説明

除菌・抗菌剤及び土壌改良剤

【課題】木酢液、籾酢液を粉砕した籾殻に含浸した、除菌・抗菌剤及び土壌改良剤の提供。
【解決手段】木酢液、籾酢液の単独又は混合物を、50〜200メッシュに粉砕した籾殻100重量%に対して0.1〜100重量%含浸して製造する。かかる方法は、籾酢液と籾殻を併用する構成であるから、これまで利用が少なく処理に苦慮していた籾殻の需要が広がり、畜舎、家屋の環境改善、土壌改良など広範囲に活用することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾殻の有効利用方法で、具体的には、木酢液、籾酢液を粉砕した籾殻に含浸して製造した除菌・抗菌剤及び土壌改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
籾殻は、米作農家の副産物として大量に産出され、その処理に苦慮しているのが現状である。籾殻はそのままでは疎水性で腐敗し難く堆肥化はできない。また家畜の敷料としての利用も考えられるが、吸収性を欠くことや、籾殻の芒とよばれるトゲが家畜の目に刺さったり皮膚に障害を与えるので直接の利用が少なくなっている。
【0003】
また、木酢液、籾酢液は、木材及び籾殻から、木炭、籾殻炭の製造時に発生する排煙を冷却して得られる褐色液体で、除菌・抗菌の効果が知られており除菌・抗菌剤として、また、土壌改良剤としても利用されているが、大量に産出される籾殻を消費するにはその需要は少ない。
【0004】
別に、現在多くの除菌・抗菌剤、土壌改良剤が開発されているが、そのほとんどが化学物質を利用しているため、少なからずとも環境への影響が懸念されるが、木酢液、籾酢液は天然素材であり、人体・環境への影響はほとんどない。
【0005】
尚、特許第3160860号で提案されている除菌・抗菌剤は、籾殻酢液を1〜5%の範囲で水に希釈しているものであり、酢液の媒体は水に限定されたものである。
【特許文献1】特許第3160860号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような従来事情に鑑みなされたもので、大量に産出され処理に苦慮している籾殻を利用し製造した、除菌・抗菌剤及び土壌改良剤を提供するものであって、資源を有効に利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために構成された本発明の手段は、木酢液、籾酢液を粉砕した籾殻に含浸したことにある。
【0008】
なお、木酢液、籾酢液と粉砕した籾殻の割合は、木酢液と籾酢液の単独又は混合物を、粉砕した籾殻100重量%に対して目的により0.1〜100重量%を含浸すると良い。
【0009】
また、粉砕後の籾殻の大きさは、50〜200メッシュにすると良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、籾酢液と籾殻を併用する構成であるから、これまで利用が少なく処理に苦慮していた籾殻の需要が広がり、畜舎、家屋の環境改善、土壌改良など広範囲に活用が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。木酢液は広葉樹、針葉樹を、籾酢液は米作の副産物である籾殻をそれぞれ炭化させる過程で発生する排煙を冷却して得られ、含まれるタール分を自然沈降、遠心分離機または乾留により取り除いたものを使用。
【0012】
また、籾殻はそのままの状態では疎水性で、酢液等水分の吸収が悪い。その欠点を補うため、籾殻を粉砕機により50〜200メッシュの粉末にしたことにより、水分は籾殻自身の重量の約3倍量、油は約2倍量を吸収する状態になった。さらに、粉砕したことにより、籾殻の芒のトゲが家畜の目や皮膚に障害を与えることがなくなる。粉砕機の機種は特に限定はないが、微細な大きさが必要な場合は複数回粉砕機をかけることにより得られる。
【0013】
上述の木酢液または籾酢液の単独または混合物を水で10%以上に希釈した溶液、または原液を、粉砕し吸水性を良くした籾殻粉末100重量%に対して、0.1〜100重量%含浸した。(以下、酢液含浸籾粉という)
【0014】
家畜の敷料として利用する場合、酢液含浸籾粉をそのまま若しくは他の敷料と混合して使用する。特に家畜が畜舎内で飼育されている場合、狭い室内での飼育により、畜舎内の環境悪化が懸念されるが、酢液含浸籾粉を敷料の一部として使用したことで、酢液の除菌・抗菌作用により、畜舎内の環境が改善され、家畜の成長促進、免疫力向上、更に作業者の健康に対しても効果があった。また酢液は消臭効果もあることから、畜舎周辺地域の環境も改善できた。また、敷料として使用後堆肥化が可能で、更に、直接土壌に配合することにより土壌改良剤として利用が可能となる。
【0015】
以下、本発明の使用例を述べる。籾殻粉末に対して籾酢液20重量%の比率で含浸した酢液含浸籾粉を20倍量の既存の敷料と混合し、牛舎の敷料として用いた結果、未使用の群と比較して、皮膚病に感染する割合が大幅に減少した。
【0016】
上述の使用後の敷料の堆肥化を実施した結果、既存の敷料と同等の堆肥にすることが出来た。
【0017】
籾酢液を20重量%の比率で含浸した酢液含浸籾粉を、土壌に配合したところ、酢液の除菌・抗菌作用により、連作障害の原因となる病害虫や細菌が減少し、連作障害を抑える土壌改良剤として活用できた。また、酢液含浸籾粉のpHは酸性であり、土壌のpH調整剤として、さらに、籾殻により土壌の膨軟化作用も見られた。
【0018】
籾酢液を5重量%の比率で含浸した酢液含浸籾粉を、直接家屋の床下に散布したところ、木材の腐敗防止、鼠等動物の進入防止に効果があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木酢液、籾酢液を粉砕した籾殻に含浸してなる、除菌・抗菌剤及び土壌改良剤。
【請求項2】
請求項1に記載の木酢液、籾酢液と粉砕した籾殻の配合の割合は、木酢液と籾酢液の単独又は混合物を、粉砕した籾殻100重量%に対して0.1〜100重量%を含浸することを特徴とする除菌・抗菌剤及び土壌改良剤。
【請求項3】
請求項1に記載の粉砕した籾殻は、大きさが50〜200メッシュであることを特徴とする除菌・抗菌剤及び土壌改良剤。

【公開番号】特開2008−189647(P2008−189647A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56339(P2007−56339)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(505456735)株式会社ラボケミカル (3)
【Fターム(参考)】