説明

防犯監視システム

【課題】検知手段が人を検知しても報知不要の人については報知を禁止することのできる防犯監視システムの提供を目的とする。
【解決手段】検知範囲内の人を検知手段で検知して前記検知を報知手段で報知し、報知禁止信号を報知禁止手段で受信した場合には前記報知手段による前記報知を禁止する監視報知装置と、前記報知禁止信号を発信する報知禁止信号発信装置とで防犯監視システムを構成した。前記検知手段は、検知範囲の異なる複数のセンサを備え、前記人を検知したセンサあるいは人を検知したセンサの組合せによって、前記報知手段による報知態様を異ならせてもよい。さらに、前記監視報知装置が撮影手段を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯監視システムとして、人を検知すると報知手段で報知、例えば照明装置を点灯したり威嚇音を発したりするものが知られている。
【0003】
しかし、従来の防犯監視システムにおいては、例えば防犯監視システムを設けた家の者が帰宅する際や外出する際等にも照明装置が点灯したり威嚇音を発したりするため、恥ずかしい思いをしたり、近所迷惑であったり、さらには電気を無駄に消費したり、発光装置のランプ寿命が短くなったりするなどの問題がある。
【特許文献1】特開平6−223276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、検知手段が人を検知しても報知不要の人については報知を禁止することのできる防犯監視システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、検知範囲内の人を検知手段で検知して前記検知を報知手段で報知し、報知禁止信号を報知禁止手段で受信した場合には前記報知手段による前記報知を禁止する監視報知装置と、前記報知禁止信号を発信する報知禁止信号発信装置と、よりなる防犯監視システムに係る。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、前記検知手段が検知範囲の異なる複数のセンサを備え、前記人を検知したセンサあるいは該検知したセンサの組合せによって、前記報知手段による報知態様を異ならせたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記監視報知装置が撮影手段を備え、前記検知手段が前記検知範囲内の人を検知した場合、前記報知禁止手段が前記報知禁止信号の非受信時に前記撮影手段の撮影画像を保存し、前記報知禁止信号受信時に撮影画像の保存を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の防犯監視システムによれば、防犯監視システムを設置した家の者など、検知されても報知が不要な者にあらかじめ報知禁止信号発信装置を所持させることで、威嚇音の発生などによる報知を行わないようにすることができる。また、不法侵入者など、報知禁止信号発信装置を所持しない者については、威嚇音の発生などによる報知を行うことができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、前記検知手段が検知範囲の異なる複数のセンサを備え、前記人を検知したセンサあるいは該センサの組合せによって、前記報知手段による報知態様を異ならせた構成としたため、例えば防犯監視システムが設けられた家の玄関からの検知範囲が広い(検知可能距離が長い)第1センサと、第1センサよりも検知範囲が狭い(例えば玄関からの検知可能距離が短い)第2センサを備えることにより、玄関への接近距離に対応して報知態様を異ならせることができ、不法侵入者の侵入状態を正確に報知することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、報知禁止信号発信装置を所持しない不法侵入者のみについて撮影画像を保存することができ、撮影画像の保存装置の容量を節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下この発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る防犯監視システムのブロック図である。
【0012】
図1に示す防犯監視システム1は、監視報知装置10と報知禁止信号発信装置30とよりなり、報知禁止信号発信装置30を所持する者については検知しても報知を禁止し、一方、報知禁止信号発信装置30を所持しない不法侵入者については検知を報知する。なお、図示の例では撮影手段を備え、前記検知によって撮影及び撮影画像の保存を行う。
【0013】
図示の監視報知装置10は、検知手段11、撮影手段13、報知禁止手段15、報知手段17、表示手段19及び制御手段21を備え、図示しない電源部から供給される電源によって作動する。電源部の電源は、電灯線等の外部電源あるいは蓄電池等の内部電源の何れであってもよい。
【0014】
検知手段11は、1つまたは複数のセンサからなり、本実施例では、第1センサと第2センサの2つのセンサからなる。このように複数のセンサで構成する場合、センサによって検知範囲を異ならせるのが好ましい。例えば、第1センサについては検知範囲を広範囲とし、第2センサについては検知範囲を狭くする。さらには、例えば、家の玄関に近い検知範囲を第2センサとし、第2センサの検知範囲よりも遠くまでを第1センサで検知するようにすれば、不法侵入者が玄関に近づく際にまず第1センサで検知し、さらに玄関に近づくと第2センサでも検知するため、不法侵入者の接近状態を正確に検知することが可能となる。前記センサは、人を検知可能なものであればよく、赤外線感知式のものや、熱感知式のものなど公知のセンサが用いられる。また、センサを複数設ける場合、センサは同一種類のものでも異なる種類のものでも何れでもよい。前記検知手段11は、制御手段21と接続され、人の検知信号を制御手段21に送信する。
【0015】
撮影手段13は、TV(テレビ)カメラと、TVカメラの撮影画像を保存(記録)する録画装置からなる。前記TVカメラは、本実施例では、前記検知手段11の検知範囲よりも広い範囲を撮影可能とされている。TVカメラは撮影時(保存スタンバイ時及び保存時に関わらず)所定の短時間分だけ一旦メモリに記憶し、順次撮影画像を自動的に上書きするようにされている。それに対して、録画装置は、TVカメラの撮影画像を保存(記録)すると共に消去あるいは上書き操作が実行されるまで画像を保存可能で、しかも保存画像を再生可能な公知のものからなる。前記撮影手段13は、制御手段21と接続され、制御手段21によって撮影画像の保存が指示される。また、前記撮影手段13は、画像表示装置(液晶装置あるいはCRT)からなる表示手段19と接続されている。
【0016】
報知禁止手段15は、報知禁止信号受信装置で構成され、報知禁止信号発信装置30から発信(送信)される報知禁止信号を受信して、前記報知禁止手段15と接続されている制御手段21に送信する。なお、報知禁止信号には、報知禁止信号発信装置30毎に固有の認識信号(IDコード)を含ませ、一方、前記報知禁止手段15には、報知禁止を認める対象となる報知禁止信号発信装置30の認識信号(IDコード)を予めセットしておいて、前記セットされている認識信号(IDコード)と異なる報知禁止信号を受信しても制御手段21に送信しないようにするのが好ましい。また、前記認識信号(IDコード)の判断を前記報知禁止手段15で行わず、制御手段21で行うようにしてもよい。
【0017】
報知手段17は、スピーカやブザー等の音声発生装置あるいは発光装置などの報知可能な装置で構成され、制御手段21と接続されて前記検出手段11による人の検知信号を制御手段21が受信すると音声の発生や発光を行う。本実施例では、音声装置で構成され、前記検出手段11の第1センサによる検出と第2センサによる検出とで音色や音量を異ならせている。
【0018】
表示手段19は、液晶表示装置やCRTなどの画像表示装置からなり、前記撮影手段13と接続され、前記撮影手段13の撮影画像(保存スタンバイ状態)や保存後の再生画像を表示可能となっている。
【0019】
制御手段21は、CPUからなり、前記撮影手段13及び前記報知手段17を制御する。本実施例では、前記検出手段11から第1センサによる人の検知信号が送信されて制御手段21が受信すると、前記撮影手段13を作動させて撮影を開始させる(保存スタンバイ状態にする)と共に、前記報知手段17により第1報知を行う。このとき、前記撮影手段13の撮影画像(保存スタンバイ状態の画像)は、前記表示手段19で表示される。前記報知手段17による第1報知は、不法侵入者に対する威嚇であっても家人に不法侵入を報知するものの何れか一方、あるいは両方であってもよい。さらに本実施例では、前記第2センサによる人の検知信号が前記検出手段11から送信されて制御手段21が受信すると、前記撮影手段13で撮影画像の保存を開始すると共に、前記報知手段19により第2報知が行われる。第2報知は、それまでとは異なる音色あるいは大の音量で行われる。なお、発光による報知の場合には、第1センサのみの検知による第1報知と第1及び第2センサの両方の検知による第2報知を、発光態様の変化、例えば点滅間隔を変えることや、複数の発光装置を設けて発光色を変えることによって区別してもよい。また、前記報知禁止手段15が報知禁止信号発信装置30から報知禁止信号を受信すると、前記報知手段17による報知を禁止すると共に、本実施例では前記撮影手段13による撮影画像の保存を禁止する。なお、前記のように、報知禁止信号発信装置30固有の認識信号(IDコード)を報知禁止信号が含み、しかも前記認識信号(IDコード)の判断を前記報知禁止手段15で行わない場合には、前記制御手段21で前記認識信号(IDコード)の判断を行って、予めセットされている認識信号(IDコード)と一致した場合には、前記報知手段17による報知や撮影手段13による撮影や撮影画像の保存を禁止する。
【0020】
報知禁止信号発信装置30は、前記報知禁止手段15が受信可能な報知禁止信号を発信する無線式の発信装置からなる。前記報知禁止信号には、前記のように報知禁止信号発信装置30毎に固有の認識信号(IDコード)を含ませるのが好ましい。前記報知禁止信号発信装置30は、玄関ドアのキーや車のキー、あるいはキーホルダーなどのキー周辺器具に設けたり、携帯防犯ベルに組み込んだり、履物に組み込んだりするなど、所持し易いものに設けるのが好ましい。また、前記報知禁止信号発信装置30は携帯型通信端末で構成してもよい。例えば、所定のIDコードを有する携帯型通信端末の現在位置を前記報知禁止手段15が検出して、携帯型通信端末所持者が前記防犯監視システム10に所定範囲に近づいた場合、前記報知の禁止や撮影画像の保存を禁止する構成としてもよい。
【0021】
前記実施例の防犯監視システム1の作動例を説明する。まず、前記検知手段11における第1センサの検知範囲内に人が侵入すると、前記検知手段11の第1センサが検知して前記撮影手段13で撮影(保存スタンバイ状態)を開始し、前記表示手段19で表示する。その際、撮影画像は所定の短時間分だけ一旦記憶され、順次上書き保存される。また、前記撮影手段13による撮影開始と共に前記報知手段17によって第1報知を行う。
【0022】
さらに、前記侵入者が接近して前記検知手段11における第2センサの検知範囲内に入ると第2センサが検知し、前記撮影手段13が直前に一旦記憶した撮影部分から撮影画像の保存を開始し、また前記報知手段17がそれまでの第1報知とは異なる音色あるいは音量(発光装置の場合には点滅間隔や発光色の異なる発光)等で第2報知を行う。その際、侵入者が前記報知禁止信号発信装置30を所持している場合、前記報知禁止信号発信装置30から発信される報知禁止信号を前記報知禁止手段15が検知して前記報知手段17による第2報知を禁止すると共に前記撮影手段13による撮影画像の保存を禁止する。この第2報知の禁止により、例えば家人が帰宅したことを知ることができる。
【0023】
なお、本発明は前記の例に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、前記撮影手段13による撮影(保存スタンバイ状態の撮影)を常時行い、前記第2センサによる検知によって撮影画像の保存を開始するようにしてもよい。また、前記検知手段11のセンサを1つとして、前記撮影手段13による撮影(保存スタンバイ状態の撮影)を常時行うと共に前記検知手段11による検知によって撮影画像の保存を開始するようにしてもよい。さらにまた、前記検知手段11のセンサを3以上として、侵入者の接近状態を報知手段17で報知態様を変えて細かく報知するようにしてもよい。また、前記報知手段17を音声発生装置と発光装置の両方で構成し、前記検知手段11における複数のセンサによる検知に対応して、音と光の組み合わせを変化させて不法侵入者の接近状態を報知するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る防犯監視システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0025】
1 防犯監視システム
10 監視報知装置
11 検出手段
13 撮影手段
15 報知禁止手段
17 報知手段
19 表示手段
21 制御手段
30 報知禁止信号発信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知範囲内の人を検知手段で検知して前記検知を報知手段で報知し、報知禁止信号を報知禁止手段で受信した場合には前記報知手段による前記報知を禁止する監視報知装置と、
前記報知禁止信号を発信する報知禁止信号発信装置と、
よりなる防犯監視システム。
【請求項2】
前記検知手段が複数のセンサを備え、前記検知範囲内の人を検知したセンサあるいは該検知したセンサの組合せによって、前記報知手段による報知態様を異ならせたことを特徴とする請求項1に記載の防犯監視システム。
【請求項3】
前記監視報知装置が撮影手段を備え、前記検知手段が前記検知範囲内の人を検知した場合、前記報知禁止手段が前記報知禁止信号の非受信時に前記撮影手段の撮影画像を保存し、前記報知禁止信号受信時に撮影画像の保存を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の防犯監視システム。

【図1】
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【公開番号】特開2006−139637(P2006−139637A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329956(P2004−329956)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(391006348)株式会社タイテック (79)
【Fターム(参考)】