説明

限外濾過膜

本発明は、疎水性の芳香族スルホンポリマーならびに少なくとも1の親水性ポリマーから構成されており、内腔側に開放気孔の分離層を有し、該層に引き続き、非対称のスポンジ状の細孔構造を有し、フィガーポアを有していない支持層を有し、かつ該支持層に隣接して外部表面の方向に外部層を有する、限外濾過のための中空繊維膜に関する。分離層は、20000〜200000ダルトンの分離限界を有し、膜厚の最大で10%の厚さを有し、かつほぼ等方性の細孔構造を有する。支持層の細孔の大きさはまず最大の細孔径を有する帯域まで増大し、かつ引き続き外部層の方向で低減し、外部層は、壁厚の10〜30%の厚さを有し、かつほぼ等方性の細孔構造を有する。外部層の細孔の平均的な大きさは、分離層中の細孔の大きさよりも大きいが、しかし支持層中の細孔の大きさよりも小さい。中空繊維膜の壁厚は、100〜450μmの範囲である。本発明は更に、この中空繊維膜の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性の芳香族スルホンポリマーならびに少なくとも1の親水性ポリマーからなる限外濾過のための親水性の一体型非対称半透性の中空繊維膜ならびにその製造方法に関する。
【0002】
ポリマー膜は、工業用、製薬用または医療用の適用の種々の分野において精密濾過のために使用されている。前記の適用において、膜分離プロセスは重要性が益々高まっている。それというのも、このプロセスは、分離されるべき物質が、熱負荷されないか、または全く損傷されないという利点を提供するからである。限外濾過膜は、マクロ分子の除去もしくは分離のための使用することができる。膜分離プロセスの多数の更なる適用は、飲料産業、生物工学、水処理または廃水工学から知られている。このような膜は一般に、その保持能力に応じて分類される、つまり特定の大きさの粒子または分子を保持するその能力に応じて、または有効な細孔の大きさ、つまり分離特性を決定する細孔の大きさに関して分類される。この場合、限外濾過膜は分離特性を決定する、約0.01〜約0.1μmの間の細孔の大きさの範囲をカバーし、このことによって20000ダルトンより大きいか、もしくは約200000ダルトンより大きい範囲の大きさの粒子または分子を保持することができる。
【0003】
膜はさらに、膜の細孔構造に関して、つまり膜壁にわたる細孔の大きさに関して区別することができる。ここで、対称膜、つまり膜の両側の細孔の大きさがほぼ同じである膜と、膜の両側の細孔の大きさが異なる非対称膜とを区別することができる。非対称膜は通常、1の分離層を有しており、該層中で細孔の大きさは最小であり、該層が膜の分離特性を決定し、かつ該分離層に接して、より粗大な細孔を有する1の支持層を有しており、該層が、膜の機械的安定性を決定する。この場合、一体型非対称膜とは、少なくとも1の分離層と、1の支持層とを有し、その際、分離層および支持層は、同一の材料からなっており、かつ膜を製造する際に一緒に形成される膜であると理解される。このことによって両方の層が、一体型のユニットとして相互に結合している。分離層から支持層へと移行する際には単に、膜構造に関して変化するのみである。一体型の非対称膜およびその製造方法は、たとえばEP0361085B1に記載されている。
【0004】
一体型非対称膜に対して、コンポジット膜は、すでに完成している(ミクロ)細孔を有する支持層または支持膜上に、後からの、つまり別の方法工程により、たとえば皮膜形成ポリマーによる被覆により、または該ポリマーを形成するモノマーのグラフトにより、分離層が施与されることによって得られる多層の構造を有している。この結果、支持層および分離層を構成する材料は、コンポジット膜の場合、異なった特性を有する。つまり分離層から支持層への移行部において、コンポジット膜の場合、膜を構成する材料に関して不均一性が生じる。
【0005】
限外濾過の適用を経済的に行うことができるために、高い濾過速度を有する膜が必要とされる。この場合、高い濾過性能を達成するために、膜は通常、高い圧力で処理される。従って膜を評価得するための本質的な基準は、その透過性もしくはその膜内外流であり、その際、透過性は、膜の面積単位あたり、ならびに時間単位および圧力あたりに、膜を通過する流体の体積として定義される。それ以外に、中空繊維膜の機械的負荷に対する抵抗性または安定性は、重要な評価パラメータである。
【0006】
限外濾過の分野における適用にとってはむしろ、製造された膜の特にその高い化学的安定性、とりわけ酸またはアルカリに対する高い化学的安定性、その温度安定性、または滅菌抵抗性に基づいて、スルホンポリマー、たとえばポリスルホンまたはポリエーテルスルホンからなる膜が使用される。
【0007】
US−A5928774は、スルホンポリマーからなる、平坦なフィルムの形の非対称の限外濾過膜を開示している。US−A5928774の膜は、優れた非対称性を有しており、かつその1つの表面に接して、皮膜の形の分離層と、該層と接している支持層とを有しており、その細孔構造は、フィンガーポアまたはマクロボイドとも呼ばれる空洞を有しておらず、かつその細孔は、大きさにおいて、皮膜から出発して、第二の表面にいたるまで次第に大きくなっていく。その優れた非対称性と共に、US−A−5928774の膜は、適用において、高い膜内外流および高い汚染負荷抵抗性の方向で最適化されている。同様の、ポリエーテルスルホンからなる、優れた非対称性を有する平坦膜は、US−A−5886059にも記載されている。
【0008】
前記の刊行物に記載されている半透膜は、疎水性スルホンポリマーからなるので、該膜は劣った水湿潤性を有しており、従って水性媒体の濾過のためのその使用は、極めて限定されている。さらに、疎水性の膜は、たとえばタンパク質に対して、強い、非特異的な吸着能を有しており、ここから使用においてはしばしば、膜表面が、濾過すべき液体の有利に高分子の成分により直ちに被覆され、その結果、透過性が劣化することが公知である。従って水湿潤性を改善するため、ひいては水性媒体に対する透過性を改善するために、スルホンポリマーをベースとする膜を親水性にし、その際、同時にタンパク質を吸着する傾向を低減するために、種々の試みがなされている。これらの試みによれば、スルホンポリマーに、親水性ポリマー、たとえばポリビニルピロリドンが添加混合される。
【0009】
EP−A−568045は、ポリスルホンをベースとし、非対称構造を有する親水性中空繊維膜に関し、該膜は、親水性の特性を保証するために、ポリグリコールおよびビニルピロリドンベースのポリマーを含有している。EP−A−568045の中空繊維膜は、その内腔に面している側に、スリット型の、0.001〜0.05の幅を有する細孔を有する厚さ0.1〜3μmの分離層を、その内部表面上に有している。分離層との境界で、網状構造もしくはスポンジ状の構造および1〜5μmの平均的な大きさを有する細孔を有する支持層は終了する。最も外側の表面には、網状構造もしくはスポンジ状の構造を有し、支持層よりも緻密な1の層が存在する。
【0010】
EP−A−568045の膜の分離境界は、血液処理のために膜が最適化されているにも関わらず、限外濾過の範囲に分類することができる。EP−A−568045の例における中空繊維膜に関して、約0.7ml/cm2・min・barのオーダーの水の透過性が記載されている。しかしこの場合、40μmの壁厚を有するこれらの膜は、比較的壁厚が薄く、ひいては不十分な耐圧性および破壊強度に基づいて、限外濾過の適用のためには不適切である。
【0011】
EP−A−828553は、特にポリエーテルスルホンからなる、主にナノ濾過の範囲のため、および下方の限外濾過の範囲、つまり特に血液透析、血液ダイアフィルトレーションおよび血液濾過のための中空繊維膜を開示している。EP−A−828553の中空繊維膜は、薄い、開放気孔性の細孔を有する分離層が、中空繊維膜の内腔側に接しており、これに続いて粗大な細孔を有する、スポンジ状の、もしくは網状構造の、均一な構造を有し、フィンガーポアを有していない支持層が存在し、かつこれに続く外側の層は、その細孔径が、分離層の細孔径よりも大きいが、しかし支持層よりも小さい、3層の構造を有する。EP−A−828553の実施例に開示されている膜は、実質的に透析膜であり、その透過性もしくは膜内外流は低すぎるか、かつ/または膜厚が小さいことに基づいて、その機械的負荷抵抗性は限外濾過の適用のためには不十分である。
【0012】
従って本発明の根底には、限外濾過のために改善された、高い透過性を、高い機械的安定性と同時に有する中空繊維膜を提供するという課題が存在する。さらに本発明の課題は、このような中空繊維膜の製造方法を提供することである。
【0013】
本発明による課題は、疎水性の芳香族スルホンポリマーならびに少なくとも1の親水性ポリマーからなり、その内腔に面する内側表面と、外側に向かっている外側表面と、これらの表面の間に存在する、一定の壁厚を有する壁を有する親水性一体型非対称半透性中空繊維膜によって解決され、その際、該中空繊維膜は、その壁中の、内部の表面に接して1の開放気孔性の分離層を有し、該分離層に接して引き続き、外側表面の方向に、非対称のスポンジ状の細孔構造を有し、フィンガーポアを有していない1の支持層を有し、かつ該支持層に接して外側表面の方向に、1の外部層を有しており、その際、本発明による中空繊維膜は、分離層が、20000〜200000ダルトンの範囲の分離限界を有し、ならびに壁厚の最大で10%の厚さを有し、かつ細孔構造は、分離層の範囲で実質的に等方性であり、支持層中の細孔の大きさは、分離層から出発して、まず最大の細孔径を有する帯域までは増大し、かつこの帯域に引き続き、外部層の方向に向かって低減し、外部層は、壁厚の10〜30%の厚さを有し、細孔構造は、外部層の範囲で、実質的に等方性であり、かつ外部層中の細孔の平均的な大きさは、分離層中の平均孔径よりも大きいが、しかし支持層中の平均孔径よりも小さく、壁厚は100〜450μmの範囲であり、かつ少なくとも0.5ml(cm2・min・bar)の水に関する膜内外流を有し、かつ少なくとも300cN/mm2の破壊強度σB、つまりその壁の断面積Aに対する破壊力BKを有することを特徴とする。
【0014】
本発明による特徴の組み合わせにより意外にも、水に関する高い透過性、つまり水に関する高い膜内外流と、高い機械的負荷抵抗性を有する中空繊維膜が得られる。その際、機械的負荷抵抗性または安定性を評価するために、中空繊維膜の破壊力を引き合いに出す。更なる評価の基準は、中空繊維膜の破壊強度ならびに内部圧力負荷の際の破裂圧である。
【0015】
本発明による中空繊維膜は、水に関する高い透過性と、高い機械的負荷抵抗性を同時に有していることは、これらの特性が、相対する傾向を有しているために、それだけ一層意外である。たとえば膜の透過性は、膜の壁厚が低減することに伴い、および/または膜の細孔系の構造が粗大になるほど低下する。しかしわずかな壁厚と粗大な細孔の構造は、膜の機械的安定性の低下という結果を生じる。反対に、膜の強度は、細孔の骨格もしくは細孔構造が緻密であるほど、つまり膜の細孔が小さいほど高まる。
【0016】
同様に、膜の機械的安定性は、壁厚が増大すると共に上昇する。しかしこれらの両方の要因は、膜の透過性の低下をもたらす。
【0017】
本発明による課題はさらに、このような中空繊維膜を製造する方法によって解決され、その際、該方法は以下の工程を含む:
a.1のポリマー成分と、1の溶剤系とから均質な紡糸液を製造する工程、その際、該ポリマー成分は、溶液の質量に対して、17〜27質量%の疎水性芳香族スルホンポリマー、ならびに溶液の質量に対して、10〜30質量%の少なくとも1の親水性ポリマーを含み、かつ該溶剤系は、溶剤系の質量に対して、5〜80質量%の、ポリマー成分のための溶剤、溶剤系の質量に対して、0〜80質量%の、ポリマー成分のための潜在的な溶剤、ならびに溶剤系の質量に対して0〜70質量%の、ポリマー成分のための非溶剤からなる、
b.前記の均質な紡糸液を、中空糸ノズルのリングギャップから中空糸へと押し出す工程、
c.中空糸ノズルの中心の開口部から内部充填物を押し出す工程、その際、内部充填物は、スルホンポリマーのための溶剤と非溶剤との混合物からなる、
d.内部充填物と中空糸の内側とを接触させて中空糸の内部を凝固させ、かつ中空糸および膜構造の内側に接している分離層を形成する工程、
e.中空糸ノズルから出た後に中空糸を、0.5〜10秒間の間、相対空気湿度40〜95%と温度50〜70℃を有する空気を含有する調温調湿帯域に通過させる工程、引き続き、
f.中空糸を、50〜80℃の温度を有する水性の凝固媒体に通過させて、膜構造の形成を完了させ、かつ膜構造を固定する工程、
g.こうして形成された中空繊維膜を抽出して、溶剤系ならびに可溶性の物質を除去する工程、
h.中空繊維膜を乾燥させる工程。
【0018】
本発明による膜の特殊な構築様式もしくは細孔構造により、つまり特に壁厚の少なくとも60%にわたる粗大な細孔の、スポンジ状の支持層と、該支持層に続く、壁厚の10〜30%を占める、実質的に等方性の細孔構造を有し、かつ分離層中の平均細孔径よりも大きな平均細孔径を有するが、支持層中の平均細孔径よりも小さい細孔径を有する外部層により、高い透過性も高い機械的負荷抵抗性も得られる。外部層の厚さが壁厚の10%より小さい場合、機械的負荷抵抗性の不所望な低下が観察される。壁厚の30%を超える外部層の厚さは確かに良好な機械的特性を生じるが、しかし透過性の明らかな低下を示す。有利には外部層は壁厚の最大で25%にわたり、特に有利には15〜25%にわたる。
【0019】
本発明による中空繊維膜の外部表面を観察すると、表面上の細孔径が、その下に存在する等方性の外部層中の細孔径よりも小さく見えることがありうる。これらの場合、本発明による膜は、この表面に最大で5μmの厚さの皮膜を有しているか、または外部層と、膜の外側表面との間に、厚さ約5μmまでの薄い層を有しており、その内部で細孔径は、外部層の平均細孔径から、表面の細孔径へと低下する。
【0020】
その際、本発明による膜の分離性能は、分離層中の細孔の大きさから生じる。膜の透過性は実質的に、分離層ならびに外部層により決定され、その際、外部層における細孔径の調整により透過性に実質的に影響を与えることができる。分離層および外部層の存在により、本発明による中空繊維膜の場合、同時に、分離特性および透過性が実質的に相互に結合し、これによって透過性の向上が、同時に比較的大きな分子または粒子への分離限界の推移につながらないこととともに達成される。反対に比較的小さい分子または粒子の大きさへの分離限界の推移は、実質的に透過性の低下をもたらすことがない。
【0021】
支持層は、水による貫流の際に水圧抵抗性を有しており、これは分離層および外部層の抵抗性よりも明らかに低く、かつ支持層の細孔が大きいほど低くなる。本発明による膜の機械的負荷抵抗性、つまり破壊強度もしくは耐圧性は、実質的に支持層ならびに外部層の貢献による。しかし、本発明による中空繊維膜の機械的安定性への実質的な貢献は、壁厚の10〜30%を占める、実質的に等方性の細孔構造を有する、その平均細孔径が、分離層の平均孔径よりも大きいが、しかし支持層の平均細孔径よりも小さい外部層によりもたらされる。
【0022】
本発明による中空繊維膜の細孔構造ならびにこれと結びついている膜の特性を鑑みると、最大の細孔径を有する帯域が、内側表面から、壁厚の15〜40%の範囲の間隔を有している場合に有利である。最大の細孔径を有する帯域中の最大の細孔径の大きさは、有利には5〜15μmの範囲である。このことにより支持層中の比較的粗大な細孔の構造が達成され、ひいては膜壁の貫流抵抗に対する支持層の貢献はほぼすることができるものとなる。しかし支持層は同時にその均一な細孔構造に基づいて、つまりそのスポンジ状の、もしくは網状構造の細孔構造に基づいて、文献中でしばしば空洞またはマクロボイドとも呼ばれるフィンガーポアを有することなく、さらに本発明による中空繊維膜の機械的安定性に著しく貢献する。
【0023】
この場合、本発明の範囲内で、実質的に等方性の範囲とは、実質的に一定の細孔径を有する膜壁の範囲であると理解される。等方性領域は、膜壁を通じて延びている、実質的に一定な平均直径を有する流路を有する領域としても見なすことができる。あらゆる膜の場合と同様に、本発明による中空繊維膜の場合にも、事実上の細孔径は多少変動する。すなわち、細孔径分布が視覚的に等方性に見えるときにも、膜は一定の細孔径分布を有する。従って、本発明には、細孔径が最大で約20〜30%変動する、実質的に等方性の領域の実施態様も含まれる。
【0024】
壁厚にわたる細孔構造ならびに細孔径の評価は、慣用の試験法により、たとえば十分な品質を有する400:1の倍率を有する、有利には750:1の倍率を有する走査型もしくは透過型電子顕微鏡撮影によって評価することができる。
【0025】
本発明によれば、分離層は実質的に等方性の細孔構造を有している。このことによって、本発明による膜の細孔構造は、US−A−4933081またはUS−A−5049276に開示されている膜とは、その細孔構造が表面から出発して勾配を有しており、かつ表面から出発して細孔径がまず最小の細孔径を有する層まで低減し、かつ次いで他方の表面へと向かって孔径が増大することによって区別される。つまり、最小の細孔径を有する分離層は、従来技術のこれらの膜の場合、膜壁の内部に存在する。
【0026】
適用において、十分かつ安定した濾過性能を保証するために、本発明による中空繊維膜は、少なくとも0.5ml/(cm2・min・bar)の膜内外流を有する。有利には膜内外流は、最大で2.0ml/(cm2・min・bar)である。というのも、これより高い膜内外流は、本発明による膜にとって機械的要求に対する安定性の低下を意味するからである。特に有利には本発明による中空繊維膜は、0.6〜1.5ml/(cm2・min・bar)の範囲の膜内外流を有する。このような膜は、その透過性およびその機械的安定性に関してバランスの取れた特性像を有する。0.8〜1.4ml/(cm2・min・bar)の範囲の膜内外流を有する本発明による中空繊維膜はとりわけ適切である。
【0027】
同様に、有利な本発明による中空繊維膜は、少なくとも500cN/mm2の破壊強度σBを有する、つまりその壁の断面積AQに対する破壊力BKを有する中空繊維膜である。このような膜は、限外濾過の適用の際に、十分に高い機械的安定性を有する。特に有利には破壊強度σは、少なくとも700cN/mm2である。少なくとも750cN/mm2の破壊強度を有する中空繊維膜が最も適切である。本発明による中空繊維膜の内側から外側への貫流の際に内部からの圧力負荷に対する十分な安定性を保証するために、膜は有利には、少なくとも10バールの内圧負荷で破裂圧を有する。特に有利であるのは、少なくとも13バールの破裂圧を有する中空繊維膜である。
【0028】
本発明により初めて、高い透過性と高い機械的安定性とを同時に有する限外濾過のための中空繊維膜が提供され、その際、本発明による中空繊維膜のこれらの優れた特性は、その特別な構造もしくは構築様式に起因している。有利な実施態様では、本発明による中空繊維膜のために、水に関する膜内外流TMFと、中空繊維膜の破壊力BKとからの積であるTMF・BKは、400cN・ml/(cm2・min・bar)より大である。積TMF・BKが500cN・ml/(cm2・min・bar)より大である中空繊維膜は特に有利である。
【0029】
本発明によれば本発明による中空繊維膜の壁厚は、100〜450μmの範囲である。100μmの壁厚より小さい場合、通常は要求される機械的安定性をもはや保証することができず、他方、450μmを超える壁厚では、達成可能な膜内外流が明らかに低下する。本発明による中空繊維膜が、150〜350μmの範囲の壁厚を有する場合は有利であり、壁厚が180〜250μmの範囲である場合に特に有利である。適用において中空繊維膜の内腔の良好な貫流を達成するために、特に有利な圧力低下を達成するために、本発明による中空繊維膜の内径は、有利には500〜1500μmの範囲であり、かつ特に有利には650〜1200μmの範囲である。
【0030】
十分な透過性を保証するために、本発明による中空繊維膜の多孔度は有利には60体積%を上回る。他方、高すぎる気孔率は、その機械的安定性における損失に基づいて不利であるので、多孔度は通常、有利には90体積%を下回る。特に有利には本発明による中空繊維膜は70〜85体積%の気孔率を有する。
【0031】
本発明による中空繊維膜は、限外濾過の範囲での適用のために使用可能であるべきである。この場合、中空繊維膜の分離特性は、膜壁の内腔に向かい合う側に存在する分離層によって決定される。上記のとおり、限外濾過膜は分離特性を決定する分離層中の細孔の大きさに基づいて、20000〜200000の範囲の粒子または分子の保持率に関する分離限界をカバーする。有利な実施態様では、本発明による中空繊維膜は、50000〜150000ダルトンの範囲の分離限界を有する。特に有利には分離限界は65000〜120000ダルトンである。
【0032】
この場合、分離限界は、異なった分子量のデキストラン分子に関する膜の保持能力から確認される。この場合、特性決定される膜は、クロスフローモードで、多分散性のデキストラン水溶液(プール)によって貫流される。濾液流もしくはプール中の異なった分子量のデキストラン分子の割合から、異なった分子量のデキストラン分子に関するふるい係数が計算される。分離限界として、0.1のふるい係数もしくは90%の保持率を生じる分子量が定義される。
【0033】
本発明による膜の製造は、ポリマー成分および溶剤系からの均質な紡糸液から行われる。その際、ポリマー成分は、疎水性の芳香族スルホンポリマーと、少なくとも1の親水性ポリマーとを含有する。本発明によれば、紡糸液中のスルホンポリマーの濃度は、17〜27質量%である。17質量%より低い濃度では、得られる中空繊維膜の機械的安定性に関して特に欠点が生じる。他方、スルホンポリマーが27質量%より多い紡糸液から得られる膜は、その構造が緻密になりすぎ、かつ透過性が低くなる。有利には紡糸液は、疎水性芳香族スルホンポリマーを20〜25質量%含有する。スルホンポリマーは、膜の特性を適切に変性するために、添加剤、たとえば酸化防止剤、核形成剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
【0034】
本発明による膜を構成する、もしくは本発明による方法で使用される有利な疎水性芳香族スルホンポリマーは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホンまたはポリアリールエーテルスルホンである。特に有利な一実施態様においては、疎水性の芳香族スルホンポリマーは、以下の式(I)および(II)で示される繰り返し分子単位を有するポリスルホンもしくはポリエーテルスルホンである。
【0035】
【化1】

【0036】
少なくとも1の親水性ポリマーとしては、好ましくは、一方では疎水性の芳香族スルホンポリマーと良好な適合性を有し、かつ自体親水性の繰り返しポリマー単位を有する長鎖のポリマーが使用される。有利には少なくとも10000ダルトンの平均分子量Mwを有する親水性ポリマーを使用する。親水性のポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリグリコールモノエステル、ポリソルビテート、たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、カルボキシメチルセルロースまたは前記ポリマーの変性物もしくはコポリマーであることが好ましい。特に有利であるのはポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールである。
【0037】
少なくとも1の親水性ポリマーとは本発明の範囲では、種々の親水性ポリマーの混合物とも理解される。したがって親水性ポリマーはたとえば化学的に異なった親水性ポリマーの、または異なった分子量を有する親水性ポリマーの混合物であってもよく、たとえばその分子量が5倍以上異なるポリマーの混合物であってもよい。有利な1実施態様では、少なくとも1の親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールと、親水性変性された芳香族スルホンポリマーとの混合物を含む。特に有利な1実施態様では、親水性に変性された芳香族スルホンポリマーは、スルホン化された芳香族スルホンポリマー、特に本発明による膜において、もしくは本発明による方法において使用される疎水性の芳香族スルホンポリマーのスルホン化された変性物である。ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホンおよびポリビニルピロリドンからなる混合物を特に有利に本発明による中空繊維膜もしくは本発明による方法のために特に有利に使用することができる。親水性に変性された芳香族スルホンポリマーの存在により、適用において特に安定した親水性を有する中空繊維膜が得られる。
【0038】
少なくとも1の親水性ポリマーの大部分は、本発明による中空繊維膜を製造する際に、膜構造から洗い流される。しかし本発明による中空繊維膜の要求される親水性の特性およびその湿潤性を鑑みると、特定の割合の少なくとも1の親水性ポリマーが膜中に残留することが必要である。従って完成した中空繊維膜は少なくとも1の親水性ポリマーを、完成した中空繊維膜の質量に対して、有利には1〜15質量%の範囲の濃度で、および特に有利には3〜10質量%の範囲の濃度で含有している。該親水性ポリマーはさらに、完成した膜中でなお化学的または物理的に変性されてもよい。たとえばポリビニルピロリドンを架橋によって後から水不溶性にすることができる。
【0039】
使用される溶剤系は、均質な紡糸液を製造することができるよう、使用される疎水性の芳香族スルホンポリマーならびに少なくとも1の親水性ポリマーに適合させるべきである。有利には、該溶剤系には、極性非プロトン性溶剤、たとえばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンもしくはそれらの混合物またはプロトン性溶剤、たとえばε−カプロラクタムが含まれる。更に、その溶剤系は、80質量%までの潜在的な溶剤を含有してよく、その際、本発明の範囲における潜在的な溶剤とは、スルホンポリマーを不十分にのみまたは高められた温度で初めて溶解するものであると理解される。溶剤としてε−カプロラクタムを使用する場合に、たとえばγ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネートまたはポリアルキレングリコールを使用することができる。更に、その溶剤系は、膜形成性ポリマーについての非溶剤、たとえば水、グリセリン、1000ダルトン未満の質量平均分子量を有する低分子ポリエチレングリコールまたは低分子アルコール、たとえばエタノールもしくはイソプロパノールを含有してよい。本発明による方法の有利な実施態様では、溶剤系は溶剤としてε−カプロラクタムを含む。この場合、溶剤系の質量に対して35〜50質量%のε−カプロラクタム、溶剤系の質量に対して35〜50質量%のγ−ブチロラクトン、ならびに溶剤系の質量に対して0〜10質量%の、ポリマー成分のための非溶剤を含む溶剤系が特に有利である。
【0040】
脱気および溶解していない粒子を除去するための濾過の後で、均質な紡糸液を慣用の中空糸ノズルのリングギャップから押出して中空糸を形成する。中空糸ノズル中でリングギャップに対して同軸に配置された中央のノズル開口部を通して、疎水性の芳香族スルホンポリマーのための凝固媒体である内部充填物を押し出し、かつ同時に中空糸の内腔を安定化する。リングギャップのギャップ幅ならびに中央のノズル開口部の内径は、本発明による中空膜の所望の壁厚に依存して選択される。有利には、リングギャップのギャップ幅は、100〜500μmの範囲である。150〜350μmの範囲の有利な壁厚を有する本発明による中空繊維膜を製造するために、ギャップ幅は有利には150〜400μmの範囲である。中央のノズル開口部の内径は、有利には400〜1500μmの範囲であり、かつ特に有利には500〜1200μmの範囲である。
【0041】
前記の、および以下に記載する本発明による方法条件は、得られる中空繊維膜の壁厚が、本発明による中空繊維膜のために要求される範囲内、つまり100〜450μmの範囲内にある場合に、本発明による中空繊維膜のために要求される膜構造につながることに留意すべきである。たとえば同じ方法条件は、壁厚の薄い中空繊維膜、たとえば約30μmの壁厚を有する膜を製造する場合には、本発明による膜とは異なる膜壁における構造につながることが判明した。
【0042】
内部充填物、つまり内部凝固媒体は、前記の溶剤の1つから、有利には紡糸液の溶剤系においても使用される溶剤ならびに必要に応じて非溶剤からなる。この非溶剤は、疎水性の芳香族スルホンポリマーの凝固をもたらすべきであるが、しかし少なくとも1の親水性ポリマーを溶解することができる。溶剤系中に非溶剤が含有されている限り、これは内部充填物中に含有されている場合には同一の非溶剤であってもよく、その際、当然のことながら十分な沈殿作用を達成するために、内部充填物中の非溶剤の濃度は、溶剤系中での濃度に対して高められている。しかし内部充填物のために、その他の非溶剤を溶剤系のために使用することもできる。使用される非溶剤は、複数の異なった非溶剤成分からなっていてもよい。溶剤としてε−カプロラクタムを使用する有利な場合には、内部充填物として有利にはグリセリンとε−カプロラクタムとからなる混合物を使用する。
【0043】
本発明による中空繊維膜を形成するために本発明にとって重要なことは、中空糸が中空糸ノズルを出た後および凝固媒体中に浸漬される前に、定義された調温調湿条件を有する調温調湿帯域を通過することである。この場合、該調温調湿帯域は、カプセル化されたチャンバとして形成されていてもよい。技術的な理由から、中空糸ノズルと調温調湿帯域との間に、空気ギャップが存在することが必要な場合もある。しかし有利にはこのギャップは、できる限り小さい方がよく、有利には調温調湿帯域は、中空糸ノズルの直後に終端を有する。
【0044】
本発明によれば、中空糸は0.5〜10秒の調温調湿帯域中での滞留時間を有し、その際、該調温調湿帯域は、40〜95%の相対空気湿度および50〜70℃の温度を有する空気を含む。有利には該調温調湿帯域中に含有されている空気は、55〜85%の相対空気湿度を有する。本発明による方法の同様に有利な実施態様では、調温調湿帯域中での中空糸の滞留時間は、1〜5秒である。調温調湿帯域中で安定した条件を形成するために、該帯域は、有利には0.5m/sより小さい流速を有する、および特に有利には0.15〜0.35m/sの範囲の流速を有する空気によって貫流される。
【0045】
中空糸が本発明により要求される調温調湿条件により調整される調温調湿帯域を通過する際に、非溶剤として作用する空気湿度の吸収により中空糸外側において中空糸の前凝固が開始される。同時に本発明により要求される範囲での滞留時間を調整しなくてはならない。この措置により、本発明による中空繊維膜の外側層の形成に対して決定的な影響が与えられ、従って該膜は実質的に等方性の構造を有する。
【0046】
調温調湿帯域を通過した後に、前凝固した中空糸を、50〜80℃に温度調整した水性の凝固媒体に案内して、膜構造の形成を完成させ、かつ膜構造を固定する。有利には、凝固媒体は60〜75℃の範囲の温度に温度調整されている。本発明による方法の好ましい一実施態様において、凝固媒体は、水もしくは水浴である。
【0047】
凝固媒体中で、膜構造はまず、該膜構造がすでに十分に安定性を有し、かつ凝固媒体中で、たとえば方向変換ローラーなどにより方向変換することができるまで沈殿させる。その後の過程で凝固を完結され、かつ膜構造は安定化される。その際、同時に溶剤系ならびに可溶性の物質の抽出を行う。通常、親水性ポリマー、つまりたとえばポリビニルピロリドンの大部分は、膜構造から抽出されるので、凝固浴は同時に洗浄浴または抽出浴として機能する。この凝固浴もしくは洗浄浴中の凝固媒体もしくは洗浄媒体として、有利には水を使用する。
【0048】
抽出後に、得られた中空繊維膜を乾燥させ、かつ乾燥された膜をその後、巻き取る。膜の抽出および乾燥の間、特定の膜の特性、たとえば表面の多孔度および分離特性を適切に調整するために、わずかに延伸することが有利な場合がある。本発明による中空繊維膜を引き続き場合によりテキスタイル処理し、束状の中空繊維膜の交換特性を改善することができる。最後に、該中空繊維膜を慣用の方法で、たとえばスプールに巻き取るか、または直接に適切な糸数および長さを有する束へと加工することができる。束を製造する前に、中空繊維膜に補足的な糸を、たとえばマルチフィラメントヤーンの形で添加して、中空繊維膜同士の間隔、および束状の個々の中空繊維膜の周囲の流れ性の改善が得られる。
【0049】
本発明を、以下に記載する実施例および図面に基づいて詳細に説明するが、その際、本発明の範囲は、実施例によって制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】例1による膜の断面の1〜250倍の拡大率での走査型電子顕微鏡(REM)写真を示す。
【図2】例3による膜の断面の320倍の拡大率での走査型電子顕微鏡(REM)写真を示す。
【0051】
実施例においては、得られた膜を特性決定するために以下の方法を使用した:
膜内外流(水透過率):
試験される中空繊維膜から、定義された中空糸数および長さを有する試験セルを製造する。このために中空糸の両側において端部をポリウレタン樹脂に埋め込む。樹脂の硬化後に、埋め込み部を、約30mmの長さに切断し、その際、中空繊維膜の内腔を切断することによって開放する。埋め込み部中の中空糸の内腔は、通過性に関して試験しなくてはならない。埋め込み部の間の中空繊維膜の自由な長さは、通常120±10mmである。中空繊維膜の数は、中空繊維膜の自由な長さおよび内径を考慮して、試験セル中で約30cm2の濾過面積が得られるように決定すべきである。
【0052】
試験セルを試験装置と接続し、かつ25℃に温度調整された限外濾過水および脱塩水を、定義された試験圧力(約0.4バール)で貫流させる。2分間の測定時間の間に得られた、濾過された水の量、つまり測定の間に生じた透過液を、質量または体積によって把握する。測定の開始前に装置が空気を含まないようパージしなくてはならない。TMFを測定するために、試験装置中で、試験セルにおける入口圧力および出口圧力を測定する。測定は25℃で実施する。
【0053】
膜内外流TMFは、式(III)
【数1】

に従って算出する。この場合、
は、測定時間の間に、膜試験体を通過して流れた水の体積[ml]
Δtは、測定時間[min]
は、膜試験体を貫流した面積(通常は30cm2
Δpは、測定の間に調整された圧力[bar]
を表す。
【0054】
異なった分子量のデキストラン分子に関する保持力の測定による分離限界の特性決定
特性決定される膜は、クロスフローモードで、多分散性のデキストラン水溶液(プール)によって貫流される。膜の通過の定義された壁剪断速度および定義された濾液流密度を調整する。濾液流中もしくはプール中の異なった分子量MWのデキストラン分子の割合は、ゲル透過クロマトグラフィーにより確認する。
【0055】
このために、プールもしくは濾液のGPCスペクトルを、40の等距離の範囲に分割し、その面積を数値積分法により確認する。この時間間隔のそれぞれに、度量衡スペクトルに相応して分子量を分類し、単分散性デキストラン分子により公知の分子量を確認する。分子量Mwのデキストラン分子に対する膜のふるい係数は、この分子量に分類される、濾液およびプールのGPCスペクトルの面積セグメントを形成することによって得られる。
【0056】
【数2】

【0057】
分子量MWのデキストラン分子に関する保持係数RMWは、以下のとおりに計算される:
MW=1−SKMW (VI)
確認された保持特性は、試験条件(濃度の偏り)に敏感に依存するので、保持特性の測定の際の濾液流の密度および壁剪断速度を一義的に定義しなくてはならない。n個の中空繊維膜を有する長さlの中空繊維膜に関して、濾液流密度Qおよび軸方向の体積流Qは以下のとおりに計算される:
【数3】

【0058】
Yw壁剪断速度=2000/s
d:中空繊維膜の内径[μm]
n:膜モジュール中の中空繊維膜の数
:中空繊維膜の内腔中の軸方向の体積流[ml/min]
【数4】

【0059】
F:濾液流[ml/min]
I:膜モジュール中の中空繊維膜の自由な長さ[cm]
L:内腔中の速度[cm/min](V=4・108L/(n TT d2))
n:膜モジュール中の中空繊維の数
使用したデキストラン溶液の組成(製造業者: Pharmacia Biotech、商品名称:T10、T40、T70、T500)
デキストランタイプ:T10 T40 T70 T500
秤量:0.64g/l、0.90g/l、0.4g/l、0.66g/l
溶液に脱塩水を添加する。
【0060】
破壊力、破壊強度
中空繊維膜の破壊力の測定は、Zwick社(ウルム在)の慣用のユニバーサル試験装置を使用して行う。
【0061】
中空繊維膜試験体を、一定の速度で、破壊されるまで長さ方向に伸ばす。このために必要とされる力を、長さの変化に依存して測定し、かつ力・伸びグラフに記録する。測定は、複数の中空繊維膜試験体を用いて、張設長さ100mmおよび引っ張り速度500mm/minで複数回測定する。牽引加重は、2.5cNである。破壊のために必要とされる力BKは、平均値としてcNで記載する。
【0062】
中空繊維膜試験体の破壊強度σは、破壊力BKを、膜壁の断面積Aに対して標準化することによって得られる。
【0063】
破裂圧
長さ約40cmの中空繊維膜試験体を、チューブとしてその端部をたとえばポリウレタン樹脂中に埋め込む。
【0064】
膜の内腔側を、水中メチルセルロース1.5g/lからなる試験液で濡らし、膜の細孔を、その細孔構造の維持下にスポンジ状構造とする。このことにより膜壁は気体非透過性となる。引き続き中空繊維膜試験体を、内腔側で窒素により処理し、その際、圧力上昇ステーション、絞り弁および高圧容器により、試験体の線状の圧力上昇(2bar/min)を発生させる。
【0065】
試験体の入口における圧力を測定し、かつ記録装置で記録する。圧力は、膜試験体が破裂するまで高める。膜試験体が破裂もしくは爆発すると、試験セルの圧力が急激に低下する。圧力上昇の変向点における圧力を破裂圧として読み取る。
【0066】
例1:
均質な紡糸液を製造するために、
ポリエーテルスルホン(Ultrason E6020、BASF社)21.00質量%、
ポリビニルピロリドン(PVP K30、ISP社)12.60質量%、
ε−カプロラクタム31.54質量%、
γ−ブチロラクトン31.54質量%、および
グリセリン3.32質量%
を、約100℃の温度で強力に混合した。得られる溶液を約60℃に冷却し、脱気し、濾過し、かつ0.24mmのリングギャップ幅を有し、かつ0.6mmのノズルニードルの内径を有し、35℃に調温されていた中空糸ノズルのリングギャップに供給した。内腔および内腔側の分離層を形成するために、中空糸ノズルのノズルニードルを通過するよう、47:37:16の質量比のε−カプロラクタム/グリセリン/水からなる内部充填物を供給した。成形した中空糸をコンディショニングされた調温調湿流路(条件:60℃、相対空気湿度60%、t=4s)に通過させ、ここで約70℃に温度調整された水を含有する沈殿浴中で沈殿させ、かつ膜構造を固定した。固定の直後に、湿った膜を約1mの長さで、約900の中空繊維により中空繊維膜束を作成し、約90℃の温度の水により3時間抽出し、かつ最後に約2時間、90℃の熱風で乾燥させた。束中に含有されている中空糸膜は、内腔直径約0.75mmおよび壁厚約0.22mmを有する。
【0067】
該膜は、水中で、1.28ml/(cm2・min・bar)の膜内外流TMFを有していた。デキストランを用いて確認された分離曲線から、約62000ダルトンの分離限界が確認された。膜は、引っ張り試験において、510cNの破壊力を有し、これにより約760cN/mm2の破壊強度が生じた。従って確認された膜内外流と、破壊力とからの積は653cN・ml/(cm2・min・bar)が生じた。従って中空繊維膜の破裂圧は、この例によれば15.75バールであった。
【0068】
走査型電子顕微鏡における試験から、膜はその内腔側において、約6μmの厚さを有する分離層を有しており、該層に接して外側へむかって約160〜170μmの厚さの支持層が隣接しており、その内部で分離層を出発点として、壁厚の約20〜25%で最大の細孔径を有する帯域まで、細孔の大きさは著しく増大し、かつ該最大値を通過した後に外側に向かって外部層まで低下する。支持層には、約50μmの厚さを有する外部層が隣接しており、該層の内部ではほぼ等方性の細孔構造、つまりほぼ一定の細孔径が存在していた。図1は、例1による中空繊維膜のREM撮影を示す。
【0069】
例2:
均質な紡糸液を製造するために、
ポリエーテルスルホン(Ultrason E6020、BASF社)19.46質量%、
ポリビニルピロリドン(PVP K30、ISP社)13.65質量%、
ε−カプロラクタム31.91質量%、
γ−ブチロラクトン31.61質量%、および
グリセリン3.37質量%
を、約100℃の温度で強力に混合した。得られる溶液を約60℃に冷却し、脱気し、濾過し、かつ0.16mmのリングギャップ幅を有し、かつ0.6mmのノズルニードルの内径を有し、35℃に調温されていた中空糸ノズルのリングギャップに供給した。内腔および内腔側の分離層を形成するために、中空糸ノズルのノズルニードルを通過するよう、45:37:18の質量比のε−カプロラクタム/グリセリン/水からなる内部充填物を供給した。成形した中空糸をコンディショニングされた調温調湿流路(条件:60℃、相対空気湿度60%、t=4s)に通過させ、ここで約75℃に温度調整された水を含有する沈殿浴中で沈殿させ、かつ膜構造を固定した。固定の直後に、湿った膜を約1mの長さで、約900の中空繊維により中空繊維膜束を作成し、約90℃の温水により3時間抽出し、かつ最後に約2時間、90℃の熱風で乾燥させた。中空繊維膜は、約0.70mmの内腔直径および約0.15mmの壁厚を有していた。
【0070】
該膜は、水中で、1.36ml/(cm2・min・bar)の膜内外流TMFを有していた。デキストランを用いて確認された分離曲線から、約71000ダルトンの分離限界が確認された。引っ張り試験における破壊力は、253cNであり、これにより約633cN/mm2の破壊強度が生じた。中空繊維膜の破裂圧は、この例によれば11.5バールであった。
【0071】
走査型電子顕微鏡における試験から、膜はその内腔側において、約6μmの厚さを有する分離層を有しており、該層に接して外側にむかって支持層が隣接しており、その内部で分離層を出発点として、壁厚の約25〜30%で最大の細孔径を有する帯域まで、細孔の大きさは増大し、かつ該最大値を通過した後に外側に向かって外部層まで低下することが明らかである。最大の細孔径を有する帯域における細孔は、例2の中空繊維膜の場合、例1で製造した中空繊維膜よりも小さかった。支持層には、ほぼ等方性の細孔構造を有する、つまりほぼ一定の細孔径を有し、かつ約45μmの厚さを有する外部層が隣接している。
【0072】
例3:
均質な紡糸液を製造するために、
ポリエーテルスルホン(Ultrason E6020、BASF社)21.00質量%、
ポリビニルピロリドン(PVP K30、ISP社)12.60質量%、
ε−カプロラクタム31.54質量%、
γ−ブチロラクトン31.54質量%、および
グリセリン3.32質量%
を、約110℃の温度で強力に混合した。
【0073】
得られる溶液を約40℃に冷却し、脱気し、濾過し、かつ0.24mmのリングギャップ幅を有し、かつ0.6mmのノズルニードルの内径を有し、35℃に調温されていた中空糸ノズルのリングギャップに供給した。内腔および内腔側の分離層を形成するために、中空糸ノズルのノズルニードルを通過するよう、45:37:18の質量比のε−カプロラクタム/グリセリン/水からなる内部充填物を供給した。成形した中空糸をコンディショニングされた調温調湿流路(条件:70℃、相対空気湿度85%、t=2.6s)に通過させ、ここで約66℃に温度調整された水を含有する沈殿浴中で沈殿させ、かつ膜構造を固定した。固定の直後に、湿った膜を約1mの長さで、約900の中空繊維により中空繊維膜束を作成し、約90℃の温水により3時間抽出し、かつ最後に約2時間、90℃の熱風で乾燥させた。束中に含有されている中空糸膜は、内腔直径約0.78mmおよび壁厚約0.22mmを有していた。
【0074】
該膜は、水中で、1.76ml/(cm2・min・bar)の膜内外流TMFを有していた。デキストランを用いて確認された分離曲線から、約185000ダルトンの分離限界が確認された。膜は、引っ張り試験において、502cNの破壊力を有し、これにより約730cN/mm2の破壊強度が生じた。従って確認された膜内外流と、破壊力とからの積は1070cN・ml/(cm2・min・bar)が生じた。
【0075】
膜はその内腔側において、約8μmの厚さを有する分離層を有しており、該層に接して外側に向かって約180〜190μmの厚さの支持層が隣接しており、その内部で分離層を出発点として、壁厚の約20%で最大の細孔径を有する帯域まで、細孔の大きさは著しく増大し、かつ該最大値を通過した後に外側に向かって外部層まで低下する。支持層には、約25μmの厚さを有する外部層が隣接しており、該層の内部ではほぼ等方性の細孔構造、つまりほぼ一定の細孔径が存在していた。図2は、例3による中空繊維膜の壁横断面のREM撮影を示す。
【0076】
比較例1
ポリエーテルスルホン(Ultrason E6020、BASF社)19.5質量%およびポリビニルピロリドン(PVP K30、ISP社)13.65質量%から、ε−カプロラクタム31.75質量%、γ−ブチロラクトン31.75質量%、およびグリセリン3.35質量%中で、約100℃の温度で強力に混合して均質な紡糸液を製造した。得られた溶液を約60℃に冷却し、脱気し、濾過し、かつ0.05mmのリングギャップ幅を有し、かつ0.15mmのノズルニードルの内径を有し、67℃に温度調整した中空糸ノズルのリングギャップに供給した。内腔および内部に存在する分離層を形成するために、中空糸ノズルのノズルニードルを通過するよう、43:41:16の質量比のε−カプロラクタム/グリセリン/水からなる内部充填物を供給した。成形した中空糸を調温調湿流路(条件:55℃、相対空気湿度80%、t=1s)に通過させ、かつ内部充填物により、ならびに約64℃の温水を含有する浴中に通過させることにより、沈殿もしくは固定した。引き続き、こうして得られた中空繊維膜を約90℃の温水で洗浄し、かつ乾燥させた。約0.2mmの内腔直径および約0.03mmの壁厚を有する中空繊維膜が得られた。
【0077】
該膜は、水中で、0.4ml/(cm2・min・bar)の膜内外流TMFを有していた。デキストランを用いて確認された分離曲線から、約59000ダルトンの分離限界が確認された。膜は、引っ張り試験において、19.5cNの破壊力を有し、これにより約180cN/mm2の破壊強度が生じた。
【0078】
走査型電子顕微鏡における試験から、膜はその内腔側において、約2μmの厚さを有する分離層を有しており、該層に接して外側にむかって支持層が隣接しており、その内部で分離層を出発点として最大の細孔径を有する帯域まで、細孔の大きさは増大し、かつ該最大値を通過した後に外側に向かって低下することが明らかである。支持層は、ほぼ連続的に外部層へと移行し、その際、外部層の内部で、細孔径の更なる低下が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性の芳香族スルホンポリマーならびに少なくとも1の親水性ポリマーからなる限外濾過のための、親水性の一体型非対称半透性中空繊維膜であって、その内腔に面した内側表面と、外側に向かった外側表面およびこれらの間に存在する、一定の壁厚を有する壁を有し、その際、該中空繊維膜はその壁中で、内側表面に接して開放気孔性の分離層を有しており、該分離層に接して引き続き、外側表面の方向に非対称のスポンジ状の細孔構造を有し、フィンガーポアを有さない支持層を有し、該支持層に接して外側表面の方向に、外部層を有する親水性の一体型非対称半透性中空繊維膜において、
a.分離層は20000〜200000ダルトンの範囲の分離限界を有し、ならびに壁厚の最大10%の厚さを有し、かつ分離層の範囲で細孔構造はほぼ等方性である、
b.支持層中の細孔の大きさは、分離層を出発点としてまず最大の細孔径を有する帯域まで増大し、かつ該帯域に引き続き外部層の方向で低減し、
c.外部層は、壁厚の10〜30%の厚さを有し、細孔構造は外部層の範囲でほぼ等方性であり、かつ細孔の平均的な大きさは外部層中で、分離層中の平均細孔径よりも大きいが、しかし支持層中の平均細孔径よりも小さく、
d.100〜450μmの範囲の壁厚が存在し、
e.かつ中空繊維膜は、水に関して少なくとも0.5ml/(cm2・min・bar)の膜内外流を有し、かつ少なくとも300cN/mm2の破壊強度、σB、つまりその壁の断面積Aに対する破壊力BKを有することを特徴とする、親水性の一体型非対称半透性中空繊維膜。
【請求項2】
最大の細孔径を有する帯域が、内部表面から、壁厚の15〜40%の間の範囲の間隔に存在することを特徴とする、請求項1記載の中空繊維膜。
【請求項3】
最大の細孔径を有する帯域中の最大の細孔の大きさが、5〜15μmの範囲であることを特徴とする、請求項1または2記載の中空繊維膜。
【請求項4】
最大で2.0ml/(cm2・min・bar)の範囲の水に関する膜内外流を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項5】
水に関する膜内外流TMFと、中空繊維膜の破壊力BKとからの積であるTMF・BKは、400cN・ml/(cm2・min・bar)より大きいことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項6】
TMFとBKとの積が、500cN・ml/(cm2・min・bar)より大きいことを特徴とする、請求項5記載の中空繊維膜。
【請求項7】
少なくとも500cN/mm2の破壊強度σB、つまりその壁の断面積Aに対する破壊力BKを有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項8】
少なくとも700cN/mm2の破壊強度σBを有することを特徴とする、請求項7記載の中空繊維膜。
【請求項9】
分離層が、50000〜150000ダルトンの範囲の分離限界を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項10】
壁厚が、150〜350μmの範囲であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項11】
疎水性芳香族スルホンポリマーが、ポリスルホンまたはポリエーテルスルホンであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項12】
少なくとも1の親水性の別のポリマーが、10000ダルトンより大きい平均分子量Mwを有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項13】
少なくとも1の親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールを含むことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項14】
少なくとも1の親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールならびに親水性に変性された芳香族スルホンポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項15】
親水性に変性された芳香族スルホンポリマーが、スルホン化された芳香族スルホンポリマーであることを特徴とする、請求項14記載の中空繊維膜。
【請求項16】
気孔率が、70〜85体積%の範囲であることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の中空繊維膜。
【請求項17】
請求項1記載の中空繊維膜の製造方法であって、以下の工程:
a.1のポリマー成分と、1の溶剤系とから均質な紡糸液を製造する工程、その際、該ポリマー成分は、溶液の質量に対して、17〜27質量%の疎水性芳香族スルホンポリマー、ならびに溶液の質量に対して、10〜30質量%の少なくとも1の親水性ポリマーを含み、かつ該溶剤系は、溶剤系の質量に対して、5〜80質量%の、ポリマー成分のための溶剤、溶剤系の質量に対して、0〜80質量%の、ポリマー成分のための潜在的な溶剤、ならびに溶剤系の質量に対して0〜70質量%の、ポリマー成分のための非溶剤からなる、
b.前記の均質な紡糸液を、中空糸ノズルのリングギャップから中空糸へと押し出す工程、
c.中空糸ノズルの中心の開口部から内部充填物を押し出す工程、その際、内部充填物は、スルホンポリマーのための溶剤と非溶剤との混合物を含む、
d.内部充填物と、中空糸の内側とを接触させて、中空糸の内部を凝固させ、かつ中空糸の内側に接している分離層を形成する工程、
e.中空糸ノズルから出た後に中空糸を、0.5〜10秒間の間、相対空気湿度40〜95%と温度50〜70℃を有する空気を含む調温調湿帯域に通過させる工程、引き続き、
f.中空糸を、50〜80℃の温度を有する水性の凝固媒体に通過させて、膜構造の形成を完了させ、かつ膜構造を固定する工程、
g.こうして形成された中空繊維膜を抽出して、溶剤系ならびに可溶性の物質を除去する工程、
h.中空繊維膜を乾燥させる工程
を有する、中空繊維膜の製造方法。
【請求項18】
疎水性の芳香族スルホンポリマーが、ポリスルホンもしくはポリエーテルスルホンであることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1の親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールを含むことを特徴とする、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1の親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールならびに親水性に変性された芳香族スルホンポリマーを含むことを特徴とする、請求項17から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
溶剤系が溶剤としてε−カプロラクタムを含むことを特徴とする、請求項17から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
溶剤系が、溶剤系の質量に対して35〜50質量%のε−カプロラクタム、溶剤系の質量に対して35〜50質量%のγ−ブチロラクトン、ならびに溶剤系の質量に対して0〜10質量%の、ポリマー成分のための非溶剤を含むことを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
内部充填物として、グリセリンとε−カプロラクタムとからなる混合物を使用することを特徴とする、請求項21または22記載の方法。
【請求項24】
調温調湿帯域中に含有されている空気が、55〜85%の相対空気湿度を有することを特徴とする、請求項17から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
調温調湿帯域中に含有されている空気が、0.5m/sより小さい流速で調温調湿帯域を貫流することを特徴とする、請求項17から24までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
水性の凝固媒体が60〜75℃に温度調整されていることを特徴とする、請求項17から25までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−536090(P2009−536090A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508208(P2009−508208)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003897
【国際公開番号】WO2007/128488
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(300083158)メムブラーナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (14)
【氏名又は名称原語表記】Membrana GmbH
【住所又は居所原語表記】Oehder Strasse 28, D−42201 Wuppertal, Germany
【Fターム(参考)】