説明

除電器の除電制御方法

【課題】 放電針のメンテナンスの頻度、放電針の摩耗や汚染を低減して長期に亘ってイオンバランスを維持しつつ除電時間を短縮する。
【解決手段】 極性の異なる複数のイオン発生用パルス電圧IPを放電針4に交互に印加するイオン放出サイクルSがインターバル期間tを置いて反復される。各イオン放出サイクルSのイオン発生用パルス電圧IPのパルス数は奇数であり、その先頭のイオン発生用パルス電圧IPと最後のイオン発生用パルス電圧IPの極性は同じである。換言すれば、一のインターバル期間t(1)の直前のイオン発生用パルス電圧がプラスであれば、次のインターバル期間t(2)の直前のイオン発生用パルス電圧はマイナスである。インターバル期間tの初期には、その直前のイオン発生用パルス電圧IPの極性とは逆極性の針電圧中和用パルス電圧NPが放電針4に印加され、放電針4に残留する電位が中和される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスAC方式の除電器に関し、詳しくは、同一の放電針に極性の異なるパルス電圧を交互に印加することによりプラスイオンとマイナスイオンとを交互に放出する除電器の除電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームでの清浄化や浮遊粒子の帯電防止、帯電したワークの除電などのために、非接触式除電方式としてコロナ放電を利用した除電器が多用されている。
【0003】
この種の除電器に関し、特許文献1は、同一の放電針に極性の異なるイオン発生用パルス電圧を所定のインターバルで交互に印加して、間欠的にプラスイオンとマイナスイオンと交互に放出するパルスAC方式の除電器の除電制御方法を提案している。また、この特許文献1は、このイオン発生用パルス電圧を放電針に印加した直後に、この放電針に残留する電位をほぼ中和させるための針電圧中和用パルス電圧を放電針に印加することを提案している。
【0004】
この特許文献1に開示の制御方法によれば、プラスのイオン発生用パルス電圧と次のマイナスのイオン発生電圧を放電針に印加する途中にインターバルを設けてあるため、放電針の単位時間当たりの仕事量を小さくできることから、放電針のメンテナンスの頻度、放電針の摩耗や汚染を低減することができ、また、長期に亘ってイオンバランスを維持することができるという利点がある。
【特許文献1】特開2003−86393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、パルスAC方式の除電器に関する特許文献1に開示の除電制御方法の概念図である。同図から理解できるように、逆極性のイオン発生用パルス電圧をインターバル期間tを置いて交互に放電針100に印加する特許文献1の制御方法によれば、除電器は、間欠的にプラスイオンとマイナスイオンとを交互に放出することになるが、例えばプラス側に帯電したワークWに対して、プラス側の放出イオンはワークWの除電に寄与しないため、マイナス側の放出イオンがワークWまで到来するまでに時間を要し、このため除電時間が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題を勘案してなされたものであり、その目的は、放電針のメンテナンスの頻度、放電針の摩耗や汚染を低減して長期に亘ってイオンバランスを維持しつつ除電時間を短縮することのできる除電器の除電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
同一の放電針に極性の異なるイオン発生用パルス電圧を交互に印加することにより、プラスイオンとマイナスイオンとを交互に放出する除電器の除電制御方法であって、
極性の異なる複数のイオン発生用パルス電圧を前記放電針に交互に印加するイオン放出サイクルをインターバル期間を置いて反復的に行う工程と、
前記インターバル期間の初期に、該インターバル期間の直前のイオン発生用パルス電圧とは逆極性の、前記放電針の残留電位を中和させるための針電圧中和用パルス電圧を前記放電針に印加する工程とを有し、
各イオン放出サイクルでは、奇数回、前記イオン発生用パルス電圧が前記放電針に印加され、また、前記インターバル期間の直前のイオン放出サイクルの最後のイオン発生用パルス電圧と、当該インターバル期間の直後のイオン放出サイクルの最後のイオン発生用パルス電圧とが逆極性であることを特徴とする除電器の除電制御方法を提供することにより達成される。
【0008】
本発明の除電制御方法によれば、図2の概念図に示すように、放電針100に極性の異なる複数のイオン発生用パルス電圧を交互に印加するイオン放出サイクルをインターバル期間tを置いて繰り返すことにより、プラスイオン、マイナスイオンを含むイオン群G、G、・・・を間欠的に放出することになる。そして、この各放出イオン群G、G、・・・にはプラス及びマイナスの両方のイオンが存在しているため、ワークWの帯電極性がプラス側又はマイナス側のいずれであっても、各放出イオン群G、G、・・・に含まれるマイナスイオン又はプラスイオンによってワークWを除電することができる。すなわち、図2を参照して、一つの放出イオン群GがワークWまで到来したときに、この放出イオン群Gには、ワークWの帯電極性とは逆極性のイオン(例えばワークWがプラスに帯電しているときには、除電に寄与するマイナスイオン)を必ず含んでいることから、これにより除電時間を短縮することができる。イオン発生用パルス電圧は、これを放電針に印可することによりコロナ放電を発生させてイオンを生成するものであるが、このイオン発生用パルス電圧のパルス幅及び絶対電圧値は、除電器メーカが予め設定しておいてもよいが、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の除電制御方法にあっては、各イオン放出サイクルに含まれるイオン発生用パルス電圧のパルス数は、「1」を除く奇数(例えば、3、5、7など)であり、また、各インターバル期間の直前のイオン発生用パルス電圧と、次のインターバル期間の直前のイオン発生用パルス電圧とが逆極性である。
【0010】
この点について、図2を参照して説明すると、インターバル期間tの直前の放出イオン(イオン群Gの最後の放出イオン)はマイナスイオンであれば、次のインターバル期間tの直前の放出イオン(イオン群Gの最後の放出イオン)がプラスイオンとなるように、各イオン放出サイクルでのイオン発生用パルス電圧の極性が制御される。
【0011】
インターバル期間におけるイオンバランスは、インターバル期間tの直前の放出イオンの極性に依存する。したがって、上述したように各インターバル期間tの直前の放出イオンの極性を交番させることにより、インターバル期間のイオンバランスの偏りを防止することができ、良好なイオンバランスを維持することができる。
【0012】
換言すれば、全てのインターバル期間t、t、・・・の直前のイオン発生用パルス電圧として例えばプラス電圧を放電針100に印加したときには、全てのインターバル期間t、t、・・・のイオンバランスがプラス側に偏ってしまうことになるが、本発明によれば、各インターバル期間の直前の放出イオンの極性を交番させるようにしてあるため、反復的に行われるイオン放出サイクルを実行する過程でインターバル期間でのイオンバランスの偏りを抑えることができる。
【0013】
本発明の除電方法は、上述したように、各イオン放出サイクルにおいて放電針に交互にプラス、マイナスのイオン発生用パルス電圧を印加するのであるが、このイオン放出サイクルでのイオン発生用パルス電圧のパルス数は「1」を除く奇数であることを特徴とするが、これを別の観点から、各イオン放出サイクルの最初と最後のイオン発生用パルス電圧の極性が同じである、と言い換えることができる。例えば、図2の放出イオン群Gの最初の放出イオンはマイナスイオンであり、当該放出イオン群Gの最後の放出イオンもマイナスイオンである。
【0014】
また、本発明の除電制御方法によれば、各インターバル期間tの初期に、放電針の残留電位を中和させるための針電位中和用パルス電圧を放電針に印加するようにしてあるため、放電針に残留する電位を早期に消失させることができ、これにより、この残留電位が何時までも放電針に残ることに伴う放電針の汚染を防止することができる。
【0015】
インターバル期間tに関し、典型的には固定である。固定のインターバル期間tの時間長さは、除電器メーカが予め設定しておいてもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。インターバル期間tの時間長さを相対的に大きく設定したときには、除電速度が低下することになるが、放電針の単位時間当たりの仕事量が減るため放電針のメンテナンス期間を延長することができる。逆に、インターバル期間tの時間長さを小さく設定したときには、除電速度を相対的に早くさせることができるが、その反面、放電針のメンテナンス期間が短縮してしまう。
【0016】
イオン放出サイクルをインターバル期間tを置いて反復的に行う本発明の除電制御方法は、放電針を効率的に休止させることでもある。この放電針の休止を合理的なものにするのに、インターバル期間tをワークの帯電状況に応じて可変に制御してもよい。一例として具体的には、各インターバル期間tの前段階で実行されるイオン放出サイクルによるワークの除電状態つまりワークの帯電状態を検出し、この帯電(除電)状態が予め規定した帯電(除電)状態の基準値よりも中和状態に近い状態にあると判断したときには、その直後のインターバル期間tを予め規定したインターバル期間tよりも長くなるように設定し、逆に、ワークの帯電(除電)状態が予め規定した帯電(除電)状態の基準値よりも中和状態から離れる状態にあると判断したときには、その直後のインターバル期間tを予め規定したインターバル期間tよりも短くなるように設定すればよい。
【0017】
ユーザにインターバル期間のt時間長さを任意に設定させる代わりに、インターバル期間の時間長さの異なる複数の運用モードを用意し、ユーザが適当な運用モードを選択できるようにしてもよい。この運用モードには、インターバル無しの運用モードを含んでいてもよい。また、各運用モードでのインターバル期間tの時間長さは、メーカが予め設定しておいてもよいが、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。除電時間を短縮したいユーザはインターバル期間が比較的短い運用モードを選択するだろうし、メンテナンス期間を延長したいユーザはインターバル期間が比較的長い運用モードを選択するであろう。
【0018】
イオンバランスを良好に保つために、インターバル期間tでのイオンバランスの偏りを小さくするのに、各イオン放出サイクルの後半のイオン放出量を抑えるようにしてもよい。前述したように、インターバル期間tのイオンバランスは各イオン放出サイクルの最後の放出イオンに大きく依存するが、例えば各イオン放出サイクルの少なくも最後のイオン発生用パルス電圧を相対的に小さくして各イオン放出サイクルの最後の放出イオンの量を減じることで、インターバル期間tで良好なイオンバランスを保つようにしてもよい。イオン発生用パルス電圧を可変に制御する具体的な手法として、イオン発生用パルス電圧のパルス幅及び/又は絶対電圧値を変化させる制御を挙げることができる。
【0019】
良好なイオンバランスを積極的に保つためにイオンバランスのフィードバック制御を行うのが好ましい。すなわち、イオンバランスを検出し、検出したイオンバランスがプラス又はマイナス側に偏っているときには、このイオンバランスの偏りを修正するために、例えば、イオン放出サイクルに含まれるプラス側のイオン発生用パルス電圧が、マイナス側のイオン発生用パルス電圧よりも相対的に大きくなるように制御することで、イオンバランスの偏りを修正することができる。このフィードバック制御において、一方側の極性つまりマイナス又はプラスのイオン発生用パルス電圧を固定しておき、他方側の極性のイオン発生用パルス電圧だけを可変制御するようにしてもよい。これによれば、除電器に含まれるイオン発生用パルス電圧を生成するための高電圧発生部の制御が容易になるという利点がある。
【0020】
除電器のユーザの利便性を高めるために、運用モードとして、上述したインターバル期間tを設けたインターバル運用モードと、インターバル期間無しに極性の異なるイオン発生用パルス電圧を連続的に前記放電針に交互に印加するインターバル無し運用モードとを有していてもよいが、イオンバランスのフィードバック制御を行うときに、各運用モード毎に異なる制御式に基づいて制御するのは制御系が複雑化するため好ましくない。これに対処する一つの方法として、インターバル運用モードの各イオン放出サイクルで、最初のイオン発生用パルス電圧を除く2番目以降のイオン発生用パルス電圧を印加するタイミングと同期したイオンバランスの検出を行うのがよい。2番目以降のイオン発生用パルス電圧は放電針の先端の電圧の立ち上がりの過渡特性がインターバル期間無しの運用モードの場合と同じであることから、イオン放出サイクルの2番目以降のイオン放出時にイオンバランスを検出することで、両方の運用モードで共通の制御式に基づいてイオンバランスのフィードバック制御を行うことができる。
【0021】
上述のようにイオン発生用パルス電圧を可変制御した場合に、放電針に残留する電位が変化する可能性がある。このことから、針中和用電圧のパルス幅及び絶対電圧値が固定であると、放電針の残留電位の変化に伴って、この残留電位を中和するのに時間を要する又は中和できなくなる可能性がある。
【0022】
これに対処するには、針電位中和用パルス電圧を可変制御して、インターバル期間の初期に放電針の残留電位が速やかにゼロV(ボルト)となるようにするのがよい。前述したように、インターバル期間に放電針に残留する電位は、各イオン放出サイクルの最後のイオン発生用パルス電圧に左右される。したがって、インターバル期間の直前のイオン発生用パルス電圧に対応した針中和用パルス電圧となるように針電位中和用パルス電圧を制御することで、放電針の残留電位を効果的に中和させることができる。
【0023】
針中和用パルス電圧の可変制御の具体な方法として、針中和用電圧のパルス幅及び/又は電圧絶対値を変える制御を挙げることができる。例えば、各イオン放出サイクルの最後のイオン発生用パルス電圧のパルス幅を比較的小さくしたときには、針中和用電圧のパルス幅を比較的小さくするように制御し、逆に、各イオン放出サイクルの最後のイオン発生用パルス電圧のパルス幅を比較的大きくしたときには、針中和用電圧のパルス幅を比較的大きくするように制御することで、放電針の残留電位の中和を最適化することができる。
【0024】
針中和用パルス電圧の可変制御の他の例を次に説明する。各イオン放出サイクルで複数のイオン発生用パルス電圧を交互に放電針に印加する本発明の方法では、各イオン放出サイクルでのイオン放出の周波数を定義することができる。例えば、イオンバランスのフィードバック制御のためにイオン発生用パルス電圧を変化させたときには、これに伴ってイオン放出の周波数が変化することから、この周波数に応じて針中和用パルス電圧を可変に制御することで放電針の残留電位の中和を最適化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に本発明を実施するための最良の形態について図3以降の図面を参照して説明する。
【0026】
図3は、パルスAC方式の除電器1を示し、この除電器1は、正負の高電圧生成回路2、3で極性の異なるイオン発生用パルス電圧及び針中和用パルス電圧を生成し、極性の異なるイオン発生用パルス電圧を同一の放電針4に交互に供給することにより、プラスイオンとマイナスイオンとを交互に放出する。
【0027】
正負の高電圧生成回路2、3は、共に、トランス5、6の一次側コイルに接続された自励発振回路7と、二次コイルに接続された、例えば倍整流回路からなる昇圧回路8を含む。高電圧生成回路2、3と放電針4との間には保護抵抗9が設けられている。
【0028】
放電針4の近傍又は回りには、グランド(GND)プレート10が設けられ、このGNDプレート10は、導体11を通じて、ワーク側グランドつまりフレームグランドFGに接続され、導体11には、第1、第2の抵抗R、Rが直列に設けられている。詳しくは、第1の抵抗R1がGNDプレート10側に設けられ、第2の抵抗RがフレームグランドFG側に設けられている。そして、この第1の抵抗R1と第2の抵抗Rとの間と、正負のトランス5、6の二次側コイルの接地側端とが導体12によって接続されている。
【0029】
放電針4とGNDプレート10との間の電流Iは第1の抵抗Rの電位差Vによって間接的に検知することができる。また、ワーク側のフレームグランドFGに到達した正と負のイオンの量の差は、第2の抵抗Rを通る電流Iつまり第2の抵抗Rの電位差Vによって間接的に検知することができる。
【0030】
したがって、第1の抵抗R1の電位差Vによって放電針4による放電の程度、つまり放電針4から放出されるイオンの量を検知することができ、これにより放電針4の性能低下又は効率低下などを把握することができるだけでなく、放電針4近傍でのイオンバランスを知ることができる。他方、第2の抵抗Rの電位差VによってワークW近傍でのイオンバランスを知ることができる。
【0031】
例えば、第1の抵抗R1の電位差Vをイオン電流検知回路14で検知して、この検知データをCPU15に入力し、電位差Vが極端に小さい又は経時的に小さくなって、例えばしきい値よりも小さくなったら、放電異常ということで、アラーム手段又は表示手段16で作業者に知らせるようにすればよい。この種の放電異常としては、放電針4にゴミが堆積した場合を挙げることができる。
【0032】
また、例えば、第2の抵抗Rの電位差Vをイオン電流検知回路14で検知して、この検知データをCPU15に入力し、ワークW近傍でのイオンバランスを保つことができるように放電針4に印加するイオン発生用パルス電圧(典型的にはパルス幅)を変化させるフィードバック制御を行うことができる。
【0033】
また、正側の電流値I又はIと負側の電流値I又はIとを対比することで放電針4近傍でのイオンバランスを知ることができることから、放出イオンのイオンバランスを保つように放電針4に印加するイオン発生用パルス電圧(典型的にはパルス幅)を変化させるフィードバック制御を行うことができる。
【0034】
CPU15は、上述したイオンバランスのフィードバック制御を含む、図4以降の図面に基づいて以下に説明する実施例の除電制御を実行するための除電制御プログラムに従って動作する除電制御の制御手段を構成する。この除電制御に含まれるインターバル期間tの時間長さ、イオン放出サイクルSでのイオン発生用パルス電圧IPのパルス数などは予め設定されていてもよいが、除電器1に各種の設定手段を用意して、この設定手段により、イオン放出サイクルSでのイオン発生用パルス電圧イオン放出サイクルSのパルス数、インターバル期間tの時間長さなどをユーザが設定できるようにしてもよい。
【0035】
図4は、除電器1の除電に関する基本制御を説明するための図であり、その上段は放電針4に印可するパルス電圧の制御のタイムチャートであり、下段は、放電針4の先端の電圧を示す。図中、参照符号IPはイオン発生用パルス電圧を示し、NPは針電位中和用パルス電圧を示す。また、これらIP及びNPに付記した(+)(−)は、各パルス電圧の極性を示す。
【0036】
基本制御では、イオン発生用パルス電圧IPは全て同じパルス幅及び絶対電圧値となるように制御される。この基本制御に用いるイオン発生用パルス電圧のパルス幅及び/又は絶対電圧値が異なる複数の運用モードを幾つか用意しておき、ユーザが適当な運用モードを選択できるようにしてもよい。
【0037】
また、針電位中和用パルス電圧NPは固定であり、全ての針電位中和用パルス電圧NPのパルス幅及び絶対電圧値が一定となるように制御される。また、インターバル期間tについても、全てのインターバル期間tの時間長さは一定である。図4から理解できるように、極性の異なるイオン発生用パルス電圧IPが放電針4に交互に印加されるイオン放出サイクルSがインターバル期間tを置いて反復され、各インターバル期間tの直前のイオン発生用パルス電圧IPの極性と直後のイオン発生用パルス電圧IPの極性とは逆極性である。また、インターバル期間tの初期には、その直前のイオン発生用パルス電圧IPの直後に、このイオン発生用パルス電圧IPの極性とは逆極性の針電圧中和用パルス電圧NPが放電針4に印加される。
【0038】
針電圧中和用パルス電圧NPは、インターバル期間tに入った後に放電針4に残留する電位を中和するためのものであり、最適な針電圧中和用パルス電圧NPは実験により求めればよいが、放電針4は、これに針電圧中和用パルス電圧NPが印加されたとしてもコロナ放電を行わない程度のパルス電圧であり、したがって、針電圧中和用パルス電圧NPを放電針4に印加しても、これによりイオンは発生しない。
【0039】
図4に例示の基本制御では、各イオン放出サイクルに含まれるイオン発生用パルス電圧IPのパルス数が「3」であるが、1を除く奇数であれば、特にその数は制限されない。例えば、イオン発生用パルス電圧IPのパルス数は「5」であってもよいし、「7」であってもよいし、それ以上の奇数であってもよい。
【0040】
また、各インターバル期間tの直前のイオン発生用パルス電圧IPと、その直後のイオン発生用パルス電圧IPとは極性が逆である。つまり、図4に左側に図示のイオン放出サイクルS(1)の最後のイオン発生用パルス電圧IPはプラスであり、次のイオン放出サイクルS(2)の最初のイオン発生用パルス電圧IPはマイナスである。換言すれば、図4の左側のインターバル期間t(1)の直前のイオン発生用パルス電圧IPはプラスであり、次のインターバル期間t(2)の直前のイオン発生用パルス電圧IPはマイナスである。
【0041】
図4の基本制御に含まれるインターバル期間tでは、放電針4が実質的に仕事を行わないため、このインターバル期間tを設けることで従来と同様に放電針4の汚染を防止することができる。また、インターバル期間tでのイオンバランスを左右する各インターバル期間tの直前のイオン発生用パルス電圧IPの極性が交番することから、良好なイオンバランスを長期に亘って維持することができる。また、各イオン放出サイクルSでは、プラス及びマイナスの両方のイオンが放出するため、従来に比べてワークWの除電速度を向上することができる。
【0042】
良好なイオンバランスを維持するのに、インターバル期間tでのイオンバランスの偏りを小さくするのがよい。これを考慮に入れた基本制御の変形例を図5に示す。図5の制御では、各イオン放出サイクルSの終期のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅及び/又は絶対電圧値を小さくして、各イオン放出サイクルSの後半のイオン発生量を減じるようにしてある。前述したように、インターバル期間tのイオンバランスは、その直前のイオン発生用パルス電圧IPの極性によって左右されることから、各イオン放出サイクルSの後半のイオン発生用パルス電圧IP(少なくとも最後のイオン発生用パルス電圧)を、各イオン放出サイクルSの他のイオン発生用パルス電圧IPよりもパルス幅を小さくすることで各インターバル期間tの直前のイオン放出量を減じ、これによりインターバル期間のイオンバランスの偏りを小さくすることができる。なお、図5の例では、矢印Aで示すように、各イオン放出サイクルSの終期の2つのイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅を小さくするようにしてある。
【0043】
図6は、各イオン放出サイクルSのイオン発生用パルス電圧IPのパルス数を7回に設定した例を示すものであるが、このように各イオン放出サイクルSで数多くのパルス数のイオン発生用パルス電圧IPを印加する基本制御を採用したときであっても、良好なイオンバランスを維持するために、図5を参照した上記の説明と同様に、各イオン放出サイクルSの終期のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅を小さくして、インターバル期間tでのイオンバランスの偏りを小さくするのがよい。ちなみに、図6の例では、各イオン放出サイクルSの終期の2つのイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅を小さくするようにしてあるが、各イオン放出サイクルSの一番最後のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅だけを小さくするように設定してもよい。
【0044】
このようなインターバル期間tのイオンバランスの偏りを小さくするために行う、各イオン放出サイクルSの終期のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅及び絶対電圧値は、除電器メーカが除電器1を出荷する段階で予め設定しておいてもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0045】
除電器1は、各種の運用モードを含んでいてもよい。例えば、前述した図4に図示のタイムチャートに従う第1運用モードと図5又は図6に図示のタイムチャートに従う第2運用モードとを用意しておき、ユーザが例えばモード切替ボタンのようなマニュアル式のモード切替手段によって第1運用モードと第2運用モードとを選択的に設定できるようにしてもよい。
【0046】
運用モードの切替に関する他の例として、従来の典型的なACパルス方式の除電制御、つまり極性の異なるイオン発生用パルス電圧を、インターバル無しに、つまり連続的に放電針4に交互に印加する除電制御を実行するインターバル無し運用モードと、図4などを参照して説明したインターバル運用モードとを用意しておいてもよい。
【0047】
除電器1は、図3を参照して説明したようにイオンバランスのフィードバック制御を含むものであるが、このイオンバランスのフィードバック制御に関し、上述したインターバル無し運用モードとインターバル運用モードとを用意したときに好適な手法を図7、図8を参照して以下に説明する。
【0048】
上述したように、インターバル無し運用モードでは、極性の異なるイオン発生用パルス電圧が連続的に交互に放電針4に印加される。他方、インターバル運用モードでは、各イオン放出サイクルSでは、極性の異なるイオン発生用パルス電圧が連続的に交互に放電針4に印加されるものの、放電針4に対して基本的に高電圧が印加されない休止期間(インターバル期間t)が存在する。したがって、このインターバル期間tが経過した直後のイオン発生用パルス電圧を放電針4に印加したときには、図7の矢印Bで示すように、放電針4の針先電圧は急峻に立ち上がる傾向にあるが、後続のイオン発生用パルス電圧を放電針4に印加したときの放電針4の針先電圧の立ち上がりは、矢印Cで示すように、比較的緩やかに立ち上がる傾向になる。このようにインターバル運用モードでは、放電針4の針先電圧の過渡応答特性が2種類存在している。これに対して、連続式運用モードでは、極性の異なるイオン発生用パルス電圧が連続的に交互に放電針4に印加されるため、その放電針4の針先電圧の過渡応答特性は1種類であり、この過渡応答特性は、インターバル運用モードにおける過渡応答特性Cと共通している。
【0049】
したがって、イオンバランスのフィードバック制御に用いる電流値I及び/又はI(又は電圧値V及び/又はV)(図3参照)を測定するタイミングを、各イオン放出サイクルSの2番目以降のイオン放出タイミングに同期するように設定することで、インターバル運用モード及びインターバル無し運用モードの双方に適用できる共通の制御式に基づいてイオンバランスのフィードバック制御を実行することができる。
【0050】
なお、図7、図8に示すインターバル運用モードでは、各イオン放出サイクルSに5つのイオン発生用パルス電圧IPを放電針4に印加するものであるが、この5つのイオン発生用パルス電圧IPのうち、斜線で示す3番目のイオン発生用パルス電圧IP、つまりインターバル期間tのイオンバランスを維持するためにパルス幅を小さくする直前の最も安定的にイオンを放出することのできるイオン発生用パルス電圧IPを放電針4に印可する時に電流値I及び/又はI(又は電圧値V及び/又はV)を測定する例を示している。
【0051】
イオンバランス制御に関し、検出したイオンバランスがプラス側又はマイナス側に偏っているときには、これとは逆の極性の放出イオンを相対的に増量できるように放電針4に印可するイオン発生パルス電圧IPを制御すればよい。これに関する典型的な一つの方法として、例えばイオンバランスがマイナス側に偏っているときには、プラス側のイオン発生パルス電圧IP(+)のパルス幅を拡大し、マイナス側のイオン発生パルス電圧IP(−)のパルス幅を縮小する制御を行い、これによりプラスの放出イオンの量を増やし、他方、マイナスの放出イオンの量を減じることで、イオンバランスを修正することができる。
【0052】
イオンバランス制御に関し、プラス又はマイナスのイオン発生用パルス電圧IPを変化させ、逆の極性のイオン発生用パルス電圧IPは基本制御のままで変化させない制御を行うようにしてもよい。この具体的な制御例を図7、図8に示してある。図7はイオンバランスがマイナス側に偏っているときの制御例を示し、図8はイオンバランスがプラス側に偏っているときの制御例を示す。
【0053】
すなわち、イオンバランスがマイナス側に偏っているときには、図7に示すように、プラスのイオン発生用パルス電圧IP(+)のパルス幅を大きくし、他方、マイナス側のイオン発生用パルス電圧IP(−)に関しては基本のパルス幅のままで変化させないで、プラスの放出イオンの量を相対的に増量し、これによりイオンバランスの偏りを修正することができる。逆に、イオンバランスがプラス側に偏っているときには、図8に示すように、プラスのイオン発生用パルス電圧IP(+)のパルス幅を小さくし、他方、マイナス側のイオン発生用パルス電圧IP(−)に関しては基本のパルス幅のままで変化させないことで、プラスの放出イオンの量を相対的に減量してイオンバランスの偏りを修正することができる。なお、図7、図8は、基本制御の変形例(図5)にイオンバランスのフィードバック制御を加えた例を示しているが、図4の基本制御に関しても同様に適用できることは言うまでもない。
【0054】
上述したように、イオンバランスのフィードバック制御でイオン発生用パルス電圧のパルス幅を変化させる具体的な方法として、基本のイオン発生用パルス電圧のパルス幅に対して所定のパルス幅を一律に増減するようにしてもよいし、また、イオンバランスの偏倚量に対応した比率で基本のイオン発生用パルス電圧のパルス幅を増減させるようにしてもよい。
【0055】
上述したように、イオン発生用パルス電圧IPを変化させる制御を行った場合、固定の針電圧中和用パルス電圧NPでは、放電針4の残留電圧の中和を好適に行うことができなくなる可能性を含む。この問題に関して、インターバル期間tに入る直前のイオン発生用パルス電圧IPに応じて針電圧中和用パルス電圧NPを変化させる制御を加えることで放電針4の残留電圧の中和の最適化を行うことができる。
【0056】
図9は、放電針4の残留電圧を左右する各イオン放出サイクルSの最後のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅に応じて、その直後の針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅を変化させる制御例を示す。具体的な制御例として、例えば、各イオン放出サイクルSの最後のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅を基本のイオン発生用パルス電圧のパルス幅に対して10%の拡大を行ったときには、針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅を10%又はこれに所定の係数を乗じた割合で拡大することで、放電針4の残留電圧を早期に中和させるようにしてもよい。
【0057】
なお、図9は、インターバル期間tでのイオンバランスの偏りを小さくする基本制御の変形例(図5)に対して、各イオン放出サイクルSの最後のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅に応じて、針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅を変化させる例を示したが、図4の基本制御に関しても同様に適用できることは言うまでもない。
【0058】
針電圧中和用パルス電圧NPの可変制御に関の変形例を次に説明する。例えば図7、図8を参照して説明したイオンバランスのフィードバック制御ではプラス側のイオン発生用パルス電圧IP(+)だけを変化させるようにしたが、このプラスのイオン発生用パルス電圧IP(+)のパルス幅を変化させたときにはイオン放出の周波数が変化することになる。したがって、この周波数を測定して周波数に対応して針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅を変化させる制御を加えることにより針電圧中和用パルス電圧NPの最適化のための制御を行うようにしてもよい。
【0059】
なお、図7、図8のフィードバック制御例では、マイナスのイオン発生用パルス電圧IP(−)のパルス幅は固定である。したがって、各イオン放出サイクルSの最後のイオン発生用パルス電圧IPがマイナスのときは、その直後のプラスの針電圧中和用パルス電圧NP(+)のパルス幅は変化させないで、各イオン放出サイクルSの最後のイオン発生用パルス電圧IPがプラスのときだけ、その直後の針電圧中和用パルス電圧NP(−)のパルス幅をイオン放出周波数に応じて、周波数が比較的大きいときには針電圧中和用パルス電圧NP(−)のパルス幅を比較的小さくし、周波数が比較的小さいときには針電圧中和用パルス電圧NP(−)のパルス幅を比較的大きくする制御を行う。
【0060】
また、別の方法として、上述した図7、図8のフィードバック制御のように、各イオン放出サイクルSの最後のイオン発生用パルス電圧IPが可変側の極性である場合、その最後のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅に基づいて、その直後の逆極性の針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅を変化させると共に、各イオン放出サイクルSの最後のイオン発生用パルス電圧IPが固定側の極性である場合には、その最後のイオン発生用パルス電圧IPの一つ前の可変制御される逆極性のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅に基づいて、当該イオン放出サイクルSの直後の針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅を変化させるを変化させるようにしてもよい。つまり、各イオン放出サイクルSで、少なくとも最後の可変側のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅に基づいて、当該イオン放出サイクルSの直後の針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅を変化させる制御を行うことで、放電針4の残留電圧を早期に中和させることができる。
【0061】
上記の考え方は、各イオン放出サイクルSのプラス及びマイナスのいずれか一方のイオン発生用パルスIPを可変に制御する場合に限定されるものではなく、プラス及びマイナスの双方のイオン発生用パルス電圧IPを可変に制御する場合にも適用することができる。すなわち、プラス及びマイナスの双方のイオン発生用パルス電圧IPを可変に制御する場合には、プラス及びマイナスのイオン発生用パルス電圧IPが可変であるが、各イオン放出サイクルSの可変のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅に基づいて、当該イオン放出サイクルSの直後の針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅を変化させる点で、上述した一方の極性のイオン発生用パルス電圧IPを固定にし、他方の極性のイオン発生用パルス電圧IPを可変する場合と共通している。また、言うまでもないが、各イオン放出サイクルSにおいて、最終の可変のイオン発生用パルス電圧IPのパルス幅の可変の程度だけでなく、当該イオン放出サイクルSの他の全ての可変のイオン発生用パルス幅の状況を加味して、当該イオン放出サイクルSの直後の針電圧中和用パルス電圧NPのパルス幅の変化量を設定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来例の特許文献1の除電制御方法の概要を説明するための図である。
【図2】本発明の除電制御方法の概要を説明するための図である。
【図3】実施例の除電器の回路図である。
【図4】実施例の除電制御方法の基本制御を説明するためのタイムチャートである。
【図5】実施例の除電制御方法の基本制御の変形例を説明するためのタイムチャートである。
【図6】インターバル期間のイオンバランスを良好に保つための制御の一例を説明するためのタイムチャートである。
【図7】イオンバランスのフィードバック制御を行う場合に、マイナスのイオン発生用パルス電圧のパルス幅を固定にしておいて、プラスのイオン発生用パルス電圧のパルス幅を変化させることでイオンバランスのフィードバック制御を行う例としてイオンバランスがマイナス側に偏っているときの制御例を示すタイムチャートである。
【図8】図7に関連して、イオンバランスがプラス側に偏っているときの制御例を示すタイムチャートである。
【図9】インターバル期間の初期に放電針に印可する針電圧中和用パルス電圧を可変に制御する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
4、100 放電針
S イオン放出サイクル
IP イオン発生用パルス電圧
NP 針電圧中和用パルス電圧
t インターバル期間
G イオン放出サイクルに対応した放出イオン群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の放電針に極性の異なるイオン発生用パルス電圧を交互に印加することにより、プラスイオンとマイナスイオンとを交互に放出する除電器の除電制御方法であって、
極性の異なる複数のイオン発生用パルス電圧を前記放電針に交互に印加するイオン放出サイクルをインターバル期間を置いて反復的に行うイオン放出工程と、
前記インターバル期間の初期に、該インターバル期間の直前のイオン発生用パルス電圧とは逆極性の、前記放電針の残留電位を中和させるための針電圧中和用パルス電圧を前記放電針に印加する針電圧中和工程とを有し、
各イオン放出サイクルでは、奇数回、前記イオン発生用パルス電圧が前記放電針に印加され、また、前記インターバル期間の直前のイオン発生用パルス電圧と、次のインターバル期間の直前のイオン発生用パルス電圧とが逆極性であることを特徴とする除電器の除電制御方法。
【請求項2】
前記各イオン放出サイクルの少なくとも最後のイオン発生用パルス電圧が他のイオン発生用パルス電圧よりも、そのパルス幅及び/又は絶対電圧値が小さく設定され、これにより前記インターバル期間の直前の放出イオンを減量することにより前記インターバル期間のイオンバランスの偏りを小さくする、請求項1に記載の除電器の除電制御方法。
【請求項3】
前記除電器が、前記インターバル期間の時間長さの異なる複数の運用モードを有する、請求項1又は2に記載の除電器の除電制御方法。
【請求項4】
イオンバランスを検出して検出したイオンバランスがプラス又はマイナス側に偏倚しているときに、このイオンバランスの偏倚を修正するために前記イオン発生用パルス電圧を制御するフィードバック工程を更に有し、
該フィードバック工程では、プラス又はマイナスのイオン発生用電圧を固定したまま、逆のイオン発生用パルス電圧を可変に制御する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の除電器の除電制御方法。
【請求項5】
前記除電器が、前記イオン放出サイクルを前記インターバル期間を置いて反復的に行うインターバル運用モードと、前記インターバル無しに極性の異なるイオン発生用パルス電圧を連続的に前記放電針に交互に印加するインターバル無し運用モードとを有し、また、
前記除電制御方法が、イオンバランスを検出して検出したイオンバランスがプラス又はマイナス側に偏倚しているときに、イオンバランスの偏倚を修正するために前記イオン発生用パルス電圧を制御するフィードバック工程を更に有し、
前記インターバル運用モードでは、前記イオン放出サイクルの少なくとも2番目以降のイオン発生用パルス電圧を前記放電針に印加してイオンを放出するタイミングに同期して前記イオンバランスを検出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の除電器の除電制御方法。
【請求項6】
前記イオン放出サイクルの少なくとも最後のイオン発生用パルス電圧に応じて前記針電圧中和用パルス電圧を制御することにより、前記放電針の残留電位の中和を最適化する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の除電器の除電制御方法。
【請求項7】
前記イオン放出サイクルの放出イオンの周波数を測定し、
該放出イオンの周波数に応じて前記針電圧中和用パルス電圧を制御することにより、前記放電針の残留電位の中和を最適化する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の除電器の除電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−12520(P2006−12520A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186019(P2004−186019)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】