説明

防犯ブザー

【課題】防犯ブザー全体の小型化を図る。
【解決手段】鼓型の共鳴室13と吹き口14との間に気路15を設け、その気路15と共鳴室13の境に開口16を設けたホイッスル部11の前記共鳴室13の内壁にブザー部12を設け、そのブザー部12の振動がホイッスル部11の共鳴室13に伝達し、共鳴を利用して大きな警報音を効率よく発するようにして、ブザー部12の小型化を図り、防犯ブザー全体の小型化を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブザーの音量アップにホイッスルの共鳴室を利用した防犯ブザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
防犯用のグッズとして、例えば(特許文献1)のような、ホイッスルを備えた防犯用の警報器がある。このものは、図8(a)に示すように、警報手段1として音声発生手段と発光手段を備えたケース2に、ホイッスル3を抜き差しできるように取り付けたもので、図8(b)のように、ホイッスル3をケース2から抜き取ることにより警報手段1が作動する。こうして、抜き取ったホイッスル3を警報手段1のスイッチとして用いることで、ケース2が破壊されても抜き取ったホイッスル3を吹けば警報機能を維持できるというものである。
【0003】
ところで、上記のような防犯用に使うものでは、警報手段1の警報音は大きくて、より遠くまで聞こえる方が良い。そのため、例えば、上記のものでは、2個のスピーカー4を設けるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−242782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のものでは、2個のスピーカーを備えた上に、ホイッスルを備えているので、ケースが大きくなってしまう。また、その際、出力音を大きくするために、電池も比較的大きなものを内蔵しているので、重量も重くて携帯用としては問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、効率よく大きな警報音を発せられるようにして警報手段の小型化を図り、省電力を図って電池の小型化を図り、ブザー全体の小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明では、ブザーをホイッスルの共鳴室に接するように配置し、あるいはブザーをホイッスルの共鳴室へ通路を介して配置して、前記共鳴室がブザーの振動で共鳴するようにした構成を採用したのである。
【0008】
このような構成を採用したことにより、非常時にブザーを使用した場合は、ブザーの振動がホイッスルの共鳴室に伝えられ、共鳴してブザー単体の時よりも大きな音が出力される。このとき、ブザーの振動数とホイッスルの共鳴室の固有振動数が近ければ、より大きな共鳴を得て大きな音を出力することができる。
【0009】
その際、ブザーの振動数とホイッスルの共鳴室の固有振動数とが一致するようにした構成を採用すれば、より大きな共鳴を得ることができるので、効率的に大きなブザー音を出力することができる。
【0010】
また、非常時に、例えばブザーが電池切れなどで使用できなくなった場合は、ホイッスルを吹いて知らせることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、以上のように構成したことにより、警報音を大きくし、かつ、防犯ブザーの小型軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1及び図2(a)、(b)に示すように、この形態の防犯ブザー10はホイッスル部11とブザー部12とで構成されている。
【0014】
ホイッスル部11は、鼓型の共鳴室13と吹き口14との間に気路15を設け、その気路15と共鳴室13の境に開口16を設けた構造のものである。また、前記共鳴室13の背部にはジャック17を設けて、そのジャック17にピン18を差し込んだ形状となっている。
【0015】
ブザー部12は、例えば図3に示すような、圧電振動板を持つ圧電サウンダに自励発振回路を組合せて一体化した自励式の圧電ブザーである。ちなみに、この形態では、直径17mm、厚さ4mm、動作電圧3V〜15Vのものを使用している。
【0016】
また、この形態では、前記ブザー部12を図2(b)のように、共鳴室13の内壁に取り付けている。こうすることで、ブザー部12とホイッスル部11の共鳴室13とが接するようにして、ブザー部12の振動がホイッスル部11の共鳴室13に伝えられ、ブザー部12が単体の時よりも大きな音が出力されるようにしてある。このとき、ブザー部12の振動数は、ホイッスル部11の共鳴室13の固有振動数と一致するような近いものを採用している。
【0017】
このブザー部12は図4のようにスイッチ付きのピンジャック17を介して電池19と接続されており、ピン(絶縁)18を引き抜くとジャック17の接点がオンしてブザー部12が作動するようになっている。
【0018】
電池19は、この形態の場合、例えばコイン型のリチウム電池を用いており、図2(b)のように、共鳴室の上方に部屋を設けて収容するようにしてある。こうして、共鳴室13と分離することで、共鳴に支障がでないようにしてある。
【0019】
なお、符号20はクリップで、クリップ20を使って衣服や鞄などに把持できるようにしてある。
【0020】
この形態は、上記のように構成されており、この防犯ブザー10は、ジャック17にピン18をセットした状態で携行する。
【0021】
そして、緊急時にホイッスル部11をもってピン18を引き抜くようにすると(抜け切らない場合でも接点がオンするようなものでも可)、ジャック17の接点がオンしてブザー部12と電池とが接続し、ブザー部12が鳴動する。その振動は、ホイッスル部11の共鳴室13で共鳴し、ブザー部12が単体の時よりも大きな音を出力することになる。その際、ブザー部12の振動数とホイッスル部11の共鳴室13の固有振動数とが一致するようにしてあるので、より大きな共鳴を得て、ブザー音をより遠くまで届かせることができる。
【0022】
一方、この防犯ブザー10は、ブザーを使わないで、ホイッスル部11の吹き口から息を吹き込んでホイッスルとして使用することもできる。こちらは、電池19が無くとも使用できるので、例えば災害時に倒壊した家屋に閉じ込められて、電池が無くなった場合でも使用できる。
【0023】
このように、共鳴を利用して大きな警報音を効率よく発することができるので、ブザー部12も小型のものでも良く、警報手段の小型化を図ることができる。また、共鳴を利用して効率よく警報音を発することから省電力なので、電池19も小型のものを採用して防犯ブザー10自体の小型化を図ることができるので、携帯用として最適である。
【実施例1】
【0024】
この実施例1は、ブザー部12と電池19及びジャック17の配置の態様を示すものである。図5は、ブザー部12を共鳴室13の外側面に通路21を設けて配置し、前記通路21を介して共鳴室へ振動を伝えるようにしたものである。
【0025】
また、電池19は、図5のように、この実施例1では、共鳴室13の側面に部屋を設けて収容するようにしてある。さらに、その電池の下方に部屋を設けてジャック17を配置し、ピン18を側方から突出するようにしてある。
【0026】
図6(a)、(b)に、図5の他の態様を示す。図6(a)はブザー部12をホイッスル部11の横から突出させ、ブザー部12が通路21を介してホイッスル部11の共鳴室13に接するようにしたものである。図6(b)は、ブザー部12を吹き口14の下方に設けたものである。
【0027】
これ以外にもブザー部12は、共鳴室13内外の底面や上面など振動が共鳴室13へ伝わるところであれば、どこに設けても良い。
【0028】
これらのブザー部12、電池19、ジャック17の配置は組み合わせることができる。例えば、図7のように複数の電池19をソケットで取り付けたり、通路21を介して接するブザー部12と共鳴室13とをホイッスル部11内に設けたりすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
防犯用のブザーとしての利用の他に、例えば倒壊した家屋に閉じ込められて、電池が無くなった場合でもホイッスルとして使用することもできるので、災害用としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態の斜視図
【図2】(a)図1の横断面図、(b)図1の縦断面図
【図3】ブザーの斜視図
【図4】実施形態の回路図
【図5】実施例1の一部横断面図
【図6】(a)実施例1の他の態様の横断面図、(b)実施例1の他の態様の縦断面図
【図7】実施例1の他の態様の横断面図
【図8】(a)従来例の作用説明図、(b)従来例の作用説明図
【符号の説明】
【0031】
10 防犯ブザー
11 ホイッスル部
12 ブザー部
13 共鳴室
21 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブザーをホイッスルの共鳴室に接するように配置し、あるいはブザーをホイッスルの共鳴室へ通路を介して配置して、前記共鳴室がブザーの振動で共鳴するようにした防犯ブザー。
【請求項2】
上記ブザーの振動数とホイッスルの共鳴室の固有振動数とが一致するようにした請求項1に記載の防犯ブザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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