説明

除電装置

【課題】放電針に印加される正負のパルス電圧の立ち上がり・立ち下がりを早くするとともに、起動し始めにおいてもイオンバランスの乱れを抑えることができる除電装置を提供する。
【解決手段】高電位側出力端子12aを放電針26に接続し低電位側出力端子12bをグラウンドに接続する第1接続状態と、高電位側出力端子12aをグラウンドに接続し低電位側出力端子12bを放電針26に接続する第2接続状態の2つの接続状態を切替可能な切替回路20と、第1接続状態と第2接続状態とが交互に切り替わるように切替回路20を制御する制御回路27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気を除去する除電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、正極性のイオンと負極性のイオンとを交互に発生させる除電装置として、例えば特許文献1に記載される構成が知られている。この除電装置は、高電圧を発生させるための高電圧発生回路と、その高電圧発生回路からの電圧が印加される放電針とを備えている。高電圧発生回路の入力端子は、スイッチを介して電源に接続されており、高電圧発生回路は、電源の電圧を昇圧して高電位側出力端子と低電位側出力端子との間に所定電圧を発生させるようになっている。高電位側出力端子にはコンデンサが接続され、そのコンデンサに放電針が直列接続されている。また、高電位側出力端子と低電位側出力端子との間には、第1の抵抗が接続されており、コンデンサと放電針との共通接続点と低電位側出力端子との間には、第2の抵抗が接続されている。
【0003】
このような除電装置では、スイッチが所定周期で開閉動作するように制御され、これにより、電源からの電圧が間欠的に高電圧発生回路に供給される。そして、高電圧発生回路から放電針に印加される電圧は、コンデンサの充放電によりスイッチのオン・オフに応じて0Vを中心に正負に振幅される。即ち、スイッチがオンのときに正極性の高電圧が印加され、スイッチがオフのときに負極性の高電圧が印加されるようになっている。このように、正負の極性が周期的に反転する交流パルス電圧が放電針に印加されることにより、放電針の周囲にはコロナ放電による正極性および負極性のイオンが交互に生成され、この正と負に交互に生成されたイオンによって静電気の除去が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4157359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のような除電装置では、高電圧発生回路に入力される電源電圧をスイッチによりオン・オフすることで正負のパルス電圧が生成されるため、高電圧発生回路のオン・オフの切り替えと出力端子間の電圧発生のタイムラグによって、放電針に印加される正負のパルス電圧の立ち上がり・立ち下がりが遅くなるという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献1のような除電装置では、コンデンサの充放電を利用して周期的に正負に反転するパルス電圧の生成している。このため、除電装置の起動し始めにおいては、コンデンサの充電電圧が十分でないため、放電針に印加されるパルス電圧が正極性に偏ってしまい、その結果、生成するイオンの正負のバランスが乱れるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、放電針に印加される正負のパルス電圧の立ち上がり・立ち下がりを早くするとともに、起動し始めにおいてもイオンバランスの乱れを抑えることができる除電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、高電位側出力端子と低電位側出力端子との間に所定電圧を発生させる高電圧発生回路を備え、前記高電圧発生回路から出力された電圧を放電針に正負に交互に印加することで正負のイオンを交互に生成する除電装置であって、前記高電位側出力端子を前記放電針に接続し前記低電位側出力端子をグラウンドに接続する第1接続状態と、前記高電位側出力端子をグラウンドに接続し前記低電位側出力端子を前記放電針に接続する第2接続状態の2つの接続状態を切替可能な接続切替手段と、前記第1接続状態と前記第2接続状態とが交互に切り替わるように前記接続切替手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明では、第1接続状態で放電針に正極性のパルス電圧が印加され、第2接続状態で放電針に負極性のパルス電圧が印加され、その第1及び第2接続状態の切り替えが高電圧発生回路の出力側の接続切替手段によってなされる。つまり、放電針に印加される正負のパルス電圧が、高電圧発生回路のオン・オフの切り替えではなく、出力側の接続切替手段のオン・オフの切り替えによって生成されるため、放電針に印加される正負のパルス電圧の立ち上がり・立ち下がりを早くすることが可能となる。また、この発明では、正負のパルス電圧を生成するためのコンデンサが不要となり、接続切替手段の第1及び第2接続状態の切り替えによって正負のパルス電圧を生成することができるため、除電装置の起動し始めにおいても放電針に印加されるパルス電圧の極性の偏りを抑えることができ、その結果、生成するイオンのバランスの乱れを抑えることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除電装置において、前記接続切替手段は、前記低電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第1のスイッチング素子と、前記高電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第2のスイッチング素子と、前記高電位側出力端子と前記低電位側出力端子との間に直列接続された第1のインピーダンス素子及び第2のインピーダンス素子とを備え、前記第1のインピーダンス素子と前記第2のインピーダンス素子との接続点に前記放電針が接続されており、前記第1のスイッチング素子がオン、且つ前記第2のスイッチング素子がオフのときに前記第1接続状態となり、前記第2のスイッチング素子がオン、且つ前記第1のスイッチング素子がオフのときに前記第2接続状態となることを特徴とする。
【0011】
この発明では、第1及び第2接続状態を切り替えるための接続切替手段を構成するスイッチング素子を2つで構成することができ、その結果、部品点数の増加を抑えることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の除電装置において、前記接続切替手段は、前記高電位側出力端子と前記放電針との間を入り切りする第1のスイッチング素子と、前記高電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第2のスイッチング素子と、前記低電位側出力端子と前記放電針との間を入り切りする第3のスイッチング素子と、前記低電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第4のスイッチング素子とを備え、前記第1及び第4のスイッチング素子がオン、且つ前記第2及び第3のスイッチング素子がオフのときに前記第1接続状態となり、前記第2及び第3のスイッチング素子がオン、且つ前記第1及び第4のスイッチング素子がオフのときに前記第2接続状態となることを特徴とする。
【0013】
この発明では、高電圧発生回路で発生する電圧をそのまま放電針に印加することが可能となるため、除電装置の省電力化に寄与できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の除電装置において、前記放電針は、前記高電位側出力端子に接続された正極用放電針と、前記低電位側出力端子に接続された負極用放電針とからなり、前記接続切替手段は、前記低電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第1のスイッチング素子と、前記高電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第2のスイッチング素子と、前記高電位側出力端子と前記低電位側出力端子との間に接続されたインピーダンス素子とを備え、前記第1のスイッチング素子がオン、且つ前記第2のスイッチング素子がオフのとき、前記高電位側出力端子と前記正極用放電針とが接続される前記第1接続状態となり、前記第2のスイッチング素子がオン、且つ前記第1のスイッチング素子がオフのとき、前記低電位側出力端子と前記負極用放電針とが接続される前記第2接続状態となることを特徴とする。
【0014】
この発明では、第1及び第2接続状態を切り替えるための接続切替手段を構成するスイッチング素子を2つで構成することができるとともに、高電圧発生回路で発生する電圧をそのまま放電針に印加することが可能となるため、除電装置の省電力化に寄与できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載の除電装置において、前記各スイッチング素子は、炭化ケイ素よりなることを特徴とする。
この発明では、接続切替手段を構成する各スイッチング素子が炭化ケイ素よりなるため、各スイッチング素子に高電圧耐性を持たせることが可能となる。これにより、高電圧発生回路の出力側に設けられる接続切替手段を好適に動作させることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
従って、上記記載の発明によれば、放電針に印加される正負のパルス電圧の立ち上がり・立ち下がりを早くするとともに、起動し始めにおいてもイオンバランスの乱れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】除電装置の回路図。
【図2】除電装置の作用を説明するためのタイミングチャート。
【図3】別例の除電装置の回路図。
【図4】別例の除電装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の除電装置10は、発振回路11に接続された高電圧発生回路12を備え、この高電圧発生回路12には、発振回路11からの交流電圧が入力されるようになっている。
【0019】
高電圧発生回路12は、発振回路11に1次巻線が接続された昇圧トランス13と、コッククロフト型の倍電圧整流回路14とを備えている。昇圧トランス13の2次巻線の一端側は、倍電圧整流回路14を介して高電位側出力端子12aに接続されており、この倍電圧整流回路14は、グラウンドに対して正極性の直流電圧を生成するようになっている。一方、昇圧トランス13の2次巻線の他端側は、低電位側出力端子12bに接続されている。
【0020】
高電圧発生回路12の出力側には、接続切替手段を構成する切替回路20が設けられている。切替回路20は、第1のスイッチ21(第1のスイッチング素子)と、第2のスイッチ22(第2のスイッチング素子)と、第1の抵抗23(第1のインピーダンス素子)と、第2の抵抗24(第2のインピーダンス素子)とを備えている。高電圧発生回路12の低電位側出力端子12bは、第1のスイッチ21を介してグラウンドに接続されている。一方、高電位側出力端子12aは、第2のスイッチ22を介してグラウンドに接続されている。また、高電位側出力端子12aと低電位側出力端子12bとの間には、直列接続された第1及び第2の抵抗23,24が接続されている。そして、第1の抵抗23と第2の抵抗24との接続点25には、放電針26が接続されている。尚、第1の抵抗23と第2の抵抗24の抵抗値は、等しく設定されている。
【0021】
この切替回路20の第1及び第2のスイッチ21,22はそれぞれ、オン・オフが制御回路27によって制御されるようになっている。また、第1及び第2のスイッチ21,22には、炭化ケイ素よりなる半導体スイッチが用いられている。
【0022】
また、除電装置10は、放電針26の先端近傍に設けられた環状の対向電極28を備えている。この対向電極28はグラウンドに接続されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0023】
制御回路27は、第1及び第2のスイッチ21,22を所定周期でオン・オフさせる。このとき、制御回路27は、第1のスイッチ21がオン(閉状態)のときは第2のスイッチ22がオフ(開状態)となるように、反対に第1のスイッチ21がオフのときは第2のスイッチ22がオンとなるように制御する。第1のスイッチ21がオン、第2のスイッチ22がオフのときには、高電位側出力端子12aが放電針26に接続され、低電位側出力端子12bが第1のスイッチ21を介してグラウンドに接続される第1接続状態となる。一方、第1のスイッチ21がオフ、第2のスイッチ22がオンのときには、低電位側出力端子12bが放電針26に接続され、高電位側出力端子12aが第2のスイッチ22を介してグラウンドに接続される第2接続状態となる。このような第1接続状態と第2接続状態とを交互に切り替えるべく、制御回路27は第1及び第2のスイッチ21,22を所定周期でオン・オフさせる。
【0024】
図2に示すように、第1のスイッチ21がオン、第2のスイッチ22がオフとされると、高電位側出力端子12aの出力電圧Aが立ち上がり、+Vとなる。一方、このとき、低電位側出力端子12bは、オン状態の第1のスイッチ21を介してグラウンドと接続され、低電位側出力端子12bの出力電圧Bは0となる。ここで、放電針26は、第1の抵抗23と第2の抵抗24の接続点25に接続され、第1の抵抗23と第2の抵抗24の抵抗値は等しく設定されている。これにより、放電針26に印加される出力電圧Cは、+V/2となる。
【0025】
反対に、第1のスイッチ21がオフ、第2のスイッチ22がオンとされると、低電位側出力端子12bの出力電圧Bが立ち下がり、−Vとなる。一方、このとき、高電位側出力端子12aは、オン状態の第2のスイッチ22を介してグラウンドと接続され、高電位側出力端子12aの出力電圧Aは0となる。そして、放電針26に印加される出力電圧Cは、−V/2となる。
【0026】
上記のように、制御回路27によって第1接続状態と第2接続状態とが所定周期で交互に切り替えられると、振幅がV/2の交流パルス電圧(出力電圧C)が放電針26に印加される。これにより、放電針26の先端の周囲には、コロナ放電によって正負のイオンが交互に同量生成されるようになっている。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)高電位側出力端子12aを放電針26に接続し低電位側出力端子12bをグラウンドに接続する第1接続状態と、高電位側出力端子12aをグラウンドに接続し低電位側出力端子12bを放電針26に接続する第2接続状態の2つの接続状態を切替可能な切替回路20と、第1接続状態と第2接続状態とが交互に切り替わるように切替回路20を制御する制御回路27とを備える。これにより、第1接続状態で放電針26に正極性のパルス電圧が印加され、第2接続状態で放電針26に負極性のパルス電圧が印加され、その第1及び第2接続状態の切り替えが高電圧発生回路12の出力側の切替回路20によってなされる。つまり、放電針26に印加される正負のパルス電圧が、高電圧発生回路12のオン・オフの切り替えではなく、高電圧発生回路12の出力側の切替回路20のオン・オフの切り替えによって生成されるため、放電針26に印加される正負のパルス電圧の立ち上がり・立ち下がりを早くすることが可能となる。また、正負のパルス電圧を生成するためのコンデンサが不要となり、切替回路20の第1及び第2接続状態の切り替えによって正負のパルス電圧を生成することができるため、除電装置10の起動し始めにおいても放電針26に印加されるパルス電圧の極性の偏りを抑えることができ、その結果、生成するイオンのバランスの乱れを抑えることができる。
【0028】
(2)切替回路20は、低電位側出力端子12bとグラウンドとの間を入り切りする第1のスイッチ21と、高電位側出力端子12aとグラウンドとの間を入り切りする第2のスイッチ22と、高電位側出力端子12aと低電位側出力端子12bとの間に直列接続された第1の抵抗23及び第2の抵抗24とを備える。そして、第1の抵抗23と第2の抵抗24との接続点25に放電針26が接続され、そして、第1のスイッチ21がオン、且つ第2のスイッチ22がオフのときに第1接続状態となり、第2のスイッチ22がオン、且つ第1のスイッチ21がオフのときに第2接続状態となる。これにより、第1及び第2接続状態を切り替えるための切替回路20を構成するスイッチング素子を2つで構成することができ、その結果、部品点数の増加を抑えることが可能となる。
【0029】
(3)切替回路20を構成する第1及び第2のスイッチ21,22が炭化ケイ素よりなるため、第1及び第2のスイッチ21,22に高電圧耐性を持たせることが可能となる。これにより、高電圧発生回路12の出力側に設けられる切替回路20を好適に動作させることが可能となる。
【0030】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の切替回路20の構成を、例えば図3や図4に示す構成に変更してもよい。
【0031】
図3に示す構成では、切替回路20は、制御回路27によってそれぞれオン・オフ制御される第1〜第4のスイッチ31〜34を備えている。高電位側出力端子12aは、第1のスイッチ31(第1のスイッチング素子)を介して放電針26に接続されるとともに、第3のスイッチ33(第3のスイッチング素子)を介してグラウンドに接続されている。一方、低電位側出力端子12bは、第2のスイッチ32(第2のスイッチング素子)を介して放電針26に接続されるとともに、第4のスイッチ34(第4のスイッチング素子)を介してグラウンドに接続されている。また、放電針26は、抵抗35を介して接地されている。
【0032】
このような除電装置10では、第1及び第4のスイッチ31,34がともにオン、且つ第2及び第3のスイッチ32,33がともにオフのとき、高電位側出力端子12aが放電針26に接続され、低電位側出力端子12bがグラウンドに接続された第1接続状態となる。反対に、第1及び第4のスイッチ31,34がともにオフ、且つ第2及び第3のスイッチ32,33がともにオンのとき、高電位側出力端子12aがグラウンドに接続され、低電位側出力端子12bが放電針26に接続された第2接続状態となる。そして、制御回路27は、所定周期で第1及び第2接続状態を交互に切り替えるべく、第1〜第4のスイッチ31〜34を制御する。
【0033】
第1接続状態では、放電針26に対して高電位側出力端子12aの出力電圧Aが印加される。一方、第2接続状態では、放電針26に対して低電位側出力端子12bの出力電圧Bが印加される。つまり、放電針26には、振幅がVの交流パルス電圧が放電針26に印加され、これにより、放電針26の先端の周囲には、コロナ放電によって正負のイオンが交互に同量生成される。
【0034】
このような構成によれば、高電圧発生回路12で発生する電圧(出力端子12a,12b間の電位差V)をそのまま放電針26に印加することが可能となるため、除電装置10の省電力化に寄与できる。
【0035】
また、図4に示す構成では、切替回路20は、制御回路27によってそれぞれオン・オフ制御される第1及び第2のスイッチ41,42(第1及び第2のスイッチング素子)と、高電位側出力端子12aと低電位側出力端子12bとの間に接続された抵抗43(インピーダンス素子)とを備える。低電位側出力端子12bは、第1のスイッチ41を介してグラウンドに接続されている。一方、高電位側出力端子12aは、第2のスイッチ42を介してグラウンドに接続されている。そして、高電位側出力端子12aには正極用放電針26aが接続され、低電位側出力端子12bには負極用放電針26bが接続されている。
【0036】
このような除電装置10では、第1のスイッチ41がオン、且つ第2のスイッチ42がオフのとき、高電位側出力端子12aが正極用放電針26aに接続され、低電位側出力端子12bがグラウンドに接続された第1接続状態となる。反対に、第1のスイッチ41がオフ、且つ第2のスイッチ42がオンのとき、高電位側出力端子12aがグラウンドに接続され、低電位側出力端子12bが負極用放電針26bに接続された第2接続状態となる。そして、制御回路27は、所定周期で第1及び第2接続状態を交互に切り替えるべく、第1及び第2のスイッチ41,42を制御する。
【0037】
第1接続状態では、正極用放電針26aに対して高電位側出力端子12aの出力電圧Aが印加され、これにより、正極用放電針26aの先端の周囲にコロナ放電によって正極性のイオンが生成される。一方、第2接続状態では、負極用放電針26bに対して低電位側出力端子12bの出力電圧Bが印加され、これにより、負極用放電針26bの先端の周囲にコロナ放電によって負極性のイオンが生成されるようになっている。
【0038】
このような構成では、第1及び第2接続状態を切り替えるための切替回路20を構成するスイッチング素子を2つで構成することができ、その結果、部品点数の増加を抑えることが可能となる。それに加え、高電圧発生回路12で発生する電圧(出力端子12a,12b間の電位差V)をそのまま正極用放電針26a及び負極用放電針26bに印加することが可能となるため、除電装置10の省電力化に寄与できる。
【0039】
尚、図4に示す構成では、正極用放電針26aと負極用放電針26bにそれぞれ対応して対向電極28を2つ設けているが、1つの対向電極を兼用する構成としてもよい。
・上記実施形態では、各スイッチ21,22に炭化ケイ素よりなる半導体スイッチを用いたが、これに特に限定されるものではなく、高電圧耐性を有するものであれば他の半導体スイッチを用いてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…除電装置、12…高電圧発生回路、12a…高電位側出力端子、12b…低電位側出力端子、20…切替回路(接続切替手段)、21,22,31〜34,41,42…スイッチ(スイッチング素子)、23,24,43…抵抗(インピーダンス素子)、25…接続点、26…放電針、26a…正極用放電針、26b…負極用放電針、27…制御回路(制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位側出力端子と低電位側出力端子との間に所定電圧を発生させる高電圧発生回路を備え、
前記高電圧発生回路から出力された電圧を放電針に正負に交互に印加することで正負のイオンを交互に生成する除電装置であって、
前記高電位側出力端子を前記放電針に接続し前記低電位側出力端子をグラウンドに接続する第1接続状態と、前記高電位側出力端子をグラウンドに接続し前記低電位側出力端子を前記放電針に接続する第2接続状態の2つの接続状態を切替可能な接続切替手段と、
前記第1接続状態と前記第2接続状態とが交互に切り替わるように前記接続切替手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする除電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除電装置において、
前記接続切替手段は、
前記低電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第1のスイッチング素子と、
前記高電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第2のスイッチング素子と、
前記高電位側出力端子と前記低電位側出力端子との間に直列接続された第1のインピーダンス素子及び第2のインピーダンス素子と
を備え、前記第1のインピーダンス素子と前記第2のインピーダンス素子との接続点に前記放電針が接続されており、
前記第1のスイッチング素子がオン、且つ前記第2のスイッチング素子がオフのときに前記第1接続状態となり、
前記第2のスイッチング素子がオン、且つ前記第1のスイッチング素子がオフのときに前記第2接続状態となることを特徴とする除電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の除電装置において、
前記接続切替手段は、
前記高電位側出力端子と前記放電針との間を入り切りする第1のスイッチング素子と、
前記高電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第2のスイッチング素子と、
前記低電位側出力端子と前記放電針との間を入り切りする第3のスイッチング素子と、
前記低電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第4のスイッチング素子と
を備え、
前記第1及び第4のスイッチング素子がオン、且つ前記第2及び第3のスイッチング素子がオフのときに前記第1接続状態となり、
前記第2及び第3のスイッチング素子がオン、且つ前記第1及び第4のスイッチング素子がオフのときに前記第2接続状態となることを特徴とする除電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の除電装置において、
前記放電針は、前記高電位側出力端子に接続された正極用放電針と、前記低電位側出力端子に接続された負極用放電針とからなり、
前記接続切替手段は、
前記低電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第1のスイッチング素子と、
前記高電位側出力端子とグラウンドとの間を入り切りする第2のスイッチング素子と、
前記高電位側出力端子と前記低電位側出力端子との間に接続されたインピーダンス素子とを備え、
前記第1のスイッチング素子がオン、且つ前記第2のスイッチング素子がオフのとき、前記高電位側出力端子と前記正極用放電針とが接続される前記第1接続状態となり、
前記第2のスイッチング素子がオン、且つ前記第1のスイッチング素子がオフのとき、前記低電位側出力端子と前記負極用放電針とが接続される前記第2接続状態となることを特徴とする除電装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の除電装置において、
前記各スイッチング素子は、炭化ケイ素よりなることを特徴とする除電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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