説明

阻止装置を備えたシュラウド組立体

【課題】タービン(10)シュラウド組立体を開示する。
【解決手段】内側シュラウド(104、204)内に封入された阻止装置(106)は、高温ガス又は蒸気が外側シュラウドに接近する直接経路を有するのを妨げる。阻止装置(106)は、内側シュラウド(104、204)を越えかつ隣接するシュラウド組立体の内側シュラウド(104、204)内に延びるように該内側シュラウド(104、204)からオフセットした状態で配置される。別の実施形態では、その各々が阻止装置(106)を封入した状態で複数の内側シュラウド(104、204)が設けられ、阻止装置(106)は、内側シュラウド(104、204)間の間隙(205)を覆うように該内側シュラウド(104、204)内で互いに隣接しかつ該内側シュラウド(104、204)からオフセットした状態で配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的にはタービンシュラウド組立体に関し、より具体的には、タービンシュラウド組立体で使用するようになった阻止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シュラウドは、タービン及びエンジン内で使用されて、回転ブレード及びケーシング構造体間の境界部として作用する。シュラウドは、ブレードに対して緊密な先端クリアランスを構成しかつノズルのための取付け部となる。一般的に、そのようなシュラウドは、金属材料で製作される。しかしながら、産業用ガスタービン及び航空機エンジンのシュラウドは、高温環境内で作動し、従って有用な設計寿命を得るためには冷却を必要とする。冷却空気を伴う金属シュラウドに代わる方法は、シュラウドとしてセラミックマトリックス複合(CMC)材料を使用し、従って金属に優るCMCの優れた温度性能によりシュラウドの冷却の必要性を排除することである。CMCシュラウドは一般的に、ガス/蒸気通路に最も近接した該シュラウドの端部における高温が金属外側ケーシングに最も近接した端部に到達するのを防止するためのシールを含む。一般的に、シュラウド端部ギャップを効果的にシールするためには、シールを冷却して該シールの設計寿命を維持しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0010755号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
タービンシュラウド組立体を開示し、本シュラウド組立体は、外側シュラウドと、外側シュラウドに取付けられた少なくとも1つの中空管状内側シュラウドと、内側シュラウド内に封入された阻止装置とを含む。阻止装置は、高温ガス又は蒸気が外側シュラウドに接近する直接経路を有するのを妨げる。1つの実施形態では、本シュラウド組立体の1つの内側シュラウドには、該内側シュラウド内に封入した1つの阻止装置が設けられ、阻止装置は、内側シュラウドを越えかつ隣接するシュラウド組立体の内側シュラウド内に延びるように該内側シュラウドからオフセットした状態で配置される。別の実施形態では、その各々が阻止装置を封入した状態で複数の内側シュラウドが設けられ、阻止装置は、内側シュラウド間の間隙を覆うように該内側シュラウド内で互いに隣接しかつ該内側シュラウドからオフセットした状態で配置される。
【0005】
本発明の第1の態様は、タービンで使用するようになったシュラウド組立体を提供し、本シュラウド組立体は、タービンの外側ケーシングと境界を接するように構成された第1の側面及び該タービンの作動流体の流れに近接した第2の側面を有する外側シュラウドと、外側シュラウドの第2の側面及びタービンの作動流体流れ間に配置された内側シュラウドと、内側シュラウド内に封入された阻止装置とを含み、阻止装置は、内側シュラウドを越えかつ隣接するシュラウド組立体の内側シュラウド内に延びるように該内側シュラウドからオフセットした状態で配置される。
【0006】
本発明の第2の態様は、タービンで使用するようになったシュラウド組立体を提供し、本シュラウド組立体は、タービンの外側ケーシングと境界を接するように構成された第1の側面及び該タービンの作動流体の流れに近接した第2の側面を有する外側シュラウドと、互いに隣接し、それらの間に膨張間隙を形成するように配置され、かつ外側シュラウドの第2の側面及びタービンの作動流体流れ間に配置された少なくとも2つの内側シュラウドと、互いに隣接しかつ内側シュラウド内に封入された少なくとも2つの阻止装置とを含み、阻止装置は、膨張間隙を覆うように内側シュラウドからオフセットした状態で配置される。
【0007】
本発明の第3の態様は、タービンを提供し、本タービンは、外側ケーシングと、少なくとも1つの回転ブレードと、該タービンの外側ケーシング及び少なくとも1つの回転ブレード間に配置されたシュラウド組立体とを含み、シュラウド組立体は、外側ケーシングと境界を接するように構成された第1の側面及び少なくとも1つの回転ブレードと境界を接しかつタービンの作動流体の流れに近接するように構成された第2の側面を有する外側シュラウドと、外側シュラウドの第2の側面及びタービンの作動流体流れ間に配置された少なくとも1つの内側シュラウドと、内側シュラウド内に封入されかつ該内側シュラウドからオフセットした状態で配置された少なくとも1つの阻止装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態による、タービン内におけるシュラウド組立体の断面図。
【図2】本発明の実施形態によるタービンシュラウド組立体の斜視図。
【図3】本発明の実施形態によるタービンシュラウド組立体の斜視図。
【図4】本発明の実施形態によるタービンシュラウド組立体の斜視図。
【図5】本発明の実施形態によるタービンシュラウド組立体及び隣接するタービンシュラウド組立体の斜視図。
【図6】本発明の実施形態による、その中に仮想線で示した阻止装置を備えたタービンシュラウド組立体の底面図。
【図7】本発明の実施形態によるタービンシュラウド組立体内で使用するようになった阻止装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面は正確な縮尺でないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って本発明の技術的範囲を限定するものとして考えるべきではない。図面では、同じ参照符号付けが、図面間で同様の要素を表している。
【0010】
図に移ると、図1は、本発明の実施形態による、タービン10(図1には部分的に示している)内におけるタービンシュラウド組立体100を示している。タービン10は、少なくとも1つの回転ブレード12と、外側ケーシング14とを含む。本発明の実施形態によると、少なくとも1つのシュラウド組立体100は、回転ブレード12及び外側ケーシング14間に配置される。また当技術分野では公知のように、作動流体(例えば、燃焼ガス又は蒸気)は、タービンを通って流れて、回転ブレード12上に衝突する。当業者には分るように、タービン10は、蒸気タービン、ガスタービン、混式ガス及び蒸気タービン、LPタービン、IPタービン、単流蒸気タービン、複合サイクルタービン、対向流タービン及び/又はHPタービンのようなあらゆるタイプのタービンとすることができることに注目されたい。
【0011】
図2には、本発明の実施形態によるシュラウド組立体100を示している。タービンシュラウド組立体100は、外側シュラウド102を含み、外側シュラウド102は、タービン10の外側ケーシング14と境界を接するように構成された第1の側面101を有する。外側シュラウド102はさらに、回転ブレード12に、従ってタービンの作動流体通路に近接した第2の側面103を含む。本明細書に説明するように、本発明の実施形態を使用することにより、外側シュラウド102は、高耐熱性材料からなる必要はなく、金属のようなあらゆる所望の材料を使用することができる。
【0012】
さらに図2に示し、また図3により詳細に示すように、シュラウド組立体100はさらに、外側シュラウド102及びタービン10の作動流体通路間で該外側シュラウド102の第2の側面103に取付けられた少なくとも1つの内側シュラウド104を含む。作動流体通路に近接していることにより、内側シュラウド104は、高温に曝される。従って、図4に示す別の実施形態では、それらの間に膨張間隙を設けて、タービン10の燃焼ガス又は蒸気通路から放出された高熱による膨張が可能になるようにした状態で、互いに隣接した複数の内側シュラウド104(例えば、図4に示すように2つの内側シュラウド104)を設けることができる。内側シュラウド104は、中空管状形状、或いはあらゆるその他の好適な形状又はコンシステンシーのものとすることができる。さらに、内側シュラウドは、セラミックマトリックス複合(CMC)材料、或いはセラミック材料、モノリシック形セラミック又はタービングレード超合金(Ni超合金のような)のような高温に耐えることができるあらゆるその他の好適な材料からなるものとすることができる。
【0013】
どのくらい多くの内側シュラウド104を設けるかに関係なく、各内側シュラウド104は、少なくとも1つの阻止装置106を封入する。例えば、図4に示す実施形態では、2つの内側シュラウド104は2つの阻止装置106を封入し、また阻止装置106は、内側シュラウド104内で互いに隣接して配置される。図3では、1つの内側シュラウド104が、1つの阻止装置106を封入する。
【0014】
阻止装置106は、中空又は中実管状形状、或いは内側シュラウド104内に嵌合するように構成されたあらゆるその他の所望の形状を含むことができる。外側シュラウド102に到達する熱を最良に阻止するために、阻止装置106、又は外側シュラウド102の第2の側面103に最も近接する阻止装置106の少なくとも一部分は、完全にほぼ不透過性かつ無孔性、つまり高温作動流体が阻止装置106を貫通して流れることができる孔がない状態である。
【0015】
阻止装置106は、内側シュラウド104間のあらゆるギャップが覆われるように内側シュラウド104内に配置される。例えば、図5に示すように阻止装置106は、該阻止装置106が内側シュラウド104を越えかつ隣の隣接するシュラウド組立体200の内側シュラウド204内に延びるようにオフセットされる。従って、阻止装置106は、内側シュラウド104及び隣接する内側シュラウド204間のギャップを覆うように配置される。隣接する内側シュラウド204内への阻止装置106のこの延長は、単一の内側シュラウド104を備えた実施形態として図5に示しているが、複数の内側シュラウド104を含む実施形態において同様の構成が実施可能となることを理解されたい。例えば、複数の内側シュラウド104(従って複数の阻止装置106)を設けた場合に、内側シュラウド104の端部に最も近接した阻止装置106は隣接する内側シュラウド204内に延びることができる。図4及び図6に示すように、複数の内側シュラウド104内に、複数の阻止装置106を設けた場合には、阻止装置106は、内側シュラウド104(図4及び図6内の仮想線で最も良く示す)間の膨張間隙105を覆うように該内側シュラウド104からオフセットした状態で配置することができる。
【0016】
従って、阻止装置106は、高温作動流体が外側シュラウド102に接近する直接径路を有するのを妨げかつ作動流体通路から外側シュラウド102への蛇行径路を構成する。このように、高温作動流体が外側シュラウド102に殆ど到達せず、外側シュラウド102内での従来型の金属性のシール及び構成要素の使用を可能にする。さらに、本発明の実施形態による阻止装置106の構成は、冷却を加えない状態で、内側シュラウド104内における膨張間隙105及び隣接する組立体の内側シュラウド間のギャップ205をシールし、従って阻止装置106が内側シュラウド104と同じ又は同様な機能を有することが可能になり、従来型の金属シール又は複合組立体を使用した場合に必要となるような阻止装置106に対する付加的な冷却の必要性を排除する。
【0017】
阻止装置106は、セラミック材料、CMC材料、モノリシック形セラミック、タービングレード超合金(Ni超合金のような)などのようなあらゆる好適な材料を含むことができる。据付けを容易にするために阻止装置106は、図7に最もよく示すように少なくとも1つの傾斜端縁部108、110を有することができる。さらに、図2に最もよく示すように内側シュラウド104もまた、少なくとも1つの傾斜端縁部107を含むことができる。阻止装置106は、内側シュラウド104に接着することを必要としないが、1つの実施形態では阻止装置106は、内側シュラウド104に機械的に取付けることができる。
【0018】
本明細書における「第1の」、「第2の」などの用語は、何らの順序、数量又は重要度を表すものではなく、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために使用しており、また本明細書における数詞を付していない表現は、数量の限定を表すものではなく、むしろ記載した事項の少なくとも1つが存在することを表している。数量と関連して使用する「約」と言う修飾語は、記述した数値を包含しかつ文脈によって決まる意図的意味を有する(例えば、特定の数量の測定に関連する誤差の程度を含む)。
【0019】
本明細書では、様々な実施形態について説明しているが、当業者が要素の様々な組合せ、それらの変形或いは改良を行なうことができ、またそれらが本発明の技術的範囲内にあることは、本明細書から分かるであろう。さらに、本発明の技術的範囲から逸脱せずに特定の状況及び物的事項を本発明の教示に適合させるように、多くの変更を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではないこと、また本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲内に属する全ての実施形態を含むことになることを意図している。
【符号の説明】
【0020】
10 タービン
12 回転ブレード
14 外側ケーシング
100、200 シュラウド組立体
102 外側シュラウド
101 第1の側面
103 第2の側面
104、204 内側シュラウド
105 間隙
106 阻止装置
107、108、110 傾斜端縁部
205 ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン(10)で使用するようになったシュラウド組立体であって、
前記タービン(10)の外側ケーシング(14)と境界を接するように構成された第1の側面(101)及び該タービン(10)の作動流体の流れに近接した第2の側面(103)を有する外側シュラウド(102)と、
前記外側シュラウド(102)の第2の側面(103)及び前記タービン(10)の作動流体流れ間に配置された内側シュラウド(104、204)と、
前記内側シュラウド(104、204)内に封入された阻止装置(106)と、を含み、
前記阻止装置(106)が、前記内側シュラウド(104、204)を越えかつ隣接するシュラウド組立体(100、200)の内側シュラウド(104、204)内に延びるように該内側シュラウド(104、204)からオフセットした状態で配置される、
シュラウド組立体。
【請求項2】
前記内側シュラウド(104、204)が、中空管状形状を含む、請求項1記載のシュラウド組立体。
【請求項3】
前記内側シュラウド(104、204)が、セラミック材料、セラミックマトリックス複合材料、モノリシック形セラミック、又はNi超合金からなる、請求項1記載のシュラウド組立体。
【請求項4】
前記阻止装置(106)が、少なくとも1つの傾斜端縁部(107、108、110)を有する、請求項1記載のシュラウド組立体。
【請求項5】
前記内側シュラウド(104、204)が、少なくとも1つの傾斜端縁部(107、108、110)を有する、請求項1記載のシュラウド組立体。
【請求項6】
前記阻止装置(106)が、セラミック材料、セラミックマトリックス複合材料、モノリシック形セラミック、又はNi超合金からなる、請求項1記載のシュラウド組立体。
【請求項7】
タービン(10)で使用するようになったシュラウド組立体であって、
前記タービン(10)の外側ケーシング(14)と境界を接するように構成された第1の側面(101)及び該タービン(10)の作動流体の流れに近接した第2の側面(103)を有する外側シュラウドと、
互いに隣接し、それらの間に膨張間隙(105)を形成するように配置され、かつ前記外側シュラウドの第2の側面(103)及び前記タービン(10)の作動流体流れ間に配置された少なくとも2つの内側シュラウド(104、204)と、
互いに隣接しかつ前記内側シュラウド(104、204)内に封入された少なくとも2つの阻止装置(106)と、を含み、
前記少なくとも2つの阻止装置(106)が、前記膨張間隙(105)を覆うように前記少なくとも2つの内側シュラウド(104、204)からオフセットした状態で配置される、
シュラウド組立体。
【請求項8】
前記少なくとも2つの阻止装置(106)が、少なくとも1つの阻止装置(106)の端部が該少なくとも1つの阻止装置(106)を封入した前記内側シュラウド(104、204)の端部を越えて延びるように配置される、請求項7記載のシュラウド組立体。
【請求項9】
前記内側シュラウド(104、204)を越えて延びる前記少なくとも1つの阻止装置(106)の端部が、隣接するシュラウド組立体の内側シュラウド(104、204)内に延びる、請求項8記載のシュラウド組立体。
【請求項10】
タービン(10)であって、
外側ケーシングと、
少なくとも1つの回転ブレード(12)と、
該タービン(10)の外側ケーシング(14)及び前記少なくとも1つの回転ブレード(12)間に配置されたシュラウド組立体と、
を含み、前記シュラウド組立体が、
前記外側ケーシングと境界を接するように構成された第1の側面(101)及び前記少なくとも1つの回転ブレード(12)と境界を接しかつ該タービン(10)の作動流体の流れに近接するように構成された第2の側面(103)を有する外側シュラウドと、
前記外側シュラウド(102)の第2の側面(103)及び該タービン(10)の作動流体流れ間に配置された少なくとも1つの内側シュラウド(104、204)と、
前記少なくとも1つの内側シュラウド(104、204)内に封入されかつ該少なくとも1つの内側シュラウド(104、204)からオフセットした状態で配置された少なくとも1つの阻止装置(106)と、を含む、
タービン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−80468(P2011−80468A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227155(P2010−227155)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】