説明

除電除塵装置

【課題】操作が簡便で操作性の良い除電除塵装置を提供すること。
【解決手段】除電除塵装置10の本体ケース11(胴部11a)には、照光ランプLの点灯モードを設定するための点灯モード設定スイッチSW2が設けられている。点灯モードは、トリガー14のオン・オフに同期して照光ランプLを点灯・消灯する同期点灯モードを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品、フィルムの表面、塗装表面等の除電除塵対象物に付着した微細な塵を除去する装置として除電除塵装置が知られている。除電除塵装置は、放電針に高電圧を印加してコロナ放電を発生させ空気をイオン化させるとともに、このイオン化された空気を、除電除塵対象物に吹き付けることによって付着した微細な塵を除去する。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された除塵用エアガンは、イオン化装置にてイオン化されたエアを本体の中心に配設されたエアノズルから対象物に向けて吹き付けることができる。また、このエアガンは、照明用ランプハウスの光源から出射された光が光ファイバを介して本体に導かれ、本体の周辺に配設された照光部から対象物に向けて照射することができ、除塵状況を視認することができる。
【特許文献1】実開平5−13588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された除塵用エアガンは、エア噴射用のボタンと、照光用のボタンとが別々に設けられている。このため、作業者が作業するにあたり、別々に操作する必用がある。具体的には、グリップに2つのボタンが設けられており、グリップを握った状態で、別々にこれらのボタンを操作する必用がある。このため、作業を行いながら、ボタンを操作しなければならないので、操作が面倒であった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、操作が簡便で操作性の良い除電除塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、手持ち部を有する形状をなす本体ケースと、放電電圧を発生する電圧発生手段と、前記本体ケース内に配設され前記放電電圧が印加されてイオンを発生する放電針と、空気供給源から供給される空気を前記イオンとともに前記本体ケースの外に出射する空気出射手段と、外部操作可能なトリガー部材と、前記トリガー部材の外部操作に応じた制御信号を生成する信号生成手段と、前記制御信号に応じて前記空気を出射・停止する出射制御手段と、前記制御信号に応じて前記電圧発生手段による前記放電電圧の発生・停止を制御する放電制御手段と、を有し、前記イオンを含む空気を前記本体ケースが向けられた除電除塵対象物に吹き付ける除電除塵装置であって、前記本体ケースに設けられ、前記イオンの出射方向に沿った光を出射し、前記除電除塵対象物を照らす照光源と、前記制御信号に応じて前記照光源を点灯及び消灯する点灯手段と、を有する。
【0007】
この発明によれば、トリガー部材の外部操作により生成される制御信号に応じてイオンを発生するとともに照光源が点灯及び消灯されるため、余分な操作を必要とせず、操作が勘弁で操作性がよい。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除電除塵装置において、前記制御信号に応じて前記点灯手段により前記照光源を点灯及び消灯する同期点灯モードと、前記制御信号に関わらず前記点灯手段により前記照光源を常時点灯又は常時消灯する独立点灯モードを備え、前記同期点灯モード又は前記独立点灯モードを設定する点灯モード設定手段を有する。
【0009】
この発明によれば、同期点灯モードに設定することで、トリガー部材の外部操作により照光源が点灯及び消灯される。そして、独立点灯モードに設定することで、任意のときに照光源を点灯させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の除電除塵装置において、前記電圧印加手段は、前記制御信号がオフしたときに前記電圧の印加を停止し、前記点灯手段は、前記制御信号がオフしてから第2の時間経過後に前記照光源を消灯する。
【0011】
この発明によれば、トリガー部材の外部操作に応じて先ずイオンの生成が停止されてから第2の時間の間照光源が点灯されるため、イオンを含む空気を吹き付けた場所の状態を確認することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のうちの何れか一項に記載の除電除塵装置において、前記点灯手段は、前記制御信号がオンしたときに前記照光源を点灯し、前記電圧印加手段は、前記制御信号がオンしてから第1の時間経過後に前記電圧を前記放電針に印加する。
【0013】
この発明によれば、トリガー部材の外部操作に応じて先ず照光源が点灯した後にイオンが生成されるため、照光源の光を照射する位置を確認して確実にイオンを含む空気をその対象位置に吹き付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作が簡便で操作性の良い除電除塵装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した除電除塵装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、除電除塵装置10は、ガン(ピストル)形状をなし、その本体ケース11は、筒形状の胴部11aと、その胴部11aの基端部から下方に延出形成された把手(手持ち部)11bを有している。本体ケース11の胴部11aは、先端部が先細形状に形成され、その先端に吐出口12が開口形成され、その吐出口12にはノズルNが取着されている。ノズルNは例えばステンレス等の金属よりなり、全体として円筒状に形成されている。そして、ノズルNからイオンを含む空気が出射される。
【0016】
胴部11aのノズルN側の側面には、照光源としての照光ランプLが設けられている。照光ランプLは、可視光線(例えば、白色光)を出射する光源(例えば発光ダイオード)よりなり、図3に示すように、ノズルNからイオンを含む空気Aを出射する方向に沿った可視光線Lvを出射する。ノズルNから出射した空気Aを除電除塵対象物Wに吹き付けるとき、その除電除塵対象物Wの吹き付け場所Zにその可視光線Lvを照射するように配置されている。
【0017】
胴部11aの基端側側面には、電源スイッチPSW(図2参照)が配設されている。電源スイッチPSWは作業者によってオン・オフされるスイッチであり、電源スイッチPSWがオンされると除電除塵装置の後述する回路部に電源が供給され、電源スイッチPSWがオフされると回路部に対する電源供給が停止される。
【0018】
また、胴部11aの一側面(例えば除電除塵装置10を作業者が右手で保持した場合における左側面)には、出射モード設定スイッチSW1及び点灯モード設定スイッチSW2が設けられている。出射モード設定スイッチSW1は、空気Aの出射モードを設定するためのスイッチである。点灯モード設定手段としての点灯モード設定スイッチSW2は、照光ランプLの点灯モードを設定するためのスイッチである。
【0019】
なお、胴部11aの上面基端部には、環状の掛け止め13が延出形成され、除電除塵装置10を吊下する際に、フックやストラップなど(図示せず)に引っ掛けられるようになっている。
【0020】
本体ケース11の把手11bには、トリガー部材としてのトリガー14が設けられている。トリガー14は、把手11bに対して出没可能に支持されるとともに図示しない付勢部材によって突出方向に付勢されている。トリガー14は把手11bを握った手の指で押さえると、本体ケース11内に没入して、図2に示す同ケース11内に設けられた信号生成手段としてのトリガースイッチSW3をオフからオンさせる。また、トリガー14は、指をトリガー14から離すと元の状態に復帰し、トリガースイッチSW3はオンからオフになる。トリガースイッチSW3は、自動復帰型のスイッチであって、トリガー14が指で押されている間オン状態となり、指が離されると自動復帰してオフ状態になる。そして、トリガースイッチSW3は、その状態に応じたレベルのトリガー信号SG1を制御信号として出力する。
【0021】
上記のスイッチSW1,SW2によるモードの設定について説明する。
上記したように、出射モード設定スイッチSW1は、空気Aの出射モードを設定するためのスイッチである。本実施形態において、出射モードは、連続出射モードと間欠出射モードを含む。連続出射モードは、トリガー14によりトリガースイッチSW3がオンされている間、空気Aを連続的に出射するモードである。間欠出射モードは、トリガー14によりトリガースイッチSW3がオンされている間、空気Aを間欠的に出射するモードである。
【0022】
点灯モード設定スイッチSW2は、照光ランプLの点灯モードを設定するためのスイッチである。本実施形態において、点灯モードは、独立点灯モードと同期点灯モードを含む。独立点灯モードは回路部に電源が供給されている間、即ち、電源スイッチPSWがオンされていから同スイッチPSWがオフされるまでの間、照光ランプLを点灯させるモードである。同期点灯モードは、トリガー14のオン・オフに同期して照光ランプLを点灯・消灯するモードである。
【0023】
図2に示すように、本体ケース11の胴部11a内の基端部よりには、空気出射手段,出射制御手段としての電磁弁ユニット15が設けられている。
電磁弁ユニット15は、電磁弁16と、電磁弁16を駆動制御する電磁弁制御回路部17を備えている。電磁弁16は、その一端(上流側)に空気導入ホース18が接続されている。空気導入ホース18は、本体ケース11の把手11b内を通って除電除塵装置10の外部に設けた空気供給源19に接続されている。空気供給源19は、圧縮ポンプ及び蓄圧器等で構成され一定圧力の空気を供給する。従って、電磁弁ユニット15(電磁弁16)には、空気導入ホース18を介して空気が空気供給源19から供給される。
【0024】
電磁弁16の他端(下流側)には、空気流路管20の基端部が連結され、その空気流路管20の先端部は胴部11aの吐出口12に取着した絶縁体よりなるノズルNと対応する位置に固定されている。従って、電磁弁ユニット15(電磁弁16)は、空気導入ホース18を介して、空気供給源19から供給される空気を、空気流路管20を介して、ノズルNから噴出させる。即ち、電磁弁ユニット15、空気導入ホース18、空気流路管20、ノズルNは、空気供給源19から導入される空気を本体ケース11外に出射する空気出射手段を構成する。
【0025】
詳述すると、電磁弁ユニット15の電磁弁制御回路部17は、電磁弁16を駆動して電磁弁16を開状態にすると、空気供給源19から供給される空気を空気流路管20に送出してノズルNから噴出させる状態にすることができる。反対に、電磁弁制御回路部17は、電磁弁16を駆動して電磁弁16を閉状態にすると、空気供給源19からの一定圧力の空気を遮断し、ノズルNから該空気の噴出を停止させる状態にすることができる。
【0026】
ノズルNは、例えばステンレス等の金属よりなる導電体であり、このノズルNは後述する放電電圧生成ユニット25と接続されて接地電極(対向電極)として機能する。ノズルN内には、円筒状に形成された絶縁体21が配設されている。絶縁体21は例えばセラミックよりなる。
【0027】
空気流路管20内であって絶縁体21の近傍位置には、放電針22が配置されている。放電針22は、絶縁体よりなる間隔保持部材23を介して空気流路管20に支持固定されているとともに、空気流路管20に対して電気的に絶縁されている。また、電磁弁16から送出される空気は間隔保持部材23で形成された空気流路管20と放電針22との間を介してノズルNに流れる。
【0028】
上記絶縁体21は、例えばセラミックよりなる。絶縁体21は、放電電極である放電針22と接地電極(対向電極)として機能するノズルNとの間の距離を短くするとともに、放電電極(放電針22)と接地電極(ノズルN)との間の電位差を大きくしてコロナ放電を発生し易くするものであり、この絶縁体により除電除塵装置10の小型化が可能となる。
【0029】
そして、放電針22に高周波高電圧の放電電圧Vが印加されると、放電針22と筒状対向電極(ノズルN)との間にコロナ放電が発生し、このコロナ放電によりノズルN及び空気流路管20内にある空気がプラス又はマイナスにイオン化される。本実施形態では、ノズルN及び空気流路管20内をイオン生成室24とする。従って、電磁弁16が閉状態にある時、放電針22とノズルNとの間に高電圧の交流電圧が印加されると、イオン生成室24内にプラス又はマイナスにイオン化された空気が生成され滞留する。そして、イオン生成室24内に生成されたイオン化された空気が滞留している状態から電磁弁16を開状態にすると、電磁弁ユニット15(電磁弁16)から一定圧力の空気が空気流路管20(イオン生成室24)内に送出される。これによって、イオン生成室24内に滞留していたイオン化された全ての空気Aは、ノズルNから除電除塵対象物Wに向かって噴出される。
【0030】
本体ケース11の胴部11a内には、電圧発生手段及び放電制御手段としての放電電圧生成ユニット25が設けられている。放電電圧生成ユニット25は、電圧発生手段としての圧電トランス26と、圧電トランス26を駆動制御する放電制御手段としての放電制御回路部27を備えている。放電制御回路部27は、本体ケース11の把手11b内を通って伸びる配線28を介して除電除塵装置10の外部に設けた電圧電源29に接続されている。放電制御回路部27は、電圧電源29からの電源電圧を圧電トランス26に供給制御して、圧電トランス26から高周波高電圧である放電電圧Vを放電針22とノズルNとの間に印加制御するようになっている。
【0031】
本体ケース11の胴部11a内には、点灯制御ユニット30が設けられている。点灯制御ユニット30は、図4に示すように、点灯制御回路部31、放電異常検出回路部32及び異常判定回路部33を含む。点灯制御ユニット30は、点灯モード設定スイッチSW2の設定に従って、照光ランプLを点灯する。また、点灯制御ユニット30は、異常判定回路部33の判定結果に基づいて、照光ランプLを通常の点灯態様と異なる点灯態様にて点灯させ、異常発生をユーザに報知する。
【0032】
なお、除電除塵装置10が接続された電圧電源29(図2参照)から供給される電源電圧は、電源スイッチPSWのオン時に、電磁弁ユニット15及び点灯制御ユニット30にも供給される。
【0033】
次に、除電除塵装置10の電気的構成について説明する。
図4に示すように、電磁弁ユニット15に設けられた電磁弁制御回路部17は、出射モード設定スイッチSW1及びトリガースイッチSW3に接続されている。出射モード設定スイッチSW1は、空気Aの出射モードを設定するスイッチである。電磁弁制御回路部17は、設定された出射モードに従って電磁弁16の開閉状態を制御する。従って、スイッチSW1は、電磁弁16の制御モードを設定するスイッチとして機能する。
【0034】
電磁弁制御回路部17は、トリガースイッチSW3からオン・オフ状態に応じたレベルのトリガー信号SG1を入力する。電磁弁制御回路部17は、トリガー信号SG1に応答して、出射モードに応じた開閉制御信号SG2を電磁弁16に出力する。電磁弁16は、開閉制御信号SG2に応答してオン(開状態)・オフ(閉状態)する。
【0035】
詳述すると、電磁弁制御回路部17は、出射モード設定スイッチSW1により連続出射モードに設定されているとき、オンしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1に応答して電磁弁16をオンする開閉制御信号SG2を出力し、オフしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1に応答して電磁弁16をオフする開閉制御信号SG2を出力する。トリガースイッチSW3は、作業者がトリガー14を押えるとオンし、トリガー14を離すとオフする。従って、電磁弁16は、トリガー14がオン操作されている間オンする。電磁弁16がオンすると空気AがノズルNから出射され、電磁弁16がオフすると空気Aの出射が停止される。従って、連続出射モードに設定された除電除塵装置10は、トリガー14がオン操作されている間、空気Aを連続的に出射する。
【0036】
また、電磁弁制御回路部17は、出射モード設定スイッチSW1により間欠出射モードに設定されているとき、トリガースイッチSW3がオンした時のトリガー信号SG1に応答してパルス状の開閉制御信号SG2を出力し、トリガースイッチSW3がオフした時のトリガー信号SG1に応答して電磁弁16をオフする開閉制御信号SG2を出力する。電磁弁16は、パルス状の開閉制御信号SG2に応答してオン・オフする。例えば、電磁弁16は、Hレベルの開閉制御信号SG2に応答してオンし、Lレベルの開閉制御信号SG2に応答してオフする。トリガースイッチSW3は、作業者がトリガー14を押えるとオンし、トリガー14を離すとオフする。従って、電磁弁16は、トリガー14がオン操作されている間、オン状態とオフ状態とを交互に繰り返す。電磁弁16がオンすると空気AがノズルNから出射され、電磁弁16がオフすると空気Aの出射が停止される。従って、間欠出射モードに設定された除電除塵装置10は、トリガー14がオン操作されている間、空気Aを間欠的に出射する。
【0037】
放電電圧生成ユニット25に設けられた放電制御回路部27は、トリガースイッチSW3と接続され、トリガースイッチSW3からオン・オフのトリガー信号SG1を入力する。放電制御回路部27は、トリガー信号SG1に応答して圧電トランス26に対する高周波電圧を供給又は停止する。詳述すると、放電制御回路部27は、オンしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1に応答して圧電トランス26の一次端子に高周波電圧を印加し、オフしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1に応答して圧電トランス26に対する高周波電圧の供給を停止する。好手は電圧が供給された圧電トランス26は、その2次端子から高周波高電圧の放電電圧Vを放電針22と対向電極間に印加する。トリガースイッチSW3は、作業者がトリガー14を押えるとオンし、トリガー14を離すとオフする。従って、放電制御回路部27は、トリガー14がオン操作されている間、高周波電圧を圧電トランス26に供給する。従って、除電除塵装置10は、トリガー14がオン操作されている間、放電針22に放電電圧Vを供給し、イオンを発生する。
【0038】
点灯制御ユニット30に設けられた点灯手段としての点灯制御回路部31は、点灯モード設定スイッチSW2からの選択信号を入力するとともに、トリガースイッチSW3からトリガー信号SG1を。点灯モード設定スイッチSW2は、照光ランプLの点灯モードを設定するスイッチである。点灯制御回路部31は、設定された点灯モードに従って照光ランプLの点灯状態を制御する。
【0039】
詳述すると、点灯制御回路部31は、点灯モード設定スイッチSW2により独立点灯モードが設定されているとき、図2に示す電源スイッチPSWにより電源電圧が供給されると、図5(a)に示すように照光ランプLを点灯する。そして、電源スイッチPSWにより電源電圧の供給が停止されると照光ランプLは消灯する。即ち、照光ランプLは、除電除塵装置10が使用可能な状態にあるときには常に点灯する。従って、作業者は、除電除塵装置10を照光ランプLから常時出射される可視光線Lvを除電除塵対象物Wに照射することで、除電除塵対象物Wの状態、つまり除電除塵対象物Wに付着した塵埃を確認することができる。更に、作業者は、除電除塵装置10から出射する空気Aを除電除塵対象物Wに吹き付けた後、除電除塵対象物Wの状態、つまり塵埃の除去具合を確認することができる。
【0040】
また、点灯制御回路部31は、点灯モード設定スイッチSW2により同期点灯モードが設定されているとき、オンしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1に応答して照光ランプLを点灯・消灯する。詳しくは、図5(b)に示すように、点灯制御回路部31は、オンしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1に応答して照光ランプLを点灯し、オフしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1に応答して照光ランプLを消灯する。トリガースイッチSW3は、作業者がトリガー14を押えるとオンし、トリガー14を離すとオフする。従って、照光ランプLは、トリガー14がオン操作されると点灯し、トリガー14がオフ操作されると消灯する。即ち、点灯制御回路部31は、トリガー14の操作に同期して照光ランプLを点灯・消灯する。
【0041】
また、点灯制御回路部31は、異常判定回路部33からの放電異常信号SG3に応答して照光ランプLの点灯態様を変更する。異常判定回路部33は放電異常検出回路部32に接続されるとともに、トリガースイッチSW3に接続されている。放電異常検出回路部32は、放電針22と対向電極(ノズルN)との間にかかる放電電圧Vを検出抵抗Rに流れる電流値から検出しその検出結果を異常判定回路部33に出力する。異常判定回路部33は、放電異常検出回路部32が検出した放電針22と対向電極(ノズルN)との間にかかる電圧値に基づいて、トリガー14がオン操作されているときに何らかの原因で、途中で放電針22とノズルN間に放電電圧Vが印加されなくなったとき、イオンが生成されていないとして、放電異常信号SG3を、点灯制御回路部31に出力する。ようになっている。
【0042】
点灯制御回路部31は、異常を示す放電異常信号SG3を入力すると、上記2つのモードによる点灯態様と異なる点灯態様(第3の点灯態様)にて照光ランプLを制御する。例えば、点灯制御回路部31は、第3の点灯態様として、所定の間隔で照光ランプLを点滅制御する。作業者は、照光ランプLが点滅することで、異常を確認することができる。
【0043】
しかも、照光ランプLの可視光線Lvは、図3に示すように、除電除塵対象物Wのイオン化した空気Aが吹き付けられる場所Zに照射される。従って、場所Zが明暗するため、作業者は、除電除塵対象物Wの吹き付け箇所を注視している状態であっても、照光ランプLの点滅を容易に認識し、異常状態を速やかに気づくことができる。
【0044】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)除電除塵装置10の本体ケース11(胴部11a)には、照光ランプLの点灯モードを設定するための点灯モード設定スイッチSW2が設けられている。点灯モードは、トリガー14のオン・オフに同期して照光ランプLを点灯・消灯する同期点灯モードを含む。従って、トリガー14の外部操作により生成されるトリガー信号SG1に応じてイオンを発生するとともに照光ランプLが点灯及び消灯されるため、余分な操作を必要とせず、操作が簡便で操作性を良くすることができる。
【0045】
(2)照光ランプLは、ノズルNからイオンを含む空気Aを出射する方向に沿った可視光線Lvを出射する。ノズルNから出射した空気Aを除電除塵対象物Wに吹き付けるとき、その除電除塵対象物Wの吹き付け場所Zにその可視光線Lvを照射するように配置されている。従って、イオンを含む空気Aを吹き付ける場所Zに可視光線Lvが照射されるため、イオンを含む空気Aを吹き付ける場所を確認しながら除電除塵装置10の姿勢を制御することができる。
【0046】
(3)照光ランプLの点灯モードは、同期点灯モードと、回路部に電源が供給されている間照光ランプLを点灯させる独立点灯モードを含む。従って、同期点灯モードに設定することで、イオンを含む空気Aの出射を制御するトリガー14の外部操作により照光ランプLが点灯及び消灯するため、簡単な操作で除電除塵対象物に可視光線Lvを照射することができる。そして、独立点灯モードに設定することで、トリガー14の外部操作に係わらず照光ランプLが点灯しているため、照光ランプLを点灯させる手間を省くことができ、除電除塵装置10の操作が簡略化される。
【0047】
(4)放電異常などの異常が発生した場合には、照光ランプLを点滅させるようにした。照光ランプLは、ノズルNから出射したイオンを含む空気Aを除電除塵対象物Wに吹き付けるとき、その除電除塵対象物Wの吹き付け場所Zにその可視光線Lvが照射されるように配置されている。従って、除電除塵作業中に、作業者は、空気Aを吹き付ける除電除塵対象物Wの吹き付け場所Zを注視しているため、照光ランプLの表示の態様の変化を見逃すことなく異常を確認することができる。
【0048】
(5)出射モード設定スイッチSW1により間欠出射モードに設定したときに、トリガー14をオン操作することによって、放電針22印加した放電電圧Vによりイオンを生成し、電磁弁16を開閉動作させるようにした。従って、イオンを含む空気Aを、周期的に強弱を加えて除電除塵対象物Wに吹き付けることができ、除電除塵対象物Wに付着した塵を効率よく除去することができる。
【0049】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、点灯モード設定スイッチSW2により独立点灯モードを設定した場合に、電源電圧の供給に従って照光ランプLを点灯させるようにしたが、照光ランプLを消灯させるようにしてもよい。例えば、本体ケース11に手動点灯スイッチSW4を備える。そして、点灯モード設定スイッチSW2により独立点灯モードを設定可能とする。即ち、点灯制御回路部31は、独立点灯モードに設定した場合、図6に示すように、手動点灯スイッチSW4のオン時に照光ランプLを点灯し、手動点灯スイッチSW4のオフ時に照光ランプLを消灯する。
【0050】
このように、手動点灯スイッチSW4を備えることで、作業者に応じて、又は作業に応じて照光ランプLを点灯させて除電除塵対象物Wにおいて空気Aを吹き付ける場所Zの状態を確認することができる。例えば、日中や,太陽光や作業場の照明の光が届き易い場所での作業時には照光ランプLを消灯させ、夜間や光が届きにくい場所での作業時には照光ランプLを手動にて点灯させることで、無駄な電力消費が抑えられる。
【0051】
尚、点灯モード設定スイッチSW2により設定可能な点灯モードを、独立点灯モードと同期点灯モードと独立点灯モードの3つとすること、同期点灯モードと独立点灯モードの2つとすること、独立点灯モードと独立点灯モードの2つとすること、上記点灯モードのうちの少なくとも1つと他の点灯モードを設定可能とすること等、適宜変更してもよい。
【0052】
また、点灯モード設定スイッチSW2と手動点灯スイッチSW4とを1つのスイッチとするようにしてもよい。
・上記実施形態では、電源スイッチPSWを備え、該スイッチPSWがオンされて電源電圧が供給されている間、照光ランプLを点灯させる常時点灯モードを備えたが、電源電圧が供給されている間照光ランプLが点灯すればよく、電源スイッチPSWを省略してもよい。
【0053】
・上記実施形態に対して、同期点灯モードにおいて、放電制御回路部27は、オンしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1を入力してから第1の時間経過した後に放電電圧Vを放電針22に供給してイオンを発生させるようにしてもよい。この場合、トリガー信号SG1に応答してイオンを発生させて空気Aを外部に出射する前に、点灯制御回路部31が照光ランプLを点灯するため、空気Aを吹き付ける場所Zを確定してから空気Aをその場所Zに吹き付けることができる。
【0054】
・上記実施形態に対して、同期点灯モードにおいて、点灯制御回路部31は、オフしたトリガースイッチSW3のトリガー信号SG1を入力してから第2の時間経過した後に照光ランプLを消灯させるようにしてもよい。この場合、トリガー信号SG1に応答してイオンを含む空気Aの出射を停止した後も第2の時間照光ランプLが点灯するため、空気Aを吹き付けた場所Zの状態を容易に確認することができる。
【0055】
・上記実施形態におけるスイッチSW1,SW2の形状を適宜変更してもよい。例えば、ロータリスイッチによりモード選択を可能としてもよい。
・上記実施形態では、照光ランプLの異常表示を、一色(白色)の可視光線Lvによる点灯、消灯または点滅等の点灯状態の変更で行った。これを、複数の異なる色の照光ランプLを用意し、色を変更するスイッチ又はモードを備えるようにしてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、可視光線Lvを出射する照光ランプLを備えたが、除電除塵対象物に付着した微細な塵を認識可能な光、例えば紫外光線を出射する照光ランプを備える構成としてもよい。また、可視光線を出射する照光ランプと紫外光線を出射する照光ランプとを備え、それらを切り換えて使用する構成としてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、放電電圧Vの異常についてのみ、異常判定回路部33が検出し、照光ランプLにて異常報知するようにした。これを、その他の異常、例えば、電磁弁16が正常に開閉動作されていないことを検出して、照光ランプLにて報知するようにしてもよい。この場合、異常箇所に応じて点灯態様を変更して実施してもよい。
【0058】
・上記実施形態では、電源スイッチPSWと出射モード設定スイッチSW1と点灯モード設定スイッチSW2とを備える構成としてが、電源スイッチPSWの機能を、出射モード設定スイッチSW1又は点灯モード設定スイッチSW2に持たせるようにしてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、ノズルNの出射口は、ストレートの貫通孔よりなる1つ出射口であったが、これに限定されるものではなく、例えば、内径の短い出射口を複数形成して、シャワーのように各出射口から空気Aを出射するタイプにノズル等を使用して実施せてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、出射モード設定スイッチSW1にて間欠出射モードと連続出射モードとを設定可能としたが、間欠出射モードの設定時に、電磁弁16のオン時間、電磁弁16のオフ時間、電磁弁16の制御間隔を変更するようにしてもよい。また、電磁弁16をオン・オフ制御する間隔、開閉制御信号SG2が異なる複数の間欠モードのうちの1つを設定可能としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】除電除塵装置の斜視図。
【図2】除電除塵装置の断面図。
【図3】照光ランプの照射状態を示す説明図。
【図4】除電除塵装置の電気的構成を示す電気ブロック回路図。
【図5】(a)(b)は除電除塵装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図6】除電除塵装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【符号の説明】
【0062】
10…除電除塵装置、11…本体ケース、11a…胴部、11b…把手、12…吐出口、14…トリガー、15…電磁ユニット、16…電磁弁、17…電磁弁制御回路部、18…空気導入ホース、19…空気供給源、20…空気流路管、22…放電針、24…イオン生成室、25…放電電圧生成ユニット、26…圧電トランス、27…放電制御回路部、30…点灯制御ユニット、31…点灯制御回路部、A…空気、L…照光ランプ、Lv…可視光線、SG1…トリガー信号(制御信号)、SW1…出射モード設定スイッチ、SW2…点灯モード設定スイッチ、SW3…トリガースイッチ、PSW…電源スイッチ、V…放電電圧、W…除電除塵対象物、Z…場所。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち部を有する形状をなす本体ケースと、
放電電圧を発生する電圧発生手段と、
前記本体ケース内に配設され前記放電電圧が印加されてイオンを発生する放電針と、
空気供給源から供給される空気を前記イオンとともに前記本体ケースの外に出射する空気出射手段と、
外部操作可能なトリガー部材と、
前記トリガー部材の外部操作に応じた制御信号を生成する信号生成手段と、
前記制御信号に応じて前記空気を出射・停止する出射制御手段と、
前記制御信号に応じて前記電圧発生手段による前記放電電圧の発生・停止を制御する放電制御手段と、
を有し、前記イオンを含む空気を前記本体ケースが向けられた除電除塵対象物に吹き付ける除電除塵装置であって、
前記本体ケースに設けられ、前記イオンの出射方向に沿った光を出射し、前記除電除塵対象物を照らす照光源と、
前記制御信号に応じて前記照光源を点灯及び消灯する点灯手段と、
を有することを特徴とする除電除塵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除電除塵装置において、
前記制御信号に応じて前記点灯手段により前記照光源を点灯及び消灯する同期点灯モードと、
前記制御信号に関わらず前記点灯手段により前記照光源を常時点灯又は常時消灯する独立点灯モードを備え、
前記同期点灯モード又は前記独立点灯モードを設定する点灯モード設定手段を有すること、
を特徴とする除電除塵装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の除電除塵装置において、
前記放電制御手段は、前記制御信号がオフしたときに前記放電電圧の発生を停止させ、
前記点灯手段は、前記制御信号がオフしてから第2の時間経過後に前記照光源を消灯すること、
を特徴とする除電除塵装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうちの何れか一項に記載の除電除塵装置において、
前記点灯手段は、前記制御信号がオンしたときに前記照光源を点灯し、
前記放電制御手段は、前記制御信号がオンしてから第1の時間経過後に前記放電電圧を前記放電針に印加させること、
を特徴とする除電除塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−486(P2010−486A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163781(P2008−163781)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】