説明

除菌器及び濾過装置

【課題】信頼性の向上が可能な除菌器及び濾過装置を提供すること。
【解決手段】濾過装置100に用いられ、薬液を連結管6内の流体に注入することで、除菌を行う除菌器101として、薬液を貯留する薬液槽4と、薬液槽4に貯留された薬液を圧送する注入ポンプ17と、注入ポンプ17に接続され、圧送された薬液を連結管6の二次側注入する薬液注入器19と、連結管6の一次側に設けられ、この回転翼41の回転により連結管6内の流量を検出可能に形成された流量検出器32と、連結管6内であって、流量検出器32及び薬液注入器19間に設けられ、連結管6内の流れが停止することで閉となる弁体35と、を備えることを構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を薬液により除菌を行う除菌器、及び、流体の除菌及び濾過を行う濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸水等を利用する際には、例えば、給水ポンプで井戸水を増圧し、各供給先へと供給される。なお、井戸水を生活用水等に利用する際には、濾過装置を用いて、井戸水に含有する鉄やマンガンの除去や、不純物の濾過、及び、除菌が行われる。
【0003】
このような濾過装置には、例えば、井戸水中に薬液を注入する除菌器と、鉄や不純物、及び、井戸水中に含有するマンガンを除去する濾過槽と、が用いられる。
【0004】
除菌器は、井戸水を給水する給水ポンプの二次側に順次設けられ、薬液、例えば次亜塩素酸ナトリウムを給水ポンプで給水された井戸水に注入し、除菌を行う。また、除菌器は、薬液により井戸水中の鉄を酸化させて析出させる。濾過槽は、この析出させた鉄を濾過することで、除鉄を行う。なお、濾過槽は、その内部に設けられた濾過材により、マンガンを吸着することで、除マンガンを行う。
【0005】
このような濾過装置に用いられる除菌器は、薬液を貯留する薬液槽と、井戸水を流通させる連結管と、井戸水の流量を検出する流量検出器と、薬液を注入する薬液注入部を有する薬液注入器と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような除菌器は、流量検出器で検出された流量に応じて薬液を連結管の注入部に設けられた薬液注入部から注入する構成が用いられている。
【0006】
なお、この除菌器に用いられる流量検出器は、例えば、回転翼の回転を検出するものが用いられる。また、薬液注入部において、塩素のオーバフィートを防止するチェック弁と、井戸水中に含有される鉄分からチェック弁を保護するノズルを有する構成も知られている。
【0007】
さらには、低温度下での使用の際に、連結管内の凍結を防止するために、凍結防止用ヒータを連結管に設ける構成も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−81976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した除菌器及び除菌器を用いた濾過装置では、以下の問題があった。即ち、上述した除菌器は、薬液により除菌だけでなく、鉄分の酸化析出を行う。しかし、析出した鉄が流量検出器に付着すると、回転翼の回転が阻害される虞がある。このため、流量検出器は、薬液の注入部よりも一次側に設けることが考えられる。
【0010】
しかし、除菌器の二次側に設けられた濾過槽は、その水位が除菌器の水位よりも高くなる。このため、給水ポンプの停止時等において、除菌器の二次側から一次側への逆流が発生する虞がある。この逆流により、析出した鉄が回転翼に付着する虞もある。
【0011】
なお、当該逆流が発生しない場合であっても、給水ポンプの停止時において、連結管内に残留する薬液の濃度が高い場合には、連結管内の濃度勾配が大となり、連結管内の薬液が流量検出部まで拡散し、析出した鉄が回転翼に付着する虞がある。同様に、薬液注入部の延長ノズル内に溜まった薬液も、同様に、連結管内に拡散し、回転翼に鉄が付着する虞もある。このため、流量検出器の精度が低下するといった虞があった。
【0012】
また、上述した凍結防止用ヒータを連結管に設ける除菌器では、効率のよい熱伝導とするために、熱伝導率の高い金属材料で連結部を形成する場合に、熱伝導率だけでなく、薬液に対する耐食性を考慮する必要がある。このため、例えば、SUS316等のステンレス材料を用いる必要があり、製造コストが増大するだけでなく、除菌器の重量が増大する虞もある。このため、製造コストの低コスト化や、除菌器の低重量化の要望もある。
【0013】
そこで本発明は、信頼性を向上が可能な除菌器及び濾過装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の除菌器及び濾過装置は次のように構成されている。
【0015】
本発明の一態様として、薬液を流体に注入することで、除菌を行う除菌器において、前記薬液を貯留する薬液槽と、前記流体の流路を形成する連結管と、前記薬液槽に接続され、前記薬液槽に貯留された前記薬液を圧送する注入ポンプと、前記注入ポンプに接続され、前記圧送された薬液を前記連結管の二次側に注入する薬液注入器と、前記連結管内に配置される回転翼を有し、この回転翼の回転により前記連結管内の流量を検出する、前記連結管の一次側に設けられた流量検出器と、前記連結管内であって、前記流量検出器及び前記薬液注入器間に設けられ、前記連結管内の前記流体の流れが停止することで閉となる弁体と、を備えることを特徴とする除菌器が提供される。
【0016】
本発明の一態様として、薬液を流体に注入することで、除菌を行う除菌器において、前記薬液を貯留する薬液槽と、前記流体の流路を形成する連結管と、前記薬液槽に接続され、前記薬液槽に貯留された前記薬液を圧送する注入ポンプと、前記注入ポンプに接続され、前記圧送された薬液を前記連結管の二次側に注入する薬液注入器と、前記連結管内に配置される回転翼を有し、この回転翼の回転により前記連結管内の流量を検出する、前記連結管の一次側に設けられた流量検出器と、前記連結管内の水を過熱するヒータと、を備え、前記連結管は、一次側に設けられ、樹脂材料により形成された管部と、二次側に設けられ、前記弁体を介して前記管部と接続される金属材料で形成された注入部と、を具備し、前記注入部は、前記薬液注入器、及び、前記ヒータを固定可能に形成されることを特徴とする除菌器が提供される。
【0017】
本発明の一態様として、供給源から水を給水する供給ポンプと、薬液を貯留する薬液槽と、前記供給源から給水された水の流路を形成する連結管と、前記薬液槽に接続され、前記薬液槽に貯留された前記薬液を圧送する注入ポンプと、前記注入ポンプに接続され、前記圧送された薬液を前記連結管の二次側に注入する薬液注入器と、前記連結管内に配置される回転翼を有し、この回転翼の回転により前記連結管内の流量を検出する、前記連結管の一次側に設けられた流量検出器と、前記連結管内であって、前記流量検出器及び前記薬液注入器間に設けられ、前記連結管内の前記流体の流れが停止することで閉となる弁体と、を備え、薬液を流体に注入する除菌器と、前記除菌器の二次側に設けられた濾過槽と、前記濾過槽の二次側に設けられた逆洗ポンプと、前記流量検出器により検出された流量を積算するとともに、前記逆洗ポンプの駆動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記積算した前記流量が所定の流量を超えた場合に、前記逆洗ポンプを駆動し、前記濾過槽に水を圧送させることを特徴とする濾過装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、流量検出器の回転翼への鉄の付着が防止可能であって、且つ、製造コスト及び重量の増大を防止し、信頼性を向上することが可能な除菌器及び濾過装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係る濾過装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同濾過装置に用いられる除菌器の構成を示す平面図。
【図3】同除菌器の構成を示す断面図。
【図4】同除菌器の要部構成を示す断面図。
【図5】同除菌器の要部構成を示す断面図。
【図6】同除菌器の要部構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態に係る濾過装置100及び濾過装置100に用いられる除菌器101を図1〜6を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る濾過装置100の構成を模式的に示す説明図、図2は濾過装置100に用いられる除菌器101の構成を示す平面図、図3は除菌器101の構成をA−A断面で示す断面図、図4は除菌器101の要部であって、特に、連結管6及び薬液注入部19の構成をC−C断面で示す断面図、図5は連結管6の構成をD−D断面で示す断面図、図6は同連結管6に用いられる弁体35の構成を示す平面図である。なお、図1中、はボルトを、Fは井戸水の流れを、Gは薬液の流れを、Sは信号線を、Xは通常運転による水の流れを、Yは逆洗運転による水の流れを、Zは洗浄運転による水の流れをそれぞれ示している。
【0021】
図1に示す濾過装置100は、例えば、井戸W等の原水を揚水し、除菌、除鉄、除マンガン及び固形物等の不純物の濾過に用いられる。このような濾過装置100は、除菌器101と、除菌器101の二次側に設けられた濾過槽102と、制御手段103と、を備えている。
【0022】
濾過装置100は、例えば、除菌器101の一次側に、給水ポンプ104及び砂濾し器105を備えている。濾過装置100は、これら給水ポンプ104及び砂濾し器105が、除菌器101と配管Tにより接続されている。また、濾過装置100は、濾過槽102の一次側に接続された第1三方弁106を備えている。なお、第1三方弁106は、そのポートの一が排水部Dに接続され、ポートの切り換えにより、第1三方弁106の二次側からの水を排水部Dに排水可能に形成されている。
【0023】
濾過装置100は、例えば、濾過槽102の二次側に、第2三方弁110と、第3三方弁111と、ストレーナ112と、第1仕切弁113と、貯水槽114と、を順次備えている。濾過装置100は、濾過槽102と、これら第2三方弁110、第3三方弁111、ストレーナ112、第1仕切弁113及び貯水槽114が配管Tにより接続されている。濾過装置100は、貯水槽114に、ビルや住居等の建造物Gに給水する給水ユニット200等が接続されている。また、第3三方弁111は、そのポートの一が、排水部Dに接続され、排水可能に形成されている。
【0024】
また濾過装置100は、第2仕切弁116と、逆洗ポンプ117と、を備えている。濾過装置100は、貯水槽114に第2仕切弁116が配管Tにより接続されるとともに、第2仕切弁116と第2三方弁110とが、逆洗ポンプ117を介して配管Tにより接続されている。
【0025】
濾過装置100は、温度、例えば外気温を検出可能、且つ、除菌器101及び制御手段103に検出した温度データを送信可能に形成された温度検出手段119を備えている。温度検出手段119は、除菌器101及び制御手段103に信号線Sを介して接続されている。
【0026】
除菌器101は、図2、3に示すように、架台3と、薬液タンク(薬液槽)4と、薬液注入手段19と、連結管6と、フランジ7と、制御部8と、を備えている。このような除菌器101は、その一次側が砂濾し器105を介して給水ポンプ104に、その二次側が濾過槽102にそれぞれ接続される。なお、除菌器101は、薬液として、例えば、次亜塩素酸ナトリウムが用いられる。
【0027】
薬液タンク4は、架台3上に設けられ、その内部に、所定の量の薬液を貯留可能に形成されている。薬液タンク4は、薬液供給管15を介して薬液注入手段19と接続されている。
【0028】
薬液注入手段19は、薬液を定量注入可能な注入ポンプ17と、注入ポンプ17の吐出口に設けられた薬液吐出管18と、薬液吐出管18に設けられ連結管6の二次側に設けられた薬液注入器19と、を備えている。なお、注入ポンプ17は、例えば、ダイヤフラムポンプが用いられる。注入ポンプ17は、薬液タンク4に接続され、薬液タンク4に貯留された薬液を圧送可能に形成されている。
【0029】
図4に示すように、薬液注入器19は、ノズル21と、このノズル21内に設けられた逆止弁22と、ノズル21の先端に設けられたノズルキャップ23と、ノズル21を連結管6に接続する接続手段24と、を備えている。薬液注入器19は、注入ポンプ18に接続され、圧送された薬液を連結管6内に注入可能に形成されている。
【0030】
ノズル21は、薬液吐出管18に固定される。また、ノズル21は、接続手段24を介して連結管6の二次側に固定される。ノズル21は、その先端から薬液を吐出する吐出孔21aを有している。逆止弁22は、例えば、ボール25及びスプリング26を有している。
【0031】
このような逆止弁22は、スプリング26によりボール25が押圧されて流路を閉とするとともに、注入ポンプ17による薬液の圧送により、ボール25が移動し、流路を開とする。即ち、逆止弁22は、注入ポンプ17から圧送された薬液を通過可能とするとともに、連結管6内に注入した薬液及び井戸水が薬液吐出管18へ流れること(逆流)を防止可能に形成されている。
【0032】
ノズルキャップ23は、例えば、可撓性を有する弾性材料で形成され、その先端に、切欠部23aを備えている。なお、切欠部23aは、吐出孔21aよりも大きく形成されていることがこのましい。このノズルキャップ23は、注入ポンプ17の停止時に、ノズル21内の薬液が連結管6内に流出することを防止可能に形成されている。
【0033】
連結管6は、井戸水(流体)の流路である管路を形成する。図3及び図4に示すように、連結管6は、管路を形成する管部31と、管部31の一次側に設けられた流量検出器32と、その二次側に設けられた注入部33と、ヒータ34と、弁体35と、を備えている。また、連結管6は、その両端面にそれぞれボルトB等によりフランジ7を締結し固定可能に形成されている。
【0034】
図3〜5に示すように、管部31は、流量検出器32の取付部37を有している。この取付部37は、管部31の流路の中心側から離間する方向にオフセットして設けられ、流量検出器32の一部が流路内に位置するように設けられる。
【0035】
具体的には、取付部37は、図5に示すように、流量検出器32の後述する回転翼41を収納する、流路に隣り合って設けられた収納室37aを有している。なお、収納室37aは、回転翼41の一部、具体的には、回転翼41の回転軸41aを中心に、回転翼41の一方側の一部が少なくとも流路に位置するように、形成されている。
【0036】
流量検出器32は、連結管6内の流体の流れに応じて回転する回転翼41と、回転翼41の回転をそれぞれ検出する2つの磁石42と、磁石42で検出した回転翼41の回転情報(信号)を制御部8及び制御手段103に送信する信号線Sと、を備えている。回転翼41は、回転軸41aと、この回転軸41aに放射状に等間隔に設けられた複数枚の翼部41bを有している。
【0037】
流量検出器32は、管部31の流路内に、回転軸41aを中心に一方側に位置する翼部41bの一部が配置され、取付部37の収納室37aに、翼部41bの他部が配置される。即ち、流量検出器32は、管部31内の流路に対して回転翼41が回転するように配置される。
【0038】
この流量検出器32は、磁石42で検出した回転翼41の回転(流量)の情報(信号)を、信号線Sを介して制御部8及び制御手段103に送信可能に形成されている。また、流量検出器32は、流量の情報を信号線Sを介して制御手段103に送信可能に形成されている。
【0039】
注入部33は、管部31の二次側に弁体35を介して設けられ、薬液をその管路内に注入可能に薬液注入器19を配設する配設部45を有し、且つ、連結管6の流路の一部を形成する、所謂接続管である。また、注入部33は、ヒータ34の取付部46を備えている。
【0040】
注入部33は、ヒータ34の熱を効率よく流路内の井戸水及び薬液、及び、ノズル21に伝達可能に、熱伝導率の高い材料であって、且つ、薬液に対して耐性を有する材料で形成されている。注入部33は、例えば、ステンレス材料等の鋳造によって形成されている。
【0041】
配設部45は、接続手段24を固定可能に形成されている。例えば、配設部45及び接続手段24は、互いに螺合可能なねじ部がそれぞれ設けられており、これらねじ部を螺合することで、配設部45に接続手段24を固定する。
【0042】
ヒータ34は、取付部46に設けられるとともに、給電線Rを介して制御部8に設けられている。ヒータ34は、弁体35の二次側に設けられた取付部に設けられ、注入部33又は連結管6内の井戸水を加熱可能に形成されている。なお、このようなヒータ34は、例えば、通電することで加熱する電気ヒータが用いられる。
【0043】
弁体35は、ゴム材等の弾性力を有する弾性材料により形成されている。図6に示すように、弁体35は、円板状に形成されている。弁体35は、その中央側は開閉可能に、その中心から放射状に広がるように、複数の切れ込みが等間隔に形成されている。言い換えると、弁体35は、複数の切れ込みにより形成された複数の弁部48を備えている。
【0044】
この弁体35は、流路の流れによって、弁部48が流れ方向に曲折し、撓むことで、その中心側に流路が形成される、即ち、開状態となり、流路を形成する。また、弁体35は、流路内の流れが停止すると、その復元力によりその中心に向って複数の弁部48が復元することで、弁体35は円板状となる、即ち閉状態となり、流路を閉塞する。このように、弁体35は、給水ポンプ104から井戸水が圧送された場合、又は、逆洗ポンプ117から貯水槽114の浄化水が圧送された場合には開となり、給水ポンプ104が停止した場合には、流路を閉とする。
【0045】
フランジ7は、連結管6の両端にボルトB等により接続されている。フランジ7は、配管Tと接続可能に形成されている。
【0046】
制御部8は、流量検出器32から送信された流量の信号に基づいて、注入ポンプ17から注入される薬液量を制御(調整)可能に形成されている。また、制御部8は、温度検出手段119により検出した温度データに基づいてヒータ34の加熱を制御可能に形成されている。
【0047】
具体的には、制御部8は、流量に対する薬液の注入量、及び、ヒータ34の駆動及び停止を行う外気温を記憶する記憶部8aを備えている。例えば、記憶部8aは、濾過装置100の使用において給水ポンプ104で供給される井戸水の流量に対する薬液の注入量がそれぞれ記憶されている。また、記憶部8aは、ヒータ34を駆動する外気温、及び、ヒータ34を停止する外気温が記載されている。なお、ここで、ヒータ34を駆動する外気温とは、例えば、連結管内の井戸水が凍結する温度等である。
【0048】
制御部8は、流量検出器32により検出された流量、及び、記憶部8aに記憶された流量に対する注入量比率から、注入する薬液の量を算出する。制御部8は、この算出した薬液の量を注入するように、注入ポンプ17の往復動の速度や移動量を制御し、注入する薬液の量を制御する。
【0049】
制御部8は、温度検出手段により検出された外気温、及び、記憶部8aに記憶されたヒータ34の駆動及び停止の外気温から、ヒータ34の駆動及び停止を行う。例えば、制御部8は、外気温がヒータ34を駆動すべき温度まで低下した際に、ヒータ34に通電することで、連結管6内の井戸水を加熱可能に形成されている。
【0050】
濾過槽102は、図1に示すように、その一次側に第1三方弁106が接続されている。なお、除菌器101は、濾過槽102に接続された第1三方弁106の一次側に接続されている。濾過槽102は、タンク102aを有し、除菌器101からタンク102a内部への井戸水の流路を形成する内部配管102bを備えている。濾過槽102は、タンク102aの底部に吐出管として配管Tが接続される。この配管Tは、第2三方弁110に接続される。
【0051】
濾過槽102は、タンク102a内の底面に濾過材と、除マンガン用濾過材と、除鉄用濾過材が順次積層され、例えば、析出した鉄を補足及び除去可能、且つ、井戸水中のマンガンを接触酸化等により除去可能に形成されている。
【0052】
内部配管102bは、濾過槽102の上方側面から内部に配設されるとともに、濾過槽102の中央付近から天井(蓋体)に向って湾曲して形成されている。即ち、内部配管102bは、給水ポンプ104から圧送された井戸水を、タンク102aの天井部に向って吐出することで、吐出された井戸水を、濾過材上に均一に拡散可能に形成されている。
【0053】
制御手段103は、信号線Sを介して、制御部8、流量検出器32、給水ポンプ104、各三方弁106、110、111、及び、逆洗ポンプ117に接続されている。制御手段103は、流量検出器32による流量の情報に基づいて、給水ポンプ104の給水量を制御可能に形成されている。
【0054】
また、制御手段103は、次の機能を少なくとも有している。
【0055】
(1)各三方弁106、110、111の各ポートの開閉を切り換える切換機能。
(2)給水ポンプ104に供給された井戸水の除菌及び濾過を行う通常運転機能。
(3)逆洗ポンプ117により、濾過槽102を洗浄する逆洗運転を行なう逆洗運転機能。
(4)逆洗運転後に、給水ポンプ104により供給された井戸水で流路内を洗浄する洗浄運転機能。
(5)薬液の流量比例注入による積算流量に基づき逆洗運転を行う機能。
(6)通常運転、逆洗運転、洗浄運転及び運転停止を切り換える運転切換機能。
【0056】
なお、制御手段103は、例えば、上記各機能(1)〜(6)以外の機能として、濾過槽102内の流量を報知可能な報知手段等を有しているが、ここではその説明は省略する。
【0057】
このように構成された除菌器101を用いた濾過装置100は、給水ポンプ104により井戸水を供給し、除菌器101及び濾過槽102により除菌及び濾過を行う、所謂通常使用による通常運転が行われる。また、濾過装置100は、井戸水の供給された流量を積算し、この積算された流量が所定の流量となった場合に、濾過装置100内の洗浄、特に、濾過槽102を洗浄する逆洗運転が行われる。また、濾過装置100は、逆洗運転により発生した不純物を除去する洗浄運転が行なわれる。
【0058】
なお、濾過装置100の通常運転においては、制御手段103は、図1中、水の流れXとなるように、各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、給水ポンプ104及び除菌器101を駆動する。これにより、給水ポンプ104で揚水された井戸水は、除菌器101により薬液が井戸水中に注入されるとともに、濾過槽102により井戸水が濾過される。これら除菌器101及び濾過槽102により浄化された水が、貯水槽114に貯留され、例えば、この貯留された浄化水が、給水ユニット200により、建造物Gの各給水先Hに給水されることとなる。
【0059】
濾過装置100の逆洗運転においては、制御手段103は、図1中、水の流れYとなるように、各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、逆洗ポンプ117を駆動する。
【0060】
なお、濾過装置100の逆洗運転においては、逆洗ポンプ117により、貯水槽114内の水が揚水され、濾過槽102に水が通過することで、濾過槽102内の鉄やマンガン等の不純物を流し、排水部Dへと排水することとなる。
【0061】
濾過装置100の洗浄運転においては、制御手段103は、図1中、水の流れZとなるように、各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、給水ポンプ104を駆動する。
【0062】
なお、濾過装置100の洗浄運転においては、給水ポンプ104により井戸水が圧送され、逆洗運転時の濾過槽102内の不純物を含む水が第3三方弁111を経由して排水部Dから排水される。これにより、逆洗運転時の不純物を含む水が、貯水槽114へ流入することを防止する。なお、制御手段103は、洗浄運転を所定時間行なった後、通常運転にその運転を切り替えるとともに、積算流量をリセットする。
【0063】
次に、濾過装置100に用いられる除菌器101について図2〜6を用いて説明する。
除菌器101は、通常運転時において、給水ポンプ104により揚水された井戸水の流量を流量検出器32により検出する。制御部8は、流量検出器32により検出された流量に基づいて、薬液の注入量を制御する。
【0064】
薬液注入器19は、注入部33内の井戸水中に所定の注入量の薬液を注入する。これにより、連結管6内で、井戸水と薬液とが混合し、井戸水が除菌されるとともに、井戸水中に含有される鉄と薬液とが反応、具体的には、井戸水中の鉄が薬液により酸化し、鉄が水酸化第二鉄Fe(OH)として析出する。なお、この井戸水が、除菌器101の二次側に流れ、濾過槽102により井戸水中の鉄及びマンガンが濾過される。
【0065】
除菌器101は、濾過装置100の運転停止時において、濾過装置100に設けられた温度検出手段119により検出した外気温に基づいて、ヒータ34を駆動させる。このとき、ヒータ34により加熱された熱は、注入部33を介して井戸水に伝導され、井戸水を加熱し、井戸水の凍結を防止する。
【0066】
このように構成された除菌器101を用いた濾過装置100によれば、流量検出器32が、制御部8及び制御手段103にそれぞれ接続され、制御部8は、記憶部8aに記憶された注入量及び流量に基づいた、所謂流量比例注入により薬液を注入する。
【0067】
なお、この流量と原水の調査データから、概ねの濾過槽102内で濾過した不純物を確定することが可能となる。このため、濾過装置100は、制御手段103により、時間でなく、井戸水の流量に基づいた所謂積算流量により濾過槽102を洗浄する逆洗運転を行うことが可能となる。
【0068】
除菌器101は、薬液注入器19を設ける注入部33を熱伝導率が高い材料により形成し、且つ、注入部33にヒータ34を設けることで、ヒータ34の熱を効率よく注入部33を介して井戸水及び薬液注入器19に伝達させることが可能となる。
【0069】
また、ヒータ34の熱を効率よく伝熱するための熱伝達率が高い材料は、連結管6の注入部33のみに用い、管部31を樹脂材料等により成形することで、除菌器101の製造コスト及び重量の低減とすることが可能となる。
【0070】
また、薬液注入器19は、薬液を吐出するノズル21の先端に、ノズル21の吐出孔21aよりも大きい切欠部23aを有する弾性を有する材料(シリコン材料等)で形成されたノズルキャップ23を設けることで、注入ポンプ17の停止時に、薬液の流出及び逆流を防止することが可能となる。
【0071】
具体的には、ノズルキャップ23は、注入ポンプ17の駆動時に、その先端部が外側に膨張するように弾性変形し、結果、切欠部23aも拡口し、薬液が注入される。また、ノズルキャップ23は、注入ポンプ17が停止時であって、井戸水の流れがない場合には、膨張していた先端部が復元し、切欠部23aは、閉止される。このため、薬液が井戸水中へと流出することを防止できる。
【0072】
また、管部31と注入部33との間に弁体35を設けることで、濾過装置100の運転の停止時等のように井戸水の流れが停止しているときに、連結管6の二次側の薬液及び薬液が攪拌された井戸水が、その一次側に逆流することを防止できる。即ち、弁体35は、井戸水の流れが停止している際に閉となるため、弁体35の二次側の薬液が一次側へ移動することを防止することができる。
【0073】
これにより、薬液により流量検出器32の周囲で鉄が析出し、弁体35の一次側に配置された流量検出器32に鉄が付着することがない。このため、流量検出器32の回転翼41の固着や検出精度の低下を防止することが可能となる。なお、弁体35は、井戸水の流れがある場合には、開となるため、通常運転及び洗浄運転時において、井戸水の流れを阻害することがない。
【0074】
上述したように、本実施の形態に係る除菌器101を用いた濾過装置100によれば、積算流量に基づく逆洗運転が可能となる。また、除菌器101は、ヒータ34の熱を効率よく注入部33を介して井戸水及び薬液注入器19に伝達させることが可能となり、濾過装置100の停止時において、冬季等に連結管6内の凍結を防止することが可能となる。また、熱伝達率が高い材料は、注入部33のみに用いることで、除菌器101の製造コスト及び重量の低減とすることが可能となる。
【0075】
また、除菌器101は、薬液注入器19の薬液を吐出するノズル21の先端に、ノズル21の吐出孔21aよりも大きい切欠部23aを有する弾性材料で形成されたノズルキャップ23を設けることで、薬液の流出及び逆流を防止することが可能となる。
【0076】
さらに、除菌器101は、管部31と注入部33との間の弁体35により、濾過装置100の運転停止時の薬液の逆流を防止し、流量検出器32へ薬液により析出される鉄の付着を防止し、流量検出器32の機能停止や精度の低下を防止可能となる。
【0077】
これらのことから、除菌器101は、精度の高い薬液の注入が可能となり、信頼性の向上となる。即ち、信頼性の高い除菌器101及び濾過装置100を提供することが可能となる。
【0078】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、弁体35は、複数の弁部48を設ける構成としたがこれに限定されない。例えば、弁体35は、図6の二点鎖線で示すように、その中央側に小径の開口部90を有する構成であってもよい。なお、この開口部90は、小径とあるが、例えば、極力薬液の逆流を防止可能である内径であることが望ましい。
【0079】
即ち、弁部48の先端を切欠させる構成とし、小径の開口部90を設けることで、弁体35の一次側及び二次側は、開口部90により連続することとなる。このため、薬液の逆流を防止しつつ、ヒータ34により熱せられた熱を効率よく弁体35の二次側に伝達することが可能となる。
【0080】
また、上述した濾過装置100は、本発明の要旨を逸脱しなければ上記構成でなくてもよい。例えば、濾過槽102の二次側に、さらに不純物を除去する濾過槽をさらに有してもよく、又、各流路において、温度や圧力を検出する手段を設けても良い。さらには、貯水槽114に水を溜めるのではなく、直接供給先に供給する構成であってもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0081】
3…架台、4…薬液タンク(薬液槽)、5…薬液注入手段、6…連結管、7…フランジ、8…制御部、8a…記憶部、15…薬液供給管、17…注入ポンプ、18…薬液吐出管、19…薬液注入器、21…ノズル、21a…吐出孔、22…逆止弁、23…ノズルキャップ、23a…切欠部、24…接続手段、25…ボール、26…スプリング、31…管部、32…流量検出器、33…注入部、34…ヒータ、35…弁体、37…取付部、37a…収納室、41…回転翼、41a…回転軸、41b…翼部、42…磁石、45…配設部、46…取付部、48…弁部、90…開口部、100…濾過装置、101…除菌器、102…濾過槽、102a…タンク、102b…内部配管、103…制御手段、104…給水ポンプ、105…砂濾し器、106…第1三方弁、107…逆洗ポンプ、110…第2三方弁、111…第3三方弁、112…ストレーナ、113…仕切弁、114…貯水槽、116…仕切弁、117…逆洗ポンプ、119…温度検出手段、121…ノズル、200…給水ユニット、B…ボルト、D…排水部、G…建造物、H…給水先、R…給電線、S…信号線、T…配管、W…井戸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を流体に注入することで、除菌を行う除菌器において、
前記薬液を貯留する薬液槽と、
前記流体の流路を形成する連結管と、
前記薬液槽に接続され、前記薬液槽に貯留された前記薬液を圧送する注入ポンプと、
前記注入ポンプに接続され、前記圧送された薬液を前記連結管の二次側に注入する薬液注入器と、
前記連結管内に配置される回転翼を有し、この回転翼の回転により前記連結管内の流量を検出する、前記連結管の一次側に設けられた流量検出器と、
前記連結管内であって、前記流量検出器及び前記薬液注入器間に設けられ、前記連結管内の前記流体の流れが停止することで閉となる弁体と、
を備えることを特徴とする除菌器。
【請求項2】
前記弁体は、弾性を有する樹脂材料により形成され、円板状であって、その中央から放射状に設けられた切れ込みにより開閉する複数の弁部を有することを特徴とする請求項1に記載された除菌器。
【請求項3】
薬液を流体に注入することで、除菌を行う除菌器において、
前記薬液を貯留する薬液槽と、
前記流体の流路を形成する連結管と、
前記薬液槽に接続され、前記薬液槽に貯留された前記薬液を圧送する注入ポンプと、
前記注入ポンプに接続され、前記圧送された薬液を前記連結管の二次側に注入する薬液注入器と、
前記連結管内に配置される回転翼を有し、この回転翼の回転により前記連結管内の流量を検出する、前記連結管の一次側に設けられた流量検出器と、
前記連結管内の水を過熱するヒータと、を備え、
前記連結管は、一次側に設けられ、樹脂材料により形成された管部と、二次側に設けられ、前記弁体を介して前記管部と接続される金属材料で形成された注入部と、を具備し、
前記注入部は、前記薬液注入器、及び、前記ヒータを固定可能に形成される
ことを特徴とする除菌器。
【請求項4】
前記薬液注入器は、
前記注入ポンプに接続され、前記薬液を吐出する吐出孔を有するノズルと、
前記ノズル内に設けられ、前記ノズルの二次側から一次側への流れを防止する逆止弁と、
その先端に切欠部を有し、前記ノズルを覆う弾性材料で形成されたノズルキャップと、
を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の除菌器。
【請求項5】
供給源から水を給水する供給ポンプと、
薬液を貯留する薬液槽と、前記供給源から給水された水の流路を形成する連結管と、前記薬液槽に接続され、前記薬液槽に貯留された前記薬液を圧送する注入ポンプと、前記注入ポンプに接続され、前記圧送された薬液を前記連結管の二次側に注入する薬液注入器と、前記連結管内に配置される回転翼を有し、この回転翼の回転により前記連結管内の流量を検出する、前記連結管の一次側に設けられた流量検出器と、前記連結管内であって、前記流量検出器及び前記薬液注入器間に設けられ、前記連結管内の前記流体の流れが停止することで閉となる弁体と、を備え、薬液を流体に注入する除菌器と、
前記除菌器の二次側に設けられた濾過槽と、
前記濾過槽の二次側に設けられた逆洗ポンプと、
前記流量検出器により検出された流量を積算するとともに、前記逆洗ポンプの駆動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記積算した前記流量が所定の流量を超えた場合に、前記逆洗ポンプを駆動し、前記濾過槽に水を圧送させることを特徴とする濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40463(P2012−40463A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181358(P2010−181358)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】