説明

除雪システム

除雪車両及びシステム(10)を開示している。このシステム(10)は、車両(10)により取り込まれた雪が融解され加熱されて加熱液体になり、その後噴射されて車両(10)の両側及び後側の雪を除去する。また、雪を除去する方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、除雪システムと題して西暦2005年6月1日に出願された米国特許願第11/142599号についての恩恵を主張しており、その開示内容は参照によりここに含まれる。
【背景技術】
【0002】
降雪及び積雪は、大都市圏、幹線道路、空港等の主たる障害になる。従って、多くの除雪システムが提案されてきた。例えば、プラウ(plow、鍬、除雪機)又はそり状物(sled)をトラック又はトラクターのような動力化された車両のフロント部分に取り付けるのが一般的であった。これは、舗装された地表の表面から雪を押し離すのには有効であるが、高人口集中地域では雪を移動させるための未使用のスペースがしばしば不足しているという点で問題がある。都会又は郊外地区においては、道路わきの駐車スペースは、大規模な吹雪の災難を受けるのが一般的である。雪の街路等を片付けると共に雪を別の区域に運ぶ他の除雪システムが開発されてきた。例えば、雪を捉えてからそれを液状化する車両が知られている。これらの車両は、液体を収容するための貯留タンクを有するのが一般的であり、該タンクの容量に達した際には、配水管或いは同様の廃棄又は排水系統に入れて空にされる。
【0003】
明らかに、上述した除雪・廃棄システムは、街路もしくは同様の車両作業面から吹雪の残留物を片付けるのに有効である。しかしながら、該システムはそれらの欠点を有している。かかるシステムは、車両のフロント部分に装着されたシャベル又はそり状物の使用を通じて、地表上に堆積した雪をしばしば捉える。車両が前方に移動するときに、雪が掬われてシャベルの中に入り、そして車両の貯留部分に入れられる。シャベル又は雪捕捉部分の幅は、一回の通過で片付けられる雪の量を決める。これらの雪捕捉部分は車両自体の幅を超えることができないのが普通であるから、この幅には限りがある。従って、一本の街路の片付けには一台の車両による複数回の通過を要することになる。特に大規模な車道、即ち空港の滑走路については、時機を得た仕方で全通路を片付ける唯一の適当な方法は、一度に数台の除雪車両を用いることである。
【0004】
従って、複数回の通過を必要とすることなく、街路、滑走路又はその他の地表の広範な部分を対象として雪を片付け廃棄することができる単一の除雪システム及び車両の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、除雪システムに関し、特に、雪が車両の前方及び付近で直接に除去されるのを可能にする除雪車両に関するものである。
【0006】
本発明の第1の形態は、地表から雪を除去するための動力化された車両である。本発明の一実施形態に基づくこの車両は、該車両が前記地表をトラバースしている間に、前記車両に整列した前記地表の部分上にある雪を除去するために前記車両に装着されたシャベルと、前記シャベルにより除去された前記雪を融解すると共に、加熱液体を結果として製造するための加熱アセンブリと、前記車両が前記地表をトラバースしている間に、前記車両の側面の少なくとも1つの側にある前記地表の側面部分上の雪を融解すべく前記加熱液体を散布するために、前記車両の側面の少なくとも1つに装着された1つ以上のランスとを含んでいる。
【0007】
本発明の別の形態は、地表から雪を除去するための方法である。この形態に基づく方法は、シャベルを有する除雪車両を用意するステップと、前記車両を第1通路に沿って移動させるステップと、前記第1通路において前記車両を移動させながら、前記シャベルで前記車両と一直線になって前記地表上にある雪を取り込むステップと、加熱液体を造るため前記取り込んだ雪を融解し加熱するステップと、前記第1通路の側面にある雪を融解するために前記加熱液体を散布するステップとを含んでいる。
【0008】
本発明の第2形態の別の実施形態は、地表から雪を除去するための別の方法である。この実施形態に基づく方法は、除雪車両を第1方向に移動させるステップと、前記地表上に第1の幅を有する第1の帯状域を画成するように雪を取り込むステップと、加熱液体を造るため前記取り込んだ雪を融解し加熱するステップと、前記第1通路の側面にある雪を融解して前記第1の幅を増すために前記加熱液体を散布するステップとを含んでいる。
【0009】
本発明の主題とその種々の利点とのより完全な理解は、添付図面について言及する以下の詳細な説明を参照することにより得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
同様の参照数字は類似の要素を表している図面を参照すると、図1には、本発明の一実施形態に基づいて、参照数字10により総括的に表された除雪車両が示されている。除雪車両10は、動力化した車両もしくは牽引自動車部分20と、雪取込み部分30と、加熱アセンブリ40と、排出部分80とを含んでいる。図示の実施形態は確かに本発明に基づいて雪を除去するのに適する特定の一実施形態ではあるが、添付図面に示された実施形態から大幅に変更する他の実施形態も可能であることを述べておく。例えば、図に記載された実施形態は、牽引トラック型の設計及び構造を有している。しかしながら、種々のコンポーネントをしかるべく操作することによりもっとコンパクトな設計を提供することが考えられる。特定の設計は、より小さなコンポーネント及びよりコンパクトなレイアウトを採用することを想定している。更に、一部のコンポーネントは、図面において包括的な形で描かれているが、これらは当該技術で既知の種々の構造を有しうることが考えられる。換言すれば、特定コンポーネントの実施形態についてここに記載されているが、同じ機能又は類似の機能をもたらすのに適する、該コンポーネントのその他の実施形態を利用することが考えられる。
【0011】
牽引自動車部分20は、本発明の一部のコンポーネントを収容すると共にシステム全体に所要の動力を供給し且つ動作をもたらすのに適する任意の型の動力化した車両、即ち自動車とすることができる。図1に最も良く示すように、牽引自動車部分20は、牽引トラック車両においてしばしば用いられる牽引自動車構造に類似している。かかる設計は当該技術において良く知られている。基本的に、牽引自動車部分20は、除雪システムに動力を供給するためのモータ(図示せず)と、運転者、操作者及び特定の機器を収容するための運転台もしくはキャブ22及び24(図2に最も良く示す)と、制御室モジュール26と、モータにより動力を供給されるホイールもしくはキャタピラ28とを含むのが好ましい。好適な実施形態において、モータは、ガソリンを燃料とする普通の燃焼エンジン又はディーゼルエンジンである。しかしながら、特定に実施形態では、天然ガスにより動力を供給されるエンジン等のような他の形式のモータを採用することも考えられる。具体的に示してはいないが、該モータは、除雪車両10に含まれる特定の他のコンポーネントに動力を供給するのに使用されてもよい。例えば、図に示すように、モータは電気系統等に電力を供給してもよい。最後に、図に示すように、ホイール28はキャブ22及び24の後部に設置されるのが好ましい。これは、転回及び/又はコーナリングを支援するために大型車両でしばしば採用される既知の設計である。
【0012】
図2にもっと具体的に示すように、キャブ(運転台)22及び24は、それらの間に前述した雪取込み部分30が延在するように位置を定められている。2つのキャブは、制御室モジュール26により互いに結合されて、それにより除雪車両10の司令センターを形成しており、その全体構造は、機器の大部分を収容する牽引自動車部分20を形成している。制御室モジュール26は、牽引自動車部分20の制御系の特定形態を配置し収容するのに有効である。好ましいのは、制御室モジュール26が牽引自動車部分20の内部コンポーネント(構成要素)にアクセスするのを可能にするアクセスポートもしくはドアを含んでいることである。除雪システムの複雑さは、二人のオペレータが除雪車両10を適正に操作することを必要とするかも知れない。例えば、特定の実施形態では、一人のオペレータがキャブ22に座り除雪システムの特定の状況を操作しながら、運転者がキャブ24に座り車両の運転状況を操作することを求める。キャブ22及び24のこの別個の構成(図2に最も良く示す)は、複数の人間が除雪車両10を運転することを認める好適な除雪車両構造である。この実施形態において、双方の人間は、少なくとも直進方向と特定の周辺方向とにおける完全な視認性を与えられる。それにも拘らず、牽引自動車部分20は、一人の人間による除雪システムの制御を可能とするように想定されている。かかる設計の場合、キャブが雪取込み部分30から片寄っていてよく、或いは視界支援装置が設けられていてもよい。これについては以下にもっと説明されている。
【0013】
図3に最も良く示すように、雪取込み部分30はコンベヤ32と連係するシャベル31を含むことが好ましい。シャベルという用語は、全体を通して、雪を取り込むことができる任意の構造を指していることが分かる。好適な実施形態において、シャベル31は高さの調節が可能であり、その中に取り込まれる雪の高さを変えることを許容する。例えば、図に示すように、シャベル31は個所33を中心として揺動することができる。明らかに、時計方向へのシャベル31の回転は取り込まれる雪の量を減少させるが、反対方向への回転は取り込まれる雪の量を増加させるであろう。このことは、どちらかと言えば深い雪の片付け作業においてしばしば必要である。例えば、降雪の深さに依存するが、除雪車両10は、1回の通過で雪の全深さを取り込むことができなくてもよい。従って、シャベル31は、深さの一部を取り込むのに過ぎないように調節されうる。雪内のシャベル31の深さを適正に監視するため、シャベルに雪深さ検出プローブ(探査針)34を設けることができる。このプローブ(探査針)は、オペレータもしくは運転者による監視のために前述したキャブ又は制御モジュールにおいて適当な監視及び制御系に結合することができる。
【0014】
コンベヤ32は、除雪車両10の前進移動に同期して(除雪車両10とほぼ同じ線速度で)回転するドラッグコンベヤであることが好ましい。従って、シャベル31で取り込まれた雪は、その後、除雪車両10の一定の前進移動によりコンベヤ32に向かい押し出される。雪がコンベヤ32に一旦達すると、それは、コンベヤ32の端部36に達するまで、コンベヤベルト15等の上に乗り運ばれる。この時点で、雪は加熱アセンブリ40内に落とされるのが好ましい。図3に示すように、加熱アセンブリ40の一部は、コンベヤ32の端部36の下方に位置した開口を含んでいる。従って、雪はこの開口内に単に落下する。しかしながら、他の実施形態では、雪が異なる仕方で加熱アセンブリ40に搬送されることが想定されている。例えば、他の実施形態において、コンベヤ32の一部は延びて加熱アセンブリ40内に入ることができ、そのため雪は加熱アセンブリ内に直接運び込まれる。このような設計は、残留した雪がコンベヤ32に付着するのを無くすのに役立つであろう。図に記載した好適な実施形態において、コンベヤ32はコンベヤ囲い37内に収容されている。かかる囲いは、シャベル31により取り込まれた雪の量がそこを通過できるように適切に所定の大きさに作られ且つ構成されていなければならない。組み合わせたシャベル31及びコンベヤ32のアセンブリは、雪を除雪車両10により取り込みうる一方法に過ぎないと考えられる。例えば、一実施形態では、スクリュー式アセンブリ(図示せず)を用いて雪を捕まえて除雪車両10の内部に搬送するようにすることが意図されている。更に、ベルトコンベヤ、オーガ等のような異なる形式のコンベヤアセンブリを設けることが意図されている。
【0015】
図4は、本発明の好適な実施形態による加熱アセンブリ40のフローチャートである。加熱アセンブリ40は、加熱液体を造るように、取り込んだ雪を融解し加熱するのに適することが好ましい。このような作業を実現するために実に多くの実施形態が存在するが、以下、好適な一実施形態についてここに記載する。加熱アセンブリ40は、幾つかのコンポーネント、それらのうちでも特に、コンバータ42(図5及び図6により詳細に示されている)と、フラッシュタンク60(図7により詳細に示されている)と、コンバータ加熱器ドレンタンク62(図8により詳細に示されている)と、ボイラーブローダウンタンク64(図9により詳細に示されている)と、ボイラーもしくは蒸気発生器66と、復水貯蔵タンク68(図10により詳細に示されている)と、給水加熱器70(図11により詳細に示されている)とを含んでいる。以下は、図4のフローチャートと図5〜図11に示した特定のコンポーネントの詳細な説明とを参照して、加熱アセンブリ40の作動について記載している。加熱アセンブリ40の特定コンポーネントは詳細には論じない。しかしながら、当該技術に習熟した者は、特定コンポーネントについて固有の議論をすることなく各コンポーネントの作動を認識するであろう。更に、特定コンポーネント間の固有の相互作用も詳細には議論しないが(例えば、取付けのモード、介在コンポーネント等)、それにも拘わらず、当該技術に習熟した者は、それらの適正な相互作用を認識するであろう。
【0016】
作動中、前述したコンベヤ32は取り込んだ雪を端部36まで搬送し、そこで該雪は雪入口44を通りコンバータ42内に投棄される。図5及び図6に示すように、コンバータ42は、雪入口44を有するハウジング43と、塵埃スクリーン45と、ハウジング43の異なる側壁に装着されると共に開口47により隔てられた2台の一次加熱器46a及び46bと、バッフルプレート48と、ハウジング43の異なる側壁に装着されると共に開口51により隔てられた2台の二次加熱器50a及び50bと、アジテータ52と、蒸気多孔分散管54とを含んでいる。コンバータ42において、加熱器46a,46b,50a及び50bは、雪−水バス内の雪の融解を開始するために熱エネルギを供給する。作動中、蒸気は先ず一次加熱器46a及び46bに入り、次いで二次加熱器50a及び50bへと通過することが分かる。コンバータ32に加熱された液体を散布してそこに残留した雪を除去するために、コンバータ散布器が起動される。アジテータ52を作動してコンバータ42の上側部分における雪−水バスを混合しながら、蒸気多孔分散管54を起動してコンバータ42の下側部分において熱を加えると共に水を循環させ、それにより全面的に水温を上昇させる。基本的には、コンバータ42の作動によって、雪入口44内に落下した雪が液体化されると共により高い温度まで加熱される。
【0017】
コンバータ42における雪の融解から生じた水は、次に、最終的に除雪車両10から排出される前にフラッシュタンク60(図7に最も良く示されている)へとポンプ送りされる。この水は、コンバータ42にある出口56から排除され、そして入口61を通りフラッシュタンク60内に導入される。コンバータ42からタンク60への流れは、重力により又はポンプ(図示せず)により引き起こされうる。この水は、幾つかの熱源からの熱の伝達によりフラッシュタンク60内で加熱される。例えば、コンバータ加熱器ドレンタンク62(図8に最も良く示されている)及びボイラーブローダウンタンク64(図9に最も良く示されている)からのフラッシング蒸気は、それらの中の水を加熱するために、フラッシュタンク60内に加えられる。また、更に熱を加えるために、ボイラーブローダウンタンク64からの底部ドレンがポンプ送りされてフラッシュタンク60内にも入れられる。同様に、フラッシュタンクの水をボイラー66及びスタック67のガス熱回収システム(図4に示されている)に直接循環させると共に、それをエダクター(eductor)69と給水加熱器70からの加熱器ドレン(これも図4に示されている)とを介してフラッシュタンク60に戻すことにより、補助的な加熱を行うこともできる。
【0018】
ボイラー66は、当該技術で既知のように、水源から蒸気を供給するためのコンポーネントである。基本的に、ボイラー66は、復水貯蔵タンク68内に捕捉されたシステム水を沸騰させる。システム水とは、システム内に実質的に残留しており且つ取り込まれた雪から少なくとも部分的に造られうる水である。この水は、加熱アセンブリ40内に残っていてもよく、或いは使用の度に交換されてもよい。給水加熱器70は、システム水が許容可能なボイラー入口温度に至るように、このシステム水の温度をボイラー66に入る前に上昇させるため、タンク68とボイラー66との間に設けられている。ボイラー66から発生した蒸気は、加熱器46a,46b,50a及び50bを加熱するのに用いられる。最終的に、蒸気から取り込んだ雪への熱伝達の後、システムの水及びその他の元素、加熱器に供給された蒸気は移動してコンバータ加熱器ダウンタンク62に入り、そこで一部が利用されてフラッシュタンク60において取り込まれた雪から造られた水を更に加熱すると共に、一部が凝縮されて水になり復水貯蔵タンク68に貯蔵される。ボイラーブローダウンタンク64から供給される蒸気は次にフラッシュタンク60に供給されて、取り込まれた雪から造られた水を更に加熱する。一定量の水もフラッシュタンク60から引き出されて減失した水を補給すると共に、復水貯蔵タンク68及び最終的にボイラー66に供給される。従って、フラッシュタンク60において取り込まれた雪から造られた水に追加の熱を供給するだけでなく、加熱器46a,46b,50a及び50bに熱を供給するためにシステム水のどちらかと言えば閉じた系統が存在する。
【0019】
フラッシュタンク60から発生した加熱水は、前述した排出部分80に供給される。好適な実施形態において、排出部分80は、高衝撃噴射ノズル84が嵌合された複数のやり形筒もしくはランス82を含んでいる。本発明に基づいて使用するランス82の1つが図14に示されており、本発明に基づいて使用する噴射ノズル84の1つが図15に示されている。作動中、取り込まれた雪から生じた水は、フラッシュタンク60において加熱され、その後、図4のフローチャートに記載されているように、ランス82に供給される。加熱水は、フラッシュタンク60を去った後、噴射ノズル84のところで各ランス82から出る前に、フラッシュタンク側噴射ポンプ86、追加のパイプライン加熱器88(単数又は複数)及びブースターポンプ90を通ることができる。各ランス82がかかる諸コンポーネントを含んでいてよく、或いは諸コンポーネントが加熱水を複数のランス82に供給するのを支援してもよいことを指摘しておく。更に、特定のコンポーネントは特定の実施形態において必要ではないことが考えられる。例えば、所定のランス82における水の圧力次第であるが、ブースターポンプ90は必要ではないことがある。
【0020】
図12に示すように、ランス82は、それらが除雪車両10の両側及び背部から延びるように配置されている。これは、加熱された水がノズル84から実質的に真直ぐの方向に噴射されるのを許容する。複数のランス82のノズル84から噴射されている水は加熱されているので、それが接触する雪を融解するのに役立つ。水がノズル84から噴射される圧力に応じて、前述の水が噴射される距離が変わりうる。それにも拘らず、加熱水を得られる雪は少なくとも部分的に融解されるであろうと予想される。従って、図13に示すように、雪は除雪車両10の左及び右側で融解され、そのため除雪システムの総除雪幅が増大する。例えば、シャベルのみが(図13に示すように)幅xを有する取込み区域の雪を取り込む場合、図の装置は、ランス82からの加熱された水の噴射により、除雪車両の左及び右側に距離yにある雪を更に融解しうる。この作動の際、除雪車両10は、雪の高さの一部を取り込み、次いで残っている高さを見逃すであろう。後部に装着されたランス82は、そこから噴射される水が見逃されたばかりの雪に接触してそれを融解するように、方向付けることができる。除雪車両10により散布された水のみならず、融解した雪から結果的に生じた水も同様に流れ出て雨水きょ(渠)等のような普通の排水装置内に入る。それにも拘わらず、除雪車両10の運転は概して低い温度で起こるのが一般的である。従って、特定の実施形態では、散布された水及び/又は融解した雪の凍結を防止するように、環境的に安全な無毒の一定量の氷結防止剤又は氷結防止組成と共にランス82から水を散布することが想定されている。例えば、除雪車両10は、水がランス82から散布される前にこの水に注入される、かかる環境的に安全な無毒の一定量の氷結防止剤又はその他の氷結防止組成のための貯蔵部を含むことができる。
【0021】
本発明に基づく除雪車両10の主な使用法は、雪を片付けることができる総区域を増すことであるが、その他の使用法も想定される。例えば、街路、駐車場、又は空港の滑走路を片付けることに加えて、除雪車両10は、雪を取り込むと共に加熱された水を面(plane)上に散布するのに利用することができる。同様に、除雪車両10は、火又は過熱物体上に蒸気を放出するのに利用することができる。例えばこのように使用するとき、散布もしくは噴射装置等を特定のランスに取り付け、その後、該装置を作動して加熱水を特定の部位に方向付けることが考えられる。また、複数回の通過を行うことにより又は水を捕捉しその後の使用のために貯蔵しうる車両を提供することにより、かかる状況において除雪車両10が使用されうることが考えられる。後者の構成において、除雪システムの総合能力に応じて、十分な雪を最初に取り込んで氷結防止又は消化のような処置が行われるのを可能としうる。従って、かかる処置の際、除雪車両10は、雪を取りこみ、融解し、そして加熱し、その後この処置の際に利用すべく加熱水を貯蔵するように設計されることができる。除雪車両10は、季節的又は環境的な条件のため雪を得られないときに他の源から水を受け取ってもよい。この水は、氷結防止及び消化のために処理することができる。
【0022】
本発明の特定の実施形態に基づく除雪車両10には、航空機等の氷結防止の際に使用するための液圧制御式操作アームが更に取り付けられている。放水砲又はその他の適当な散布装置がこのアームに装着されると共に、除雪システム全体の水、電力、制御系に接続されることができる。普通の結氷防止作業の際、トラックは、航空機等の近くに計画的に位置決めされる。前述した操作アームは、翼及び胴体のような航空機の特定区域を目標として操作されうる。水流は、所望の区域の結氷防止のため放水砲又はその他の適当な散布装置から航空機に向けられる。
【0023】
消火作業の際、同様の放水砲及び操作アームを利用して火災等に散水することが可能である。しかしながら、本発明の蒸気発生能力を利用して火災を覆うと共にそれに酸素が送られるのを防止することも考えられる。例えば、水が直ぐ有効となるのを阻むような構造の場合、本発明に従う車両を該構造内の既存の配管系統に接続することが考えられる。その後、蒸気で該構造を覆うと共に火炎に酸素が更に送られるのを防止するように、蒸気をこの配管系統中に注入することができる。同様の蒸気消化技術は撃墜された飛行機等の火災を消化するのにも利用することができる。この場合、蒸気は上述したものに類似する砲により火炎に向けることができる。蒸気は周囲に排出されるであろうが、可燃物区域は、蒸気で覆われており、そのため冷却されると共に近くの酸素を利用することを阻止されるであろう。
【0024】
除雪装置の作業を支援するために除雪車両10に1台以上のカメラ等を装備することも考えられる。例えば、ビデオスクリーンと関連して用いることができる通常のビデオカメラ又は赤外線放射カメラを除雪車両10に設けることが考えられる。かかるスクリーンは、前述したキャブのどちらかに収容され、そしてオペレータ又は運転者が除雪車両の特定の状況を観察したりそのナビゲーションを支援したりするのを可能にすることができる。更に、除雪車両10の種々のコンポーネントを制御するための実行システムを設けることが考えられる。このようなシステムは、コンピュータ化されていることが好ましく、また、幾つかの自動化した特徴を含みうると考えられる。例えば、除雪車両10が取り込まれて処理される雪の量を監視することはもちろんのこと特定の作業温度を維持できるようにするシステムを設けることが想定される。同様に、除雪車両10のナビゲーションは、GPS技術を利用するシステムのような特定の制御システムにより、シャベル31の作動を支援できるように、支援されてもよい。
【0025】
最後に、前述した除雪車両10は、動力化した自動車式車両であるとして説明してきたが、既知のスノーブロワーとそれほど違うことのない、より小形の手動操作式車両を提供することが想定される。かかる装置は、該装置のどちらかの側面及び/又は背面から延びるランス等を同様に備えるであろう。人間が装置を手動で押すか又は引き、それにより雪を取り込むであろう。加熱アセンブリ40よりも小形でもっとコンパクトなバージョンでよい加熱アセンブリを使用して、取り込んだ雪を融解し加熱して加熱液にすることができる。上述のことに従って、この加熱水は、その後ランスから噴射されて、装置の左又は右側の雪、或いは最初は取り込まれずどちらかと言えば見逃した雪の除去を支援するであろう。このような装置は、ユーザーがスノーブロワーにより一般的に要求されるよりも少ない通過回数で私道もしくは自動車路等の全体を片付けることを可能にすると想定される。
【0026】
本発明は、ここでは特定の実施形態に関して説明されているが、これらの実施形態は本発明の原理及び応用の単なる例示であると理解されるべきである。従って、例示した実施形態に対して多くの改変を行うことができ、また、特許請求の範囲に規定された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の構成を工夫して作り出すことができると理解されるべきである。
【0027】
産業上の利用可能性
本発明は、限定はされないが、地表上の一回の通過中に厖大な量の雪を除去することができる除雪システムの提供を含む、広範囲の産業上の利用可能性を享受している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に基づく除雪車両の斜視図である。
【図2】図1に示した除雪車両の牽引自動車部分の斜視図である。
【図3】図1に示した除雪車両の雪取込み部分の断面平面図である。
【図4】図1に示した除雪車両の加熱アセンブリのフローチャートである。
【図5】図4の加熱アセンブリと共に使用するコンバータの斜視図である。
【図6】図5に示したコンバータの断面平面図である。
【図7】図4の加熱アセンブリと共に使用するフラッシュタンクの平面図である。
【図8】図4の加熱アセンブリと共に使用するコンバータ加熱器ドレンタンクの平面図である。
【図9】図4の加熱アセンブリと共に使用するボイラーブローダウンタンクの平面図である。
【図10】図4の加熱アセンブリと共に使用する復水貯蔵タンクの平面図である。
【図11】図4の加熱アセンブリと共に使用する給水加熱器の平面図である。
【図12】ランスの指向方向を描いた、図1に示す除雪車両の平面図である。
【図13】図1に示した除雪車両の除雪能力についての平面図である。
【図14】本発明に基づいて使用するランスの平面図である。
【図15】本発明に基づいて使用するノズルの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表から雪を除去するための動力化された車両であって、
該車両が前記地表をトラバースしている間に、前記地表部分の上にある雪を除去するために前記車両に整列して装着されたシャベルと、
前記シャベルにより除去された前記雪を融解すると共に、加熱液体を結果として製造するための加熱アセンブリと、
前記車両が前記地表をトラバースしている間に、前記車両の少なくとも1つの側面側にある前記地表の雪を融解すべく前記加熱液体を散布するために、前記車両の側面の少なくとも1つに装着された1つ以上のランスと、
を備える車両。
【請求項2】
前記ランスは前記車両の両側面に設けられている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記車両が前記地表をトラバースしている間に、前記車両の背面の側にある前記地表の雪を融解すべく背面部分上の雪に前記加熱液体を散布するために、前記車両の背面に装着された複数のランスを更に備える、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記シャベルは高さの調節が可能であり、選択された深さの前記雪を前記地表から除去しうる、請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記雪を前記シャベルから前記加熱器に搬送するためのコンベヤを更に備えている、請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記加熱アセンブリは、少なくとも2つのコンバータ加熱器と、アジテータと、蒸気多孔分散管と、蒸気放出器とを有するコンバータを含んでいる、請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記シャベルは前記車両のフロント部分に装着されている、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記車両の作動を支援する少なくとも一台のカメラを更に備える、請求項1に記載の車両。
【請求項9】
地表から雪を除去するための方法であって、
シャベルを有する除雪車両を用意するステップと、
前記車両を第1進路に沿って移動させるステップと、
前記第1進路において前記車両を移動させながら、前記シャベルで前記車両と一直線になって前記地表上にある雪を取り込むステップと、
加熱液体を造るため前記取り込んだ雪を融解し加熱するステップと、
前記第1進路の側面にある雪を融解するために前記加熱液体を散布するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記取り込んだ雪を前記シャベルから加熱アセンブリに搬送するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記散布するステップは、前記第1進路の両側面にある雪を融解するために前記加熱液体を散布することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記車両の背面の側にある雪を融解すべく前記加熱液体を散布するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
地表から雪を除去するための方法であって、
除雪車両を第1方向に移動させるステップと、
前記地表上に第1の幅を有する第1の帯状域を画成するように雪を取り込むステップと、
加熱液体を造るため前記取り込んだ雪を融解し加熱するステップと、
前記第1進路の側面にある雪を融解して前記第1の幅を増すために前記加熱液体を散布するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記取り込むステップは、前記第1方向に移動している前記除雪車両に装着されたシャベルにより前記雪を取り込むことを含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シャベルは前記第1の帯状域の前記第1の幅と実質的に等しい幅を有している、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記取り込むステップは、前記第1の帯状域にある前記雪の一部のみを取り込むことを含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
どの位の量だけ雪を取り込むか決めるために前記シャベルの高さを調節するステップを更に含んでいる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記除雪車両の背面側の残留雪を融解するために前記加熱液体を散布するステップを更に含んでおり、前記残留雪とは、前記雪の一部のみが前記第1の帯状域で取り込まれた後に前記地表上に残っている雪である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記取り込んだ雪を融解し加熱するために該雪を前記シャベルから加熱アセンブリに搬送するステップを更に含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱アセンブリはコンバータ、フラッシュタンク及びボイラーを含んでいる、請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2008−545907(P2008−545907A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514755(P2008−514755)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/020758
【国際公開番号】WO2006/130562
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507394880)
【Fターム(参考)】