説明

防白蟻方法

【課題】 防蟻剤を使用しないで、白蟻を防ぐ実用的な方法を提供すること。
【解決手段】 建築物10の基礎12の一方の側面12aに接して防白蟻部材20を配設し、防白蟻部材20として、白蟻が通過できない程度の粒子間の隙間ができる粒子層21を使用する。側壁部23と側壁部23の下端部に連結した底部24とを有する仕切り部材22を使用し、仕切り部材22の底部24の側壁部23と反対側端部24aが基礎12の一方の側面12aに沿って配置されるように、仕切り部材22の底部24を地面31上に配置し、基礎12の一方の側面12aと仕切り部材22との間に粒子層21を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の基礎等に用いられる防白蟻方法に関し、特に防白蟻効果を長くする実用的な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の基礎から白蟻が建築物に侵入することを防ぐ方法として、建築物の基礎の周りの地面上に防蟻シートを設ける方法がある。防蟻シートとしては、樹脂やガラス繊維に防蟻剤、例えばホウ酸、有機リン酸等を混入したものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、建築物の基礎の内側に防蟻用薬剤を散布等する方法もある(例えば、非特許文献1参照)。この場合の防蟻用薬剤の形態は液剤、粒剤、粉剤がある。なお、基礎の外側に防蟻用薬剤を散布等しないのは、薬害を防ぐためである。
また、白蟻が通過できない粒子層により白蟻を防ぐ物理的方法も考えられているが、この方法について実用的な具体的方法はなかった。
【特許文献1】特開2002−138588号公報
【非特許文献1】「防除施工標準仕様書」社団法人日本しろあり対策協会、平成15年7月10日改定版発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の薬剤を使用する従来例では、前記防蟻剤は通常5年程度でその効果がなくなるので、防蟻シートおよび防蟻用薬剤を交換し、再施工および再処理をしなければならないという問題があった。
また、上述の物理的方法では、実用性が十分ではなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、防蟻剤を使用しないで、白蟻を防ぐことができる実用的な防白蟻方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、建築物(屋外の門、塀、木製の公園用材、ブランコ等の構築物を含む。)の基礎(水道管、ガス管、電気配線等の床又は地面から立ち上る立ち上がり部材を含む。)の側面に接して防白蟻部材を配設し、前記防白蟻部材として、白蟻が通過できない程度の粒子間の隙間ができる粒子層を使用し、側壁部とこの側壁部の下端部に連結した底部とを有する仕切り部材を使用し、前記仕切り部材の底部の側壁部と反対側端部が前記基礎の側面に沿って配置されるように、前記仕切り部材の底部を地面(地面の凹部を含む。)上に配置し、前記基礎の側面と前記仕切り部材との間に前記粒子層を配置したことを特徴とする防白蟻方法である。
これにより、白蟻が通過できない粒子層により建築物の基礎の側面を白蟻が昇ることを防ぐことができる。また、前記白蟻が通過できない粒子層を仕切り部材の側壁部と前記基礎の側面との間に配置することができる。また、仕切り部材の底部が前記粒子層の地中への埋没を防ぐことができる。
【0005】
さらに、請求項2記載の発明は、建築物の基礎の側面に接して防白蟻部材を配設し、前記防白蟻部材として、白蟻が通過できない程度の粒子間の隙間ができる粒子層を使用し、側壁部と側壁部の下端部に連結した底部とを有する仕切り部材を使用し、前記仕切り部材の側壁部が前記基礎の側面と所定の間隔をなすように、前記仕切り部材の底部をコンクリート床上に配置し、その際、前記底部が前記基礎の側面から離れるようにし、前記底部と前記基礎の側面との間を前記粒子層の粒子が通過可能にし、前記基礎の側面と前記仕切り部材の側壁部との間に前記粒子層を配置したことを特徴とする防白蟻方法である。
これにより、白蟻が通過できない粒子層により建築物の基礎の側面を白蟻が昇ることを防ぐことができる。さらに、前記基礎の周りの地面にコンクリート床が形成されている場合に、このコンクリート床の上に配置された仕切り部材の側壁部と前記基礎の側面との間に前記粒子層を配置することができ、さらに、前記コンクリート床と前記基礎の側面との間に隙間ができた場合でも、この隙間に前記粒子層の粒子が落下して、前記隙間を前記粒子層の粒子で塞ぐことができるので、白蟻が前記基礎の側面を昇ることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、防蟻剤を使用しない実用的な方法で、白蟻が建築物の基礎の側面を昇って建物内に進入することを防ぐことができる。このため、白蟻が建築物の木材を食い荒らすことを防ぐことができる。さらに、白蟻が建築物の基礎の側面を昇ることを防ぐ粒子層の散乱を防ぐことができる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、防蟻剤を使用しない実用的な方法で、白蟻が建築物の基礎の側面を昇って建物内に進入することを防ぐことができる。このため、白蟻が建築物の木材を食い荒らすことを防ぐことができる。さらに、白蟻が建築物の基礎の側面を昇ることを防ぐ粒子層の散乱を防ぐことができる。さらに、建築物の基礎の周りにコンクリート床が形成されて、前記基礎と前記コンクリート床との間に隙間が生じている場合であっても、白蟻が前記基礎の側面を昇って建物内に進入することを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る防白蟻方法を説明し、図2は本発明の第2の実施の形態に係る防白蟻方法を説明し、図3は図1の防白蟻方法の変形例を説明し、さらに、図4は図1の蟻返しの変形例を説明している。
【0008】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、建築物10の土台11を支える基礎12の一方の側面12aに接して防白蟻部材20を配設する。この防白蟻部材20として、白蟻が通過できない程度の粒子間の隙間ができる粒子層21を使用する。この場合の粒子の径は1〜3mm位であり、
例えば石、コンクリート、陶器、ガラス等を砕いたものである。また、ベントナイト等の粘土や建設汚泥を用いて所定の大きさの粒径に造粒したのち、焼成などの方法で製造したものを使用することもできる。また、前記粒子を篩で選別することにより粒子の径を1〜3mm位にすることができる。
そして、側壁部23と側壁部23の下端部に連結した底部24とを有する仕切り部材22(L形断面になっている。)を使用し、この仕切り部材22の底部24の側壁部23と反対側端部24aが基礎12の一方の側面12aに沿って配置されるように、仕切り部材22の底部24を建築物10側の地面31上に配置し、基礎12の一方の側面12aと仕切り部材22との間に粒子層21を配置する。なお、側壁部23の高さは例えば5cmであり、底部24の側壁部23と反対側端部24aと側壁部23側端部との幅は例えば10cmである。
この場合、粒子層21は、その表面21aが基礎12の上端部および仕切り部材22の側壁部23の上端部より下側に位置し、その底部21bは仕切り部材22の底部24で支えられている。さらに、粒子層21の一方の側面21cは仕切り部材22の側壁部23で支えられ、粒子層21の他方の側面21dは基礎12の一方の側面12aで支えられている。なお、粒子層21の底部21bから表面21aまでの高さは例えば5cmである。
さらに、側壁部23の上端部には蟻返し23aが付設されている。この蟻返し23aは上側に凸状に湾曲した帯状の板状の形状のものであり、白蟻が乗り越えることができない程度の大きさのものである。
【0009】
上記第1の実施の形態に係る防白蟻方法により、地面31下の地中に白蟻が形成した蟻道33を通って白蟻が建築物10の土台11を支える基礎12の一方の側面12aに到達した場合に、白蟻が通過できない粒子層21および仕切り部材22により基礎12の一方の側面12aを白蟻が昇ることを防ぐことができる。
そして、白蟻が通過できない粒子層21を仕切り部材22の側壁部23と基礎12の一方の側面12aとの間に配置することができる。また、仕切り部材22の底部24が粒子層21の地面31から地中への埋没を防ぐことができる。
さらに、白蟻が側壁部23から蟻返し23を乗り越えて粒子層21の表面21aに到達することができない。
【0010】
(第2の実施の形態)
図2に示すように、第2の実施の形態は、側壁部43と側壁部43の下端部に連結した底部44とを有する仕切り部材42を使用している。なお、この仕切り部材42は第1の実施の形態の仕切り部材22(図1参照)と同じものでもよい。そして、仕切り部材42の側壁部43が基礎12の一方の側面12aと所定の間隔をなすように、仕切り部材42の底部44をコンクリート床63(土壌61上に設けられている。)上に配置する。なお、底部44に孔をあけ、その孔から杭45等をコンクリート床63に打ち込むことにより、底部44をコンクリート床63に固定してよい。
その際、底部44が基礎12の一方の側面12aから離れるようにし、底部44と基礎12の一方の側面12aとの間を防白蟻部材40となる粒子層41の粒子が通過可能にし、基礎12の一方の側面12aと仕切り部材42の側壁部43との間に粒子層41を配置する。さらに、側壁部43の上端部に蟻返し43aが付設されている。この蟻返し43aは第1の実施の形態の蟻返し23a(図1参照)と同様のものである。
この場合、粒子層41は、その表面41aが基礎12の上端部および仕切り部材42の側壁部43の上端部より下側に位置し、その底部41bはコンクリート床63で支えられている。さらに、粒子層41の一方の側面41cは仕切り部材42の側壁部43で支えられ、粒子層41の他方の側面41dは基礎12の一方の側面12aで支えられている。なお、粒子層41の底部41bから表面41aまでの高さは例えば5cmである。
【0011】
第2の実施の形態に係る防白蟻方法により、コンクリート床63下の土壌61中に白蟻が形成した蟻道65を通って建築物10の土台11を支える基礎12の一方の側面12aに白蟻が到達した場合に、白蟻が通過できない粒子層41および仕切り部材42により基礎12の一方の側面12aを白蟻が昇ることを防ぐことができる。
そして、基礎12の周りにコンクリート床63が形成されている場合に、このコンクリート床63の上に配置された仕切り部材42の側壁部43と基礎12の一方の側面12aとの間に粒子層41を配置することができ、さらに、コンクリート床63と基礎12の一方の側面12aとの間に隙間63aができた場合でも(この隙間63aはコンクリート床63が固まるときに生じやすい。)、この隙間63aに粒子層41の粒子が落下して、隙間63aを粒子層41の粒子で塞ぐことができるので、白蟻が基礎12の一方の側面12aを昇ることを防ぐことができる。
さらに、蟻返し43aにより、白蟻が仕切り部材42の側壁部43を乗り越えて粒子層41の表面41a上に到達することはできない。
【0012】
なお、上記第1の実施の形態では、基礎12の一方の側面12a側(建築物10の内側)に防白蟻部材20が配置されているが、これに限定されず、基礎12の他方の側面12b側(建築物10の外側)の地面32上に防白蟻部材20を配置してもよい。
例えば図3に示すように、基礎12の他方の面12bに沿って地面32に凹部32aを形成し、この凹部32aに防白蟻部材70を配置する。この場合、粒子層71(図1の粒子層21と同様のもの)および仕切り部材72(図1の仕切り部材22と同様のもの)を使用する。そして、粒子層71の底部71bから表面71aまでの高さは図1の粒子層21と同様である。ただし、仕切り部材72の底部74の基礎12の他方の側面12bに接する端部74aには下向きに折曲部74bが形成され、この折曲部74bは前記他方の側面12bに接していている。このため、地面32下の地中に白蟻が形成した蟻道34を通って白蟻が前記他方の側面12bに到達した場合に、白蟻が前記他方の側面12bを昇って建物10に到達することを防ぐことができる。
なお、図1の蟻返し23aに相当するものはない。また、仕切り部材72の側壁部73の上端部と粒子層71の表面71aは地面32とほぼ同じ高さである。このようにすると、防白蟻部材70が地面32上に突出しないので、防白蟻部材70が地面32上の障害物にならない。また、防白蟻部材70は薬剤を使用していないので、防白蟻部材70による薬害もない。
また、図4に示すように、蟻返し25を仕切り部材22とは別体に形成し、蟻返し25の基部25aを粒子層21と仕切り部材22の側壁部23との間に差し込むようにしてもよい。
同様に、上記第2の実施の形態でも、基礎12の一方の側面12a側に防白蟻部材40が配置されているが、これに限定されず、基礎12の他方の側面12b側の土壌62上のコンクリート床64に防白蟻部材40を配置してもよい。このようにすると、コンクリート床64と基礎12の他方の側面12bとの間に隙間64aが生じていても、白蟻が基礎12の他方の側面12bを昇ることを防ぐことができる。
また、建築物10は屋外の門、塀、木製の公園用材、ブランコ等の構築物を含む。さらに、基礎12に限定されず地面または床から立ち上がる立ち上がり部材(例えば水道管、ガス管、電気配線等)の側面に防白蟻部材を配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る防白蟻方法を説明する断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る防白蟻方法を説明する断面図である。
【図3】図1の防白蟻方法の変形例を説明する断面図である。
【図4】図1の蟻返しの変形例を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0014】
10 建築物
11 土台
12 基礎
12a 一方の側面
12b 他方の側面
20 防白蟻部材
21 粒子層
22 仕切り部材
23 側壁部
24 底部
31、32 地面
40 防白蟻部材
41 粒子層
42 仕切り部材
43 側壁部
44 底部
63、64 コンクリート床
70 防白蟻部材
71 粒子層
72 仕切り部材
73 側壁部
74 底部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の基礎の側面に接して防白蟻部材を配設し、
前記防白蟻部材として、白蟻が通過できない程度の粒子間の隙間ができる粒子層を使用し、
側壁部とこの側壁部の下端部に連結した底部とを有する仕切り部材を使用し、
前記仕切り部材の底部の側壁部と反対側端部が前記基礎の側面に沿って配置されるように、前記仕切り部材の底部を地面上に配置し、
前記基礎の側面と前記仕切り部材との間に前記粒子層を配置したことを特徴とする防白蟻方法。
【請求項2】
建築物の基礎の側面に接して防白蟻部材を配設し、
前記防白蟻部材として、白蟻が通過できない程度の粒子間の隙間ができる粒子層を使用し、
側壁部と側壁部の下端部に連結した底部とを有する仕切り部材を使用し、
前記仕切り部材の側壁部が前記基礎の側面と所定の間隔をなすように、前記仕切り部材の底部をコンクリート床上に配置し、その際、前記底部が前記基礎の側面から離れるようにし、前記底部と前記基礎の側面との間を前記粒子層の粒子が通過可能にし、
前記基礎の側面と前記仕切り部材の側壁部との間に前記粒子層を配置したことを特徴とする防白蟻方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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