説明

除湿装置

【課題】本発明は除湿装置に関するもので、循環風路内で発生した水滴を速やかにドレンタンクへ導くことができるものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口2と排気口3を有する本体ケース1内に吸湿部5と放湿部6を有する除湿ローター4と、本体ケース1の下方に受皿12とを備え、第1の送風路には、第1の送風手段14を有し、吸湿経路7には、発熱手段と再生チャンバー9と熱交換器10と、この吸湿経路7内の空気を循環させる第2の送風手段11を有し、再生チャンバー9には、放湿部6と連通する第1の開口部20と、熱交換器10と連通する第2の開口部21と、受皿12に連通する第3の開口部22と、放湿部6に対向するように仕切板部23を設け、第3の開口部22を再生チャンバー9の下部で仕切板部23より風下側に位置する構成とした除湿装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿剤を担持した除湿ローターで水分を吸湿し、吸湿した水分を凝縮水として回収する構成を有した、衣類などの乾燥および室内空気を除湿する除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
除湿ローターで吸湿した水分を凝縮水として回収する除湿機としては、除湿ローターが吸湿した水分を加熱器で加熱して高温の再生空気に放出させ、この放出した水分を含む高湿の再生空気を凝縮器において冷却して凝縮水を回収し、水分を除去された再生空気を加熱器に戻して循環させる構成のものがあり、この再生空気循環型の構成では、高湿の再生空気が装置外部に排出されず、また、再生空気から水分を回収する際に得られる凝縮熱も利用できるため、衣類等の乾燥を素早くできるという特徴とした除湿装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−222838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の除湿装置における課題は、凝縮器で生成される凝縮水や再生空気が循環する風路内で結露した結露水が水滴となり、循環風路内に溜まり、さらに除湿ローターとの境界部や接続部の隙間などから漏れ出し、除湿ローターの吸湿効率や凝縮器の冷却効率低下を招いていた。
【0005】
すなわち、再生チャンバー内で結露した結露水の一部が除湿ローターとの境界部より漏れ出して、除湿ローターに再吸着されることが吸湿効率低下の要因になっていた。
【0006】
また、循環風路内に溜まった水滴により循環風路内の圧損が高くなり、循環風路内に十分な風量が供給されないことが凝縮器の冷却効率低下の要因になっていた。
【0007】
そこで本発明は、循環風路内で発生した水滴を速やかにドレンタンクへ導くことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内には、吸湿部と放湿部を有する除湿ローターと、この除湿ローターを回転させる駆動手段と、第1の送風路と、吸湿経路と、前記本体ケースの下方に受皿とを備え、前記第1の送風路には、前記吸気口と、前記除湿ローターの前記吸湿部と、第1の送風手段と、前記排気口とを有し、前記吸湿経路には、前記除湿ローターの放湿部と、この放湿部の風上側に設けた発熱手段と、この放湿部の風下側に設けた再生チャンバーと、この再生チャンバーの風下側に設けた熱交換器と、この吸湿経路内の空気を循環させる第2の送風手段とを有し、前記再生チャンバーは、略箱形状で、前記除湿ローターの前記放湿部と連通する第1の開口部と、前記熱交換器と連通する第2の開口部と、前記受皿に連通する第3の開口部と、前記第1の開口部および前記除湿ローターの前記放湿部に対向するように仕切板部を設け、前記第3の開口部は、前記再生チャンバーの下部で前記仕切板部より風下側に位置するものであり、これにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内には、吸湿部と放湿部を有する除湿ローターと、この除湿ローターを回転させる駆動手段と、第1の送風路と、吸湿経路と、前記本体ケースの下方に受皿とを備え、前記第1の送風路には、前記吸気口と、前記除湿ローターの前記吸湿部と、第1の送風手段と、前記排気口とを有し、前記吸湿経路には、前記除湿ローターの放湿部と、この放湿部の風上側に設けた発熱手段と、この放湿部の風下側に設けた再生チャンバーと、この再生チャンバーの風下側に設けた熱交換器と、この吸湿経路内の空気を循環させる第2の送風手段とを有し、前記再生チャンバーは、略箱形状で、前記除湿ローターの前記放湿部と連通する第1の開口部と、前記熱交換器と連通する第2の開口部と、前記受皿に連通する第3の開口部と、前記第1の開口部および前記除湿ローターの前記放湿部に対向するように仕切板部を設け、前記第3の開口部は、前記再生チャンバーの下部で前記仕切板部より風下側に位置することを特徴としたものである。
【0010】
すなわち、受皿に連通する前記第3の開口部を前記再生チャンバーの下部で前記仕切板部より風下側に位置することで、再生チャンバー内で結露した結露水が除湿ローターとの境界部より漏れ出すことなく、速やかにドレンタンクへ導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図
【図2】同分解斜視図
【図3】同背面透視図
【図4】同正面透視図
【図5】同水抜き管を説明する要部斜視図
【図6】同第1の開口部および第2の開口部を説明する要部斜視図
【図7】同第3の開口部を説明する要部斜視図
【図8】同露出部および水受部および連通孔を説明する要部拡大斜視図
【図9】同再生チャンバー部の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下本発明の1実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0013】
図1から4に示すように、本実施形態の除湿装置は、吸気口2と排気口3を有する本体ケース1と、この本体ケース1内に、吸湿部5と放湿部6を有する除湿ローター4と、吸湿経路7とを備えている。
【0014】
吸湿経路7は、除湿ローター4の放湿部6と、この放湿部6の風上側に設けた発熱手段であるヒーター8と、この放湿部6の風下側に設けた再生チャンバー9と、この再生チャンバー9の風下側に設けた熱交換器10と、この熱交換器10の風下側に設け吸湿経路7内の空気を循環させる第2の送風手段11とを有し、吸気口2と第1の送風手段14との間の風路に除湿ローター4の吸湿部5と熱交換器10を併設した構成としたものである。
【0015】
更に詳細に説明すると、図2において、本体ケース1の背面側に吸気口2が開口され、この吸気口2には着脱自在なフィルター15が設けられており、この本体ケース1の上方には排気口3を有し、この本体ケース1の前面の下方には、熱交換器10と第2の送風手段11を繋ぎ凝縮水を集める受皿12、底部には凝縮水を排水するためのドレンタンク16が着脱自在に収納されている。
【0016】
また、この本体ケース1内には、吸湿部5と放湿部6を有する除湿ローター4が回転自在に配置されており、その回転駆動は駆動手段であるモーター13によって行われるようになっている。
【0017】
さらに、この本体ケース1内の前方には、図2の矢印Aに示す第1の送風路のごとく、本体ケース1の吸気口2から吸込んだ室内空気を、除湿ローター4の吸湿部5を通過後、排気口3から本体ケース1外に排気する第1の送風手段14を設けている。
【0018】
この第1の送風手段14は、上方に吹出すファンケーシング17と、このファンケーシング17内に設けた羽根18と、この羽根18を駆動する電動機(図示せず)とを有し、除湿ローター4の吸湿部5を通過後の室内空気は、ファンケーシング17に流入し、羽根18で加圧され、排気口3を介して本体ケース1外に排気される。
【0019】
また、本体ケース1内には、図3および図4に示すように吸湿経路7が設けられており、この吸湿経路7は、除湿ローター4の放湿部6と、この放湿部6の風上側に設けた発熱手段であるヒーター8と、この放湿部6の風下側に設けた再生チャンバー9と、この再生チャンバー9の風下側に設けた熱交換器10と、この吸湿経路7内の空気を循環させる第2の送風手段11とを有している。
【0020】
なお、この吸湿経路7は本体ケース1内の通気路としては独立している。
【0021】
さらに、この本体ケース1内には図2の矢印Bに示すごとく、第1の送風手段14によって吸気口2から本体ケース1内に吸込んだ室内空気を、吸湿経路7の熱交換器10を通過後、第1の送風手段14を経由し、排気口3から本体ケース1外に排気する送風路が形成されている。
【0022】
ただし、矢印Bの室内空気は、熱交換器10内を通過する吸湿経路7の空気とは、この熱交換器10を構成する熱伝導面を介して熱交換されるだけで、この熱交換器10部分で混合されることはない。
【0023】
ここで、吸湿経路7の動作について説明すると、ヒーター8で加熱された、吸湿経路7の空気は、放湿部6(除湿ローター4の吸湿部5が回転してこの放湿部6になる)において、湿気を放出させ、この高温高湿状態の空気が、風下側に設けた再生チャンバー9を介して、更に風下側の熱交換器10に送られる。
【0024】
この熱交換器10には上述のごとく、矢印Bに示すごとく、第1の送風手段14によって室内空気が送風されているので、高温高湿状態の空気は冷却され、これにより結露し、これがドレンタンク16内に溜められる。
【0025】
除湿ローター4の吸湿部5は、矢印Aで示すごとく室内空気が通過するごとに、湿気を吸着し、これが除湿ローター4の回転により、次に上述した放湿部6となって、吸湿経路7内に湿気を放出させ、このような循環により室内空気の除湿が行われる。
【0026】
本実施形態における特徴は、図5から図9に示すように、再生チャンバー9が略箱形状で、除湿ローター4の放湿部6と連通する第1の開口部20と、熱交換器10と連通する第2の開口部21と、受皿12に連通する第3の開口部22を設け、第1の開口部20および除湿ローター4の放湿部6に対向するように再生チャンバー9内に仕切板部23を設け、第3の開口部22は、再生チャンバー9の下部で仕切板部23より風下側に位置する点である。
【0027】
具体的には、再生チャンバー9は、略箱形状で、除湿ローター4側の側面には、除湿ローター4の放湿部6と連通する略扇形状の開口である第1の開口部20を設け、熱交換器10側の側面上部には、熱交換器10と連通する略四角形状の第2の開口部21を備え、下部には、受皿12に連通する第3の開口部22を設けている。再生チャンバー9内には、第1の開口部20および除湿ローター4の放湿部6に対向するように垂直平面である略扇形形状の仕切板部23を設けている。再生チャンバー9下部の最下点に位置する第3の開口部22は、仕切板部23より風下側に位置するものである。
【0028】
すなわち、受皿12に連通する第3の開口部22を再生チャンバー9の下部で仕切板部23より風下側に位置することで、再生チャンバー9内での空気の流れによって、再生チャンバー9内で結露した結露水が除湿ローター4との境界部より漏れ出すことなく、第3の開口部22へ流れ込み、速やかにドレンタンクへ導くことができる。
【0029】
また、第3の開口部22は、除湿ローター4の回転軸方向に長い長孔である。つまり、第3の開口部22は、除湿ローター4の回転軸と平行に位置するものである。
【0030】
すなわち、図5から図9に示すように、再生チャンバー9内で結露した結露水は、再生チャンバー9内の最下点に集まり、仕切板部23より風下側で除湿ローター4の回転軸方向に長い長孔である第3の開口部22より水抜き管19を通じて受皿12に流れ、速やかにドレンタンク16へ導くことができる。また、第3の開口部22は、除湿ローター4の回転軸方向、つまり、再生チャンバー9内での空気の流れ方向に長い長孔なので、この長孔に水膜が出来ても、再生チャンバー9内での空気の流れによって、水膜は割れやすいものである。これにより、再生チャンバー9の風向を妨げることなくスムーズに結露水を流すことができるので、循環風路内に溜まった水滴による循環風路内の圧損上昇を抑えることができ、凝縮器の冷却効率の向上となる。
【0031】
除湿ローター4の回転軸方向における仕切板部23と再生チャンバー9との距離は、除湿ローター4の回転軸方向における仕切板部23と除湿ローター4の放湿部6との距離より長い構成としたものである。
【0032】
すなわち、除湿ローター4の回転軸方向における仕切板部23と再生チャンバー9との距離を、除湿ローター4の回転軸方向における仕切板部23と除湿ローター4の放湿部6との距離より長い構成とすることで、再生チャンバー9内の仕切板部23の風下側の領域を拡大させることで、結露に利用できる再生チャンバー9の表面積が増加するので結露効率が向上し、再生チャンバー9内でより多くの結露水を発生させ、この結露水をドレンタンク16へ導くことができる。
【0033】
また、仕切板部23の一部は、第1の送風路に露出する露出部24を備えた構成としたものである。具体的には、第1の送風路である吸気口2と除湿ローター4との間で、吸気口2に対向して、仕切板部23の一部である露出部24が、位置するものである。
【0034】
すなわち、第1の送風手段14によって吸気口2から本体ケース1内に吸込んだ室内空気が、露出部24に当たり、露出部24を介して、仕切板部23を冷却するので、再生チャンバー9内でより多くの結露水を発生させ、この結露水をドレンタンク16へ導くことができる。
【0035】
仕切板部23の露出部24の下端部の下部に水受部25を設け、この水受部25には受皿に連通する連通孔26を備えたものである。
【0036】
すなわち、第1の送風路に露出する仕切板部23の一部である露出部24と露出部24の下端部の下部に水受部25を設けたことで、露出部24にて結露した水が、水受部25に一端集められ、受皿12に連通する連通孔26より水抜き管19を通じて受皿12に流れ、速やかにドレンタンク16へ導くことができる。
【0037】
つまり、露出部24にて結露した水が、除湿ローター4に再吸着されることを防ぐことができ、吸湿効率の向上となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように本発明にかかる除湿装置は、余分な結露水を確実にドレンタンクに導いて処理することができるので、循環風路の抵抗を低減して乾燥効率を向上できるため、除湿機、乾燥機、空調機、溶剤回収装置等の高品質で高効率な除湿機能が所望される用途に適している。
【符号の説明】
【0039】
1 本体ケース
2 吸気口
3 排気口
4 除湿ローター
5 吸湿部
6 放湿部
7 吸湿経路
8 ヒーター
9 再生チャンバー
10 熱交換器
11 第2の送風手段
12 受皿
13 モーター
14 第1の送風手段
15 フィルター
16 ドレンタンク
17 ファンケーシング
18 羽根
19 水抜き管
20 第1の開口部
21 第2の開口部
22 第3の開口部
23 仕切板部
24 露出部
25 水受部
26 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内には、吸湿部と放湿部を有する除湿ローターと、この除湿ローターを回転させる駆動手段と、第1の送風路と、吸湿経路と、前記本体ケースの下方に受皿とを備え、前記第1の送風路には、前記吸気口と、前記除湿ローターの前記吸湿部と、第1の送風手段と、前記排気口とを有し、前記吸湿経路には、前記除湿ローターの放湿部と、この放湿部の風上側に設けた発熱手段と、この放湿部の風下側に設けた再生チャンバーと、この再生チャンバーの風下側に設けた熱交換器と、この吸湿経路内の空気を循環させる第2の送風手段とを有し、前記再生チャンバーは、略箱形状で、前記除湿ローターの前記放湿部と連通する第1の開口部と、前記熱交換器と連通する第2の開口部と、前記受皿に連通する第3の開口部と、前記第1の開口部および前記除湿ローターの前記放湿部に対向するように仕切板部を設け、前記第3の開口部は、前記再生チャンバーの下部で前記仕切板部より風下側に位置することを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
前記第3の開口部は、前記除湿ローターの回転軸方向に長い長孔である請求項1記載の除湿装置。
【請求項3】
前記除湿ローターの回転軸方向における前記仕切板部と前記再生チャンバーとの距離は、前記除湿ローターの回転軸方向における前記仕切板部と前記除湿ローターの前記放湿部との距離より長い構成とした請求項1または2記載の除湿装置。
【請求項4】
前記仕切板部の一部は、前記第1の送風路に露出する露出部を備えた構成とした請求項1〜3のいずれかに記載の除湿装置。
【請求項5】
前記仕切板部の前記露出部の下端部の下部に水受部を設け、この水受部には前記受皿に連通する連通孔を備えた請求項4に記載の除湿装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−192330(P2012−192330A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57512(P2011−57512)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】