説明

防音パネル

【課題】複数のスピーカを用いて能動騒音制御を実行する場合であっても、各スピーカにおいて隣のスピーカの影響を低減して隣室への音の漏れを容易に抑制する。
【解決手段】防音パネル1は、枠体2と、仕切部材5と、能動騒音制御装置8とを備え、防音機能を有して建物の躯体に設置される。枠体2は、枠状に形成されている。仕切部材5は、枠体2で囲まれた内部空間11を2以上の小空間12ijに仕切るように内部空間11に設けられている。能動騒音制御装置8は、信号取得部81と、複数のスピーカ82ijと、制御部83とを備える。信号取得部81は、周囲の音から変換された電気信号を取得する。複数のスピーカ82ijは、互いに異なる小空間12ijに設置されている。制御部83は、周囲の音を打ち消す音をスピーカ82ijが小空間12ijに出力するように、信号取得部81で取得された電気信号を用いて各スピーカ82ijへの出力信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音機能を有し建物の躯体に設置される防音パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
建物には複数の部屋が設けられているが、各部屋では異なるイベントが行われていることが多い。例えばある部屋にいる人はテレビを視聴し、隣室にいる人は寝ている場合などがある。
【0003】
また、従来から、薄型テレビを取り付けるためのパネルが種々市販され開発されている(例えば特許文献1参照)。このようなパネルは、一般的に部屋の壁際に設置され、設置後に薄型テレビが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−224619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、人の声またはテレビから出力された音などは、壁を通って隣室に漏れることが多い。特に、薄型テレビが壁際に設置されていると、薄型テレビから出力された音が隣室に漏れやすくなる。
【0006】
隣室への音の漏れを抑制するためには、能動騒音制御を用いることが考えられる。従来のパネルにおいて能動騒音制御を実行する場合、能動騒音制御用のスピーカが必要になる。ところが、上記パネルは、薄型テレビを取り付けるほどの大きさを有するため、このような大きさに対応する大型スピーカを内蔵する必要がある。
【0007】
そこで、1個の大型スピーカではなく、複数の小型スピーカを並べて設置することによって、能動騒音制御を実行することが考えられる。
【0008】
しかしながら、複数のスピーカを用いた場合、各スピーカから出力させる音について、隣のスピーカから出力された音の影響を考慮しなければならず、各スピーカから出力させる音の制御が難しいという問題があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、複数のスピーカを用いて能動騒音制御を実行する場合であっても、各スピーカにおいて隣のスピーカの影響を低減して隣室への音の漏れを容易に抑制することができる防音パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の防音パネルは、防音機能を有し建物の躯体に設置される防音パネルであって、枠状に形成された枠体と、前記枠体で囲まれた内部空間を2以上の小空間に仕切るように当該内部空間に設けられた仕切部材とを備えるとともに、周囲の音に相当する電気信号を取得する信号取得部と、互いに異なる前記小空間に設置された複数のスピーカと、周囲の音を打ち消す音を前記スピーカが前記小空間に出力するように、前記信号取得部で取得された前記電気信号を用いて各スピーカへの出力信号を生成する制御部とを有する能動騒音制御装置を備えることを特徴とする。
【0011】
この防音パネルにおいて、前記内部空間の前方側の開口を覆うように前記枠体に取り付けられた前面板と、前記内部空間の後方側の開口を覆うように前記枠体に取り付けられた背面板との少なくとも一方を備えることが好ましい。
【0012】
この防音パネルにおいて、前記前面板を備える場合に、前記仕切部材と前記前面板との間に設けられた第1の制振材を備えることが好ましい。
【0013】
この防音パネルにおいて、前記背面板を備える場合に、前記仕切部材と前記背面板との間に設けられた第2の制振材を備えることが好ましい。
【0014】
この防音パネルにおいて、前記仕切部材は、格子状に形成され、前記内部空間の前方側に薄型テレビが位置するように当該薄型テレビを複数個所で支持する複数の取付部を有することが好ましい。
【0015】
この防音パネルにおいて、前記信号取得部は、周囲に出力する音を前記電気信号として出力可能な音源から前記電気信号を取得することが好ましい。
【0016】
この防音パネルにおいて、前記信号取得部は、周囲の音を検出して前記電気信号に変換するマイクロホンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、複数のスピーカを用いて能動騒音制御を実行する場合であっても、各小空間において、隣の小空間と仕切部材で遮断することによって、隣の小空間に設置されたスピーカから出力された音の影響を低減して隣室への音の漏れを容易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係る防音パネルであって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(b)のB部分の拡大図である。
【図2】同上に係る防音パネルの能動騒音制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同上に係る防音パネルの設置図である。
【図4】実施形態2に係る防音パネルの設置図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施形態に係る防音パネルは、防音機能を有するパネルであり、例えば戸建住宅または集合住宅などの建物の躯体に設置される。
【0020】
(実施形態1)
本実施形態の防音パネル1は、図1に示すように、枠体2と、前面板3と、背面板4と、仕切部材5と、第1の制振材6と、第2の制振材7と、能動騒音制御装置8とを備えている。本実施形態の防音パネル1は、薄型テレビ91を取付可能なテレビ用壁掛けパネルである。
【0021】
枠体2は、例えば木材、金属または樹脂などで枠状に形成された部材である。これにより、防音パネル1には、枠体2で囲まれた内部空間11が形成される。
【0022】
前面板3は、例えば木材、金属または樹脂などで平板状に形成された部材であり、内部空間11の前方側の開口を覆うように枠体2に取り付けられている。
【0023】
背面板4は、例えば木材、金属または樹脂などで平板状に形成された部材であり、内部空間11の後方側の開口を覆うように枠体2に取り付けられている。
【0024】
仕切部材5は、例えば木材、金属または樹脂などで格子状に形成された部材であり、内部空間11を複数(図示例では16個)の小空間1211,1212,…,1244に仕切るように内部空間11に設けられている。仕切部材5には、小空間12ij(i=1,2,3,4、j=1,2,3,4)を前後方向で2つに仕切るように内部隔壁13ijが設けられている。小空間12ijは、内部隔壁13ijによって、前側空間14ijと後側空間15ijとに仕切られている。仕切部材5は、上記のように内部空間11に設けられることによって、内部空間11に仕切部材5が設けられていない場合に比べて、防音パネル1全体の強度を高めることができる。
【0025】
仕切部材5は、内部空間11の前方側つまり前面板3の表面に薄型テレビ91が位置するように薄型テレビ91を複数個所で支持するための複数の取付部51を備えている。これにより、設置者は、複数の取付部51の全てまたは一部を用いて、薄型テレビ91を取り付けることが可能である。なお、仕切部材5には、薄型テレビ91が直接取り付けられるのではなく、薄型テレビ91を取り付けるための取付金具(図示せず)が取り付けられてもよい。この場合、仕切部材5には、間接的に薄型テレビ91が取り付けられることになる。
【0026】
薄型テレビ91は、例えば液晶テレビまたはプラズマテレビなどであり、映像を表示するとともに、映像に関連する音(音声を含む)を周囲に出力する。また、薄型テレビ91は、周囲に出力する音を電気信号S1として外部出力端子911(図3参照)から外部出力することが可能である。
【0027】
第1の制振材6は、例えば制振ゴムなどで格子状に形成された部材であり、仕切部材5と前面板3との間および枠体2と前面板3との間に設けられている。換言すると、第1の制振材6は、前面板3の裏面全体には設けられていない。第1の制振材6は、接着剤によって、枠体2と前面板3と仕切部材5とに密接して接着されている。第1の制振材6は、振動エネルギーを熱エネルギーに変換することによって、振動を低減することが可能である。
【0028】
第2の制振材7は、例えば制振ゴムなどで格子状に形成された部材であり、仕切部材5と背面板4との間および枠体2と背面板4との間に設けられている。換言すると、第2の制振材7は、背面板4の裏面全体には設けられていない。第2の制振材7は、接着剤によって、枠体2と背面板4と仕切部材5とに密接して接着されている。第2の制振材7は、振動エネルギーを熱エネルギーに変換することによって、振動を低減することが可能である。
【0029】
能動騒音制御装置8は、図2に示すように、信号取得部81と、複数(本実施形態では16個)のスピーカ8211,8212,…,8244と、制御部83とを備えている。
【0030】
信号取得部81は、周囲の音に相当する電気信号S1を取得する。本実施形態の信号取得部81は、前面板3の裏面に設置された入力インタフェースであり(図1(b)参照)、薄型テレビ91の外部出力端子911に接続されている。信号取得部81は、制御部83の指示に従って、薄型テレビ91から電気信号S1を取得し、電気信号S1を制御部83に出力する。なお、信号取得部81の設置場所は、図1(b)に示す場所ではなく、防音パネル1の他の場所でもよい。
【0031】
スピーカ82ijは、例えば圧電スピーカなどの薄型スピーカであり、対応する小空間12ijの内部隔壁13ijに設置されている。例えば、スピーカ8211は小空間1211の内部隔壁1311に設置され、スピーカ8212は小空間1212の内部隔壁1312に設置され、スピーカ8244は小空間1244の内部隔壁1344に設置されている。つまり、複数のスピーカ8211,8212,…,8244は、互いに異なる小空間12ijの内部隔壁13ijに設置されている。スピーカ82ijは、制御部83から出力された電気信号S2ijを音に変換し、変換した音を後側空間15ijに出力する。
【0032】
制御部83は、例えばマイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit)を主構成要素とし、信号処理部と信号出力部との各機能を実行することによって、スピーカ82ijが所望の音を出力するための電気信号S2ijをスピーカ82ijに出力する。制御部83は、前面板3の裏面に設置されている(図1(b)参照)。なお、制御部83の設置場所は、図1(b)に示す場所ではなく、防音パネル1の他の場所でもよい。
【0033】
制御部83は、信号処理部の機能として、信号取得部81で取得された電気信号S1を用いて、薄型テレビ91から出力された音を打ち消す音をスピーカ82ijが小空間12ijの後側空間15ijに向けて出力するように電気信号S2ijを生成する。つまり、後側空間15ijにおいて、薄型テレビ91から出力された音とスピーカ82ijから出力された音とが打ち消し合うように、制御部83は電気信号S2ijを生成する。具体的には、制御部83は、薄型テレビ91から出力された音と逆位相の音の電気信号S2ijを生成する。制御部83は、信号出力部の機能として、電気信号S2ijをスピーカ82ijに出力する。
【0034】
上記より、防音パネル1は、薄型テレビ91から出力されて回折現象によって設置部屋93(図3参照)から隣室94(図3参照)へ漏れていた音を、小空間12ijの後側空間15ijを通過する時点で、スピーカ82ijから出力された音で打ち消して消音させることができる。
【0035】
次に、本実施形態の防音パネル1の使用例について図3を用いて説明する。防音パネル1は壁92の前面に設置された後、薄型テレビ91が取り付けられる。薄型テレビ91は、オンになると、映像を表示するとともに設置部屋93に音を出力する。薄型テレビ91から出力された音は、防音パネル1の内部空間11に伝達される。このときの能動騒音制御装置8の動作は以下の通りである。
【0036】
まず、信号取得部81が薄型テレビ91から電気信号S1を取得する。電気信号S1は、薄型テレビ91から出力された音に対応する電気信号である。信号取得部81は、電気信号S1を制御部83に出力する。制御部83は、薄型テレビ91から出力された音をスピーカ82ijから出力された音で打ち消すように、電気信号S1を用いて電気信号S2ijを生成する。その後、制御部83は、電気信号S2ijをスピーカ82ijに出力する。スピーカ82ijは、電気信号S2ijを音に変換し、変換した音を小空間12ijの後側空間15ijに出力する。
【0037】
これにより、後側空間15ijにおいて、スピーカ82ijから出力された音と薄型テレビ91から出力された音とが互いに打ち消し合うので、薄型テレビ91から出力された音が隣室94に漏れることを抑制することができる。
【0038】
このとき、スピーカ82ijから出力された音は、仕切部材5によって隣の小空間12mn(m=i−1,i+1、n=j−1,j+1)に伝達されないようになっている。特に、第1の制振材6および第2の制振材7によって、スピーカ82ijから出力された音が隣の小空間12mnに伝達するのをさらに抑制することができる。
【0039】
以上、本実施形態の防音パネル1は、広い領域で防音機能を持たそうとした場合に、仕切部材5が内部空間11を複数の小空間1211,1212,…,1244に仕切り、小空間12ijごとにスピーカ82ijが設置されることによって、1つのスピーカのみで対応するときに比べて、隣室94に対する防音を容易に実現することができる。
【0040】
また、本実施形態の防音パネル1は、各小空間12ijが隣の小空間12mnと仕切部材5で遮断することによって、隣の小空間12mnに設置されたスピーカ82mnから出力された音が漏れてくるのを抑制することができる。これにより、防音パネル1は、複数のスピーカ8211,8212,…,8244を用いて能動騒音制御を実行する場合であっても、隣のスピーカ82mnから出力された音の影響を低減して設置部屋93から隣室94への音の漏れを容易に抑制することができる。
【0041】
さらに、本実施形態の防音パネル1は、枠体2および仕切部材5と前面板3および背面板4とによって、小空間12ijを密閉空間にすることができる。これにより、防音パネル1は、各小空間12ijにおいて、隣の小空間12mnからの影響をより低減することができる。
【0042】
本実施形態の防音パネル1は、仕切部材5と前面板3との間に第1の制振材6を備え、仕切部材5と背面板4との間に第2の制振材7を備えていることによって、仕切部材5と前面板3との間の隙間または仕切部材5と背面板4との間の隙間をなくすことができる。これにより、防音パネル1は、各小空間12ijにおいて、隣の小空間12mnから音が漏れてくるのをさらに抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態の防音パネル1によれば、スピーカ82ijから出力された音が仕切部材5に伝達されたとしても、第1の制振材6および第2の制振材7が仕切部材5の振動を減衰させることができる。これにより、上記振動による隣の小空間12mnへの音の伝達を低減させることができる。
【0044】
さらに、本実施形態の防音パネル1によれば、仕切部材5の振動が残っていても、第1の制振材6および第2の制振材7によって、前面板3および背面板4が仕切部材5と共振して振動することを抑制することができる。反対に、仕切部材5が前面板3と共振して振動することも抑制することができる。
【0045】
本実施形態の防音パネル1によれば、前面板3ではなく仕切部材5が複数の取付部51で薄型テレビ91を支持することによって、前面板3を厚くしたり補強したりする必要がなく、薄型テレビ91を取り付けることができる。その結果、防音パネル1としての奥行きを薄くすることができる。つまり、本実施形態の防音パネル1は、壁92からの突出度合いを小さくすることができる。上記効果は、特に薄型テレビ91の大型化に伴って薄型テレビ91の重量が増加する場合に顕著である。
【0046】
また、本実施形態の防音パネル1によれば、仕切部材5が格子状に形成されているので、短冊状(縦方向のみまたは横方向のみ)に形成されている場合に比べて、薄型テレビ91を支持するための取付部51の位置を自由に設定することができる。その結果、本実施形態の防音パネル1は、さまざまなサイズの薄型テレビ91に対応することができる。
【0047】
(実施形態2)
実施形態2に係る防音パネル1は、信号取得部81としてマイクロホンを備えている点で、実施形態1に係る防音パネル1と相違する。また、本実施形態の防音パネル1は、テレビ用壁掛けパネルではなく、図4に示すように、壁92の前面全体を覆うように取り付けられたパネルである。以下、本実施形態の防音パネル1について図4を用いて説明する。なお、実施形態1の防音パネル1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態の信号取得部81は、図4に示すように前面板3の表面に設置されたマイクロホンであり、設置部屋93の音を検出して電気信号S1に変換する。設置部屋93の音としては、例えば人の声または音楽再生装置からの音などがある。信号取得部81は、電気信号S1を制御部83に出力する。なお、信号取得部81の設置場所は、図4に示す場所ではなく、防音パネル1の他の場所でもよい。
【0049】
本実施形態の制御部83は、後側空間15ijにおいて、設置部屋93の音とスピーカ82ijから出力された音とが打ち消し合うように電気信号S2ijを生成する。例えば、制御部83は、設置部屋93の音と逆位相の音の電気信号S2ijを生成する。その後、制御部83は、電気信号S2ijをスピーカ82ijに出力する。
【0050】
本実施形態のスピーカ82ijは、電気信号S2ijを音に変換し、変換した音を小空間12ijの後側空間15ijに出力する。
【0051】
上記より、防音パネル1は、設置部屋93から隣室94へ漏れていた音が小空間12ijの後側空間15ijを通過する時点で、設置部屋93から隣室94へ漏れていた音を、スピーカ82ijから出力された音で打ち消して消音させることができる。
【0052】
本実施形態の防音パネル1においても、各小空間12ijが隣の小空間12mnと仕切部材5で遮断されることによって、隣の小空間12mnに設置されたスピーカ82mnから出力された音が漏れてくるのを抑制することができる。これにより、防音パネル1は、複数のスピーカ8211,8212,…,8244を用いて能動騒音制御を実行する場合であっても、隣のスピーカ82mnから出力された音の影響を低減して設置部屋93から隣室94への音の漏れを容易に抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態の防音パネル1は、仕切部材5と前面板3との間に第1の制振材6を備え、仕切部材5と背面板4との間に第2の制振材7を備えていることによって、仕切部材5と前面板3との間の隙間または仕切部材5と背面板4との間の隙間をなくすことができる。これにより、防音パネル1は、各小空間12ijにおいて、隣の小空間12mnから音が漏れてくるのをさらに抑制することができる。
【0054】
なお、実施形態1の防音パネル1において、実施形態1の信号取得部81に代えて、本実施形態の信号取得部81を適用してもよい。
【0055】
また、実施形態1,2の他の変形例として、防音パネル1は、第1の制振材6および第2の制振材7の少なくとも一方を備えていなくてもよい。本変形例の防音パネル1は、実施形態1,2の防音パネル1と同様に、各小空間12ijが隣の小空間12mnと仕切部材5で遮断することによって、隣の小空間12mnに設置されたスピーカ82mnから出力された音が漏れてくるのを抑制することができる。
【0056】
さらに、実施形態1,2の変形例として、防音パネル1は、前面板3および背面板4の少なくとも一方を備えていなくてもよい。本変形例の防音パネル1は、実施形態1,2の防音パネル1と同様の効果を奏する。
【0057】
また、実施形態1,2の他の変形例として、防音パネル1は、全ての小空間1211,1212,…,1244ではなく、一部の小空間12st(s,tは任意の自然数、ただしs≦i、t≦j)のみにスピーカ82stを備えてもよい。
【0058】
さらに、実施形態1,2の他の変形例として、防音パネル1は、枠体2と仕切部材5とを一体に備えてもよい。
【0059】
また、実施形態1,2の防音パネル1は、壁92以外の躯体(例えば天井など)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 防音パネル
11 内部空間
12ij 小空間
2 枠体
3 前面板
4 背面板
5 仕切部材
6 第1の制振材
7 第2の制振材
8 能動騒音制御装置
81 信号取得部
82ij スピーカ
83 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防音機能を有し建物の躯体に設置される防音パネルであって、
枠状に形成された枠体と、
前記枠体で囲まれた内部空間を2以上の小空間に仕切るように当該内部空間に設けられた仕切部材とを備えるとともに、
周囲の音に相当する電気信号を取得する信号取得部と、互いに異なる前記小空間に設置された複数のスピーカと、周囲の音を打ち消す音を前記スピーカが前記小空間に出力するように、前記信号取得部で取得された前記電気信号を用いて各スピーカへの出力信号を生成する制御部とを有する能動騒音制御装置を備える
ことを特徴とする防音パネル。
【請求項2】
前記内部空間の前方側の開口を覆うように前記枠体に取り付けられた前面板と、前記内部空間の後方側の開口を覆うように前記枠体に取り付けられた背面板との少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1記載の防音パネル。
【請求項3】
前記前面板を備える場合に、前記仕切部材と前記前面板との間に設けられた第1の制振材を備えることを特徴とする請求項2記載の防音パネル。
【請求項4】
前記背面板を備える場合に、前記仕切部材と前記背面板との間に設けられた第2の制振材を備えることを特徴とする請求項2または3記載の防音パネル。
【請求項5】
前記仕切部材は、格子状に形成され、前記内部空間の前方側に薄型テレビが位置するように当該薄型テレビを複数個所で支持する複数の取付部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の防音パネル。
【請求項6】
前記信号取得部は、周囲に出力する音を前記電気信号として出力可能な音源から前記電気信号を取得することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の防音パネル。
【請求項7】
前記信号取得部は、周囲の音を検出して前記電気信号に変換するマイクロホンであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の防音パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−12888(P2012−12888A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152286(P2010−152286)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】