説明

除草剤抵抗性ヒマワリ植物および使用方法

MUT31と呼ぶ新規除草剤抵抗性ヒマワリ植物およびその除草剤抵抗性子孫を提供する。MUT31ヒマワリ植物およびその除草剤抵抗性子孫は、野生型ヒマワリ植物と比較したとき、少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤に対する増大された抵抗性を含む。これらの除草剤抵抗性ヒマワリ植物の付近の雑草を防除する方法およびヒマワリ植物の除草剤抵抗性を増大させるための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業生物工学の分野、特に、除草剤抵抗性ヒマワリ植物ならびに野生型および除草剤抵抗性ヒマワリアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニットタンパク質をコードする新規ポリヌクレオチド配列に関する。
【背景技術】
【0002】
アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS;ES 4.1.3.18、アセト乳酸シンターゼまたはALSとしても公知)は、分岐鎖アミノ酸バリン、ロイシンおよびイソロイシンの生化学合成を触媒する第一の酵素である(Singh(1999)「Biosynthesis of valine,leucine and isoleucine」,in Plant Amino Acid,Singh,B.K.,ed.,Marcel Dekker Inc.New York,New York,pp.227−247)。AHASは、スルホニルウレア類(LaRossa and Falco(1984)Trends Biotechnol.2:158−161)、イミダゾリノン類(Shanerら(1984)Plant Physiol.76:545−546)、トリアゾロピリミジン類(Subramanian and Gerwick(1989)「Inhibition of acetolactate synthase by triazolopyrimidines」,in Biocatalysis in Agricultural Biotechnology,Whitaker,J.R.and Sonnet,P.E..eds.,ACS Symposium Series,American Chemical Society,Washington,D.C,pp.277−288)、およびピリミジルオキシ安息香酸塩類(Subramanianら(1990)Plant Physiol.94:239−244)を含む、5つの構造的に異なる除草剤ファミリーの作用部位である。イミダゾリノンおよびスルホニルウレア除草剤は、非常に低い適用率で有効であり、且つ、動物において比較的非毒性であるため、現代農業において広く用いられている。AHAS活性を阻害することにより、これらの除草剤ファミリーは、多くの雑草種を含む感受性植物のさらなる成長および発育を防止する。市販のイミダゾリノン除草剤の幾つかの例は、PURSUIT(登録商標)(イマゼタピル)、SCEPTER(登録商標)(イマザキン)およびARESENAL(登録商標)(イマザピル)である。スルホニルウレア除草剤の例は、クロルスルフロン、メツルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメトスルフロンメチル、リムスルフロン、トリフスルフロンメチル、トリアスルフロン、ピリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン、フルザスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチルおよびハロスルフロンである。
【0003】
それらの高い有効性および低い毒性のため、イミダゾリノン除草剤は、広い面積の草木の上に噴霧することによる適用に好適である。広い範囲の草木の上に除草剤を噴霧できることにより、植物の定着および維持に付随するコストは低減し、そのような化学物質の使用前に現場を準備する必要が減少する。望ましい耐性種の上への噴霧も、競合種がないため、結果として望ましい種の最大収量ポテンシャルを達成することができる。しかし、このようなスプレーオーバー技術を使用する能力は、スプレーオーバー面積内の望ましい草木のイミダゾリノン抵抗性種の存在に依存する。
【0004】
主農作物の中で、ダイズなどの一部のマメ科の種は、イミダゾリノン除草剤化合物を迅速に代謝できるため、イミダゾリノン除草剤に対して天然抵抗性である(Shaner and Robinson(1985)Weed Sci.33:469−471)。他の作物、例えば、トウモロコシ(Newhouseら(1992)Plant Physiol.100:882−886)およびコメ(Barrettら(1989)Crop Safeners for Herbicides,Academic Press,New York,pp.195−220)は、イミダゾリノン除草剤にやや感受性である。イミダゾリノン除草剤に対する感受性の差は、特定の除草剤の化学的性質、およびそれぞれの植物における化合物の毒性形態から非毒性形態への代謝の差に依存する(Shanerら(1984)Plant Physiol.76:545−546;Brownら,(1987)Pestic.Biochem.Physiol.27:24−29)。他の植物の生理学的違い、例えば、吸収および転流も、感受性に関して重要な役割を果たす(Shaner and Robinson(1985)Weed Sci.33:469−471)。
【0005】
イミダゾリノン類、スルホニルウレア類、トリアゾロピリミジン類およびピリミジルオキシ安息香酸塩類に抵抗性の植物は、トウモロコシ(Zea mays)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(すなわち、カノーラ)、ダイズ(Glycine max)、タバコ(Nicotiana tabacum)、テンサイ(サトウダイコン(Beta vulgaris))およびイネ(Oryza sativa)において種子、小胞子、花粉およびカルス突然変異誘発を用いて生産に成功している(Sebastianら(1989)Crop Sci.29:1403−1408;Swansonら,1989 Theor.Appl.Genet.78:525−530;Newhouseら(1991)Theor.Appl Genet.83:65−70;Sathasivanら(1991)Plant Physiol.97:1044−1050;Mourandら(1993)J.Heredity 84:91−96;Wright and Penner(1998)Theor.Appl.Genet.96:612−620;米国特許第5,545,822号明細書)。全ての場合、単一の部分優性核遺伝子が抵抗性を付与した。4つのイミダゾリノン抵抗性コムギ植物も、コムギ(Triticum aestivum L.cv.Fidel)の種子突然変異誘発に従って以前に単離された(Newhouseら(1992)Plant Physiol.100:882−886)。遺伝形質研究により、単一の部分優性遺伝子が抵抗性を付与することが確認された。対立遺伝子の研究に基づき、著者は、4つの同一系統において突然変異が同じ座に位置すると結論付けた。Fidel栽培変種抵抗性遺伝子の1つはFS−4と呼ばれた(Newhouseら(1992)Plant Physiol.100:882−886)。
【0006】
イミダゾリノンおよび/またはスルホニルウレア除草剤に対して抵抗性であることが判明した天然植物集団も、除草剤抵抗性ヒマワリ育種系統を開発するめに使用された。最近、除草剤抵抗性形質源として一般的なヒマワリ(ヒマワリ(Helianthus annuus))の野生集団に由来する生殖質を用いて、スルホニルウレア除草剤に対して抵抗性である2つのヒマワリ系統が開発された(Miller and Al−Khatib(2004)Crop Sci.44:1037−1038)。以前、Whiteら((2002)Weed Sci.50:432−437)は、米国、サウスダコタの一般的なヒマワリの野生集団からの個体がイミダゾリノンおよびスルホニルウレア除草剤に対して交叉抵抗性であると報告した。この集団からの個体のアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)遺伝子のコーディング領域の一部分の分析により、野生型シロイヌナズナAHASLタンパク質におけるAla205に対応するヒマワリAHASLタンパク質におけるAlaからValへのアミノ酸置換を生じさせる点突然変異が明らかになった(Whiteら(2003)Weed Sci.51:845−853)。
【0007】
AHAS−阻害剤複合体の三次元配座のコンピューターベースのモデリングは、誘導された突然変異がイミダゾリノンに対する選択的抵抗性を付与する可能性が高い部位として、提案阻害剤結合ポケット内の幾つかのアミノ酸を予測している(Ottら(1996)J.Mol.Biol.263:359−368)。AHAS酵素の提案結合部位におけるこれらの合理的に計画された突然変異の一部を用いて生産されたコムギ植物は、実際、一種類の除草剤に対して特異的な抵抗性を示した(Ottら(1996)J.Mol.Biol.263:359−368)。
【0008】
イミダゾリノン除草剤に対する植物の抵抗性は、多数の特許にも報告されている。米国特許第4,761,373号明細書、米国特許第5,331,107号明細書、米国特許第5,304,732号明細書、米国特許第6,211,438号明細書、米国特許第6,211,439号明細書および米国特許第6,222,100号明細書には、一般に、植物において除草剤抵抗性を惹起するための改変AHAS遺伝子の使用が記載されており、具体的には、一定のイミダゾリノン抵抗性トウモロコシ系統が開示されている。米国特許第5,013,659号明細書は、1つ以上の保存領域における少なくとも1つのアミノ酸での突然変異のため、除草剤抵抗性を示す植物を開示している。そこに記載されている突然変異は、イミダゾリノンおよびスルホニルウレアに対する交叉抵抗性またはスルホニルウレア特異的抵抗性のいずれかをコードするものであり、イミダゾリノン特異的抵抗性は記載されていない。米国特許第5,731,180号明細書および米国特許第5,767,361号明細書には、イミダゾリノン特異的抵抗性をもたらす結果となる野生型単子葉植物AHASアミノ酸配列に単一アミノ酸置換を有する孤立遺伝子が論じられている。加えて、AHASに干渉する除草剤に対して抵抗性であるコメ植物が、突然変異育種によって、およびまた、葯培養により生産されたコメ植物のプールからの除草剤抵抗性植物の選択によって開発された。米国特許第5,545,822号明細書、米国特許第5,736,629号明細書、米国特許第5,773,703号明細書、米国特許第5,773,704号明細書、米国特許第5,952,553号明細書、および米国特許第6,274,796号明細書参照。
【0009】
植物において、試験した他のすべての生物の場合と同様に、AHAS酵素は、大サブユニット(触媒的役割)および小サブユニット(調節的役割)の2つのサブユニットからなる(Duggleby and Pang(2000)J.Biochem.Mol.Biol.33:1−36)。AHAS大サブユニット(本明細書ではAHASLとも呼ぶ)は、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、コメおよびテンサイの場合のように単一の遺伝子によってコードされていることもあり、またはトウモロコシ、カノーラおよび綿の場合のように多数の遺伝子ファミリーメンバーによってコードされていることもある。大サブユニットの特定の単一ヌクレオチド置換は、酵素により、1つ以上の種類の除草剤に対する不感度をもたらす(Chang and Duggleby(1998)Biochem J.333:765−777)。
【0010】
例えば、パンコムギ(Triticum asetivum L.)は、3つの同祖アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット遺伝子を含有する。これらの遺伝子のそれぞれは、除草剤応答および3遺伝子それぞれにおける突然変異からの生化学データを基に有意な発現を示す(Ascenziら(2003)International Society of Plant Molecular Biologists Congress,Barcelona,Spain,Ref.No.S 10−17)。3遺伝子すべてのコーディング配列が、ヌクレオチドレベルで広範な相同性を共有する(国際公開第03/014357号)。コムギ(Triticum aestivum)の幾つかの変種からのAHASL遺伝子のシーケンシングにより、大部分のIMI耐性(イミダゾリノン耐性)系統における除草剤耐性の分子的基礎が、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のアミノ酸653におけるセリンに相当する位置でのセリンからアスパラギンへの置換を示す突然変異S653(At)Nであることが判明した(国際公開第03/01436号;国際公開第03/014357号)。この突然変異は、AHASLタンパク質をコードするDNA配列における一塩基多型(SNP)に起因する。
【0011】
多数のAHASL遺伝子が、双子葉植物種において発生することも知られている。最近Kolkmanら((2004)Theor.Appl.Genet.109:1147−1159)は、ヒマワリ(ヒマワリ(Helianthus annuus L.))の除草剤抵抗性および野生型ゲノタイプからの3つのAHASL遺伝子(AHASL1、AHASL2、AHASL3)についての同定、クローニングおよびシーケンシングを報告した。Kolkmanらは、除草剤抵抗性がAHASL1タンパク質におけるPro197Leu(シロイヌナズナ属(Arabidopsis)AHASLアミノ酸位置命名法を使用)置換またはAla205Val置換のいずれかに起因すること、およびこれらのそれぞれの置換がイミダゾリノン除草剤とスルホニルウレア除草剤の両方に対する抵抗性をもたらすことを報告した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,545,822号
【特許文献2】米国特許第4,761,373号
【特許文献3】米国特許第5,331,107号
【特許文献4】米国特許第5,304,732号
【特許文献5】米国特許第6,211,438号
【特許文献6】米国特許第6,222,100号
【特許文献7】米国特許第5,013,659号
【特許文献8】米国特許第5,731,180号
【特許文献9】米国特許第5,767,361号
【特許文献10】米国特許第5,736,629号
【特許文献11】米国特許第5,773,703号
【特許文献12】米国特許第5,773,704号
【特許文献13】米国特許第5,952,553号
【特許文献14】米国特許第6,274,796号
【特許文献15】国際公開第03/014357号
【特許文献16】国際公開第03/01436号
【特許文献17】米国特許第5,767,361号
【特許文献18】米国特許第5,773,702号
【特許文献19】米国特許第5,859,348号
【特許文献20】米国特許第3,060,084号
【特許文献21】欧州特許第A707445号
【特許文献22】国際公開第91/13546号
【特許文献23】米国特許第4,172,714号
【特許文献24】米国特許第4,144,050号
【特許文献25】米国特許第3,920,442号
【特許文献26】米国特許第5,180,587号
【特許文献27】米国特許第5,232,701号
【特許文献28】米国特許第5,208,030号
【特許文献29】英国特許第2,095,558号
【特許文献30】米国特許第3,299,566号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それらの高い有効性および低い毒性を考えると、イミダゾリノン除草剤は、農業用途に好適である。しかし、特定の作物生産系においてイミダゾリノン除草剤を使用する能力は、対象となる作物植物のイミダゾリノン抵抗性変種の入手可能性に依存する。そのようなイミダゾリノン抵抗性変種を生産するために、植物育種者は、イミダゾリノン抵抗性形質を有する育種系統を開発する必要がある。従って、さらなるイミダゾリノン抵抗性育種系統および作物植物の変種、ならびにイミダゾリノン抵抗性育種系統および変種の生産および使用のための方法および組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、野生型ヒマワリ植物と比較したとき、少なくとも1つの除草剤に対する増大された抵抗性を有するヒマワリ植物を提供する。詳細には、本発明のヒマワリ植物は、野生型ヒマワリ植物と比較したとき、少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤、特に、イマザモックスおよび/またはイマザピルに対する増大された抵抗性を有する。以前に記載されたイミダゾリノン抵抗性ヒマワリ植物とは異なり、本発明のヒマワリ植物は、アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする遺伝子での突然変異を伴わない、新規除草剤抵抗性メカニズムを含む。本発明のヒマワリ植物は、本発明の除草剤抵抗性AHASLタンパク質をコードする遺伝子またはポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーを含む、種子および後代植物も含む。
【0015】
1つの実施形態において、本発明は、本明細書においてMUT31と呼ぶヒマワリ系統からのものである除草剤抵抗性ヒマワリ植物を提供する。MUT31系統の種子のサンプルは、米国微生物系統保存機関(the American Type Culture Collection)(ATCC)にATCC特許寄託番号PTA−7839で寄託されている。本発明は、MUT31の除草剤抵抗特性を含む種子、後代植物および他の子孫植物をさらに提供する。
【0016】
本発明は、本発明の除草剤抵抗性ヒマワリ植物の付近の雑草を防除するための方法を提供する。方法は、有効量の除草剤を雑草におよび除草剤抵抗性ヒマワリ植物に適用することを含み、除草剤抵抗性ヒマワリ植物は、野生型ヒマワリ植物と比較したとき、少なくとも1つの除草剤、特にイミダゾリノン除草剤、さらに特にイマザモックス、に対する増大された抵抗性を有する。除草剤は、例えば、植物の葉に、植え付け前に植物の種子に、および/または植え付け前に植え付け後に土壌に適用することができる。
【0017】
本発明は、除草剤抵抗性ヒマワリ植物を生産するための方法をさらに提供する。方法は、除草剤に対する抵抗性を含む第一のヒマワリ植物を除草剤に対して抵抗性でない第二のヒマワリ植物と交配させることを含み、第一のヒマワリ植物は、MUT31、特にMUT31ヒマワリ植物またはMUT31の任意の除草剤抵抗性子孫の除草剤抵抗特性を含む。それらのこのような除草剤抵抗性は、MUT31、ATCC特許寄託番号PTA−7839で寄託されているMUT31の代表種子の除草剤抵抗特性を含む。方法は、除草剤に対して抵抗性である後代植物の選択をさらに含む。
【0018】
加えて、本発明は、ヒマワリ植物の除草剤抵抗性を増大させる方法を提供する。方法は、除草剤に対する抵抗性を含む第一のヒマワリ植物を第二のヒマワリ植物と交配させることを含み、第一のヒマワリ植物は、MUT31、特に、MUT31ヒマワリ植物またはMUT31の任意の除草剤抵抗性子孫の除草剤抵抗特性を含む。第二のヒマワリ植物は、少なくとも1つの除草剤に対する抵抗性を含むことがあるが、必須ではない。方法は、第二のヒマワリ植物の除草剤抵抗性と比較したとき増大された除草剤抵抗性を含む後代植物についての選択をさらに含む。本発明の1つの実施形態において、第二のヒマワリ植物は、少なくとも1つの除草剤抵抗性AHASL遺伝子を含む。そのような第二のヒマワリ植物は、1つ以上のAHAS阻害性除草剤、特にイミダゾリン除草剤、に対する増強された抵抗性を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ヒマワリゲノタイプ(RHA266またはMUT31)、除草剤用量(0、0.25Xおよび0.50X;X=50g a.i./ja イマザモックス)、およびマラチオン(0または1000g a.i./ha)の効果を検査する2X3X2要因実験の結果のグラフ図である。
【0020】
ヒマワリ植物は、マラチオンおよび除草剤噴霧時点で3〜4葉成長段階であった。イマザモックス噴霧の30分前に、マラチオンをその植物に噴霧した。除草剤噴霧後7日の時点でそれらのヒマワリ植物を評価して、損傷スコアを決定した。
さらなる詳細は、下の実施例3において提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、野生型ヒマワリ植物と比較したとき、少なくとも1つの除草剤に対する増大された抵抗性を有するヒマワリ植物に関する。除草剤抵抗性ヒマワリ植物は、本明細書において下記で説明するように、(除草剤抵抗性の点で)野生型のヒマワリ植物を突然変異誘発物質に暴露して、植物を成熟および再生させることと、およびイミダゾリノン除草剤に対する野生型ヒマワリ植物の抵抗性と比較したとき、イミダゾリノン除草剤、イマザモックス、に対する増強された抵抗性を発揮する後代植物を選択することにより、生産した。本発明は、本明細書においてMUT31と呼ぶ新規除草剤抵抗性ヒマワリ系統を提供する。本発明は、いずれの特定の生物学的メカニズムによる拘束も受けないが、本発明の除草剤抵抗性ヒマワリ植物は、1つ以上のAHASL遺伝子における突然変異とは無関係である、新規除草剤抵抗性メカニズムを含む。従って、本発明は、雑草を防除するための方法において、ならびに除草剤抵抗性ヒマワリ植物を生産するための方法またはイミダゾリノン抵抗性をはじめとする(しかし、これに限定されない)除草剤抵抗性を既に含むヒマワリ植物の除草剤抵抗性を増大させるための方法においても使用することができる、新規イミダゾリノン抵抗性源を提供する。
【0022】
本発明のために、用語「除草剤耐性の」および「除草剤抵抗性の」は、交換可能に用いており、同等の意味および同等の範囲を有すると解釈する。同様に、用語「除草剤耐性」および「除草剤抵抗性」は、交換可能に用いており、同等の意味および同等の範囲を有すると解釈する。同様に、用語「イミダゾリノン抵抗性の」および「イミダゾリノン抵抗性」は、それぞれ、用語「イミダゾリノン耐性の」および「イミダゾリノン耐性」と交換可能に用いており、同等の意味および同等の範囲を有すると解釈する。
【0023】
本発明は、除草剤耐性または除草剤抵抗性植物、およびそのような植物の製造方法および使用方法を含む。「除草剤耐性」または「除草剤抵抗性」植物は、正常なまたは野生型の植物を通常は枯らすまたは植物の成長を阻害するレベルの少なくとも1つの除草剤に対して耐性または抵抗性である植物である。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、植物の除草剤抵抗性を増大させるための本発明の方法は、除草剤抵抗性AHASLポリヌクレオチドおよび除草剤抵抗性AHASLタンパク質を含むヒマワリ植物の使用を含む。「除草剤抵抗性AHASLポリヌクレオチド」は、除草剤抵抗性AHAS活性を含む除草剤抵抗性AHASLタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。「除草剤抵抗性AHASLタンパク質」は、AHAS活性に干渉することが公知である少なくとも1つの除草剤の存在下、および野生型AHASLタンパク質のAHAS活性を阻害することが公知である除草剤の濃度またはレベルで、野生型AHASLタンパク質のAHAS活性に対して高いAHAS活性を発揮するAHASLタンパク質である。さらに、そのような除草剤耐性または除草剤抵抗性AHASLタンパク質のAHAS活性を、本明細書では、「除草剤耐性」または「除草剤抵抗性」AHAS活性と呼ぶ。
【0025】
さらに、除草剤耐性または除草剤抵抗性AHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列で植物またはその祖先を形質転換することによって、除草剤耐性または除草剤抵抗性AHASLタンパク質を植物に導入できることがわかっている。そのような除草剤耐性または除草剤抵抗性AHASLタンパク質は、除草剤耐性または除草剤抵抗性AHASLポリヌクレオチドによってコードされる。あるいは、除草剤耐性または除草剤抵抗性AHASLタンパク質は、植物において、自然発生の結果として、または植物またはその先祖のゲノム内の内因性AHASL遺伝子において誘発された突然変異の結果として発生し得る。除草剤抵抗性AHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および除草剤抵抗性AHASLタンパク質をコードする内因性遺伝子を含む除草剤抵抗性植物は、当該技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,013,659号明細書、米国特許第5,731,180号明細書、米国特許第5,767,361号明細書、米国特許第5,545,822号明細書、米国特許第5,736,629号明細書、米国特許第5,773,703号明細書、米国特許第5,773,704号明細書、米国特許第5,952,553号明細書および米国特許第6,274,796号明細書参照;これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
本発明は、少なくとも1つの除草剤、特に、イミダゾリノン除草剤、さらに特に、イマザモックス、イマザピル、またはイマザモックスとイマザピルの両方、に対する増大された抵抗性または耐性を有する植物、植物組織および植物細胞を提供する。除草剤の好ましい量または濃度が、「有効量」または「有効濃度」である。「有効量」および「有効濃度」は、それぞれ、同様の野生型植物、植物組織または植物細胞を枯らすまたはそれらの成長を阻害するために十分である量および濃度(しかし、前記量は、本発明の除草剤抵抗性植物、植物組織および植物細胞を枯らさず、それらの成長を重度に阻害しない)と解釈する。一般に、除草剤の有効量は、対象となる雑草を枯らすために農業生産システムにおいて日常的に使用されている量である。このような量は、通常の当業者には公知であり、または当該技術分野において公知の方法を用いて容易に決定することができる。
【0027】
本発明の方法は、1つ以上の除草剤、例えば、野生型AHAS酵素の活性を阻害する、あるいは干渉する除草剤など、に対する抵抗性を含むヒマワリ植物をはじめとするヒマワリ植物の除草剤抵抗性を増大させる際に使用することができる。このような除草剤を本明細書では「AHAS阻害性除草剤」または単に「AHAS阻害剤」と呼ぶこともある。本明細書において用いる場合、「AHAS阻害性除草剤」または「AHAS阻害剤」を、AHAS酵素の活性に干渉する単一の除草剤に限定する意図はない。従って、別様に述べているまたは文脈から別様に明らかでない限り、「AHAS阻害性除草剤」または「AHAS阻害剤」は、1つの除草剤である場合もあり、またはAHAS酵素の活性にそれぞれが干渉する2つ、3つ、4つもしくはそれ以上の除草剤の混合物である場合もある。
【0028】
「野生型ヒマワリ植物、植物組織または植物細胞」は、本発明の除草剤抵抗性ヒマワリ植物、特に、MUT31およびその除草剤抵抗性子孫の除草剤抵抗特性がないヒマワリ植物、植物組織または細胞とそれぞれ解釈する。従って、用語「野生型」の使用に、ヒマワリ植物、植物組織、または植物細胞が、そのゲノムに組換えDNAを有さない、および/または本明細書に開示するものとは異なる除草剤抵抗特性を有さないことを含意する意図はない。
【0029】
本明細書において用いる場合、別の明確な指示がない限り、用語「植物(plant)」は、任意の発育段階の植物、ならびに無損傷植物全体に属するまたはそこから単離することができる植物の任意の部分を意味すると解釈する。植物のそのような部分としては、植物の器官、組織および細胞が挙げられるが、これらに限定されない。特定の植物の部分の例としては、幹、葉、根、花序、花、小花、果実、茎、花柄、おしべ、葯、花粉、柱頭、花柱、子房、花弁、がく片、心皮、根尖、根冠、根毛、葉毛、種子毛、花粉粒、小胞子、子葉、胚軸、上胚軸、木質部、篩部、柔組織、内胚乳、伴細胞、孔辺細胞、ならびに植物の他の公知器官、組織および細胞が挙げられる。さらに、種子は植物であると認識する。
【0030】
本発明のヒマワリ植物は、非トランスジェニック植物とトランスジェニック植物の両方を含む。「非トランスジェニック植物」は、そのゲノムに組換えDNAがない植物を意味すると解釈する。「トランスジェニック植物」は、そのゲノムに組換えDNAを含む植物を意味すると解釈する。このようなトランスジェニック植物は、組換えDNAを植物のゲノムに導入することによって生産することができる。そのような組換えDNAをトランスジェニック植物のゲノムに組み込むと、植物の後代も組換えDNAを含むことがある。少なくとも1つの先祖トランスジェニック植物の組換えDNAの少なくとも一部分を含む後代植物もトランスジェニック植物である。
【0031】
本発明は、本明細書ではMUT31と呼ぶ除草剤抵抗性ヒマワリ系統を提供する。米国、バージニア州20110、マナッサの米国微生物系統保存機関(ATCC)の特許寄託機関へのヒマワリ(ヒマワリ(Helianthus annuus L.))系統MUT31からの少なくとも2500個の種子の寄託を2006年8月22日に行い、ATCC特許寄託番号PTA−7839を与えられた。少なくとも30年の期間にわたるヒマワリ系統MUT31の寄託を行った。寄託のサンプルの最後の分譲請求後少なくとも5年がATCCによって受託される。寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約(Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the Purposes of Patent Procedure)の約定のもとで維持されることとなる。少なくとも30年の期間にわたるヒマワリ系統MUT31の寄託を行った。寄託のサンプルの最後の分譲請求後少なくとも5年がATCCによって受託される。加えて、本出願人は、サンプルの生存能力の指標の提供を含めて、37 C.F.R.§§1.801〜1.809の指示をすべて満たした。
【0032】
本発明は、突然変異育種によって生産されたMUT31系統の除草剤抵抗性ヒマワリ植物を提供する。野生型ヒマワリ植物を、該植物を突然変異誘発物質、特に、化学的突然変異誘発物質、さらに特に、エチルメタンスルホネート(EMS)に暴露することによって、突然変異を誘発した。しかし、本発明は、化学的突然変異誘発物質EMSを伴う突然変異誘発法によって生産される除草剤抵抗性ヒマワリ植物に限定されない。当該技術分野において公知の任意の突然変異誘発法を用いて、本発明の除草剤抵抗性ヒマワリ植物を生産することができる。そのような突然変異誘発法は、例えば、以下の突然変異誘発物質のうちのいずれか1つ以上の使用を含むことができる:放射線、例えばX線、ガンマ線(例えば、コバルト60またはセシウム137)、中性子(例えば、原子炉におけるウラン235による核分裂の生成物)、ベータ線(例えば、リン32または炭素14などの放射性同位元素から放射されるもの)、および紫外線(好ましくは、2500から2900nm)、および化学的突然変異誘発物質、例えば、塩基類似体(例えば、5−ブロモ−ウラシル)、関連化合物(例えば、8−エトキシカフェイン)、抗体(例えば、ストレプトニグリン)、アルキル化剤(例えば、サルファーマスタード、ナイトロジェンマスタード、エポキシド、エチレンアミン、スルフェート、スルホネート、スルホン、ラクトン)、アジド、ヒドロキシルアミン、亜硝酸、またはアクリジン。除草剤抵抗性植物は、除草剤抵抗性突然変異を含む植物細胞を選択し、その後、それらから除草剤抵抗性植物を再生させる、組織培養法を用いて生産することもできる。例えば、米国特許第5,773,702号明細書および米国特許第第5,859,348号明細書を参照のこと(これらは、両方とも、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる)。突然変異育種のさらなる詳細は、「Principals of Cultivar Development」Fehr,1993 Macmillan Publishing Company(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)において見つけることができる。
【0033】
本発明のヒマワリ植物および種子は、MUT31の除草剤抵抗特性を含む。そのような植物および種子を本明細書ではMUT31形質を含むと呼ぶことがある。MUT31形質は、形質が、植物においてヘテロ接合状態であろうと、ホモ接合状態であろうと、この形質を有する植物または種子に、イミダゾリノン除草剤に対する抵抗性を付与する。詳細には、MUT31形質は、少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤、特にイマザモックスおよび/またはイマザピル、に対する抵抗性をヒマワリ植物または種子に付与し、イミダゾリノン抵抗性は、有機リン酸系殺虫剤マラチオンによって低減または阻害される。本明細書において下記で説明するように、イミダゾリノン除草剤イマザモックスに対するMUT31ヒマワリ植物の抵抗性または耐性は、イマザモックスの適用前にMUT31ヒマワリ植物にマラチオンを適用すると低減または阻害されることが判明した。従って、MUT31形質を含むヒマワリ植物および種子は、マラチオンにより阻害され得るイミダゾリノン抵抗性を含む。本発明は、特定の生物学的メカニズムに拘束されないが、MUT31ヒマワリ植物の除草剤抵抗性またはMUT31形質は、ヒマワリ核ゲノム内の単一遺伝子において誘発された突然変異に起因すると考えられる。
【0034】
本発明のヒマワリ植物は、例えば、MUT31形質がヘテロ接合性またはホモ接合性であるMUT31系統の子孫を含む。そのような子孫が、有性生殖によって生産でき、または当該技術分野において公知の任意の無性生殖法、例えば組織培養などによって生産できることは認知されている。MUT31形質を含むMUT31系統の子孫は、子孫ヒマワリ植物が、マラチオンにより阻害され得るイミダゾリノン抵抗性を含むかどうかを判定することによって、特定することができる。本発明は、子孫ヒマワリ植物が、マラチオンにより阻害され得るイミダゾリジン抵抗性を含むかどうかを判定するために、特定の方法に依存しない。MUT31の子孫が、マラチオンにより阻害され得るイミダゾリノン抵抗性を含むかどうかの判定には、下記の実施例3に開示する方法をはじめとする当該技術分野において公知の任意の方法を用いることができる。方法は、イミダゾリノン除草剤の適用前にMUT31の子孫にマラチオンを適用すること、および子孫のイミダゾリノン除草剤に対する抵抗性をマラチオンが低下させるまたは阻害するかどうかを判定することを含む。MUT31形質を含む子孫は、マラチオンにより阻害され得るイミダゾリノン抵抗性を含む。従って、本発明のヒマワリ植物は、例えば、MUT31の子孫であり、マラチオンにより阻害され得るイミダゾリノン抵抗性を含む、ヒマワリ植物である。
【0035】
本発明は、少なくとも1つの除草剤、特に、イミダゾリノン除草剤または2つ以上のイミダゾリノン除草剤の混合物に対するヒマワリ植物、植物組織、植物細胞または他の宿主細胞の耐性または抵抗性を増強するための方法を提供する。本発明のためのイミダゾリノン除草剤としては、PURSUIT(登録商標)(イマゼタピル)、CADRE(登録商標)(イマザピック)、RAPTOR(登録商標)(イマザモックス)、SCEPTER(登録商標)(イマザキン)、ASSERT(登録商標)(イマゼタベンズ)、ARESENAL(登録商標)(イマザピル)、前述の除草剤のうちのいずれかの誘導体、および前述の除草剤のうちの2つ以上のものの混合物、例えば、イマザピル/イマザモックス(ODYSSEY(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的には、イミダゾリノン除草剤は、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−3−キノリンカルボン酸、5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−メチルニコチン酸、およびメチル6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−m−トルエートとメチル2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−p−トルエートの混合物から選択することができるが、これらに限定されない。5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−ニコチン酸および2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸の使用が好ましい。2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸の使用が特に好ましい。
【0036】
本発明の除草剤抵抗性植物は、雑草を防除するための方法において使用することができる。従って、本発明は、本発明の除草剤抵抗性ヒマワリ植物の付近の雑草を防除するための方法をさらに提供する。方法は、有効量の除草剤を雑草および除草剤抵抗性ヒマワリ植物に適用することを含み、植物は、野生型植物と比較したとき、少なくとも1つの除草剤、特にイミダゾリノンまたはスルホニルウレア除草剤、に対する増大された抵抗性を有する。雑草を防除するためのこのような方法において、本発明の除草剤抵抗性植物は、好ましくは、ヒマワリ、アルファルファ、アブラナ属種(Brassica sp.)、大豆、綿、紅花、落花生、タバコ、トマト、ジャガイモ、小麦、米、トウモロコシ、モロコシ、大麦、ライ麦、雑穀、およびモロコシをはじめとする作物植物であるが、これらに限定されない。
【0037】
除草剤、特にイミダゾリノンおよびスルホニルウレア除草剤、に対する増大された抵抗性を有する植物を提供することにより、植物の成長を増進させる、および養分の奪い合いを減少させるための植物の雑草からの保護に、多種多様な調合物を利用することができる。除草剤は、本明細書に記載する植物の周辺領域内の雑草に対する発芽前、発芽後、植え付け前および植え付け時防除のためにそれ自体で使用することができ、または他の添加剤を含有するイミダゾリノン除草剤調合物を使用することができる。除草剤を種子処理剤として使用することもできる。すなわち、有効濃度もしくは有効量の除草剤、または有効濃度もしくは有効量の除草剤を含む組成物を、播種前または中にそれらの種子に直接適用することができる。イミダゾリノンまたはスルホニルウレア除草剤調合物または組成物中に見出せる添加剤としては、他の除草剤、界面活性剤、アジュバント、展着剤、固着剤、安定剤などが挙げられる。除草剤調合物は、湿潤製剤または乾燥製剤である場合もあり、それらとしては流動性粉末、乳剤および液体濃縮物を挙げることができるが、これらに限定されない。除草剤および除草剤調合物は、従来の方法に従って、例えば、噴霧、灌漑、散布、コーティングなどによって適用することができる。
【0038】
本発明は、少なくとも1つの除草剤、特にイミダゾリノン除草剤、に対する耐性が増大された種子を提供する。そのような種子としては、例えば、MUT31ヒマワリ系統の除草剤抵抗性子孫であるヒマワリ種子が挙げられる。
【0039】
MUT31ヒマワリ系統の「子孫」は、MUT31、ATCCに寄託し、ATCC特許寄託番号PTA−7839を得たMUT31の代表種子、から有性および/または無性繁殖によって誘導される任意の植物、植物細胞または植物部分を含む。例えば、そのような子孫としては、第一の植物と第二の植物を交配させて第三の植物(すなわち、子孫)の種子を生産することによって生産された植物が挙げられ、第一の植物は、MUT31ヒマワリ植物であり、第二のものは、MUT31ヒマワリ植物でない別のヒマワリ植物である。そのような子孫としては、第三の植物(有性繁殖、および/または無性繁殖によって生産されたものであろうと)に由来する、任意の植物も挙げられる。例えば、第三の植物からの細胞、組織または器官は、インビトロ植物細胞、組織および器官培養法ならびに挿し穂の発根を含む方法をはじめとする(しかし、これらに限定されない)無性繁殖法によって第四の植物を生産するために使用することができる。
【0040】
本発明のためのMUT31の除草剤抵抗性子孫は、1つ以上のMUT31ヒマワリ植物に由来するためにMUT31の除草剤抵抗特性を含むMUT31の子孫である。言い換えれば、このような除草剤抵抗性子孫は、有性生殖、無性生殖、またはこれらの組み合わせによりMUT31ヒマワリ植物の除草剤抵抗特性を受け継いでいる。
【0041】
別様に明確に述べているまたは文脈から別様に明らかでない限り、植物の「後代」は、祖先をその植物へと辿ることができる任意の後の世代の植物を含む。同様に、文脈による別の明確な指示がない限り、MUT31の「除草剤抵抗性後代」は、その祖先をMUT31へと辿ることができ、その祖先のためにMUT31の除草剤抵抗特性を含む任意の後の世代の植物を含む。
【0042】
本発明は、除草剤耐性ヒマワリ植物、特に、有性生殖を伴う従来の植物育種により除草剤抵抗性ヒマワリ植物を生産するための方法を提供する。方法は、除草剤に対する抵抗性を含む第一の植物を除草剤に対して抵抗性でない第二の植物と交配させることを含む。第一の植物は、例えば、MUT31ヒマワリ植物の除草剤抵抗特性を含むヒマワリ植物、特に、MUT31ヒマワリ植物およびMUT31の除草剤抵抗性子孫、をはじめとする本発明の除草剤抵抗性植物のいずれであってもよい。第二の植物は、第一の植物と交配させたとき、生育可能な後代植物(すなわち、種子)を生産することができる任意の植物であり得る。一般に、必須ではないが、第一および第二の植物は、同じ種のものである。本発明の方法は、第一または第二いずれかの植物と同じ系統またはゲノタイプの植物への第一交配の後代植物の戻し交配を1回以上生じさせることをさらに含むことがある。あるいは、第一交配または任意のその後の交配の後代を、第一または第二いずれかの植物とは異なる系統またはゲノタイプの第三の植物と交配させることができる。本発明の方法は、第一の植物の除草剤抵抗特性を含む植物の選択をさらに含むことがある。
【0043】
本発明は、有性生殖を伴う従来の植物育種により植物、特に除草剤抵抗性ヒマワリ植物の除草剤抵抗性を増大させるための方法をさらに提供する。方法は、除草剤に対する抵抗性を含む第一を、除草剤に対して抵抗性である場合または、ない場合もあり、あるいは第一の植物とは異なる除草剤(単数もしくは複数)に対して抵抗性である場合もある第二の植物と交配させることを含む。第一の植物は、例えばMUT31ヒマワリ植物およびそれらの除草剤抵抗性子孫をはじめとする、本発明の除草剤抵抗性ヒマワリ植物のいずれであってもよい。第二の植物は、第一の植物と交配させたとき、生育可能な後代植物(すなわち、種子)を生産することができる任意の植物であり得る。一般に、必須ではないが、第一および第二の植物は、同じ種のものである。本発明のこの方法によって生産される後代植物は、第一の植物もしくは第二の植物または両方と比較したとき、除草剤に対する増大されたまたは増強された抵抗性を有する。第一および第二の植物が異なる除草剤に対して抵抗性であるとき、後代植物は、第一の植物と第二の植物の複合除草剤抵抗特性を有する。本発明の方法は、第一または第二いずれかの植物と同じ系統またはゲノタイプの植物への第一交配の後代植物の戻し交配を1回以上生じさせることをさらに含むことがある。あるいは、第一交配または任意のその後の交配の後代を、第一または第二いずれかの植物とは異なる系統またはゲノタイプの第三の植物と交配させることができる。本発明の方法は、第一の植物、第二の植物、または第一の植物と第二の植物の両方の除草剤抵抗特性を含む植物の選択をさらに含むことがある。
【0044】
本発明は、少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤に対するヒマワリ植物の抵抗性を増強または増大させるための方法を提供する。イミダゾリノン除草剤は、インビボおよびインビトロでAHAS活性を阻害するそれらの認知された能力のため、AHAS阻害性除草剤として知られている。イミダゾリノン除草剤に加えて、AHAS阻害性除草剤としては、例えば、スルホニルウレア除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシ安息香酸塩除草剤、およびスルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン除草剤が挙げられる。
【0045】
本発明の1つの実施形態における方法は、AHAS阻害性除草剤に対する抵抗性を含む除草剤抵抗性ヒマワリ植物の抵抗性を増強または増大させることを含み、AHAS阻害性除草剤に対する抵抗性は、1つ以上の除草剤抵抗性AHASLタンパク質に起因する。そのような除草剤抵抗性ヒマワリ植物は、例えば、イミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシ安息香酸塩除草剤、スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン除草剤またはそれらの混合物などの1つ以上のAHAS阻害性除草剤に対して抵抗性であり得る。幾つかの適するイミダゾリノン除草剤の例を上記に記載している。スルホニルウレア除草剤としては、クロルスルフロン、メツルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメトスルフロンメチル、リムスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリアスルフロン、ピリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン、フルザスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ハロスルフロン、アジムスルフロン、シクロスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロンメチル、ホラムスルフロン、ヨードスルフロン、オキサスルフロン、メソスルフロン、プロスルフロン、スルホスルフロン、トリフロキシスルフロン、トリトスルフロン、前述の除草剤のうちのいずれかの誘導体、および前述の除草剤のうちの2つ以上のものの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。トリアゾロピリミジン除草剤としては、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、およびペノキシスラムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のピリミジニルオキシ安息香酸塩除草剤としては、ビスピリバック、ピリチオバック、ピリミノバック、ピリベンゾキシムおよびピリフタリドが挙げられるが、これらに限定されない。スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン除草剤としては、フルカルバゾンおよびプロポキシカルバゾンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
ピリミジニルオキシ安息香酸塩除草剤は、ピリミジニルチオ安息香酸塩除草剤と密接に関係しており、後者の名の表題のもとにアメリカ雑草科学会(Weed Science Society of America)により概括されていることが認識されている。従って、本発明の除草剤は、上述したピリミジニルオキシ安息香酸塩除草剤を含む(しかし、これらに限定されない)ピリミジニルチオ安息香酸塩除草剤をさらに含む。
【0047】
本発明のヒマワリ植物は、非トランスジェニック、またはトランスジェニックである場合もある。少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤に対する増大された抵抗性を有する非トランスジェニックヒマワリ植物の例としては、MUT31ヒマワリ植物、特許寄託番号PTA−7839としてATCCに寄託されているMUT31の代表種子;またはMUT31の、もしくはMUT31の任意の後代の、突然変異体、組換え体もしくは遺伝子組換え誘導体;またはこれらの植物のうちのいずれかの後代である植物;またはMUT31、特にMUT31の除草剤抵抗性子孫の除草剤抵抗特性を含む植物が挙げられる。少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤に対する増大された抵抗性を有するトランスジェニックヒマワリ植物の例は、MUT31の除草剤抵抗特性を含むMUT31の遺伝子組換え誘導体であるヒマワリ植物である。このような遺伝子組換え誘導体は、除草剤抵抗性AHASL遺伝子、耐病性を付与する遺伝子、および耐虫性を付与する遺伝子をはじめとする(しかし、これらに限定されない)対象となるトランスジーンを、そのゲノム内に含むことがある。
【0048】
本発明は、イミダゾリノン除草剤の使用を含む方法を提供する。これらの方法において、イミダゾリノン除草剤は、種子処理、土壌処理および葉の処理をはじめとする(しかし、これらに限定されない)当該技術分野において公知の任意の方法によって適用することができる。
【0049】
適用前に、イミダゾリノン除草剤を、通例の調合物、例えば、溶液、エマルジョン、懸濁液、粉剤、粉末、ペーストおよび顆粒に変換する。使用形態は、個々の所期の目的に依存し、それぞれの場合、本発明の化合物の細かい、均一な分布を補償するものでなければならない。
【0050】
調合物は、公知の手法(例えば、再考のために以下参照:米国特許第3,060,084号明細書、欧州特許第A707445号明細書(液体濃縮物について)、Browning,「Agglomeration」,Chemical Engineering,Dec.4,1967,147−48、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook,4th Ed.,McGraw−Hill,New York,1963,8−57頁および以下参照。国際公開第91/13546号、米国特許第4,172,714号明細書、米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書、米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書、米国特許第5,208,030号明細書、英国特許第2,095,558号明細書、米国特許第3,299,566号明細書、Klingman,Weed Control as a Science,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1961、Hanceら,Weed Control Handbook,8th Ed.,Blackwell Scientific Publications,Oxford,1989およびMollet,H.,Grubemann,A.,Formulation technology,Wiley VCH Verlag GmbH,Weinheim(Germany),2001、2.D.A.Knowles,Chemistry and Technology of Agrochemical Formulations,Kluwer Academic Publishers,Dordrecht,1998(ISBN 0−7514−0443−8))で、例えば、農業化学の調合に適する助剤、例えば、溶剤および/または担体、所望される場合には乳化剤、界面活性剤および分散剤、保存薬、消泡剤、凍結防止剤を用いて、種子処理剤の調合については場合によっては着色剤および/または結合剤および/またはゲル化剤も用いて活性化合物を増量することにより調製する。
【0051】
適する溶剤の例は、水、芳香族系溶剤(例えば、Solvesso製品、キシレン)、パラフィン(例えば、鉱物油留分)、アルコール(例えば、メタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えば、シクロヘキサノン、ガンマ−ブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、アセテート(グリコールジアセテート)、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸および脂肪酸エステルである。原則として、溶剤混合物も使用することができる。
【0052】
適する担体の例は、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク)および粉砕合成鉱物(例えば、高分散シリカ、シリケート)である。
【0053】
適する乳化剤は、非イオン性およびアニオン性乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)である。
【0054】
分散剤の例は、リグニン−亜硫酸パルプ廃液およびメチルセルロースである。
【0055】
使用される適する界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、脂肪酸スルフェート、脂肪酸および硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル、さらに、スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレンとまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコールおよび脂肪アルコールエチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸パルプ廃液およびメチルセルロースである。
【0056】
直接噴霧できる溶液、エマルジョン、ペーストまたは油性分散液の調製に適する物質は、中沸点から高沸点の鉱物油留分、例えばケロセンまたはディーゼル油、さらに、コールタール油および植物または動物起源の油、脂肪族、環状および芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンまたはそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、高極性溶剤、例えばジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンまたは水である。
【0057】
凍結防止剤、例えばグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、および殺菌剤、例えば調合物に添加することができる。
【0058】
適する消泡剤は、例えば、ケイ素またはステアリン酸マグネシウムである。
【0059】
適する保存薬は、例えば、ジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマールである。
【0060】
種子処理剤調合物は、結合剤および場合によっては着色剤をさらに含むことがある。
【0061】
結合剤を追加して、処理後の種子への活性材料の付着を向上させることができる。適する結合剤は、ブロックコポリマーEO/PO界面活性剤であるが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)、Plymin(登録商標))、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、チロース、およびこれらのポリマーから誘導されたコポリマーも適する結合剤である。
【0062】
場合によっては、調合物に着色剤も含めることができる。種子処理剤調合物に適する着色剤または染料は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、塩基性紫10、塩基性紫49、酸性赤51、酸性赤52、酸性赤14、酸性青9、酸性黄色23、塩基性赤10、塩基性赤108である。
【0063】
適するゲル化剤の例は、カラゲーン(Satiagel(登録商標))である。
【0064】
粉末、噴霧に適する材料、および散布可能な製品は、活性物質と固体担体を混合または同時に粉砕することによって作製することができる。
【0065】
顆粒、例えばコーティング顆粒、含浸顆粒および均質顆粒は、活性化合物を固体担体に結合させることによって作製することができる。固体担体の例は、鉱物土類、例えば、シリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アータークレー、石灰岩、石灰、チョーク、ボール粘土、黄土、クレー、ドロマイト、ケイ藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成材料、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、ウレアおよび植物起源の製品(例えば、穀粉、樹皮粉、木粉および堅果殻粉)など、セルロース粉末ならびに他の固体担体である。
【0066】
一般に、調合物は、0.01から95重量%。好ましくは0.1から90重量%のイミダゾリノン除草剤を含む。この場合、イミダゾリノン除草剤は、(NMRスペクトルに従って)90重量%から100重量%、好ましくは95重量%から100重量%の純粋な形態で用いられる。種子処理のための個々の調合物を2〜10倍希釈して、即使用できる製剤中、重量で0.01から60重量%、好ましくは0.1から40重量%活性化合物の濃度にすることができる。
【0067】
イミダゾリノン除草剤は、例えば、それらの調合物またはそれらから調製した使用形態で、例えば、直接噴霧できる溶液、粉末、懸濁液もしくは分散液、エマルジョン、油性分散液、ペースト、散布できる製品、展着用材料または顆粒で、噴霧、霧吹き、散布、展着または注入によって、使用することができる。使用形態は、完全に所期の目的に依存し、それぞれの場合、本発明のイミダゾリノン除草剤のできる限り細かい分布を確保することを目的とする。
【0068】
水性使用形態は、水の添加により、エマルジョン濃縮物、ペーストまたは水和剤(噴霧できる粉末、油性分散液)から調製することができる。エマルジョン、ペーストまたは油性分散液を調製するために、物質それ自体、または油もしくは溶剤に溶解した物質を、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤もしくは乳化剤によって水で均質化することができる。しかし、活性物質、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤または乳化剤、および、適宜、溶剤または油からなる濃縮物を調製することもでき、そのような濃縮物は、水での希釈に適する。
【0069】
即使用できる製剤中の活性化合物濃度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、0.0001から10重量%、好ましくは0.01から1重量%である。
【0070】
イミダゾリノン除草剤は、超微量散布法(ULV)ででもうまく使用でき、95重量%を超える活性化合物を含む調合物を適用することができ、または添加剤なしで活性化合物を適用することさえできる。
【0071】
以下は、調合物の例である。
1.葉への適用のために水で希釈する製品。種子処理のために、このような製品を希釈してまたは未希釈で種子に適用することができる。
【0072】
A)水溶性濃縮物(SL、LS)
10重量部のイミダゾリノン除草剤を90重量部の水または水溶性溶剤に溶解する。代案として、湿潤剤または他の助剤を添加する。イミダゾリノン除草剤は、水で希釈すると溶解する。それによって10%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。
【0073】
B)分散性濃縮物(DC)
10重量部の分散剤、例えばポリビニルピロリドンを添加して、20重量部のイミダゾリノン除草剤を70重量部のシクロヘキサノンに溶解する。水での希釈により分散液が得られ、それによって20%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。
【0074】
C)乳化性濃縮物(EC)
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびヒマシ油エトキシレート(それぞれの場合、5重量部)を添加して、15重量部のイミダゾリノン除草剤を7重量部のキシレンに溶解する。水での希釈によりエマルジョンが得られ、それによって15%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。
【0075】
D)エマルジョン(EW、EO、ES)
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびヒマシ油エトキシレート(それぞれの場合、5重量部)を添加して、25重量部のイミダゾリノン除草剤を35重量部のキシレンに溶解する。この混合物を乳化機(例えば、Ultraturrax)によって30重量部の水に導入し、均質エマルジョンにする。水での希釈によりエマルジョンが得られ、それによって25%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。
【0076】
E)懸濁液(SC、OD、FS)
攪拌型ボールミルにおいて、10重量部の分散剤、湿潤剤、および70重量部の水または70重量部の有機溶剤を添加して20重量部のイミダゾリノン除草剤を粉砕して、微細イミダゾリノン除草剤懸濁液を得る。水での希釈によりイミダゾリノン除草剤の安定な懸濁液が得られ、それによって20%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。
【0077】
F)水分散性顆粒および水溶性顆粒(WG、SG)
50重量部の分散剤および湿潤剤を添加して、専門機器(例えば、押出機、噴霧塔、流動床)によって50重量部のイミダゾリノン除草剤を微粉砕し、水分散性または水溶性顆粒として製造する。水での希釈によりイミダゾリノン除草剤の安定な分散液または溶液が得られ、それによって50%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。
【0078】
G)水分散性粉末および水溶性粉末(WP、SP、SS、WS)
25重量部の分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを添加して、75重量部のイミダゾリノン除草剤をロータ−ステータミルで粉砕する。水での希釈によりイミダゾリノン除草剤の安定な分散液または溶液が得られ、それによって75%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。
【0079】
I)ゲル−調合物(GF)
攪拌型ボールミルにおいて、10重量部の分散液、1重量部のゲル化剤湿潤剤、および70重量部の水または70重量部の有機溶剤を添加して20重量部のイミダゾリノン除草剤を粉砕して、微細イミダゾリノン除草剤懸濁液を得る。水での希釈によりイミダゾリノン除草剤の安定な分散液が得られ、それによって20%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。このゲル調合物は、種子処理剤としての使用に適する。
【0080】
2.葉への適用のための未希釈で散布される製品。種子処理のために、このような製品を希釈して種子に適用することができる。
A)粉剤(DP、DS)
5重量部のイミダゾリノン除草剤を微粉砕し、95重量部の微粉カオリンと均質混合する。これにより5%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する散布できる製品が得られる。
【0081】
B)顆粒(GR、FG、GG、MG)
二分の一重量部のイミダゾリノン除草剤を微粉砕し、95.5重量部の担体と会合させ、それによって、0.5%(w/w)のイミダゾリノン除草剤を有する調合物が得られる。現行の方法は、押出、噴霧乾燥または流動床である。これによって葉に使用するための未希釈で適用される顆粒が得られる。
【0082】
従来の種子処理剤調合物としては、例えば、流動性濃縮物FS、溶液LS、乾燥処理用の粉末DS、スラリー処理用の水分散性粉末WS、水溶性粉末SS、ならびにエマルジョンESおよびEC、ならびにゲル調合剤GFが挙げられる。これらの調合物は、希釈してまたは未希釈で種子に適用することができる。種子への適用は、播種前に、種子に直接行う。
【0083】
好ましい実施形態では、FS調合物を種子処理に使用する。一般に、FS調合物は、1〜800g/Lの活性成分、1〜200g/Lの界面活性剤、0から200g/Lの凍結防止剤、0から400g/Lの結合剤、0から200g/Lの顔料、および1リットル以下の溶剤、好ましくは水を含むことができる。
【0084】
本発明は、本発明の除草剤抵抗性植物の種子、特に、MUT31の除草剤抵抗性子孫である種子を提供する。種子処理については、本発明の種子を、除草剤、好ましくは、AHAS阻害性除草剤、例えばアミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメツフルロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、フォーラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メツルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、クロランスラム、ジクロスルラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキシスラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリチオバック、およびそれらの混合物からなる群より選択される除草剤で、またはAHAS阻害性除草剤を含む調合物で処理する。好ましくは、本発明のAHAS阻害性除草剤は、イミダゾリノン除草剤である。
【0085】
用語種子処理は、種子ドレッシング、種子コーティング、種子ダスティング、種子浸漬および種子ペレット化などの当該技術分野において公知のすべての適する種子処理技術を含む。
【0086】
本発明の1つの変形によると、本発明のさらなる目的は、特に播種機への適用による、土壌の処理方法である:イミダゾリノン除草剤を組成物/調合物として含有する顆粒調合物のいずれか(例えば、1つ以上の固体もしくは液体の農業的に許容される担体を場合によっては伴う、および/または1つ以上の農業的に許容される界面活性剤を場合によっては伴う、顆粒調合物)。この方法は、有利には、例えば、穀類、トウモロコシ、綿およびヒマワリの播床に利用する。
【0087】
本発明は、アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、フォーラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メツルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、クロランスラム、ジクロスルラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキシスラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリドおよびピリチオバックからなる群より選択される少なくとも1つのALS阻害剤を含む種子処理剤調合物でコーティングされたまたは、含有する種子も含む。
【0088】
用語種子は、真正種子、種子片、吸枝、球茎、球根、果実、塊茎、穀粒、挿し木、切り枝などをはじめとする(しかし、これらに限定されない)すべての種類の種子および植物胎芽を包含し、好ましい実施形態では真正種子を意味する。
【0089】
用語「〜でコーティングされたおよび/または〜を含有する」は、一般に、活性成分が、塗布時に大部分は繁殖製品の表面にあるが、塗布方法に依存して成分の大なり小なりの部分が、繁殖製品に浸透することがあることを意味する。前記繁殖製品を植えた(植え替えた)とき、それは活性成分を吸収することができる。
【0090】
イミダゾリノン除草剤での、またはイミダゾリノン除草剤を含む調合物での種子処理剤適用は、植物の播種前および植物の出現前に種子に噴霧または散布することによって行う。
【0091】
種子の処理の場合、イミダゾリノン除草剤のまたはイミダゾリジン除草剤を含む調合物の有効量で種子を処理することによって、対応する調合物に適用することができる。ここでの適用率は、100kgの種子につき0.1gから10kgのa.i.(またはa.i.の混合物もしくは調合物)、好ましくは100kgの種子につき1gから5kg、特に、100kgの種子につき1gから2.5kgである。レタスなどの特定の作物の場合、この適用率は、より高いことがある。
【0092】
本発明は、播種前におよび/または予備発芽後に本発明の抵抗性植物の種子をイミダゾリノン除草剤と接触させることを含む、望ましくない草木の対策または雑草の防除のための方法を提供する。方法は、例えば、田畑の土壌への、または温室内の鉢植え用材料への播種をさらに含むことがある。方法は、特に、望ましくない草木の対策または種子のすぐ近くにある雑草の防除に使用することができる。
【0093】
望ましくない草木の防除は、雑草の枯死および/または雑草の正常な成長の別様の阻止もしくは阻害を意味すると解釈する。雑草は、最も広い意味で、望ましくない場所で成長するすべての植物を意味すると解釈する。
【0094】
本発明の雑草は、例えば、双子葉植物および単子葉植物の雑草を含む。双子葉植物の雑草としては、次の属の雑草が挙げられるが、これらに限定されない:カラシ属(Sinapis)、マメグンバイナズナ属(Lepidium)、ヤエムグラ属(Galium)、ハコベ属(Stellaria)、シカギク属(Matricaria)、カミツレモドキ属(Anthemis)、ガリンソガ属(Galinsoga)、アカザ属(Chenopodium)、イラクサ属(Urtica)、キオン属(Senecio)、ヒユ属(Amaranthus)、スベリヒユ属(Portulaca)、オナモミ属(Xanthium)、ヒルガオ属(Convolvulus)、サツマイモ属(Ipomoea)、タデ属(Polygonum)、セスバニア属(Sesbania)、オナモミ属(Ambrosia)、アザミ属(Cirsium)、ヒレアザミ属(Carduus)、ノゲシ属(Sonchus)、ナス属(Solanum)、イヌガラシ属(Rorippa)、キカシグサ属(Rotala)、アゼナ属(Lindernia)、ラミウム属(Lamium)、クワガタソウ属(Veronica)、イチビ属(Abutilon)、エメクス属(Emex)、チヨウセンアサガオ属(Datura)、スミレ属(Viola)、チシマオドリコ属(Galeopsis)、ケシ属(Papaver)、センタウレア属(Centaurea)、ツメクサ属(Trifolium)、キツネノボタン属(Ranunculus)およびタンポポ属(Taraxacum)。単子葉植物の雑草としては、次の属の雑草が挙げられるが、これらに限定されない:ヒエ属(Echinochloa)、エノコログサ属(Setaria)、キビ属(Panicum)、メヒシバ属(Digitaria)、アワガリエ属(Phleum)、スズメノカタビラ属(Poa)、ウシノケグサ属(Festuca)、オヒシバ属(Eleusine)、ブラキアリア属(Brachiaria)、ドクムギ属(Lolium)、スズメノチヤヒキ属(Bromus)、カラスムギ属(Avena)、カヤツリグサ属(Cyperus)、モロコシ属(Sorghum)、カモジグサ属(Agropyron)、シノドン属(Cynodon)、ミズアオイ属(Monochoria)、テンツキ属(Fimbristylis)、オモダカ属(Sagittaria)、ハリイ属(Eleocharis)、ホタルイ属(Scirpus)、パスパルム属(Paspalum)、カモノハシ属(Ischaemum)、スフエノクレア属(Sphenoclea)、ダクチロクテニウム属(Dactyloctenium)、ヌカボ属(Agrostis)、スズメノテツポウ属(Alopecurus)およびアペラ属(Apera)。
【0095】
加えて、本発明の雑草としては、望ましくない場所で成長する作物植物を挙げることができる。例えば、主として大豆植物を含む畑に存在する自生トウモロコシ(volunteer maize)植物は、トウモロコシ植物が大豆植物畑に望ましくない場合、雑草と見なすことができる。
【0096】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の目的語1つまたは1つより多く(少なくとも1つ)を指すために本明細書では用いる。例として「要素(an element)」は1つ以上の要素を意味する。
【0097】
本明細書において用いる場合、単語「含むこと」、または「含む」または「含むこと」などの語尾変化は、述べられている要素、整数もしくは段階、または要素、整数もしくは段階の群を含み、任意の他の要素、整数もしくは段階、または要素、整数もしくは段階の群を排除しないことを意味することは理解されるである。
【0098】
以下の実施例は、例証として提供するものであり、限定として提供するものではない。
【実施例】
【0099】
実施例1
ヒマワリ(Heliantus annuus)系統RHA266の突然変異誘発およびイミダゾリノン抵抗性植物の選択
【0100】
第一成長期の春、アルゼンチン、ブエノスアイレス、BalcarceのAdvanta Semillas Biotech Research Station において40列のヒマワリ(ヒマワリ(Heliantus annuus))系統RHA266を野外に播き、その後、植物の一部をエチルメタンスルホネート(EMS、メタンスルホン酸エチルエステルとも呼ばれる)で処理した。EMSは、DNAにおいてG・CからA・Tへの転位を一般に誘導する公知の突然変異誘発物質である(Janderら(2003)Plant Physiol.131:139−146)。0.5%、5%または10%(w/v)EMSを含む溶液で植物を処理した。それぞれのEMS処理につき13列のヒマワリ植物処理した。開花前、すべてのM0植物に袋がけして、結果として生ずるM1種子が確実に自家受粉の産物になるようにした。それぞれのEMS処理からの花頭(seed head)を収穫し、ばらで脱穀した。次の成長期、それぞれの処理を施したM1種子を野外で別々のポットに播いた。20日後、植物が2〜4対葉成長段階になったら、すべてのEMS処理植物に2XのSWEEPER 70DG(100g a.i./ha)を噴霧した。SWEEPER中の活性成分は、イマザモックスである。除草剤噴霧後、合計54の植物が生き残り、それらを推定抵抗性として選択した。44の抵抗性植物は、開花に達し、花粉を生じ、そしてM2種子を生じた。EMS処理あたり44の稔性植物の分布を表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
組織サンプルをそれぞれの個々の生存M1植物から取り、それぞれのサンプルからのDNAを、下記の実施例2で説明するPCR増幅およびシーケンシング研究のために抽出した。
【0103】
44の稔性M1植物のそれぞれによって生産されたM2種子をノースダコタ州、ファーゴにおいて個々のポットに播き、その後、2〜4対葉成長段階に0.5XのSWEEPER 70DG(25g ai/ha イマザモックス)を噴霧した。ポットのうちの1つをホモ接合耐性として選択し、MUT31と指定した。MUT31の19のM2植物を収穫し、それらのM2:3後代を2003〜2004年の夏にBlacarceにおいて播き、結果として生じた植物を成熟させ、その後、自家受精させた。1つのポットからのM4種子を収穫し、原原種を表現型観察に基づいて申告した。(原原種は、植物育種者の直接管理によって生産された種子であり、最初の繰り返し発生する原種増加の基礎である)。
【0104】
実施例2
イミダゾリノン抵抗性および野生型AHASL1タンパク質をコードするヒマワリポリヌクレオチドのPCR増幅および配列
【0105】
実施例1のヒマワリ植物におけるイミダゾリノン耐性の起源の決定を試みるために、ゲノムDNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を用いて、ヒマワリAHASL1、AHASL2およびAHASL3遺伝子それぞれの全コーディング領域を増幅した。PCR増幅のために、ゲノムDNAをM1 MUT31ヒマワリ植物の組織から単離した。野生型AHASL遺伝子それぞれのPCR増幅のために、RHA266ヒマワリ植物の組織から対照、野生型ゲノムDNAも単離した。結果として生じたPCR産物をシーケンシングして、MUT31およびRHA266植物からのAHASL1、AHASL2およびAHASL3遺伝子のDNA配列を決定した。
【0106】
驚くべきことに、MUT31からのAHASL1、AHASL2およびAHASL3遺伝子のDNA配列をアラインし、RHA266からのそれらの対応するDNA配列と比較したとき、差は検出されなかった(データは示さない)。本発明は、いずれの特定の生物学的メカニズムによる拘束も受けないが、これらの結果は、MUT31のヒマワリ植物が、1つ以上のAHASL遺伝子における突然変異とは無関係である新規除草剤抵抗性メカニズムを含むことを示している。
【0107】
実施例3
MUT31による除草剤解毒の分析
【0108】
MUT31ヒマワリの解毒能力を評価するために、温室で実験を行った。実験の目的は、MUT31植物のイマザモックス耐性が、P450モノオキシゲナーゼ酵素(本明細書では「P450酵素」と呼ぶ)によって媒介される解毒メカニズム関連しているかどうかを判定することである。有機リン酸系殺虫剤マラチオン(ジエチル−ジメトキシチオホスホリルチオスクシネート)が、除草剤解毒活性を遮断することによりP450酵素を特異的に阻害することは、以前に報告されている(Yuら(2004)Pest.Biochem.Physiol.78:21−30)。従って、改変されたP450酵素に起因する増強された除草剤耐性を含む植物は、除草剤で処理する前にマラチオンを適用すると、除草剤に対してあまり耐性または感受性でなくなると予想される。
【0109】
3つの要因:ゲノタイプ(MUT31およびRHA266)、除草剤用量(対照、0.25X、および0.50X;X=50g ai/ha イマザモックス)およびマラチオン(マラチオンを伴うまたは伴わない)での要因実験を、無作為化分割区画法(randomized split−split plot block design)で計画した。イマザモックス(SWEEPER)を3〜4葉成長段階で噴霧した。除草剤噴霧の30分前に、P450阻害剤マラチオンを1000g ai/haの率で噴霧した。除草剤噴霧の7日後、表2に記載の基準を用いて植物の評価を行った。
【0110】
【表2】

【0111】
除草剤がないときのマラチオンの適用は、MUT31およびRHA266ヒマワリ系統の応答に影響を及ぼさなかった。平均と分散の両方がゼロであった(表3)。両方の系統が、イマザモックスの前にマラチオンを噴霧しなかったときのほうが耐性(低い損傷%スコア)であった。植物を0.5Xのイマザモックスのみで処理したとき、MUT31は、対照RHA266に対する有意な除草剤耐性増大を示した。MUT31の除草剤耐性は、マラチオン処理後、有意に低下(より高いスコア)した(表3、図1)。統計解析の結果を表4に提示する。
【0112】
この要因実験の結果は、MUT31によって阻害された除草剤耐性をマラチオンが阻害したことを示しており、ならびにMUT31の除草剤耐性表現型が、1つ以上の改変P450酵素によって媒介される解毒メカニズムに起因し得ることを示唆している。本発明は、増強された除草剤抵抗性に関していずれの特定の生物学的メカニズムにも依存しないが、これらの結果は、MUT31ヒマワリ植物がP450酵素をコードする1つ以上の遺伝子における1つ以上の突然変異をそのゲノムに含むことをさらに示唆している。
【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
実施例4
MUT31および除草剤耐性AHASL遺伝子を有するヒマワリ系統の除草剤耐性
【0116】
現地試験を行って、ヒマワリAHASL遺伝子においてMUT31形質を有するヒマワリハイブリッドの除草剤耐性とA205V突然変異を有するヒマワリハイブリッドの除草剤耐性を比較した(A205V/A205V)。A205V突然変異を有するヒマワリAHASL遺伝子は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)AHASLタンパク質におけるアミノ酸位置205に対応するアミノ酸にバリンを有するAHASLタンパク質をコードする。野生型ヒマワリAHASLタンパク質における同じ位置のアミノ酸は、アラニンである。ヒマワリAHASLタンパク質のアミノ酸配列において、このアラニンからバリンへのアミノ酸置換は、アミノ酸位置190でである。慣例により、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)AHASLタンパク質のアミノ酸配列における置換位置は、植物AHASLタンパク質において除草剤抵抗性を生じさせることが公知であるアミノ酸置換部位を参照する。
【0117】
【表5】

【0118】
それぞれの項目の種子は、2005/2006年に南アメリカにおいて最適な種子生産条件下で生産した。2006年に米国のノースダコタにおけるある場所で現場試験を行った。処理の組み合わせそれぞれについての3回の反復からなる分割法を用い無作為化完全区画で項目を構成した。要因Aは、除草剤処理であり、要因Bは、ヒマワリの項目であった。区画サイズは、4列×12ftであり、播種率は、土地の農地経済学的慣行に相応したものだった。項目1〜6のそれぞれの処理についての除草剤の比率を表6に示す。項目8のそれぞれの処理についての除草剤の比率を表7に示す。噴霧量は、背負い型噴霧器については10ガロン毎エーカー(GPA)(すなわち100リットル/ha)、またはトラクター搭載ブームについては20GPA(すなわち200リットル/ha)であった。2〜4葉成長段階において除草剤処理を適用した。
【0119】
【表6】

【0120】
【表7】

【0121】
項目7(野生型維持系統)は、すべての処理ブロックにおいて未噴霧のまま放置した。それぞれの除草剤処理をWT境界区画で試験して、製品の効力を確認した(噴霧後21日の時点で100%作物障害)。
【0122】
除草剤適用後7日および21日の時点で、植物毒性評価を行った。植物毒性を植物損傷の量として(パーセントで)記録し、「0」の評点は、未処理区画に比べて区画内の植物への損傷がないことを示した。「100」の評点は、未処理区画に比べて区画内の植物の完全なネクローシス(枯死)を示した。
【0123】
データをANOVA分析に付した。3回の繰り返しの平均を表8に提示する(処理後21日の時点での植物毒性)。
【0124】
【表8】

【0125】
ヘテロ接合性A205Vの項目(項目3〜5)における植物毒性は、イマザモックスおよびイマザピルでの処理後21日の時点で二重ヘテロ接合性A205V/MUT31の項目(項目6)より有意に高かった。ホモ接合性A205Vの項目(項目1〜2)は、最低レベルの植物毒性または作物障害を明示した(表1)。100g ai/haのイマザモックスで、A205Vヘテロ接合性の項目の植物毒性範囲は、A205A/MUT31ヘテロ接合性の項目についての10%の障害評点と比較して、25%と47%との間であった。200g ai/haのイマザモックスでのA205Vヘテロ接合性の項目の植物毒性範囲は、A205A/MUT31ヘテロ接合性の項目についての43%の障害評点と比較して、73%と78%との間の障害であった。160g ai/haのイマザピルを用いると、A205Vヘテロ接合性の項目の植物毒性範囲は、A205A/MUT31ヘテロ接合性の項目についての10%の障害評点と比較して、20%と43%との間の障害であった。
【0126】
MUT31のみ(項目8)を37.5g ai/haのイマザモックスで攻撃したとき、処置後21日の時点で47%の障害評点を明示した。様々な研究(データは示さない)から、MUT31は、ヘクタールあたり75g aiのイマザモックスおよびヘクタールあたり100g aiのイマザピルの比率で100%の作物障害を明示した。
【0127】
二重ヘテロ接合性A205V/MUT31の項目は、ヘテロ接合性A205V/−の項目に対するおよびMUT31の項目それ自体に対するイマザモックス処理とイマザピル処理の両方に対して有意に高い除草剤体制を明示した。
【0128】
このデータに基づき、MUT31は、ヘテロ接合状態でA205V突然変異を積重ねると、ヘテロ接合状態でのA205V突然変異より強い(増強された)除草剤耐性をもたらす。2倍の商品率(100g ai イマザモックス/haおよび160 ai イマザピル/ha)でヘテロ接合状態で作用する製品を有することは、ヒマワリハイブリッド植物育種者にとって現行のホモ接合性A205V/A205V製品を超える大きな利点であり、イミダゾリノン耐性ヒマワリの育種に関する時間と物資、両方の節約となる。
【0129】
本明細書において言及したすべての出版物および特許出願は、本発明が属する当業者のレベルを示すものである。すべての出版物および特許出願は、個々の出版物または特許出願それぞれが参照により組み込まれると具体的におよび個々に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
理解を明瞭にするために例証および実例として、上記発明を多少詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲内で一定の変更および変形を実行できることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草剤抵抗性のヒマワリ植物であって、
該ヒマワリ植物は、本明細書においてMUT31と呼ぶヒマワリ植物(該ヒマワリ植物の代表種子がATCC特許寄託番号PTA−7839で寄託されている)であり、または前記ヒマワリ植物は、MUT31のイミダゾリノン抵抗性子孫であり、MUT31形質を含む、ことを特徴とする除草剤抵抗性ヒマワリ植物。
【請求項2】
前記ヒマワリ植物が、
(a)MUT31の後代であるヒマワリ植物、
(b)MUT31の突然変異体、組換え体または遺伝子組換え誘導体である、ヒマワリ植物、
(c)(a)〜(b)のヒマワリ植物のうちの少なくとも1つの後代であるヒマワリ植物、
からなる群より選択される、請求項1に記載のヒマワリ植物。
【請求項3】
前記ヒマワリ植物が、マラチオンにより阻害され得るイミダゾリノン抵抗性を含む、請求項1または2に記載のヒマワリ植物。
【請求項4】
前記ヒマワリ植物が、少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤に対する増強された抵抗性を有する、請求項1または2に記載のヒマワリ植物。
【請求項5】
前記イミダゾリノン除草剤が、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−3−キノリンカルボン酸、5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−メチルニコチン酸、およびメチル6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−m−トルエートとメチル2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−p−トルエートの混合物、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項4に記載のヒマワリ植物。
【請求項6】
前記イミダゾリノン除草剤が、イマザモックスである、請求項4に記載のヒマワリ植物。
【請求項7】
前記種子が、MUT31のイミダゾリノン抵抗性子孫であり、MUT31形質を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒマワリ植物の種子。
【請求項8】
前記種子をイミダゾリノン除草剤で処理する請求項7に記載の種子。
【請求項9】
MUT31形質を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物の細胞。
【請求項10】
前記細胞が花粉細胞または種子細胞である、請求項9に記載の細胞。
【請求項11】
MUT31形質を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物の花粉粒。
【請求項12】
有効量のイミダゾリノン除草剤を雑草におよびヒマワリ植物に適用することを含む、ヒマワリ植物付近の雑草を防除する方法であって、
前記ヒマワリ植物は、本明細書においてMUT31と呼ぶヒマワリ植物(該ヒマワリ植物の代表種子がATCC特許寄託番号PTA−7839で寄託されている)であり、
または前記ヒマワリ種子は、MUT31のイミダゾリノン抵抗性子孫であり、MUT31形質を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記ヒマワリ植物が、
(a)MUT31の後代であるヒマワリ植物、
(b)MUT31の突然変異体、組換え体または遺伝子組換え誘導体であるヒマワリ植物、
(c)(a)〜(b)のヒマワリ植物のうちの少なくとも1つの後代であるヒマワリ植物、
からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記イミダゾリノン除草剤が、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−3−キノリンカルボン酸、5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−メチルニコチン酸、およびメチル6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−m−トルエートとメチル2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−p−トルエートの混合物、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
(a)イミダゾリノン除草剤に抵抗性である第一のヒマワリ植物を、イミダゾリノン除草剤に抵抗性でない第二のヒマワリ植物と交配させる工程であって、前記第一のヒマワリ植物は、本明細書においてMUT31と呼ぶヒマワリ植物(該ヒマワリ植物の代表種子がATCC特許寄託番号PTA−7839で寄託されている)であり、または前記第一のヒマワリ種子は、MUT31のイミダゾリノン抵抗性子孫であり、MUT31形質を含むことを特徴とする工程と、
(b)イミダゾリノン除草剤に抵抗性である後代植物を選択する工程と、
を含む、除草剤抵抗性ヒマワリ植物の生産方法。
【請求項16】
前記第一のヒマワリ植物が、
(i)MUT31の後代であるヒマワリ植物、
(ii)MUT31の突然変異体、組換え体または遺伝子組換え誘導体であるヒマワリ植物、
(iii)(i)〜(ii)のヒマワリ植物のうちの少なくとも1つの後代であるヒマワリ植物、
からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第一のヒマワリ植物が、少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤に対する増強された抵抗性を有する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記イミダゾリノン除草剤が、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−3−キノリンカルボン酸、5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−メチルニコチン酸、およびメチル6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−m−トルエートとメチル2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−p−トルエートの混合物、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法によって生産される除草剤抵抗性ヒマワリ植物。
【請求項20】
MUT31形質を含む請求項19に記載のヒマワリ植物の種子。
【請求項21】
(a)第一のヒマワリ植物を第二のヒマワリ植物と交配させる工程であって、前記第一のヒマワリ植物は、本明細書においてMUT31と呼ぶヒマワリ植物(該ヒマワリ植物の代表種子がATCC特許寄託番号PTA−7839で寄託されている)であり、または前記第一のヒマワリ種子は、MUT31のイミダゾリノン抵抗性子孫であり、MUT31形質を含むことを特徴とする工程と、
(b)MUT31形質を含み、イミダゾリノン除草剤に対する前記第二のヒマワリ植物の抵抗性と比較したときイミダゾリノン除草剤に対する増大された抵抗性を含む後代植物を選択する工程と、
を含む、ヒマワリ植物の除草剤抵抗性を増大させる方法。
【請求項22】
前記第一のヒマワリ植物が、
(i)MUT31の後代であるヒマワリ植物、
(ii)MUT31の突然変異体、組換え体または遺伝子組換え誘導体であるヒマワリ植物、
(iii)(i)〜(ii)のヒマワリ植物のうちの少なくとも1つの後代であるヒマワリ植物、
からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第一のヒマワリ植物が、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−3−キノリンカルボン酸、5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−メチルニコチン酸、およびメチル6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−m−トルエートとメチル2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−p−トルエートの混合物、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤に対する増強された抵抗性を有する、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記第二のヒマワリ植物が、少なくとも1つの除草剤抵抗性AHASL遺伝子を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第二のヒマワリ植物が、A205Vアミノ酸置換を含むAHASLタンパク質をコードする少なくとも1つの除草剤抵抗性AHASL遺伝子を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記後代植物が、前記第一のヒマワリ植物、前記第二のヒマワリ植物、または前記第一のヒマワリ植物と前記第二のヒマワリ植物の両方と比較したとき、少なくとも1つの除草剤に対する増大された抵抗性を含む、請求項21〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記後代植物が、前記第一のヒマワリ植物、前記第二のヒマワリ植物、または前記第一のヒマワリ植物と前記第二のヒマワリ植物の両方と比較したとき、少なくとも1つのイミダゾリノン除草剤に対する増大された抵抗性を含む、請求項21〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記後代植物が、前記第一のヒマワリ植物、前記第二のヒマワリ植物、または前記第一のヒマワリ植物と前記第二のヒマワリ植物の両方と比較したとき、イマザモックス除草剤、イマザピル除草剤またはイマザモックスとイマザピル両方の除草剤に対する増大された抵抗性を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第二の植物が、グリホサートに対する抵抗性を含む、請求項21〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
請求項21〜29のいずれか1項に記載の方法によって生産される植物。
【請求項31】
MUT31形質を含む請求項30に記載の植物の種子。
【請求項32】
MUT31形質および少なくとも1つの除草剤抵抗性AHASL遺伝子を含む、ヒマワリ植物または種子。
【請求項33】
前記ヒマワリ植物が、MUT31形質および前記除草剤抵抗性AHASL遺伝子についてヘテロ接合性である、請求項32に記載のヒマワリ植物または種子。
【請求項34】
除草剤抵抗性ASHASL遺伝子が、A205Vアミノ酸置換を含むAHASLタンパク質をコードする、請求項33に記載のヒマワリ植物または種子。
【請求項35】
前記種子がMUT31形質を含む、請求項32〜34のいずれか1項に記載のヒマワリ植物の種子。
【請求項36】
請求項1〜6、19、30および32〜34のいずれか1項に記載のヒマワリ植物のヒマワリ種子を、播種前および/または予備発芽後に、イミダゾリノン除草剤と接触させることを含む、望ましくない草木を防除するための方法。
【請求項37】
ヒマワリ植物の成長に好適な環境に前記ヒマワリ種子を植えることをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記環境が、望ましくない草木を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
MUT31と呼ばれるヒマワリ系統(該系統の代表種子がATCCアクセッション番号PTA−7839で寄託されている)の種子。
【請求項40】
請求項39に記載の種子を成長させることによって生産されるヒマワリ植物またはその一部分。
【請求項41】
請求項40に記載の植物またはその一部分から生産される再生可能な細胞の組織培養物。
【請求項42】
前記組織培養物の細胞が、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、根、根尖、葯、幹および花からなる群より選択される組織からのものである、請求項41に記載の組織培養物。
【請求項43】
請求項40に記載の植物もしくはその一部または請求項41に記載の組織培養物から生産されるプロトプラスト。
【請求項44】
ヒマワリ系統MUT31(該系統の代表種子がATCCアクセッション番号PTA−7839で寄託されている)のすべての形態学的および生理的特性を有する、請求項41に記載の組織培養物から再生されるヒマワリ植物。
【請求項45】
対象となるトランスジーンが、再生前にそのゲノムに安定的に組み込まれた、請求項44に記載のヒマワリ植物。
【請求項46】
MUT31形質を含む請求項44または45に記載のヒマワリ植物の種子。
【請求項47】
前記トランスジーンを含む請求項45に記載のヒマワリ植物の種子。
【請求項48】
請求項40に記載の植物を異なるヒマワリ植物と交配させることと、結果として生ずるハイブリッドヒマワリ種子を収穫することを含む、ハイブリッドヒマワリ種子を生産するための方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−512157(P2010−512157A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540756(P2009−540756)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063737
【国際公開番号】WO2008/071715
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(507209148)ビーエーエスエフ  アグロケミカル プロダクツ ベスローテン フェンノートシャップ (1)
【出願人】(509165264)アドヴァンタ、シーズ、ベスローテン、フェンノートシャップ (1)
【Fターム(参考)】