説明

除電装置

【課題】除電性能の低下や放電停止などを警報する場合、外来ノイズの影響少なく安定して行うことができる除電装置を提供する。
【解決手段】接地電極3からグランドに流れる高周波交流の接地電流を整流する整流回路16と、その整流後の半波電圧と基準電圧とを比較するコンパレータと17、このコンパレータ17の出力によりオン・オフして警報信号を出力するホトカプラ23と、コンパレータ17の出力によりオン・オフする発光素子21・22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧トランスからの高周波交流電圧を放電電極に印加して接地電極との間で放電させ、正負のイオンを発生して除電する除電装置に関し、特に、放電により接地電極からグランドへ流れる接地電流を監視して警報等を行う除電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1(特開2004−319358号公報)に記載されているように、アース電極(接地電極)とグランドとの間にコンデンサ素子を接続して、放電による接地電流がこのコンデンサ素子を通じてグランドへ流れるようにし、その接地電流を高周波電源側へフィードバックさせて除電バランスを図るとともに、高電圧が発生していることを表示するようにした除電装置を提供している。
【0003】
一方、特許文献2(特開平7−143660号公報)には、昇圧トランスの二次側の一端と接地間に流れる電流を検出し、それが一定値以上のときに絶縁破壊又は異常放電を警報する除電器の安全装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−319358号公報
【特許文献2】特開平7−143660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特許文献1及び特許文献2のものとは異なり、除電性能の低下や放電停止などを警報する場合、外来ノイズの影響少なく安定して行うことができる除電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、高圧トランスからの高周波交流高電圧を放電電極に印加して接地電極との間で放電させる除電装置において、接地電極からグランドに流れる高周波交流の接地電流を整流する整流回路と、その整流後の半波電圧と基準電圧とを比較するコンパレータと、このコンパレータの出力によりオン・オフして警報信号を出力するホトカプラとを備えたことを特徴とする。
コンパレータの出力によりオン・オフする発光素子を備えることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、接地電極からグランドに流れる高周波交流の接地電流を整流し、その整流後の半波電圧と基準電圧とをコンパレータで比較して、このコンパレータの出力によりホトカプラをオン・オフして警報信号を出力するので、すなわち、接地電流を高周波のまま検出して閾値と比較するので、除電性能の低下や放電停止などを、外来ノイズの影響少なく安定して警報できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0008】
図1に本発明の実施例を示し、電極部Aと高周波高圧電源部Bと警報制御部Cとからなる。
概要断面構造を示した電極部Aは、ノズル1内の中央に設置した針状の放電電極2に対して、円筒形の接地電極3をノズル1の内周面に設置するとともに、この接地電極3の内周に樹脂による絶縁材4を付設したもので、放電電極2に高周波高圧電源部Bから高周波交流高電圧を印加して、放電電極2と接地電極3との間に絶縁材4による静電容量を介在させたコロナ放電を生じさせることにより、正負イオンをエアーと共にノズル1から噴射する。
【0009】
高周波高圧電源部Bは、コネクタ5の電源端子6aを外部の直流電源に接続し、グランド端子6bをグランド接続することにより、例えば+24Vの直流電源電圧を供給され、この直流電源電圧がスイッチ7をオンすることにより、レギュレータ8を介して高周波自励発振回路9に印加されてこれが発振し、高圧トランス10の二次側に高周波交流高電圧が生ずるようになっている。その高周波交流高電圧はコンデンサ11を介して放電電極2に印加される。
【0010】
レギュレータ8には、コネクタ5の信号入力端子12から発振オン・オフ信号が入力される。この発振オン・オフ信号としては、例えば、ノズル1へのエアー供給の有無を検出するセンサからの信号であって、ノズル1へのエアー供給が停止したときは、高周波自励発振回路9への電源供給がレギュレータ8で遮断されて高周波自励発振回路9が自動的にオフするようになっている。
【0011】
高圧トランス10の二次側の一端には、除電バランス回路13が接続され、放電中に二次側に生ずる電流をこの除電バランス回路13で検出して高周波自励発振回路9へフィードバックさせ、自励発振の正負の成分を自動調整することにより、正負の除電バランスが図れるようになっている。
【0012】
警報制御部Cは、接地電極3とグランドとの間にコンデンサ14を接続し、このコンデンサ14を通じてグランドへ流れる高周波交流の接地電流を、ダイオード15を用いた整流回路16で整流して正成分(又は負成分)の半波電圧とし、これをコンパレータ17にて基準電圧と比較する。このコンパレータ17の出力を、2つのトランジスタ18・19のうちに一方のトランジスタ18には直接、他方のトランジスタ19にはインバータ20で反転して入力する。これらトランジスタ18・19には、発光色の異なる発光素子21・22がそれぞれ接続されているとともに、一方のトランジスタ18にはホトカプラ23の発光素子23aが接続されている。本例の場合、発光素子21が緑色、発光素子22が赤色となっている。
【0013】
整流回路16で整流された半波電圧が、基準電圧を越えているときは、コンパレータ17の出力は「H」となり、一方のトランジスタ18がオンとなって緑色の発光素子21が点灯し、電極部Aでの放電が正常であることを表示する。このとき、他方のトランジスタ19はオフで、赤色の発光素子22は消灯するとともに、ホトカプラ23の発光素子23aはオフで、受光素子23bから警報信号は発生しない。
【0014】
一方、整流回路16で整流された半波電圧が、基準電圧に満たないときは、コンパレータ17の出力は「L」となり、他方のトランジスタ19がオンとなって赤色の発光素子22が点灯し、電極部Aでの放電が異常であることを表示する。このとき、一方のトランジスタ18はオフで、緑色の発光素子21は消灯し、また、ホトカプラ23の発光素子23aがオンとなって受光素子23bから警報信号が発生する。この警報信号は、コネクタ5の信号出力端子24から外部へ出力される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例の回路図で、電源部は概要断面構造を示す。
【符号の説明】
【0016】
A 電極部
B 高周波高圧電源部
C 警報制御部
1 ノズル
2 放電電極
3 接地電極
4 絶縁材
5 コネクタ
6a 電源端子
6b グランド端子
7 スイッチ
8 レギュレータ
9 高周波自励発振回路
10 高圧トランス
11 コンデンサ
12 信号入力端子
13 除電バランス回路
14 コンデンサ
15 ダイオード
16 整流回路
17 コンパレータ
18・19 トランジスタ
20 インバータ
21・22 発光素子
23 ホトカプラ
23a 発光素子
23b 受光素子
24 信号出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧トランスからの高周波交流高電圧を放電電極に印加して接地電極との間で放電させる除電装置において、前記接地電極からグランドに流れる高周波交流の接地電流を整流する整流回路と、その整流後の半波電圧と基準電圧とを比較するコンパレータと、このコンパレータの出力によりオン・オフして警報信号を出力するホトカプラとを備えたことを特徴とする除電装置。
【請求項2】
コンパレータの出力によりオン・オフする発光素子を備えたことを特徴とする請求項1に記載の除電装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−59886(P2008−59886A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235081(P2006−235081)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000183738)春日電機株式会社 (54)
【Fターム(参考)】