説明

防虫剤ホルダー

【課題】引き出しや衣装ケースの内部に安定して防虫剤を保持でき、かつ、交換時期を示すインジケータの確認を容易に行うことを可能にする防虫剤ホルダーを提供する。
【解決手段】防虫剤ホルダー1は、長方形の第1シート11と、第1シート11の一方の短辺に接続された第2シートとを、第1シート11の一対の長辺に接続された折り返し部4a及び4bとから構成される。防虫剤20は、第1シート11と折り返し部4a及び4bとの間にフランジ部17a及び17bを滑り込ませた状態で、防虫剤ホルダー1に保持されている。第2シート12は、第1シート11との境界線上に設けられた折り曲げ線6と、折り曲げ線6に平行な折り曲げ線7aとで折り曲げられている。使用時には、第2シート12を透明な衣装ケースの側板の上縁部分に引っ掛けることによって、側板の近傍に防虫剤20を保持でき、インジケータ19の視認性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等を収納する箱形の衣装ケースや引き出し内に衣類用防虫剤を保持するための防虫剤ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
引き出しや衣装ケース等に収納された衣類を衣料害虫による食害(いわゆる「虫食い」)から保護するため、樹脂フィルムの成形加工等で形成した容器に揮発性の薬剤を収納したの衣類用防虫剤が広く利用されている。防虫剤の容器には、薬剤を揮散させるために窓や開口等の揮散口が設けられ、当該揮散口を通じて揮発した薬剤が揮散して、防虫効果を発揮する。また、容器の表面には、薬剤の効果の持続期間が経過したときにその表示内容が変化するインジケータが設けられており、使用者はインジケータを参照することによって防虫剤の取り替え時期を視覚的に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−33660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の防虫剤の使用方法としては、引き出し等の容積に応じた数量の防虫剤を収納された衣類の上に置くことが一般的である。
【0005】
しかしながら、引き出しや衣装ケースを開閉あるいは移動させたり、衣類を出し入れしたりする度に防虫剤の位置が移動するため、防虫剤の交換時に防虫剤を探す作業が必要となる。特に、容積の大きな引き出しや衣装ケースには複数個の防虫剤が使用されるため、移動した防虫剤を探す手間が更に増えてしまう。また、防虫剤の位置が移動すると、インジケータも容易に確認できないため、使い勝手が良くない。
【0006】
それ故に、本発明は、引き出しや衣装ケースの内部に安定して防虫剤を保持でき、かつ、交換時期を示すインジケータの確認を容易に行うことを可能にする防虫剤ホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平面部を有する収納容器に揮発性の薬剤を収納して構成され、平面部とは異なる部分に設けられた揮散口から薬剤を揮散させる防虫剤を、上面が開放された箱形形状を有する衣装ケース内に保持するための防虫剤ホルダーに関するものである。本発明に係る防虫剤ホルダーは、透明な樹脂製のシート材により形成され、揮散口が露出した状態で防虫剤を保持する保持手段と、シート材により保持手段と一体的に形成され、平面部が側板の内面に沿うように保持手段を配置する配置手段とを備える。
【0008】
保持手段は、略矩形形状の第1シートを含み、配置手段は、第1シートの一辺に接続される第2シートを含み、第1シートの一辺上には、第1シートに対して第2シートを折り曲げ自在とする第1折り曲げ線が形成されると共に、第2シートには、第1折り曲げ線と平行な第2折り曲げ線が形成されていることが好ましい。この場合、配置手段は、第2シートを第1折り曲げ線及び第2折り曲げ線の各々で折り曲げて、第2シートを第1シートの一方面に対して谷折り状態とした第1形態にあっては、第2シートが衣装ケースの側板の上縁に係合することによって保持手段を配置し、第2シートを第1折り曲げ線または第2折り曲げ線のいずれかで折り曲げて、第2シートの少なくとも一部を第1シートの一方面に対して山折り状態とした第2形態にあっては、第2シートの少なくとも一部が衣装ケースの底板に沿うことによって保持手段を配置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、引き出しや衣装ケースの内部に安定して防虫剤を保持できる防虫剤ホルダーを実現できる。また、本発明に係る防虫剤ホルダーは、防虫剤の平面部分を衣装ケースの外部に向けて配置するので、表面(平面部)に交換時期を示すインジケータ等が設けられた防虫剤を透明な衣装ケースに保持した場合には、インジケータの確認を容易に行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る防虫剤ホルダー及びこれに保持される防虫剤の斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る防虫剤ホルダーの第1形態を示す斜視図
【図3】図2に示した防虫剤ホルダーの右側面図
【図4】図2及び3に示した防虫剤ホルダーの使用状態を示す斜視図
【図5】本発明の第1の実施形態に係る防虫剤ホルダーの第2形態を示す斜視図
【図6】図5に示した防虫剤ホルダーの右側面図
【図7】図5及び6に示した防虫剤ホルダーの使用状態を示す斜視図
【図8】本発明の第2の実施形態に係る防虫剤ホルダーの斜視図
【図9】本発明の第2の実施形態に係る防虫剤ホルダーの第1形態を示す斜視図
【図10】図9に示した防虫剤ホルダーの右側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る防虫剤ホルダー及びこれに保持される防虫剤の斜視図である。尚、図1(a)は、防虫剤ホルダー及び防虫剤の表面側を示し、図1(b)防虫剤ホルダー及び防虫剤の裏面側を示す。
【0012】
防虫剤ホルダー1は、長方形の第1シート11と、第1シート11に接続される第2シートと、一対の折り返し部4a及び4bとを備える。これらの第1シート11と、第2シート12と、折り返し部4a及び4bとは、PET等の透明な樹脂製シート材(ただし、半透明なシート材も含む)の打ち抜き及び折り曲げ加工によって一体的に形成されている。
【0013】
第2シート12は、第1シート11の一方の短辺に接続されている。また、折り返し部4a及び4bは、第2シート12が接続された短辺と隣接する一対の長辺にそれぞれ接続され、第1シート11の表面と反対側に折り返されている。
【0014】
第2シート12が接続された第1シート11の短辺上、すなわち、第1シート11と第2シート12の境界線上には、第1シート11に対して第2シート12を折り曲げ自在とする折り曲げ線6が形成されている。また、第2シート12には、折り曲げ線6と平行な折り曲げ線7a〜7cが形成されている。折り曲げ線7a〜7cは、第2シート12の一部を容易に折り曲げられるようにするためのものである。
【0015】
更に、第1シート11のうち、第2シート12に接続されていない短辺の近傍(図1における上部)には、第1シート11の正面または背面から見た時に第2シート12に向かって略凸形状を描く弓形上のスリット5が形成されている。このスリット5は、防虫剤ホルダー1に収納した防虫剤20の移動を阻止するストッパー手段として機能するものであるが、詳細は後述する。
【0016】
尚、本実施形態では、第1シート11と折り返し部4a及び4bとが防虫剤20を保持するための保持手段として機能し、第2シート12が保持手段を衣装ケースの側板内面に沿う位置に配置するための配置手段として機能する。
【0017】
一方、防虫剤20は、収納容器14と、収納容器14の内部に収納された揮発性の防虫用薬剤(図示せず)とから構成されている。
【0018】
収納容器14は、平面部15と、平面部15から突出する中空状の突出部18と、突出部18に形成された複数の揮散口16と、平面部15と一体的に形成される一対のフランジ部17a及び17bとを有している。突出部18の内部には薬剤が収納されており、平面部15とは反対側に設けられた揮散口16から、揮発した薬剤を外部へと揮散させる。更に、収納容器14の平面部15には、薬剤の効果の持続期間が経過したときにその表示内容が変化して、防虫剤20の取り替え時期を視覚的に知らせるインジケータ19が設けられている。
【0019】
尚、収納容器14の平面部15の外郭形状は、特に限定されず、平面部15に施されるデザインに応じて任意で良い。図1の例では、平面部15の外形は、防虫剤20の長手方向に延びるフランジ部17a及び17bの外縁部分を互いに異なる曲線とした左右非対称な形状である。
【0020】
ここで、防虫剤ホルダー1及び防虫剤20の寸法の関係を説明する。
【0021】
図1(b)に示すように、防虫剤ホルダー1の折り返し部4a及び4bの内面同士の間隔W1は、防虫剤20の幅W3より大きく設定されている。次に、防虫剤ホルダー1の折り返し部4a及び4bの端縁同士の間隔W2は、防虫剤20の幅W3より小さく、かつ、防虫剤20の突出部18の幅W4より大きく設定されている。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る防虫剤ホルダーの第1形態を示す斜視図であり、図3は、図2に示した防虫剤ホルダーの右側面図である。
【0023】
上記のように防虫剤ホルダー1の寸法が設定されているため(図1(b))、平面部15を第1シート11の裏面に沿わせるようにして、フランジ部17a及び17bを、折り返し部4a及び4bと第1シート11の裏面との間に滑り込ませることによって、図2及び3に示されるように、防虫剤20を防虫剤ホルダー1に保持させることができる。このとき、収納容器14の短辺部分に設けられたフランジ部17cを第1シート11に設けられたスリット5に挟み込むことによって、図2及び3における下方向への防虫剤20の移動が阻止されている。この結果、防虫剤20は、揮散口16が第1シート11の表面とは反対側に露出した状態で安定して防虫剤ホルダー1に保持されている。
【0024】
防虫剤ホルダー1が図2に示される第1形態である場合、第1シート11及び第2シート12は、側面から見てコ字型となるように折り曲げられている。より詳細には、第1シート11及び第2シート12の境界線上に形成された折り曲げ線6で第2シート12を折り曲げることによって、第2シート12が第1シート11の表面に対して谷折り状態となっている。更に、第2シート12に形成された折り曲げ線7aで第2シート12を折り曲げることによって、第2シート12の一部が第1シート11の表面から見て谷折り状態となっている。
【0025】
図4は、図2及び3に示した防虫剤ホルダーの使用状態を示す斜視図である。
【0026】
図4に示されるように、衣装ケース25は、上面が開放された箱形形状を有する引き出し26と、少なくとも前面が開放された箱形形状を有し、引き出し26をスライド自在に収納する収納本体27とから構成されている。本実施形態では、引き出し26は、透明または半透明の樹脂によって形成されており、その内部に収納された衣類等を外部からある程度判別ことができる。また、引き出し25の前板28の上縁部分には、引き出し25を掴みやすくするために取手部29が設けられている。
【0027】
第1形態の防虫剤ホルダー1(図2及び3を併せて参照)を用いて、防虫剤20を引き出し26内部に保持する場合、第1シート11及び第2シート12で構成されるコ字部分で前板28の取手部29を挟み込んだ状態となるように、防虫剤ホルダー1を前板28に取り付ける。このように、防虫剤ホルダー1の第1形態にあっては、第2シート12が前板28の上縁部分に係合することによって、平面部15が前板28の内面に沿うように第1シート11を配置する。
【0028】
尚、コ字部分の間隔は、第2シート12を係合させる前板28の上縁部分の厚みに応じて、調整可能である。例えば、前板28の上縁部分の厚みがより小さな引き出しに対して防虫剤ホルダー1を使用する場合には、第2シート12を折り曲げ線7aで谷折りにする代わりに、折り曲げ線7bで第2シート12を折り曲げれば良い。この場合、図3の二点鎖線で示されるように、第1シート11及び第2シート12で形成されるコ字部分の間隔を小さくすることができる。また、折り曲げ線7cで第2シート12を折り曲げれば、コ字部分の間隔を更に小さくできる。
【0029】
また、図2〜4の例では、第1シート11に設けたスリット5がストッパーとしての機能を発揮しているが、スリット5以外の構成によって防虫剤20の移動を規制しても良い。例えば、第1シート11及び第2シート12の境界線と対向する一辺に接続され、第1シートの裏面側に折り曲げられた折り返し片を更に設け、当該折り返し片によって防虫剤20の移動を規制しても良い。また、シート材の材質や折り返し構造・折り返し方法を工夫したり、折り返し部4a及び4bと第1シート11との間のクリアランスを変更したりして、折り返し部4a及び4bによるフランジ部17a及び17bの挟み込みで防虫剤の移動を規制しても良い。また、引き出し26の深さによって防虫剤の移動はある程度規制されるので、ストッパー手段として機能する部位のない防虫剤ホルダーを構成することも可能である。
【0030】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る防虫剤ホルダーの第2形態を示す斜視図であり、図6は、図5に示した防虫剤ホルダーの右側面図である。
【0031】
防虫剤ホルダー1が、図5に示される第2形態である場合、第1シート11及び第2シート12は、側面からみてL字型となるように折り曲げられている。より詳細には、第1シート11及び第2シート12の境界線上に形成された折り曲げ線6で第2シート12を折り曲げることによって、第2シート12が第1シート11の表面に対して山折り状態となっている。
【0032】
第2形態の防虫剤ホルダー1に対しても、防虫剤20は、フランジ部17a及び17bを折り返し部4a及び4bと第1シート11との隙間に滑り込ませて収容されている。ただし、防虫剤ホルダー1を第2形態で使用する場合には、防虫剤20の自重によって、防虫剤20の短辺部分に設けられたフランジ部17dが第2シート12に当接するため、フランジ部17cを必ずしもスリット5に挟み込む必要はない。
【0033】
図7は、図5及び6に示した防虫剤ホルダーの使用状態を示す斜視図である。
【0034】
第2形態の防虫剤ホルダー1(図5及び6を併せて参照)を用いて、防虫剤20を引き出し26内部に保持する場合、第1シート11が前板28の内面に沿うように、防虫剤ホルダー1を底板30上に立てて設置する。このように、防虫剤ホルダー1の第2形態にあっては、第2シート12が底板30に沿うことによって、平面部15が前板28の内面に沿うように第1シート11を配置する。実際の使用時には、第2形態の防虫剤ホルダー1を底板30上に設置した後に、底板30に沿う第2シート12の上面に衣類等(図示せず)が載置されるため、引き出し26内における防虫剤ホルダー1の移動は抑制される。
【0035】
尚、図5〜7では、第1シート11及び第2シート12の境界線上の折り曲げ線6を山折りにしているが、当該境界線上の折り曲げ線6を折り曲げずに、第2シート12内に形成された折り曲げ線7a〜7cのいずれか一つを山折りにしても良い。この場合、衣装ケースの深さに応じて折り曲げ線7a〜7cの選択することにより、防虫剤20が配置されるレベル(高さ)を調節することができる。ただし、本実施形態の保持手段の構成でこのような使用方法を想定する場合、第1シート11には、防虫剤20の第2シート12側への移動を規制するストッパー手段を更に設けることが好ましい。当該ストッパー手段は、フランジ部17cを挟み込むスリットを更に第1シート11に設けることによって実現しても良い。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る防虫剤ホルダー1は、第1形態(図2〜4)及び第2形態(図5〜7)のいずれの形態であっても、収納容器14の揮散口16が引き出し25の内方に向けて露出し、かつ、収納容器14の平板部15が前板20の内面に沿った状態で防虫剤20を保持することができる。第2シート12によって構成される配置手段によって、防虫剤20の位置が前板28の近傍に維持することができるので、取り替え作業時に防虫剤20を探すことなく、その所在を容易に特定することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態では、第1シート11と折り返し部4a及び4bとで保持手段が構成されている。防虫剤ホルダー1を第1形態及び第2形態のいずれで使用しても、防虫剤20をスライド上下にスライドさせることによって着脱できるので、防虫剤20の取り替え作業自体も容易に行うことができる。
【0038】
更に、防虫剤ホルダー1は、透明なシート材によって形成されており、インジケータ19が設けられた平面部15が前板28の内面に沿うように防虫剤20を配置する。したがって、前板28が透明または半透明の材料で形成されている場合には、引き出し26を引き出すことなくインジケータ19の表示を外部から確認できるので、交換時期を容易に把握することができ、使い勝手が良い。
【0039】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る防虫剤ホルダーの斜視図である。
【0040】
本実施形態に係る防虫剤ホルダー2は、第1の実施形態と同一形状の第2シート12によって配置手段が構成されているが、防虫剤20を保持する保持手段の構成が第1の実施に係るものと相違する。以下では、本実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0041】
防虫剤ホルダー2は、長方形の第1シート11と、第1シート11の一方の短辺に接続される略矩形形状の第2シートと、第1シート11の他方の短辺に接続される略矩形形状の第3シートとから構成されている。これらの第1シート11、第2シート12及び第3シート13は、PET等の透明な樹脂製シート材の打ち抜き及び折り曲げ加工によって一体的に形成されている。
【0042】
第1シート11には、収納容器14の突出部18の平面形状に対応する形状を有する開口9が形成されている。したがって、収納容器14の突出部18を開口9に嵌合させることによって、収納容器14のフランジ部17a〜17dの裏面が第2シート12の表面に接する位置(二点鎖線で示した位置)に防虫剤20を配置することができる。
【0043】
第3シート13は、第1シート11とほぼ同じ大きさであり、第1シート11との境界線上の折り曲げ線8において、第1シートの表面に対して谷折りに折り曲げられている。
【0044】
防虫剤20を防虫剤ホルダー2に保持させるためには、第1シート11に対して閉じている第3シート13を、シート材の弾性に抗して例えば二点鎖線で示した位置まで開く。収納容器14の突出部18を第2シート12の開口9に嵌合させた後、第3シート13を押さえる手を離すと、シート材の弾性力によって第3シート13は実線で示される位置に復帰する。この結果、収納容器14のフランジ部17a〜17dが第1シート11と第3シート13との間にフランジ部17を挟み込まれた状態で、防虫剤20が防虫剤ホルダー2に保持される。
【0045】
このように、本実施形態では、第1シート11と第3シート13とによって、防虫剤20を保持する保持手段が構成されている。
【0046】
また、本実施形態においては、収納容器14の突出部18が開口9に嵌合することによって、平面部15と平行な方向における防虫剤20の移動が阻止されている。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る防虫剤ホルダーの第1形態を示す斜視図であり、図10は、図9に示した防虫剤ホルダーの右側面図である。
【0048】
本実施形態においても、防虫剤ホルダー2の第1形態にあっては、第1シート11及び第2シート12の境界線上に形成された折り曲げ線6で第2シート12を折り曲げることによって、第2シート12が第1シート11の表面に対して谷折り状態となり、第2シート12に形成された折り曲げ線7aで第2シート12を折り曲げることによって、第2シート12の一部が第1シート11の表面から見て谷折り状態となっている。
【0049】
使用時には、図4に示した第1の実施形態での使用状態と同様に、第2シート12が前板28の取手部29に係合することによって、平面部15が前板28の内面に沿うように防虫剤20を配置することができる。
【0050】
また、図示を省略するが、第1シート11及び第2シート12の境界線上に形成された折り曲げ線6で第2シート12を折り曲げて、第2シート12を第1シート11の表面に対して山折り状態に配置すれば、防虫剤ホルダー2をL字型の第2形態で使用することも可能である。防虫剤ホルダー2の第2形態での使用状態は、図7に示した第1の実施形態に係るものと同様である。
【0051】
上述したように、本実施形態においても、第1の実施形態と同一の第2シート12によって、第1シート11及び第3シート13からなる保持手段を引き出しの前板内面に保持することができる。したがって、本実施形態に係る防虫剤ホルダー2は、第1の実施形態に係るものと同一の効果を発揮することができる。すなわち、防虫剤ホルダー2によれば、引き出しの前板近傍に防虫剤20を安定して保持することができ、かつ、収納容器14の平面部15に設けられたインジケータ19の確認を容易にすることができる。それ故、本実施形態によっても、使い勝手の良い防虫剤ホルダー2を実現できる。
【0052】
尚、上記の各実施形態では、第2シートは略矩形形状であるが、第2シートの形状は矩形以外であっても良い。
【0053】
また、上記の各実施形態では、引き出しの前板内面に対して防虫剤ホルダーを配置する例を説明したが、蓋式の衣装ケースに対しては、任意の側板の内面に対して防虫剤ホルダーを配置すれば良い。
【0054】
更に、上記の各実施形態では、防虫剤の収納容器の形状を特定しているが、収納容器の形状は特に限定されるものではない。収納容器の形状に応じて保持手段の構成を適宜変更することによって、上記の各実施形態と同様の作用効果を奏する防虫剤ホルダーを構成できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、衣装ケース内に衣類用防虫剤を取り付けるための防虫剤ホルダー等に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1、2 防虫剤ホルダー
4 折り返し部
5 スリット
6〜8 折り曲げ線
9 開口
11 第1シート
12 第2シート
13 第3シート
14 収納容器
15 平面部
16 揮散口
17 フランジ部
18 突出部
19 インジケータ
20 防虫剤
26 引き出し
28 前板
30 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部を有する収納容器に揮発性の薬剤を収納して構成され、前記平面部とは異なる部分に設けられた揮散口から前記薬剤を揮散させる防虫剤を、上面が開放された箱形形状を有する衣装ケース内に保持するための防虫剤ホルダーであって、
透明な樹脂製のシート材により形成され、前記揮散口が露出した状態で前記防虫剤を保持する保持手段と、
前記シート材により前記保持手段と一体的に形成され、前記平面部が前記側板の内面に沿うように前記保持手段を配置する配置手段とを備える、防虫剤ホルダー。
【請求項2】
前記保持手段は、略矩形形状の第1シートを含み、
前記配置手段は、前記第1シートの一辺に接続される第2シートを含み、
前記第1シートの前記一辺上には、前記第1シートに対して前記第2シートを折り曲げ自在とする第1折り曲げ線が形成されると共に、前記第2シートには、前記第1折り曲げ線と平行な第2折り曲げ線が形成され、
前記配置手段は、
前記第2シートを前記第1折り曲げ線及び前記第2折り曲げ線の各々で折り曲げて、前記第2シートを前記第1シートの前記一方面に対して谷折り状態とした第1形態にあっては、前記第2シートが前記衣装ケースの側板の上縁に係合することによって前記保持手段を配置し、
前記第2シートを前記第1折り曲げ線または前記第2折り曲げ線のいずれかで折り曲げて、前記第2シートの少なくとも一部を前記第1シートの一方面に対して山折り状態とした第2形態にあっては、前記第2シートの前記少なくとも一部が前記衣装ケースの底板に沿うことによって前記保持手段を配置する、請求項1記載の防虫剤ホルダー。
【請求項3】
前記収納容器は、前記平面部と一体的に形成され、互いにほぼ平行に延びる一対のフランジ部を更に有し、前記収納容器の前記揮散口は、前記平面部とは反対側に設けられており、
前記保持手段は、前記第1シートの一辺と隣接する一対の辺に接続され、前記第1シートの前記一方面に対して反対側に折り返された一対の折り返し部を更に含み、前記平面部が前記第1シートの他方面と接し、かつ、前記フランジ部の各々が前記折り返し部の各々と前記他方面との間に格納された状態で前記防虫剤を保持する、請求項2記載の防虫剤ホルダー。
【請求項4】
前記第1シートには、保持した防虫剤が前記第2シートとは反対側に移動することを保持するストッパー手段が更に設けられる、請求項3記載の防虫剤ホルダー。
【請求項5】
前記収納容器は、前記平面部と一体的に形成されるフランジ部を更に有し、前記収納容器の前記揮散口は、前記平面部とは反対側に設けられており、
前記第1シートには、前記平面部及び前記フランジ部を含む平面から突出した収納容器の突出部分が嵌合する開口が形成され、
前記保持手段は、前記第1シートの前記一辺と対向する辺に接続され、当該対向する辺において前記第1シートの前記一方面に対して谷折りに折り曲げられた略矩形形状の第3シートを更に含み、前記収納容器の前記突出部分が前記第1シートに嵌合した状態で、前記第1シートと前記第3シートとの間に前記防虫剤を挟み込んで保持する、請求項2記載の防虫剤ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−187557(P2010−187557A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32934(P2009−32934)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000207584)大日本除蟲菊株式会社 (184)
【Fターム(参考)】