説明

除草剤

【課題】新規液体除草製剤の提供。
【解決手段】本発明に係る液体除草製剤は、
(a)植物油又は鉱油あるいはこれらの油の混合物中に懸濁又は溶解された少なくとも1の雑草(grass)除草剤、ここで、当該除草剤は、以下の式(I):


により表される化合物、プレチラクロール(pretilachlor)、又はその混合物から選ばれ、
(b)植物油又は鉱油あるいはこれらの油の混合物中に懸濁された少なくとも1のスルホニルウレア型の除草剤、及び
(c)少なくとも1の非イオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤あるいは非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の混合物、
を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規液体除草製剤、その製造、及び栽培植物の収獲における不所望の植物の成長の制御における当該製剤の使用に関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明に従って、液体除草組成物(製剤)であって、慣用配合賦形剤に加えて、(a)非水性液相中に懸濁又は溶解された少なくとも1の雑草除草剤、(b)非水性液相中に懸濁された少なくとも1のスルホニルウレア型の除草剤、及び(c)少なくとも1の非イオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤あるいは当該非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の混合物を含むものが提案される。
【0003】
本発明に従って使用されうる雑草除草剤は、特に、アセトアニリド、フェノキシプロピオン酸、ピリミジニルオキシ安息香酸、フェニルスルホニルトリアゾール、オキシアセトアミド、オキサゾリジンジオン、フェニルベンズアミド、ピリミジニル・チオフタリド及びインダンの化学種に属し、そして好ましくは、プレチラクロール、シハロフォップ、ピリミノバック、カフォンストロール、メフェナセット、フェントラザミッド、オキサジクロメフォン、ペントキサゾン、エトベンザニッド、インダノファン、並びにエポプロダン及び以下の式(I)の化合物:
【0004】
【化1】

【0005】
である。
上記雑草除草剤は、一緒に混合されて使用されることもできる。それらは、非水性液相中に溶解又は分散形態で存在する。上記スルホニルウレア型の除草剤も、好ましくは非水性液相中に分散される。これらは、好ましくは、シノスルフロン、ピラゾスルフロン、ベンスルフロン、アジムスルフロン、イマゾスルフロン、エトキシスルフロン、シクロスルファムロン又はハロスルフロンあるいはそれらの混合物である。
【0006】
好ましい非水性液相は、全ての植物油及び鉱油、例えば、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、マツ(pine)油、綿実油、並びにこれらの油の誘導体、例えば、エステル、特にこれらの油のメチルエステル、並びにパラフィン及び芳香族鉱油、例えば、Orchex796,Shellsolタイプ、Isoparタイプ、芳香族画分、例えば、Solvesso200、及びエステル、例えば、Exxate700、並びにそれらの混合物を含む。
【0007】
上記非イオン及びアニオン界面活性剤は、慣用の、商業的に入手可能な物質、例えば、エトキシル化植物油、Emulsogen EL、エトキシル化脂肪アルコール、例えば、Genapol O−050、エトキシル化アルキルフェノール、例えば、Synperonic NP8、エトキシル化ポリエチレン・グリコール又はポリプロピレン・グリコール、例えば、Pluronic型、エトキシル化トリスチリルフェノール誘導体、例えば、Soprophor 4D384又はSoprophor S/25、オレイル・ポリグリコール・エーテル、例えば、Genapol U−050、及びシリコーン界面活性剤、例えば、Silwet L77、並びにドデシルベンゼン・スルホネート、例えば、Sermul 88A、アルコール・エーテル・スルホネート、例えば、Genapol LRO、リグニン・スルホネート、例えば、Ultrazin NA、フェノール・スルホネート、例えば、Sipragil GN及びポリカルボキシレート、例えば、Geropon TA72、スルホネート化ナフタレン/ホルムアルデヒド濃縮物、例えば、Supragil MSN、スルホスクシネート、例えば、Aerosol OT70PG、ポリアクリレート誘導体、例えば、Atlox 4913、マレイン酸/オレフィン・コポリマー、例えば、Sokolan CP9、アルキル・ポリグリコシド、アルキル無水コハク酸誘導体、ソルビタン・エステル、エトキシル化ソルビタン・エステル、アルキル及びアルキルアリール・ポリグリコール・エーテル・リン酸エステル及びエトキシル化脂肪酸エステル、並びにタウリド(taurides)、例えば、Hostapon T hk であることができる。
【0008】
上述の除草剤は、the Pesticide Manual,Eleventh Edition,British Crop Protection Council,1997中に記載されている。式(I)の化合物は、EP−A−447506から知られ、フェントラザミッドはBritish Crop Protection Conference Proceedings,1997,67−72から知られ、そしてオキサジクロメフォンは、British Crop Protection Conference Proceedings,1997,73−80から知られている。
【0009】
本発明に係る好ましい除草製剤は、雑草除草剤として、シハロフォップ(cyhalofop)、ピリミノバック(pyriminobac)、キャフェンストロール(cafenstrole)、メフェナセット(mefenacet)、フェントラザミド(fentrazamid)、オキサジクロメフォン(oxaziclomefon)、ペントキザゾン(pentoxazone)、エトベンザニッド(etobenzanid)、インダノファン(indanofan)、エポプロダン(epoprodan)、プレチラクロール(pretilachlor)、又は以下の式(I):
【0010】
【化2】

【0011】
により表される化合物、あるいはその混合物を含む。請求項1記載の製剤。
前記スルホニルウレア型の除草剤として、本発明に係る製剤は、好ましくは、ピラゾスルフロン(pyrazosulfuron)、ベンスルフロン(bensulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、ハロスルフロン(halosulfuron)又はシノスルフロン(cinosulfuron)又はその混合物を含む。
【0012】
使用される非水性液相は、好ましくは、植物油又は鉱油あるいはこれらの油の混合物である。
考えうる好ましい非イオン界面活性剤は、エトキシル化植物油、エトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化ポリエチレン・グリコール又はポリプロピレン・グリコールあるいはそれらのコポリマー、エトキシル化トリスチリルフェノール誘導体、オレイル・ポリグリコール・エーテル又はシリコーン界面活性剤を含み、そしてアニオン界面活性剤は、ドデシルベンゼン・スルホネート、スルホスクシネート、エトキシル化トリスチリルフェノール・スルフェート又はホスフェート、アルコール・エーテル・スルホネート、リグニン・スルホネート、エトキシル化フェノール・スルフェート又はポリカルボキシレートであることができる。
【0013】
重要な製剤は、前記雑草除草剤として、植物油中に懸濁又は溶解されたプレチラクロール(pretilachlor)又は式(I)の化合物あるいはそれらの混合物を、前記スルホニルウレア型の除草剤として、植物油中に懸濁されたベンスルフロン(bensulfuron)、ピラゾスルフロン(pyrazosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)又はシノスルフロン(cinosulfuron)あるいはそれらの混合物を、そして前記界面活性剤として、非イオン化合物とアニオン化合物の混合物を含むものである。
【0014】
これらの中で、好ましいのは、前記雑草除草剤として、植物油中に懸濁又は溶解された式(I)の化合物、前記スルホニルウレア型の除草剤として、植物油中に懸濁されたシノスルフロン(cinosulfuron)そして、界面活性剤として、非イオン化合物とアニオン化合物の混合物を含む製剤である。
これらの中で、さらに好ましいのは、前記雑草除草剤として、植物油中に懸濁又は溶解されたプレチラクロール(pretilachlor)、前記スルホニルウレア型の除草剤として植物油中に懸濁された、シノスルフロン(cinosulfuron)、そして界面活性剤として、非イオン化合物とアニオン化合物の混合物を含む製剤である。
【0015】
特に有効な製剤は、前記雑草除草剤として、ナタネ油又はナタネ油メチル・エステルあるいはそれらの混合物中に懸濁又は溶解された、プレチラクロール又は式(I)の化合物あるいはそれらの混合物を、前記スルホニルウレア型の除草剤として、ナタネ油又はナタネ油メチル・エステルあるいはそれらの混合物中に懸濁されたベンスルフロンを、そして前記界面活性剤として、ヒマシ油エトキシレート、ドデシルベンゼン・スルホネート、エトキシル化トリスチリルフェノール・スルフェート及びオレイル・ポリグリコール・エーテルから選ばれる、非イオン化合物とアニオン化合物の混合物を含む。
【0016】
本発明に係る製剤は、それらが高濃度で除草活性成分を含有することができ、かつ、それらが長い時間にわたり分解から保護されて残存するという大きな利点をもつ。それらは、他の油溶性又は液体混合物、例えば、生物学的活性を高めるために好適な添加物、並びに安定剤、例えばエポキシド化した植物油が、問題を伴わずに添加されることができるという可能性をも提供する。驚ろくべきことに、本発明に係る製剤は、有機液体の使用に拘らず、それらの適用後に栽培植物の収獲に対して実際上の害を及ぼさない。
【0017】
本発明に係る製剤は、好ましくは、水をはった水田における雑草の防除のために好適である。本法は、有利には、要求量の製剤が等量〜10倍量の水と混合され、そして既に水をはった水田に直接適用され、又は水田の水はりの間に流入する水に添加される(いわゆる、放出(splash)適用)ようなやり方で行われる。さらに、稲の機械による植え付けと同時に、上記製剤を適下して又は部分として適用することもできる(いわゆる、浸漬(dip)適用)。
【0018】
本発明に係る製剤のスプレー適用も同様に可能であるが、水によるより高い希釈を要求する。
本発明に係る製剤の適用割合は、広いレンジ内で変化しうる。50〜2000g/haの除草剤を使用することが好ましい(雑草除草剤プラススルホニルウレア型の除草剤)。
【0019】
本発明に係る液体製剤は、1リッター当り、30〜1920gの雑草除草剤及び20〜80gのスルホニルウレア型の除草剤、並びに50〜300gの界面活性剤(アニオン・プラス・非イオン)を含む。通常、2〜20l/haの、以下実施例に記載する配合物が、直接適用又は放出適用のために要求される。放出適用のためには、この量は、通常20〜500l/haである。本発明に係る製剤は、さらなる慣用添加物、例えば、不活性担体、例えば、カオリン(kaolin)及びチョーク(chalk)、安定剤、消泡剤、保存料、粘度調節剤、増粘剤、例えば、ケイ酸又はベントナイト、バインダー、粘着剤(tackifier)、並びに肥料又は他の活性成分を含むこともできる。上記製剤は、知られたやり方で、例えば、上記活性成分を上記配合賦形剤及び液体又は固体担体とじかに混合し、そして/又はそれとともに粉砕することにより製造される。
【0020】
特に好ましい配合物は、以下のように調製される:
配合実施例
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
【表4】

【0025】
【表5】

【0026】
【表6】

【0027】
【表7】

【0028】
【表8】

【0029】
【表9】

【0030】
【表10】

【実施例】
【0031】
適用実施例
配合物F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8,F9及びF10を水で5lに希釈し、そして5l/haの適用割合で水をはった水田に直接導入する(放出適用)。適用後22日目に、雑草、エキノクロア(Echinochloa)、シルパス(Scirpus)、及びモノコリア(Monochoria)の防除、並びに稲に対する上記製剤の植物毒性活性を調べる(100%は、雑草の完全な防除又は完全に枯れた稲を示し、0%は雑草の防除が全くないこと又は稲に対する植物毒性活性が全くないことを示す)。これは、エキノクロアの並行して行われる、a)発芽の間、b)2.5葉段階における、そしてc)4.1葉段階における、テストにおいて生じる。上記テストにおいて得られた結果を以下の表に要約する:
【0032】
【表11】

【0033】
【表12】

【0034】
上記配合物が、例えば、2〜500lまで水で希釈される場合に、同じ結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体除草製剤であって、
(a)植物油又は鉱油あるいはこれらの油の混合物中に懸濁又は溶解された少なくとも1の雑草(grass)除草剤、ここで、当該除草剤は、以下の式(I):
【化1】

により表される化合物、プレチラクロール(pretilachlor)、又はその混合物から選ばれ、
(b)植物油又は鉱油あるいはこれらの油の混合物中に懸濁された少なくとも1のスルホニルウレア型の除草剤、及び
(c)少なくとも1の非イオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤あるいは非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の混合物、
を含む前記製剤。
【請求項2】
前記スルホニルウレア型の除草剤として、ピラゾスルフロン(pyrazosulfuron)、ベンスルフロン(bensulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、ハロスルフロン(halosulfuron)又はシノスルフロン(cinosulfuron)又はその混合物を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記非イオン界面活性剤として、エトキシル化植物油、エトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化ポリエチレン・グリコール又はプロピレン・グリコールあるいはそれらのコポリマー、エトキシル化トリスチリルフェノール誘導体、オレイル・ポリグリコール・エーテル又はシリコーン界面活性剤を含み、又は前記アニオン界面活性剤として、ドデシルベンゼン・スルホネート、スルホスクシネート、エトキシル化トリスチリルフェノール・スルフェート又はホスフェート、アルコール・エーテル・スルホネート、リグニン・スルホネート、エトキシル化フェノール・スルフェート又はポリカルボキシレートあるいはこれらの非イオン界面活性化合物とアニオン界面活性化合物の混合物を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記雑草除草剤として、植物油中に懸濁又は溶解されたプレチラクロール(pretilachlor)又は式(I)の化合物あるいはそれらの混合物を、前記スルホニルウレア型の除草剤として、植物油中に懸濁されたベンスルフロン(bensulfuron)、ピラゾスルフロン(pyrazosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)又はシノスルフロン(cinosulfuron)あるいはそれらの混合物を、そして前記界面活性剤として、非イオン化合物とアニオン化合物の混合物を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記雑草除草剤として、式(I)の化合物、そして前記スルホニルウレア型の除草剤として、シノスルフロン(cinosulfuron)を含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
前記雑草除草剤として、プレチラクロール(pretilachlor)、そして前記スルホニルウレア型の除草剤として、シノスルフロン(cinosulfuron)を含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項7】
前記雑草除草剤として、ナタネ油又はナタネ油メチル・エステルあるいはそれらの混合物中に懸濁又は溶解された、プレチラクロール又は式(I)の化合物あるいはそれらの混合物を、前記スルホニルウレア型の除草剤として、ナタネ油又はナタネ油メチル・エステルあるいはそれらの混合物中に懸濁されたベンスルフロンを、そして前記界面活性剤として、ヒマシ油エトキシレート、ドデシルベンゼン・スルホネート、エトキシル化トリスチリルフェノール・スルフェート及びオレイル・ポリグリコール・エーテルから選ばれる、非イオン化合物とアニオン化合物の混合物を含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項8】
前記雑草除草剤として、式(I)の化合物を含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
栽培植物の収獲における不所望の植物の成長の制御における、請求項1に記載の液体除草製剤の使用。
【請求項10】
既に水をはった水田への、水をはったばかりの水田への、又は稲の作付の間の、前記製剤の直接適用による、稲における不所望の植物の成長の制御のための請求項9に記載の使用。

【公開番号】特開2006−232850(P2006−232850A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119643(P2006−119643)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【分割の表示】特願2000−579054(P2000−579054)の分割
【原出願日】平成11年11月2日(1999.11.2)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】