説明

除菌装置およびこの除菌装置を配設した冷蔵庫

【課題】水道水を電気分解することにより次亜塩素酸を含有する電解水ミストを生成するようにした冷蔵庫の除菌装置の給水タンクへの水道水の補給、水回りの清掃、メンテナンスが容易となるようにし、且つ、粒径の大きい電解水ミストを除去して粒径の小さい電解水ミストを冷気流路に供給し、除菌効果を向上する。
【解決手段】水道水を貯留する給水タンクの載置部と、前記給水タンクから供給される水道水を電気分解して次亜塩素酸を含有する電解水を生成する電解槽と、生成された電解水に超音波振動を与えて電解水ミストを生成するミスト生成部とを備えるカセットベースを一体に構成してなり、該カセットベースの電解槽に臨む電極ユニットを冷蔵庫本体に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水を電気分解して次亜塩素酸を含有する電解水を生成し、この電解水をミスト化(霧化)して攪拌ファンで冷蔵庫内に循環させるようにした除菌装置およびこの除菌装置を配設した冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸を含有する電解水が除菌作用を具えることは周知であり、この次亜塩素酸を含有する電解水をミスト化し、この電解水ミストを攪拌ファンで冷蔵庫内の野菜室に循環させ、野菜を除菌するようにした技術を本願出願人が提案している(特許文献1)。
【0003】
上記の冷蔵庫の構成では、野菜室が所定の温度になるようにこの野菜室に冷気を循環させる冷気流路と、次亜塩素酸を含有する電解水を生成する電解槽と、この電解槽で生成された電解水をミスト化する霧化機とを備え、この霧化機により生成された電解水ミストを前記野菜室の風上側の前記冷気流路に送る送出路を備えるものである。
【特許文献1】特開2003−214758
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このように水道水を電気分解して電解水ミストを得るには電圧が印加される電極、超音波振動子などからなる霧化機、給水タンクが主要な構成要素となる。ところが、電解槽の水道水内において電極が電気分解を繰り返すと、水道水に含まれているカルシウムなどが次第に付着してスケール(scale)となり、電気分解の能力が低下してくる。そこで、電極に印加する電圧の極性を定期的に逆転して付着しているスケールを電極から除去することができるが、除去したスケールをさらに電解槽から排除できるようにしておかなければならない。
【0005】
また、霧化機に超音波振動子を採用した場合、振動源となるダイアフラムが常に電解水に晒されているため、この部分に塵埃が付着し堆積することとなり能力の低下を招くことになる。なによりも、ミスト化された電解水は食品に噴霧されるため、電解槽および霧化機は常に高い衛生状態が保たれていることが重要であり、定期的にメンテナンスができるようにしなければならない。このように水道水を電気分解した電解水をミスト化するようにした除菌装置では、水道水の供給も簡易にできるものでなければならなず、複雑な給水路を構成するこなく給水タンクの水道水の残量を容易に確認できるようにしておかなければならない。
【0006】
また、上記の構成において霧化機に超音波振動子を採用した場合、これにより生成される電解水ミストは極力粒径の小さいものが望ましいことになる。即ち、粒径の小さい電解水ミストである程、冷気に含まれて遠方まで運ばれる確率が高くなり、大きな除菌効果を期待することができる。ところが、大きな粒径の電解水ミストは自ずから質量が大きいため、冷気の気流に十分に乗ることができず、冷蔵庫内の必要箇所に到達できなくなり冷気流路の内壁などに付着し、除菌作用を果たせなくなる。
【0007】
前述したように、電解槽で電極により水道水を電気分解する場合においては、給水タンクから全ての水道水が供給され電解槽に水道水が払底すると電極が空気中に晒され、この状態で空運転が行われると電極を損傷することになる。したがって、電解槽における水道水の有無を常に監視しなければならない。また、電極には電圧が印加されるため、メンテナンス、清掃において人の指先などが触れない状態となっていることが望ましいことになる。
【0008】
さらに、電解水ミストを冷蔵庫内の食品に直接噴霧することを目的とする場合に限らず、例えば、扉を開いたとき雑菌が含まれた外気の進入を遮断するため吹き出すエアーカーテンに電解水ミストが含まれているようにすることにより、高い除菌効果が得られることになる。また、このような場合においては、除菌装置および冷気循環に関連する機能を適切なタイミングで駆動することが重要な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした、即ち、請求項1記載の発明では、水道水を貯留する給水タンクの載置部と、前記給水タンクから供給された水道水を電気分解して次亜塩素酸を含有する電解水を生成する電解槽と、生成された電解水に超音波振動を与えて電解水ミストを生成するミスト生成部とを備えるカセットベースを一体に構成してなり、該カセットベースの電解槽に臨む電極ユニットを冷蔵庫本体に配設する。
【0010】
請求項2記載の発明では、水道水を電気分解するための電極ユニットを冷蔵庫本体の区画空間に配設する一方、除菌装置の前記電極ユニット以外の構成要素を一体化したカセットユニットを前記区画空間に着脱可能となるようにする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の除菌装置によれば、給水タンクの載置部と、電解槽と、ミスト生成部を一体構成したカセットベースを冷蔵庫本体に配設した電極ユニットから分離できるように構成したので、除菌装置の給水タンクへの水道水の補給、水回り部分の清掃およびメンテナンスを容易に行うことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、庫内に区画空間を形成して除菌装置を配設するようにしたので、カセットユニットの着脱が容易となる。また、電極ユニットを冷蔵庫本体に残した状態でコンパクト化されたカセットユニットの着脱が可能となるので、電極に人の手先が接触するなどの危険を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて詳細に説明する。図1は下部に製氷室7、野菜室8および冷凍室9を備えた冷蔵庫の正面図であり、図2は冷蔵室内部の正面図、図3は、冷蔵室においてエアーカーテンが形成される状態を示す断面図である。
【0014】
図1乃至図3において、符号1は本発明を実施した冷蔵庫であり、冷蔵庫本体2は外箱(外壁板)2aと内箱(内壁板)2bとの間に発泡断熱材2cを充填した断熱構造であり、冷蔵室3の前面には冷蔵室扉4を備える。この冷蔵室3内には、側壁に形成した棚受けフランジに載置した複数段の棚板5が設けられ、冷蔵室3内が区画されている。
【0015】
冷蔵庫1の上部に位置する冷蔵室3と、その下部に位置する横並びの小型冷凍室6、製氷室7との間は、断熱間仕切り壁10にて区画されている。なお、符号8は冷凍室、符号9は野菜室を示す。符号11は冷蔵庫本体2の背壁の前面側に配設した冷蔵室3の背壁パネルであり、合成樹脂製背面板とその裏面に取り付けた発泡スチロールなどの断熱材との組み合わせで構成されている。
【0016】
この背壁パネル11の背面には左右の上下方向に冷気ダクト12が配設され、棚板5間に冷気吹出口12aが形成されている。そして、冷気ダクト12間には上下方向に延びたエアーカーテンダクト13が配設され、エアーカーテン吹出口13aが冷蔵庫本体2の横幅に亘る長さで天井面に沿って形成されている。なお、符号14は照明灯であり、冷蔵庫扉4が開いたときこれが点灯し、透過性のシェードを介して冷蔵室3内を照明するようにしている。また、符号15はエアーカーテン通路13に配置した脱臭装置である。
【0017】
前記エアーカーテンダクト13内の上部には、エアーカーテン用送風機16が配設されている。このエアーカーテン用送風機16は、エアーカーテンダクト13の空気を軸方向から吸い込んで半径方向へ吐出するターボファン16aを電動機16bで回転するようにしている。エアーカーテンACを形成するための空気は、冷蔵室3の最下段のトレイルーム17に位置する背壁パネル11に形成された吸込口18から吸引され循環されることになる。
【0018】
エアーカーテン用送風機16は、冷蔵庫扉4が閉じられ、且つ、冷却運転モードによって冷蔵室3が所定温度に冷却されている場合は停止している。そして、冷蔵庫扉4が開くと、冷蔵庫ドアスイッチSがこれを検知し、図15に示す制御回路部300から出力された制御信号によりエアーカーテン用送風機16の運転が開始される。エアーカーテン用送風機16の運転が開始されると、冷蔵室3内の空気は吸込口18から吸引され、エアーカーテンダクト13を通りエアーカーテン吹出口13aから冷蔵室3の前面開口部の略全域に下方に流れるエアーカーテンACが形成されるので、このエアーカーテンACにより冷蔵庫扉4が開いたときに冷蔵室3へ進入しようとする外気を極力阻止することができる。
【0019】
このように構成された冷蔵庫1では、冷蔵庫本体2底部に設置した冷却器(蒸発器)で冷却した冷気が冷蔵室3へ供給されるように、断熱仕切壁10を貫通する冷気通路24にモータダンパ25を配設し、冷蔵室3の温度を検出するセンサーの出力信号にもとづいて制御回路部300により前記モータダンパ25を作動して冷気通路24が開閉され、冷気ダクト12へ冷気が供給される。
【0020】
ここで、冷蔵庫1の通常冷却運転モードにおける冷却運転の態様について説明する。図14に示すようにすべての扉が閉じている状態において、エアーカーテン用送風機16は停止しており、冷蔵室3の温度が所定の上限設定温度を超えている場合は、モータダンパ25の開閉板(ダンパ)が冷気通路24を開いている。温度センサーQによって検出した冷凍室8の温度が所定の上限設定温度を超えている場合は、制御回路部300は冷却運転を開始し、圧縮機60、冷気循環用送風機61が駆動する。
【0021】
圧縮機60で圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、放熱器(図示せず)で放熱され、蒸発皿内の除霜水を蒸発させる。この放熱器を通過した冷媒は、減圧器であるキャピラリチューブを通って減圧されて温度が低下し、冷却器62へ流入する。冷却器62へ流入した液冷媒は、ここで蒸発して周囲の空気を冷却する。冷却器62で蒸発したガス冷媒は、圧縮機60の吸込側へ流入して圧縮され、上記の冷媒循環を行う。
【0022】
そして、冷却器62で冷却された冷気は、冷気循環用送風機61によって冷気吹出口38aから製氷室7へ供給され、冷気吹出口38bから冷凍室8へ供給される。さらに、冷却器62で冷却された冷気は、冷気循環用送風機61によって冷気通路24を通り、冷気ダクト12へ供給され、冷気吹出口12aから冷蔵室3へ供給される。製氷室7へ供給された冷気は製氷皿7aを冷却した後、仕切板63の冷気孔63aから下方の冷凍室8へ供給される。冷凍室8へ供給された冷気は、冷凍庫8内の容器64a、容器64bを冷却した後、冷凍室8背壁の下部に形成された吸込口38cから冷却器62へ還流する。
【0023】
また、冷蔵室3へ供給された冷気は冷蔵室3を冷却した後、背壁パネル11の下部に形成された吸込口39aから吸い込まれ、冷却通路39bを通り野菜室9へ流出する。野菜室9へ流出した冷気は、野菜室9内を流れて野菜室9の天井壁に近接した背壁に形成した吸込口38dから冷気帰還通路65を通り、冷却器62の下部の吸込側に流入し、冷却器62で冷却される循環を繰り返す。この通常冷却運転モードによって、冷蔵室3が所定の下限設定温度まで低下すると、これを冷蔵室3の温度センサーRが検出し、制御回路300によってモータダンパ25の開閉板(ダンパ)が冷気通路24を閉じる。
【0024】
前記エアーカーテン用送風機16は、上記したように冷蔵庫扉4が閉じ、且つ、通常冷却運転モードにおいて冷蔵室3が所定温度に冷却されている場合は停止している。そして、冷蔵庫扉4が開くと、制御回路部300によってエアーカーテン送風機16の運転を開始するとともに、照明灯14を点灯する。エアーカーテン用送風機16の運転が開始されると、冷蔵室3の空気は吸込口18から吸い込まれ、エアーカーテンダクト13を通り、エアーカーテン吹出口13aからエアーカーテンACが吹き出す。
【0025】
制御回路部300は、冷蔵庫扉4が開いている時間を積算し、冷蔵庫扉4が閉じたときこの積算時間と同じ時間だけエアーカーテン用送風機16を駆動して停止する。これにより、冷蔵庫扉4が開いているときに生じた冷蔵庫3内の温度上昇や温度むらを冷蔵庫扉4を閉じたときに迅速に低下させ、均一化することができる。
【0026】
なお、冷蔵庫扉4が閉じたときエアーカーテン用送風機16が駆動する時間は、積算時間と同じ時間に限らず、積算時間に比例した時間割合でもよい。この場合の比例の態様は、積算時間が長くなるにつれて段階的に長くなるものでもよく、積算時間の長さにリニアに比例するものでもよい。また、冷蔵庫扉4が開いている時間を積算せず、冷蔵庫扉4の開閉があれば、毎回所定時間だけエアーカーテン用送風機16を駆動するようにしてもよい。
【0027】
また、例えば、多量の熱負荷がある食品などが収蔵されるなどして冷蔵室3内の温度が所定の上限設定温度を超えた場合、制御回路部300は、冷蔵庫扉4が閉じ更に前記積算時間の運転が経過した後も、エアーカーテン用送風機16の駆動を継続するようにしてもよい。これにより、冷蔵室3内の温度上昇や温度むらが、冷蔵庫扉4が閉じたときに迅速に低下して均一化されて温度回復を迅速化できるとともに、特に冷蔵庫扉4の内側のポケットの温度回復の迅速化が可能となる。
【0028】
このように構成された冷蔵庫1の冷蔵室3の棚板5上には各種の飲食物が収蔵されるが、最下段のトレイルーム17には収納機能を備えた各種トレイが収容される。本実施例の場合は、低温トレイ19、小型冷蔵トレイ20、製氷用給水タンク21を図2に示すように配列し、低温トレイと小型冷蔵トレイ20との間に、冷蔵室3の奥部から前面に向けて平行に一対の仕切壁22、23を立設し、区画空間Gを形成して本発明の除菌装置Eを配設するようにした。
【0029】
図4は本発明の除菌装置Eの構成を示す断面図であり、水道水W1を供給する給水タンク、この水道水W1を電気分解して電解水W2を生成する電解槽、生成された電解水W2に超音波振動を与えて電解水ミストmを生成するミスト生成部を一体化したカセットユニットE1と、前記電解槽の水道水W1中に臨む冷蔵庫本体2に配設された電極ユニットE2の組み合わせにより構成されるものである。
【0030】
カセットユニットE1は、合成樹脂などにより一体成形されたカセットベース30上に構成されるもので、図5および図6に示すように前方から給水タンク載置部30A、ミスト生成部30B、電解槽30Cが形成ている。前記給水タンク載置部30Aには給水タンク40が載置されるが、このとき、止栓キャップ41の弁と連動するスピンドル41aが突起30cにより押し上げられて開弁するため、給水タンク40の内部の水道水W1がカセットベース30内に流入する。なお、前記給水タンク40には、透視窓42aを備える化粧パネル42が一体または別体に配設される。
【0031】
カセットベース30に供給された水道水W1は、ミスト生成部30Bの囲繞壁30aと側壁30bとの間に形成された流路30dを流下して電解池30eに流入する。この電解池30eは、底部が一段低く形成されており、電気分解に必要とする水道水W1が十分に滞留できるようにしている。カセットベース30の後端には、後述するリミットスイッチLS1を作動する操作子31および電極ユニットE2と電気的接続が可能となるようにするコネクタ32が配設されている。
【0032】
前記ミスト生成部30Bの囲繞壁30aの開口部30a−1は電解池30eと連通しており、これにより電解池30eにおいて電気分解された電解水W2が囲繞壁30aで囲まれた内部に流入し、滞留することになる。囲繞壁30aで囲まれた内部の底面の裏面には超音波振動子33が配設されており、この超音波振動子33のダイアフラム33aが囲繞壁30a内部の底面に臨むようにしている。
【0033】
つぎに、前記ミスト生成部30Bに配設するドーム35および排気筒36の構成について説明する。ドーム35は、図7に示すように頂部を閉塞(実施例ではドーム状に閉塞)して底部を開口した筒状体(実施例では円筒状)であり、その下部に電解水W2の流入口35aが形成されており、上部に電解水ミストmの流出口35bが形成されている。
【0034】
このように形成されたドーム35に流入した電解水W2は、超音波振動子33のダイアフラム33a上に滞留することになる。かかる状態で超音波振動子33が駆動され、ダイアフラム33aにより電解水W2に超音波振動が与えられると、微粒の霧化された電解水ミストmが発生する。ところが、ドーム35内の電解水W2は均一に励振されないなどの要因により大きな粒径の電解水ミストMも生成され、粒径の小さい電解水ミストmに含まれてしまうことになる。
【0035】
霧化されていない大きな粒径の電解水ミストMは、冷気の気流で遠方まで十分に運ばれることなく、冷気循環過程の中途で流路の壁面に付着したり、特定部位に滞留して漏水の要因となることが懸念される。したがって、除菌効果を高く維持するためにも、生成される電解水ミストmはその殆どが微粒の霧化されたものであることが望ましいことになる。
【0036】
前記ドーム35はこのような要求にもとづいて配設されたもので、生成された電解水ミストmは、ドーム35内の気流に運ばれて流出口35bから吐出する。ところが、大きな粒径の電解水ミストMは質量も大きいので、超音波振動を受けて飛び出したときの慣性が大きいため、ドーム35内の気流に抗して直上し、閉塞された天井面に当接する。そして、この大きな粒径の電解水ミストMは天井面に付着し、やがて滴下して電解水W2中に戻ることになる。このようにして、大きな粒径の電解水ミストMが除去され、微粒の霧化された電解水ミストmのみが排気筒36および冷蔵庫本体2に固定された送気管37を介してエアーカーテンダクト13に供給されることになる。
【0037】
つぎに、前記排気筒36は、前述のようにして生成された電解水ミストmを捕集して送気管37へ送るためのもので、筒状体の底板にドーム35が図4に示すように嵌合する開口部36aが形成されている。また、底板から延設された嵌合筒部36bは、カセットベース30の囲繞壁30aの内周壁に嵌合するようにしたもので、配設されたシールパッキン38により気密性が保たれるとともに、安定した嵌合状態が得られるようにしている。そして、頂部には内面にテーパが形成された吐出口36cが形成されており送気管37との接続が可能となるようにしている。なお、この排気筒36は透明素材により形成することにより、後述する外部発光源により内部を流れる電解水ミストmが照明され視認が可能となる。
【0038】
以上のように構成されたカセットユニットE1は、図8に示すようにカセットベース30に組み立てられた状態となる。したがって、この状態のまま仕切壁22、23により形成された区画空間GからカセットユニットE1を取り出した場合、各構成要素を分離できるため、給水タンク40への水道水の補給、ドーム35および排気筒36の清掃、超音波振動子33のダイアフラム33aの清掃、そしてカセットベース30の水回りの清掃が可能となる。
【0039】
つぎに、カセットベース30の電解槽30Cの電解池30eに滞留した水道水中に臨む電極ユニットE2の構成について説明する。前述したように本発明ではカセットユニットE1を区画空間Gから取り出すことができるようにするため、水道水W1の電気分解用の電極は冷蔵庫本体2に配設するようにしてある。しかも、この電極はカセットユニットE1の着脱に支障がないようにしなければならない。そこで本発明では、カセットユニットE1を装着したとき、電極がカセットベース30の電解池30eに降下し、カセットユニットE1の取り外しに伴い電極が上昇するように電極部分をユニット化して電解池30eとの係脱が可能となるようにした。
【0040】
図9および図10は、電極ユニットE2の構成を示す図であり、電極45a、45bは基板46に固定されており、この電極45a、45bの各々に正電位、負電位の直流電圧が印加される。符号47は水位検知センサーであり、これも配線基板46に固定されており、フロート47aの上昇下降に伴ってフォトセンサーなどにより得られる出力信号により電解池30e内の水位を検知する。
【0041】
前記電極45a、45bおよび水位検知センサー47は、絶縁性素材で成型されたホルダー48に収容され、このホルダー48の内部に水道水W1が流入するように窓孔48a、48bが形成されている。これにより、電極45a、45bはホルダー48で囲まれる状態となるため、感電などに対する安全性を向上できる。また、電極45a、45bには次第にカルシウムなどが堆積してスケールが形成されるが、直流電圧の印加方向を反転することによりこれを除去することができる。この場合、除去されたスケールはホルダー48の底部に形成した窓孔48bから落下するので、カセットベース30の電解池30eで回収することができる。
【0042】
このように構成された電極ユニットE2は、図4に示すように主体部分が電解池30e内に没入した状態とならなければならないが、同図に示す状態が維持されていると電解池30eの側壁がホルダー48と当接するため、カセットユニットE1を取り出すことができなくなる。そこで、本発明では、電極ユニットE2を回動するようにして電極ユニットE2の主体部分の電解池30eへの没入および離脱が可能となるようにした。
【0043】
図10は、電極ユニットE2を回動させるための機構の一例を示すもので、ホルダー48に形成した軸受ブロック48bにシャフト49を固定し、このシャフト49と同軸で回転するホイール50をステッピングモータ52で回転するウォームギヤ51で回転するようにしてある。なお、前記シャフト49は図11に示すように冷蔵庫本体2に固定された電極ハウジング53から平行に延設した一対のステム53aに軸支され、このステム53aにステッピングモータ52を固定するようにしている。
【0044】
以上のように構成されていることから、ステッピングモータ52を予め設定した回転数の回転により電極ユニットE2を図4に示す位置まで転動させて主体部を降下させることができ、また、同位置にある電極ユニットE2をステッピングモータ52の設定された回転数の回転で反転させることにより主体部を図12に示す位置まで回動して上昇させることができる。
【0045】
かかる電極ユニットE2の動作制御は、電極ハウジング53に配設されたリミットスイッチLS1のON/OFFにもとづいてなされる。即ち、図12に示す状態からカセットユニットE1を装着する場合、カセットユニットE1の装着を完了する直前に操作子31によりリミットスイッチLS1がONとなる。電極ハウジング53内に組み込まれた回路基板54の制御回路は、前記リミットスイッチLS1からのON信号を受けると、直ちにステッピングモータ52を駆動し、電極ユニットE2を回動して図4に示す位置まで降下する。
【0046】
一方、図4に示す状態からカセットベース30を引き抜くとリミットスイッチLS1がOFFとなり、このOFF信号を入力した制御回路は直ちにステッピングモータ52を逆転し、電極ユニットE2を回動して図12に示す位置まで主体部が上昇し、待機状態となる。
以上は電極ユニットE2を電動機構により回動するようにしたものであるが、付勢機構によりカセットユニットE1の着脱操作に同期させて電極ユニットE2の回動が可能となるようにすることもできる。
【0047】
図13は、付勢機構により電極ユニットE2を回動するようにした構成を示すもので、シャフト49に捻りコイルバネ58を装着したものである。この捻りコイルバネ58の可動端58aをホルダー48に掛け止めし、固定端58bを電極ハウジング53に掛け止めしているので、可動端58aに発生する張力によりホルダー48の主体部が上昇する方向へ常に付勢されることになる。
【0048】
また、前記ホルダー48の軸受ブロック48cには、垂下片48c−1が一体に形成されており、カセットベース30が装着されたとき、このカセットベース30の後端部により垂下片48c−1が押圧されるので、これに伴って軸受ブロック48cが回動し、ホルダー48の主体部が降下する。
【0049】
図14は、かかる状態を説明する図であり、図14(A)に示すように上死位置で待機しているホルダー48に向かいカセットベース30が前進し、図14(B)に示すようにカセットベース30の後端部が垂下片48c−1を押圧する状態に至ると、カセットベース30の進入に同期してホルダー48が同図における反時計廻り方向に回動を開始する。そして、カセットベース30の装着が完了すると、図14(C)に示すようにホルダー48は下死位置に達し、主体部が電解槽30Cの定位置に没する状態となる。なお、このとき前記垂下片48c−1は電極ハウジング53に形成した逃げ溝53c内に臨み、ストローク幅が確保されるようにしている。
【0050】
一方、図14(C)に示す状態からカセットベース30が後退するときは、捻りコイルバネ58により付勢されている軸受ブロック48cの垂下片48c−1がカセットベース30の後端部に追従するので、同図における時計廻り方向にホルダー48が回動し、カセットベース30の後端部が垂下片48c−1から離脱した時点でホルダー48は上死位置に至り、図14(A)に示す待機状態となる。
【0051】
このように電極ハウジング53は電極ユニットE2を支持するものであるが、下部にカセットユニットE1のコネクタ32と接合するコネクタ55を備え、超音波振動子33への給電および駆動制御が可能となるようにしている。また、上部の張出部の先端には単数または複数の発光素子(LED)56が配設され、その発光光が透過窓53bから出射して排気筒36内を流れる電解水ミストmを照明する。これにより照明された電解水ミストmは、化粧パネル42の透視窓42aから視認することができることから電解水ミストmの生成状態を確認することができディスプレイ効果も得られる。
【0052】
以上説明したように本発明の除菌装置Eは、仕切壁22、23により形成された区画空間Gに配設するようにしたので、並設されるトレイと一体感のあるデザイン的構成が可能となる。また、仕切壁22、23に凹欠部22a、22bおよび凹欠部23a、23bを形成しておくことにより、カセットユニットE1の着脱が容易となる。即ち、カセットベース30の凹欠部22b、23bの部分を指先で保持して引き抜くことにより図12に示すように構成要素を一体化したままの状態でカセットユニットE1を取り出すことができる。また、水道水W1の補給のため、給水タンク40のみを取り出す場合は、給水タンク40の凹欠部22a、23aの部分を指先で保持して取り出すことができる。
【0053】
つぎに、本発明の除菌装置Eを設置した状態における冷蔵庫1において、生成された電解水ミストmが庫内に供給される状態の一例を以下に説明する。前述したようにカセットユニットE1が区画空間Gに装着されると、リミットスイッチLS1のON信号にもとづいて電極ユニットE2の主体部がカセットベース30の電解池30eに没入する。これと同時に排気筒36と送気管37が接続され、電解水ミストmの供給が可能となる。
【0054】
前記送気管37の他端は図3に示すようにエアーカーテンダクト13に臨むようにしてある。したがって、エアーカーテン用送風機16が駆動され、同図に示すようにエアーカーテンACを生成するための同図矢印で示すような循環気流が発生すると、送気管37の内部は負圧となり排気筒36および送気管37の内部の空気がエアーカーテンダクト13に吸い込まれる状態となり、これにより、生成された電解水ミストmはエアーカーテンダクト13へ流れ込むことになる。
【0055】
前述したように冷蔵庫扉4を開いたとき、これと同時にエアーカーテンを発生させることにより雑菌の含まれた外気の進入を極力防止しようとするものであるが、完全にこれを防ぐことは困難である。そこで、本発明では、冷蔵庫扉4が開かれことを検知した信号にもとづいてエアーカーテン用送風機16を駆動するとともに除菌装置Eの運転も開始するようにした。
【0056】
これによりエアーカーテンACを生成する循環気流中に電解水ミストmが供給されて混入されるため、冷蔵庫扉4が開かれたとき発生するエアーカーテンACには電解水ミストmが含まれていることになる。したがって、冷蔵庫扉4の開閉に伴い外気が庫内に進入したとしても、この外気は電解水ミストmを含むエアーカーテンACと混合されることになり、除菌効果を得ることができる。なお、本実施例では、生成された電解水ミストmをエアーカーテンACに供給する場合について説明したが、送気管37を他の部位、例えば、野菜室9などにも延設して電解水ミストmを供給することは容易に可能である。
【0057】
このようにして電解水ミストが生成され供給されてゆくと、給水タンクの水道水が次第に減少するが、本願発明の電極ユニットE2には水位検知センサー47を備えているので、カセットベース30の電解池30eの水道水W1が所定以下の水位となったとき、フロート47aの下降に伴って出力される水位検知センサー47の信号にもとづいて、冷蔵庫扉4に配設したインジケータを点灯させて給水タンク40への水道水W1の補給を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明を実施する冷蔵庫の外観を示す正面図である。
【図2】冷蔵庫本体の内部の構成を示す図である。
【図3】冷蔵庫本体の内部の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の除菌装置の構成を説明する図である。
【図5】本発明の除菌装置のカセットベースを示す斜視図である。
【図6】本発明の除菌装置のカセットベースの構成を示す図である。
【図7】ドームおよび排気筒を示す斜視図である。
【図8】本発明の除菌装置のカセットユニットを示す図である。
【図9】本発明の除菌装置の電極ユニットの構成を示す図である。
【図10】本発明の除菌装置の電極ユニットの構成を示す図である。
【図11】本発明の除菌装置の配設状態を示す図である。
【図12】本発明の除菌装置のカセットユニットを取り外した状態を示す図である。
【図13】電極ユニットの回動機構を示す図である。
【図14】図13の回動機構の動作を説明する図である。
【図15】本発明の除菌装置の給水タンクの着脱状態を説明する図である。
【図16】本発明を実施した冷蔵庫の全体の構成を示す断面図である。
【図17】本発明の冷蔵庫の制御回路部の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0059】
E・・・・・・除菌装置
1・・・・・・冷蔵庫
2・・・・・・冷蔵庫本体
3・・・・・・冷蔵室
4・・・・・・冷蔵室扉
5・・・・・・棚板
6・・・・・・小型冷凍室
7・・・・・・製氷室
8・・・・・・冷凍室
9・・・・・・野菜室
10・・・・・断熱間仕切り壁
11・・・・・背壁パネル
12・・・・・冷気ダクト
13・・・・・エアーカーテンダクト
13a・・・・エアーカーテン吹出口
14・・・・・照明灯
15・・・・・脱臭装置
16・・・・・エアーカーテン用送風機
17・・・・・トレイルーム
18・・・・・吸込口
19・・・・・低温トレイ
20・・・・・小型冷蔵トレイ
21・・・・・製氷用給水タンク
22・・・・・仕切壁
23・・・・・仕切壁
24・・・・・冷気通路
25・・・・・モータダンパ
E1・・・・・カセットユニット
30・・・・・カセットベース
30A・・・・給水タンク載置部
30B・・・・ミスト生成部
30C・・・・電解槽
30a・・・・囲繞壁
30b・・・・側壁
30c・・・・突起
30d・・・・流路
30e・・・・電解池
30A・・・・給水タンク載置部
30B・・・・ミスト生成部
30C・・・・電解槽
31・・・・・操作子
32・・・・・コネクタ
33・・・・・超音波振動子
33a・・・・ダイアフラム
35・・・・・ドーム
36・・・・・排気筒
37・・・・・送気管
40・・・・・給水タンク
E2・・・・・電極ユニット
45a・・・・電極
45b・・・・電極
47・・・・・水位検知センサー
47a・・・・フロート
48・・・・・ホルダー
48a・・・・窓孔
48b・・・・窓孔
49・・・・・シャフト
50・・・・・ホイール
51・・・・・ウォームギヤ
52・・・・・ステッピングモータ
53・・・・・電極ハウジング
53a・・・・ステム
55・・・・・コネクタ
56・・・・・発光素子
60・・・・・圧縮機
61・・・・・冷気循環用送風機
62・・・・・冷却器(蒸発器)
AC・・・・・エアーカーテン
G・・・・・・区画空間
S・・・・・・冷蔵庫ドアスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水を貯留する給水タンクの載置部と、前記給水タンクから供給された水道水を電気分解して次亜塩素酸を含有する電解水を生成する電解槽と、生成された電解水に超音波振動を与えて電解水ミストを生成するミスト生成部とを備えるカセットベースを一体に構成してなり、
該カセットベースの電解槽に臨む電極ユニットを冷蔵庫本体に配設したことを特徴とする除菌装置。
【請求項2】
水道水を電気分解するための電極ユニットを冷蔵庫本体の区画空間に配設する一方、除菌装置の前記電極ユニット以外の構成要素を一体化したカセットユニットを前記区画空間に着脱可能となるようにしたことを特徴とする冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−145008(P2008−145008A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330801(P2006−330801)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】