説明

防犯センサ

【課題】
マスキング等を施すことなく警戒エリアのみを高精度に監視し得ると共に、警戒エリア内の侵入物の距離情報と大きさ情報とを同時に取得できて、センサの小型化等が図れコスト的に有利な防犯センサを提供する。
【解決手段】
投光エリア内に存在する侵入物までの距離と該侵入物の大きさを同時に測定可能な距離画像センサと、該距離画像センサで得られた距離画像の距離情報及び大きさ情報と任意に設定可能な距離しきい値とに基づき、距離しきい値内の侵入物のみを警報対象であると判定する判定手段と、を備える。判定手段は侵入物が人体である否かを区別して侵入者のみを警報対象とし、また、距離画像センサは背景光を除去可能なCMOS撮像素子によって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離撮像素子により撮影した距離画像の距離情報と大きさ情報とに基づいて、予め設定した警戒エリア内の侵入者を検知することが可能な防犯センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防犯センサとしては、例えば特許文献1に開示されている。この防犯センサ(侵入監視装置)は、監視領域の光学画像を撮影する撮像手段と、監視領域に向かう複数の測距方向それぞれについて順次対象物までの距離を測定する測距手段と、を備え、侵入検知手段によって、撮像手段で得られた光学画像の変化領域と測距手段で得られた距離変化を生じた測距ポイントとの相関を考慮して、侵入者の判定を行うようにしたものである。
【特許文献1】特開2002−208073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような防犯センサにおいては、撮像手段で得られた光学情報と測距手段により測定された複数ポイントの距離情報との相関に基づいて侵入者を判定する方式であるため、測距ポイントから外れた侵入物等の場合にその判定を高精度に行うことが困難であると共に、光学情報と複数ポイントの距離情報とを位置的に対応させる必要があったり、撮像手段と測距手段との間の位置ズレを補正する必要がある等、光学情報と距離情報に基づいて侵入者を判定するための情報処理のプロセスが複雑化し易い。また、撮像手段と測距手段がそれぞれ別体で構成されて配置されるため、センサ自体が大型化して、例えば設置の汎用性やコスト面で劣ることになる。
【0004】
さらに、測距手段のレーザービーム等の測定媒体を単に測距方向に送出して対象物からの反射光により距離を測定するのみであるため、警戒エリアが大きくなると共に非警戒エリア内の対象物までも検知してしまう虞があり、警戒エリアのみを確実かつ簡単に監視することが難しい。そこで、このような問題点を解消するために撮像手段や測距手段にマスキングを施すことも考えられるが、このような場合には、マスキングするための作業が面倒となり、結果として設置コストのアップを招き易い。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、マスキング等を施すことなく警戒エリアのみを高精度に監視し得ると共に、警戒エリ内アの侵入物の距離情報と大きさ情報とを同時に取得できて、センサの小型化等が図れコスト的に有利な防犯センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、投光エリア内に存在する侵入物までの距離と該侵入物の大きさを同時に測定可能な距離画像センサと、該距離画像センサで得られた距離画像の距離情報及び大きさ情報と任意に設定可能な距離しきい値とに基づき、距離しきい値内の侵入物のみを警報対象であると判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
そして、前記判定手段は、請求項2に記載の発明のように、侵入物が人体であるか否かを区別して侵入者のみを警報対象とすることが好ましい。また、前記距離画像センサは、請求項3に記載の発明のように、近赤外波領域に感度のある撮像素子を用いると共に、その投光手段として近赤外波領域に波長を持つ投光素子を用いることが好ましく、また、請求項4に記載の発明のように、背景光を除去可能なCMOS撮像素子によって形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、距離画像センサで得られた距離画像の距離情報及び大きさ情報と任意に設定可能な距離しきい値とに基づき、判定手段により距離しきい値内の侵入物のみが警報対象であると判定されるため、マスキング等を施すことなく簡易な構成により警戒エリアを設定して該警戒エリアのみを高精度に監視することができると共に、距離画像センサで警戒エリア内の侵入物の距離情報と大きさ情報とを同時に取得できて、センサの小型化等が図れコスト的に有利な防犯センサを得ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、判定手段により侵入物が人体である否かが区別されて侵入者のみが警報対象とされるため、侵入物としての小動物や落ち葉等を警報対象とすることがなくなり、侵入者のみを精度良く検知することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、距離画像センサが、近赤外波領域に感度のある撮像素子を用いると共に投光手段として近赤外波領域に波長を持つ近赤外LED等の投光素子を用いるため、昼夜に係わらず得られた距離画像により距離と大きさを測定できて、侵入者のみを一層精度良く検知することができる。
【0011】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、距離画像センサが背景光を除去可能なCMOS撮像素子によって形成されているため、省電力化に優れた素子の使用が可能になると共に、集積回路に組み込んで小型化等を図ることができて、コスト的に一層有利な防犯センサを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図8は、本発明に係わる防犯センサの一実施形態を示し、図1がその基本構成を示すブロック図、図2が距離画像センサの一例を示すブロック図、図3及び図4が防犯センサの設置状態の一例を示す模式図、図5〜図7がその動作を示すフローチャート、図8が防犯センサの各種設置形態の説明図である。
【0013】
図1に示すように、本発明に係わる防犯センサ1は、距離画像センサとしてのCMOS撮像素子2と、このCMOS撮像素子2で得られた画像に基づいて侵入物を判定する距離大きさ判定部3(以下、単に判定部3という)と、後述する警戒エリア13aの範囲を設定するためのしきい値設定部4と、判定部3で判定された判定結果を出力する出力部5等で構成されている。また、CMOS撮像素子2には、投光手段としての近赤外LED6が接続されると共に、近赤外LED6による反射光を集光するためのレンズ7等が接続されている。
【0014】
前記CMOS撮像素子2は、例えば図2に示すように、フォトダイオード8a、光波同期電荷電圧蓄積部8b及びバッファ8c等で形成された多数の画素回路8と、各光波同期電荷電圧蓄積部8bに接続されたタイミング制御回路9と、水平シフトレスジスタ10及び垂直走査回路(垂直レジスタ)11と、出力バッファ12等を備え、これらが半導体基板上にMOS構造によって構築されている。
【0015】
そして、このCMOS撮像素子2は、フォトダイオード8aからの電荷を近赤外LED6からの光の継続動作と同期させて交互に電荷転送して蓄積を行い、蓄積電荷の配分比から物体までの距離を求めると共に、近赤外LED6による反射光が存在しない期間に、背景光による電荷を転送して、背景光除去のための電荷蓄積を行うようになっている。
【0016】
また、このCMOS撮像素子2は、前記画素回路8として近赤外波領域に感度のある数百〜数万画素を有し、1画素毎に距離測定を行い1画素毎に距離情報を出力可能、すなわち全画素同時に距離測定が可能に構成されている。この時、画素数は多ければ多い程、侵入物の大きさに対する精度は向上するが、侵入物を撮像した際に人体の大きさか小動物等の大きさかを区別できる程度の画素数(例えば1画素に割り当てられる警戒エリアの大きさが5cm角程度)であれば良い。
【0017】
また、前記近赤外LED6は、複数個配置されるかあるいはこれらと投光レンズ等によって、投光エリア13(図3及び図4参照)内に近赤外光を投光するように設定されている。この時、近赤外LED6から変調光を投光することにより、投光開始タイミングと受光開始タイミングが前述したタイミング制御回路9(もしくはCPU等の外部デバイスに設けたタイミング制御回路)によって制御されるようになっている。
【0018】
このように構成されたCMOS撮像素子2(防犯センサ1)は、例えば図3及び図4に示すように、床面14上の所定高さ位置の壁面等に水平方向に向けて設置されて、複数個の近赤外LED6あるいはこれらと投光レンズ等により、図の点線で示す面状の投光エリア13に投光されるようになっている。そして、この投光エリア13は、前記しきい値設定部4で設定された距離しきい値Sによる範囲が警戒エリア13aとして設定され、この警戒エリア13aの外側が非警戒エリア13bとなっている。なお、警戒エリア13aは投光幅が平面視で所定角度θに設定されると共に、警戒エリア13aの先端で非警戒エリア13bとの境界となる警戒エリア外周線Lが直線状(もしくは二点鎖線で示す円弧形状)に設定されることにより、警戒エリア13aを例えば上方(側方)から見た場合にCMOS撮像素子2を要とする略扇形状に形成されている。
【0019】
ここで、CMOS撮像素子2を水平方向に設置した場合の、防犯センサ1による侵入者と小動物等の侵入物との判定方法の一例を、図3及び図4に示す模式図と図5に示すフローチャートに基づいて説明する。先ず、図5に示すように、投光エリア13内に侵入物が無い状態を確認して防犯センサ1に電源が供給されると、防犯センサ1の検知(監視)動作が開始(S101)され、近赤外LED6による投光エリア13内の反射光をCMOS撮像素子2で撮像することにより得られた撮像画像(距離画像という)が取得(S102)される。
【0020】
そして、この距離画像に基づいて判定部3で侵入物が有りか否かが判断(S103)される。この判断S103は、後述するようにして記憶された基準画像と今回測定した距離画像とを比較し、距離画像の各画素の距離情報が基準画像の距離情報に対して変化した画素がある場合に侵入物が「有り」と判断され、距離画像の全ての画素の距離情報に変化が無い場合に侵入物が「無し」と判断される。この判断S103で「NO」の場合、すなわち投光エリア13内に侵入物が無い場合は、撮像した距離画像が前記基準画像として記憶(S104)され、ステップS102に戻る。また、判断S103で「YES」の場合、すなわち投光エリア13内に侵入物が有る場合は、距離情報が変化した画素数に基づいて、侵入物が人体より大きいか否かが判断(S105)される。
【0021】
この判断S105は、距離画像に基づく画素数(大きさ情報)とその各画素の距離値及び基準画像からの距離差等によって、例えば次のようにして行われる。すなわち、投光エリア13内に図3及び図4に示すように、人体15と鳥や鼠等の小動物16が存在した場合、図に示す位置関係において、距離において人体15までが遠く小動物16までが近くなり、大きさにおいて人体15が大きく小動物16が小さくなって、距離と大きさの両方の違いによって人体15と小動物16とが区別される。
【0022】
また、投光エリア13内に例えば落ち葉17が落下した場合は、その距離が共に遠いものの大きさを示す画素数が人体15は多く落ち葉17は少なくなり、この大きさの違いによって人体15と落ち葉17とが区別される。このように、距離画像によって、遠くて小さいものあるいは大きくても近いと判定したものが小動物16や落ち葉17として判断され、この時、人体15や小動物16、落ち葉17の大きさの判定は、距離変化があった画素のうち連続する画像数を計数することで精度良く行われるようになっている。
【0023】
そして、図5に示す判断S105で「NO」の場合、すなわち投光エリア13内の侵入物が人体15よりも小さく小動物16(もしくは落ち葉17)と判定した場合は、ステップS102に戻り、該ステップS102以降を繰り返す。また、判断S105で「YES」の場合、すなわち投光エリア13内の侵入物が人体15であると判定した場合は、人体15が警戒エリア13a内か否かが判断(S106)される。この判断S106は、距離画像に基づいて検知された人体15までの距離情報が、予め距離しきい値Sにより設定されている警戒エリア13a内の距離内であるか否かを判定することにより行われ、この時使用される距離情報としては、人体15を示す最も近い(あるいは最も遠い)距離情報を使用したり、人体15を示す全ての距離情報を使用することができる。
【0024】
この判断S106で「NO」の場合、すなわち検知された人体15が非警戒エリア13b内の場合には、人体15を侵入者として判定せず、ステップS102に戻り該ステップS102以降を繰り返す。一方、判断S106で「YES」の場合、すなわち検知された人体15が警戒エリア13a内の場合には、判定部3で人体15を警報対象となる侵入者と判定して、出力部5から所定の警報を発する発報(S107)を行う。この時の発報は、一般的な警報音であっても良いし、侵入者に対して威嚇効果のあるもの、あるいは遠隔地にいる警備員に知らせる効果のあるもの等、適宜の警報手段を採用することができる。
【0025】
このステップS107で発報したら、例えばこの状態を記憶させてステップS102に戻り該ステップS102以降を繰り返すか、あるいは発報状態を維持した状態で検知動作を停止させる。これにより、CMOS撮像素子2で撮像された距離画像に基づく距離情報と大きさ情報とにより、人体15と小動物16や落ち葉17等が区別されると共に、人体15が警戒エリア13a内に侵入した侵入者であるか否かを区別して、人体15が侵入者と判定された場合にのみ発報されることになる。
【0026】
なお、以上のフローチャートにおいては、投光エリア13内に侵入物が無い状態を基準画像として設定したが、例えば、基準画像を図6及び図7に示すよう設定することもできる。以下、図5と同一ステップには同一符号を付して説明する。先ず、図6に示すフローチャートの場合は、ステップS102で取得した距離画像に基づいて侵入物が有りか否かが判断(S103)され、侵入物が無しの場合は取得した距離画像が基準画像として記憶(S104)されると共に、判断S103で侵入物が有りその大きさが人体15より小さい場合、すなわち判断S105で「NO」の場合も、取得した距離画像が基準画像として記憶(S104)される。
【0027】
また、投光エリア13内で人体15が検知されて判断S105で「YES」となり、この人体15が非警戒エリア13b内で判断S106で「NO」の場合にも、取得した距離画像が基準画像として記憶(S104)される。つまり、このフローチャートの場合は、電源が投入されて動作が開始されると、侵入物が警戒エリア13a内の人体15でない限り、撮像された距離画像が基準画像して記憶されることになり、防犯センサ1の動作開始が確実に行われると共に、前回の距離画像との比較が的確に行えて侵入者の検知精度が高められることになる。
【0028】
また、図7に示すフローチャートの場合は、距離画像が取得(S102)されると、先ず基準画像取得要求が有りか否かが判断(S108)され、この判断S108で「YES」の場合、すなわち防犯センサ1の適宜位置に設けた接点入力、音声入力、伝送路(電話回線等)からの信号、ワイヤレスによる信号受信等の要求入力部(図示せず)から基準画像取得要求があった場合は、取得した距離画像が基準画像として記憶(S104)される。そして、判断S108で「NO」の場合に侵入物が有りか否かが判断(S103)され、侵入物が無く判断S103で「NO」の場合にはステップS102に移行すると共に、判断S103で「YES」の場合には人体15より大きいか否かが判断(S105)されることになる。
【0029】
つまり、このフローチャートの場合は、外部から基準画像の取得要求があった場合に、基準画像を取得して防犯センサ1が動作可能な状態に設定されることになる。このように、基準画像の設定は、防犯センサ1の動作開始時に自動的に設定したりあるいは外部操作により設定する等、防犯センサ1の設置場所や監視対象物等に応じて適宜のタイミングで設定することができる。また、フローチャート自体も、例えば後述する金庫等の重要物24近辺を警戒する場合に、侵入開始から1秒以上警戒エリア13a内に留まった者のみを警報対象として、1秒以内の者は警報対象としないことで、単なる通過者なのか盗難目的の侵入者なのかを区別する等、基本的に同様の動作が得られる適宜のフローチャートを採用することができる。
【0030】
このように構成された防犯センサ1は、例えば図8に示すような各種設置形態で使用される。なお、図に示す丸印が防犯センサ1の配置を示し矢印がその警戒方向を、また二点鎖線が警戒エリア13aの前記外周線Lを示している。先ず、図8(a)に示す設置形態は、建物の玄関20部分に防犯センサ1を設置し、その警戒方向を塀21方向に設定すると共に警戒エリア外周線Lを塀21に設けた門21aの内側に沿った直線状として、建物の敷地22内のみを警戒エリア13aに設定したものである。また、図8(b)に示す設置形態は、建物のドア23の上部に防犯センサ1を設置し、その警戒方向を前方(玄関や廊下)に設定すると共に警戒エリア外周線Lを円弧形状として、ドア23直前のみを警戒エリア13aに設定したものである。この例の場合は、玄関ドアや勝手口ドア、あるいは工場の出入りドア等の各種ドアあるいは各種窓にも適用することがてきる。
【0031】
さらに、図8(c)に示す設置形態は、建物内の金庫等の重要物24近辺に防犯センサ1を設置し、その警戒方向を前方に設定すると共に警戒エリア外周線Lを円弧形状として、重要物24近辺のみを警戒エリア13aに設定したものである。また、図8(d)に示す設置形態は、敷地内の壁25や塀近辺に防犯センサ1を設置し、その警戒方向を前方に設定すると共に警戒エリア外周線Lを円弧形状(もしくは直線状)として、壁25や塀の近辺のみを警戒エリア13aに設定したものであり、例えば壁25として駐車場の壁を利用することで、車上荒らしや車両26の盗難等を検知できることになる。このように、防犯センサ1は警戒場所に応じて適宜の形態を採用して設置することができると共に、その警戒エリア外周線Lの形状も円弧形状や直線状に限らず、例えば段階状に設定する等、適宜の形態を採用することができる。
【0032】
以上、詳述したように、上記実施形態の防犯センサ1にあっては、しきい値設定部4により警戒エリア13aを設定すると共に、CMOS撮像素子2で得られた距離画像の距離情報及び大きさ情報とに基づき、判定部3により警戒エリア13a内の人体15のみを警報対象として判定するため、従来のように、投光手段等にマスキングを施すことなく警戒エリア13aを簡単に設定して該警戒エリア13aのみを確実に監視することができる。
【0033】
また、判定部3により侵入物が人体15より大きいか小さいかを区別して警戒エリア13a内に侵入した人体15のみが警報対象とされるため、侵入物としての小動物16や落ち葉17等を警報対象とすることがなくなり、侵入者のみを高精度に検知することができる。また、警戒エリア13aの設定がしきい値設定部4に予め所定の距離しきい値Sを設定することで対応できるため、警戒エリア13aの設定を従来のマスキング等のハード的ではなくソフト的に行えて、その設定作業が容易に行えると共に、一度設定することで長期に亘り安定した警戒エリア13aを得ることができる。
【0034】
さらに、距離画像センサとして近赤外波領域に感度のあるCMOS撮像素子2を用いると共に、投光手段として近赤外LED6を使用しているため、昼夜に係わらず警戒エリア13aの距離画像を得て侵入物の距離測定等が精度良く行え、警戒エリア13aへの侵入者の検知を高精度に行うことができる。また、距離画像センサとして一つのCMOS撮像素子2が使用されるため、省電力化に優れた素子の使用が可能になると共に、その他の情報処理が可能な集積回路に組み込むことで、CMOS撮像素子2の小型化等を図ることができて、光学画像と距離画像を別々の手段で設ける従来例に比較して、コスト的に大幅に有利な防犯センサ1を得ることが可能となる。
【0035】
また、CMOS撮像素子2で撮像された警戒エリア13aの距離画像の距離情報と大きさ情報とに基づき、判定部3により侵入物が人体15か小動物16か等を判定して、侵入者の場合にのみ発報するため、一つのCMOS撮像素子2で警戒エリア13a内の侵入物に関する距離情報と大きさ情報とを同時に取得できて、例えば距離画像と大きさ情報を別々に取得する場合に必要となる両情報の補正が不要になる等、情報処理を容易かつ効率的に行うことができると共に、侵入者を一層高精度に検知することができる。
【0036】
またさらに、電源が投入された際に、警戒エリア13a内に人体15が検知されない限り、撮像された距離画像を判定部3により基準画像として自動的に設定するようにすれば、基準画像の自動設定が可能となって、防犯センサ1の使い勝手を向上させることができ、また、基準画像を外部操作によって設定するように構成すれば、警戒が必要で侵入者等が存在しない場合の距離画像を基準画像として設定できて、使い勝手と検知動作の信頼性を一層高めることができる等、防犯センサ1の設置場所に最適な基準画像の設定を簡単に行うことが可能となる。
【0037】
なお、上記実施形態においては、CMOS撮像素子2による投光方向を水平方向に向けて設置したが、本発明に係わる防犯センサ1はこの例に限定されず、例えば投光方向を下方向に向けて設置したり斜め方向に向けて設置することもできるし、警戒エリア13aも面状エリアに限らず線状エリアで形成することができる。また、上記実施形態における、CMOS撮像素子2自体や防犯センサ1の構成、投光手段の構成等も一例であって、例えばCMOS撮像素子2と判定部3等を同一半導体基板上に構築したり、投光手段として近赤外波領域以外の光を使用する等、本発明の各発明に係わる要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、撮像素子としてCMOS撮像素子を使用した防犯センサに限らず、距離画像が得られる各種の撮像素子を使用した防犯センサにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係わる防犯センサの一実施形態の基本構成を示すブロック図
【図2】同そのCMOS撮像素子のブロック図
【図3】同防犯センサの設置状態の側面の模式図
【図4】同その平面の模式図
【図5】同動作の一例を示すフローチャート
【図6】同他の動作を示すフローチャート
【図7】同さらに他の動作を示すフローチャート
【図8】同防犯センサの各種設置形態の説明図
【符号の説明】
【0040】
1・・・防犯センサ、2・・・CMOS撮像素子、3・・・距離大きさ判定部、4・・・しきい値設定部、5・・・出力部、6・・・近赤外LED、7・・・レンズ、8・・・画素回路、8a・・・フォトダイオード、8b・・・光波同期電荷電圧蓄積部、8c・・・バッファ、9・・・タイミング制御回路、10・・・水平シフトレジスタ、11・・・垂直走査回路、12・・・出力バッファ、13・・・投光エリア、13a・・・警戒エリア、13b・・・非警戒エリア、14・・・床面、15・・・人体、16・・・小動物、17・・・落ち葉、20・・・玄関、21・・・塀、21a・・・門、22・・・敷地、23・・・ドア、24・・・重要物、25・・・壁、26・・・車両、L・・・警戒エリア外周線、S・・・距離しきい値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光エリア内に存在する侵入物までの距離と該侵入物の大きさを同時に測定可能な距離画像センサと、該距離画像センサで得られた距離画像の距離情報及び大きさ情報と任意に設定可能な距離しきい値とに基づき、距離しきい値内の侵入物のみを警報対象であると判定する判定手段と、を備えることを特徴とする防犯センサ。
【請求項2】
前記判定手段は、侵入物が人体であるか否かを区別して侵入者のみを警報対象とすることを特徴とする請求項1に記載の防犯センサ。
【請求項3】
前記距離画像センサは、近赤外波領域に感度のある撮像素子を用いると共に、その投光手段として近赤外波領域に波長を持つ投光素子を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の防犯センサ。
【請求項4】
前記距離画像センサは、背景光を除去可能なCMOS撮像素子によって形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防犯センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−323652(P2006−323652A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146679(P2005−146679)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】