除湿機
【課題】除湿効率を低下させることなく、確実に除湿した結露水の漏出を防止する。
【解決手段】内部を除湿通路11と再生通路12とに区画したケーシング10と、両通路11,12に跨って回転可能に配設した除湿ロータ52と、除湿ロータ52によって分断された再生通路12の一端に配設したロータカバー59と、ロータカバー59に接続し、内部を流通する再生空気を外部を流通する空気により冷却して再生空気が含有した水分を取り除く熱交換器67A,67Bと、再生空気と除湿ロータ52とを加熱する加熱ヒータ98と、再生空気を循環させる再生空気循環ファン102と、室内の空気を吸引して室内に循環供給する室内空気循環ファン105と、を備えた除湿機において、少なくともロータカバー59の下部に位置するように、ロータカバー59の周辺で結露した結露水を受ける水受部45を設けた構成とする。
【解決手段】内部を除湿通路11と再生通路12とに区画したケーシング10と、両通路11,12に跨って回転可能に配設した除湿ロータ52と、除湿ロータ52によって分断された再生通路12の一端に配設したロータカバー59と、ロータカバー59に接続し、内部を流通する再生空気を外部を流通する空気により冷却して再生空気が含有した水分を取り除く熱交換器67A,67Bと、再生空気と除湿ロータ52とを加熱する加熱ヒータ98と、再生空気を循環させる再生空気循環ファン102と、室内の空気を吸引して室内に循環供給する室内空気循環ファン105と、を備えた除湿機において、少なくともロータカバー59の下部に位置するように、ロータカバー59の周辺で結露した結露水を受ける水受部45を設けた構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の除湿機に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−286276号公報
【0004】
この特許文献には、ケーシングの内部を除湿通路と再生通路とに区画するとともに、室内空気の吸引側より熱交換器、除湿ロータおよび室内空気循環ファンを水平方向に積層するように配設した除湿機が記載されている。そのうち、除湿ロータは円板状をなし、その回転軸心が水平方向に延びるように配設され、駆動手段により回転される。
【0005】
前記ケーシングは、前記各構成部品を固定するためのベースと、該ベースの両面を閉塞する一対のカバーとを備えている。そして、ベースには、その一面側に除湿ロータと熱交換器とを積層するように配設し、他面側に室内空気循環ファンを配設している。また、ベースには、再生通路を構成するダクト部が設けられている。このダクト部は、下側に位置する熱交換器の流出口との接続部から上向きに略逆L字形状に延び、その先端が再生空気および除湿ロータを加熱する加熱ヒータを収容するヒータカバーに接続する構成とされている。なお、除湿ロータには、ヒータカバーと反対側に位置するようにロータカバーが配設され、このロータカバーが熱交換器の流入口に接続されている。
【0006】
このように構成した除湿機は、除湿通路では、吸引した室内の空気を除湿ロータを通過させることにより、この除湿ロータで室内空気が含有した水分を吸着し、乾燥した空気として排気口から室内に循環供給する。また、再生通路では、内部の再生空気が加熱ヒータで加熱され、この状態で前記除湿ロータを通過させることにより、該除湿ロータが吸着した水分を放出させ、その水分を再生空気に含有させる。その後、その再生空気が、熱交換器を通過する際に、該熱交換器の外部を通過する室内空気との熱交換によって冷却されることにより水分が結露し、再生空気に含まれた水分は取り除かれ、結露した水はタンクに回収される。
【0007】
しかしながら、前記再生通路は、除湿通路との両者に跨って回転可能に配設された除湿ロータにより分断されている。また、除湿ロータを通過してロータカバーに流入する再生空気は、多くの水分を含有した状態にある。そして、ロータカバーでは、除湿ロータが回転していることも伴い、該除湿ロータを通過した再生空気の全てを流入させることは非常に困難である。そのため、再生空気の一部がロータカバーに流入できず、除湿通路に漏出すると、該再生空気より低温の室内空気により冷却される。その結果、再生空気が含有した水分が結露し、その結露水がケーシングから外部に漏出するという問題がある。
【0008】
なお、この問題を解消するためには、ロータカバーにおいて、除湿ロータの回転方向前側に専用の排水構造を設けることが考えられるが、このようにした場合には、この排水構造(パイプ等)が除湿通路の一部を遮るように配置されるため、除湿通路での流通効率が低下し、除湿効率を低下させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、除湿効率を低下させることなく、確実に除湿した結露水の漏出を防止できる除湿機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の除湿機は、内部を除湿通路と再生通路とに区画したケーシングと、前記両通路に跨って、略水平方向に延びる回転軸心を中心として駆動手段により回転可能に配設した除湿ロータと、前記除湿ロータによって分断された再生通路の一端に配設したロータカバーと、前記ロータカバーに接続し、前記再生通路の一部を構成して、内部を流通する再生空気を外部を流通する空気により冷却して再生空気が含有した水分を取り除く熱交換器と、前記再生通路内に配設し、再生空気と前記除湿ロータとを加熱する加熱ヒータと、前記再生通路内に配設し、再生空気を前記加熱ヒータから熱交換器を経て循環させる再生空気循環ファンと、前記除湿通路内に配設し、室内の空気を吸引して前記除湿ロータによって除湿した乾燥空気を室内に循環供給する室内空気循環ファンと、を備えた除湿機において、少なくとも前記ロータカバーの下部に位置するように、該ロータカバーの周辺で結露した結露水を受ける水受部を設けた構成としている。
【0011】
この除湿機は、除湿ロータによって分断された再生通路の再流入端であるロータカバーから再生空気が漏出し、除湿通路内で結露しても、水受部で受けることができるため、除湿機から意図しない水の漏出を確実に防止できる。
【0012】
この除湿機では、前記水受部で前記熱交換器の下部を位置決めすることが好ましい。このようにすれば、熱交換器の配設作業性を向上できるとともに、配設位置の安定を図ることができる。
【0013】
また、前記水受部を前記熱交換器の下部全体にかけて覆うように設けることが好ましい。このようにすれば、経年変化により熱交換器から結露水が漏出しても、水受部で受けることができるため、除湿機から水が漏出することを防止できる。
【0014】
また、前記ケーシングは、略垂直方向に延びるベースと、該ベースの水平方向の一面を閉塞する第1カバーと、前記ベースの水平方向の他面を閉塞する第2カバーとを備え、前記ベースの下部に、前記熱交換器の流出口に接続して再生通路の一部を構成するダクト部を、略水平方向に延びるように凹設し、該ダクト部の開口端を閉塞するダクトカバーに前記水受部を一体成形することが好ましい。このようにすれば、部品点数の削減を図ることができるうえ、除湿通路内に吸引した空気の流通抵抗になる部材が位置することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の除湿機では、再生空気が漏出して結露水が発生する可能性があるロータカバーの下部に水受部を設けているため、万が一、除湿通路内で結露しても水受部で受け、除湿機から意図しない水の漏出を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る除湿機を示す。この除湿機は、大略、高さ方向に長く前後方向の奥行きが左右方向の幅より薄い六面体からなるケーシング10の内部を除湿通路11と再生通路12とに区画し、その内部に、除湿ロータ52と、熱交換器67A,67Bと、加熱ヒータ98と、再生空気循環ファン102と、室内空気循環ファン105とを水平方向に積層して配設するとともに、下部にタンク107を配設したものである。
【0018】
前記ケーシング10は、図2および図3に示すように、ベース31の前(一)面に前カバー(第1カバー)13を配設するとともに、後(他)面に後カバー(第2カバー)17を配設し、これらの上部に天カバー(第3カバー)25を配設したものである。
【0019】
まず、前記前カバー13の上部には、回動可能なルーバー26により開閉される排気口14が形成される。また、前カバー13の内面には、排気口14に向けて空気を案内するように、インボリュート通路を構成する隔壁15が設けられている。さらに、前カバー13の下部には載置用の台座部16が設けられている。
【0020】
前記後カバー17には、内向きに窪む凹部18が設けられ、この凹部18に垂直方向に延びる複数のスリットからなる吸気口19が形成されている。そして、この凹部18には、フィルタ部材20が着脱可能に配設される。このフィルタ部材20には、複数のスリットからなる吸気口21が設けられ、内面に図示しないフィルタが配設されている。また、後カバー17の下部には、前カバー13の台座部16に係合する同様の台座部22が設けられるとともに、その上側にはタンク107を配設するための装着口23が設けられている。そして、ベース31に対してこの後カバー17と前記前カバー13とを組み付けることにより、ケーシング10の下部にはタンク収容室24が形成される。
【0021】
前記天カバー25は、前記排気口14を開閉する回動可能なルーバー26を備えている。この天カバー25には、回動可能な持ち運び用のハンドル27の収容部が設けられるとともに、スイッチ28および表示部29を備えた操作パネル30が配設されている。
【0022】
前記ベース31は、図3および図4に示すように、後述する除湿ロータ52、熱交換器67A,67B、加熱ヒータ98、再生空気循環ファン102および室内空気循環ファン105を組み付けて配設するものである。このベース31は、垂直方向に延びる略矩形状をなす平板の上下左右の縁に前後方向に突出する枠31a〜31dを設けてなる。このベース31において、上枠31aには、ハンドル27を回転可能に組み付けるハンドル装着部32が設けられている。また、ベース31の下側の枠31bの両側には、タンク収容室24の内面に位置する枠片33が設けられている。
【0023】
前記ベース31には、その中央の上枠31a寄りに円形状の開口からなる除湿ロータ配設部34が設けられている。この除湿ロータ配設部34には、前カバー13の(一面)側が後カバー17の(他面)側より直径が大きくなるようにした位置決め段部35が設けられ、前カバー13の側から除湿ロータ52が配設される。即ち、本実施形態のベース31には、通風の妨げになるような部材が何ら設けられていない開口が通風口として設けられている。そのため、同一の室内空気循環ファン105を使用する場合、除湿通路11を流通する空気の通気量を従来と比較して増大することができる。なお、除湿ロータ52の更に前面側には、室内空気循環ファン105が配設される。
【0024】
また、ベース31の前面(一面)側には、左側上部において除湿ロータ配設部34の縁に位置するようにロータカバー配設部36が設けられている。さらに、ベース31の前面側には、除湿ロータ配設部34の下部左側に位置するように再生空気循環ファン配設部37が設けられている。この再生空気循環ファン配設部37には、再生空気循環ファン102を囲繞するファンケース103をネジ止めするためのボス38が設けられている。
【0025】
さらに、ベース31の後面(他面)側には、図3および図5(A),(B)に示すように、熱交換器67A,67Bを貫通させることにより位置決めして配設するための位置決め筒部39が突設されている。また、除湿ロータ配設部34の下部には、左右方向にかけて水平方向に延びるダクト部40が設けられている。このダクト部40は、再生通路12の一部を構成するもので、前面側に向けて窪むように凹設されたような樋形状をなし、前記再生空気循環ファン配設部37に対応する位置には、円形状の通気孔41が設けられている。
【0026】
前記ダクト部40の後側である開口端には、別体のダクトカバー42がネジ止めにより固定されている。このダクトカバー42は、ダクト部40の開口端形状に一致するもので、後述する熱交換器67Aの第1流出口77と対応する位置には、流入口43が設けられている。この流入口43の周囲には、後述する熱交換器67A,67Bを固定するためのネジ孔44が設けられている。
【0027】
そして、本実施形態のダクトカバー42の下部には、ロータカバー59の下部は勿論、熱交換器67A,67Bの左右方向の幅および積層した前後方向の奥行き全体を受ける(図6参照)ように、ベース31の左右方向の略全体にかけて覆うように延びて結露水を受ける水受部45が一体成形されている。この水受部45は樋状をなし、後カバー17の側の起上面46は、外側に位置する熱交換器67Bの下部を位置決め保持する役割をなす。また、水受部45は、熱交換器67A,67Bのドレン部71,88に対応する位置を最低位置とし、その位置に通水孔47が設けられている。この通水孔47は、水受部45で受けた結露水をサブタンク50へ排水する排水孔の役割もなす。
【0028】
ここで、本実施形態において、再生通路12から再生空気が漏出する可能性がある部分、即ち、意図しない結露水が発生する部分は、後述する除湿ロータ52によって分断される除湿ロータ配設部34の周囲である。そのため、本実施形態では、除湿ロータ配設部34には、後面側端部に中心に向けて略環状に突出するように位置決め段部35に当接部35aを設けているが、前記ロータカバー配設部36、および、その下部に位置する領域には、この当接部35aを設けることなく、前面側に窪んだ状態に形成している。そして、前記ダクトカバー42に、当接部35aに面一に係合する凹部42aを設けることにより、この凹部42aを設けた領域は、後述するロータカバー59の開口端と垂直方向に略面一になるように構成している。これにより、ロータカバー59の周囲で結露した水を、確実に水受部45に導くことができるように構成している。
【0029】
なお、ベース31の下枠31bにおいて、前記通水孔47と上下に対応する位置には、同様の通水孔48が設けられ、その下部に止水弁49を有するサブタンク50が配設されている。また、図2および図5(A)に示すように、下枠31bには、ダクト部40内で結露した水を同様にサブタンク50に排水するための通水孔51が設けられている。なお、止水弁49は、タンク107の取り付けにより開弁し、取り外しにより閉弁する開閉機構(図示せず)が連結されたものである。また、ダクトカバー42の通水孔47には、下枠31bの通水孔48内を貫通するリブ(図示せず)が設けられている。
【0030】
前記除湿ロータ52は、その約3/4が除湿通路11内に位置し、約1/4が再生通路12内に位置するように、両通路11,12に跨って回転可能に配設したものである。この除湿ロータ52は、図3に示すように、ゼオライトまたはシリカゲルを結合させたメッシュ状のセラミックハニカムからなるロータ本体53を、樹脂製の保持部材54によって保持させたものである。この保持部材54は、図4に示すように、ロータ本体53の中央に位置する軸受部55と、ロータ本体53の外周部に位置する外壁部56と、これらを連結する連結枠57とを備えている。この保持部材54は、前記連結枠57が後述する熱交換器67Aの側に隣接して位置するように、ベース31に対して一面側である前カバー13の側から配設される。そして、本実施形態では、軸受部55には、連結枠57の側の直径が前カバー13の側の直径より大きくなる円錐形状の軸受孔55aが設けられている。また、外壁部56は、除湿ロータ配設部34の位置決め段部35の小径部分の直径より小さい外径をなす。そして、前カバー13の側に位置するように、位置決め段部35の小径部分の直径より大きく、大径部分の直径より小さいフランジ状をなすように、複数の凸条歯58が突設されている。この凸条歯58は、駆動手段である図示しないモータの出力軸に配設した歯車に噛み合うものである。
【0031】
前記除湿ロータ52は、ベース31のロータカバー配設部36に対して、前面側からロータカバー59を配設した後に同一方向から配設される。その後、該除湿ロータ52に対してロータカバー59と逆側に位置するように、加熱ヒータ98を収容配置するヒータカバー99が配設される。即ち、両通路11,12に跨って除湿ロータ52を配設するため、該除湿ロータ52によって再生通路12は分断される。そして、分断された再生通路12の上流側(他端)にヒータカバー99を配設し、下流側(一端)にロータカバー59を配設する構成としている。
【0032】
前記ロータカバー59は、図4、図5および図7に示すように、除湿ロータ配設部34の約3/4の領域を閉塞する扇形形状をなし、その円の一部に相当する縁にはロータカバー配設部36にネジ止めにより固定する固定縁部60が設けられている。この固定縁部60は、除湿ロータ配設部34の位置決め段部35に一致する階段状をなし、装着状態ではベース31に対して後カバー17の側に該ロータカバー59が突出するように構成されている。また、本実施形態の固定縁部60の外周縁には、前カバー13に向けて更に突出する位置決め片61が設けられている。
【0033】
また、このロータカバー59には、扇形形状の膨出部62が後カバー17の側に膨出するように設けられ、この膨出部62に後述する熱交換器67Aの第1流入口75に対応して再生空気を流入させる接続口63が設けられている。この接続口63の縁には、第1流入口75に内嵌される接続リブ64が突設されている。また、膨出部62には、前記接続口63の外周部に位置するように、熱交換器67A,67Bのネジ止めするためのネジ孔65が設けられている。
【0034】
そして、本実施形態のロータカバー59には、円形状をなす除湿ロータ配設部34の中心に位置する頂部に、除湿ロータ52を回転可能に装着する回転軸66が一体成形されている。この回転軸66は、前カバー13に向けて水平方向に延びるもので、その基部である後カバー17の側を先端である前カバー13の側より大径とすることにより、先端に向けて先細になる略円錐形状に形成されている。そして、この回転軸66に前記除湿ロータ52を配設することにより、水平方向に延びる回転軸66を軸心(中心)として、除湿ロータ52が回転可能となる。
【0035】
前記熱交換器67A,67Bは、図6に示すように、前記除湿通路11内において、ベース31に対して他面側である後カバー17の側に配設され、再生通路12の一部を構成するものである。これら熱交換器67A,67Bは、真空成形または圧空成形により図8および図9に示すように、対称形状に形成した一対のパネル68A,68B,85A,85Bを溶着した樹脂製のものである。
【0036】
具体的には、除湿ロータ52の側に配設される内側の熱交換器67Aの第1パネル68A,68Bには、図8に示すように、互いに対称に位置する複数の第1仕切用凹条69A,69Bが形成され、これら第1仕切用凹条69A,69Bを除く部位により再生空気を通過させる複数の第1流路70が形成されている。この第1流路70は、前記通水孔47に対応する位置が最低位置となるように傾斜され、その位置に第1ドレン部71が設けられている。また、貼り合わされた第1仕切用凹条69A,69Bの部位には、室内から吸引した空気を流通させるための第1通孔72が設けられている。さらに、前記第1流路70を避けるように、位置決め筒部39に対応する位置には第1位置決め孔73が設けられている。
【0037】
一方、前記第1パネル68A,68Bのうち、除湿ロータ52の側に位置される第1パネル68Aには、ロータカバー59の膨出部62の形状に一致する凹部74が設けられ、この凹部74内に第1流入口75が設けられている。そして、第1パネル68Bには、第1流入口75と対向する位置に、第1流入口75より小径の第1接続口76が設けられている。また、第1パネル68Aにおいて、第1流入口75との対角位置には、ダクトカバー42の流入口43に対応する第1流出口77が設けられている。そして、第1パネル68Bには、第1流出口77と対向する位置に、第1流出口77と同一直径の第2接続口78が設けられている。さらに、第1パネル68A,68Bには、第1流入口75および第1接続口76の周囲の対向位置と、第1流出口77と第2接続口78の周囲の対向位置に、ダクトカバー42およびロータカバー59のネジ孔44,65にネジ止めするための第1ネジ挿通孔79が設けられている。
【0038】
そして、本実施形態では、前後方向に対向する第1流入口75と第1接続口76との間には、第1補強接続部材80Aが配設され、第1流出口77と第2接続口78との間には、第1補強接続部材80Bが配設されている。即ち、熱交換器67Aは、第1パネル68A,68Bの間に第1補強接続部材80A,80Bを挟み込んだ状態で、これら第1パネル68A,68Bを溶着(内装)する構成としている。
【0039】
前記第1補強接続部材80A,80Bは、難燃性樹脂材料からなる円筒状のもので、その外周面には、熱交換器67Aの第1流路70に連通するための第1連通孔81が周方向に所定間隔をもって設けられている。また、これら第1補強接続部材80A,80Bには、前記第1連通孔81を除く位置に、第1ネジ挿通孔79に対応する挿通孔82aを有する第1アーム部82が放射状をなすように外向きに突設されている。これら第1補強接続部材80A,80Bのうち、流入側の第1補強接続部材80Aは、第1流入口75の直径と、第1接続口76の直径との大小設定により、第1接続口76への配置側にリング状の閉鎖部83が設けられている。そして、この閉鎖部83の内周縁には、後述する第2補強接続部材94Aに内嵌して気密に接続するための接続リブ84が設けられている。なお、前記閉鎖部83は、第1補強接続部材80A内に軸方向に沿って流入された全ての再生空気が、下流側である熱交換器67Bに流入することを防止して、熱交換器67A内に流入させる流動抵抗となる。
【0040】
また、前記熱交換器67Aに重畳するように後カバー17の側に配設される外側の熱交換器67Bの第2パネル85A,85Bには、図9に示すように、第1パネル68A,68Bと同様に、互いに対称に位置する複数の第2仕切用凹条86A,86Bが形成され、これら第2仕切用凹条86A,86Bを除く部位により再生空気を通過させる複数の第2流路87が形成されている。この第2流路87は、通水孔47に対応する位置が最低位置になるように傾斜され、その位置に第2ドレン部88が設けられている。また、貼り合わされた第2仕切用凹条86A,86Bの部位には、室内から吸引した空気を流通させるための第2通孔89が設けられている。さらに、前記第2流路87を避けるように、位置決め筒部39に対応する位置には第2位置決め孔90が設けられている。なお、この外側の熱交換器67Bの第2流路87および第2通孔89は、内側の熱交換器67Aの第1流路70および第1通孔72に対して左右に位相され、後カバー17から流入された空気が第2通孔89および第1通孔72の順番で千鳥足状に流れるように構成することにより、流動(熱交換)時間を確保している。
【0041】
一方、前記第2パネル85A,85Bのうち、内側の熱交換器67Aの側に位置される第2パネル85Aには、熱交換器67Aの第1接続口76に対応する第2流入口91が、第1接続口76と同一径で設けられている。また、この第2流入口91との対角位置には、熱交換器67Aの第2接続口78に対応する第2流出口92が設けられている。そして、第2パネル85Bにおいて、これらと対向する位置には、何ら接続または流出入用の開口は設けられてない。但し、両方の第2パネル85A,85Bには、ダクトカバー42およびロータカバー59のネジ孔44,65にネジ止めするための第2ネジ挿通孔93が設けられている。
【0042】
そして、本実施形態では、第2パネル85Aの第2流入口91と第2パネル85Bの閉鎖面の間には、第2補強接続部材94Aが配設され、第2パネル85Aの第2流出口92と第2パネル85Bの閉鎖面との間には、第2補強接続部材94Bが配設されている。即ち、熱交換器67Bは、熱交換器67Aと同様に、第2パネル85A,85Bの間に第2補強接続部材94A,94Bを挟み込んだ状態で、これら第2パネル85A,85Bを溶着(内装)する構成としている。
【0043】
前記第2補強接続部材94A,94Bは、第1補強接続部材80A,80Bと同様に難燃性樹脂材料からなる円筒状のもので、その外周面には、熱交換器67Bの第2流路87に連通するための第2連通孔95が周方向に所定間隔をもって設けられている。また、これら第2補強接続部材94A,94Bには、前記第2連通孔95を除く位置に、第2ネジ挿通孔93に対応する挿通孔96aを有する第2アーム部96が放射状をなすように外向きに突設されている。これら第2補強接続部材94A,94Bのうち、流入側の第2補強接続部材94Aには、高温の再生空気が連続的に第2パネル85Bの閉鎖面に当たることによる劣化を防止するために、この第2パネル85Bへの配置側に閉鎖壁97を設けている。
【0044】
前記加熱ヒータ98は、図10に示すように、マイカ板からなる支持枠に連続した1巻きのコイルを巻回したもので、ヒータカバー99を介して除湿ロータ52に対して前カバー13の側に配設される。そして、この加熱ヒータ98は、図示しない電源回路からの供給電力により発熱し、供給される再生空気と近接配置された除湿ロータ52とを加熱する構成としている。
【0045】
前記ヒータカバー99は、図10および図11に示すように、除湿ロータ52の側を開口した扇形状のものである。このヒータカバー99には、除湿ロータ52を中心としてロータカバー59と線対称な略扇形形状をなし、その外周縁が位置決め片61の内法に一致するフランジ部100が形成されている。また、このヒータカバー99には、後述するファンケース103の側に位置する下側外周面に接続部101が設けられている。このヒータカバー99において、前記加熱ヒータ98は、上流側である接続部101の側の略半分の領域に収容される。
【0046】
前記再生空気循環ファン102は、駆動手段である図示しないモータにより回転されるシロッコファンからなり、ベース31の再生空気循環ファン配設部37に、前カバー13の側からファンケース103を介して配設される。なお、シロッコファンは、円板状をなすベースと、該ベースと直交する方向に突出する複数の羽根部と、各羽根部の先端外周部を連結する環状の連結部とを備えた周知のものである。前記ファンケース103は、ベース31の通気孔41を覆うようにネジ止めにより固定されるもので、ヒータカバー99の側に位置する上部には、接続部101に接続する四角筒状の接続部104が設けられている。
【0047】
前記室内空気循環ファン105は、図3に示すように、駆動手段である図示しない駆動モータにより回転されるシロッコファンからなり、除湿ロータ52の下部前側に位置するように、保持枠106を介してベース31に対して固定される。この室内空気循環ファン105を構成するシロッコファンは、再生空気循環ファン102と同様に、ベースと複数の羽根部と連結部とを備えた周知のもので、再生空気循環ファン102と比較して大型のものを適用した点でのみ相違する。
【0048】
前記タンク107は、サブタンク50から排水される除湿された結露水を貯留する上面開口の箱体形状のものである。このタンク107の内部には、回動可能なフロート部材が配設され、タンク107内の水位が上昇すると、フロート部材が浮き上がることにより、満水状態を検出できるように構成している。
【0049】
前記構成の除湿機の再生通路12は、再生空気循環ファン102を起点とすると、ファンケース103、ヒータカバー99、ロータカバー59、熱交換器67A,67B、ベース31のダクト部40により、区画した状態で構成される。そして、この再生通路12を除く空間のうち、後カバー17からベース31の除湿ロータ配設部34、および、前カバー13の隔壁15内を経て排気口14に至る連通した空間が、除湿通路11を構成する。
【0050】
そして、この除湿機は、電源スイッチがオン状態になり、ケーシング10にタンク107がセットされ、かつ、満水状態でない場合に、除湿ロータ52、加熱ヒータ98、再生空気循環ファン102および室内空気循環ファン105に対して電力を通電して除湿動作を開始する。また、タンク107内が満水状態になると、前記各構成部品への通電を停止して除湿動作を停止する。
【0051】
なお、本実施形態の除湿機は、布団や靴などの乾燥機能が搭載されている。この乾燥機能は、図12および図13に示すように、図示しない電源コードを束ねるコードホルダー108を利用し、別の付属部品であるカバー部材112とパイプ部材114とを装着した状態で実行するものである。
【0052】
前記コードホルダー108は、前カバー13の側面に設けた係止孔109に挿入係止する係止片110を上端に設けた略J字形状のものである。そして、このコードホルダー108の上端には、パイプ部材114を位置決め保持するために、上端開口の装着部111が設けられている。
【0053】
前記カバー部材112は、天カバー25において後面側に位置する操作パネル30およびハンドル27を露出させ、前面側に位置するルーバー26から前カバー13の排気口14にかけて覆うものである。このカバー部材112には、装着状態でハンドル27によってユーザが把持する作業性を考慮して、後面側に流曲線状の窪み113が設けられている。また、このカバー部材112において、左側端内部には、パイプ部材114を挿入係止する受部(図示せず)が設けられている。
【0054】
前記パイプ部材114は、前記受部から装着部111にかけて延びる水平断面が略楕円形状のパイプであり、その下端部には、横方向に円筒状をなすように突出するホース接続部115が設けられている。そして、このホース接続部115の下端には、装着部111に挿入する装着片116が下向きに突設されている。ここで、ホース接続部115は、除湿機の重心より下側に位置するように構成されている。そのため、このホース接続部115に図示しない別体の軟質ホースを装着した状態で、該ホースを動かしても除湿機自体が容易に転倒しないように構成している。
【0055】
次に、前記除湿機による除湿動作について具体的に説明する。
【0056】
まず、除湿通路11では、室内空気循環ファン105の駆動により、後カバー17の吸気口19から室内の空気が吸引される。そして、その吸引された空気は、熱交換器67A,67Bの通孔72,89を通過する際に、内部の流路70,87を通過する再生空気との熱交換によって加熱され、この状態で、除湿ロータ52を通過する際に、含有した水分が吸着される。これにより、乾燥した空気として前カバー13の排気口14から室内に循環供給される。
【0057】
一方、再生通路12では、再生空気循環ファン102の駆動により、内部の再生空気がファンケース103から加熱ヒータ98を収容したヒータカバー99内に流入する。これにより再生空気は、加熱ヒータ98で加熱された後、除湿ロータ52を通過する際に、該除湿ロータ52が吸着した水分を吸着する。ついで、再生空気は、ロータカバー59で略全てが回収されて熱交換器67Aに流入される。そして、この熱交換器67Aでは、第1補強接続部材80Aの閉鎖部83により、内側の熱交換器67Aと外側の熱交換器67Bとに分配され、各流路70,87を流出口77,92に向けて流動される。この際、区画された除湿通路11を流通する室内から吸引した空気との温度差による熱交換で冷却され、該再生空気が含有した水分が結露する。この結露した水は、熱交換器67A,67Bのドレン部71,88からサブタンク50に排水され、このサブタンク50からタンク107に回収される。また、熱交換器67A,67Bから流出した再生空気は、略乾燥状態となってダクト部40内に流入し、再生空気循環ファン102により加熱ヒータ98の側に再び供給される。
【0058】
そして、本実施形態の除湿機は、一対の樹脂シートからなる熱交換器67A,67Bにおいて、その流入口75,91と流出口77,92に補強接続部材80A,80B,94A,94Bを内装しているため、別部品からなる熱交換器67A,67Bと、ロータカバー59およびダクト部40との接続状態を安定させることができる。その結果、再生通路12の気密性能を向上し、十分な気密性能を確保可能なため、再生空気の降温を抑制し、除湿効率の向上を図ることができる。
【0059】
また、除湿ロータ52を回転可能に装着する回転軸66を、加熱ヒータ98に向けて先細の円錐形状に形成しているため、傾斜状態に拘わらず、除湿ロータ52を加熱ヒータ98の側に近づけた状態に維持できる。その結果、除湿ロータ52の加熱性能の安定を図ることができるため、除湿効率を向上できる。
【0060】
このように、本発明の除湿機は、再生通路12が十分な気密性能になるように設計するとともに、再生空気の加熱効率も向上できるように設計している。しかし、除湿ロータ52によって分断された部分において、再生通路12への再流入端では、やはり再生空気が漏出する可能性がある。この可能性を考慮して、本実施形態では、この再流入端であるロータカバー59の膨出部62の開口面積を十分に設計しているが、万が一にも漏出する可能性は存在する。
【0061】
しかし、本実施形態では、ロータカバー59の下部領域は勿論、熱交換器67A,67Bの下部全体を受けるように水受部45を設けているため、万が一再生空気が漏出することにより、除湿通路11内で結露水が発生しても、その結露水を確実に受け、通水孔47を通してサブタンク50を介してタンク107に排水することができる。その結果、除湿機から意図しない水の漏出を確実に防止できる。しかも、本実施形態では、水受部45を熱交換器67A,67Bの下部全体にかけて延びるように設けているため、経年変化により熱交換器67A,67Bから結露水が漏出しても、水受部45で受けることができるため、除湿機から水が漏出することを確実に防止できる。
【0062】
また、水受部45で熱交換器67A,67Bの下部を位置決めする構成としているため、組立時の作業性を向上できるとともに、配設位置の安定を図ることができる。さらに、ベース31の下部に設けたダクト部40を閉塞するダクトカバー42に水受部45を一体成形しているため、部品点数の削減を図ることができる。しかも、除湿通路11内、特に、除湿ロータ配設部34には、吸引した空気の流通抵抗になる部材が位置することを防止できるため、漏水対策を施すことにより除湿効率が低下することを防止できる。
【0063】
なお、本発明の除湿機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、前記実施形態では、水受部45によって熱交換器67A,67Bの下部を位置決めする構成としたが、熱交換器67A,67Bは位置決めすることなく、結露水のみを受ける専用部分としてもよい。この場合、水受部45は、ロータカバー59の下部に位置する領域のみに設ければよい。また、前記実施形態では、ダクト部40を閉塞するダクトカバー42に水受部45を一体成形したが、別体からなる専用の水受部45を配設する構成としてもよい。さらに、前記実施形態では、一対の熱交換器67A,67Bを積層状態で組み付ける構成としたが、単一の熱交換器を組み付けてもよいうえ、3以上の熱交換器を積層して組み付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係る除湿機を示す概略図である。
【図2】除湿機の斜視図である。
【図3】除湿機の中央縦断面図である。
【図4】ベースに対する各構成部品の分解斜視図である。
【図5】(A),(B)はベースに形成したダクト部の構成を示す斜視図である。
【図6】熱交換器の組付状態を示す斜視図である。
【図7】図6を前面側から見た斜視図である。
【図8】内側の熱交換器の分解斜視図である。
【図9】外側の熱交換器の分解斜視図である。
【図10】組付作業の一工程を示す斜視図である。
【図11】図2の要部断面斜視図である。
【図12】除湿機と付属部品とを示す分解斜視図である。
【図13】除湿機に付属部品を装着した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
10…ケーシング 11…除湿通路
12…再生通路 13…前カバー
17…後カバー 25…天カバー
31…ベース 40…ダクト部
42…ダクトカバー 45…水受部
52…除湿ロータ 59…ロータカバー
66…回転軸 67A,67B…熱交換器
98…加熱ヒータ 99…ヒータカバー
102…再生空気循環ファン 103…ファンケース
105…室内空気循環ファン 107…タンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の除湿機に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−286276号公報
【0004】
この特許文献には、ケーシングの内部を除湿通路と再生通路とに区画するとともに、室内空気の吸引側より熱交換器、除湿ロータおよび室内空気循環ファンを水平方向に積層するように配設した除湿機が記載されている。そのうち、除湿ロータは円板状をなし、その回転軸心が水平方向に延びるように配設され、駆動手段により回転される。
【0005】
前記ケーシングは、前記各構成部品を固定するためのベースと、該ベースの両面を閉塞する一対のカバーとを備えている。そして、ベースには、その一面側に除湿ロータと熱交換器とを積層するように配設し、他面側に室内空気循環ファンを配設している。また、ベースには、再生通路を構成するダクト部が設けられている。このダクト部は、下側に位置する熱交換器の流出口との接続部から上向きに略逆L字形状に延び、その先端が再生空気および除湿ロータを加熱する加熱ヒータを収容するヒータカバーに接続する構成とされている。なお、除湿ロータには、ヒータカバーと反対側に位置するようにロータカバーが配設され、このロータカバーが熱交換器の流入口に接続されている。
【0006】
このように構成した除湿機は、除湿通路では、吸引した室内の空気を除湿ロータを通過させることにより、この除湿ロータで室内空気が含有した水分を吸着し、乾燥した空気として排気口から室内に循環供給する。また、再生通路では、内部の再生空気が加熱ヒータで加熱され、この状態で前記除湿ロータを通過させることにより、該除湿ロータが吸着した水分を放出させ、その水分を再生空気に含有させる。その後、その再生空気が、熱交換器を通過する際に、該熱交換器の外部を通過する室内空気との熱交換によって冷却されることにより水分が結露し、再生空気に含まれた水分は取り除かれ、結露した水はタンクに回収される。
【0007】
しかしながら、前記再生通路は、除湿通路との両者に跨って回転可能に配設された除湿ロータにより分断されている。また、除湿ロータを通過してロータカバーに流入する再生空気は、多くの水分を含有した状態にある。そして、ロータカバーでは、除湿ロータが回転していることも伴い、該除湿ロータを通過した再生空気の全てを流入させることは非常に困難である。そのため、再生空気の一部がロータカバーに流入できず、除湿通路に漏出すると、該再生空気より低温の室内空気により冷却される。その結果、再生空気が含有した水分が結露し、その結露水がケーシングから外部に漏出するという問題がある。
【0008】
なお、この問題を解消するためには、ロータカバーにおいて、除湿ロータの回転方向前側に専用の排水構造を設けることが考えられるが、このようにした場合には、この排水構造(パイプ等)が除湿通路の一部を遮るように配置されるため、除湿通路での流通効率が低下し、除湿効率を低下させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、除湿効率を低下させることなく、確実に除湿した結露水の漏出を防止できる除湿機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の除湿機は、内部を除湿通路と再生通路とに区画したケーシングと、前記両通路に跨って、略水平方向に延びる回転軸心を中心として駆動手段により回転可能に配設した除湿ロータと、前記除湿ロータによって分断された再生通路の一端に配設したロータカバーと、前記ロータカバーに接続し、前記再生通路の一部を構成して、内部を流通する再生空気を外部を流通する空気により冷却して再生空気が含有した水分を取り除く熱交換器と、前記再生通路内に配設し、再生空気と前記除湿ロータとを加熱する加熱ヒータと、前記再生通路内に配設し、再生空気を前記加熱ヒータから熱交換器を経て循環させる再生空気循環ファンと、前記除湿通路内に配設し、室内の空気を吸引して前記除湿ロータによって除湿した乾燥空気を室内に循環供給する室内空気循環ファンと、を備えた除湿機において、少なくとも前記ロータカバーの下部に位置するように、該ロータカバーの周辺で結露した結露水を受ける水受部を設けた構成としている。
【0011】
この除湿機は、除湿ロータによって分断された再生通路の再流入端であるロータカバーから再生空気が漏出し、除湿通路内で結露しても、水受部で受けることができるため、除湿機から意図しない水の漏出を確実に防止できる。
【0012】
この除湿機では、前記水受部で前記熱交換器の下部を位置決めすることが好ましい。このようにすれば、熱交換器の配設作業性を向上できるとともに、配設位置の安定を図ることができる。
【0013】
また、前記水受部を前記熱交換器の下部全体にかけて覆うように設けることが好ましい。このようにすれば、経年変化により熱交換器から結露水が漏出しても、水受部で受けることができるため、除湿機から水が漏出することを防止できる。
【0014】
また、前記ケーシングは、略垂直方向に延びるベースと、該ベースの水平方向の一面を閉塞する第1カバーと、前記ベースの水平方向の他面を閉塞する第2カバーとを備え、前記ベースの下部に、前記熱交換器の流出口に接続して再生通路の一部を構成するダクト部を、略水平方向に延びるように凹設し、該ダクト部の開口端を閉塞するダクトカバーに前記水受部を一体成形することが好ましい。このようにすれば、部品点数の削減を図ることができるうえ、除湿通路内に吸引した空気の流通抵抗になる部材が位置することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の除湿機では、再生空気が漏出して結露水が発生する可能性があるロータカバーの下部に水受部を設けているため、万が一、除湿通路内で結露しても水受部で受け、除湿機から意図しない水の漏出を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る除湿機を示す。この除湿機は、大略、高さ方向に長く前後方向の奥行きが左右方向の幅より薄い六面体からなるケーシング10の内部を除湿通路11と再生通路12とに区画し、その内部に、除湿ロータ52と、熱交換器67A,67Bと、加熱ヒータ98と、再生空気循環ファン102と、室内空気循環ファン105とを水平方向に積層して配設するとともに、下部にタンク107を配設したものである。
【0018】
前記ケーシング10は、図2および図3に示すように、ベース31の前(一)面に前カバー(第1カバー)13を配設するとともに、後(他)面に後カバー(第2カバー)17を配設し、これらの上部に天カバー(第3カバー)25を配設したものである。
【0019】
まず、前記前カバー13の上部には、回動可能なルーバー26により開閉される排気口14が形成される。また、前カバー13の内面には、排気口14に向けて空気を案内するように、インボリュート通路を構成する隔壁15が設けられている。さらに、前カバー13の下部には載置用の台座部16が設けられている。
【0020】
前記後カバー17には、内向きに窪む凹部18が設けられ、この凹部18に垂直方向に延びる複数のスリットからなる吸気口19が形成されている。そして、この凹部18には、フィルタ部材20が着脱可能に配設される。このフィルタ部材20には、複数のスリットからなる吸気口21が設けられ、内面に図示しないフィルタが配設されている。また、後カバー17の下部には、前カバー13の台座部16に係合する同様の台座部22が設けられるとともに、その上側にはタンク107を配設するための装着口23が設けられている。そして、ベース31に対してこの後カバー17と前記前カバー13とを組み付けることにより、ケーシング10の下部にはタンク収容室24が形成される。
【0021】
前記天カバー25は、前記排気口14を開閉する回動可能なルーバー26を備えている。この天カバー25には、回動可能な持ち運び用のハンドル27の収容部が設けられるとともに、スイッチ28および表示部29を備えた操作パネル30が配設されている。
【0022】
前記ベース31は、図3および図4に示すように、後述する除湿ロータ52、熱交換器67A,67B、加熱ヒータ98、再生空気循環ファン102および室内空気循環ファン105を組み付けて配設するものである。このベース31は、垂直方向に延びる略矩形状をなす平板の上下左右の縁に前後方向に突出する枠31a〜31dを設けてなる。このベース31において、上枠31aには、ハンドル27を回転可能に組み付けるハンドル装着部32が設けられている。また、ベース31の下側の枠31bの両側には、タンク収容室24の内面に位置する枠片33が設けられている。
【0023】
前記ベース31には、その中央の上枠31a寄りに円形状の開口からなる除湿ロータ配設部34が設けられている。この除湿ロータ配設部34には、前カバー13の(一面)側が後カバー17の(他面)側より直径が大きくなるようにした位置決め段部35が設けられ、前カバー13の側から除湿ロータ52が配設される。即ち、本実施形態のベース31には、通風の妨げになるような部材が何ら設けられていない開口が通風口として設けられている。そのため、同一の室内空気循環ファン105を使用する場合、除湿通路11を流通する空気の通気量を従来と比較して増大することができる。なお、除湿ロータ52の更に前面側には、室内空気循環ファン105が配設される。
【0024】
また、ベース31の前面(一面)側には、左側上部において除湿ロータ配設部34の縁に位置するようにロータカバー配設部36が設けられている。さらに、ベース31の前面側には、除湿ロータ配設部34の下部左側に位置するように再生空気循環ファン配設部37が設けられている。この再生空気循環ファン配設部37には、再生空気循環ファン102を囲繞するファンケース103をネジ止めするためのボス38が設けられている。
【0025】
さらに、ベース31の後面(他面)側には、図3および図5(A),(B)に示すように、熱交換器67A,67Bを貫通させることにより位置決めして配設するための位置決め筒部39が突設されている。また、除湿ロータ配設部34の下部には、左右方向にかけて水平方向に延びるダクト部40が設けられている。このダクト部40は、再生通路12の一部を構成するもので、前面側に向けて窪むように凹設されたような樋形状をなし、前記再生空気循環ファン配設部37に対応する位置には、円形状の通気孔41が設けられている。
【0026】
前記ダクト部40の後側である開口端には、別体のダクトカバー42がネジ止めにより固定されている。このダクトカバー42は、ダクト部40の開口端形状に一致するもので、後述する熱交換器67Aの第1流出口77と対応する位置には、流入口43が設けられている。この流入口43の周囲には、後述する熱交換器67A,67Bを固定するためのネジ孔44が設けられている。
【0027】
そして、本実施形態のダクトカバー42の下部には、ロータカバー59の下部は勿論、熱交換器67A,67Bの左右方向の幅および積層した前後方向の奥行き全体を受ける(図6参照)ように、ベース31の左右方向の略全体にかけて覆うように延びて結露水を受ける水受部45が一体成形されている。この水受部45は樋状をなし、後カバー17の側の起上面46は、外側に位置する熱交換器67Bの下部を位置決め保持する役割をなす。また、水受部45は、熱交換器67A,67Bのドレン部71,88に対応する位置を最低位置とし、その位置に通水孔47が設けられている。この通水孔47は、水受部45で受けた結露水をサブタンク50へ排水する排水孔の役割もなす。
【0028】
ここで、本実施形態において、再生通路12から再生空気が漏出する可能性がある部分、即ち、意図しない結露水が発生する部分は、後述する除湿ロータ52によって分断される除湿ロータ配設部34の周囲である。そのため、本実施形態では、除湿ロータ配設部34には、後面側端部に中心に向けて略環状に突出するように位置決め段部35に当接部35aを設けているが、前記ロータカバー配設部36、および、その下部に位置する領域には、この当接部35aを設けることなく、前面側に窪んだ状態に形成している。そして、前記ダクトカバー42に、当接部35aに面一に係合する凹部42aを設けることにより、この凹部42aを設けた領域は、後述するロータカバー59の開口端と垂直方向に略面一になるように構成している。これにより、ロータカバー59の周囲で結露した水を、確実に水受部45に導くことができるように構成している。
【0029】
なお、ベース31の下枠31bにおいて、前記通水孔47と上下に対応する位置には、同様の通水孔48が設けられ、その下部に止水弁49を有するサブタンク50が配設されている。また、図2および図5(A)に示すように、下枠31bには、ダクト部40内で結露した水を同様にサブタンク50に排水するための通水孔51が設けられている。なお、止水弁49は、タンク107の取り付けにより開弁し、取り外しにより閉弁する開閉機構(図示せず)が連結されたものである。また、ダクトカバー42の通水孔47には、下枠31bの通水孔48内を貫通するリブ(図示せず)が設けられている。
【0030】
前記除湿ロータ52は、その約3/4が除湿通路11内に位置し、約1/4が再生通路12内に位置するように、両通路11,12に跨って回転可能に配設したものである。この除湿ロータ52は、図3に示すように、ゼオライトまたはシリカゲルを結合させたメッシュ状のセラミックハニカムからなるロータ本体53を、樹脂製の保持部材54によって保持させたものである。この保持部材54は、図4に示すように、ロータ本体53の中央に位置する軸受部55と、ロータ本体53の外周部に位置する外壁部56と、これらを連結する連結枠57とを備えている。この保持部材54は、前記連結枠57が後述する熱交換器67Aの側に隣接して位置するように、ベース31に対して一面側である前カバー13の側から配設される。そして、本実施形態では、軸受部55には、連結枠57の側の直径が前カバー13の側の直径より大きくなる円錐形状の軸受孔55aが設けられている。また、外壁部56は、除湿ロータ配設部34の位置決め段部35の小径部分の直径より小さい外径をなす。そして、前カバー13の側に位置するように、位置決め段部35の小径部分の直径より大きく、大径部分の直径より小さいフランジ状をなすように、複数の凸条歯58が突設されている。この凸条歯58は、駆動手段である図示しないモータの出力軸に配設した歯車に噛み合うものである。
【0031】
前記除湿ロータ52は、ベース31のロータカバー配設部36に対して、前面側からロータカバー59を配設した後に同一方向から配設される。その後、該除湿ロータ52に対してロータカバー59と逆側に位置するように、加熱ヒータ98を収容配置するヒータカバー99が配設される。即ち、両通路11,12に跨って除湿ロータ52を配設するため、該除湿ロータ52によって再生通路12は分断される。そして、分断された再生通路12の上流側(他端)にヒータカバー99を配設し、下流側(一端)にロータカバー59を配設する構成としている。
【0032】
前記ロータカバー59は、図4、図5および図7に示すように、除湿ロータ配設部34の約3/4の領域を閉塞する扇形形状をなし、その円の一部に相当する縁にはロータカバー配設部36にネジ止めにより固定する固定縁部60が設けられている。この固定縁部60は、除湿ロータ配設部34の位置決め段部35に一致する階段状をなし、装着状態ではベース31に対して後カバー17の側に該ロータカバー59が突出するように構成されている。また、本実施形態の固定縁部60の外周縁には、前カバー13に向けて更に突出する位置決め片61が設けられている。
【0033】
また、このロータカバー59には、扇形形状の膨出部62が後カバー17の側に膨出するように設けられ、この膨出部62に後述する熱交換器67Aの第1流入口75に対応して再生空気を流入させる接続口63が設けられている。この接続口63の縁には、第1流入口75に内嵌される接続リブ64が突設されている。また、膨出部62には、前記接続口63の外周部に位置するように、熱交換器67A,67Bのネジ止めするためのネジ孔65が設けられている。
【0034】
そして、本実施形態のロータカバー59には、円形状をなす除湿ロータ配設部34の中心に位置する頂部に、除湿ロータ52を回転可能に装着する回転軸66が一体成形されている。この回転軸66は、前カバー13に向けて水平方向に延びるもので、その基部である後カバー17の側を先端である前カバー13の側より大径とすることにより、先端に向けて先細になる略円錐形状に形成されている。そして、この回転軸66に前記除湿ロータ52を配設することにより、水平方向に延びる回転軸66を軸心(中心)として、除湿ロータ52が回転可能となる。
【0035】
前記熱交換器67A,67Bは、図6に示すように、前記除湿通路11内において、ベース31に対して他面側である後カバー17の側に配設され、再生通路12の一部を構成するものである。これら熱交換器67A,67Bは、真空成形または圧空成形により図8および図9に示すように、対称形状に形成した一対のパネル68A,68B,85A,85Bを溶着した樹脂製のものである。
【0036】
具体的には、除湿ロータ52の側に配設される内側の熱交換器67Aの第1パネル68A,68Bには、図8に示すように、互いに対称に位置する複数の第1仕切用凹条69A,69Bが形成され、これら第1仕切用凹条69A,69Bを除く部位により再生空気を通過させる複数の第1流路70が形成されている。この第1流路70は、前記通水孔47に対応する位置が最低位置となるように傾斜され、その位置に第1ドレン部71が設けられている。また、貼り合わされた第1仕切用凹条69A,69Bの部位には、室内から吸引した空気を流通させるための第1通孔72が設けられている。さらに、前記第1流路70を避けるように、位置決め筒部39に対応する位置には第1位置決め孔73が設けられている。
【0037】
一方、前記第1パネル68A,68Bのうち、除湿ロータ52の側に位置される第1パネル68Aには、ロータカバー59の膨出部62の形状に一致する凹部74が設けられ、この凹部74内に第1流入口75が設けられている。そして、第1パネル68Bには、第1流入口75と対向する位置に、第1流入口75より小径の第1接続口76が設けられている。また、第1パネル68Aにおいて、第1流入口75との対角位置には、ダクトカバー42の流入口43に対応する第1流出口77が設けられている。そして、第1パネル68Bには、第1流出口77と対向する位置に、第1流出口77と同一直径の第2接続口78が設けられている。さらに、第1パネル68A,68Bには、第1流入口75および第1接続口76の周囲の対向位置と、第1流出口77と第2接続口78の周囲の対向位置に、ダクトカバー42およびロータカバー59のネジ孔44,65にネジ止めするための第1ネジ挿通孔79が設けられている。
【0038】
そして、本実施形態では、前後方向に対向する第1流入口75と第1接続口76との間には、第1補強接続部材80Aが配設され、第1流出口77と第2接続口78との間には、第1補強接続部材80Bが配設されている。即ち、熱交換器67Aは、第1パネル68A,68Bの間に第1補強接続部材80A,80Bを挟み込んだ状態で、これら第1パネル68A,68Bを溶着(内装)する構成としている。
【0039】
前記第1補強接続部材80A,80Bは、難燃性樹脂材料からなる円筒状のもので、その外周面には、熱交換器67Aの第1流路70に連通するための第1連通孔81が周方向に所定間隔をもって設けられている。また、これら第1補強接続部材80A,80Bには、前記第1連通孔81を除く位置に、第1ネジ挿通孔79に対応する挿通孔82aを有する第1アーム部82が放射状をなすように外向きに突設されている。これら第1補強接続部材80A,80Bのうち、流入側の第1補強接続部材80Aは、第1流入口75の直径と、第1接続口76の直径との大小設定により、第1接続口76への配置側にリング状の閉鎖部83が設けられている。そして、この閉鎖部83の内周縁には、後述する第2補強接続部材94Aに内嵌して気密に接続するための接続リブ84が設けられている。なお、前記閉鎖部83は、第1補強接続部材80A内に軸方向に沿って流入された全ての再生空気が、下流側である熱交換器67Bに流入することを防止して、熱交換器67A内に流入させる流動抵抗となる。
【0040】
また、前記熱交換器67Aに重畳するように後カバー17の側に配設される外側の熱交換器67Bの第2パネル85A,85Bには、図9に示すように、第1パネル68A,68Bと同様に、互いに対称に位置する複数の第2仕切用凹条86A,86Bが形成され、これら第2仕切用凹条86A,86Bを除く部位により再生空気を通過させる複数の第2流路87が形成されている。この第2流路87は、通水孔47に対応する位置が最低位置になるように傾斜され、その位置に第2ドレン部88が設けられている。また、貼り合わされた第2仕切用凹条86A,86Bの部位には、室内から吸引した空気を流通させるための第2通孔89が設けられている。さらに、前記第2流路87を避けるように、位置決め筒部39に対応する位置には第2位置決め孔90が設けられている。なお、この外側の熱交換器67Bの第2流路87および第2通孔89は、内側の熱交換器67Aの第1流路70および第1通孔72に対して左右に位相され、後カバー17から流入された空気が第2通孔89および第1通孔72の順番で千鳥足状に流れるように構成することにより、流動(熱交換)時間を確保している。
【0041】
一方、前記第2パネル85A,85Bのうち、内側の熱交換器67Aの側に位置される第2パネル85Aには、熱交換器67Aの第1接続口76に対応する第2流入口91が、第1接続口76と同一径で設けられている。また、この第2流入口91との対角位置には、熱交換器67Aの第2接続口78に対応する第2流出口92が設けられている。そして、第2パネル85Bにおいて、これらと対向する位置には、何ら接続または流出入用の開口は設けられてない。但し、両方の第2パネル85A,85Bには、ダクトカバー42およびロータカバー59のネジ孔44,65にネジ止めするための第2ネジ挿通孔93が設けられている。
【0042】
そして、本実施形態では、第2パネル85Aの第2流入口91と第2パネル85Bの閉鎖面の間には、第2補強接続部材94Aが配設され、第2パネル85Aの第2流出口92と第2パネル85Bの閉鎖面との間には、第2補強接続部材94Bが配設されている。即ち、熱交換器67Bは、熱交換器67Aと同様に、第2パネル85A,85Bの間に第2補強接続部材94A,94Bを挟み込んだ状態で、これら第2パネル85A,85Bを溶着(内装)する構成としている。
【0043】
前記第2補強接続部材94A,94Bは、第1補強接続部材80A,80Bと同様に難燃性樹脂材料からなる円筒状のもので、その外周面には、熱交換器67Bの第2流路87に連通するための第2連通孔95が周方向に所定間隔をもって設けられている。また、これら第2補強接続部材94A,94Bには、前記第2連通孔95を除く位置に、第2ネジ挿通孔93に対応する挿通孔96aを有する第2アーム部96が放射状をなすように外向きに突設されている。これら第2補強接続部材94A,94Bのうち、流入側の第2補強接続部材94Aには、高温の再生空気が連続的に第2パネル85Bの閉鎖面に当たることによる劣化を防止するために、この第2パネル85Bへの配置側に閉鎖壁97を設けている。
【0044】
前記加熱ヒータ98は、図10に示すように、マイカ板からなる支持枠に連続した1巻きのコイルを巻回したもので、ヒータカバー99を介して除湿ロータ52に対して前カバー13の側に配設される。そして、この加熱ヒータ98は、図示しない電源回路からの供給電力により発熱し、供給される再生空気と近接配置された除湿ロータ52とを加熱する構成としている。
【0045】
前記ヒータカバー99は、図10および図11に示すように、除湿ロータ52の側を開口した扇形状のものである。このヒータカバー99には、除湿ロータ52を中心としてロータカバー59と線対称な略扇形形状をなし、その外周縁が位置決め片61の内法に一致するフランジ部100が形成されている。また、このヒータカバー99には、後述するファンケース103の側に位置する下側外周面に接続部101が設けられている。このヒータカバー99において、前記加熱ヒータ98は、上流側である接続部101の側の略半分の領域に収容される。
【0046】
前記再生空気循環ファン102は、駆動手段である図示しないモータにより回転されるシロッコファンからなり、ベース31の再生空気循環ファン配設部37に、前カバー13の側からファンケース103を介して配設される。なお、シロッコファンは、円板状をなすベースと、該ベースと直交する方向に突出する複数の羽根部と、各羽根部の先端外周部を連結する環状の連結部とを備えた周知のものである。前記ファンケース103は、ベース31の通気孔41を覆うようにネジ止めにより固定されるもので、ヒータカバー99の側に位置する上部には、接続部101に接続する四角筒状の接続部104が設けられている。
【0047】
前記室内空気循環ファン105は、図3に示すように、駆動手段である図示しない駆動モータにより回転されるシロッコファンからなり、除湿ロータ52の下部前側に位置するように、保持枠106を介してベース31に対して固定される。この室内空気循環ファン105を構成するシロッコファンは、再生空気循環ファン102と同様に、ベースと複数の羽根部と連結部とを備えた周知のもので、再生空気循環ファン102と比較して大型のものを適用した点でのみ相違する。
【0048】
前記タンク107は、サブタンク50から排水される除湿された結露水を貯留する上面開口の箱体形状のものである。このタンク107の内部には、回動可能なフロート部材が配設され、タンク107内の水位が上昇すると、フロート部材が浮き上がることにより、満水状態を検出できるように構成している。
【0049】
前記構成の除湿機の再生通路12は、再生空気循環ファン102を起点とすると、ファンケース103、ヒータカバー99、ロータカバー59、熱交換器67A,67B、ベース31のダクト部40により、区画した状態で構成される。そして、この再生通路12を除く空間のうち、後カバー17からベース31の除湿ロータ配設部34、および、前カバー13の隔壁15内を経て排気口14に至る連通した空間が、除湿通路11を構成する。
【0050】
そして、この除湿機は、電源スイッチがオン状態になり、ケーシング10にタンク107がセットされ、かつ、満水状態でない場合に、除湿ロータ52、加熱ヒータ98、再生空気循環ファン102および室内空気循環ファン105に対して電力を通電して除湿動作を開始する。また、タンク107内が満水状態になると、前記各構成部品への通電を停止して除湿動作を停止する。
【0051】
なお、本実施形態の除湿機は、布団や靴などの乾燥機能が搭載されている。この乾燥機能は、図12および図13に示すように、図示しない電源コードを束ねるコードホルダー108を利用し、別の付属部品であるカバー部材112とパイプ部材114とを装着した状態で実行するものである。
【0052】
前記コードホルダー108は、前カバー13の側面に設けた係止孔109に挿入係止する係止片110を上端に設けた略J字形状のものである。そして、このコードホルダー108の上端には、パイプ部材114を位置決め保持するために、上端開口の装着部111が設けられている。
【0053】
前記カバー部材112は、天カバー25において後面側に位置する操作パネル30およびハンドル27を露出させ、前面側に位置するルーバー26から前カバー13の排気口14にかけて覆うものである。このカバー部材112には、装着状態でハンドル27によってユーザが把持する作業性を考慮して、後面側に流曲線状の窪み113が設けられている。また、このカバー部材112において、左側端内部には、パイプ部材114を挿入係止する受部(図示せず)が設けられている。
【0054】
前記パイプ部材114は、前記受部から装着部111にかけて延びる水平断面が略楕円形状のパイプであり、その下端部には、横方向に円筒状をなすように突出するホース接続部115が設けられている。そして、このホース接続部115の下端には、装着部111に挿入する装着片116が下向きに突設されている。ここで、ホース接続部115は、除湿機の重心より下側に位置するように構成されている。そのため、このホース接続部115に図示しない別体の軟質ホースを装着した状態で、該ホースを動かしても除湿機自体が容易に転倒しないように構成している。
【0055】
次に、前記除湿機による除湿動作について具体的に説明する。
【0056】
まず、除湿通路11では、室内空気循環ファン105の駆動により、後カバー17の吸気口19から室内の空気が吸引される。そして、その吸引された空気は、熱交換器67A,67Bの通孔72,89を通過する際に、内部の流路70,87を通過する再生空気との熱交換によって加熱され、この状態で、除湿ロータ52を通過する際に、含有した水分が吸着される。これにより、乾燥した空気として前カバー13の排気口14から室内に循環供給される。
【0057】
一方、再生通路12では、再生空気循環ファン102の駆動により、内部の再生空気がファンケース103から加熱ヒータ98を収容したヒータカバー99内に流入する。これにより再生空気は、加熱ヒータ98で加熱された後、除湿ロータ52を通過する際に、該除湿ロータ52が吸着した水分を吸着する。ついで、再生空気は、ロータカバー59で略全てが回収されて熱交換器67Aに流入される。そして、この熱交換器67Aでは、第1補強接続部材80Aの閉鎖部83により、内側の熱交換器67Aと外側の熱交換器67Bとに分配され、各流路70,87を流出口77,92に向けて流動される。この際、区画された除湿通路11を流通する室内から吸引した空気との温度差による熱交換で冷却され、該再生空気が含有した水分が結露する。この結露した水は、熱交換器67A,67Bのドレン部71,88からサブタンク50に排水され、このサブタンク50からタンク107に回収される。また、熱交換器67A,67Bから流出した再生空気は、略乾燥状態となってダクト部40内に流入し、再生空気循環ファン102により加熱ヒータ98の側に再び供給される。
【0058】
そして、本実施形態の除湿機は、一対の樹脂シートからなる熱交換器67A,67Bにおいて、その流入口75,91と流出口77,92に補強接続部材80A,80B,94A,94Bを内装しているため、別部品からなる熱交換器67A,67Bと、ロータカバー59およびダクト部40との接続状態を安定させることができる。その結果、再生通路12の気密性能を向上し、十分な気密性能を確保可能なため、再生空気の降温を抑制し、除湿効率の向上を図ることができる。
【0059】
また、除湿ロータ52を回転可能に装着する回転軸66を、加熱ヒータ98に向けて先細の円錐形状に形成しているため、傾斜状態に拘わらず、除湿ロータ52を加熱ヒータ98の側に近づけた状態に維持できる。その結果、除湿ロータ52の加熱性能の安定を図ることができるため、除湿効率を向上できる。
【0060】
このように、本発明の除湿機は、再生通路12が十分な気密性能になるように設計するとともに、再生空気の加熱効率も向上できるように設計している。しかし、除湿ロータ52によって分断された部分において、再生通路12への再流入端では、やはり再生空気が漏出する可能性がある。この可能性を考慮して、本実施形態では、この再流入端であるロータカバー59の膨出部62の開口面積を十分に設計しているが、万が一にも漏出する可能性は存在する。
【0061】
しかし、本実施形態では、ロータカバー59の下部領域は勿論、熱交換器67A,67Bの下部全体を受けるように水受部45を設けているため、万が一再生空気が漏出することにより、除湿通路11内で結露水が発生しても、その結露水を確実に受け、通水孔47を通してサブタンク50を介してタンク107に排水することができる。その結果、除湿機から意図しない水の漏出を確実に防止できる。しかも、本実施形態では、水受部45を熱交換器67A,67Bの下部全体にかけて延びるように設けているため、経年変化により熱交換器67A,67Bから結露水が漏出しても、水受部45で受けることができるため、除湿機から水が漏出することを確実に防止できる。
【0062】
また、水受部45で熱交換器67A,67Bの下部を位置決めする構成としているため、組立時の作業性を向上できるとともに、配設位置の安定を図ることができる。さらに、ベース31の下部に設けたダクト部40を閉塞するダクトカバー42に水受部45を一体成形しているため、部品点数の削減を図ることができる。しかも、除湿通路11内、特に、除湿ロータ配設部34には、吸引した空気の流通抵抗になる部材が位置することを防止できるため、漏水対策を施すことにより除湿効率が低下することを防止できる。
【0063】
なお、本発明の除湿機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、前記実施形態では、水受部45によって熱交換器67A,67Bの下部を位置決めする構成としたが、熱交換器67A,67Bは位置決めすることなく、結露水のみを受ける専用部分としてもよい。この場合、水受部45は、ロータカバー59の下部に位置する領域のみに設ければよい。また、前記実施形態では、ダクト部40を閉塞するダクトカバー42に水受部45を一体成形したが、別体からなる専用の水受部45を配設する構成としてもよい。さらに、前記実施形態では、一対の熱交換器67A,67Bを積層状態で組み付ける構成としたが、単一の熱交換器を組み付けてもよいうえ、3以上の熱交換器を積層して組み付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係る除湿機を示す概略図である。
【図2】除湿機の斜視図である。
【図3】除湿機の中央縦断面図である。
【図4】ベースに対する各構成部品の分解斜視図である。
【図5】(A),(B)はベースに形成したダクト部の構成を示す斜視図である。
【図6】熱交換器の組付状態を示す斜視図である。
【図7】図6を前面側から見た斜視図である。
【図8】内側の熱交換器の分解斜視図である。
【図9】外側の熱交換器の分解斜視図である。
【図10】組付作業の一工程を示す斜視図である。
【図11】図2の要部断面斜視図である。
【図12】除湿機と付属部品とを示す分解斜視図である。
【図13】除湿機に付属部品を装着した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
10…ケーシング 11…除湿通路
12…再生通路 13…前カバー
17…後カバー 25…天カバー
31…ベース 40…ダクト部
42…ダクトカバー 45…水受部
52…除湿ロータ 59…ロータカバー
66…回転軸 67A,67B…熱交換器
98…加熱ヒータ 99…ヒータカバー
102…再生空気循環ファン 103…ファンケース
105…室内空気循環ファン 107…タンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を除湿通路と再生通路とに区画したケーシングと、
前記両通路に跨って、略水平方向に延びる回転軸心を中心として駆動手段により回転可能に配設した除湿ロータと、
前記除湿ロータによって分断された再生通路の一端に配設したロータカバーと、
前記ロータカバーに接続し、前記再生通路の一部を構成して、内部を流通する再生空気を外部を流通する空気により冷却して再生空気が含有した水分を取り除く熱交換器と、
前記再生通路内に配設し、再生空気と前記除湿ロータとを加熱する加熱ヒータと、
前記再生通路内に配設し、再生空気を前記加熱ヒータから熱交換器を経て循環させる再生空気循環ファンと、
前記除湿通路内に配設し、室内の空気を吸引して前記除湿ロータによって除湿した乾燥空気を室内に循環供給する室内空気循環ファンと、
を備えた除湿機において、
少なくとも前記ロータカバーの下部に位置するように、該ロータカバーの周辺で結露した結露水を受ける水受部を設けたことを特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記水受部で前記熱交換器の下部を位置決めするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記水受部を前記熱交換器の下部全体にかけて覆うように設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除湿機。
【請求項4】
前記ケーシングは、略垂直方向に延びるベースと、該ベースの水平方向の一面を閉塞する第1カバーと、前記ベースの水平方向の他面を閉塞する第2カバーとを備え、
前記ベースの下部に、前記熱交換器の流出口に接続して再生通路の一部を構成するダクト部を、略水平方向に延びるように凹設し、該ダクト部の開口端を閉塞するダクトカバーに前記水受部を一体成形したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の除湿機。
【請求項1】
内部を除湿通路と再生通路とに区画したケーシングと、
前記両通路に跨って、略水平方向に延びる回転軸心を中心として駆動手段により回転可能に配設した除湿ロータと、
前記除湿ロータによって分断された再生通路の一端に配設したロータカバーと、
前記ロータカバーに接続し、前記再生通路の一部を構成して、内部を流通する再生空気を外部を流通する空気により冷却して再生空気が含有した水分を取り除く熱交換器と、
前記再生通路内に配設し、再生空気と前記除湿ロータとを加熱する加熱ヒータと、
前記再生通路内に配設し、再生空気を前記加熱ヒータから熱交換器を経て循環させる再生空気循環ファンと、
前記除湿通路内に配設し、室内の空気を吸引して前記除湿ロータによって除湿した乾燥空気を室内に循環供給する室内空気循環ファンと、
を備えた除湿機において、
少なくとも前記ロータカバーの下部に位置するように、該ロータカバーの周辺で結露した結露水を受ける水受部を設けたことを特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記水受部で前記熱交換器の下部を位置決めするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記水受部を前記熱交換器の下部全体にかけて覆うように設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除湿機。
【請求項4】
前記ケーシングは、略垂直方向に延びるベースと、該ベースの水平方向の一面を閉塞する第1カバーと、前記ベースの水平方向の他面を閉塞する第2カバーとを備え、
前記ベースの下部に、前記熱交換器の流出口に接続して再生通路の一部を構成するダクト部を、略水平方向に延びるように凹設し、該ダクト部の開口端を閉塞するダクトカバーに前記水受部を一体成形したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の除湿機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−126205(P2008−126205A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317250(P2006−317250)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
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