。電源供給コネクタ42は、受信器本体20Aの電源供給端子29と接続され、電源変換部41で変換された直流電源を受信器本体20Aに供給する。
【0038】
(防犯受信器20の外観構成と設置した際の様子)
次に、防犯受信器20の外観構成と、建物内に設置した際の様子について説明をする。
【0039】
図2に、防犯受信器20を実際に設置した様子を示す。図2(a)は、壁W内に埋設された電源部20Bに受信器本体20Aを係止させた際の様子を示した正面図である。図2(b)は、図2(a)に示す矢印A方向から防犯受信器20を視認した際の様子を示した図である。
【0040】
図2(a)に示すように受信器本体20Aは、筐体の正面に、操作性と視認性とを考慮して操作部26、表示部27がそれぞれ設けられている。操作部26として、上述した監視モードを警戒モード、報知モード、切モードへとそれぞれ切り替えるための警戒モード切替ボタン26a、報知モード切替ボタン26b、解除ボタン26cを備えている。
【0041】
図2(b)に示すように、電源部20Bは、当該防犯システム1が敷設された建物の所定の壁W内に埋設されたスイッチボックスSB内に固定設置される。スイッチボックスSBは、所定の規格によって定められたものであり、図示しない、壁内に敷設された商用交流電源を電送するための電源線、制御用の信号線などをそれぞれ取り纏め、電源部20Bへの接続を容易にするために設けられている。スイッチボックスSB内には、電源線と信号線とを完全分離するための絶縁セパレータSPが中央に設けられている。
【0042】
図3は、電源部20Bの分解斜視図である。図3に示すように、電源部20Bは、図1に示した電源変換部41、電源供給コネクタ42、電源線接続端子43、制御信号入力端子44、信号線接続端子45などを搭載した回路ブロック51を筐体52内に取り付け、さらに筐体53で回路ブロック51を覆うように組み付けられ、ネジ54によりネジどめされてなる。電源部20Bの筐体53には、受信器本体20Aを係止するための係止部材55がネジ56によりネジどめされている。
【0043】
このような電源部20Bは、筐体52を背面、筐体53を表面とし、図3に示す矢印A方向、つまり背面である筐体52側を建物の壁内に埋設されたスイッチボックスに挿入して固定設置する。
【0044】
図4に、電源部20Bを固定設置した際の正面から視認した様子を示す。図4に示すように、受信器本体20Aを係止させていない状態において、電源部20Bを正面方向から視認すると、係止部材55の若干の厚みと、電源供給コネクタ42が形成されている箇所に若干の凹みがあるだけで、壁Wの壁面Waとほぼ水平な面状態を保っている。したがって、受信器本体20Aを別の電源部20Bに係止させるために着脱したとしても、美観を大幅に損なうことが回避できる。
【0045】
図5(a)、(b)は、全ての部材が組み付けられた電源部20Bをそれぞれ図3に示す矢印A、B方向から視認した様子を示した図である。
【0046】
図5(a)に示すように、電源線接続端子43には、図示しない分岐ブレーカから延びる電源線DLが接続され、信号線接続端子45には、図示しない自動通報機などの外部装置から延びる信号線SLが接続されている。
【0047】
また、図5(a)、(b)に示すように、筐体52の略中央位置の上下方向に延びる対称な凸部材52a、52bによって形成される凹部xに挟み込むようにして、図5(b)に示すように、板状の絶縁部材である絶縁セパレータSPを設ける。これにより、図5(a)に示した電源線DLと信号線SLとは電気磁気的に完全に分離されることになる。なお、絶縁セパレータSPは、図2(b)に示すように、筐体52の形状とスイッチボックスSBの形状に応じて、コの字状に形成されている。
【0048】
続いて、図6を用いて、このような電源部20Bに対して、受信器本体20Aを係止させる様子について説明をする。図6に示すように、受信器本体20Aの筐体61の背面61aには、電源部20Bの係止部材55によって受信器本体20Aを係止させるための係止開口部62が形成されている。この係止開口部62は、係止部材55と同一形状の第1開口部62aと第1開口部62aよりも左右方向に狭められた第2開口部62bからなる。
【0049】
電源部20Bに対して受信器本体20Aを係止させる場合、まず、係止開口部62の第1開口部62aに係止部材55が挿入されるように、受信器本体20Aの位置を合わせ、続いて、第1開口部62aに係止部材55が挿入された状態で、受信器本体20Aを下方向へと引き下げる。
【0050】
このとき、受信器本体20Aに形成された第2開口部62bの上側の縁である縁部61Uの、電源部20Bの筐体53に形成されているストッパー部57との接触により、受信器本体20Aの下方向への引き下げ動作が停止させられるとともに、受信器本体20Aを支持する。さらに、受信器本体20Aの下方向への引き下げにより、受信器本体20Aの第2開口部62bの左右側の縁である縁部61L、61Rは、それぞれ電源部20Bの係止部材55の左右端部である端部55L、55Rと筐体53とによって挟まれる。このように、受信器本体20Aは、筐体61に形成された係止開口部62により、電源部20Bに対して係止されることになる。
【0051】
また、電源部20Bに対して受信器本体20Aを係止させる前段において、受信器本体20Aの電源供給端子29と、電源部20Bの電源供給コネクタ42とを接続して、受信器本体20Aと電源部20Bとを電気的に接続させる。この電気的な接続箇所は、防犯受信器20の外観上には露出していないため、一瞥した際にあたかも防犯受信器20が壁Wに固定設置され、壁W内に敷設された電源線から電源供給を受けているかの印象を与えることができる。
【0052】
なお、図6において、受信器本体20Aの制御信号出力端子30と電源部20Bの制御信号入力端子44との接続の様子については省略しているが、電源供給端子29と電源供給コネクタ42とを接続する際に、同じように接続を行うものとする。
【0053】
このように、電源部20Bに係止された受信器本体20Aは、係止させる場合と全く逆の動作により、容易に電源部20Bから着脱させることができる。
【0054】
これにより、建物内のレイアウト変更などにより、防犯受信器20の設置位置も変更する必要があった場合には、レイアウト変更の影響を受けない箇所に設置してあるスイッチボックスSBを利用して新たな電源部20Bを固定設置し、新たに固定設置した電源部20Bに対して着脱した受信器本体20Aを係止させる。また、建物内に防犯システム1を敷設する際に、レイアウト変更を想定し、複数のスイッチボックスSBを設置してあらかじめ電源部20Bを固定設置させておくと、実際にレイアウト変更などをした際に極めて容易に受信器本体20Aの設置場所の移動を行うことができる。
【0055】
このように、防犯受信器20を、固定設置した電源部20Bに対して受信器本体20Aを着脱自在に係止させるような構成とすることで、この防犯受信器20を一瞥した場合に、防犯受信器20があたかも壁面に固定設置されているような印象を与えることができるため、不法に侵入した侵入者といった第3者により、不当に行われる可能性の高い防犯受信器20への電源供給の遮断などによる防犯機能の停止行為を抑制することができる。また、建物内のレイアウト変更などがあり、一旦設置した防犯受信器20の設置を変更する必要があった場合でも、防犯受信器20の設置位置を容易に変更することができる。
【0056】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態として示す防犯システムの構成について説明するための図である。
【図2】前記防犯システムが備える防犯受信器の外観構成について説明するための図である。
【図3】前記防犯受信器の電源部の分解斜視図である。
【図4】壁内に固定設置された前記防犯受信器の電源部を正面から視認した際の様子を示した図である。
【図5】前記防犯受信器の電源部において、スイッチボックス内に収納される部位の様子について説明するための図である。
【図6】前記防犯受信器において、固定設置された電源部に対して受信器本体を係止させる様子について説明するための図である。
【符号の説明】
【0058】
1 防犯システム
10 検知センサ
20 防犯受信器
20A 受信器本体
20B 電源部
24 信号処理部
29 電源供給端子
30 制御信号出力端子
31 外部電源入力端子
41 電源変換部
42 電源供給コネクタ
43 電源線接続端子
44 制御信号入力端子
45 信号線接続端子
51 回路ブロック
52 筐体
53 筐体
55 係止部材
55L 端部
55R 端部
57 ストッパー部
61 筐体
61L 縁部
61R 縁部
61U 縁部
61a 背面
62 係止開口部
62a 第1開口部
62b 第2開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
何らかの異常状態を検知したことに応じて、検知信号を無線信号として送信する検知センサと、前記検知センサによって送信された検知信号を受信したことに応じて所定の防犯処理を実行する防犯受信器とを備える防犯システムにおいて、
前記防犯受信器は、直流電源により駆動し、前記検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する受信器本体と、
当該防犯システムが敷設された建物の壁内に埋設するように固定設置され、交流電源を直流電源に変換し、前記直流電源を前記受信器本体へと供給する電源部とからなり、
前記受信器本体は、前記電源部に対して着脱自在に係止される係止部を有し、前記係止部を介して前記電源部に係止される際に、前記電源部と電気的に接続されること
を特徴とする防犯システム。
【請求項2】
何らかの異常状態を検知したことに応じて、検知信号を無線信号として送信する検知センサと、前記検知センサによって送信された検知信号を受信したことに応じて所定の防犯処理を実行する防犯受信器とを備える防犯システムの防犯受信器において、
当該防犯受信器は、直流電源により駆動し、前記検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する受信器本体と、
前記防犯システムが敷設された建物の壁内に埋設するように固定設置され、交流電源を直流電源に変換し、前記直流電源を前記受信器本体へと供給する電源部とからなり、
前記受信器本体は、前記電源部に対して着脱自在に係止される係止部を有し、前記係止部を介して前記電源部に係止される際に、前記電源部と電気的に接続されること
を特徴とする防犯受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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