説明

防音フエンス

【課題】 吸音体の厚みや材質、構造等を変えることのできる防音フエンスを提供する。
【解決手段】 フエンス本体50は、一面側に位置する、鉄板40と鉄板40に貼着されたポリエチレンフォーム41から形成されている板状体4と、他面側に位置する、孔52を複数有する多孔板5と、板状体4と多孔板5の間に位置する吸音体6とで構成され、胴縁1により上下端で締結する。胴縁1は本体である環状部2と押さえプレート3とから構成され、押さえプレート3は断面L字状をなしており、係合部30が底部13の内面と接触し、係合し、係合部30とほぼ直角をなして曲げられた押さえ部31はフエンス本体50に接触して、受け部10との間にフエンス本体50を挟み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防音フエンスに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路や鉄道など騒音を発生する交通機関の走行路に沿って、防音フエンスがしばしば設置され、所定の防音効果を発揮している。
従来の防音フエンスにおけるフエンス体は、箱状の本体の中に吸音体を詰め込み、多孔板で蓋をした構造のものが一般的であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した従来の防音フエンスのフエンス体は、コストが高くなる上、吸音体の厚みや材質、構造などを変えるのが難しく、騒音の状況に応じた対応ができにくい問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、フエンス本体と、該フエンス本体の縁部に設けられ、フエンス本体を保持する胴縁と、を備えた防音フエンスにおいて、前記フエンス本体が、一面側に位置する板状体と、他面側に位置する多孔体と、前記板状体と多孔体の間に位置する吸音体とを備え、前記胴縁が、前記板状体と多孔体と吸音体の端部を覆い、断面が開口を残すように非閉ループ状に曲げられた環状部と、前記板状体又は多孔体と接触するフエンス受け部と、前記環状部の開口を通って前記環状部の内面に前記フエンス受け部方向にスライド可能に係合し、前記フエンス受け部との間に前記板状体と多孔体と吸音体とを一体的に挟んで締結可能とする押さえプレートと、を有することを特徴とする。
以上の構成においては、板状体と多孔体と吸音体とを胴縁により保持する構成であるため、必要に応じて吸音体の量や質や厚みなどを選択可能である。また板状体や多孔体についても材質や厚みなどを適宜選択可能である。しかも、胴縁により上端部を覆われるため、雨などの水分がフエンス体の内部に進入することがない。また胴縁はスライド可能な押さえプレートを有しており、フエンス体の厚さ変化にも容易に対応でき、敷設現場において、板状体と多孔体と吸音体を組み合わせ、これらを胴縁で締結して一体のフエンス体に構成する作業が容易に行える効果がある。
【発明の効果】
【0005】
本発明の防音フエンスによれば、吸音体などを状況に応じて適宜の材質や厚さとすることが可能であり、防音性能を最適なものとすることができる。また、板状体、多孔板、吸音体として任意のものを使用できるから、通常使用される材料を転用することが容易であり、コスト低減を図ることが可能である。またフエンス体の厚さに対応でき、しかも防水性の優れた胴縁を使用することにより、容易に且つ確実な施工を行える等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、フエンス全体の斜視図であり、フエンス本体50の上下端に胴縁1、1が装着されている。
【0007】
フエンス本体50は、板状体4と多孔板5及び吸音体6とから構成されている。
図2に示すように、板状体4はこの実施形態では鉄板40と鉄板40に貼着されたポリエチレンフォーム41から形成されており、この板状体4は断熱屋根材として市販されているものを用いている。
多孔板5は複数の孔52を有しており、この実施形態では図3に示すように目隠フエンスとして使用されるエキスパンドメタルからなる鉄板を用いている。
【0008】
該板状体4と多孔板5の間に吸音体6が挟持され、孔52から透過する音をここで吸収するように構成されている。吸音体6には種々のものが採用可能であり、例えば図3に示すように波形に形成したスポンジ状のものや、穴あきスポンジなどを採用可能である。その他に吸音性の高い種々の材質や形態のものを採用可能である。
【0009】
上記した板状体4と多孔板5と吸音体6は、施行現場にて組み合わされ、その上下端を胴縁1、1により締結されてフエンス本体50を形成するようになっている。
【0010】
該胴縁1は本体である環状部2と押さえプレート3とから構成されている。
環状部2は図2に示すように断面ほぼ角形状であり、フエンス本体50に接触し、胴縁1の後面を形成する受け部10と受け部10からほぼ直角に曲げられて、胴縁1の上面を形成する天井部11と、更に天井部11から下方にほぼ直角に曲げられて胴縁1の前面を形成する前面部12と、前面部12から更にほぼ直角に曲げられて胴縁1の底部を構成する底部13とを有する。
【0011】
前面部12は受け部10より短く、底部13は受け部10の上下方向中間部に向けて前面部12から曲げられている。底部13は受け部10に接触することなく、受け部10との間に開口14を設け、環状部2を非閉ループとしている。
【0012】
押さえプレート3は断面L字状をなしており、係合部30が底部13の内面と接触し、係合するようなっている。係合部30とほぼ直角をなして曲げられた押さえ部31はフエンス本体50に接触して、受け部10との間にフエンス本体50を挟み込むようになっている。
係合部30は固定されておらず、底部13に接触するだけであるから、フエンス本体50方向にスライド可能であり、フエンス本体50の厚みに応じてフエンス本体50に密着できるように構成されている。
受け部10と押さえ部31の適宜位置にはボルト孔が設けられており、ボルト・ナット55によりフエンス本体50を締結するように構成されている。
【0013】
以上の構成において、胴縁1は環状部2により所定の強度を維持する。そして、押さえプレート3をフエンス本体50の厚さに応じてスライドさせ、受け部10との間にフエンス本体50を挟みフエンス本体50を確実に締結する。
また、押さえプレート3は底部13において、環状部2に係合するから、上方向に向かう力に対して胴縁1の強度を高めることができる。また開口14を完全に塞ぐことができるから、雨水などの浸入も抑制できる効果がある。
【0014】
なお、胴縁1と支柱との結合は、支柱に適宜のブラケットを設け、該ブラケットを押さえプレート3とフエンス本体50との間に挟み、ボルト・ナット55により締結することにより行うようになっている。
【0015】
以上の構成によれば、板状体4と多孔板5と吸音体6を現場において組み合わせることにより、状況に応じたフエンス本体50を得ることができる。例えば、吸音体6の材質や量などを適宜選択することが可能である。そして、胴縁1により、種々の厚みのフエンス本体50に対応でき、現場にて押さえプレート3により押さえてボルト・ナット55で締結するだけで良いため、施工も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略斜視図。
【図2】本発明の一実施形態の部分拡大側面図。
【図3】本発明の他の実施形態を示す概略部分組立図。
【符号の説明】
【0017】
1:胴縁、2:環状部、3:押さえプレート、4:板状体、5:多孔板、6:吸音体、10:受け部、11:天井部、12:前面部、13:底部、14:開口、30:係合部、31:押さえ部、40:鉄板、41:ポリエチレンフォーム、50:フエンス本体、52:孔、55:ボルト・ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フエンス本体と、該フエンス本体の縁部に設けられ、フエンス本体を保持する胴縁と、を備えた防音フエンスにおいて、
前記フエンス本体が;
一面側に位置する板状体と、
他面側に位置する多孔体と、
前記板状体と多孔体の間に位置する吸音体と、を備え、
前記胴縁が;
前記板状体と多孔体と吸音体の端部を覆い、断面が開口を残すように非閉ループ状に曲げられた環状部と、
前記板状体又は多孔体と接触するフエンス受け部と、
前記環状部の開口を通って前記環状部の内面に前記フエンス受け部方向にスライド可能に係合し、前記フエンス受け部との間に前記板状体と多孔体と吸音体とを一体的に挟んで締結可能とする押さえプレートと、
を有することを特徴とするフエンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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